JP2634646B2 - 銀塩写真像の安定化方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、銀塩写真像を後処理溶液で処理することに
よって安定化する方法に関する。

露光されたハロゲン銀乳剤層を現像および定着するこ
とによって形成された銀塩写真像において、時間の経過
につれて画像の調子が全体的にあるいは部分的に黒色か
らかっ色または黄色に変化する。

この画像の調子の変化は、たとえばフイルムや印画紙
をチオ硫酸ナトリウムで定着後に十分に水洗しなかった
場合など、銀画像が硫化銀に変化するためである。同様
な画像の調子の好ましくない変化は、銀塩写真像に酸化
力のあるガスの作用によってもひきおこされる。銀画像
の酸化によって水溶性の銀塩が生成し、この化合物は物
質中を拡散し易い。この可溶性銀塩の光分解によって、
微細な黄ないし赤かっ色のコロイド状銀またはかっ色の
銀化合物を生成する。仕上った銀塩写真像のこのような
好ましくない変化は、いわゆる微小斑点として、しばし
ばスポット状にも発生する。

銀塩写真像のこの好ましくない変化を阻止したり抑制
しようとする試みが今までなされなかった訳ではない。
たとえば画像露光された写真記録材料を処理するために
使用した薬品をより十分に洗浄することによって抑制し
たり、処理済みの写真材料、すなわち銀画像、を標準的
な雰囲気下に保存する方法がある。

仕上った銀画像を安定化するためにいろいろな種類の
化合物が記載されている。

その中には、非環状および環状チオセミカルバジド
（ドイツ特許第2000622号）、テトラハイドロピリミジ
ン、チアジンおよびテトラジン系のヘテロ環状メルカプ
トまたはチオ化合物（ドイツ特許第2013423号）、有機
および無機系チオシアン酸塩（ドイツ特許第2218387
号）、およびイソチオ尿素（米国特許第4500632号）な
どがある。しかし、これらの化合物は、その安定化効果
が十分でなかったり、記録層の写真特性に悪影響を及ぼ
したりして、実際に要求される条件を満たしていない。

ハロゲン化銀写真記録材料中に直接安定化剤を添加す
る方法が知られている。ドイツ特許第3151182号（英国
特許第2090991号）によるとポリビニルイミダゾール
を、また英国特許第1156167号によるとスルフオアルキ
ル置換されたハイドロキノンを添加する方法が記載され
ている。

しかしこれらの化合物によって十分な安定化効果を得
るには0.5g/m²程度のかなり高濃度で用いることが必要
である。

ハロゲン化銀は勿論のこと湿潤剤、安定剤、現像剤お
よび現像助とポリビニルイミダゾールとの相溶性はかな
り限定される。その上、保護層に高濃度で存在する場合
には、光沢が失われる。

上記の欠点を克服した銀塩写真像の安定化方法が見出
された。この方法では、安定剤としてある量のアミノテ
トラゾールまたはメルカプトテトラハイドロトリアジン
を含む後処理浴を用いる。

かくして、本発明は、仕上げられた銀画像を後処理浴
で処理することにより銀塩写真像（photographically p
roduced silver image）を安定化する方法であって、該
後処理浴が式Ｉ で表されるアミノテトラゾール、または式II 式中、R₁、R₃およびR₄は、互いに独立に水素、置換され
ていてもよい、例えばフエニル置換されていてもよい炭
素数６までの飽和もしくは不飽和の脂肪族基、例えばメ
チル、エチル、プロピル、ブチル、アリル、ベンジルま
たはフエニルエチル、あるいはアリール基、特にフエニ
ルを示し、 R₂水素、または炭素数６までの飽和もしくは不飽和の脂
肪族基、例えばメチル、エチル、ブチルもしくはアリル
を示し、ここで該脂肪族基は、ヒドロキシル、アルコキ
シ、アミノ、ハロゲンまたはフエニルで置換されていて
もよく、例えば、ヒドロキシメチル、２−ヒドロキシプ
ロピル、２−メトキシエチル、２−アミノエチル、３−
ジメチルアミノプロピル、２−クロロエチル、３−クロ
ロプロピルまたはベンジルであるか、あるいはR₂はアリ
ール基、特にフエニルを示す、 で表わされるメルカプトテトラハイドロトリアジンを1.
5〜４重量％含むことを特徴とする方法に関する。

式IIの化合物として適当な例としては、次のような化
合物があげられる： 本発明に用いられるアミノテトラゾールは公知の化合
物である。メルカプトテトラハイドロトリアジンの合成
は米国特許第3712818号に記載んされている。

本発明の安定化法に用いられる後処理浴は、最も簡単
な場合は安定化剤の溶液から成っている。水溶液が好ま
しいが、有機溶媒の溶液、あるいは、水と脂肪族アルコ
ール、ジメチルホルムアミドなど有機溶媒との混合溶媒
溶液も用いられる。水溶液のpHはその溶解度を大きくす
るために、例えばKOHやH₂SO₄によって上下させることも
できる。

本発明の方法は、その形成法としてどんな方法が利用
されたかに関係なく、広範囲の銀塩写真像に適用可能で
ある。従って、たとえば、露光した写真記録材を現像後
定着する通常の方法によって形成された銀画像を安定化
することができる。その画像は、通常の連続調の画像で
も、事務用複写でも、あるいはマイクロフイルムであっ
てもよい。本発明の方法は、銀塩拡散法によって形成さ
れたコピーを安定化するのにも用いることができる。

本発明の安定化法は、仕上げられた銀画像、すなわ
ち、画像露光したハロゲン銀を含む写真記録材を現像す
ることによって得られた銀塩写真像、に対して適用され
る。写真の処理において、現像プロセスの次に安定化処
理プロセスが行われ、この間に未露光のハロゲン銀が全
てもしくは一部除去されるか非感光性物質に変えられ
る。

そのような安定化処理プロセスには、たとえば、すで
に銀画像を含むがなお残存するハロゲン銀を含んでいる
現像済みの写真記録材に対して定着処理を施すこと、す
なわちアルカリ金属のチオサルフエイトまたはアンモニ
ウムチオサルフエイトを含む処理浴中で、ハロゲン銀を
可溶性の銀錆塩に変えて写真記録材から溶かし出すプロ
セスも含んでいる。こうして安定な銀画像が形成される
が、その安定性は未露光部に感光性のハロゲン銀が存在
しないためである。この画像を本明細書中では仕上げら
れた銀画像とよぶ。

本発明による安定化プロセスは、前述の安定化処理プ
ロセスと区別されなければならない。前述の安定化処理
プロセスではなお残存するハロゲン銀を取り除いたり変
化させたりするのに反して、本発明の安定化プロセス
は、形成された銀画像にはすでに感光性のハロゲン銀が
実質的に存在しない場合に対して適用される。本発明に
よる安定化プロセスが適用される仕上げ済みの銀画像
は、すでに前載した銀塩拡散法によって形成された銀画
像であってもよい。そのような銀画像は、場合によって
は銀の現像核を含むがハロゲン銀を含まない別の画像受
容層上に形成される。

従って本発明の後処理浴は、残存するハロゲン銀を除
去するための化合物を含んでいる必要はない。

本発明の後処理浴は、潤滑剤、pH調整剤、およびたと
えばアルカリ金属の亜硫酸塩やハイドロキシルアミン塩
などの酸化防止剤などその他の添加剤を含んでいる。

何らかの写真的な手段によって形成された銀画像は、
その後貯蔵中に外からの影響をより受け難いように、と
くに酸化性のガスの影響を受け難いように、本発明の後
処理浴によって安定化される。この安定化効果は、この
記録材が少くとも一層の感光性ハロゲン銀乳剤層を含
み、そしていずれかの白黒写真の現像法によって現像さ
れたならば、その銀画像を形成するために用いられた写
真記録材の特性にはほとんど関係しない。

写真記録材中の感光性はハロゲン化銀に含まれるハロ
ゲンイオンは、クロライド、ブロマイド、アイオダイド
またはそれらの混合物である。好ましい具体例におい
て、少くとも一層中のハロゲンイオン含有量は、０〜12
モル％のアイオダイド、０〜50モル％のクロライドおよ
び50〜100モル％のブロマイドである。一般に、そのハ
ライドを主として、たとえば立方体または八面体または
転移形をした緻密な結晶より成っている。その結晶は主
に0.2μｍ以上の厚みを有するという特徴がある。平均
の直径対厚みの比は、好ましくは8:1以下であるが、こ
こで粒子の直径は、粒子の投影面積と等しい面積をもつ
円の直径として定義される。他の好ましい具体例におい
て、乳剤のすべてもしくは一部は主として平板状のハロ
ゲン銀結晶含んでいるが、その場合には直径対厚みの比
は8:1より大きい。その乳剤は単分散あるいは多分散乳
剤であり、好ましくは0.3〜1.2μｍの平均粒径をもって
いる。そのハロゲン銀粒子は積層構造をもっている場合
もある。

通常の親水性でフイルム形成能のある化合物、たとえ
ばたんぱく質、とりわけゼラチン、が写真記録材層の保
護コロイドまたはバインダーとして用いられるが、その
一部またはすべてを他の天然または合成バインダーによ
って代用することもできる。塗布助剤および可塑剤を用
いることもできる；研究報告（Research Disclosurs）1
7643（1978年12月）、とくに９、11、12章参照。

その乳剤は常法に従って化学増感および／または分光
増感される。その乳剤はハロゲン銀安定剤を含み、他の
非感光性層と同様にその乳剤層は公知の硬化剤によって
常法に従って硬化される。適当な化学増感剤、分光増感
色素、安定剤および硬化剤は、たとえば研究報告（Rese
arch Disclosure）17643号、とりわけ３、４、６および
10章に記載されている。

本発明による安定化法の適用される写真記録材は、紫
外光、可視光、赤外光もしくは高エネルギー放射線で画
像露光される。その後通常の処理方法によって露光部の
ハロゲン銀が銀画像に変えられる。この処理は一般にア
ルカリ性の媒体中で写真記録材を、その記録材のいずれ
かの層中もしくは処理液中に含まれていたハロゲン銀用
の現像剤の存在下で処理することによって実施される。
無機または有機の現像剤を用いることができる。その例
としては、ハイドロキノン、３−ピラゾリドン、アミノ
フエノールおよびそれらの誘導体などがある；研究報告
（Research Disclosure）17643号20章参照。一般に現像
後定着浴中で処理され、この間に未露光で未現像のハロ
ゲン銀は写真記録材から溶かし出される。

本発明による安定化プロセスは、現像による銀画像の
形成後はいつでも実施可能であるが、黒白画像を乾燥す
る前の最後の処理段階で適用するのが最も効果的であ
る。これは即ち、本発明による安定化浴はその後の湿式
処理、とりわけ水洗、をともなわないのが好ましいこと
を意味している。本発明による安定化浴は、事実上後処
理浴もしくは最終欲として、実施される。

実施例 好ましくは“ステップウエッヂ”を備えた白黒写真記
録材料のいろいろなサンプルを、露光、現像、定着後十
分に水洗し、さらに次の表に示した化合物のいずれかの
溶液中に３分間浸し、その後乾燥した。その後処理後乾
燥させた白黒写真記録材料を相対湿度84％に調節された
きわめて薄い過酸化水素の雰囲気中にさらした。この過
酸化水素の雰囲気は、相対湿度84％、室温（22〜24℃）
で過炭酸ナトリウムNa₂CO₃・3H₂O₂を加水分解すること
によって作られた。84％の相対湿度は飽和KBr溶液によ
って調整された。露光後処理された印画紙のスリップ
を、約20の直方体状ガラス容器中に垂直にぶら下げ
た。容器内の温度を22−24℃に調節するために、そのガ
ラス容器を調温された水浴中に浸した。その容器の上を
不透明なガラス板でふたをした。測定するサンプルはこ
のガラス板を通して約20cmの距離から蛍光灯822ワット
のキセノンランプ）によって照射した。約50gの過炭酸
塩をガラス容器の底に均一にばらまいた。それぞれのテ
ストにおいて、乾燥したサンプルを、それらのうちの少
くとも一つが次に述べるような基準に従ってひどくいた
むまで、そのガラス容器中につるしておいた： いたみ具合なし：識別できる変色なし 軽度のいたみ具合：主として低濃度部でわずかに変色 中程度のいたみ具合：低および高い濃度部で中程度の変
色 強度のいたみ具合：低および高濃度部でかなり退色が見
られるひどい変色 それぞれの化合物を用いた場合の結果および効果は次
の表にまとめられている。

銀画像が破壊された場合に生成する可溶性で無色の銀
化合物は、本発明の安定化浴によって不溶性となる。以
下の表からわかるように、驚くべきことに本発明にあげ
た化合物は優れた効果をもつことが見出された。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハンス・エールシユレーガー ドイツ連邦共和国デー5060ベルギツシ ユ‐グラートバツハ２・アムカツターバ ツハ 34 (56)参考文献 特開 昭55−137529（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−242453（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−80248（ＪＰ，Ａ) 米国特許3712818（ＵＳ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】仕上げられた銀画像を後処理浴で処理する
   ことにより銀塩写真像を安定化する方法であって、該後
   処理浴が式Ｉ で表わされるアミノテトラゾール、または式II 式中、R₁、R₃およびR₄は、互いに独立に水素、置換され
   ていてもよい炭素数６までの飽和もしくは不飽和の脂肪
   族基、またはアリール基を示し、 R₂は水素、またはヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、
   ハロゲンもしくはフエニルによって置換されていてもよ
   い炭素数６までの飽和もしくは不飽和の脂肪族基、ある
   いはアリール基を示す、 で表わされるメルカプトテトラハイドロトリアジンを1.
   5〜４重量％の濃度で含むことを特徴とする方法。