JP2633886B2 - 脱硫剤とそれを用いた硫化水素含有ガスの処理法 - Google Patents

脱硫剤とそれを用いた硫化水素含有ガスの処理法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は硫黄化合物を含むガスの精製方法に係り、特
に硫化水素を高温度下で除去するに好適な脱硫剤および
それを用いた硫化水素含有ガスの処理法及び石炭ガス化
システムとその発電システムに関する。
〔従来の技術〕
石炭は全世界に広く分布し、埋蔵量は石油よりも多
く、石油の代替エネルギーとして有望視されている。し
かし固体である石炭中には硫黄が多く含まれており、そ
のまま燃料源として用いるとSO2を発生し大気汚染源と
なる。近年、石炭を高温,加圧下で酸素不足の状態でガ
ス化し、水素,一酸化炭素,硫黄化合物等を含む発生ガ
スから不用物を除去し、クリーンなエネルギー源として
利用する方式が開発されつつある。不用物の除去、すな
わちガス化反応で発生した硫化物の除去法には湿式法と
乾式法がある。前者はすでに完成され、実用化された種
々のガス化炉あるいは化学工業分野で使用されている。
この湿式法は硫化物、特に硫化水素を化学吸収させて除
去するものであるが、吸収溶液に硫化水素を吸収させる
ためガス化反応で発生した粗ガスを冷却する必要があ
り、それに伴うエネルギーの損失や吸収液の再生,排水
処理等の問題がある。
後者の乾式法は発生ガス中の硫化水素を高温下で除去
するもので冷却に要するエネルギー損失や吸収液を用い
ないことにより、排水の問題がないことから、新しい脱
硫法として着目されている。
特公昭59−32169に記された乾式脱硫方法は酸化チタ
ンに酸化鉄と酸化銅の1種以上とからなる脱硫剤を用い
たもので脱硫の性能はよいが、吸着温度が300℃以上で
は吸着剤の成分である酸化鉄,酸化銅中の酸素が硫黄と
反応して、二酸化硫黄を生成する。すなわち脱硫反応中
に二酸化硫黄を発生する欠点を有する。
また特公昭59−19728に記載された酸化チタンと酸化
モリブデンを活性成分とする脱硫剤による硫化水素含有
ガスの処理においても反応温度が300℃を越えると酸化
モリブデン中の酸素が硫黄と反応して二酸化硫黄を生成
するようになり、結果的には脱硫率が低下する。これら
はいずれもクラウステイルガス処理用に開発されたもの
であり、硫化水素の吸着中に二酸化硫黄を発生してもな
んら問題とならなかつた。しかし、石炭のガス化ガスの
高温精製においては、硫化水素の吸着中に二酸化硫黄を
発生することは好ましくない。また脱硫時には水蒸気が
印加下で凝縮しない300℃以上の温度が要求される。
特開昭59−223792に記された硫化水素含有ガスの処理
方法では石炭のガス化ガス等を対象とし、高温脱硫を可
能にするために、酸化タングステンにより熱安定化した
酸化チタンを担体とし、鉄,ニツケル,コバルトなど鉄
族金属またはモリブデンの酸化物の少なくとも1種を担
持した吸着剤が有益であるとされている。この方法は高
温下での硫化水素吸着率が酸化タングステンを有しない
ものと同程度であるが、強度劣化が少ないものが得られ
ることが開示されている。しかし酸化鉄を担持した場合
には再生時の温度が538℃以下ではFeSO4を生成し、これ
が脱硫時にFeSO4+4/3H2SFeS+4/3H2O+4/3SO2なる反
応で二酸化硫黄(SO2)を発生する。また、硫黄分を吸
着した剤を再生する際に酸素等の酸化性ガスにより、吸
着した硫黄はSO2として放出され、再生ガスを再度還元
塔等の処理装置で炭素,水素等と接触し還元した後、ク
ラウス反応等により担体硫黄として排出する。すなわち
還元塔や炭素,水素等の還元剤を必要とする。
〔発明が解決しようとする課題〕
すなわち再生ガスを還元塔と称される塔で炭素や水素
と下記(1),(2)の反応により、硫黄や硫化水素に
変換する必要がある。
SO2+C=CO2+S …(1) SO2+3H2=2H2O+H2S …(2) この還元反応は700℃以上の温度が必要であり、かつ
比較的長い反応時間を要する。還元反応によりSO2をS,H
2Sに変換した後、これらのガズを冷却しSを除いた後、
未反応SO2とH2S等は高温クラウス,低温クラウス反応器
で下記(3)の反応によりSを除く。
このように固定層方式は精密な脱硫が可能である反
面、再生ガスの処理に還元塔や高温,低温クラウス反応
器、さらに排出ガス処理器等が必要となり、運用性に問
題がある。
また特開昭60−71690号公報に記載された低硫黄含有
石炭ガス化ガスの製造方法も乾式法の一方式で、鉄を主
成分とする粒径10μm以下の脱硫剤と粗ガスを400〜800
℃の温度帯域で接触させ、粗ガス中の硫化物を脱硫剤中
に固定(反応吸着)し、分離するものである。この方式
は湿式法に比べ有益であるが、(1)使用後の脱硫剤の
無害化処理がなされていない、(2)精製後のガス中の
硫黄濃度が高く、直接精製ガスとして利用するには適用
範囲が限定される等の問題がある。
さらに特開昭60−104188号公報に記載された石炭ガス
化プロセスは、前記の特開昭60−71690号公報での課題
である使用後の廃棄脱硫剤をガス化炉の高温部に投入
し、廃棄剤の処理を不用にすると共に、ガス化炉でのス
ラグの排出を円滑にしている。しかし、この方法では、
脱硫剤の大部分は再生してくり返し使用し、使用に耐え
ない廃棄脱硫剤をガス化炉で処理するもので、特開昭60
−71690号公報での問題の全面的な解決にはなつていな
い。また、くり返し使用できる脱硫剤と廃棄すべき脱硫
剤の分別が流動層以外の反応装置では困難が伴うという
問題を有している。
他、特開昭59−69149号公報,米国特許第4,490,479、
4,272,400号には油中のS分を硫化水素として分離する
水素化脱硫用触媒が開示されているが、本発明のように
硫化水素含有ガスから硫化水素を吸着し除去する脱硫剤
は開示されていない。
また、米国特許第3,928,238号には排ガス中の未燃分C
Oを酸化してCO2とする酸化触媒が開示されているが、本
発明の脱硫剤は開示されていない。
以上の如く、従来技術は脱硫時に二酸化硫黄を発生す
ること、使用後の脱硫剤を再生する場合には酸素による
酸化再生であり還元塔による還元工程を必要とする問題
があつた。
本発明の目的は、脱硫剤の再生時には硫化水素と二酸
化硫黄を同時に発生させることにより還元工程を用いる
ことなく再生を可能にする脱硫剤,脱硫方法,脱硫装置
及びそれを用いた石炭ガス化システムとその発電システ
ムを提供するにある。
本発明の他の目的は、粗ガスに対して精密脱硫を行な
えると共に、脱硫剤の再生に際し、還元工程及びクラウ
ス反応器を不用にして運用性の優れた脱硫方法及び石炭
ガス化システムとその発電システムを提供せんとするも
のである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、酸化物からなる多孔性担体に担持されたモ
リブデン及びタングステンの少なくとも1種の酸化物か
らなる第1成分と、該第1成分の表面に主に担持された
マンガン,コバルト及びニツケルの少なくとも1種の酸
化物からなる第2成分とを有することを特徴とする脱硫
剤にある。
本発明の酸化物からなる多孔性担持体には酸化チタ
ン,アルミナ及びシリカ等が使用可能である。特に酸化
チタンが好ましい。
第1成分としてMo及びWの1種以上からなる酸化物が
使用されるが、Moの酸化物が好ましい。第1成分の含有
量は金属分として脱硫剤の金属分に対し原子比で5〜25
%とすることが好ましい。第1成分と第2成分との金属
分としての比率は原子比で1:5〜5:1が好ましい。この範
囲では脱硫率が95%以上得られる。この比率として1:6
となると脱硫率は向上するが、再生時にH2S量が減する
傾向がある。
第2成分としてMn,Co及びNiの1種以上からなる酸化
物が使用される。その含有量は金属分として脱硫剤の金
属分に対して原子比で5〜25%とすることが好ましい。
この第2成分は面心立方格子構造をとり、第1成分の近
接原子間距離よりも小さいイオン直径を持つ金属酸化物
の1種以上が選ばれる。
本発明は、酸化物からなる多孔性焼結体担体に、モリ
ブデン及びタングステンの少なくとも1種の化合物から
なる第1成分を有する溶液を含浸させ酸化雰囲気中で加
熱し前記第1成分を焼成した後、次いでマンガン,コバ
ルト及びニツケルの少なくとも1種の化合物からなる第
2成分を有する溶液を前記第1成分を含有する前記担体
に含浸させ酸化雰囲気中にて加熱し前記第2成分を焼成
し、該第2成分は前記第1成分の表面に主に担持されて
いることを特徴とする脱硫剤の製造法にある。
第1成分及び第2成分における焼成温度は脱硫性能上
からいずれも500〜600℃が好ましい。特に、520〜580℃
が好ましく、540〜560℃がより好ましい。これらの第1
及び第2成分はいずれも担体と固溶体を形成せず、個々
の酸化物として担体表面に結合しているようにしなけれ
ば、各成分における良好な硫化反応は生じないし、再生
に際しても硫化水素と二酸化イオウが生成されない。従
つて、出来るだけ低い温度での焼成が好ましい。本発明
の脱硫剤は再生時に二酸化イオウは硫化水素の約2.3倍
生成される。好ましくは二酸化イオウは硫化水素の0.5
〜10倍の範囲で生成されるのが好ましい。
本発明は、硫化水素ガスを含有する還元性高温ガス
を、酸化物からなる多孔性担体に担持されたモリブデン
及びタングステンの少なくとも1種の酸化物からなる第
1成分と、該第1成分の表面に主に担持されたマンガ
ン,コバルト及びニツケルの少なくとも1種の酸化物か
らなる第2成分とを有する脱硫剤に接触せしめ、前記硫
化水素を硫化物の形で前記脱硫剤に吸着させることを特
徴とする硫化水素含有ガスの処理法にある。還元性高温
ガスは300〜600℃で脱硫剤と接触させるのが好ましい。
そして、上述の如く硫化水素を吸着した脱硫剤は酸化
雰囲気中で加熱し再生することができる。この再生に際
し、硫化水素と二酸化イオウを形成させ、これを還元す
ることなくクラウス反応させるものである。再生する温
度は脱硫剤を300〜600℃で酸化性ガスに接触させるのが
好ましい。
本発明は、前述した脱硫剤に、硫化水素を含有する還
元性高温ガスを接触せしめ、前記硫化水素を硫化物の形
で前記脱硫剤に吸着除去した後、該硫化物の形で吸着し
た脱硫剤を酸化雰囲気中で加熱して生成された硫化水素
と二酸化イオウとを還元するこなく酸化物系触媒に接触
させ、クラウス反応後、冷却して液体のイオウを形成す
ることを特徴とする硫化水素含有ガスの処理法にある。
このようにイオウを単体として除去した排ガスは再び硫
化水素含有の発生源にもどすことができる。
本発明に係る硫化水素含有ガスの発生源として石炭を
高温加圧下でガス化し、発生した水素,一酸化炭素,硫
化物を含む生成ガスの処理に本発明の脱硫剤を使用する
ことができる。
本発明は、化石燃料をガス化炉でガス化して発生した
高温の粗ガス中から硫黄化合物を除去する高温乾式脱硫
方法において、第1段階で粗ガスと第1脱硫剤とを接触
させ、この接触工程後の固体部分は前記ガス化炉に返送
し、第2段階で前記第1段階での処理を経た粗ガスと第
2脱硫剤とを接触させて粗ガスを精製し、使用後の該第
2脱硫剤に酸化剤を使用させて再生する際に生じる廃ガ
スを前記ガス化炉に返送し、該ガス化炉よりスラグと共
に硫黄化合物を排出するものである。
本発明における脱硫塔に用いられる第2脱硫剤として
前述の脱硫剤を使用することができるものである。
本発明は、微粉炭を酸化剤によつて還元性燃焼ガスを
生成させるガス化炉と、前記還元性燃焼ガス中に含有さ
れる硫化水素ガスを脱硫剤によつて吸着し、精製ガスを
生成させる脱硫塔と、前記硫化水素を吸着した脱硫剤を
酸化剤により再生し、硫化水素と亜硫酸ガスとを有する
再生ガスを生成する再生塔と、前記再生ガス中の硫化水
素と亜硫酸ガスとを触媒の存在下でクラウス反応させ単
体の硫黄を生成させるクラウス反応塔とを有する石炭ガ
ス化システムにおいて、前記クラウス反応塔より出たガ
スより単体の硫黄を除去したガスを前記ガス化炉に戻す
手段を有し、前記再生ガスを前記クラウス反応塔に入れ
る前に前記再生ガス中の亜硫酸ガスの一部を硫化水素に
変換する還元塔を有しないことを特徴とする石炭ガス化
システムにある。
本発明の石炭ガス化システムは、微粉炭を酸化剤によ
つて還元性燃焼ガスを生成させ該燃焼ガス熱で水蒸気を
生成させる熱回収部を有するガス化炉と、前記還元性燃
焼ガス中に含有される硫化水素ガスを脱硫剤によつて吸
着し、精製ガスを生成させる脱硫塔と、前記硫化水素を
吸着した脱硫剤を酸化剤により再生し、硫化水素と亜硫
酸ガスとを有する再生ガスを生成する再生塔と、前記再
生ガス中の硫化水素と亜硫酸ガスとを触媒の存在下でク
ラウス反応させ単体の硫黄を生成させるクラウス反応塔
と、前記水蒸気を脱塵された前記燃焼ガスによつて更に
加熱する熱交換器と、前記脱硫塔より出た精製ガスによ
つて回転するガスタービンと、前記水蒸気によつて回転
する蒸気タービンと、該ガスタービン及び蒸気タービン
によつて各々発電する石炭ガス化発電システムに適用す
ることができる。
更に、本発明は、微粉炭を酸化剤によつて還元性燃焼
ガスを生成させるガス化炉と、前記還元性燃焼ガス中に
含有される硫化水素ガスを脱硫剤によつて吸着し、精製
ガスを精製させる脱硫塔と、前記硫化水素を吸着した脱
硫剤を酸化剤により再生し、硫化水素と亜硫酸ガスとを
有する再生ガスを生成する再生塔とを有する石炭ガス化
システムにおいて、前記ガス化炉に前記硫化水素と反応
して高温で固体の硫化物を生成する脱硫剤を添加し、前
記硫黄化合物を微粉炭の灰分とともに溶融スラグとして
ガス化炉より除去する手段及び前記再生塔より出たガス
を前記ガス化炉に戻す手段を有し、前記再生ガス中の硫
化水素と亜硫酸ガスとを触媒の存在下でクラウス反応さ
せ単体の硫黄を生成させるクラウス反応塔及び前記再生
ガスを前記クラウス反応塔に入れる前に前記再生ガス中
の亜硫酸ガスの一部を硫化水素に変換する還元塔を有し
ないことを特徴とする石炭ガス化システムにある。そし
て、この石炭ガス化システムは前述のクラウス反応塔を
有しない石炭ガス化発電システムに適用される。
〔作用〕
本発明は酸化モリブデン(MoO3)を酸化チタン担体の
細孔内壁面に担持させた後、酸化コバルト,酸化ニツケ
ル,酸化マンガン等の金属酸化物を前記のMoO3の表面上
に主として形成させることにより、脱硫時にはSO2を生
成せず、再生時にはH2SとSO2を発生する作用があること
を実験により見い出しなされたものである。すなわちMo
O3は二重結合酸素を持つため脱硫時には、その酸素がH2
Sと反応し、3MoO3+H2S3MoO2+H2O+SO2なる反応を起
し、SO2を発生する。本発明は二重結合酸素を安定にす
るために他の金属酸化物を添加し、SO2の生成を抑制し
たものである。添加する金属酸化物は原子価で2価をと
り、第1成分であるモリブデン酸化物のモリブデン原子
とモリブデン原子の近接原子間距離よりも小さいイオン
半径を持つマンガン,コバルト及びニッケルから選ばれ
た面心立方格子構造をとりうる金属酸化物が好ましい。
これらの金属酸化物は二重結合酸素と結びつき、酸化モ
リブデンの表面上をおおう結果、酸化モリブデンの二重
結合酸素と硫化水素との反応が抑制されるものと考えら
れる。このように第2成分で安定化された本発明の脱硫
剤は次のような反応により脱硫が進行する。
MoO3+H2SMoO2・S+H2O …(1) MoO3+H2SMoO3・SH2 …(2) MoO3+3H2SMoS3+3H2O …(3) MoO2+2H2SMoS2+2H2O …(4) また第2成分であるコバルト,マンガン,ニツケルは
酸化モリブデン表面上で存在し、自からも硫化水素と反
応し、脱硫剤として働き、その反応は次のようである。
CoO+H2SCoS+H2O …(5) MnO+H2SMnS+H2O …(6) NiO+H2SNiS+H2O …(7) しかしながら同じ面心立方格子構造を持ち、2価の原
子価をとりうるFe,Cu等の酸化物は以下の反応により、
脱硫時にSO2を発生する。Feの酸化物では再生時にFeSO4
を生成するため、FeSO4がH2Sと反応し、FeSO4+4/3H2S
FeS+4/3H2O+4/3SO2となる。またCuOはCuO+H2SCu
S+H2O,CuSは220分で分解し、Cu,1/2S2を発生する。発
生したS2は3/2S2+2H2O2H2S+SO2となりSO2を発生す
る。すなわち鉄の酸化物と銅の酸化物を第2成分として
添加するのは好ましくない。
なお本発明の脱硫剤は、単にMoとNi,Co,Mnの金属酸化
物を混合したのではSO2の発生は抑制できず、製造時に
おける手順が重要となる。脱硫剤の製造を2通りの方法
で検討した。1の方法では酸化チタンの担体にまずNi,C
o,Mnの金属塩を含浸し、大気中で乾燥,焼成して担体の
細孔内壁に金属酸化物を担持させた後、Moの金属塩を含
浸し、大気中で乾燥,焼成してMoの酸化物をNi酸化物等
の表面に形成させた。この脱硫剤を用いた脱硫試験では
SO2の発生を抑制できなかつた。第2の方法では酸化チ
タンの担体にまずMoの金属塩を含浸し、大気中で乾燥,
焼成してMoの酸化物を担体である酸化チタンの細孔内壁
面に形成する。その後Ni等の金属塩を含浸し、大気中で
乾燥,焼成して第2成分であるNi等の金属酸化物を第1
成分であるMoの金属酸化物の表面に形成させた。この脱
硫剤を用いた脱硫試験ではSO2の発生は抑制できた。す
なわち本発明の脱硫剤は第2の方法による製造方法によ
つて得られるものであり、酸化モリブデンの表面上を、
第2成分である面心立方格子構造を持つ金属酸化物でお
おうことにより、SO2の発生を抑制できるものである。
また第1成分として酸化モリブデンを用いたが、酸化モ
リブデンはAB3型で二重結合酸素を持ち外殻電子を6個
もつ分子であり、これに類似するWO3,CrO3はMoO3の代替
として適用可能であるが、CrO3は250℃で分解しCr2O3
なるため適さない。
次に第2の方法による本発明の脱硫剤を硫化水素等を
含有するガスと450℃で接触させ、硫化した後、この脱
硫剤を窒素,水蒸気,酸素の混合ガスで再生した。再生
ガス中には窒素,水蒸気の他の硫化水素とSO2が存在
し、従来の再生法、特開昭59−223792では同様の再生に
おいて再生ガス中には硫化水素は含有されず硫化物とし
てはSO2のみ存在した。この違いは本発明になる脱硫剤
では前述したような反応が生じるためと考えられる。即
ち、脱硫時に硫化物を吸着する場合には第1成分である
Mo酸化物が前述の(2)式によりMoO3・SH2の形態で吸
着され、再生時には水蒸気によりMoO3・SH2+H2O=MoO3
+H2O+H2S、あるいは第2成分であるNi等の硫化物と酸
素の反応 で発生する熱により、MoO3・SH2が熱分解を起し、MoO3
とH2Sになつた結果であり、再生時に硫化水素とSO2が存
在することが本発明の特徴である。
本発明の脱硫剤をさらに詳しく述べれば、その担体に
はチタニウムテトラエトキシドのエタノール溶液に水と
アルコールの混合溶液を加えて加水分解により酸化チタ
ンの水和物を生成し、これをバインダーと混練し成形し
て後700〜800℃で1時間焼成した酸化チタン(TiO2)を
用い、第一成分であるモリブデン酸アンモンのpH調整し
た水溶液をTi原子に対し、Mo原子の比で少なくとも5%
から25%の範囲で含浸させ、110℃で0.5時間乾燥した
後、500〜600℃で焼成する。その後第二成分である硝酸
コバルトの水溶液をTi原子に対し、Co原子の比で少なく
とも25%から5%の範囲で含浸させ、110℃で0.5時間乾
燥した後、500〜600℃で焼成する。なお他の第二成分で
あるニツケル,マンガン等もコバルトの含浸と同様に硝
酸塩の水溶液の状態で含浸させる。ここで第一成分,第
二成分の合計量の含浸量の範囲は担体の含浸能力から決
めたものでこれ以上の含浸では担体の細孔が各成分元素
粒子で充満され、硫化水素の拡散が阻害される。このよ
うにして製造した脱硫剤は担体の細孔内に数百Å程度の
微細な粒子となつて第一の成分表面上に第二の成分が形
成されている。すなわち第一の成分を第二の成分があた
かもおおうがごとく二重結合酸素と結びつき担体中に存
在する結果、両成分間での相互作用を起し、脱硫反応時
に従来の例ではSO2を発生していたものが、第二成分の
コバルト,ニツケル,マンガンの作用により抑制された
ものと考えられる。
しかしながらこの第二成分において、銅,バナジウム
を添加した場合にはSO2の発生を抑制することができな
かつた。また鉄を添加した場合には第1回目の脱硫では
抑制は可能であつたが、再生温度538℃以下では再生時
に硫酸鉄を一部生成し、再度の脱硫時には脱酸鉄(FeSO
4)と硫化水素(H2S)がFeSO4+4/3H2S=FeS+4/3H2O+
4/3SO2の反応を起し、脱硫中にSO2の発生が起つた。す
なわち鉄を添加する場合には再生時に硫酸鉄を生成させ
ない事が必要であり、そのためには再生の温度を540℃
程度以上にし、かつ再生時には充分な酸化雰囲気として
硫酸鉄の抑制をはかる必要がある。
本発明の吸着剤は再生して再使用されるものである
が、その再生時には水蒸気と空気からなる混合ガス、あ
るいはこれら単独ガスや不活性ガスに混合した酸化剤、
たとえば炭酸ガス等に水蒸気や酸素を混合したガスを用
いる。再生時にはこれら混合ガスを300〜600℃程度の温
度範囲において硫黄を吸着した脱硫剤と接触させる。そ
の時の反応は、酸化モリブデンと酸化コバルトを成分と
した脱硫剤においては、酸素によりまずCoS+3/2O2=Co
O+SO2の反応が起り、多量の熱を発生すると同時に脱硫
時の温度よりも再生時の温度が高くなり、MoO3・SH2
熱分解あるいは水蒸気と反応して(MoO3・SH2+H2O=Mo
O3・OH2+H2S)MoO3やMoO3・OH2となる。この時、再生
ガス中にはH2SとSO2が存在する。これは従来再生時には
SO2のみが再生ガス中に存在するのと異なる点である。
すなわちSO2のみの場合、再生したガスを処理するのに
はSO2をH2や炭素で還元して(SO2+3H2=H2S+2H2O)H2
Sを発生させ、SO2+2H2S=2H2O+3Sの反応で硫黄を分離
している。すなわち従来法では還元する必要があるのに
対し、本発明の脱硫剤は再生時にH2SとSO2を同時に発生
するために、再生ガスを直接クラウス反応(SO2+2H2S
=2H2O+3S)させることができ、硫黄として分離するの
に還元工程が不要となる。
本発明の脱硫剤を用いて石炭ガス化で発生した高温ガ
スの脱硫をするには、脱硫塔内に粒状あるいは板状,ハ
ニカム状に成形された脱硫剤を充填し、被処理ガスを温
度300〜600℃好ましくは400〜500℃、空間速度(標準状
態換算)1000〜20000h-1好ましくは5000〜10000h-1で流
通させる。また脱硫剤の再生反応は、温度300〜600℃好
ましくは450〜600℃で行い、かつ吸着反応時よりもいく
らか高めにするのが望ましい。またその再生時の空間速
度は1000〜20000h-1好ましくは5000〜10000h-1とするの
が望ましい。
再生により発生したガスはクラウス反応により硫黄分
を除去した後、再生脱硫工程より上流側の硫化水素を発
生する還元雰囲気にもどす。これはクラウス反応では再
生により発生したガス中の硫黄化合物を100%除去でき
ない。すなわちクラウス反応塔の出口ガス中にはSO2
硫化水素等が残つており、これらはガス化炉等の硫化水
素を発生する還元雰囲気中に再度もどすことにより、SO
2を還元して硫化水素に転換されるので、クラウス反応
塔の出口ガスの処理を不用にすることができる。
運用性と精密脱硫の両者を満足させるため、本発明で
は2段階の脱硫システムとした。すなわち第1段階では
例えばCaCO3,Ca(OH)等のカルシウム系の微粒子を第
1脱硫剤として高温のガス化炉に供給し、分解してCaO
とし、該ガス化炉内あるいは粗ガスと気流輸送状態で同
伴しつつ粗ガス中のH2S,CoS,CS2等の硫黄化合物と反応
させCaSを生成させる。CaS,未反応CaO及びガス化炉で副
生する未反応石炭(チヤー)等の固形部分を含む粗ガス
は固形分離器で固形部分と粗ガスに分離する。分離した
固形部分は新たに設けた酸化塔で酸化してCaSをCaSO4
し、チヤーをCO2等のガス及び灰分に変換した後、酸化
塔で生成したガスと共にガス化炉に戻し、あるいはこの
変換をせず直接にガス化炉に戻し、CaSO4,灰分等をガス
化炉内の溶融灰(スラグ)中に溶解し固溶体としてガス
化炉から排出する。
第1段階で900℃〜1300℃程度の高温度下でCaOの微粉
末と硫黄化合物を気流層で接触させて脱硫すれば、ガス
化炉の負荷変動に対しては該ガス化炉に投入する第1脱
硫剤すなわちカルシウム系の微粒子量を制御するだけで
よく、負荷変動に対する対応性が向上する。また粗ガス
中から吸着分離した硫黄分はCaSO4あるいはCaSとして粒
子中に固定した後、ガス化炉内でスラグ中に溶解し、該
ガス化炉底部の水槽へ流下して冷却後系外に排出するた
め無公害物として処理できる。
この第1段階の脱硫を上記の如く気流層反応とした場
合、脱硫率は60〜90%程度であるため第1段階の脱硫後
の粗ガスを再度、第2段階の脱硫塔に導入する。第2段
階の脱硫塔にはコバルト,亜鉛,鉄系の酸化金属を担持
した第2脱硫剤を充填した固定層を形成して粗ガスを導
入する。固定層では固気の接触が良好であるため、導入
された粗ガス中の硫黄化合物の95%以上が除去される。
すなわち2段階方式の脱硫では99%以上の脱硫が可能で
ある。この第2段階で使用する第2脱硫剤は脱硫される
粗ガスとの間に平衡脱硫率が存在するため、目的に応じ
て該第2脱硫剤の種類を選択する。
第2段階での第2脱硫剤は再生して再使用するが、再
生時に発生する廃ガスは全量を還元雰囲気であるガス化
炉に戻し、該ガス化炉内で前記(2)式の反応によりH2
Sに変換する。すなわち従来法のように再生する廃ガス
を処理するための還元塔,クラウス反応塔等を用いるこ
となく、ガス化炉内でSO2をH2Sに還元するのが本発明の
特徴の一つである。
このように第2段階で吸着した硫黄分を再生によりSO
2とし、再度ガス化炉に戻すことによりH2Sに還元される
が、このH2Sは第1脱硫剤によりCaS等の形で脱硫され、
前記の如く、固形分離された固体部分となつて、ガス化
炉内のスラグ中に溶融して系外に排出される。また、第
2段階での脱硫を製品ガス中の硫黄分濃度を目的に応じ
て低減すること、すなわち精密脱硫することにあり、こ
こで硫黄分を系外に排出するための処理装置(還元塔,
クラウス塔等)を接続しないことが運転性を著しく向上
させることになる。本発明では実質的な脱硫(粗ガス中
の硫黄分の系外への排出)は第1段階での第1脱硫剤で
行なつていると言える。
本発明はこれらの石炭ガス化システム及び石炭ガス化
発電システムにおいて、脱硫塔に用いられる脱硫剤とし
て前述の脱硫剤を用いることによつて達成される。
実施例1 チタニウムテトラエトキシドのエタノール溶液に水と
アルコールの混合溶液を加えて加水分解し、酸化チタン
の水和物を生成する。これを乾燥後、粉砕してバインダ
ーと混練後打錠機にて直径6mm,長さ6mmの円柱状に成形
し、700℃で1時間焼成して酸化チタンの多孔性の担体
を得た。担体の空孔は直径0.01〜1μm程度であつた。
この担体に第一成分であるモリブデン酸アンモンの水溶
液を担体の酸化チタンのTi原子に対しMo原子の比で25
%,15%,5%と3通りで含浸させ、それぞれ110℃で0.5
時間乾燥後、酸化雰囲気中で550℃で2時間焼成した。
これを常温まで冷却後、第二成分である硝酸コバルトを
担体のTi原子に対しCo原子の比で5%,15%,25%含浸さ
せ、それぞれ110℃で0.5時間乾燥後、550℃の酸化雰囲
気中で2時間焼成し脱硫剤を得た。これら三種類の脱硫
剤の組成はTi:Mo:Co原子比が70:25:5,70:15:15,70:5:25
である。
脱硫剤の性能試験は次のように行つた。反応管は石英
製で内径10mmであり、外部より電気炉で加熱される。反
応管の中央部に粒径0.5〜1mmに破砕された脱硫剤5gを充
填した。体積比でH2S1.03%及びN2残部からなるガスを
空間速度10000h-1で流通し、反応管出口でのガス組成を
ガスクロマトグラフイで分析した。
脱流剤に吸着させる反応時の温度及び各脱硫剤での脱
硫能力を第1表に示す。
表に示すように、ガス温度が300〜600℃で脱硫剤に吸
着されるS量が多い。特に第2成分の含有量が15%を越
えると10g以上のSが吸着する。吸着されるS量は脱硫
剤100g当りの増量によつて表わしたものである。
表に示すように、いずれの脱硫剤においても脱硫後の
排ガス中のSO2濃度は検出限度の5ppm以下であつた。脱
硫剤を再生するに当つては、体積比で酸素2.1%,水分1
5%を含有する窒素ガスを用い空間速度5000h-1で流通し
た。再生温度は二通りとした。第一の方法は吸着させる
温度より30〜60℃高い温度での再生、第二の方法は吸着
させる温度に無関係に580〜600℃での再生である。これ
らいずれの再生においても出口ガス中にはH2SとSO2が存
在し、また反応管出口部に設置した冷却部でイオウの析
出が確認された。尚、この再生ガスをアルミナ系の触媒
を有するクラウス塔に送り、温度300℃付近で最初のク
ラウス反応を行い、次いで同様に再生ガス温度を200℃
付近に低めてクラウス反応を行い液状のSを得ることが
できた。本発明の脱硫剤を用いることにより再生ガスを
還元することなく直接クラウス反応を行うことができる
ことが分かつた。
実施例2 実施例1と同様にして製造した担体に、第一成分であ
るモリブデンを実施例1と同様に含浸させ、それぞれ焼
成後、第二成分である硝酸ニツケル,硝酸マンガンを含
浸させ乾燥,焼成した脱硫剤について、実施例1に示し
たガス組成をもつガスを空間速度10000h-1で流通し、吸
着時の出口ガス中のSO2濃度を測定した。吸着させる温
度200〜600℃の範囲において出口SO2濃度はガスクロマ
トグラフイの検出限界(5ppm)以下であつた。
また吸着後の脱硫剤を実施例1と同様な条件で再生し
た結果は再生ガス中にはH2SとSO2が存在し反応管出口部
に設置した冷却部でイオウの析出が確認された。本実施
例においても再生ガスを直接クラウス塔に送り、単体の
Sを形成することができる。
実施例3 アルミナの平板担体モリブデンを減圧下で蒸着し、大
気圧下で焼成した後、ニツケルを減圧下で蒸着して、大
気圧下で焼成し、板状脱硫剤を得た。この脱硫剤を用い
て実施例1に示す方法で脱硫試験を行つた。その結果、
脱硫時にはSO2の発生はほとんどなく、また、実施例1
と同様の方法によつて再生したが再生時にはH2SとSO2
発生がみられ、反応管の出口部の冷却域にはイオウの析
出が確認できた。
比較例 実施例1と同様にして製造した担体に、第一成分であ
るモリブデンを実施例1と同様に含浸させ、それぞれ焼
成後、第二成分である硝酸銅,硝酸バナジウムを含浸さ
せ乾燥後、焼成した脱硫剤について、実施例1に示すガ
ス組成をもつガスを空間速度10000h-1で流通し、吸着時
の出口ガス中のSO2濃度を測定した。吸着温度により差
はあるがいずれの剤とも100〜数千ppmのSO2が発生し
た。
実施例4 図は本発明の脱硫剤を石炭ガス化発電システムの脱硫
塔に使用した場合のフロー図である。粉砕された石炭は
酸素不足状態で燃焼させ、水素,一酸化炭素及び硫化水
素を含む還元性ガスを形成させるガス化炉1に空気とと
もに送られる。ガス化によつて得られたガス中には硫化
水素を含むので、実施例1又は実施例2で製造された脱
硫剤が充填された脱硫塔2′に送り、該塔で実施例1と
同様の温度で脱硫剤に硫化水素を硫化物として吸着し、
実質的にSO2ガスを含まない精製ガスを製造する。硫化
水素が吸着除去された精製ガスは他の燃料等として用い
られる。一方、硫化水素を吸着した脱硫剤が充填された
脱硫塔2には水蒸気と空気とを送ることにより実施例1
と同様の温度で加熱され使用後の脱硫剤が再生される。
従つて、脱硫塔2,2′は交互に脱硫と再生が行われ使用
される。再生の際には二酸化イオウ,硫化水素,窒素及
び水蒸気の高温ガスが得られるので、冷却器4によつて
冷却し、所定の温度でアルミナ系触媒を有するクラウス
塔3に送られ、前述のクラウス反応によつて蒸気のSと
なるが、冷却器4′によつて液状の単体のSが得られ
る。クラウス塔3は、300℃付近で最初に行う一段目
と、次いで、200℃付近で行うクラウス塔3′の2段有
する。クラウス塔3′より出たガスは冷却器4″を経て
再びガス化炉1の反応部に戻すことによりクローズドで
Sを除去することができる。
本実施例における石英ガス化発電システムにおいて
は、石炭ガス化炉1より出たガスは熱交換器5及び集塵
機6を通り脱硫塔2′に送られる。熱交換器5とガス化
炉1の内壁に設けられた管により高温高圧の水蒸気が生
成される。この水蒸気はガスタービン7′より排出され
る排ガスによつて熱交換器5′により更に加熱され、蒸
気タービン7に送られタービンを回転し、発電機により
電力が得られる。
石炭ガス化炉1では微粉炭を論理燃焼に必要な酸化剤
より低い燃焼化で燃焼させることによりガス化され、還
元性の燃焼ガスが生成される。石炭ガス化炉1はこの燃
焼ガスを生成するガス化部と、その上部に設けられた熱
回収部及びその下部のスラグ回収部を備えている。熱回
収部の炉内壁には配管8が設けられ、還元性燃焼ガスに
よつて加熱され、高温高圧水蒸気を得ることができる。
加熱された高温高圧水蒸気は更にガス化炉1から出たガ
スによつて加熱される熱交換器5によつても高温高圧水
蒸気を得ることができる。この配管8は炉内壁全周に設
けられる。
熱交換器5より出た燃焼ガスは集塵器6によつてダス
トが除去され、その後脱硫塔2′に送られる。又、燃焼
部では約1600℃,熱回収部出口付近では約900℃とな
る。熱交換器5に送られるガスは集塵機6′によつてダ
ストが除去される。除去されたダストは再びガス化炉1
の燃焼部に戻される。
前述の如く、本発明の脱硫剤を使用することにより、
再生時において脱硫塔2より出たガスを還元塔9を通さ
ずに直接クラウス反応塔4に送ることができる。たとえ
還元塔9を通したとしても還元塔9に使用される還元剤
としての活性炭の消耗を少なくすることができる。
前述の脱硫塔2′を出た精製燃焼ガスは燃料として使
用される。本実施例ではガスタービン7′の燃料として
使用される。脱硫塔2′からの精製ガス温度は300〜600
℃の範囲で、その温度の精製ガスがガスタービン7′の
燃焼器に入り、更に高温ガスとなつてタービンを回転す
る。そして、それに接続された発電機によつて電力が得
られる。
以上の如く、本実施例によれば、脱硫時にSO2の発生
が抑制され、その発生量はほとんど検出できない痕跡程
度のものであり、更に脱硫剤の再生時にはH2SとSO2を同
時に発生させることができるので、再生ガスの処理に必
要な還元工程を経ずに直接クラウス反応を行うことがで
きるので、還元塔が省略できる多きなメリツトがある。
実施例5 石炭のガス化炉1内には供給管より原料の石炭とガス
化剤としての空気及び脱硫剤投入管19よりカルシウム系
の第1脱硫剤が供給される。ガス化炉1内ではH2やCO等
の生成ガスと第1脱硫剤が接触し、生成ガス中の硫化物
が第1脱硫剤中にCaS等となつて固定される。固形部分
と生成ガスはさらに接触しながらガス輸送管を通り集塵
器6′で固形部分は粗ガス中から分離され、固体移動管
を移動して酸化塔10に入る。酸化塔10では系外から酸化
剤供給管21を介してN2とO2からなる酸化剤を導入して固
形部分を酸化して硫酸塩にすると同時にその固形部分を
溶融して硫酸塩溶融物を酸化塔10から排出し、一方、燃
焼ガスをガス化炉1に戻す。あるいは同図の如く酸化塔
10での生成物質はすべて戻り管からガス化炉1内に戻
し、固形部分をスラグ中に溶融し、スラグ排出管20から
排出する。
一方、集塵器6′を通過した粗ガスは管を通り、弁13
を通過して固定層の脱硫塔2′に至る。ここで粗ガスは
充填された第2脱硫剤と接触して精密に脱硫された後、
弁14を通つて精製ガス輸送管からプラントを構成する後
続機器(本実施例ではガスタービン)に送られる。
固定層の脱硫塔2′は連続運転を可能にするため、2
塔以上を設置し、脱硫中でない他の脱硫塔では再生を行
なう。すなわち弁13′と弁14′を閉じ集塵器6からの粗
ガスの流入を停止した脱硫塔2には再生ガス供給管から
弁16′を介して再生用ガスである酸素含有の酸化剤を供
給し、第2脱硫剤に吸着した硫黄分をSO2に酸化して廃
ガスとして除去し、弁17′を通して、該廃ガスをガスリ
サイクル管を介してガス化炉1に戻す。なお、逆に固定
層脱硫塔2′内の第2脱硫剤を再生する場合には、弁1
3,14を閉じ、弁16,17を開けて再生ガス供給管から再生
用ガスを供給すればよい。本実施例ではクラウス塔3,
3′を通さずに弁18′を開放して直接戻すものである。
更に、本実施例においても、精製ガスはガスタービン
7′の燃焼に用いられ、ガスタービンを回転することに
よつてそれに接続された発電機によつて電力を得るとと
もに、ガス化炉1及び熱交換器5,5′で得られる水蒸気
によつて蒸気タービン7を回転することによつてそれに
接続された発電機により同様に電力を得るものである。
次に本発明の実施形態について詳細に説明する。石炭
ガス化炉1内に微粉砕された石英とガス化剤である空気
あるいは酸素富化空気を供給し、該炉内で温度1300〜16
00℃程度の範囲で石炭を部分燃焼してCO,H2,CO2,H2S等
のガスを生成する。それと同時に、石炭中の灰分を溶融
してガス化炉1底部のスラグ排出管20から系外にスラグ
を排出する。生成ガス及び未反応石炭(チヤー)の混合
した高温度の粗ガスは石炭ガス化炉1内を上昇しつつ熱
回収された後、ガス化炉1の頂部から出て行く。
ここで第1段階の第1脱硫剤である高温度でH2SやCO
S,CS2等と反応する物質、たとえばCa系,Fe系,Cu系,Zn系
あるいはドロマイト等の微粉末をそれ自身が溶融しない
温度以下のガス化炉1内域に供給する。この微粉末はガ
ス化炉1内のガス流速で充分に飛散することのできる粒
子径とし、その供給量はガス化炉1内の硫黄量に対し、
化学量論値の0.5〜5倍、好ましくは1.0〜2.0倍とす
る。供給された微粉末の第1脱硫剤が例えばCa系のCaCO
3では融点が1300℃程度であり、これよりも低い温度雰
囲気域に供給した第1脱硫剤は熱により分解してCaOと
なり、ガス化炉1内で発生したH2S,COS,CS2等と反応し
て主としてCaSとなり、粗ガス中の硫黄化合物を微粉末
中すなわち第1脱硫剤中に固定する。CaSを含む微粉末
は粗ガスに同伴されて集塵器6′に至る。ここでCaCO3
の分解温度は825℃であるため、有効に反応させるには9
00℃〜1300℃の温度範囲が好ましい。一方、負荷の変
動、すなわち石炭処理量の変化に対しては、供給する微
粉末の第1脱硫剤の量を石炭処理量あるいはガス化炉1
内の硫黄濃度に見合わせて変化させる。
集塵器6′では粗ガス中のチヤー、CaS,CaO等の固形
部分を分離する。分離した固形部分は直接ガス化炉1に
戻し、前記スラグ中に溶解して炉外に排出する方法でも
よいが、次の理由により以下の方法が望ましい。すなわ
ち、集塵器6′で捕集した固形部分を酸化塔10で酸化処
理する。第1脱硫剤にCa系のものを用いた場合には脱硫
後の剤は主にCaSとなる。このCaSは融点が2400℃以上
で、スラグ中へは溶融することなく異物混入の状態で封
じ込められるため、このスラグを廃棄処分したときにS
が溶出するおそれがある。Fe系,Cu系,Zn系の第1脱硫剤
においてもFeS,Cu2S,ZnS等の硫化金属の化合物の場合に
は同様にスラグ中よりSの溶出が懸念される。そこで、
脱硫後の剤を酸化することにより、CaSO4,FeSO4,ZnSO4,
CuSO4等の比較的安定な、かつ溶融点の低い物質に変化
させることが有効である。特にCaSO4では融点は1450℃
でありCaSに比べ約950℃も低下でき、ガス化炉1内で容
易に溶融してスラグ中に固溶体の状態で溶かし込める。
Fe系,Cu系,Zn系の第1脱硫剤では硫酸塩の形態にすると
融点は1000℃以下となるため、酸化塔10内でこれらのも
のを溶融し、水槽中に排出することも可能である。
一方、集塵器6′を出た粗ガス中には硫化水素等の硫
黄化合物がいまだ含まれている。この粗ガスは固定層の
脱硫塔2′に導入し、該塔2′内に充填した第2脱硫剤
と接触させて脱硫された後、精製ガス輸送管から後続に
送られる。この脱硫塔2′には金属酸化物を担持した反
応吸着剤、例えばTiO2の担体に酸化コバルト,酸化ニツ
ケル,酸化モリブデン,酸化鉄(FeO,Fe2O3, Fe2O4)等を担持した第2脱硫剤が充填されている。こ
の第2脱硫剤の選択は最終の精製ガスの用途に応じて行
なう。すなわち数十ppmの濃度にまで硫化水素を低下さ
せればよい場合には実施例1のモリブデン,タングステ
ンの少なくとも1種と、その上にコバルト,ニツケル,
マンガンの酸化物の少なくとも1種とを担持した第2脱
硫剤を使用し、1ppm程度まで低下させる場合にはZn系の
第2脱硫剤を用いる。
固定層の脱硫塔は通常2塔以上を用い、脱硫と再生を
交互に行ない、第2脱硫剤をくり返して使用する。第1
図では脱硫中の脱硫塔2′と再生中の脱硫塔2を示して
いる。第2脱硫剤の再生は、弁13′,弁14′を閉にし
て、粗ガス導入を停止した後、弁16′と弁17′を開にし
て、再生ガス供給管から窒素と酸素の混合ガスあるいは
窒素,酸素と水蒸気の混合ガス等の酸化剤を供給し、再
生する脱硫塔2内の第2脱硫剤を酸化することにより、
該第2脱硫剤に吸着している硫黄分をSO2にして脱着す
る。この再生時には第2脱硫剤に担持した金属種及び再
生時の温度,圧力,再生用ガス組成により該第2脱硫剤
が硫酸塩の化合物を生成する条件が存在するもので、こ
れを生成しない、すなわち第2脱硫剤から硫黄がSO2
して分離される濃度範囲に窒素と酸素及び水蒸気量を調
整したものを再生用ガスとする。再生している脱硫塔か
ら出た廃ガスは全量をガスリサイクル管を通し、ガス化
炉1に戻す。高温度のガス化炉1内に戻された廃ガス中
のSO2はガス化炉1内の炭素や水素で還元されてSx,H2S,
COS,CS2になる。すなわち第2脱硫剤の再生による廃ガ
スをガス化炉1の還元雰囲気に戻すことにより、還元塔
やクラウス反応塔が不用になり、運用性が著しく向上す
る。尚、廃ガスを直接ガス化炉1に戻せるのは第1段階
で発生した粗ガス中の硫黄化合物を除去しているからで
ある。
実験例 74μm以下80wt%の微粉炭を50kg/hで図に示すガス化
炉1に供給し、ガス化剤として空気を135Nm3/hで供給し
て1600℃でガス化しつつ、第1段階での脱硫を行なわせ
る第1脱硫剤としてCaCO3を940g/hでガス化炉1上部の1
200〜1300℃の温度域に供給した。
集塵器6′にはサイクロンとバブフイルタを用い固形
部分とガス部分とを分離し、分離した固形部分は酸化塔
10で酸化剤として酸素と窒素の混合ガスを供給管21より
供給して酸化した後、ガス化炉1に戻した。一方集塵器
6′を通過した粗ガスは固定層の脱硫塔2′内を通し精
密脱硫を行なつた。また再生工程の他の脱硫塔2には窒
素と酸素の混合ガスを再生用の酸化剤として送り、廃ガ
スはガス化炉1の還元域に戻した。なお固定層の脱硫塔
2′には酸化チタン担体に酸化コバルトを担持した第2
脱硫剤を充填し、温度は450℃,空間速度は10000h-1
運転し、再生工程の脱硫塔2には酸素濃度3%のガスを
空間速度10000h-1で供給した。この結果、ガス化炉1出
口部のガス中に硫黄濃度874ppmが集塵器2の出口部では
349ppmに、固定層の脱硫塔2′の出口部では33ppmにま
で低下できた。またガス化炉1から排出したスラグ中に
は2.3%の硫黄分が含まれており、そのスラグの溶出試
験においては硫黄の溶出は認められなかつた。
撚流電池用のガスとして利用する場合には、精製ガス
中の硫黄濃度を0.5ppm以下に低下させる必要がある。こ
の場合には、固定層脱硫塔内の第2脱硫剤として酸化亜
鉛やZnFe2O4の粒子を用いればよい。ただし脱硫レベル
が一層厳しくなるため、前記の二段階方法で脱硫したガ
スをさらに第3段目に設置した亜鉛系の脱硫剤を充填し
た脱硫塔に導き、数十ppmの硫黄濃度を0.5ppm以下に低
下する。すなわち三段階の脱硫方式とするのが良い。
〔発明の効果〕
本発明によれば、硫黄化合物を吸着した脱硫剤の再生
時に還元塔による還元をすることなく直接クラウス反応
を行うことができ、還元塔を省略できる。従つて、本発
明の脱硫剤を用いたガス化炉システム及びそのシステム
を用いたガス化炉発電システムにおいて硫黄化合物の非
常に少ない精製ガスを用いることができ、信頼性の高い
ものが得られる。
更に、本発明によればガス化炉に添加される第1脱硫
剤及び脱硫塔に用いられる第2脱硫剤による二段階脱硫
を行なうため、粗ガスに対して精密脱硫を行なえると共
に、脱硫剤の再生に際し、その廃ガス処理に還元塔やク
ラウス反応塔を必要としないので、運用性の優れた高温
乾式脱硫が可能となり、前述と同様に信頼性の高いシス
テムが得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の石炭ガス化システムとそれを用いた石
炭ガス化発電システムのフロー図である。 1……ガス化炉、2,2′……脱硫塔、3,3′……クラウス
塔、4,4′,4″……冷却器、5,5′……熱交換器、6,6′
……集塵器、7……蒸気タービン、7′……ガスタービ
ン、9……還元塔、10……酸化塔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸室 仁一 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 高橋 貞夫 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 森原 淳 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 山下 寿生 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社 日立製作所日立研究所内 (72)発明者 木田 栄次 広島県呉市宝町6番9号 バブコップ日 立株式会社呉工場内 (72)発明者 植田 和雄 広島県呉市宝町8番地 バブコップ日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 高本 成仁 広島県呉市宝町8番地 バブコップ日立 株式会社呉研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−35821(JP,A)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物からなる多孔性担体に担持されたモ
    リブデン及びタングステンの少なくとも1種の酸化物か
    らなる第1成分と、少なくとも第1成分の表面に担持さ
    れたマンガン,コバルト及びニッケルの少なくとも1種
    の酸化物からなる第2成分とからなり、第1成分の金属
    分の含有量が原子比で5〜25%であり、第2成分の金属
    分の含有量が原子比で5〜25%であることを特徴とする
    脱硫剤。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記第1成分と前記第
    2成分の金属としての比率が原子比で第1成分:第2成
    分=1:5から第1成分:第2成分=5:1の範囲であること
    を特徴とする脱硫剤。
  3. 【請求項3】酸化物からなる多孔性焼結体担体に、モリ
    ブデン及びタングステンの少なくとも1種の酸化物から
    なる第1成分を担持したのちマンガン,コバルト及びニ
    ッケルの少なくとも1種の酸化物からなる第2成分を担
    持したことを特徴とする脱硫剤の製造方法。
  4. 【請求項4】酸化物からなる多孔性焼結体担体に、モリ
    ブデン及びタングステンの少なくとも1種の金属塩を含
    浸したのち500〜600℃の温度で焼成して該担体にモリブ
    デン及びタングステンの少なくとも1種の酸化物を担持
    し、次いでマンガン,コバルト及びニッケルの少なくと
    も1種の金属塩を含浸したのち500〜600℃の温度で焼成
    して前記モリブデン及びタングステンの少なくとも1種
    の酸化物の表面にマンガン,コバルト及びニッケルの少
    なくとも1種の酸化物を担持したことを特徴とする脱硫
    剤の製造方法。
  5. 【請求項5】硫化水素を含有する温度300〜600℃の還元
    性高温ガスを、酸化物からなる多孔性担体にモリブデン
    及びタングステンの少なくとも1種の酸化物からなる第
    1成分を金属分の含有量で5〜25%(原子比換算)担持
    し、該第1成分の表面にマンガン,コバルト及びニッケ
    ルの少なくとも1種の酸化物からなる第2成分を金属分
    の含有量で5〜25%(原子比換算)担持した脱硫剤と接
    触させて、前記還元性ガス中の硫黄分を硫化物の形で該
    脱硫剤に吸着させて該還元性ガス中から硫化水素を除去
    するようにしたことを特徴とする硫化水素含有ガスの処
    理方法。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記還元性高温ガスの
    空間速度を1000〜20000h-1としたことを特徴とする硫化
    水素含有ガスの処理方法。
  7. 【請求項7】硫化水素を含有する還元性高温ガスと接触
    して該ガス中の硫黄分を硫化物の形で吸着した脱硫剤の
    再生方法であって、該脱硫剤が、酸化物からなる多孔性
    担体とその表面に金属分の含有量で5〜25%(原子比換
    算)担持されたモリブデン及びタングステンの少なくと
    も1種よりなる酸化物と、該酸化物の表面に金属分の含
    有量で5〜25%(原子比換算)担持されたマンガン,コ
    バルト及びニッケルの少なくとも1種よりなる酸化物と
    よりなるものにおいて、前記脱硫剤を酸化性雰囲気中で
    300〜600℃の温度に加熱して硫化物を脱着し硫化水素と
    二酸化硫黄を含有する再生ガスを生成するようにしたこ
    とを特徴とする脱硫剤の再生方法。
  8. 【請求項8】硫化水素を含有する温度300〜600℃の還元
    性高温ガスを、酸化物からなる多孔性担体にモリブデン
    及びタングステンの少なくとも1種の酸化物からなる第
    1成分を金属分の含有量で5〜25%(原子比換算)担持
    し、該第1成分の表面にマンガン,コバルト及びニッケ
    ルの少なくとも1種の酸化物からなる第2成分を金属分
    の含有量で5〜25%(原子比換算)担持した脱硫剤と接
    触させて前記還元性ガス中の硫黄分を硫化物の形で該脱
    硫剤に吸着したのち、該脱硫剤を酸化性雰囲気中で300
    〜600℃の温度に加熱して硫化物を脱着して硫化水素と
    二酸化硫黄を含有する再生ガスを生成し、該再生ガスを
    酸化物触媒の存在下でクラウス反応させて硫黄を回収す
    るようにしたことを特徴とする硫化水素含有ガスの処理
    方法。
  9. 【請求項9】請求項5または8において、前記硫化水素
    を含有する還元性高温ガスを予めCa系,Fe系,Cu系,Zn系
    及びドロマイト系から選ばれた脱硫剤と接触させ、その
    後、前記多孔性担体にモリブデン及びタングステンの少
    なくとも1種の酸化物からなる第1成分とマンガン,コ
    バルト及びニッケルの少なくとも1種の酸化物からなる
    第2成分を担持した脱硫剤と接触させるようにしたこと
    を特徴とする硫化水素含有ガスの処理方法。
  10. 【請求項10】微粉炭を酸化剤によって燃焼して還元性
    燃焼ガスを生成するガス化炉と、前記ガス化炉で得られ
    た還元性燃焼ガスを脱硫剤と接触させて該ガス中に含ま
    れる硫黄分を硫化物の形で吸着させる脱硫塔とを備えた
    石炭ガス化システムにおいて、 前記ガス化炉内にCa系,Fe系,Cu系,Zn系及びドロマイト
    系から選ばれた第1脱硫剤を添加する手段を備え、 前記脱硫塔内に酸化物からなる多孔性担体にモリブデン
    及びタングステンの少なくとも1種の酸化物からなる第
    1成分を金属分の含有量で5〜25%(原子比換算)担持
    し、該第1成分の表面にマンガン,コバルト及びニッケ
    ルの少なくとも1種の酸化物からなる第2成分を金属分
    の含有量で5〜25%(原子比換算)担持した第2脱硫剤
    を備え、 前記脱硫塔で使用済みの第2脱硫剤を加熱して吸着した
    硫化物を脱着して硫化水素と二酸化硫黄とを含む再生ガ
    スを生成する、酸化性雰囲気に保たれた再生塔を備え、 該再生塔で得られた硫黄回収済みのガスを前記ガス化炉
    に戻す手段を備えたことを特徴とする石炭ガス化システ
    ム。
  11. 【請求項11】請求項10において、前記ガス化炉で生成
    したガスを前記第2脱硫剤を充填した脱硫塔へ供給する
    前に該ガスに含まれる固形分を分離する脱塵器と、該脱
    塵器で分離した固形分を前記ガス化炉へ戻す手段とを備
    えたことを特徴とする石炭ガス化システム。
  12. 【請求項12】微粉炭を酸化剤によって燃焼して還元性
    燃焼ガスを生成するガス化炉と、前記ガス化炉で得られ
    た還元性燃焼ガスを脱硫剤と接触させて該ガス中に含ま
    れる硫黄分を硫化物の形で吸着させる脱硫塔とを備えた
    石炭ガス化システムにおいて、 前記脱硫塔内に酸化物からなる多孔性担持体にモリブデ
    ン及びタングステンの少なくとも1種の酸化物からなる
    第1成分を金属分の含有量で5〜25%(原子比換算)担
    持し、該第1成分の表面にマンガン,コバルト及びニッ
    ケルの少なくとも1種の酸化物からなる第2成分を金属
    分の含有量で5〜25%(原子比換算)担持した脱硫剤を
    備え、 前記脱硫塔で使用済みの脱硫剤を加熱して吸着した硫化
    物を脱着して硫化水素と二酸化硫黄とを含む再生ガスを
    生成する、酸化性雰囲気に保たれた再生塔を備え、 前記再生塔で得られた再生ガスに含まれる硫化水素と二
    酸化硫黄とを酸化物触媒の存在下でクラウス反応させて
    単体の硫黄を回収するクラウス反応塔及び、 該クラウス反応塔で得られた硫黄回収済みのガスを前記
    ガス化炉に戻す手段を備えたことを特徴とする石炭ガス
    化システム。
  13. 【請求項13】請求項10ないし12のいずれか1つの石炭
    ガス化システムにおける前記ガス化炉内に更に還元性燃
    焼ガスとの熱交換によって水蒸気を発生させる熱回収部
    を備え、該熱回収部で得られた水蒸気によって回転する
    蒸気タービンと前記脱硫塔を通過した還元性燃焼ガスに
    よって回転するガスタービンとを備えたことを特徴とす
    る石炭ガス化発電システム。
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