JP2633154B2 - 立穴掘削工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は立穴掘削工法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、立穴を掘削する場合、小口径につ
いてはベノト工法により、ケーシングチューブを打ち込
んだ後、ハンマグラブを使用して掘削が行われており、
また例えば直径が2000mm以上の大口径については、リバ
ースサーキュレーション法などが採用されており、した
がって土砂は水を使用して排出されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、大口径の立
穴を掘削する場合、上述したようにリバースサーキュレ
ーション法が使用されているが、この工法によると、そ
の掘削土砂の排出が水を利用して行われており、その水
処理施設を必要とするとともに、設備として大掛かりに
なるという問題があった。

【０００４】そこで、本発明は上記問題を解消し得る立
穴掘削工法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の立穴掘削工法は、小口径のガイド穴を掘削
するとともに、このガイド穴内にパイプを挿入し、次に
このパイプ内の水抜きを行った後、パイプ内に土砂排出
用のバケットを吊持し、上記パイプおよびその外周部
を、放射状に配置された掘削用アームを回転させて大口
径の穴を掘削するとともに、この掘削土砂をパイプ内の
バケット内に落とし込み、このバケットを引き揚げるこ
とにより掘削土砂を排出する工法である。

【０００６】

【作用】上記の立穴掘削工法によると、まず小口径のガ
イド穴を掘削するとともに、このガイド穴内にパイプを
挿入して、その内部に溜った水を排出した後、掘削用ア
ームにより、大口径の立穴を掘削するようにしたので、
大口径の立穴を掘削用アームにより容易に掘削し得ると
ともに、その掘削土砂も単にバケットにより排出するこ
とができ、したがって掘削作業が非常に簡単となる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の係る立穴掘削工法の一実施例
を図１〜図５に基づき説明する。まず、本実施例の立穴
掘削工法に使用される立穴掘削機について説明する。

【０００８】図１〜図５において、１は大口径の立穴を
掘削すべき立穴掘削機で、掘削すべき立穴３の上方位置
には、作業用クレーン２が配置されており、また本掘削
工法においては、大口径（例えば、内径が２０００mm程
度）の立穴３を掘削する際のガイド用として、小口径
（例えば、外径が８００mm程度）の塩化ビニール製のパ
イプ５が使用される。

【０００９】上記立穴掘削機１は、順次、継ぎ足し可能
な筒状ケーシング１１と、この筒状ケーシング１１を昇
降させる昇降装置としての昇降用ジャッキ１２と、上記
筒状ケーシング１１の下端部に、ボルトなどを介して連
結される筒状体１３と、この筒状体１３にスライド装置
としてのスライド用ジャッキ１４を介して上下方向でス
ライド自在に外嵌保持された環状のスライド部材１５
と、このスライド部材１５の下端部に旋回軸受１６を介
して保持されるとともに筒状体１３の軸心回りですなわ
ち鉛直軸心回りで旋回装置１７により旋回されるカッタ
ヘッド１８と、上記筒状体１３を立穴３の内壁面に固定
する固定装置１９とから構成されている。

【００１０】上記カッタヘッド１８は、上記旋回軸受１
６の下端に取り付けられたガイド筒２１と、このガイド
筒２１の外周面の複数箇所から例えば四方から突設され
るとともにそれぞれ掘削用ビット２３が複数個づつ取り
付けられた掘削用アーム２２とから構成されており、ま
た上記ガイド筒２１の掘削用アーム２２の取付箇所に対
応する位置には、掘削された土砂をガイド筒２１内に案
内するための開口部２１ａがそれぞれ形成され、さらに
このガイド筒２１の内周面下部には、土砂搬出用のバケ
ット６を保持するための保持材２４が複数個取り付けら
れている。

【００１１】なお、上記カッタヘッド１８を旋回自在に
保持する旋回軸受１６は、図２に示すように、その外輪
部１６ａが環状部材２０を介してガイド筒２１に連結さ
れ、またその内輪部１６ｂがスライド部材１５に連結さ
れている。

【００１２】上記旋回装置１７は、スライド部材１５に
ブラケット３１を介して支持された電動機３２と、この
電動機３２の出力軸に取り付けられるとともに上記旋回
軸受１６の外輪部１６ａに形成されたリングギヤ３４に
噛合するピニオン３３とから構成されている。

【００１３】したがって、上記電動機３２を駆動するこ
とにより、ピニオン３３およびリングギヤ３４を介し
て、カッタヘッド１８が鉛直軸心回りで回転される。ま
た、上記ガイド筒２１の外周面から突設される掘削用ア
ーム２２は、図４に示すように、その取付位置がガイド
筒２１の中心からずれるように取り付けられており、掘
削された土砂を、そのガイド筒２１の中心側に移動させ
るようにしている。なお、より掘削土砂のガイド筒２１
側への移動をスムースに行うために、鉛直面内における
取付け方向を、その先端部が上方位置となるように上向
きに傾斜して取り付けるようにしてもよい。

【００１４】したがって、旋回装置１７によりガイド筒
２１を介して掘削用アーム２２が回転されると、掘削用
ビット２３により、大口径の立穴３が掘削される。そし
て、このとき、掘削用アーム２２により掘削される土砂
は、掘削用アーム２２の取付位置により自然に中央部に
移動するとともに、ガイド筒２１に形成された開口部２
１ａからその内部に落下する。

【００１５】さらに、上記固定装置１９は、筒状体１３
の上部外周面から四方に突設された押付用ジャッキ装置
４１と、これら各押付用ジャッキ装置４１の出退用ロッ
ド部の先端に取り付けられた押さえ板４２と、各押付用
ジャッキ装置４１の保護カバー４３とから構成されてお
り、これら各押さえ板４２を立穴３の内壁面に押し付け
ることにより、筒状体１３を立穴３内に支持することが
できる。

【００１６】また、上記作業用クレーン２は、左右のガ
イドレール５１上を移動自在にされた門型のクレーン本
体５２と、このクレーン本体５２の水平桁部５２ａに走
行自在に設けられるとともにそれぞれウインチ装置５
５，５６が配置された２台の横行台車５３，５４とから
構成されるとともに、この一方の横行台車５３のウイン
チ装置５５には、上記立穴３内の掘削土砂を排出するた
めのバケット６が吊持されている。なお、他方の横行台
車５４に設けられたウインチ装置５６により、筒状ケー
シング１１が搬入される。

【００１７】また、上記ガイド筒２１の外径はパイプ５
内に挿入し得るようにパイプ内径よりも少し小さくさ
れ、さらに掘削土砂排出用のバケット６の外径はガイド
筒２１の内径よりも少し小さくなるようにされている。
勿論、筒状ケーシング１１の内径は、バケット６を昇降
し得る大きさ、例えばガイド筒２１と同一の内径にされ
ている。

【００１８】上記バケット６は、図５に示すように、そ
の外周部適所にガイドローラ７が取り付けられている。
なお、図１において、６１は筒状ケーシング１１の外周
部に昇降可能に設けられて立穴３の内壁面に例えばコン
クリートなどを吹き付けるための吹付具である。

【００１９】次に、立穴の掘削作業について説明する。
まず、通常のボーリング機械により、例えば直径が８０
０mm程度の小口径のガイド穴４を掘削した後、このガイ
ド穴４の内部に塩化ビニール製のパイプ５を挿入配置
し、そしてこのパイプ５の内部に溜った水を、ポンプな
どを使用して排出する。

【００２０】次に、上記掘削機の本体部である筒状体１
３およびカッタヘッド１８を挿入し得る程度の穴を形成
する。勿論、この時、パイプ５も一緒に掘削される。次
に、このガイド穴４の上方に作業用クレーン２を配置す
るとともに、筒状体１３およびカッタヘッド１８をその
穴の内部に挿入し、固定装置１９およびアウトリガーな
どにより筒状体１３を固定する。

【００２１】次に、作業用クレーン２に設けられた一方
の横行台車５３に配置されたウインチ装置５５により、
バケット６をガイド筒２１の内部に吊持するとともに、
その底部を保持材２４に保持させる。

【００２２】次に、旋回装置１７によりカッタヘッド１
８を旋回させるとともに、徐々にスライド用ジャッキ１
４によりスライド部材１５を下方に移動させ、カッタヘ
ッド１８を下降させて掘削を行う。

【００２３】このとき、上述したように、掘削用アーム
２２の取付け位置が中心に対して偏心した箇所であるた
め、掘削用アーム２２により掘削された土砂は、ガイド
筒２１の中心側に向かって自然に移動し、その周囲に形
成された開口部２１ａからその内部に移動されて、バケ
ット６の内部に落下される。また、この掘削時において
は、掘削用アーム２２により、先に挿入されたパイプ５
もそのまま掘削される。

【００２４】このバケット６内が掘削土砂で一杯になる
と、ウインチ装置５５によりバケット６を引き揚げて、
外部に排出する。そして、所定深さ掘削されると、固定
装置１９およびアウトリガーを解放するとともにスライ
ド用ジャッキ１４を収縮し、昇降用ジャッキ１２を使用
して筒状体１３を下降させた後、筒状体１３の上端部に
筒状ケーシング１１を継ぎ足し、そして今度からは、固
定装置１９だけにより筒状体１３を立穴３の内壁面に支
持させて、引き続き上記と同様の手順により、掘削を行
う。なお、この場合、バケット６は筒状ケーシング１１
内を通してガイド筒２１内に降ろされ、また掘削時に
は、先に挿入されているパイプ５も掘削用アーム２２に
よりそのまま掘削される。

【００２５】このように、筒状体１３およびカッタヘッ
ド１８を下降させるとともに、順次、筒状ケーシング１
１を継ぎ足していくことにより、所定深さの大口径の立
穴３を掘削することができる。

【００２６】なお、上記実施例において示した各ジャッ
キとしては、例えばシリンダー装置が使用される。とこ
ろで、上記実施例においては、掘削機の本体部を昇降さ
せるための昇降用ジャッキを地上側に設けたが、例えば
掘削機の本体部側に設けるようにしてもよく、また逆に
掘削機の本体部側に設けられた旋回装置を昇降用ジャッ
キと同様に地上側に設けてもよい。

【００２７】

【発明の効果】以上のように本発明の立穴掘削工法によ
ると、まず小口径のガイド穴を掘削するとともに、この
ガイド穴内にパイプを挿入して、その内部に溜った水を
排出した後、掘削用アームにより大口径の立穴を掘削す
るようにしたので、大口径の立穴を容易に掘削し得ると
ともに、その掘削土砂も従来のように水を使用すること
なくバケットにより簡単に排出することができ、しかも
掘削装置自体の構成の簡略化も図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における立穴掘削工法に使用
される立穴掘削機の一部切欠全体正面図である。

【図２】同実施例における立穴掘削機の要部断面図であ
る。

【図３】図２のＡ−Ａ断面図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】同実施例における立穴掘削工法に使用されるバ
ケットの側面図である。

【符号の説明】

１ 立穴掘削機 ３ 立穴 ４ ガイド穴 ５ パイプ ６ バケット １１ 筒状ケーシング １２ 昇降用ジャッキ １３ 筒状体 １４ スライド用ジャッキ １５ スライド部材 １６ 旋回軸受 １７ 旋回装置 １８ カッタヘッド １９ 固定装置 ２１ ガイド筒 ２１ａ 開口部 ２２ 掘削用アーム ２３ 掘削用ビット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 暉一郎 東京都千代田区神田司町２−３ 株式会 社大林組 東京本社内 (72)発明者 浅田 健次 大阪府大阪市此花区西九条５丁目３番28 号 日立造船株式会社内 (72)発明者 佐藤 譲治 大阪府大阪市此花区西九条５丁目３番28 号 日立造船株式会社内

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】小口径のガイド穴を掘削するとともに、こ
   のガイド穴内にパイプを挿入し、次にこのパイプ内の水
   抜きを行った後、パイプ内に土砂排出用のバケットを吊
   持し、上記パイプおよびその外周部を、放射状に配置さ
   れた掘削用アームを回転させて大口径の穴を掘削すると
   ともに、この掘削土砂をパイプ内のバケット内に落とし
   込み、このバケットを引き揚げることにより掘削土砂を
   排出することを特徴とする立穴掘削工法。