JP2631689C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、誘電体共振器、フィルタなどに用いられるマイクロ波誘電体磁器組
成物およびその製造方法に係るもので、特に添加物により特性を改善したもので
ある。 〔従来技術〕 数百MHzからGHz帯が利用される移動通信用等のフィルタとして誘電体フィ
ルタが用いられる。この誘電体フィルタの材料として、例えばMgO−CaO−T
iO2系やBa2Ti9O20系など、種々の磁器組成物が用いられているが、一般に誘
電率、Q、温度特性の優れたものが要求されている。 そのような組成物の一つとしてBaO−TiO2−Nd2O3から成るものがある。
この系は前記の系に比べ誘電率が高く、共振器、フィルタを小型化できる。この
成分系で幾つかのサンプルを作成し、その特性(誘電率ε、Q、共振周波数の温
度係数τf)を測定すると次のようになっていた。 また、第1図に示すような三元図の斜線の部分すなわち、XBaO+YTiO2
+Z Nd2O3と表したとき、X、Y、Zがそれぞれ、8.5≦X≦19.0、67.0≦Y≦71.0
、14.0≦Z≦24.5(モル%)(ただし、X+Y+Z=1)の範囲で、誘電率が60以上
となりQが3800以上、温度係数が70以下となり、利用可能な範囲であることが分
かった。 マイクロ波で用いる共振器(TEM1/4λモード、TEモード等)等に使用す
る誘電体セラミックではその共振周波数の温度係数の絶対値はなるべく小さい方
がよい。 上記の表に示したように、温度係数が0となるポイントもあるが、この点にお
いては誘電率、Qが小さくなり、Qが高い領域で温度特性の良好なものを得るこ
とは困難である。もちろん誘電率、Qも一定の値を確保できなければならない。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明は、誘電率、Q、温度特性の面で優れた特性を有するマイクロ波用誘電
体磁器組成物を得ようとするものである。 特に、誘電率、Q特性を大きく劣化させることなく、温度特性を改善して温度
係数を小さく抑えようとするものである。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は、BaO−TiO2−Nd2O3の基本組成にAl2O3を添加することによ
って上記の課題を解決するものである。 すなわち、BaO、TiO2、Nd2O3から成り、これを一般式 XBaO+YTiO2+ZNd2O3 と表したとき、X,Y,Zがそれぞれ、8.5≦X≦19.0、67.0≦Y≦71.0、14.0≦
Z≦24.5(モル%、ただし、X+Y+Z=1)の範囲の組成物100重量%に対し
Al2O3が1.0−2.0重量部が添加されたことに特徴を有するマイクロ波用誘電体
磁器組成物である。 〔実施例〕 以下、本発明の実施例について説明する。 本発明によるマイクロ波用誘電体磁器組成物を製造するにあたっては、BaC
O3、TiO3、Nd2O3を所定のモル比になるように秤量し、ボールミルにて24時
間 湿式混合し、乾燥後、空気中で1000°Cで仮焼する方法を採った。仮焼物を再び
ボールミルで所定の重量パーセントのAl2O3とともに24時間湿式粉砕混合後、
バインダーを添加し、スプレードライヤで造粒した。この造粒物を12Φ×10mmに
なるように3000Kg/cm2の圧力で成形し、1300−1380℃で焼成してサンプルを作
成した。 このサンプルをHAKKI&COLEMAN法により3−4GHzで測定し、
誘電率εr、Q、温度係数τfをそれぞれ求めた。 前記の表の試料のNo.2および3にAl2O3を添加した結果は次の表のように
なっていた。 これからも明らかなように、Al2O3を添加することによって温度係数τfは
数10ppm/℃のオーダーで改善され、0ppmに近づけることが可能となる。前記の
表と比較してみても、無添加の場合に対して誘電率ε、Qは僅かしか低下してお
らず、特性の劣化は極めて小さい。 このような特性を有するマイクロ波誘電体磁器組成物を用いれば、低損失、小
型でかつ共振周波数の温度による変化の小さい誘電体フィルタ等を得ることがで
きる。 Al2O3の添加量を変えて測定した結果を第2図に示す。前記の試料No2の基
本組成にAl2O3を、その添加量を変えて添加場合の温度係数τfの変化を示し
たのが破線22である。無添加のとき30ppm/℃であったのが、1.0wt%添加でほぼ
0となった。また、試料No.3の基本組成にAl2O3を添加した時の結果を示し
たのが実線21である。添加量を増やすにしたがって温度特性が改善され、2.0wt
%で5ppm/℃まで下げることができた。これ以上添加しても効果はほとんどなく
、他の特性の劣化をきたすので、添加量の上限は2.0wt%とするのが望ましい。 〔効果〕 本発明によれば、誘電率、Q、温度特性を総合的にみた場合に、極めて特性の
良好なマイクロ波用誘電体磁器組成物が得られる。 特に、誘電率、Qの特性を維持したまま温度特性の改善が可能となる。 これによって、低損失でかつ小型の誘電体共振器、フィルタを得ることができ
る。
成物およびその製造方法に係るもので、特に添加物により特性を改善したもので
ある。 〔従来技術〕 数百MHzからGHz帯が利用される移動通信用等のフィルタとして誘電体フィ
ルタが用いられる。この誘電体フィルタの材料として、例えばMgO−CaO−T
iO2系やBa2Ti9O20系など、種々の磁器組成物が用いられているが、一般に誘
電率、Q、温度特性の優れたものが要求されている。 そのような組成物の一つとしてBaO−TiO2−Nd2O3から成るものがある。
この系は前記の系に比べ誘電率が高く、共振器、フィルタを小型化できる。この
成分系で幾つかのサンプルを作成し、その特性(誘電率ε、Q、共振周波数の温
度係数τf)を測定すると次のようになっていた。 また、第1図に示すような三元図の斜線の部分すなわち、XBaO+YTiO2
+Z Nd2O3と表したとき、X、Y、Zがそれぞれ、8.5≦X≦19.0、67.0≦Y≦71.0
、14.0≦Z≦24.5(モル%)(ただし、X+Y+Z=1)の範囲で、誘電率が60以上
となりQが3800以上、温度係数が70以下となり、利用可能な範囲であることが分
かった。 マイクロ波で用いる共振器(TEM1/4λモード、TEモード等)等に使用す
る誘電体セラミックではその共振周波数の温度係数の絶対値はなるべく小さい方
がよい。 上記の表に示したように、温度係数が0となるポイントもあるが、この点にお
いては誘電率、Qが小さくなり、Qが高い領域で温度特性の良好なものを得るこ
とは困難である。もちろん誘電率、Qも一定の値を確保できなければならない。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明は、誘電率、Q、温度特性の面で優れた特性を有するマイクロ波用誘電
体磁器組成物を得ようとするものである。 特に、誘電率、Q特性を大きく劣化させることなく、温度特性を改善して温度
係数を小さく抑えようとするものである。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は、BaO−TiO2−Nd2O3の基本組成にAl2O3を添加することによ
って上記の課題を解決するものである。 すなわち、BaO、TiO2、Nd2O3から成り、これを一般式 XBaO+YTiO2+ZNd2O3 と表したとき、X,Y,Zがそれぞれ、8.5≦X≦19.0、67.0≦Y≦71.0、14.0≦
Z≦24.5(モル%、ただし、X+Y+Z=1)の範囲の組成物100重量%に対し
Al2O3が1.0−2.0重量部が添加されたことに特徴を有するマイクロ波用誘電体
磁器組成物である。 〔実施例〕 以下、本発明の実施例について説明する。 本発明によるマイクロ波用誘電体磁器組成物を製造するにあたっては、BaC
O3、TiO3、Nd2O3を所定のモル比になるように秤量し、ボールミルにて24時
間 湿式混合し、乾燥後、空気中で1000°Cで仮焼する方法を採った。仮焼物を再び
ボールミルで所定の重量パーセントのAl2O3とともに24時間湿式粉砕混合後、
バインダーを添加し、スプレードライヤで造粒した。この造粒物を12Φ×10mmに
なるように3000Kg/cm2の圧力で成形し、1300−1380℃で焼成してサンプルを作
成した。 このサンプルをHAKKI&COLEMAN法により3−4GHzで測定し、
誘電率εr、Q、温度係数τfをそれぞれ求めた。 前記の表の試料のNo.2および3にAl2O3を添加した結果は次の表のように
なっていた。 これからも明らかなように、Al2O3を添加することによって温度係数τfは
数10ppm/℃のオーダーで改善され、0ppmに近づけることが可能となる。前記の
表と比較してみても、無添加の場合に対して誘電率ε、Qは僅かしか低下してお
らず、特性の劣化は極めて小さい。 このような特性を有するマイクロ波誘電体磁器組成物を用いれば、低損失、小
型でかつ共振周波数の温度による変化の小さい誘電体フィルタ等を得ることがで
きる。 Al2O3の添加量を変えて測定した結果を第2図に示す。前記の試料No2の基
本組成にAl2O3を、その添加量を変えて添加場合の温度係数τfの変化を示し
たのが破線22である。無添加のとき30ppm/℃であったのが、1.0wt%添加でほぼ
0となった。また、試料No.3の基本組成にAl2O3を添加した時の結果を示し
たのが実線21である。添加量を増やすにしたがって温度特性が改善され、2.0wt
%で5ppm/℃まで下げることができた。これ以上添加しても効果はほとんどなく
、他の特性の劣化をきたすので、添加量の上限は2.0wt%とするのが望ましい。 〔効果〕 本発明によれば、誘電率、Q、温度特性を総合的にみた場合に、極めて特性の
良好なマイクロ波用誘電体磁器組成物が得られる。 特に、誘電率、Qの特性を維持したまま温度特性の改善が可能となる。 これによって、低損失でかつ小型の誘電体共振器、フィルタを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の誘電体磁器組成物の基本組成を示す三元図、第2図は添加量
と温度特性の関係を示す説明図である。
と温度特性の関係を示す説明図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 BaO、TiO2、Nd2O3から成り、これを一般式 XBaO+YiTO2+ZNd2O3 と表したとき、X、Y、Zがそれぞれ、8.5≦X≦19.0、67.0≦Y≦71.0、14.0
≦Z≦24.5(モル%)(ただし、X+Y+Z=1)の範囲にある組成物100重量部に
対し、Al2O3を1.0−2.0重量部添加したことを特徴とするマイクロ波用誘電体
磁器組成物。
Family
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