JP2631513B2 - 磁性合金の製造法 - Google Patents

磁性合金の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、希土類元素と遷移金属とボロンとを基本成
分とする磁性合金、時に機械的配向を有する磁性合金の
製造法に関するものである。
[従来の技術] 磁性合金は、永久磁石を始め一般家庭の各種電気製品
から大型コンピューターの周辺末端機器まで幅広い分野
で使用されている重要な電気、電子材料の一つである。
最近の電気製品の小型化、高効率化の要求にともない、
永久磁石も益々高性能化が求められている。
現在使用されている永久磁石のうち代表的なものはア
ルニコ、ハードフェライト及び希土類−遷移金属系磁石
である。特に、希土類(以下、Rと略す。)−遷移金属
(以下、TMと略す。)系磁石であるR−Co系永久磁石
や、R−Fe−B系永久磁石は高い磁気性能が得られるの
で従来から多くの研究開発が行なわれている。
従来、これらR−TM−B系永久磁石の製造法に関して
は以下の文献に示すような方法がある。
(1)粉末冶金に基づく焼結による方法。(文献1、文
献2) (2)非晶質合金を製造するのに用いる急冷薄体装置
で、厚さ30μm程度の急冷薄片を作り、その薄片を樹脂
結合法で磁石にするメルトスピニング法による急冷薄片
を用いた樹脂結合法。(文献3、文献4) (3)上記(2)の方法で使用した急冷薄片を2段階の
ホットプレスで機械的配向処理を行なう方法。(文献
4、文献5) (4)鋳造インゴットを500℃以上の温度で熱間加工を
する事により結晶粒を微細化し、またその結晶軸を特定
の方向に配向せしめて該鋳造合金を磁気的に異方性化す
る方法。(文献6) ここで、 文献1;特開昭59−46008号公報 文献2;M.Sagawa,S.Fujimura,N.Togawa,H.Yamamoto and
Y.Matuura;J.Appl.Phys.Vol.55(6)15 March 1984 p2
083 文献3;特開昭59−211549号公報 文献4;R.W.Lee;Appl.Phys.Lett.Vol.46(8)15 April
1985 p790 文献5;特開昭60−100402号公報 文献6;特開昭62−276803号公報 [発明が解決しようとする課題] 前述の従来技術を用いることにより、一応R−TM−B
系永久磁石は製造できるが、これらの製造方法には次の
ような欠点を有している。
(1)の焼結法は、合金を粉末にする事が必須である
が、R−TM−B系合金は酸素に対して非常に活性であ
り、そのため、粉末にするという工程を経ると表面積が
増え、酸化が激しくなり焼結体中の酸素濃度はどうして
も高くなってしまう。また、粉末を成形するときに、例
えばステアリン酸亜鉛のような成形助剤を使用しなけれ
ばならない。これは焼結工程で前もって取り除かれるの
ではあるが、数割は磁石の中に炭素の形で残ってしま
う。この炭素はR−TM−B系磁石の磁気性能を低下させ
てしまい好ましくない。
成形助剤を加えてプレス成形した後の成形体はグリー
ン体と言われる。これは大変脆く、ハンドリングが難し
い。従って、焼結炉にきれいに並べて入れるのは相当の
手間がかかることも大きな欠点である。
また、異方性の磁石を得るためには磁場中でプレス成
形しなければならず、磁場電源、コイル等の大きな装置
が必要となる。
以上の欠点があるので、一般的に言って、R−TM−B
系の焼結磁石の製造には高価な設備が必要になるばかり
でなく、生産効率も悪くなり、磁石の製造コストが高く
なってしまう。従って、比較的原料の安いR−TM−B系
磁石の長所を生かすことが出来るとは言い難い。
次に(2)ならびに(3)の方法であるが、これらの
方法は真空メルトスピニング装置を使用するが、この装
置では現在では大変生産性が悪くしかも高価である。
(2)の方法は原理的に等方性であるので、低いエネ
ルギー積であり、ヒステリシスループの角形性もよくな
いので温度特性にたいしても、使用する面においても不
利である。
(3)の方法では異方性の磁石が得られるが、ホット
プレスを2段階に使うので、実際に量産を考えると大変
に非効率になることは否めないであろう。
また、この方法では高温、例えば800℃以上では結晶
粒の粗大化が著しく、それによって保磁力が極端に低下
し、実用的な永久磁石にはならない。
(4)の方法では粉末工程を含まず、ホットプレスも
一段階で良いために、最も製造工程を簡略化する事が可
能であるが、性能的にはやや劣るという問題があった。
本発明は以上の従来技術の欠点、特に(4)の永久磁
石の性能面での欠点をを解決するものであり、その目的
とするところは、高性能且つ低コストなR−TM−B系永
久磁石の製造法を提供するところにある。
[課題を解決するための手段] 本発明は、希土類元素(但しイットリウムを含む)と
遷移金属とボロンとを基本成分とする磁性合金の製造法
において、前記基本成分の合金を溶解し、200〜800℃の
範囲を冷却速度0.1〜5℃/secで冷却し、鋳造欠陥なく
鋳造する工程と、鋳造されたインゴットを熱間加工し、
熱処理する工程とを有することを特徴とする磁性合金の
製造法である。
[作用] 本発明者等は、数多くのR−Fe−B系鋳造合金を評価
し、Pr−Fe−B系合金に適当な熱処理を加えれば高い保
磁力が得られることを知見し、更に、この合金を基にホ
ットプレスによる機械的配向処理、添加元素による磁気
特性の改善効果を研究し、高性能の永久磁石の製造方法
を知見した。
即ち、希土類元素(但しイットリウムを含む)と遷移
金属、及びボロンを基本成分とし、該基本成分から成る
合金を溶解・鋳造し、次いで、鋳造インゴットを500℃
以上の温度にて熱間加工し、前記基本成分から非磁性物
であるRリッチ相の液相を排除することにより磁性相を
濃縮し、磁気異方性及び機械的配向性を付与することを
特徴とする永久磁石の製造方法であり、鋳造−熱間加工
−熱処理という粉末工程を含まない方法で、従来法に比
肩する高性能の磁石が得られるものである。
この方法に於て、鋳造インゴットの割れ、欠け、引け
巣等の鋳造欠陥はその後の熱間加工工程や製品形状に大
きな影響を与える。従って、この割れ、欠け等の鋳造欠
陥を防ぐことは本方法による永久磁石の製造方法に取っ
て非常に重要な点である。
鋳造インゴットの欠陥を防ぐために、本発明者等は以
下のことを知見した。
即ち、鋳造インゴットの欠陥は主に凝固収縮時に置
き、800℃〜200℃の温度範囲をインゴットの徐冷をする
ことにより、鋳造欠陥を回避できることを見いだした。
徐冷の温度範囲の理由は、800℃を越えた温度から徐
冷をすると結晶粒径が増大してしまい、熱間加工もしず
らく、保磁力も得られなくなってしまう。また、200℃
以前に徐冷を中止すると、主相のキュリー温度通過に伴
う歪のため割れ等の鋳造欠陥が生じてしまう。従って、
徐冷する範囲は800〜200℃の範囲が望ましい。
冷却スピードについては、5℃/secより速いとインゴ
ットに大きな熱歪が生じ、このためにインゴットに割れ
等の鋳造欠陥が発生してしまう。従って、鋳造欠陥を防
ぐためにはこれ以下の冷却スピードが望ましい。また、
0.1℃/secより遅い場合、インゴットの冷却に1時間以
上もの時間が必要となるので、生産性が悪くなる。従っ
て、これ以上のスピードが望ましい。
また、インゴットの鋳造欠陥に関してはそのインゴッ
トの組織に大きく依存している。即ち、結晶粒が大きい
ほど鋳造欠陥が生じ易い傾向にある。この結晶粒の大き
さには基本成分のボロン量が大きく影響しており、ボロ
ン量が多いほどその粒径は大きくなることが分かってい
る。即ち、原子百分率で、4%程度のときは比較的細か
な結晶粒が得られ、800℃〜200℃の温度範囲を比較的速
い冷却スピードで冷却して、鋳造欠陥を回避することが
できる。しかし、6%程度以上になると冷却速度が速す
ぎると結晶粒が熱歪に耐えられず、インゴットに鋳造欠
陥が発生してしまう。この場合は、冷却速度は大きな熱
歪が発生しない程度に遅くしてやらなけれればならな
い。
以下実施例について述べる。
[実施例] 表1の組成となるように、希土類、遷移金属およびボ
ロンを秤量し、アルゴンガス雰囲気下でセラミックるつ
ぼ中で誘導加熱炉により原料を溶解・鋳造した。その
後、鋳造されたインゴットに対し1000℃でホットプレス
を行い、さらに1000℃、24時間熱処理を施した。
鋳型にはヒーターが備え付けられており、鋳型全体の
温度を任意に制御する事ができる。鋳型を任意の温度に
予熱する事により、各温度範囲の冷却速度をコントロー
ルする。るつぼ内の溶湯が約1500℃になったところで鋳
型に鋳込む。
表2〜5に各インゴットの各条件で鋳造を行なった時
の、インゴットの割れ、欠け等の鋳造欠陥の有無、熱間
加工性の良否(良;○、中;△、否;×の3段階)、鋳
造後のインゴットの保磁力の結果を示す。本方法で作成
された磁石は、その初磁化曲線からnucliationタイプで
あることが知られており、保磁力はインゴットの結晶粒
の大きさの目安となる。加工性の評価は1000℃でホット
プレスを行なったときの様子から判断した。
以上の表に示すように、本発明により鋳造欠陥の無い
インゴットが得られることが分かる。
[発明の効果] 叙上のごとく、本発明の磁性合金の製造方法によれ
ば、鋳造欠陥の無い良好な鋳造インゴットを得ることが
可能であり、鋳造−熱間加工−熱処理という、インゴッ
トを粉砕・焼結という工程を経ることなく高い磁気性能
の異方性の磁石を得ることが出来る。
これにより従来のR−TM−B系永久磁石の生産工程を
大幅に削減することができ、永久磁石の生産性を高める
という効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 理 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (72)発明者 下田 達也 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイ コーエプソン株式会社内 (72)発明者 河合 伸泰 兵庫県神戸市須磨区北落合5―15―29

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】希土類元素(但しイットリウムを含む)と
    遷移金属とボロンとを基本成分とする磁性合金の製造法
    において、 前記基本成分の合金を溶解し、200〜800℃の範囲を冷却
    速度0.1〜5℃/secで冷却し、鋳造欠陥なく鋳造する工
    程と、 鋳造されたインゴットを熱間加工し、熱処理する工程と
    を有することを特徴とする磁性合金の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6159811A (ja) * 1984-08-31 1986-03-27 Fujitsu Ltd 焼結希土類磁石を製造する方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6159811A (ja) * 1984-08-31 1986-03-27 Fujitsu Ltd 焼結希土類磁石を製造する方法

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