JP2631483B2 - T細胞、b細胞の分離採取方法および装置 - Google Patents

T細胞、b細胞の分離採取方法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、高分子体を用いてT細胞およびB細胞を分
離、採取する方法および装置に関する。より詳しくは、
高分子体に対する吸着力が、T細胞とB細胞とで異なる
ことを利用して両細胞を分離、採取するための方法およ
び装置に関する。
(従来技術) 免疫不全症、自己免疫疾患、アレルギー、悪性腫瘍、
臓器移植時の拒絶反応等の疾患、症候群の成立には、免
疫反応が深く関与しており、これらの疾患、症候群の診
断、治療を行なう為には、各種疾患状態における免疫反
応現象を解明することが必須である。
免疫反応現象において中心的役割を果たしているのは
リンパ球である。リンパ球はT細胞、B細胞に大別さ
れ、T細胞はさらに機能の異なる数種の亜群に分類され
る。上記疾患において、これらのどの細胞に異常が存在
するのか、もしくはどの細胞が不都合な作用を発揮する
のかを解明することが、診断、治療への道をひらく鍵で
あり、この為にはまずT細胞、B細胞の分離し、各々の
性状や両者間の相互作用等について調べる必要があり、
T細胞、B細胞を分離する技術は、免疫研究の基本技術
として要求されている。
従来、T細胞とB細胞を分離する技術はいくつか知ら
れているが、これらは以下の2種類に大別できる。
本来は多種多様な細胞の分離を行なうことが可能な技
術であって、該技術をT細胞とB細胞の分離に応用する
場合。
T細胞とB細胞の分離用に専門化された技術。上記
の例としては、FITCなどの蛍光物質で標識した抗T細胞
抗体もしくは抗B細胞抗体等でT細胞又はB細胞を標識
し、セルソーター付フローサイトメーターを用いて分離
する技術、抗T細胞抗体もしくは抗B細胞抗体等を結合
させた粒状担体をカラムに充填し、該カラムにリンパ球
を含む細胞浮遊液を通過させることによってT細胞又は
B細胞をカラム内に吸着して分離する細胞アフィニティ
ークロマトグラフィー技術、抗T細胞抗体もしくは抗B
細胞抗体等をペトリディッシュに結合させ、該ペトリデ
ィッシュにリンパ球を含む細胞浮遊液を注入したのち一
定時間静置してT細胞又はB細胞を吸着させ、しかる後
ペトリディッシュをゆすいで非吸着性細胞を浮き上がら
せて回収し、さらにパスツールピペット等を用いてペト
リディッシュ底面に洗浄液を吹き付け、吸着細胞を回収
して分離するパンニング法技術などがある。
また、上記の例としては、ナイロン繊維塊をカラム
に充填し、カラムにリンパ球を含む細胞浮遊液を注入
し、一定時間37℃で静置してB細胞を選択的にナイロン
繊維に吸着させて分離するナイロンウール法技術、羊赤
血球に対してヒトのT細胞が特異的に結合することを利
用して、ヒトT細胞・羊赤血球複合体とB細胞とを比重
遠心分離法によって分離するE−ロゼット法技術、本発
明者らが先に出願した、本発明と同一の構造式(イ)お
よび(ロ)からなる特定の高分子体を水に不溶性の粒子
や繊維などの担体にコーティングし、該担体をカラム内
に充填し、該カラムにリンパ球を含む細胞浮遊液を通過
させることによってB細胞を選択的にカラム内に吸着さ
せて分離する、特願昭58−89921、(特開昭59−21658
4)記載の技術などがある。
(発明が解決しようとする問題点) 以上述べてきた種々のT細胞、B細胞分離技術の中で
は、高価な機械や装置を必要としないこと、操作が簡便
であり熟練を必要としないこと、分離に要する時間が他
法に比べ極めて短いこと、細胞にダメージや刺激をほと
んど与えないこと等の多くの利点を有する特願昭58−89
921記載の技術が最も優れた技術である。
しかしながら、特願昭58−89921記載の技術は、その
後の検討により、以下の様な問題点を有することが明ら
かとなった。すなわち、 高純度のT細胞を得るためには、T細胞の回収率をや
や犠牲にしなければならない(他技術との比較では決し
て劣るものではない)。
吸着したB細胞を回収するためには、カラムを解体し
て充填された粒子、繊維等の担体を取り出した後、さら
に撹拌、ピペッティング等の物理的刺激を与えねばなら
ず、操作性がやや悪い。(他技術との比較では決して劣
るものではない)。
分離材として用いる、高分子がコーティングされた粒
子や繊維の製造、該分離材のカラムへの充填等の作業に
おいては、さほど高度な技術力は要求されないが、製造
工程が繁雑であり、結果として製造コストが高くつく。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、特願昭58−89921記載の技術における
かかる問題点を踏まえ鋭意検討を重ねた結果、本発明装
置を用いた場合に極めて良好な分離能を得るとともに、
吸着したB細胞の回収が容易であり、さらに該装置の製
造工程は、分離材充填型カラムの製造に比し、大幅な簡
略化が可能であることなどを見い出し、本発明を完成さ
せるに至った。
本発明の装置を用いた場合に、なぜ分離材充填型カラ
ムを用いる場合よりもさらに良好な分離能が得られるか
は必ずしも定かではないが、以下の〜の様な理由に
よるものと推察される。
本発明記載の高分子体とB細胞との間に働く吸着力が
T細胞のそれに比して大きいことを利用して細胞を分離
する場合、該高分子体とB細胞との接触は1回で十分で
あり、くり返し接触させる必要はない。従って分離材充
填型カラムを用いるカラムクロマトグラフィー方式を採
用する必要性はない。
一方、T細胞と該高分子体との間にも、B細胞よりは
弱いものの吸着力が働き、該高分子体とT細胞との接触
回数および接触時間が増大するほどその吸着傾向は強ま
る。従って、分解能を高めるためにはT細胞の吸着を押
えることが重要であり、そのためには、細胞浮遊液と該
高分子体との接触機会は少ない方が良い。
高分子体に吸着した細胞を離脱させるためには、細胞
が吸着している面と平行な方向に液の流れを作り出し、
この流れによって生じる粘性抵抗力を利用して細胞をは
がすのが有効である。この粘性抵抗力の強さは、細胞の
大きさと細胞の吸着面から直角方向に生じる流速勾配
(以下、剪断速度と言う)とに依存する。
従って剪断速度を段階的もしくは連続的に増大させら
れれば、吸着力が同等の細胞間においては大きな細胞か
ら順に、また細胞の大きさが同程度の場合には吸着力が
弱いものから順に脱離を起こさせることが可能であり、
大きさがほぼ等しいT細胞、B細胞の場合、吸着力の弱
いT細胞を先に離脱させ、さらに剪断速度を増すことに
よってB細胞を脱離させて分離することが出来る。
各細胞が吸着しているそれぞれの箇所における剪断速
度がまちまちであると、各細胞に対する粘性抵抗力にバ
ラツキが生じ、精度良い分離が困難となる。
以上を総合すると、高分子体と細胞との接触様式およ
び吸着細胞の脱離様式としては、以下に述べる条件を満
足することが好ましい。すなわち、細胞と該高分子体と
の接触が確実に行なわれ、しかも接触回数が1回もしく
は数回に限られるようにその形状が工夫されているこ
と。さらにそれぞれの細胞の吸着箇所における剪断速度
が均一もしくはその差が最小限に抑えられるようにその
形状及び流れ発生手段が工夫されていること。
以上の論理によって、本発明装置の構成が、分解能に
おいて分離材充填型カラムの構成よりも優れていること
を説明することができる。また本装置においては、送液
装置からの送液流速を変えるだけで吸着したB細胞を脱
離させて回収することが可能であり、分離材充填型カラ
ムにおける脱離回収手段よりもはるかに簡便である。ま
た本装置における密閉型容器部分、すなわち分離材充填
型カラムに相当する部分は、その内部に粒子又は繊維等
の充填材を充填する必要はなく、言わば分離材充填型カ
ラムから充填材を除去したものに、該高分子体をコーテ
ィングした様な構成になっており、以上の〜の点に
おいて製造上のメリットがある。
粒子、繊維等の充填材が不要である。
充填作業が不要である。
粒子、繊維等に該高分子をコーティングするよりも容
器にコーティングする方が簡単である。
本発明における密閉型容器の形状は、それぞれの細胞
の吸着箇所における剪断速度が均一もしくはその差が最
小限に抑えられるようなものであればどの様な形状でも
良い。例えば円柱、三角柱、四角柱、多角柱等の筒状容
器を横にしたものが挙げられるが、液の流れに対して直
角な面の断面積に対して、容器内の表面積の大きい形状
の方が、同一体積であっても細胞と接触し得る高分子体
で覆われた面積を大きく取れることから効率が良い。こ
れら容器は単独で用いても、また複数の容器を束ねたり
積み重ねて用いても良い。また細胞を重力によって沈降
させて高分子と接触させる際に、接触後の細胞がさらに
重力によって転がったり、滑り落ちたりしないように、
高分子体で覆われた接触面は、重力方向に対して直角な
平面であるか、十分ゆるい傾斜を有する曲面又は平面で
あることが好ましい。
また、容器の重力方向のサイズ、例えば円柱を横にし
た形の容器の場合には、その直径は、5mm以下が好まし
く、さらに2mm以下、さらに1mm以下、さらに0.5mm以下
がより好ましい。これは該容器に細胞浮遊液を注入後、
重力によって細胞を沈降させて接触面に到達させる際
の、各細胞の到達時間を一定の範囲内に制限した方が良
いためである。すなわち、該容器に注入した際、接触面
に近い位置に注入された細胞ほど短時間で接触面に到達
するが、全ての細胞が接触し終わるまでの間、早く接触
面に到達した細胞ほど該高分子体と長時間接触すること
になり、この間に吸着が強まる。その結果、該容器の重
力方向のサイズが大きいほど初めに接触したT細胞の吸
着力の、最後に接触したB細胞の吸着力との差が小さく
なり、場合によっては、両者の吸着力が逆転する等の事
態を生じ、分離情報が落ちるためである。また始めに接
触したB細胞の吸着力も時間の経過とともに増すため
に、次第に脱離が難しくなり、回収率を落とす結果につ
ながる。従って、出来るだけ短時間のうちに全ての細胞
を接触面に到達させられるよう、該容器の重力方向のサ
イズは小さい方が好ましい。
該容器のうち、細胞と接触しうる面を構成する部分の
材質は、水に不溶性であり、かつ一体成型又は組立て又
は接着等の作業によって容器を形成しうるものならば特
に制限はないが、親水的であるものの方が該高分子体と
のなじみが良いため好ましく、また透明である方が光学
顕微鏡等によって細胞の吸着状態などを観察できるため
好ましい。その様な材料の例をあげるならば、ガラス、
細胞培養用のプラスチック(親水化処理ポリスチレン)
等である。
本発明における高分子体は、構造式(ロ)で示される
重合単位の、高分子体中に占める割合が1〜25重量%の
範囲であることが好ましく、さらに5〜20重量%の範囲
がより好ましい。
リンパ球と該高分子体との間に働く吸着力の主体は、
構造式(ロ)中に含まれるアミンがプロトン化されて生
じる正荷電と、リンパ球表面に存在する負荷電との間に
働くイオン的引力であると推定されている。構造式
(ロ)で示される重合単位が適当量含まれる場合には、
該高分子体とB細胞との間には、B細胞を吸着させるに
充分な力が働く一方、T細胞との間には弱い引力しか働
かず、T細胞は吸着力が弱い為、分離が良好に行なわれ
る。構造式(ロ)で示される重合単位の割合が適当量を
超えると、正荷電量が多すぎるためにT細胞も強く吸着
してしまい分離がうまく行なわれない。逆に構造式
(ロ)で示される重合単位の割合が適当量に満たない場
合には、正荷電量が少ないためにB細胞の吸着性が減少
し、やはり分離がうまく行なわれない。この様な理由に
より、構造式(ロ)で示される重合単位の高分子体中に
占める割合は1〜25重量%、好ましくは5〜20重量%の
範囲である。
また、構造式(ロ)で示される重合単位の数平均重合
度は8〜100、好ましくは12〜50の範囲である。構造式
(ロ)で示される重合単位は、通常nが0〜100程度の
範囲に分布した混合物として得られるが、数平均重合度
が低いもの、すなわちnが0〜7程度のいわゆるオリゴ
マーを多く含むものは、構造式(ロ)で示される重合単
位の高分子体中に占める割合が、先に記述した適量範囲
に入る場合であってもB細胞とT細胞との吸着性と差が
分離に充分な程度に出てこない。一方、数平均重合度が
高くなるにつれ、T細胞、B細胞ともに吸着性が増大
し、特に、数平均重合度が100を超えると分離が難しく
なる。数平均重合度によってこの様な差が生じる理由は
明らかではないが、高分子の示すミクロドメイン構造の
ドメインサイズおよびドメインの数(平面密度)と関連
があるものと推測される。すなわち、高分子体を薄膜状
に成形した場合、構造式(イ)で示される重合単位から
なる部分と、構造式(ロ)で示される重合単位からなる
部分とがミクロに相分離し、あたかも構造式(イ)で示
される重合単位からできた海の中に、構造式(ロ)で示
される重合単位からできた島が浮いている様に見える、
海島型ミクロドメイン構造をとることが分かっている。
数平均重合度の違いによって、島ドメインのサイズや数
が変化することが推定され、このことがT細胞、B細胞
の吸着性に影響を及ぼす可能性が考えられる。
高分子体によって容器材料の内表面を覆うには、高分
子体を0.2〜1.0%程度の濃度にエタノール又はメタノー
ル等に溶解し、該溶液に材料を浸漬するか、もしくは材
料上に該溶液を滴下した後、ヘラ等で薄く引き伸ばす等
の操作によって該溶液を材料上に導にた後、溶媒を蒸発
させることにより行なう。この時溶媒としてエタノール
を用いる場合には、該溶液温度を30〜40℃程度に温めて
おくことが好ましい。また溶媒は急激に蒸発させない方
が好ましい。これらの条件は、高分子体を薄膜状に成型
したときに生じる、ミクロドメイン構造の形成過程に関
係する好ましい条件である。
本装置に用いる送液装置は、送液流速を段階的にもし
くは連続的に変化させうることが必要であるが、さらに
脈流を生じないもの、もしくは脈流を生じてもそれを吸
収できるような脈流緩衝装置が送液回路に取り付けられ
ていることが好ましい。脈流によって瞬間的もしくは周
期的に剪断速度が変化することによる、分離精度の低下
を避けるためである。この様な送液装置の例としては各
種シリンジポンプ、比較的脈流の少ないペリスターポン
プ例えばギルソン社のミニパルスポンプ等があげられ
る。
本発明による装置を用いてT細胞、B細胞を分離・採
取する際には以下の手順で行なう。まず、脾臓もしくは
リンパ節より調整した細胞浮遊液より、比重遠心法、赤
血球溶血法などの方法により赤血球を除去して得たリン
パ球を、生理的浸透圧を有する培養液、緩衝液に浮遊せ
しめてリンパ球浮遊液を調整する。培養液及び緩衝液の
好ましい例としてRPMI1640やハンクス液があげられる。
また、リンパ球の生存率を保つために、2〜10%のウシ
胎児血清又は0.05〜0.5%のウシ血清アルブミンを添加
することが好ましい。
pHを調整するための緩衝剤としてはHEPES(N′−2
−ヒドロキシエチルピペラジン−N′−エタンスルホン
酸)を用いることが好ましく、さらにその濃度は1〜20
mMが好ましく、2〜10mMがより好ましく、更に3〜7mM
がより好ましい。pHは、6.5〜7.6の範囲が好ましく、さ
らに6.8〜7.4の範囲がより好ましい。また細胞浮遊液の
濃度は0.5〜5×107細胞/mlの範囲が好ましく、さらに
1〜2×107細胞/mlの範囲がより好ましい。
以上の要領で調整したリンパ球浮遊液を、図面に示す
容器の上蓋(3)に設けた細胞浮遊液注入口(1)より
注入して容器内を満たし、リンパ球浮遊液が沈降し、高
分子体で覆われた面(5)に接触するまで静置する。全
てのリンパ球が接触した時点より0〜7分後、好ましく
は0〜3分後、送液装置によって洗浄液を容器に送り込
み、洗浄液流入口(2)から洗浄液流出口(1)に向け
ての液の流れを生じさせる。この時の洗浄液は、リンパ
球を浮遊させる際に用いたものと同じ組成のものが好ま
しく、さらにこれらはCa2+、Mg2+等の2価カチオンを含
まないことが好ましい。また剪断速度が50〜100sec-1
範囲になるように送液装置を調整してT細胞を離脱さ
せ、洗浄液流出口(1)を通って流出してくるT細胞を
回収する。次いで剪断速度を300〜500sec-1程度の範囲
になるように送液装置を調整して脱離してくるB細胞を
T細胞の回収と同様の手順にて回収する。以上の操作
は、0〜23℃の範囲で行なうのが好ましくさらに0〜10
℃の範囲で行なうのがより好ましい。
以上の手段の説明においては、典型的な場合の条件を
記述したが、動物種間の差、個体間の差等が存在するた
め、各々のケースにおける最適条件を検討の上で実施す
ることが好ましい。その場合に検討するパラメータは、
剪断速度、pH、静置時間等が中心である。
以下、実施例参考例によって、本発明を更に具体的に
説明する。
(参考例) p−ジビニルベンゼンとN、N′−ジエチルエチレン
ジアミンをベンゼン中で、リチウムアミドを触媒とし
て、N、N′−ジエチル−N−(4−ビニルフエネチ
ル)エチレンジアミンとした後、さらにこのものをテト
ラヒドロフラン(THF)中でリチウムジイソプロピルア
ミドを触媒として反応させることにより、数平均重合度
14.0の構造式(ロ)で示される重合単位(ただし、X=
NHR、R=C2H5)を合成した(以下、マクロマーAと呼
ぶ)。
このマクロマーAと2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ートをエタノール中で、2、2′−アゾビス−(2,4−
ジメチルバレロニトリル)を開始剤として共重合するこ
とにより、構造式(イ)および(ロ)で示される重合体
単位からなる高分子体(以下、高分子体と略する)を得
た(#01)。
該高分子体中に占める構造式(ロ)で示される重合単
位の割合は13重量%であった。
尚、マクロマーの数平均重合度は次式により求めた。
ここで[フエニレン基]は、マクロマーをTHFに溶解
させた液の、242.0nmと266.3nmにおける吸光度の差を測
定することにより求めた同溶剤中のフエニレン基の濃度
であり、[ビニルフエネチル基]は同溶液の298nmと295
nmにおける4次微分吸光度の差を測定することにより求
めた、同溶液中のビニルフエネチル基の濃度である。
(実施例1) 密閉型容器の作成 #01の高分子体500mgを100mlのエタノールに溶解さ
せ、ホットプレート上で40℃に温めた。この溶液にスラ
イドグラス(幅26mm×長さ75mm×厚さ1mm)を浸漬した
後引き上げ、塩化カルシウムを敷きつめたデシケータに
入れて密封し、エタノールをゆっくりと蒸発させてスラ
イドグラス上に#01の高分子体の薄膜を形成させた(以
下スライドグラス#01と言う)。
同じ大きさのスライドグラスに幅方向の両端から13mm
の中心線上でかつ長さ方向の両端から15mmの位置2ケ所
に直径1mmの穴を開けた。各々の穴に、熱してやわらか
くしておいたテフロンチューブを引き延ばしで細くした
後に差し込み、差し込み口の周囲を接着剤で固めた後、
スライドグラス裏側の面に沿って突き出しているテフロ
ンチューブを切り、一方の側のテフロンチューブは1cm
ほどの長さを残して切り取った(以下スライドグラス#
02と言う)。
スライドグラスと幅および長さ方向が同じで、厚さ0.
254mmのテフロンシートの中央に、幅10mm、長さ35mmの
長方形の両脇に、底辺10mm、高さ10mmの二等辺三角形を
接続した形の穴を開けた(以下テフロンシートと言
う)。
図面に示すように、テフロンシート(4)をスライド
グラス#01(5)およびスライドグラス#02(3)でサ
ンドイッチ状に挟み、本発明における密閉型容器部分を
作成した。該容器部分はさらにその両側にひと回り大き
なシリコンゴムシート及びアルミ板でサンドイッチ状に
挟み、アルミ板に設けたねじ穴を用いて両端のアルミ板
を締めつけて、該容器にスキ間が生じないようにした。
またスライドグラス#02側のシリコンゴムシート及びア
ルミ板には、テフロンシートに開けたと同じ穴を設け、
スライドグラス#02から突き出しているテフロンチュー
ブ(1)(2)を防げないように、また容器内の様子が
観察できるように配慮した。
送液装置 送液装置はギルソン社製ミニパルスポンプを用いた。
本発明において発生する脈流は実用上支障の無いレベル
であった。本ポンプには2本の塩化ビニルチューブがセ
ットされており、各チューブはそれぞれ三方活栓を経由
した後に1本にまとめられ、密閉容器から突き出してい
る2本のテフロンチューブのうち1本に接続された。
リンパ球浮遊液の調整 5週齢のオスのウィスターラット腸間膜リンパ節より
リンパ球を採取し、4℃に冷却した0.1%ウシアルブミ
ン添加ハンクス液(5mMHEPES pH7.2)(以下BSAハンク
ス液と言う)に1.4×107細胞/mlの濃度に浮遊させリン
パ球浮遊液とした。
T細胞、B細胞の分離採取 該リンパ球浮遊液110μを、マイクロシリンジに
て、送液装置と接続されていない方のテフロンチュー
ブ、すなわち洗浄液流出口兼用の細胞浮遊液注入口
(1)より容器内に注入した。この時、該容器は4℃に
冷却しておいたハンクス液に、細胞浮遊液注入口が液面
下に埋没しない程度に、かつ水平になるようにあらかじ
め浸しておいた。リンパ球浮遊液注入後、4分30秒間そ
のまま静置し、次いで送液ポンプにセットされた2本の
チューブのうち、1本のみが該容器とつながるように三
方活栓を操作し、あらかじめ駆動させておいた送液ポン
プから0.95ml/分の流速(この時の剪断速度は82.6se
c-1)でBSAハンクス液を流入口(2)から該容器に35秒
間流入させ、この間に流出口(1)から流れ出てくる液
を試験管#01に回収した。次いで送液ポンプにセットさ
れた2本のチューブが両方とも該容器につながるように
三方活栓を操作し、1.9ml/分の流速(この時の剪断速度
は405.3sec-1)でBSAハンクス液を流入口(2)から該
容器に60秒間流入させ、この間に流出口(1)から流れ
出てくる液を試験管#02に回収した。
判定 試験管#01および#02に回収された液の細胞濃度を血
球計算板にて測定し、それぞれの細胞濃度と液の容積か
ら、試験管#01および#02に回収された細胞数を算定し
た。
次いでFITC標識ウサギ抗ラット免疫グロブリン抗体を
用いて、試験管#01および#02に回収された細胞及び本
装置によって分離される前のリンパ球浮遊液中に含まれ
るB細胞に染色し、それぞれに何%のB細胞が含まれて
いるかを、蛍光顕微鏡を用いて、測定した。
容器に注入された細胞の数をn0、試験管#01に回収さ
れた細胞の数をn01、試験管#02に回収された細胞の数
をn02とし、各々に含まれるB細胞の比率を[B0]、[B
01]、[B02]と表わすと、試験管#01および#02にお
けるB細胞の回収率B01/B0、B02/B0はそれぞれ次式によ
って算出される。
同様に、次式によって非B細胞(腸間膜リンパ節細胞
においては、そのほとんどがT細胞である)の回収率NB
01/NB0、NB02/NB0が算出される。
その結果、試験管#01中の細胞は全て非B細胞であ
り、かつ非B細胞の99.2%がこの分画に回収されてい
た。また試験管#02中の細胞は全てB細胞であり、かつ
B細胞の98.9%がこの分画に回収されていた。以上の結
果は実質上T細胞とB細胞が完全に分離され、しかもほ
ぼ完全に回収されたことを示している。
(比較例1) #01のポリマー40mgを20mlのエタノールに溶解させ、
これに硫酸と水で順次洗浄した48〜60メッシュのガラス
ビーズ20gを浸漬させた。これを室温で1時間撹拌した
後、窒素雰囲気下で濾過し、乾燥させた。このようにし
て調製したポリマーのコーティングされたガラスビーズ
1gを、内径3mm、長さ10cmの塩化ビニルチューブに生理
食塩水で充填を行なった後、16時間放置した。
このカラムにハンクス液5mlを1分間かけて流した。
次に、ラットの腸間膜リンパ節より採取したリンパ球を
3.9×107/mlの濃度でBSAハンクス液に浮遊させたサンプ
ルをカラム上部に0.24ml注入し、次いで0.4ml/分の速度
でハンクス液を0.66ml流下させ、カラム下部より流出し
てくるサンプルを採取した(試験管#03)。
次いで、カラムを解体してガラスビーズを取り出し、
BSAハンクス液中でパスツールピペットを用いてピペッ
ティングを行ない、離脱してくる細胞を回収した(試験
管#04)。
判定は実施例1と同様に行なった。その結果、試験管
#03に含まれる細胞の92.6%が非B細胞であり、この分
画には非B細胞の95.0%が回収されていた。一方、試験
管#04に含まれる細胞の89.5%がB細胞であり、この分
画にはB細胞の68.4%が回収されていた。
(発明の効果) 本発明によれば、従来の技術よりも簡便かつ低コスト
に、しかもT細胞とB細胞とをほぼ完全に分離し採取す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
図は、本発明装置の密閉型容器部分の1例を示す分解図
である。 1.細胞浮遊液注入口(洗浄液流出口) 2.洗浄液流入口 3.上蓋 4.厚み調整板 5.高分子体でおおった底板
フロントページの続き (72)発明者 ジェイ・カルビン・ギディングス アメリカ合衆国ユタ州84108・ソルト・ レイク・シティ・キリオン・キャニオン 6660番地 (72)発明者 片岡 一則 千葉県柏市大室1083―4、141―9 (72)発明者 桜井 靖久 東京都杉並区永福3―17―6 (56)参考文献 特開 昭56−53616(JP,A) 特開 昭59−216584(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】細胞浮遊液をその内表面が下記構造式
    (イ)および(ロ)で示される重合単位からなる高分子
    体で覆われている密閉型の容器に注入して、細胞を重力
    により沈降させ、高分子体と接触、吸着させる第1工程
    と、密封型の容器に流入する洗浄液の流速によって吸着
    細胞を先づT細胞を次いでB細胞の順に離脱させる第2
    工程からなるT細胞、B細胞の分離採取方法。 [ただし、ベンゼン骨格に対する置換基の位置はmおよ
    びpであり、XはHまたはNHRで表わし、R=ClH
    2l+1(l=1、2、3)、nは0〜100の整数であ
    る。]
  2. 【請求項2】細胞浮遊注入口およびこれと兼用または独
    立の洗浄液流入口と洗浄液流出口を持ち、細胞を重力に
    よって沈降させて、その内表面に接触させうる構造を有
    し、かつ沈降した細胞が接触し得る該内表面が下記構造
    式(イ)および(ロ)で示される重合単位からなる高分
    子体で覆われている密封型の容器と、該洗浄液流入口又
    は流出口のいずれか一方に接続された流速可変型の送液
    装置とからなる、T細胞、B細胞の分離採取装置。 [ただし、ベンゼン骨格に対する置換基の位置はmおよ
    びpであり、XはHまたはNHRで表わし、R=C H2+1
    (l=1、2、3)、nは0〜100の整数である。]
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