JP2629154B2 - 施肥装置付き田植機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、苗植付装置の苗植付機
構の上方に施肥装置を配置した施肥装置付き田植機に関
する。

【０００２】

【従来の技術】前述のような施肥装置付き田植機の一例
が実開平２‐７０６１８号公報に開示されている。この
施肥装置付き田植機においては、苗植付機構の苗植付作
動に伴って圃場の泥土が上方の施肥装置に跳ね上げられ
るのを防止する為に、苗植付機構の上方に泥土避けカバ
ーが配置されており、さらに施肥装置において肥料から
分離した細粉を回収する肥料計量カップ（肥料貯留部に
相当）が備えられる。この場合、施肥装置の下方におい
て泥土避けカバーは苗植付機構を支持する伝動ケース
に、支持部材を介して着脱自在に支持されており、肥料
計量カップは施肥装置の繰り出し部に対してその下部に
着脱自在に支持されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前述のように泥土避け
カバーが下方の伝動ケース側に支持され、肥料計量カッ
プが施肥装置の繰り出し部に支持されていると、泥土避
けカバー及び肥料計量カップを着脱する際、まず、泥土
避けカバーを伝動ケースに対して取り外し又は取付し、
その後に肥料計量カップを施肥装置から取り外し又は取
付する、と言うように、泥土避けカバー及び肥料計量カ
ップを別々に着脱しなければならないので、作業性の面
で改善の余地があり、また、夫々が狭い作業空間での着
脱作業となるため、時間的ロスの多い煩雑な作業を余儀
なくされるものであった。また、泥土避けカバーが支持
部材を介して伝動ケースに支持されていると、苗植付機
構が泥土を跳ね上げた際に泥土が泥土避けカバーばかり
ではなく、支持部材にも付着することになる。従って、
泥土避けカバーの掃除を行う場合、泥土避けカバーばか
りでなく支持部材の泥土の除去を行う必要があり、この
支持部材の泥土の除去も比較的複雑な形状をしている支
持部材のために行い難いものになっている。本発明の目
的は、施肥装置付き田植機において泥土避けカバーと、
肥料貯留部とを備えた場合、泥土避けカバー及び肥料貯
留部の着脱が容易に行えるように構成するとともに、泥
土の除去を行い易くしてメンテナンスの簡便化を図るこ
とを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に講じた本発明の技術手段は、肥料収納容器の下側に繰
り出し部を備え、この繰り出し部の下方から繰り出され
た肥料を作溝器側へ流下案内する案内ホースを設けてあ
る施肥装置と、苗植付機構とを備え、かつ、前記繰り出
し部及び肥料収納容器が前記苗植付機構の上方に位置す
る状態に配設した苗植付装置を備える施肥装置付き田植
機において、前記施肥装置の繰り出し部に、流下途中の
肥料を受け入れ可能な肥料貯留部を備えるとともに、こ
の肥料貯留部の下側に、前記苗植付機構の上方を覆う泥
土の跳ね上げ阻止用の泥土避けカバーを備え、この前記
肥料貯留部と泥土避けカバーとを、前記施肥装置の繰り
出し部に対して一体的に着脱自在に支持してあることで
ある。

【０００５】

【作用】本発明のように構成すると、苗植付機構の上方
に配置される泥土避けカバーは、従来の構成のような苗
植付機構の伝動ケースにではなく、苗植付機構の上方側
に位置する施肥装置の繰り出し部に肥料貯留部を介して
支持されることになるので、従来の構成のように泥土避
けカバーを苗植付機構の伝動ケースに対して支持させる
支持部材は不要になる。

【０００６】従って、苗植付機構が泥土を跳ね上げるの
に伴い、施肥装置側への泥土の飛散を抑止するための泥
土避けカバーの下向きの泥避け面には、跳ね上げられた
泥土が付着するのに対して、泥土避けカバーを施肥装置
に対して支持する部分は泥土避けカバーの上方側に位置
しているので、この部分への泥土の付着も、前記施肥装
置側への泥土の飛散を防止するための泥土避けカバーに
よって防止される。

【０００７】また、泥土避けカバーを施肥装置側に支持
させるものであるから、繰り出し部や肥料貯留部を、最
大限、泥土避けカバーに近づけた状態に設けることがで
きる。したがって、泥の付着を回避したい肥料貯留部や
繰り出し部に対する泥土避けカバーとして、比較的小面
積で小型のカバーを用いながら、肥料貯留部や繰り出し
部に対する効果的な泥避け効果を期待することができ
る。

【０００８】肥料貯留部と泥土避けカバーとを、前記施
肥装置の繰り出し部に対して一体的に着脱自在に支持し
てあるので、肥料貯留部と泥土避けカバーとを施肥装置
に対して一度に着脱することが可能である。

【０００９】

【発明の効果】以上のように施肥装置付き田植機におい
て、既存のものと言ってよい肥料貯留部を泥土避けカバ
ーの支持部材に兼用して施肥装置に泥土避けカバーを支
持させることにより、泥土避けカバーの支持部材を省略
し、部品点数の削減による構造の簡素化を図ることがで
きる。そして、泥土避けカバーの存在によって肥料貯留
部への泥土の付着は防止され、かつ、泥土避けカバーの
支持手段が泥土避けカバーの下側には存在しない。その
ため、メンテナンスに際しては、肥料貯留部の掃除は必
要ではなく、また、支持部材も存在しないのでこれの掃
除も必要ではなく、泥土避けカバーそのものの泥土の掃
除を行なうだけで、メンテナンスの際に必要な掃除を済
ますことができ、その掃除が簡単になるという実用上の
利点がある。しかも、泥土避けカバーを施肥装置側に支
持させて、繰り出し部や肥料貯留部を、最大限、泥土避
けカバーに近づけた状態に設けることができるので、泥
土避けカバーとして比較的小面積で小型のカバーを用い
ながら、泥の付着を回避したい肥料貯留部や繰り出し部
に対する泥土飛散を確実に回避することができる。ま
た、肥料貯留部及び泥土避けカバーを施肥装置に対して
一度に着脱することが可能であるから、狭い空間内で各
別に着脱する場合に比べて、肥料貯留部及び泥土避けカ
バーの着脱が容易に行えるようになり、施肥装置付き田
植機のメンテナンスの作業性を向上させることができ
た。そして、寸法的に比較的小さなものであり、取り外
し状態では起立姿勢も安定し難いものであるところの前
記肥料貯留部が、泥土避けカバーと一体的に着脱される
ことにより、取り外し状態での下面側に面積の大きい泥
土避けカバーを備えて、起立姿勢も安定し、簡単に転倒
するような虞がなく、また、面積の大きな泥土避けカバ
ーと一体化されて寸法的に比較的大きなものとなるた
め、着脱の際に紛失する虞も少ない。

【００１０】

【実施例】図１及び図２に、本発明の施肥装置付き田植
機における苗植付装置１及び施肥装置２を示している。
苗植付装置１は、苗植付条毎にチェーンケース３からの
動力によって回転する回転ケース４に２つの植付アーム
５を設け、苗のせ台６に載置されたマット状苗７から、
植付アーム５の端部に設けた植付爪８で苗を取り出して
圃場に植え付けるように構成されている。この場合、回
転ケース４、植付アーム５及び植付爪８により苗植付機
構９が構成されており、整地フロート１０が備えられて
いる。

【００１１】施肥装置２は、肥料を貯留するためのホッ
パ１１（肥料収納容器に相当）の下部に設けた繰出ケー
ス１２ａに繰出機構１２（繰り出し部に相当）によっ
て、ホッパ１１内の肥料を所定量ずつ送り出し、この繰
出機構１２の下部空間及び案内ホース１３、作溝器１４
で形成される肥料供給経路を介して圃場面に肥料を送り
込むように構成されている。

【００１２】施肥装置２では図１から図５に示すよう
に、繰出機構１２の下部に連結される経路切換ケース１
５の下部に、肥料から分離した細粉を網体１６を介して
回収する透明樹脂製の肥料計量カップ１７（肥料貯留部
に相当）が接続されている。苗植付機構９からの泥土が
施肥装置２に跳ね上がらないように阻止するための泥土
避けカバー１８が備えられており、泥土避けカバー１８
と一対の肥料計量カップ１７とが合成樹脂で一体に成型
されて、泥土避けカバー１８と肥料計量カップ１７と
が、後者が前者の上側に位置する状態に互いに一体的に
構成されている。泥土避けカバー１８の前縁部より前方
下方に延出された状態で、案内ホース１３を保持する一
対のホースガイド１９が、２つの苗植付条の位置に対応
させて備えられており、ホースガイド１９も肥料計量カ
ップ１７及び泥土避けカバー１８と一体に成型されてい
る。

【００１３】図３及び図５に示すように肥料計量カップ
１７は上部が傾斜面に形成されており、この傾斜面に網
体１６を着脱自在に設けて、肥料計量カップ１７を下方
から挿入することで傾斜面の外縁部１７ａと、経路切換
ケース１５の嵌合面１５ａとが嵌合するよう構成されて
いる。図３に示すように形状を設定した嵌合部２０が肥
料計量カップ１７に設けられており、嵌合部２０は経路
切換ケース１５に設けられた被嵌合部２１に対して嵌脱
自在に構成されている。

【００１４】繰出機構１２における繰出ケース１２ａの
左右外側面部の下部に、横軸芯周りで揺動操作自在な係
止レバー２２が設けられており、係止レバー２２と係合
する突片２３，２４が、経路切換ケース１５及び肥料計
量カップ１７の各々の外面に突設されている。これによ
り、係止レバー２２と突片２３，２４との係合によっ
て、繰出ケース１２ａと肥料計量カップ１７とが一体的
に連結保持され、肥料計量カップ１７の保持に伴って、
泥土避けカバー１８とホースガイド１９の位置保持も行
われる。

【００１５】図４に示すようにホッパ１１の下部に、ホ
ッパ１１内にある肥料の重量を計量する荷重検出センサ
２５が設けられている。荷重検出センサ２５の検出信号
が機体に備えられた制御装置２６に入力されており、苗
植付機構９の作動の入切操作を行う植付レバー２７の作
動状態を検出するリミットスイッチ２８の信号も、制御
装置２６に入力されている。機体に備えられた操縦パネ
ル２９の表示部に荷重検出センサ２５で検出された肥料
の重量をデジタル表示する表示手段３０に、苗植付機構
９を作動入り状態に操作してから作動切り状態に操作す
るまでに減少したホッパ１１内の肥料の重量に基づい
て、ホッパ１１内の肥料の残量が植付行程の何行程分あ
るかを表示するように、制御装置２６が構成されてい
る。

【００１６】この場合に制御装置２６は、植付レバー２
７が入り操作された時点のリミットスイッチ２８の検出
信号で荷重検出センサ２５の検出信号を記憶し、次に植
付レバー２７の切り操作された時点のリミットスイッチ
２８の検出信号で荷重センサ２５の検出信号を記憶し
て、両方の検出信号の差により後の検出信号を割り算す
ることで、肥料のホッパ１１内の残量が植付行程の何行
程分あるかを表示するように構成されており、表示手段
３０の表示をリセットするリセットボタン３１も備えら
れている。

【００１７】本発明は、次のように実施しても良い。 （イ）前述の発明の実施の形態では、一対の肥料計量カ
ップ１７と１つの泥土避けカバー１８とを一体に成型し
た構造のものを示したが、１つの肥料計量カップ１７と
１つの泥土避けカバー１８とを一体に成型する。この場
合、泥土避けカバー１８は苗植付条の１条分の幅に設定
する。 （ロ）ホースガイド１９は肥料計量カップ１７や泥土避
けカバー１８とは別体に構成する。

【００１８】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】施肥装置及び苗植付装置を示す側面図

【図２】施肥装置及び苗植付装置を示す背面図

【図３】施肥装置の繰出機構、肥料計量カップ及び泥土
避けカバー付近の縦断背面図

【図４】施肥装置の繰出機構、肥料計量カップ及び泥土
避けカバー付近の縦断側面図

【図５】肥料計量カップ、泥土避けカバー及びホースガ
イドを示す斜視図

【符号の説明】

１ 苗植付装置 ２ 施肥装置 ９ 苗植付機構 １１ 肥料収納容器 １２ 繰り出し部 １３ 案内ホース １４ 作溝器 １７ 肥料貯留部 １８ 泥土避けカバー

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 肥料収納容器（１１）の下側に繰り出し
   部（１２）を備え、この繰り出し部（１２）の下方から
   繰り出された肥料を作溝器（１４）側へ流下案内する案
   内ホース（１３）を設けてある施肥装置（２）と、苗植
   付機構（９）とを備え、かつ、前記繰り出し部（１２）
   及び肥料収納容器（１１）が前記苗植付機構（９）の上
   方に位置する状態に配設した苗植付装置（１）を備える
   施肥装置付き田植機において、 前記施肥装置（２）の繰り出し部（１２）に、流下途中
   の肥料を受け入れ可能な肥料貯留部（１７）を備えると
   ともに、この肥料貯留部（１７）の下側に、前記苗植付
   機構（９）の上方を覆う泥土の跳ね上げ阻止用の泥土避
   けカバー（１８）を備え、 この前記肥料貯留部（１７）と泥土避けカバー（１８）
   とを、前記施肥装置（２）の繰り出し部（１２）に対し
   て一体的に着脱自在に支持してある 施肥装置付き田植
   機。