JP2626981B2 - 研磨フィルム - Google Patents

研磨フィルム

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徳道 川島
義昭 三輪
一也 折井
酒井  茂
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東京磁気印刷株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ポリッシング、ラッピング加工、特に、精
密機器、精密部品の仕上げ加工に使用するのに適した研
磨フィルムに関するものである。
従来の技術 この種の研磨フィルムとしては、従来、プラスチック
フィルム上に、研磨材を分散させた塗料を塗布して、連
続あるいは不連続な研磨層を形成させたようなものがあ
り、その研磨材として、電融アルミナを粉砕して得られ
たアルミナ砥粒(WA)を用いるものがあった。
発明が解決しようとする問題点 このような従来の粉砕アルミナ砥粒を研磨材として用
いた研磨フィルムでは、その表面仕上げ性能の点で問題
があった。すなわち、研磨材として粒度の小さい粉砕ア
ルミナ砥粒を用いれば、表面仕上げ性能を高めることは
できるのであるが、研削力がそれだけ低下してしまう。
このように、従来の粉砕アルミナ砥粒を用いた研磨フィ
ルムでは、研削力を退化させずに、表面仕上げ性能を所
望値まで高めることは困難であった。
本発明の目的は、このような従来の問題点を解消しう
る研磨フィルムを提供することである。
問題点を解決するための手段 本発明による研削フィルムは、フィルム基体上に、板
状アルミナ粉を、該板状アルミナ粉の広い板面が前記フ
ィルム基体の延長方向とほぼ平行となるようにして且つ
多層にて、バインダー樹脂中に分散させてなる研磨層を
形成したことを特徴とする。
実施例 次に、添付図面に基づいて、本発明の実施例につい
て、本発明をより詳細に説明する。
第1図は、本発明の一実施例として研磨フィルムの一
部を示す断面図であり、この実施例の研磨フィルムは、
プラスチックフィルム1の上に、バインダー樹脂3中に
板状アルミナ砥粒2を分散させてなる研磨層を連続的に
形成したものである。第1図の断面図によく示されてい
るように、板状アルミナ砥粒2は、その広い板面がプラ
スチックフィルム1の延長方向とほぼ平行となるように
して且つ多層にて、バインダー樹脂3中に分散されてい
る。第2図は、本発明の別の実施例として研磨フィルム
の一部を示す断面図であり、この実施例の研磨フィルム
は、裏面に粘着剤層4および離型紙5を有したプラスチ
ックフィルム1の表面上に、バインダー樹脂3中に板状
アルミナ砥粒2を分散させてなる研磨層を連続的に形成
したものである。第3図は、本発明のさらに別の実施例
としての研磨フィルムの一部を示す断面図であり、この
実施例の研磨フィルムは、研磨層が不連続または島状に
形成されている以外は、第1図の実施例と同様である。
第4図は、本発明のさらに別の実施例としての研磨フィ
ルムの一部を示す断面図であり、この実施例の研磨フィ
ルムは、研磨層が不連続または島状である以外は、第2
図の実施例と同様である。また、これら研磨フィルム
は、テープシート、ディスク状等任意の形に加工して使
用できるものである。
前述したような本発明の研磨フィルムにおいて、板状
アルミナ砥粒として使用するのに適したものとしては、
例えば、板状アルミナPWAシリーズ(不二見研磨材株式
会社製)、TS−MICROシリーズ(ロンザ株式会社)等が
ある。この場合において、実験によれば、使用する板状
アルミナ砥粒の粒径は、0.1μm〜100μmの範囲が適当
であり、最も望ましい粒径としては、0.5μm〜30μm
である。
また、バインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂および
熱可塑性樹脂が使用でき、熱硬化性樹脂としては、2液
硬化型ウレタン、1液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ・
ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等、100℃以
下で反応(高分子化=硬化)するものが適している。熱
可塑性樹脂としては、各種アクリル樹脂、ビニル系樹
脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、エステル系樹脂
等が使用でき、また、ゴム系樹脂であるウレタンエラス
トマー、ニトリルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴ
ム、エチレン酢ビゴム、フッ素ゴム等も使用できる。
フィルム基体であるプラスチックフィルムとしては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリカーボ
ネイトおよびそれらを表面処理したもの、その他合成
紙、不織布等を使用することができる。
また、実験によれば、使用する板状アルミナ砥粒の研
磨層中における砥粒濃度は、10%〜90%の範囲が適当で
ある。
次に、本発明の具体的実験例について説明する。
具体的実験例(1) この実験例は、本発明による研磨フィルムを試作実験
するため、研磨層のバインダー樹脂として熱硬化型樹脂
を使用した場合の例であり、先ず、次の表1に示すよう
な組成の塗工剤を準備する。
但し、数値は、重量部を示し、PWA−9は、粒径d50=9.
5μmのものである。
表1の組成の塗工剤をメイヤーバーコーター、グラビ
ヤコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター
等で、75μm厚さのポリエチレンテレフタレートフィル
ム上に、10μm〜100μmの厚さに塗布し、溶剤を乾燥
後、60℃で48時間硬化して研磨シートを製造した。その
研磨シートを用いて圧力140g/cm2、回転数200rpm、ワー
ク回転数125rpmで、アルミを研磨し、一定時間毎に研磨
されたアルミの表面粗さおよび体積を測定した。
比較実験例(1) 一方、前述した本発明による具体的実験例(1)の研
磨フィルムとの作用効果を確認するために、これと比較
しうる従来の研磨フィルムを作製するため、次の表2に
示すような組成の塗工剤を準備し、具体的実験例(1)
と同様に塗布し、具体的実験例(1)と同一の研磨およ
び評価を行った。
但し、数値は、重量部を示し、WA1500は、粒径d50=9.9
μmのものである。
具体的実験例(1)における研磨フィルムの研磨時間
対表面粗さの関係を示すと、第5図の曲線Aの如くな
り、比較実験例(1)における研磨フィルムの研磨時間
対表面粗さの関係を示すと、第5図の曲線Bの如くなっ
た。また、具体的実験例(1)における研磨フィルムの
研磨時間対累積研削量の関係を示すと、第6図の曲線A
の如くなり、比較実験例(1)における研磨フィルムの
研磨時間対累積研削量の関係を示すと、第6図の曲線B
の如くなった。これらの曲線を比較すると明らかなよう
に、本発明によって研磨材として板状アルミナ砥粒を使
用することにより、従来の如く粉砕アルミナ砥粒を用い
る場合より、研削力をほぼ同等に保ちつつ、表面粗さを
小さくすることができる。
具体的実験例(2) この実験例は、本発明による研磨フィルムを試験実験
するため、研磨層のバインダー樹脂として熱可塑性樹脂
を使用した場合の例であり、先ず、次の表3に示すよう
な組成の塗工剤を準備する。
但し、数値は、重量部を示し、PWA−9は、粒径d50=9.
5μmのものである。
表3の組成の塗工剤をメイヤーバーコーター、グラビ
ヤコーター、リバースロールコーター、ナイフコーター
等で、75μm厚さのポリエチレンテレフタレートフィル
ム上に、10μm〜100μmの厚さに塗布し、溶剤を乾燥
後、60℃で48時間硬化して研磨シートを製造した。その
研磨シートを用いて圧力140g/cm2、回転数200rpm、ワー
ク回転数125rpmで、アルミを研磨し、一定時間毎に研磨
されたアルミの表面粗さおよび体積を測定した。
比較実験例(2) 一方、前述した本発明による具体的実験例(2)の研
磨フィルムとの作用効果を確認するために、これと比較
しうる従来の研磨フィルムを作製するため、次の表4に
示すような組成の塗工剤を準備し具体的実験例(2)と
同様に塗布し、具体的実験例(2)と同一の研磨および
評価を行った。
但し、数値は、重量部を示し、WA1500は、粒径d50=9.9
μmのものである。
具体的実験例(2)における研磨フィルムの研磨時間
対表面粗さの関係を示すと、第7図の曲線Aの如くな
り、比較実験例(2)における研磨フィルムの研磨時間
対表面粗さの関係を示すと、第7図の曲線Bの如くなっ
た。また、具体的実験例(2)における研磨フィルムの
研磨時間対累積研削量の関係を示すと、第8図の曲線A
の如くなり、比較実験例(2)における研磨フィルムの
研磨時間対累積研削量の関係を示すと、第8図の曲線B
の如くなった。これらの曲線を比較すると明らかなよう
に、本発明によって研磨材として板状アルミナ砥粒を使
用することにより、従来の如く粉砕アルミナ砥粒を用い
る場合より、研削力をほぼ同等に保ちつつ、表面粗さを
小さくすることができる。
その他の具体的実験例を次の表5および6にまとめて
示し、それにそれぞれ対応する比較実験例を同じNO.に
てまとめて示す。実験条件は、実験例(1)と同じであ
る。
但し、表5および6において、Aは、アルミ、Bは、ポ
リメチルメタクリレート、Cは、アルミナを示し、D
は、PWA−9を示し、Eは、VAGH(UCC社製 塩ビ、酢
ビ、ビニルアルコール・トリポリマー)=100、C−L
(日本ポリウレタン工業製 コロネートL)=12.5を示
し、Fは、N2304=100を示しており、Gは、WA1500を示
している。
発明の効果 前述の説明から明らかなように、本発明による板状ア
ルミナ粉を研磨材として使用した研磨フィルムは、同じ
粒径の粉砕アルミナ粉を研磨材として使用する従来の研
磨フィルムに比較して、同等の研削性を有し、且つ研削
後の仕上り表面粗さを小さいものとすることができる。
従って、本発明の研磨フィルムは、高精密研磨に適し、
高能率で表面粗さの小さい研削を行うことができ、ま
た、寿命が長いので、研磨フィルムの使用量を減らすこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の一実施例としての研磨フィルムの一
部分を示す断面図、第2図は、本発明の別の実施例とし
ての研磨フィルムの一部分を示す断面図、第3図は、本
発明のさらに別の実施例としての研磨フィルムの一部分
を示す断面図、第4図は、本発明のさらに別の実施例と
しての研磨フィルムの一部分を示す断面図、第5図は、
本発明の一実施例の研磨フィルムと従来の研磨フィルム
との仕上げ表面粗さ特性を比較して示す図、第6図は、
本発明の一実施例の研磨フィルムと従来の研磨フィルム
との研削力を比較して示す図、第7図は、本発明の別の
実施例の研磨フィルムと従来の研磨フィルムとの仕上げ
表面粗さ特性を比較して示す図、第8図は、本発明の別
の実施例の研磨フィルムと従来の研磨フィルムとの研削
力を比較して示す図である。 1……プラスチックフィルム、 2……板状アルミナ砥粒、3……バインダー樹脂。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 茂 東京都台東区台東1―5―1 東京磁気 印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−127973(JP,A) 特開 昭62−224579(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルム基体上に、板状アルミナ粉を、該
    板状アルミナ粉の広い板面が前記フィルム基体の延長方
    向とほぼ平行となるようにして且つ多層にて、バインダ
    ー樹脂中に分散させてなる研磨層を形成したことを特徴
    とする研磨フィルム。
  2. 【請求項2】前記研磨層における前記板状アルミナ粉の
    濃度は、10%から90%の範囲である特許請求の範囲第
    (1)項記載の研磨フィルム。
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