JP2626371B2 - 車 体 - Google Patents

車 体

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JP2626371B2
JP2626371B2 JP3308941A JP30894191A JP2626371B2 JP 2626371 B2 JP2626371 B2 JP 2626371B2 JP 3308941 A JP3308941 A JP 3308941A JP 30894191 A JP30894191 A JP 30894191A JP 2626371 B2 JP2626371 B2 JP 2626371B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車体に係り、特に高速
で走行するものに好適な鉄道車両の車体に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道車両の車体の幅方向断面形状
において、室内の幅が天井部分および床部分ともほぼ同
じ寸法となっているものが主流である。デザインおよび
見栄えの面からも、天井部分の幅を少し狭くして円弧形
状としたり、台枠下側も円弧形状にしたりしている。と
ころで、高速で走行する鉄道車両の車体は、軽量化構造
(材質はアルミ合金主体で、リベット構造、フォロー材
構造、ハニカムパネル構造)を採用している。これら、
車体の断面形状としては、例えば、軽金属車両委員会報
告書No.3 昭和49年−昭和52年、昭和53年9
月15日 社団法人日本鉄道車輌工業会発行の、第70
頁及至72頁に記載され構造が挙げられる。また、別の
車体構造としては、例えば、特開平1−145259号
が挙げられる。これは台枠部を強度確保のために異種金
属で構成する構造であり、軽合金製押出し型材からなる
側梁にステンレス鋼或いは高張力鋼の横梁を機械的結合
手段によって締結した構造となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、鉄道車両におい
ては、走行速度を向上させる気運と要求が強くなり、一
部は具体化されてきている。このような鉄道車両の走行
速度向上に伴って、環境問題すなわち騒音問題のクロー
ズアップ、運転動力の増大、乗心地の向上対策等の問題
が懸念されている。これらの問題点を解決するために
は、鉄道車両の軽量化はもちろんであるが、車体の断面
形状を最適化し、ムダを排除することが必要となってき
ている。しかしながら、車体の軽量化および空気抵抗の
削減の観点から、その幅方向断面形状について十分な検
討されていない。すなわち、これまでの車体は、その幅
方向断面形状の縮小や空気抵抗削減を図る観点から十分
な配慮がなされていなかった。床下機器を納めることを
前提条件にして車体の幅方向断面の曲率半径を決定し室
内部分まで伸ばすと、車体幅が大きくなりすぎるし、必
要な室内幅を確保できる曲率半径で車体幅方向断面形状
を設定すると、床下機器部分までをカバーする場合には
床下機器室が狭くなり機器が取り付けられないという不
具合があった。
【0004】また、鉄道車両が高速でトンネル内を走行
する場合、車外圧力が急激に変化する事が知られてい
る。特に車両同士がトンネル内ですれ違う場合は大きな
圧力変動が発生する。この圧力変動を抑制するために
は、車体断面を小さくすると解決方向に向かうが、室内
の幅方向断面積は十分に確保し、かつ、床下機器の設置
スペースも確保したいという要求に対して相反する方向
にある。すなわち、室内および機器室を大きく取る事
と、車体断面を小さくする事は相反する関係にあり、実
現に困難な状況にある。
【0005】本発明の目的は、居住空間および機器設置
空間を確保し、かつ、空気抵抗の少ない車体を提供する
ことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的は、車体の乗客
収容部の側面を車外側へ凸の曲面に形成し、車体の前記
乗客収容部の下方に位置する機器収容部の側面を車外側
へ凸の曲面に形成し、前記乗客収容部曲面と機器収容
曲面との間の側梁の側面を内側へ凸の曲面に形成し
ており、 該内側へ凸の曲面の曲率は前記乗客収容部の曲
面および前記機器収容部の曲面の曲率よりも小さく設け
ており、 前記側梁は、車体の長手方向に沿った中空部を
有する押出型材であり、前記中空部は該側梁の曲面内の
該曲面に沿って複数有すること、によって達成できる。
【0007】
【作用】車体の乗客収容部と機器収容部それぞれの側
面を車外側に凸の曲面に形成することによって、客室部
および機器室の内部スペースを広く確保でき、かつ、乗
客収容部曲面機器収容部曲面を内側へ凸の曲面を
介してつなぐことにより、車体の幅方向断面積を小さく
して空気抵抗を減少させることができる。また、乗客収
容部と機器収容部との間は車内側への凸の曲面に構成
し、例えば4角形の凹みではないので、圧力に対して局
部的な応力集中を防止でき、側梁の肉厚の増加を防止で
き、軽量にできるものである。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1ないし図3に
よって説明する。同図において、11は鉄道車両の車体
である。該車体11はその両側面をなす側構体12、上
面すなわち屋根部分をなす屋根構体13、下面をなす台
枠14および両端面をなす妻構体15から構成されてい
る。前記側構体12は、曲率半径Rの車外側へ凸の円弧
状曲面に形成されている。そして、乗客が着席した際の
ほぼ肩の高さにその中心が位置している。したがって、
前記曲率半径Rの中心位置の幅Wが車体11の最大幅と
なる。なお、側構体12の曲率半径は高さ方向中間部は
単一とし、上部について屋根構体13との接続を考慮し
て小さな曲率半径の曲面に形成されている。屋根構体1
3は曲率半径R2の円弧状曲面に形成されている。な
お、前記側構体12と屋根構体13の曲率半径はR2>
Rの関係にある。16は前記台枠14を構成する側梁
で、該台枠14の車体幅方向両側位置に車体長手方向に
引通して配置されている。17,17tは前記各側梁1
6の間に設置される横梁である。該各横梁17,17t
はそれぞれの端部を前記側梁16の側面に接合されてい
る。横梁17は車体長手方向両端部の台車設置位置を除
く一般部すなわちほぼ客室部分に対応して設置されるも
のである。該横梁17の下面には主に床下機器18が取
付けられる。前記横梁17tは台枠14の台車設置位置
をなす横梁であって、枕梁、中梁および端梁も該横梁1
7tと同様な高さ位置に設置される。すなわち、横梁1
7tは台枠14の下方向に台車(図示省略)を設置する
関係から該台車の高さ寸法を考慮して、前記横梁17よ
りも高い位置に設けられている。19は前記側梁16の
下部から床下機器18の側面を覆うスカートである。
【0009】前記側梁16は上部材20aと下部材20
bとから構成されており、いずれも軽合金製中空押出型
材である。なお、中空押出型材として大型なものが形成
できれば前記上部材と下部材は一体成形するほうが有利
である。前記上部材20aと下部材20bは車体幅方向
の内側および外側の溶接部22で連続的に接合されてい
る。前記上部材20aは上面側が前記側構体12の長土
台が接合されるように形成されている。また、該上部材
20aの内側側面には横梁17,17tの上辺を受ける
フランジ部が一体に形成されており、必要に応じて切削
される。上部材20aの外側側面は車内側へ凸の曲面
あり、曲率半径は本実施例の場合、80mmすなわちR8
0の半径の円弧面に形成されている。そして、該上部材
20aの外面部と内部部との間をつなぐリブ28は、前
記R80の円弧面の円弧中心にそれぞれの面方向が向く
ように形成されている。すなわち各リブ28は上部材2
0aの外面部円弧中心から放射状にそれぞれの平面部が
形成されている。したがって、各リブ28は前記円弧面
の接線に対して直角に位置している。なお、前記上部材
20aと下部材20bとの接合部Aは、上部材20aの
強度上重要な円弧部を外れた下方のA位置となってい
る。前記上部材20aの外面上部は、前記側構体12の
円弧状曲面に連続した曲率半径Rの曲面をなしており、
該曲面と前記R80の曲面との接点Bでは、極力エッジ
をたてるように形成する。すなわち、該接点Bでは鈍角
な状態で、その角部をある曲率半径で丸めないように突
出させて形成する。
【0010】前記下部材20bの内側側面には、前記横
梁17,17tの下辺を受けるフランジ部が一体に形成
されており、必要に応じて削整される。該下部材20b
の外側側面には、前記スカート19の裏面に設けられた
支え23を受ける受24が一体に形成されている。前記
支え23の先端突起部が受24の凹部に着脱可能に嵌合
されるように両者は形成されており、この嵌合はワンタ
ッチで行なえる。また、下部材20bの外側側面の下方
すなわち前記受24の下方には、スカート19の支え2
3よりも下方に設けられたステー25を受けるブラケッ
ト26が一体に形成されている。該ステー25とブラケ
ット26はボルト27によって締結される。すなわち、
スカート19は支え23と下部材20bの受24に嵌合
させ、ステー25をブラケット26にボルト27によっ
て締結することにより固定される。
【0011】なお、スカート19は台枠14の上部位置
を中心とする曲率半径R1の円弧状曲面に形成され、外
表面が車外側へ凸の曲面に形成されている。なお、スカ
ート19の曲率半径R1は、床下機器18の幅を考慮し
て前記側構体12に対し、R>R1の関係にある。該ス
カート19の下端は床下機器18の下面縁部近傍まで伸
ばされており、該下端部は曲率半径が小さい。また、ス
カート19の下端は、レール上面RUとの隙間が床下機
器18との隙間とほぼ同様になるように構成されてい
る。該スカート19の上端部は、前記上部材20aの外
側曲面部の斜め下方へ伸びる接線すなわち本実施例の場
合水平面に対し下方へ45度傾いた接線に連続する曲面
を有し、該曲面が小さい曲率半径によって前記R1の曲
面に接続されている。すなわち、前記側梁16に形成さ
れるR80の曲面の上端部は、角部を突出させ、下端部
はその曲面の接線方向へ伸びた面でなだらかに形成され
ている。
【0012】21は客室内の床面であり、通常プラット
ホームと同一高さとなるように設定される。車体11の
最大最Wの位置は前記床面からほぼ600mm〜1000
mm程度の位置となる。前記横梁17の設置位置は、床下
機器18をレール上面RUとの許容隙間を考慮して決定
されるが、極力該横梁17の設置位置を下げる。そし
て、該横梁17と前記床面21との間隔を広くして、こ
の部分に設置される空調ダクトの面積の拡大を図る。ま
た、該空調ダクトとともに配線も床面21と横梁17の
間に設けられる。なお、前述のように横梁17の設置位
置を下げることによって、車体11全体として重心を下
げ走行安定性を向上できる。
【0013】ところで、本実施例のすくなくとも側構体
12および屋根構体13はハニカムパネルによって構成
される。また、必要に応じて前記ハニカムパネルを台枠
14を用いてもよい。
【0014】このような構成において、前記車体11は
それぞれのブロックすなわち側構体12、屋根構体1
3、台枠14および妻構体15が独立して製作される。
そしてこれらを組合せて接合することにより、前記車が
構成される。また、前記台枠14は、まず、側梁16を
上部材20aと下部材20bを接合することによって構
成する。ただし、該上部材20aと下部材20bの内側
面の横梁17,17t接合用のフランジは、それぞれ不
要な部分を予め切削して除去しておくものである。
【0015】スカート19は、車体11の横梁17に床
下機器16を取付けた後に取付けられる。
【0016】このような構成によれば、車体11の側面
の乗客収容部すなわち側構体12を、車外側へ凸の曲面
に形成しているため、従来の車体に比べて客室空間を乗
客の占有状況に合わせ広く確保できる。また、機器収容
部もスカート19を車外側へ凸の曲面としていることか
ら機器収容空間を広く確保できる。この側構体12とス
カート19の二つの曲面の間の側梁16の車外側の側面
を車内側(内側)へ凸の曲面に形成しているので、車体
11の車体幅方向断面積を従来のほぼ四角形にて下部に
曲面を設けた車体よりも狭くして空気抵抗を減少させる
ことができる。すなわち、車体11によれば、乗客収容
空間および機器収容空間を確保することができるととも
に該車体11の空気抵抗を減少させることができる。
【0017】また、乗客収容部と機器収容部との間は車
内側への凸の曲面に構成し、例えば4角形の凹みではな
いので、圧力に対して局部的な応力集中を防止でき、側
梁16の肉厚の増加を防止でき、軽量にできるものであ
る。
【0018】前記側梁16は、外側表面の車内側へ凸の
R80の曲面を一体の押出材として形成していること
から、該曲面部を容易に、かつ、精度よく、さらに車体
長手方向の全長にわたって形成することができる。ま
た、前記R80の曲面は中空押出型材であって内部のリ
ブ28が該曲面の円弧中心から放射状に形成されている
ことから、円弧状曲面に対し接線に直交するように該リ
ブ28が位置し該円弧状曲面の座屈を防止するのに最も
有効である。したがって、側梁16に作用する垂直方向
の曲げ荷重あるいは車端圧縮荷重に対して、該側梁16
の各部の板厚を薄くしても十分な強度、剛性を確保でき
る。このことは、車体11の軽量化および剛性向上につ
ながる。
【0019】前記側梁16は、B位置をR80の曲面の
曲率半径よりも小さい半径として隣接した曲面を可能な
限り伸ばして、エッジをたてることにより、該側梁16
自体の断面積を広く確保して断面係数を増大させること
ができる。これによって、側梁16の強度、剛性の向上
が図れる。また、側梁16の曲面の下方はスカート19
によって斜め下方45度に伸びた曲面によって、該スカ
ート19の主体となる曲面につづいているため、雨水や
塵埃が流れ易く、保守清掃面で有利である。さらに、側
梁16のB位置のシャープなエッジによって乗客収容部
すなわち客室部と機器収容部とに明確なアクセントを付
けることができ見栄えを向上させることができる。
【0020】前記スカート19は、側梁16に対し上下
2点で支持されるが、一方は嵌合のため、取付作業の簡
略化が図れる。また、該スカート19は床下機器18の
側面をほぼ完全に覆うことができ、車体側面を平滑化で
きることから、騒音と空気抵抗を低減することができ
る。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、乗
客収容部および機器収容部を車外側へ凸の曲面とし、か
つ、その間に内側へ凸の中間曲面を設置することによ
り、鉄道車両の車体の居住空間および機器設置空間が確
保できるとともに空気抵抗を低減することができる。
た、側梁の肉厚の増加を防止でき、軽量にできるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による鉄道車両の車体の一実施例を示し
た車体幅方向の断面図である。
【図2】図1における側梁の詳細構造を示す断面図であ
る。
【図3】図1に示した車体の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
11……車体、12……側構体、13……屋根構体、1
4……台枠、15……妻構体、16……側梁、17,1
7t……横梁、18……床下機器、19……スカート。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体の乗客収容部の側面を車外側へ凸の曲
    面に形成し、車体の前記乗客収容部の下方に位置する機
    器収容部の側面を車外側へ凸の曲面に形成し、前記乗客
    収容部曲面と機器収容部曲面との間の側梁の側面を
    内側へ凸の曲面に形成しており、 該内側へ凸の曲面の曲率は前記乗客収容部の曲面および
    前記機器収容部の曲面の曲率よりも小さく設けており、 前記側梁は、車体の長手方向に沿った中空部を有する押
    出型材であり、前記中空部は該側梁の曲面内の該曲面に
    沿って複数有すること、 を特徴とする車体
  2. 【請求項2】請求項1において、前記中空部を構成する
    リブは該側梁の前記曲面の中心部に向いていること、を
    特徴とする車体。
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