JP2625988B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

Info

Publication number
JP2625988B2
JP2625988B2 JP29012888A JP29012888A JP2625988B2 JP 2625988 B2 JP2625988 B2 JP 2625988B2 JP 29012888 A JP29012888 A JP 29012888A JP 29012888 A JP29012888 A JP 29012888A JP 2625988 B2 JP2625988 B2 JP 2625988B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
resin
weight
graft
integer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP29012888A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02138360A (ja
Inventor
貴志 蔵田
和美 中沢
友治 山元
Original Assignee
日本合成ゴム株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本合成ゴム株式会社 filed Critical 日本合成ゴム株式会社
Priority to JP29012888A priority Critical patent/JP2625988B2/ja
Priority to EP89120185A priority patent/EP0367219B1/en
Priority to US07/429,551 priority patent/US5147947A/en
Priority to DE68917858T priority patent/DE68917858T2/de
Publication of JPH02138360A publication Critical patent/JPH02138360A/ja
Priority to US07/883,220 priority patent/US5250615A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP2625988B2 publication Critical patent/JP2625988B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などの
熱可塑性樹脂の耐衝撃性、成形加工性、摺動性、耐摩耗
性、耐候性、成形外観を改良した熱可塑性樹脂組成物に
関する。
〔従来の技術〕
従来、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などの高融
点熱可塑性樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性に優れた
高性能エンジニアリングプラスチックとして知られてい
る。しかしながら、これらの熱可塑性樹脂、例えばポリ
フェニレンサルファイド系樹脂は、伸びが少なく硬い
が、反面、もろいという欠点を有している。
そこで、例えばこのポリフェニレンサルファイド系樹
脂の機械的強度を向上させる手段として、他の樹脂との
ポリマーブレンドによる改良が試みられている。例え
ば、エポキシ樹脂とのブレンド(特開昭51−11844号公
報)、スチレン系樹脂とのブレンド(特開昭51−62849
号公報)、エンジジアリングプラスチックおよびエポキ
シ樹脂とのブレンド(特開昭59−164360号公報)などが
提案されている。また、湿気存在下在下での電気特性の
改良、ガラス繊維強化時における機械的強度の向上、ハ
ンダの付着を防止するためにシラン化合物やシリコーン
油を添加剤として加える方法(特開昭55−29526号公
報、特開昭52−52958号公報、特開昭54−135845号公
報)などが提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、機械的強度の改良は、これらの方法で
は不充分であり、ポリマーブレンドで解決するには、良
好な相溶化技術が必要である。
また、シラン化合物やシリコーン油を添加することに
よる諸物性の改良は、一時的には良好な結果を示すが、
ブリードアウトを生起するので、永久的に物性の改良を
保持し得るものではない。
本発明は、前記従来技術の課題を背景になされたもの
で、シリコーンゴムにビニルモノマーを効率よくグラフ
ト重合し得る特定の変性ポリアルガノシロキサンを用
い、ポリフェニレンサルファイド系樹脂などの熱可塑性
樹脂との相溶性を著しく向上させる特定のビニルモノマ
ーをシリコーンゴムにグラフト重合させることにより、
ポリフェニレンサルファイド系樹脂などの熱可塑性樹脂
の耐衝撃性、成形加工性、摺動性、耐摩耗性、成形外観
などを改良した熱可塑性樹脂組成物を提供することを目
的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、(A)ポリフェニレンサルファイド系樹
脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカー
ボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹
脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアリレート系樹脂およ
びポリフェニレンエーテル系樹脂から選ばれた少なくと
も1種の熱可塑性樹脂10〜90重量%と、 (B)下記(a)〜(d)の群から選ばれた少なくとも
1種のグラフト交叉剤を0.1〜50重量%共重合したポリ
オルガノシロキサン系重合体5〜90重量%にエポキシ含
有ビニルモノマーと他のビニルモノマーとを合わせて95
〜10重量%グラフト重合して得られるグラフト共重合体
90〜10重量%、 とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供す
るものである。
(式中、R5は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基
を示す)で表される不飽和基と、アルコキシシリル基と
をあわせ持つグラフト交叉剤。
(b)R6 pSiO(3−p)/2 (式中、R6はビニル基またはアリル基、pは0〜2の整
数を示す。) (c)HCR7SiR8 qO(3−q)/2 (式中、R7は炭素数1〜18の2価または3価の飽和脂肪
族炭化水素基、R8は炭素数1〜6の脂肪族不飽和基を含
有しない1価の炭化水素基であり、qは0〜2の整数を
示す。) (式中、R9は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル
基またはフェニル基、rは1〜6の整数、sは0〜2の
整数を示す。) 本発明において、ポリフェニレンサルファイド系樹脂
は、下記繰り返し構造単位; を有する重合体で、重合度が100〜300のものが好まし
い。また、このポリフェニレンサルファイド系樹脂は、
前記繰り返し構造単位が70モル%以上含むものが好まし
く、70モル%未満では優れた特性の組成物は得難い。
このポリフェニレンサルファイド系樹脂の製造方法と
しては、p−ジクロルベンゼンをイオウと炭酸ナトリウ
ムの存在下で重合させる方法、p−ジクロルベンゼンを
極性溶媒中で硫化ナトリウムの存在下で重合させる方
法、p−クロルチオフェノールを自己縮合させる方法な
どが挙げられるが、好ましくはN−メチルピロリドン、
ジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒あるいはスル
ホランなどのスルホン系溶媒中でp−ジクロルベンゼン
と硫化ナトリウムを反応させる方法が適当である。
この際、重合度を調節するためにカルボン酸あるいは
スルホン酸のアルカリ金属塩を添加したり、水酸化アル
カリを添加することが好ましい。
共重合成分として、30モル%未満であれば、 ここて、Rはアルキル基、ニトロ基、フェニル基、ア
ルコキシ基、カルボン酸基またはカルボン酸の金属塩基
を示す)、 などを含有していても、ポリフェニレンサルファイド系
樹脂の結晶性に大きく影響しない範囲であれば構わな
い。共重合成分の使用割合は、好ましくは10モル%以下
である。特に、三官能性以上のフェニル、ビフェニル、
ナフチルスルフィド結合などを共重合成分に選ぶ場合に
は、3モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下がよ
い。
また、(A)成分として用いるポリアミド系樹脂は、
特に限定はなく、エチレンジアミン、テトラメチレンジ
アミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミ
ン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−ト
リメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−および1,4−ビ
ス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノ
シクロヘキシル)メタン、m−キシリレンジアミン、p
−キシレンジアミンなどの脂肪族、脂環族、あるいは芳
香族ジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソ
フタル酸などの脂肪族、脂環族、あるいは芳香族ジカル
ボン酸とから導かれるポリアミド;ε−カプロラクタ
ム、ω−ドデカラクタムなどのラクタム類の開環重合に
よって得られるポリアミド;6−アミノカプロン酸、1,1
−アミノウンデカン酸、1,2−アミノドデカン酸などか
ら導かれるポリアミド、およびこれらの共重合ポリアミ
ド、または混合ポリアミドであり、工業的に安価かつ多
量に製造されるナイロン6(ポリカプロアミド)、ナイ
ロン6,6(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ナイロン1
2(ポリドデカアミド)、ナイロン6,10(ポリヘキサメ
チレンセバカミド)、ナイロン4,6、およびこれらの共
重合体、あるいは混合物が有用である。
また、ここで用いるポリアミド系樹脂の重合度も特に
制限はなく、通常、相対粘度(ポリマー1gを98重量%硫
酸100mlに熔解し、25℃で測定)が1.8〜6.0の範囲内に
あるポリアミド系樹脂を任意に用いることができるが、
2〜5の範囲のものを使用すると、耐衝撃性の成形加工
性のバランスの優れたものが得られる。
ポリアミド系樹脂の分子構造についても制限はなく、
線状ポリアミド、分岐状ポリアミドのどちらでもよい。
さらに、(A)成分として用いるポリエステル系樹脂
は特に限定されないが、ジカルボン酸またはジカルボン
酸のアルキルエステルのような誘導体と、ジオールとの
重縮合物によって得られたものである。
ポリエステル系樹脂の構成成分のうち、ジカルボン酸
によって構成される部分の70〜100モル%はテレフタル
酸によって導入されたものであり、30〜0モル%はイソ
フタル酸、テレフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セ
バシン酸などによって導入されたものである。グリコー
ルによって構成される部分は、エタンジオール、プロパ
ンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキ
サンジオールによって導入されたものであり、これらの
2種類以上から構成されていてもよい。
また、オキシ安息香酸、ビスフェノールAにより導入
された部分があってもよく、さらにこれらのポリエステ
ル系樹脂の1種類以上を混合した混合ポリエステル系樹
脂も本発明の範疇に含まれる。
このようなポリエステル系樹脂には、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタ
レート、およびこれらの共重合体、または混合物が含ま
れる。
さらに、(A)成分として使用されるポリカーボネー
ト系樹脂は、ビスフェノール類とホスゲンあるいはジア
リールカーボネートのようなカーボネート前駆物質とを
反応させて得られるものである。
ビスフェノール類としては、ビス(ヒドロキシアリー
ル)アルカンが好ましく、例えば2,2′−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2′−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパ
ンなどが挙げられる。これらのビスフェノール類は、単
独でまたは混合して使用される。
ここで用いるポリカーボネート系樹脂の重合度も特に
制限はなく、通常、極限粘度(溶媒;塩化メチレン、20
℃で測定)で0.3〜1.0dl/gのものが任意に用いることが
でき、0.35〜0.75dl/gのものを用いると、耐衝撃性の成
形加工性のバランスが高水準にあるものが得られる。
さらに、(A)成分として使用される塩化ビニル系樹
脂は、塩化ビニル単独重合体、および塩化ビニルと多く
とも50重量%(好ましくは45重量%以下)の塩化ビニル
と共重合し得る二重結合を少なくとも1個有する化合
物、好ましくは他のビニルモノマーとの共重合体であ
る。
この二重結合を少なくとも1個有する化合物の代表例
としては、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、酢
酸ビニル、アクリル酸、およびメタクリル酸、ならびに
それらのエステル、マレイン酸およびそのエステル、な
らびにアクリロニトリルが挙げられる。これらの塩化ビ
ニル系樹脂は、塩化ビニル単独または塩化ビニルと前記
他のビニルモノマーとを、フリーラジカル触媒の存在下
で単独重合または共重合することによって得られるもの
である。
この塩化ビニル系樹脂の重合度は、通常、400〜4,500
であり、特に400〜1,500が好ましい。
さらに、(A)成分として使用されるオレフィン系樹
脂は、ポリエチレン、ポリプロピレンに代表されるもの
であるが、これらはそれぞれ共重合し得る二重結合を少
なくとも1個有する化合物との共重合体であってもよ
く、その化合物とは、アクリル酸およびメタクリル酸な
らびにそのエステル、マレイン酸およびそのエステル、
無水マレイン酸などが挙げられる。これらの化合物は、
ポリエチレンあるいはポリプロピレンに対し、10重量%
以下の割合で共重合していることが好ましい。
以上のポリオレフィン系樹脂の重合度は、300〜6,000
であることが好ましい。
さらに、(A)成分として使用されるポリアセタール
系樹脂は、ポリエーテル結合を有するポリオキシメチレ
ンを安定化した樹脂で、主鎖にオキシメチレン基のみを
有するホモポリマータイプ、あるいはオキシメチレン基
とオキシエチレン基とのコポリマータイプのものがあ
る。
さらに、(A)成分として使用されるポリアリレート
系樹脂は、芳香族ジカルボン酸と2価フェノールとから
合成される重合体で、主な原料はテレフタル酸クロライ
ドまたはイソフタル酸クロライドと、ビスフェノールA
とからなり、反応溶媒としては塩化メチレンなどが用い
られる。
テレフタル酸クロライドとビスフェノールAとを用い
た場合のポリアリレート系樹脂の繰り返し構造単位は、
以下のとおりである。
さらに、(D)成分として使用されるポリフェニレン
エーテル系樹脂は、一般式 (式中、Xは水素原子、または塩素原子、臭素原子もし
くはヨウ素原子、R1は炭化水素基、炭化水素オキシ基、
ならびにハロゲン原子とフェノール核との間に少なくと
も2個の炭素原子を有するハロゲン化炭化水素基および
ハロゲン化炭化水素オキシ基から選ばれた1価の置換
基、R2はR1と同じか、あるいはハロゲン原子、R3および
R4はそれぞれR2と同じか、あるいは水素原子である。た
だし、R1〜R4は、いずれも第3級炭素原子を有しないも
のである。) で表される1種以上のフェノール化合物を公知の触媒存
在下で酸化カップリング重合して得られるものや、さら
にこれを無水マレイン酸で変性したものである。
前記フェノール化合物のうち、特に好ましいものは、
一般式 (式中、R1′およびR2′はそれぞれ炭素数1〜8の炭化
水素基から選ばれる1価の置換基であり、R3′および
R4′はそれぞれ炭素数1〜8の炭化水素基から選ばれる
1価の置換基あるいは水素原子である。) で表されるフェノール化合物であり、最も好ましいフェ
ノール化合物の具体例としては、2,6−ジメチルフェノ
ール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−6−エ
チルフェノール、2−メチル−6−アリルフェノール、
2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニ
ルフェノール、2,6−ジブチルフェノール、2−メチル
−6−プロピルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノ
ール、2,3−ジメチル−6−エチルフェノール、2,3,6−
トリエチルフェノール、2,3,6−トリプロピルフェノー
ル、2,6−ジメチル−3−エチルフェノール、2,6−ジメ
チル−3−プロピルフェノールなどが挙げられる。
最も好ましいポリフェニレンエーテル系樹脂の具体例
としては、2,6−ジメチルフェノールから得られるポリ
フェニレンエーテルおよび2,6−ジメチルフェノールと
2,3,6−トリメチルフェノールの共重合によって得られ
るポリフェニレンエーテルである。特に、2,3,6−トリ
メチルフェノールと2,6−ジメチルフェノールから得ら
れる共重合ポリフェニレンエーテルは、耐熱性、耐衝撃
性、成形品表面光沢、成形加工性、耐溶剤性、熱安定性
がよい。
本発明で使用されるポリフェニレンエーテルの極限粘
度〔η〕(クロロホルム中、30℃で測定〕は、特に制限
されるものではないが、好ましくは0.2〜1dl/g、さらに
好ましくは0.25〜0.7dl/gである。
これらの(A)成分のうち、好ましくはポリフェニレ
ンサルファイド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂であり、さら
に好ましくはポリフェニレンサルファイド系樹脂であ
る。
これらの(A)成分は、単独であるいは混合して使用
され、その組成物中における割合は、10〜90重量%、好
ましくは20〜80重量%である。
次に、本発明のグラフト共重合体(B)に使用される
ポリオルガノシロキサン系重合体は、オルガノシロキサ
ン(I)とグラフト交叉剤(II)とを共縮合して得られ
る。
ここで、オルガノシロキサン(I)としては、例えば
一般式R′nSiO(4−n)/2(式中、R′は置換または
非置換の1価の炭化水素基であり、nは0〜3の整数を
示す)で表される構造単位を有するものであり、直鎖
状、分岐状または環状構造を有するが、好ましくは環状
構造を有するオルガノシロキサンである。
このオルガノシロキサン(I)の有する置換または非
置換の1価の炭化水素基としては、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、ビニル基、フェニル基、およびそ
れらをハロゲン原子またはシアノ基で置換した置換炭化
水素基などを挙げることができる。
また、前記平均組成式中、nの値は0〜3の整数であ
る。
オルガノシロキサン(I)の具体例としては、ヘキサ
メチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテト
ラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ド
デカメチルシクロヘキサシロキサン、トリメチルトリフ
ェニルシクロトリシロキサンなどの環状化合物のほか
に、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンを挙げ
ることができる。
なお、このオルガノシロキサン(I)は、あらかじめ
縮合された、例えばポリスチレン換算の重量平均分子量
が500〜10,000程度のポリオルガノシロキサンであって
もよい。
また、オルガノシロキサン(I)が、ポリオルガノシ
ロキサンである場合、その分子鎖末端は、例えば水酸
基、アルコキシ基、トリメチルシリル基、ジメチルビニ
ルシリル基、メチルフェニルビニルシリル基、メチルジ
フェニルシリル基などで封鎖されていてもよい。
また、本発明で使用されるグラフト交叉剤(II)は、
下記(a)〜(d)の群から選ばれた少なくとも1種で
ある。
(式中、R5は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基
を示す)で表される不飽和基と、アルコキシシリル基と
をあわせ持つグラフト交叉剤。
(b)R6 pSiO(3−p)/2(式中、R6はビニル基または
アリル基、pは0〜2の整数を示す。) 具体例;ビニルメチルジメトキシシラン、テトラビニル
テトラメチルシクロシロキサン、アリルメチルジメトキ
シシラン。
(c)HSR7SiR8 qO(3/q)/2(式中、R7は炭素数1〜18
の2価または3価の飽和脂肪族炭化水素基、R8は炭素数
1〜6の脂肪族不飽和基を含有しない1価の炭化水素基
であり、qは0〜2の整数を示す。
具体例;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラ
ン。
(式中、R9は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル
基またはフェニル基、rは1〜6の整数、sは0〜2の
整数を示す。) 具体例;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシ
シラン。
これらのグラフト交叉剤(II)のうち、特に好ましく
は前記(a)で示される不飽和基とアルコキシシリル基
とをあわせ持つ化合物である。
この(a)グラフト交叉剤について、さらに詳述する
と、前記一般式のR5としては、水素原子または炭素数1
〜6のアルキル基であるが、水素原子または炭素数1〜
2のアルキル基が好ましく、さらに好ましくは水素原子
またはメチル基である。
これらの(a)グラフト交叉剤としては、具体的には
p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、1−(m
−ビニルフェニル)メチルジメチルイソプロポキシシラ
ン、2−(p−ビニルフェニル)エチレンメチルジメト
キシシラン、3−(p−ビニルフェノキシ)プロピルメ
チルジエトキシシラン、3−(p−ビニルベンゾイロキ
シ)プロピルメチルジメトキシシラン、1−(o−ビニ
ルフェニル)−1,1,2−トリメチル−2,2−ジメトキシジ
シラン、1−(p−ビニルフェニル)−1,1−ジフェニ
ル−3−エチル−3,3−ジエトキシジシロキサン、m−
ビニルフェニル−〔3−(トリエトキシシリル)プロピ
ル〕ジフェニルシラン、〔3−(p−イソプロペニルベ
ンゾイルアミノ)プロピル〕フェニルジプロポキシシラ
ンなどのほか、これらの混合物を挙げることができる。
(a)グラフト交叉剤としては、好ましくはp−ビニル
フェニルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフ
ェニル)エチルメチルジメトキシシラン、3−(p−ビ
ニルベンゾイロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン
であり、さらに好ましくはp−ビニルフェニルメチルジ
メトキシシランである。この(a)グラフト交叉剤を用
いたものは、グラフト率の高いものが得られ、従って一
段と優れた本発明の目的とする組成物が得られる。
以上のグラフト交叉剤(II)の使用割合は、(I)成
分と(II)成分の合計量中、0.1〜50重量%、好ましく
は0.5〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%であ
り、0.1重量%未満では得られるポリオルガノシロキサ
ン系重合体とビニルモノマーとのグラフト重合において
高いグラフト率が得られず、その結果、ポリオルガノシ
ロキサン系重合体とビニルポリマー間の界面接着力が低
下し、層状剥離が生じてグラフト共重合体に充分な衝撃
強度が得られない。
一方、グラフト交叉剤(II)の割合が50重量%を超え
ると、グラフト率は増大するが、グラフトされたビニル
ポリマーの重合がグラフト交叉剤(II)の増加とともに
低下し、このビニルポリマーが低分子量となり、その結
果、充分な衝撃強度が得られない。
ポリオルガノシロキサン系重合体は、前記オルガノシ
ロキサン(I)とグラフト交叉剤(II)とを、例えばア
ルキルベンゼンスルホン酸などの乳化剤の存在下にホモ
ミキサーなどを用いて剪断混合し、縮合させることによ
って製造することができる。この乳化剤は、オルガノシ
ロキサン(I)の乳化剤として作用するほか開始縮合剤
となる。
この乳化剤の使用量は、(I)成分および(II)成分
の合計量に対して、通常、0.1〜5重量%、好ましくは
0.3〜3重量%程度である。
なお、この際の水の使用量は、(I)成分および(I
I)成分100重量部に対して、通常、100〜500重量部、好
ましくは200〜400重量部である。
また、縮合温度は、通常、5〜100℃である。
なお、ポリオルガノシロキサン系重合体の製造に際
し、得られる樹脂の耐衝撃性を改良するために、第3成
分として架橋剤を添加することもできる。この架橋剤と
しては、例えばメチルトリメトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどの3
官能性架橋剤、テトラエトキシシランなどの4官能性架
橋剤を挙げることができる。この架橋剤の添加量は、オ
ルガノシロキサン(I)およびグラフト交叉剤(II)の
合計量に対して、通常、10重量%以下、好ましくは5重
量%以下程度である。
なお、このようにして得られるポリオルガノシロキサ
ン系重合体のポリスチレン換算重量平均分子量は、通
常、10,000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000程
度である。
本発明で使用されるグラフト共重合体は、このように
して得られるポリオルガノシロキサン系重合体の存在下
にエポキシ基含有ビニルモノマーと他のビニルモノマー
とをグラフト重合して得られる共重合体である。
ここで、前記エポキシ基含有ビニルモノマーとして
は、例えばグリシジルメタクリレート、グリシジルアク
リレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジ
ルエーテル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート
のグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコール(メ
タ)アクリレートのグリシジルエーテル、グリシジルイ
タコネートなどが挙げられる。
また、他のビニルモノマーとしては、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレ
ン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロム
スチレン、p−ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニ
ルナフタレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、ジメチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム
などの芳香族アルケニル化合物;メチルメタクリレー
ト、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタク
リレート、ブチルメタクリレート、アリルメタクリレー
トなどのメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、
エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシ
エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリ
レートなどのアクリル酸エステル;アクリロニトリル、
メタクリルニトリルなどのシアン化ビニル化合物;エチ
レン、プロピレンなどのオレフィン;ブタジエン、イソ
プレン、クロロプレンなどの共役ジオレフィン;および
酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリアリル
イソシアヌレート、N−フェニルマレイミド、N−メチ
ルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−o−クロル
フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドな
どのマレイミドが挙げられ、これらは単独であるいは混
合して使用される。
ポリオルガノシロキサン系重合体にエポキシ基基含有
ビニルモノマーと他のビニルモノマーとをグラフト重合
する際の仕込み組成は、ポリオルガノシロキサン系重合
体が5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好
ましくは20〜60重量%に対し、該ビニルモノマーの合計
量が95〜10重量%、好ましくは90〜30重量%、さらに好
ましくは80〜40重量%である。
ポリオルガノシロキサン系重合体が5重量%未満では
充分な衝撃強度が得られず、一方90重量%を超えるとグ
ラフト共重合体として良好な粉末ができず、ブレンドす
る際に分散しない。
なお、全組成物中のポリオルガノシロキサン系重合体
の含有量は、好ましくは5〜30重量%であり、5重量%
未満では充分な衝撃強度が得られず、一方30重量%を超
えると耐熱性が低下する場合がある。
また、グラフト共重合体中のエポキシ基含有ビニルモ
ノマーの含有量は、好ましくは0.05〜30重量%、さらに
好ましくは0.1〜20重量%であり、0.05重量%未満では
例えばポリフェニレンサルファイド系樹脂と該グラフト
共重合体との相溶化効果が低下し、一方30重量%を超え
るとゲル化度が高くなり、押し出し成形性が困難となる
場合がある。他のビニルモノマーは必須ではないが、グ
ラフト重合体中のポリオルガノシロキサン系重合体とエ
ポキシ基含有ビニルモノマーの量との関係から、グラフ
ト重合体中のエポキシ基含有ビニルモノマーの割合が前
記のようになる量を使用することが好ましい。特に好ま
しくはエポキシ基含有ビニルモノマー/他のビニルモノ
マーの比が、0.5〜95/99.5〜5(重量%)であり、さら
に好ましくは1/90/99〜10(重量%)である。
さらに、全組成物中のエポキシ基含有ビニルモノマー
の含有量は、好ましくは0.01〜5重量%、さらに好まし
くは0.02〜4重量%であり、0.01重量%未満では例えば
ポリフェニレンサルファイド系樹脂と前記グラフト共重
合体との相溶化効果が低下し、一方5重量%を超えると
ゲル化度が高くなり、押し出し成形性が困難となる場合
がある。
さらにまた、グラフト共重合体中のポリオルガノシロ
キサン系重合体へのグラフト率は、好ましくは10重量%
以上であり、10重量%未満では成形外観が低下し好まし
くない場合がある。
以上のグラフト共重合体(B)の本発明の組成物中に
おける割合は、10〜90重量%、好ましくは15〜70重量
%、さらに好ましくは20〜50重量%であり、10重量%未
満では得られる組成物の耐衝撃性が低下し、一方90重量
%を超えると耐熱性、耐薬品性が低下する。
本発明に使用されるグラフト共重合体(B)を製造す
るに際しては、前記ポリオルガノシロキサン系重合体に
エポキシ含有ビニルモノマーあるいは他のビニルモノマ
ー(以下、これらを総称して「ビニルモノマー」とい
う)を通常のラジカル重合によってグラフト重合し、グ
ラフト共重合体(B)を含有する組成物として得られ
る。
ここで、ラジカル重合開始剤の種類によっては、前述
のようにアルキルベンゼンスルホン酸により酸性となっ
ているポリオルガノシロキサン系重合体のラテックス
を、アルカリで中和する必要がある。このアルカリとし
ては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、トリエタノールアミ
ン、トリエチルアミンなどが用いられる。
また、ラジカル重合開始剤としては、例えばクメンハ
イドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイド
ロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイ
ドなどの有機ハイドロパーオキサイド類からなる酸化剤
と、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方、含
糖ピロリン酸鉄処方/スルホキシレート処方の混合処方
などの還元剤との組み合わせによるレドックス系の開始
剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸
塩;アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2′−
アゾビスイソブチレート、2−カルバモイルアザイソブ
チロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサ
イド、ラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物な
どを挙げることができ、好ましくは前記レドックス系の
開始剤である。
これらのラジカル重合開始剤の使用量は、使用される
ビニルモノマー100重量部に対し、通常、0.05〜5重量
%、好ましくは0.1〜3重量部程度である。
この際のラジカル重合法としては、乳化重合あるいは
溶液重合によって実施することが好ましい。
乳化重合に際しては、公知の乳化剤、前記ラジカル開
始剤、連鎖移動剤などが使用される。
ここで、乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン
酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジフェニルエ
ーテルジスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルカリエ
ステルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、
あるいはポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオ
キシエチレンアルキルアリルエーテルなどのノニオン系
乳化剤の1種または2種以上を挙げることができる。
乳化剤の使用量は、ビニルモノマーに対して、通常、
0.5〜5重量%程度である。
連鎖移動剤としては、t−ドデシルメルカプタン、オ
クチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、
n−ヘキシルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩
化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化合物が、ビニル
モノマーに対して、通常、0.02〜1重量%使用される。
乳化重合に際しては、ラジカル重合開始剤、乳化剤、
連鎖移動剤などのほかに、必要に応じて各種電解質、pH
調整剤などを併用して、ビニルモノマー100重量部に対
して、通常、水を100〜500重量部と、前記ラジカル重合
開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などを前記範囲内の量を使
用し、重合温度5〜100℃、好ましくは50〜90℃、重合
時間0.1〜10時間の条件で乳化重合される。
なお、乳化重合の場合は、オルガノシロキサン(I)
とグラフト交叉剤(II)との縮合によって得られる、ポ
リオルガノシロキサン系重合体を含有するラテックス
に、ビニルモノマーおよびラジカル開始剤を加えること
によって実施することもできる。
一方、溶液重合の場合は、ポリオルガノシロキサン系
重合体およびビニルモノマーを、有機溶媒に溶解し、こ
れにラジカル開示剤、必要に応じて連鎖移動剤、各種添
加剤を加えてラジカル重合させる。
この溶液重合で使用される有機溶媒としては、トルエ
ン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、クロロホルム、テ
トラヒドロフランなどが挙げられる。
溶液重合に際しては、ラジカル重合開始剤、必要に応
じて連鎖移動剤などを併用して、ビニルモノマー100重
量部に対して、通常、有機溶媒を80〜500重量部と、前
記ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤などを前記範囲内の
量を使用し、重合温度5〜150℃、好ましくは50〜130
℃、重合時間1〜10時間の条件で溶液重合される。
この溶液重合の場合は、乳化重合の場合よりも不純物
を著しく減少することができる。
本発明に使用されるグラフト共重合体(B)は、乳化
重合により製造した場合、通常の塩凝固法により凝固さ
せ、得られた粉末を水洗したのち、乾燥することによっ
て精製される。
また、溶液重合の場合、水蒸気蒸溜によって未反応の
単量体と溶媒を留去したのち、得られる樹脂の塊を細か
く砕いて乾燥することによって精製される。
本発明の組成物を得るには、前記(A)〜(B)成分
を、例えばミキサーで各成分を混合したのち、押し出し
機で280〜320℃で溶融混練りしてペレット化する。さら
に、簡単には各成分を直接、成形機内で溶融混練りして
成形することができる。
本発明の組成物には、酸化防止剤、例えば2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチル
シクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,2−メ
チレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、トリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファイト;紫
外線吸収剤、例えばp−t−ブチルフェニルサリシレー
ト、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2−(2′−ヒドロキシ−4−m−オクトキシフェ
ニル)ベンゾトリアゾール;滑剤、例えばパラフィンワ
ックス、ステアリン酸、硬化油、ステアロアミド、メチ
レンビスステアロアミド、n−ブチルステアレート、ケ
トンワックス、オクチルアルコール、ヒドロキシステア
リン酸トリグリセリド;難燃剤、例えば酸化アンチモ
ン、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、トリクレジルホ
スフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェー
ト、塩素化パラフィン、テトラブロモブタン、ヘキサブ
ロモベンゼン、テトラブロモビスフェノールA;帯電防止
剤、例えばステアロアミドプロピルジメチル−β−ヒド
ロキシエチル、アンモニウムトレート;着色防止剤、例
えば酸化チタン、カーボンブラック;充填剤、例えば炭
酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス
球、カーボン繊維;顔料などを必要に応じて添加するこ
とができる。
このようにしてペレット化された熱可塑性樹脂組成物
は、圧縮成形、射出成形などの通常の手段により、加
工、成形される。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明す
る。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り
重量部および重量%である。
また、実施例中、各種の測定項目は、下記に従った。
グラフト率は、以下の方法で求めた。すなわち、材料
1gを精製採取し、これにアセトン20ccを加え、10時間振
とうさせ、そののち、回転数20,000rpmの遠心分離機を
用いて可溶分と不溶分に分離し、不溶分を真空乾燥機で
乾燥し、不溶分(X)を得た。一方、重合組成と重合転
化率から不溶分(X)中のゴム量(R)を算出し、次式
によりグラフト率を求めた。
アイゾット衝撃強度は、ASTM−D256、1/4″ノッチ付
き、23℃と、1/4″ノッチ付き−30℃で測定した。
メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210に準拠
し、第3表に示す温度で、10kgで測定した。
熱変形温度は、ASTM D648に準拠し、荷重18.6kg/c
m2、アニールなしの条件で測定した。
耐薬品性は、試験片(1/8″×1/2″×5″)に、歪み
率1%の定歪みを加え、たわみの部分にジオクチルフタ
レート(DOP)、ブレーキフルードを塗布し、23℃で放
置して破断に至るまでの時間を測定し、耐薬品性の指標
とした。
○は、100時間以上破断、クラックのない場合を表
す。
光沢度は、ASTM D523に従い、45℃の条件で測定し
た。
ウェルド強度保持率は、ASTM1号ダンベルと中央にウ
ェルドラインが出る金型を用いて成形した試験片で引張
強度(Tw)を測定し、次にウェルドラインの入らない金
型で成形した試験片を用いて引張強度(To)を測定し、
Tw/To×100%でウェルド強度保持率を求めた。
摺動特性は、下記のようにして求めた。
すなわち、摩擦摩耗試験は、鈴木式摺動試験機を使用
し、相手材としては同材またはスチール(S45C)を用い
た。試験片は、外径25.6mm、内径20.0mmの中空円筒状の
ものを用い、相手材も同様の形状のものを用いた。
動摩擦係数の測定条件は、室温23℃、湿度50%の雰囲
気中で荷重5kg、走行速度3.75cm/秒で測定した。
動摩擦係数は、次式によって算出する。
(式中、μは比摩耗量、Fはロードセルに与える力、P
は荷重、Rはロードセルまでのアーム長、r1は内径、r2
は外径を表す。) 比摩耗鑞の測定条件は、室温23℃、湿度50%の雰囲気
中で対同材の場合は荷重5kg、走行速度3.75cm/秒、12,6
00回転(走行速度0.24km)で測定し、対スチール(S45
C)の場合は、荷重10kg、走行速度15cm/秒、80,000回転
(走行速度6km)で測定した。
比摩耗量は、次式によって算出する。
(式中、Aは比摩耗量、ΔWはサンプルの重量変化、P
は荷重、lは走行距離、αはサンプルの密度を表す。) 耐候性試験は、サンシャインウェザーメーター(東洋
理科(株)製、WE−USN−HC型)を用い、200時間暴露
(63℃、雨あり)後、アイゾット衝撃強度を測定した。
成形加工性は、押し出し機で造粒し、成形機で成形品
を得る過程で、ゲル化や成形品割れなどが発生するか否
かで判定した。
成形品外観は、成形品表面にフローマークシルバーな
どを発生するか否かで判定した。
参考例1〔ポリオルガノシロキサン系重合体(R−1〜
3)の製造〕 p−ビニルフェニルメチルジメトキシシランとオクタ
メチルシクロテトラシロキサンを、第1表に示す割合で
混合し、これをドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を溶
解した蒸溜水300部中に入れ、ホモミキサーにより3分
間攪拌して乳化分散させた。
この混合液を、コンデンサー、チッ素導入口および攪
拌機を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌混合しな
がら90℃で6時間加熱し、5℃で24時間冷却することに
よって縮合を完結させた。
得られたポリオルガノシロキサン系重合体中のオクタ
メチルシクロテトラシロキサンの縮合率は92.8%であっ
た。
このポリオルガノシロキサン系重合体ラテックスを炭
酸ナトリウム水溶液でpH7に中和した。
参考例2(グラフト共重合体G−1〜8の製造) 攪拌機を備えた内容物7のガラス製フラスコに、イ
オン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.5部、水酸化カリウム0.01部、t−ドデシルメル
カプタン0.1部および第2表に示す割合で、第1表のポ
リオルガノシロキサン系重合体ラテックスと各種単量体
からなるバッチ重合成分を加え、攪拌しながら昇温し
た。温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン四酢
酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデ
ヒドナトリウムスルホキシラート・二水塩0.2部および
イオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、ならびにジイ
ソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド0.1部を添加
し、1時間反応を続けた。
そののち、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム1部、水酸化カリウム0.02部、t−ド
デシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルベンゼンヒ
ドロパーオキシド0.2部および第2表に示す割合の各種
単量体よりなるインクレメント重合成分の混合物を3時
間にわたって連続的に添加し、反応を続けた。
添加終了後、さらに攪拌しながら1時間反応を続けた
のち、2,2−メチレン−ビス−(4−エチレン−6−t
−ブチルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物をフ
ラスコより取り出した。
次いで、塩化カリウム2部を用いて生成物を凝固さ
せ、脱水、水洗、乾燥を行って、粉末状のポリマーを回
収した。
第2表にモノマー重合転化率、ならびに先に述べた方
法で測定したグラフト率、極限粘度〔η〕を記す。
実施例1〜16、比較例1〜6 第3表に示す各成分を内径40mmの押し出し機で温度28
0〜320℃の範囲で溶融混練りし、ペレットを作製した。
このペレットを、5OZ射出成形機(東芝(株)製、IS
−80A)を用い、成形温度280〜320℃の範囲で成形して
試験片を作製し、その物性を評価した。結果を第3表に
示す。
なお、実施例および比較例中、(A)成分としては、
次のものを用いた。
PPS(ポリフェニレンサルファイド系樹脂);トープレ
ン(株)製、トープレンT−4 ナイロン6;東レ(株)製、アミランCM1017 ナイロン4,6;DSM社製、stanyl KS300 PBT(ポリブチレンテレフタレート);ポリプラスチッ
ク(株)製、ジュラネックスXD499 PC(ポリカーボネート);出光石油化学(株)製、A−
2200 PVC(ポリ塩化ビニル);東亜合成化学(株)製、アロ
ンTS700 MPP(無水マレイン酸変性ポリプロピレン);三菱油化
(株)製、MODIC P−10B POM(ポリオキシメチレン);ポリプラスチック(株)
製、ジュラコンM90 ポリアリレート;ユニチカ(株)製、UポリマーU8000 PPE(ポリフェニレンエーテル)については、以下の
方法で重合体を得た。
PPE1(ポリフェニレンエーテル)の製造 2,6−キシレノールを、触媒として臭化第二銅、ジ−
n−ブチレンアミンを用い、トルエン溶液中、30℃で酸
素を吹き込みながら重合反応を行った。
重合終了後、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム水
溶液を加え、脱触媒を行った。
得られた生成混合物から、遠心分離によって、重合体
溶液相を取り出した。この重合体溶液を激しく攪拌しな
がら、メタノールを徐々に添加し、スラリー状態にし
た。固形分を分別したのち、メタノールで充分洗浄し乾
燥して重合体(PPE1)を得た。溶媒としてクロロホルム
を用いて30℃で測定した重合体PPE1の〔η〕は、0.40dl
/gであった。
PPE2(無水マレイン変性ポリフェニレンエーテル)の
製造 前記重合体PPE1を100重量部に対して、無水マレイン
酸2部、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチレンパーオ
キシ)ヘキサン1部を室温下でドライブレンドしたの
ち、同方向回転方式のベント付き二軸押し出し機を用い
て、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数150rpmの
条件で溶融混練りして重合体のペレット化を行い、無水
マレイン酸変性ポリフェニレンエーテル(PPE2)を得
た。第3表から明らかなように、実施例1〜16による
と、本発明の目的とする熱可塑性樹脂組成物が得られて
いる。
これに対し、比較例1〜7では、本発明の目的とする
効果を得ることができる。
すなわち、比較例1〜2は、ポリオルガノシロキサン
系重合体中のグラフト交叉剤の量が範囲外であり、アイ
ゾット衝撃強度が劣る。比較例3は、エポキシ基含有モ
ノマーを用いないグラフト共重合体を使用した本発明の
範囲外の組成物の例であり、耐衝撃繊維、光沢、ウェル
ド強度保持率、成形加工性および成形品の外観が劣る。
比較例4は、グラフト共重合体が本発明の範囲未満の例
であり、耐衝撃性、ウエルド強度保持率が劣る。比較例
5は、グラフト共重合体が本発明の範囲を超えた例であ
り、熱変形温度が劣る。比較例6は、PPS(ポリフェニ
レンサルファイド系樹脂)の物性を示したものである。
〔発明の効果〕 本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、成形加工
性、耐薬品性が高度にバランスが取れている。また、本
発明の組成物は、従来のポリフェニレンサルファイド系
樹脂、ポリアリレート系樹脂などの欠点を解消し、さら
にシリコーンゴムの特性である耐候性、耐寒性、摺動
性、耐摩耗性などを付与することに成功し、従来の熱可
塑性樹脂にはみられない優れた特徴を持つ新規な熱可塑
性樹脂が得られる。従って、本発明の熱可塑性樹脂組成
物は、成形加工業界の要求を満足させる成形材料であ
り、摺動部品、屋外部品、耐熱部品、耐薬品性などへの
新しい利用分野へ適用可能で、その工業的意義は極めて
大である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンサルファイド系樹
    脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカー
    ボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹
    脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアリレート系樹脂およ
    びポリフェニレンエーテル系樹脂から選ばれた少なくと
    も1種の熱可塑性樹脂10〜90重量%と、 (B)下記(a)〜(d)の群から選ばれた少なくとも
    1種のグラフト交叉剤を0.1〜50重量%共重合したポリ
    オルガノシロキサン系重合体5〜90重量%にエポキシ含
    有ビニルモノマーと他のビニルモノマーとを合わせて95
    〜10重量%グラフト重合して得られるグラフト共重合体
    90〜10重量%、 とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 (式中、R5は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基
    を示す)で表される不飽和基と、アルコキシシリル基と
    をあわせ持つグラフト交叉剤。 (b)R6 p(SiO)(3−p)/2 (式中、R6はビニル基またはアリル基、pは0〜2の整
    数を示す。) (c)HSR7SiR8 qO(3−q)/2 (式中、R7は炭素数1〜18の2価または3価の飽和脂肪
    族炭化水素基、R8は炭素数1〜6の脂肪族不飽和基を含
    有しない1価の炭化水素基であり、qは0〜2の整数を
    示す。) (式中、R9は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル
    基またはフェニル基、rは1〜6の整数、sは0〜2の
    整数を示す。)
JP29012888A 1988-10-31 1988-11-18 熱可塑性樹脂組成物 Expired - Lifetime JP2625988B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29012888A JP2625988B2 (ja) 1988-11-18 1988-11-18 熱可塑性樹脂組成物
EP89120185A EP0367219B1 (en) 1988-10-31 1989-10-31 Polyorganosiloxane series thermoplastic resin and composition thereof
US07/429,551 US5147947A (en) 1988-10-31 1989-10-31 Polyorganosiloxane series thermoplastic resin and composition thereof
DE68917858T DE68917858T2 (de) 1988-10-31 1989-10-31 Thermoplastisches Harz aus der Serie von Polyorganosiloxanen und die Zusammensetzungen davon.
US07/883,220 US5250615A (en) 1988-10-31 1992-06-10 Polyorganosiloxane series thermoplastic resin and composition thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29012888A JP2625988B2 (ja) 1988-11-18 1988-11-18 熱可塑性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02138360A JPH02138360A (ja) 1990-05-28
JP2625988B2 true JP2625988B2 (ja) 1997-07-02

Family

ID=17752165

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29012888A Expired - Lifetime JP2625988B2 (ja) 1988-10-31 1988-11-18 熱可塑性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2625988B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200385504A1 (en) * 2018-02-27 2020-12-10 Mitsubishi Chemical Corporation Polyorganosiloxane-containing graft copolymer powder, and resin composition using the same, and molded article formed of the same

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5391648A (en) * 1990-07-24 1995-02-21 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Polyorganosiloxane graft copolymers
JP2802554B2 (ja) * 1990-08-22 1998-09-24 三菱レイヨン株式会社 ポリアリ−レンサルファイド樹脂組成物
US5106900A (en) * 1990-11-15 1992-04-21 General Electric Company Method and organopolysiloxane/organic polymeric compositions obtained therefrom
US5322881A (en) * 1991-02-05 1994-06-21 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Thermoplastic resin compositions
JP4633217B2 (ja) * 2000-01-19 2011-02-16 シーアイ化成株式会社 ポリエステル系樹脂組成物およびシ―トの製造方法
JP4051627B2 (ja) * 2002-12-20 2008-02-27 東洋紡績株式会社 摺動性の優れたポリアミド系成形体
WO2005108450A1 (ja) * 2004-05-12 2005-11-17 Kaneka Corporation 共重合体、グラフト共重合体、グラフト共重合体粒子、難燃剤、および樹脂組成物
JP5709406B2 (ja) * 2009-06-12 2015-04-30 旭化成ケミカルズ株式会社 ガラス強化ポリアミド樹脂組成物及び成形品
JP6181394B2 (ja) * 2013-03-15 2017-08-16 帝人株式会社 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品
JP7155777B2 (ja) * 2018-09-12 2022-10-19 三菱ケミカル株式会社 ポリオルガノシロキサン含有グラフト共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び成形体
CN113831678B (zh) * 2020-06-08 2024-02-27 万华化学(四川)有限公司 一种聚碳酸酯组合物及其制备方法、应用

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20200385504A1 (en) * 2018-02-27 2020-12-10 Mitsubishi Chemical Corporation Polyorganosiloxane-containing graft copolymer powder, and resin composition using the same, and molded article formed of the same
US11548968B2 (en) * 2018-02-27 2023-01-10 Mitsubishi Chemical Corporation Polyorganosiloxane-containing graft copolymer powder, and resin composition using the same, and molded article formed of the same

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02138360A (ja) 1990-05-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5045595A (en) Polyorganosiloxane/polyvinyl-based graft polymers, process and thermoplastic compositions containing the same
KR940000018B1 (ko) 열가소성 수지 및 이의 제조방법
JP2625988B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
US5106908A (en) Polyorganosiloxane/polyvinyl-based graft (meth)acrylate polymers
US5147947A (en) Polyorganosiloxane series thermoplastic resin and composition thereof
US5250615A (en) Polyorganosiloxane series thermoplastic resin and composition thereof
US5543460A (en) Graft copolymer particles their production and compositions comprising them
US5804655A (en) Silicone-modified acrylic rubber particles, graft copolymer particles of silicone-modified acrylic rubber and thermoplastic resin composition
JP3126772B2 (ja) 熱可塑性樹脂の製造方法
JP2990755B2 (ja) グラフト重合体組成物
JP2625919B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
US5087662A (en) Polyester, polycarbonate and/or polyphenylene ether with polyorganosiloxane/polyvinyl-based graft (meth) acrylate polymers
JPWO2006004058A1 (ja) ゴム強化樹脂及びその製造方法並びにゴム強化樹脂組成物
US5079293A (en) Thermoplastic compositions containing combined modifiers
JP2912746B2 (ja) 着色性に優れた熱可塑性樹脂組成物
EP0584363B1 (en) Graft copolymer particle, production thereof, and composition thereof
JP3393446B2 (ja) 帯電防止性樹脂組成物
JP2651447B2 (ja) ポリオルガノシロキサン系熱可塑性樹脂組成物
JPH0830102B2 (ja) 複合ゴム系グラフト共重合体粒子
JP3173024B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP3314275B2 (ja) 耐衝撃性樹脂組成物
JPH10237266A (ja) 樹脂成形品の摺動性を改良する方法および樹脂成形品
JP2639707B2 (ja) ポリオルガノシロキサン変性熱可塑性樹脂
JP3106546B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物
JP2715598B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080411

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090411

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090411

Year of fee payment: 12