JP2625477B2 - 点火コイル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、磁気回路と、一次・二次の２個の巻線から
成る、自動車の内燃機関のための変圧器、特に、点火コ
イルに関するものである。

［従来の技術］ 一般にあるタイプのコイルにおいては、磁気回路は一
次巻線及び二次巻線を支える２個のプラスチック製の小
コイル枠を同心状に周囲に配置した磁極鉄心と、磁極鉄
心に設けられた少とも１個の磁束帰路から構成される。

本願出願人の名義で提出されたフランス特許出願第85
−11458号は、上記のタイプの点火コイルに関するもの
であり、磁気回路と、一次及び二次小コイル枠をプラス
チック製の箱の中に入れこれらの要素を連繋させかつ電
気的に絶縁するために箱の中に合成樹脂を流し込んだも
のである。しかしこのタイプの、見かけの良い点火コイ
ルが、それに求められる技術的要求に必ずしも応えうる
とはかぎらない。実際、このような点火コイルをフル運
転するとき、磁気回路は発熱のために変形したり、膨張
する傾向があって、それを密閉する合成樹脂にひび割れ
を生じさせる可能性があり、該合成樹脂の所々に絶縁破
壊を引き起こし、この事が、電圧の高い二次巻線から、
電圧の低い一次巻線あるいは、例えば磁気回路のよう
な、点火コイルのさまざまな金属の物体へ電流が漏出す
る原因となってしまう。そこで、フランス特許出願第86
−10664号は、スリーブ形の圧縮性のある部材を、合成
樹脂と、点火コイルの磁気回路の全体あるいは一部分と
の間に挿入することによって、この支障を除くことを提
案している。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、上記フランス特許出願第86−10664号では、
磁気回路がきわめて著しく変形あるいは膨張する場合に
は、不十分である。

この支障を除くための解決策の一つは、箱の中に入れ
られた磁気回路の構成要素を保持しながら、良誘電性を
持ち、同時に磁気回路の膨張に対応する膨張係数を有
し、磁気回路の変形および膨張に応じて変形することに
より該点火コイルの完全な絶縁性を保証しうる合成樹脂
を用いることにあるだろう。あいにく、今日まで、これ
ら二つの性質を備えた合成樹脂は、点火コイルに広く普
及しうるような価格、つまり競争価格では販売されてい
ない。

本発明はこれらの支障を緩和するために、第一の箱を
磁束帰路によって取り囲んだ構成の全部あるいは一部を
収容する第２の箱を設けた点で注目すべき、特に上記の
タイプの自動車の内燃機関の点火のための点火コイルを
提供することを目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ 本発明は側部に少くとも１個の磁束帰路を配設した中
心磁極鉄心と、中心磁極鉄心の外周に同心状に配設した
一次及び二次の２個の巻線とで構成された特に自動車の
内燃機関の点火のための点火コイルにおいて、一次及び
二次の巻線、並びに中心磁極鉄心を内部に収容して合成
樹脂を注入する第一の箱と、該第一の箱を前記磁束帰路
で取り囲んだ構成の全部あるいは一部を収容する第二の
箱とを設けた点火コイルに係るものである。

［作用］ 従って本発明の点火コイルによれば、磁束帰路が熱に
より変形及び膨張すると第二の箱がこれに対応して変形
するので、一次・二次の巻線等の間の絶縁破壊が防止さ
れる。

［実 施 例］ 添付図面を参照して以下に行う記述によって、本発明
がどのように実施されるかがよく分かるようになるだろ
う。

第１〜３図に示された本発明の第１実施例では、点火
コイル１は切り抜かれた薄板を積み重ねて作られる磁気
回路から構成され、該磁気回路は、中心磁極鉄心２と、
中心磁極鉄心２の下端との間に磁極間隙５を形成して中
心磁極鉄心２の両側に置かれたＣ字形の、２個の磁束帰
路3,4とから成る。２個の磁束帰路3,4は、２個の磁束帰
路3,4を組合せたときに形成される継ぎ目６が、軸７で
表わされる磁気回路の対称軸上に位置するように、中心
磁極鉄心２の両側に置かれるが、これは、磁束の平均線
が継ぎ目６を横切らないようにするためであり、さもな
くば、形成される２つの継ぎ目６は、点火コイル１の正
しい働きを損なうことになる。

中心磁極鉄心２は、プラスチック製の小コイル枠10の
中心部に挿通され、小コイル枠10の外周に一次巻線11が
巻付けられる。一次小コイル枠10に一体形成された爪12
に、点火コイル１の低電圧一次電気回路のコネクタ31と
高圧出力端子32とを有する絶縁支持部材30のくぼみ33が
嵌合する。二次巻線21を支える横断面が円形の、プラス
チック製の小コイル枠20は、一次小コイル枠10の外周に
配置され、絶縁支持部材30の丸いセクター34に嵌合して
係止される。

このような構成全体は、底面の下側に２本の案内レー
ル41を突設したプラスチック製の成形物から成る第一の
箱40中に収納される。第２図に、より正確に示されてい
るように、中心磁極鉄心２の下端が第一の箱40の底面に
完全に接触し且つ中心磁極鉄心２の下端が第一の箱40底
面の２本のレール41の間の部分に位置するように中心磁
極鉄心２−一次・二次巻線11,21−絶縁支持部材30の全
体が置かれた後に、第一の箱40に収納されたこれらの要
素を連繋させかつ電気的に絶縁するために、誘電性の良
い第一の合成樹脂42が、第一の箱40に流し込まれる。そ
のために、出願人は、第一の箱40の中に、中心磁極鉄心
２−一次・二次巻線11,21−絶縁支持部材30の全体の位
置決め手段（図示せず）を備えるようにしている。

次に、中心磁極鉄心２の両端に対し、上端と直接接触
し、且つ下端と第一の箱40の底面を挟んで直接接触しな
いように、２個の磁束帰路３及び４を第一の箱40底面を
横切るレール41の間に入り込ませて第一の箱40の外側を
囲むよう配置する。該第一の箱40の底面の厚みは所望の
磁極間隙５が形成されるよう正確に寸法取りされること
が望ましい。次に、２個の磁束帰路３及び４に囲まれた
第一の箱40を第二の箱50に入れ、第一の合成樹脂42とは
性質の異なる第二の合成樹脂51を注入する。第二の合成
樹脂51は、２個の磁束帰路3,4の膨張と変形に対応する
膨張係数を有し、また点火コイル１が働いている時に
は、磁気回路から発生する熱の放散を助けるために良熱
伝導性を有するものを使用する。このタイプの合成樹脂
は現在売られている。

このようにすると、第二の合成樹脂51は、第一の合成
樹脂42によって構成される二次巻線21の絶縁性を破壊す
ることなく、過熱による磁気回路の変形に対応するであ
ろう。

以下に述べる第４図から第11図までの実施例は、第二
の箱13が、第一の箱40及び２個の磁束帰路3,4の外周に
直接成形されるという点で上記の第１の実施例と本質的
に異なっている。

第４図に示す本発明の第２の実施例では、第二の箱13
を成す合成樹脂は、磁気回路によって発生する熱の放散
を助ける良熱伝導性を有し、その膨張係数は、過熱した
ときの該磁気回路の変形に対応するものであることが望
ましい。

このようにして得られる点火コイル１は、上記第１の
実施例のように合成樹脂51で第二の箱50を満たす作業を
省くという利点を有する。第二の箱13によって包み込ま
れることにより、同時に材料の特性から直接内部の誘電
性が確保される。高圧出力端子32のプラグを第一の箱40
の成形の時に前もって定位置に固定しておき、第二の箱
13の成形の時に高圧出力端子32の筒14が該箱13と一体に
作られるようにすることが望ましい。

第５図に示された本発明の第３の実施例では、磁束帰
路3,4から発生する熱の放散をよくするために、第二の
箱13の成形の時に、磁束帰路3a,4aの下部全部または一
部に開口部を形成する。

第６乃至第９図に示された本発明の第４の実施例で
は、磁束帰路3,4から発生する熱を最も良く放散させる
ことを可能にするために、金属の台座15が成形作業の時
に、第二の箱13に形成した開口部に取付けられる。

金属の台座15は、熱の放散を良くするため、磁束帰路
3,4を収容し得るようにした磁束帰路3,4の外形と同一の
寸法を有する受け皿17を部分的に有している。受け皿17
の一方の側縁18は、冷却ひれ16の支持体25を構成するた
めに延長される。金属の台座15は、このように、ラディ
エータの働きをする。

第二の箱13が成形される前に、２個の磁束帰路3,4に
よって取り巻かれた第一の箱40を金属の台座15に対し、
磁束帰路3,4の底部が受け皿17の中に入り、第一の箱40
の底面が支持体25上に当接するよう配置する。

このような構成全体は、第二の箱13を形成するために
合成樹脂が流し込まれる型に入れられる。

金属の台座15は、その側縁18及び19で第二の箱13に係
止される。側縁18及び19の端部は、第二の箱13の成形の
時に合成樹脂が下側に入り込むようにした肩を有してい
る。（第９図）。

第10及び第11図に示された本発明の第５の実施例は、
二重の点火コイルに応用したものである。金属の台座26
はこのために、上記第４の実施例に示されたような磁気
回路を収容する受け皿27,28を２個備えている。

尚、本発明は上述の実施例に限定されるものではな
く、２個の磁束帰路3,4を用いる代わりにＣ字形をした
一個の磁束帰路を用いうることは明かである。

［発明の効果］ 上記したように本発明の点火コイルによれば、合成樹
脂を注入して一次巻線及び二次巻線等を絶縁した第一の
箱と磁束帰路とを、第二の箱に収容したので、磁束帰路
が熱により変形及び膨張した場合でも、第二の箱がこれ
に対応して変形するため、第一の箱内部の絶縁破壊を防
止し得、又高価で入手しにくい合成樹脂を使用する必要
がないため低価格化を図り得る等の種々の優れた効果を
奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の点火コイルの第１実施例の断面図、第
２図は第１図のＡ−Ａ矢視図、第３図は第１図の分解説
明図、第４図は本発明の点火コイルの第２実施例の断面
図、第５図は本発明の点火コイルの第３実施例の断面
図、第６図は本発明の第４実施例における一次及び二次
巻線を含みかつ２個の磁束帰路によって取り囲まれた第
一の箱の図、第７図は本発明の第４実施例における冷却
用の台座の斜視図、第８図は第７図の台座を取り付けた
本発明の点火コイルの第４実施例の断面図、第９図は第
８図の部分Ｂの拡大断面図、第10図は本発明の第５実施
例における二重コイルのための台座の斜視図、第11図は
第10図の台座を取り付けた本発明の二重の点火コイルの
第５実施例の断面図である。 図中１は点火コイル、２は中心磁極鉄心、3,4は磁束帰
路、５は磁極間隙、10はコイル枠、11は一次巻線、13,5
0は第二の箱、14は筒、15,26は台座、17,27,28は受け
皿、20は小コイル枠、21は二次巻線、32は高圧出力端
子、40は第一の箱、42は第一の合成樹脂、52は第二の合
成樹脂を示す。

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】側部に少くとも１個の磁束帰路を配設した
   中心磁極鉄心と、中心磁極鉄心の外周に同心上に配設し
   た一次及び二次の２個の巻線とで構成された特に自動車
   の内燃機関の点火のための点火コイルにおいて、一次及
   び二次の巻線、並びに中心磁極鉄心を内部に収容して合
   成樹脂を注入する第一の箱と、該第一の箱を前記磁束帰
   路で取り囲んだ構成の全部あるいは一部を収容する第二
   の箱とを設けたことを特徴とする点火コイル。
2. 【請求項２】第一の箱の底面を、中心磁極鉄心の下端と
   磁束帰路の間に形成される磁極間隙が最適な間隔となる
   厚さに形成したことを特徴とする請求項１記載の点火コ
   イル。
3. 【請求項３】第一の箱と磁束帰路とを収容する第二の箱
   に、高い熱伝導性を有しかつ磁束帰路の膨張に対応する
   膨張係数を有する合成樹脂を注入したことを特徴とする
   請求項１記載の点火コイル。
4. 【請求項４】第１の箱と磁束帰路の全部あるいは一部と
   を覆うよう合成樹脂の成形を行って第二の箱を設けたこ
   とを特徴とする請求項１記載の点火コイル。
5. 【請求項５】少くとも１個の高圧出力端子の筒を第二の
   箱と一体に成形したことを特徴とする請求項４記載の点
   火コイル。
6. 【請求項６】第二の箱の下部に開口部を設け、該開口部
   に磁束帰路の下部を収容する金属の台座を取付けたこと
   を特徴とする請求項４記載の点火コイル。