JP3030387U - 内燃機関用点火コイル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】小型で充分な絶縁耐圧を保証する信頼性の高い
内燃機関用点火コイルを提供する。 【解決手段】二次コイルボビン４の外周面に放射状に、
且つ二次コイルボビン４の長さ方向に複数の突起部４ｂ
を形成し、二次コイル５の分割巻の仕切りとする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、例えば自動車のエンジンの点火プラグにおいて火花放電を発生させ るために高電圧を供給するモールド型の内燃機関用点火コイルに関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、エンジンに装着されるモールド型の内燃機関用点火コイルは、例え ば、図３に示す断面図のような概略構成をなす。

【０００３】 図において１は点火コイル本体であり、鉄心としてほぼＵの字状をした珪素鋼 板の積層鉄心１０，１１の端部同士を向かい合わせて接合し、磁気回路を構成す る。尚、後述する一次コイルには直流の大電流を印加するために、磁気回路の接 合部の一方に磁気ギャップを設けている。

【０００４】 ２は例えば合成樹脂等の電気的絶縁材にて一体的に形成された一次コイルボビ ンであり、該一次コイルボビン２は鉄心の外周に密接して配設されると共に外周 部には一次コイル３が巻回されている。また、４は二次コイルボビンであって、 一次コイル３の外周部に同心状に配設されており、例えば合成樹脂等の電気的絶 縁材にて構成され、且つ二次コイル５を分割巻するための仕切りとして機能する 複数個の鍔部４ａを一体的に成型している。

【０００５】 この二次コイルボビン４は図４（ａ）に示すような形状をなしており、しかも 図４（ｂ）に示すように鍔部４ａの縁から１．５ｍｍの高さまで二次コイル５が 巻回されている。

【０００６】 更に、７は二次コイル５の更に外周に配設され、合成樹脂にて成型された絶縁 ケースを示しており、該絶縁ケース６の一端には一次端子７が配設され、しかも 絶縁ケース６の底部に高圧端子８が配設される。そして、絶縁ケース６の内部に は例えばエポキシ樹脂等の絶縁部材９を充填した後に、該絶縁部材９を硬化させ 、絶縁ケース６の内部に配設した各部材間を絶縁した状態で固定している。

【０００７】 また、一次コイル３と一次端子７及び二次コイル５と高圧端子８はそれぞれ電 気的に接続され、一次コイル３に所定の電流を通電した後に遮断すると、二次コ イル５に発生した高電圧の電流は高圧端子８から図示していないハイテンション コードを介して点火プラグに供給される。

【０００８】 以上のように構成した内燃機関用点火コイル（所謂モールドコイル）は、例え ば自動車のエンジンに直接取付けられる場合が多く、高度な耐熱性及び温度サイ クル耐性が要求される。また、エンジン上に取付けられる場合には点火プラグホ ールやカムカバー等の寸法から来る制約が厳しく、モールドコイルの寸法が僅か １〜２ｍｍだけ狂っても装着の可否が分かれる場合がある。このため、スペース の問題からモールドコイルの小型化が進んで来ている。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、充填された絶縁部材９と二次コイルボビン４との熱膨張率の差 から鍔部４ａ付近の絶縁部材９にストレスが加わってクラックが生じやすくなり 、特にモールドコイルが小型化した場合には図３に示すように絶縁部材の薄肉部 ９ａが更に薄くなり耐久性等に問題を生じていた。

【００１０】 本考案は、このような欠点を解消するものであり、従来の内燃機関用点火コイ ルの信頼性を変えることなく、小型で安価な内燃機関用点火コイルに係わるもの である。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記に鑑みて成されたもので、鉄心の外周に同心状に一次コイル及び 二次コイルを配設し、上記二次コイルを絶縁部材にて形成した二次コイルボビン の長さ方向に複数に分割巻し、且つ上記鉄心と上記一次コイル及び上記二次コイ ルとを絶縁部材により一体的にモールドした内燃機関用点火コイルであって、上 記二次コイルボビンの外周面には、巻装された上記二次コイルの巻線高さよりも 高い突起部を放射状に、且つ上記二次コイルボビンの長さ方向に複数形成して、 上記二次コイルの分割巻の仕切りとした内燃機関用点火コイルを提供するもので ある。

【００１２】 また、本考案は、上記二次コイルボビンは、外周面に上記二次コイルの巻線高 さよりも低い複数の鍔部を設け、且つ各鍔部の外周縁に上記二次コイルの巻線高 さよりも高い突起部を放射状に形成し、上記鍔部と上記突起部とを上記二次コイ ルの分割巻の仕切りとした内燃機関用点火コイルを提供するものである。

【００１３】

【考案の実施の形態】

以下に、本考案を図面に基づいて説明する。 図１（ａ）、（ｂ）は本考案の一実施形態における二次コイルボビンを示して おり、（ａ）は斜視図、（ｂ）は二次コイルを巻回した状態における断面図であ る。

【００１４】 図からも分かるとおり、二次コイルボビン４には二次コイル５の渡り部を設け た巻線の高さよりも高い複数の突起部４ｂが、二次コイルボビン４の外周面に放 射状且つ二次コイル５の分割巻の仕切となる位置に複数形成されている。

【００１５】 この突起部４ｂが二次コイル５を巻回する際に巻線が崩れないように機能し、 且つ連設する位置の突起部４ｂ，４ｂが分割巻に際しての渡り部として機能する 。これによって、従来のような薄肉部９ａは生じず、しかも二次コイル５の分割 巻の仕切部分にも絶縁部材９が充填されるため、絶縁部材９における熱膨張差に よるストレスが集中せず、クラックが生じないので二次コイル５と絶縁ケース６ との間隔を狭めることができ、更に点火コイル本体１の小型化を図ることができ る。

【００１６】 また、二次コイル５への絶縁部材９の含浸性が良くなるため、絶縁の信頼性が 向上する。尚、二次コイルボビン４の突起部４ｂの形状は任意に設定できるが、 円柱形や円錐台形等にすることで、二次コイル５の巻線性を向上することが可能 となる。

【００１７】 図２（ａ）、（ｂ）は本考案の他の実施形態における二次コイルボビンを示し ており、（ａ）は斜視図、（ｂ）は二次コイルを巻回した状態における断面図で ある。

【００１８】 図からも分かるとおり、二次コイルボビン４の外周面に二次コイル５の分割巻 の巻線の渡し部を設けた複数の鍔部４ａ′が形成され、更に各鍔部４ａ′の外周 縁に放射状に複数の突起部４ｂ′が形成されている。

【００１９】 そして、二次コイルボビン４の鍔部４ａ′の高さａは、二次コイル５の巻線の 高さｂより低く、しかも突起部４ｂ′の高さｃは二次コイル５の巻線の高さｂよ りも高くなっており、鍔部４ａ′で二次コイル５の巻線の際の膨らみを少なくし 、巻回時に巻線が崩れないように突起部４ｂ′で支持する構成となっている。

【００２０】 これによって、先の実施形態と同様に従来のような薄肉部９ａは生じず、しか も二次コイル５の分割巻の仕切部分にも絶縁部材９が充填されるため、絶縁部材 ９における熱膨張差によるストレスが集中せず、クラックが生じないので二次コ イル５と絶縁ケース６との間隔を狭めることができ、更に点火コイル本体１の小 型化を図ることができる。

【００２１】 また、二次コイル５への絶縁部材９の含浸性が良くなるため、絶縁の信頼性が 向上する。尚、二次コイルボビン４の突起部４ｂ′の形状は任意に設定できるが 、円柱形や円錐台形等にすることで、二次コイル５の巻線性を向上することが可 能となる。

【００２２】 以上、本考案を実施形態に基づいて説明したが、本考案は上記した実施形態に 限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載した構成を変更しない 限り、どのようにでも実施できる。

【００２３】

【考案の効果】

以上述べたように、本考案における内燃機関用点火コイルは、二次コイルボビ ンの外周面に放射状の突起部を複数形成したので、二次コイルボビンの周辺の絶 縁材にクラック等が生じず、これにより充分な絶縁耐圧を保証できる小型で信頼 性の高い点火コイルを提供できる等、多大な効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）、（ｂ）は本考案の一実施形態における
二次コイルボビンを示しており（ａ）は斜視図、（ｂ）
は二次コイルを巻回した状態における断面図である。

【図２】（ａ）、（ｂ）は本考案の他の実施形態におけ
る二次コイルボビンを示しており（ａ）は斜視図、
（ｂ）は二次コイルを巻回した状態における断面図であ
る。

【図３】従来の内燃機関用点火コイルの概略断面図であ
る。

【図４】（ａ）、（ｂ）は従来の内燃機関用点火コイル
における二次コイルボビンを示しており（ａ）は斜視
図、（ｂ）は二次コイルを巻回した状態における断面図
である。

【符号の説明】

１ 点火コイル本体 ２ 一次コイルボビン ３ 一次コイル ４ 二次コイルボビン ４ａ、４ａ′ 鍔部 ４ｂ、４ｂ′ 突起部 ５ 二次コイル ６ 絶縁ケース ７ 一次端子 ８ 高圧端子 ９ 絶縁部材 ９ａ 絶縁部材の薄肉部 １０、１１ 積層鉄心 ａ 鍔部の高さ ｂ 巻線の高さ ｃ 突起部の高さ

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄心の外周に同心状に一次コイル及び二
   次コイルを配設し、上記二次コイルを絶縁部材にて形成
   した二次コイルボビンの長さ方向に複数に分割巻し、且
   つ上記鉄心と上記一次コイル及び上記二次コイルとを絶
   縁部材により一体的にモールドした内燃機関用点火コイ
   ルであって、 上記二次コイルボビンの外周面には、巻装された上記二
   次コイルの巻線高さよりも高い突起部を放射状に、且つ
   上記二次コイルボビンの長さ方向に複数形成して、上記
   二次コイルの分割巻の仕切りとしたことを特徴とする内
   燃機関用点火コイル。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の内燃機関用点火コイル
   において、 上記二次コイルボビンは、外周面に上記二次コイルの巻
   線高さよりも低い複数の鍔部を設け、且つ各鍔部の外周
   縁に上記二次コイルの巻線高さよりも高い突起部を放射
   状に形成し、上記鍔部と上記突起部とを上記二次コイル
   の分割巻の仕切りとしたことを特徴とする内燃機関用点
   火コイル。