JP2623652B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP2623652B2
JP2623652B2 JP63059800A JP5980088A JP2623652B2 JP 2623652 B2 JP2623652 B2 JP 2623652B2 JP 63059800 A JP63059800 A JP 63059800A JP 5980088 A JP5980088 A JP 5980088A JP 2623652 B2 JP2623652 B2 JP 2623652B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、車両の制動時の車輪ロックを防止するア
ンチスキッド制御装置に係り、とくに、車輪が所定ロッ
ク傾向にあるとき、車両の減速度等を用いて車体速度を
推定するようにしたアンチスキッド制御装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、この種のアンチスキッド制御装置としては、例
えば、特開昭57−11149号公報記載のものが知られてい
る。
この従来装置は、車両の前後方向の加速度を検出する
前後加速度センサと、この前後加速度センサの検出値を
ブレーキペダル踏み込み時から積分し、ブレーキペダル
踏み込み時の車輪速度からその積分値を減算して推定車
体速度とする推定車体速度算出手段とを有していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、このような従来の装置にあっては、制
動時の前後加速度検出値のみを積分することにより車体
速度を推定するようにしていたため、車両に例えば横す
べり角が生じたり、旋回制動によってヨーイングが発生
したときには、前後方向のみならず左右方向にも減速度
成分が発生することから、前後方向の加速度のみを積分
しても実車体速度を正確に推定できず、従ってアンチス
キッド制御の精度が著しく低下してしまうという問題点
があった。
而して、前記従来の技術において、車両に横すべり角
やヨーイング等のように、車両の左右方向にも減速度成
分が発生するような制動状態であっても、車両の対地速
度を正確に推定し、この推定値に基づき高精度且つ安定
したアンチスキッド制御を施すことができるようにする
ことは、未解決の課題であった。
〔問題を解決するための手段〕
そこで、上記課題を解決するため、この発明では第1
図に示すように、各車輪の制動用シリンダの圧力を所定
の指令信号に応じて各々調整する複数のアクチュエータ
を備え、制動状態に応じて前記指令信号を制御するよう
にしたアンチスキッド制御装置において、車両の前後方
向の加速度を検出する前後加速度検出手段と、車両の左
右方向の加速度を検出する横加速度検出手段と、車両の
ヨーイングによるヨー角速度を検出するヨー角速度検出
手段と、各車輪の車輪速度を個別に検出する車輪速度検
出手段とを具備し、前記各車輪速度検出手段の内の最大
値を選択する最大車輪速度選択手段と、前記前後加速度
検出手段,前記横加速度検出手段,及び前記ヨーク角速
度検出手段による角検出値に基づいて車両の並進速度の
減速度を求め、前記最大車輪速度選択手段による選択値
を初期値として、車両の所定ロック傾向状態における前
記車両の並進運動の減速度を積分することにより車両の
対地速度から推定車体速度を算出する推定車体速度算出
手段と、この推定車体速度算出手段による推定車体速度
及び前記各車輪速度に基づき、車輪が所定ロック形状状
態にあるときの制動状態に応じた指令信号を前記各アク
チュエータに個別に供給するアクチュエータ制御手段と
を具備している。
〔作用〕
この発明では、車輪速度検出手段による各車輪速度検
出値の内の最大値が最大車輪速度選択手段で選択され
る。そこで、推定車輪速度算出手段では、その最大車輪
速度を初期値として、前後加速度検出手段,横加速度検
出手段,及びヨー角速度検出手段による各検出値に基づ
いた車両の並進運動の減速度を積分することにより、車
輪の所定ロック傾向状態における車両の対地速度が推定
車体速度として算出される。つまり、並進運動を伴う車
両で実際に検出される前後加速度検出値は、真の前後加
速度に、ヨー角速度と横速度との積値を加味した値であ
り、同様に横加速度検出値は、真の横加速度に、ヨー角
速度と前後速度との積値を加味した値となるから、検出
される前後加速度検出値,横加速度検出値,及びヨー角
速度検出値を用いれば、車両の並進運動の減速度を求め
ることができ、これを積分して車両の前後及び横方向の
速度ベクトルを求め、そのベクトル和から真の対地速度
を求めることができるから、これが実車体速度に近い推
定車体速度となる。従って、アクチュエータ制御手段
は、その推定車体速度及び各車輪速度に基づき、車輪が
所定ロック傾向状態にあるときの制動状態に応じた指令
信号を各アクチュエータに個別に供給する。これによっ
て、各車輪の制動用シリンダの圧力が適宜正誤される。
つまり、車輪が所定ロック傾向にあるとき、車両の左右
方向の減速度成分及びヨーイングによる前後,左右方向
の減速度の低下分も加味されて、正確な車体速度が推定
され、的確なアンチスキッド制御が実施される。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第2図乃至第9図は、この発明の一実施例を示す図で
ある。
第2図において、2は車両に搭載された液圧式のドラ
ムブレーキを示し、4はブレーキ2に対する四輪独立制
御のアンチスキッド制御装置を示す。
ブレーキ2は、ブレーキペダル6、マスターシリンダ
8、前左側〜後右側の車輪9FL〜9RRのホイールシリンダ
(制動用シリンダ)10FL〜10RRを有している。
一方、アンチスキッド制御装置4は、車両の挙動情報
を検知するため、車輪速センサ11FL〜11RR,前後加速度
検出手段としての前後加速度センサ12,横加速度検出手
段としての横加速度センサ13,及びヨー角速度検出手段
としてのヨー角速度センサ14と、これらの各センサの検
出値に基づきアンチスキッド制御を指令するコントロー
ラ15と、このコントローラ15の出力する制御信号によっ
て前記ホイールシリンダ10FL〜10RRを液圧を個別に調整
するアクチュエータ16FL〜16RRとにより構成されてい
る。
車輪速センサ11FL〜11RRの各々は、各車輪9FL〜9RRに
連動する所定位置に設けられた電磁ピックアップで構成
され、車輪の回転数に比例した周波数の交流電圧信号v1
〜v4を出力する。また、前後加速度センサ12及び横加速
度センサ13は車体の所定位置に各々設けられており、車
両の前後方向及び横方向の加速度を各々検出しこれに対
応したアナログ直流電圧でなる加速度信号GX及びGYを個
別に出力する。さらに、ヨー角速度センサ14は、車両の
ヨーイングによるヨー角速度に対応したアナログ電圧で
なるヨー角速度信号を出力する。
コントローラ15は、その入力側に、第2図に示す如
く、車輪速センサ11FL〜11RRの検出信号v1〜v4をF−V
(周波数−電圧)変換して車輪速度信号VW1〜VW4を演算
する車輪速度演算回路18FL〜18RRを装備している。この
車輪速演算回路18FL〜18RRの出力側は、A/D変換器20A〜
20Dを各々介してマイクロコンピュータ22に至るととも
に、2次遅れのデジタルフィルタでなる車輪速フィルタ
23FL〜23RRに至る。この車輪速フィルタ23FL〜23RRの各
々は、その入力側にA/D変換器を、その出力側にD/A変換
器を各々内蔵しており、入力する車輪速度信号VW1(〜V
W4)が減速側に対応する負の傾きをもって変化するとき
は、所定傾き−k1を越えて変化しないように制限し、加
速側に対応する正の傾きをもって変化するときは、所定
傾きk2を越えて変化しないように制限するリミッタ機能
を有している。このフィルタ23FL〜23RRは、路面凹凸,
電気的ノイズ等によって実際の車輪速度と異なる値をマ
イクロコンピュータに入力するのを防止するために設け
られている。
車輪速フィルタ23FL〜23RRの各々の出力端は、最も実
車体速度に近い車輪速度信号を決定するための最大車輪
速度選択手段としてのセレクトハイスイッチ24に至る。
つまり、セレクトハイスイッチ24は、フィルタ23FL〜23
RRの車輪速度信号VW1′〜VW4′の中の最高値を選択(セ
レクトハイ)し、これを最大車輪速度信号VWMAXとして
出力する。このセレクトハイスイッチ24の出力端は、A/
D変換器25を介してマイクロコンピュータ22に至るとと
もに、第1の積分器26の所定の初期値入力端に至る。
一方、コントローラ15には、後述する第2の積分器27
の出力信号vYとヨー角速度センサ14の検出信号との掛
け算を行う第1の乗算器28と、この第1の乗算器28の出
力信号〔vY・〕を正とし前後加速度センサ12の検出信
号GXを正として両者を相互に加算する第1の加算器29と
が設けられている。さらに、これと共に、第1の積分器
26の出力信号vXとヨー角速度信号との掛け算を行う第
2の乗算器30と、この第2の乗算器30の出力信号〔vX
〕を負とし横加速度センサ13の検出信号GYを正として
両者を相互に加算する第2の加算器31と、第1,第2の積
分器26,27の出力信号vX,vYのベクトル和を演算するベク
トル和演算器32とが設けられている。そして、第1の積
分器26,ベクトル和演算器32の出力端はA/D変換器33,34
を介して各々マイクロコンピュータ22に至る。また、第
1,第2の積分器26,27には、マイクロコンピュータ22か
ら積分期間を指令するリセット信号RSTが印加される。
ここで、第1,第2の積分器26,27、第1,第2の乗算器2
8,30、第1,第2の加算器29,31、ベクトル和演算器32に
よって,推定車体速度演算部35が形成されている。
ここで、車両に固定した座標系を第3図のように設定
する。x軸は車両前後方向に対応して前方が正、y軸は
車両左右方向に対応して左方向が正、原点が車両重心に
対応するものとする。また、車のヨーイングは車両上方
からみて反時計回りを正とする。
そして、車両のx軸方向の速度をvX,y軸方向の速度を
vY,重心点横すべり角をβとすると、これらと各検出値G
X,GY,との間には、 GX−vY・ ……(1) GY−vX・ ……(2) β=tan-1(vY/vX) ……(3) の関係がある。第(1),(2)式より、 vX=∫(GX+vY・)dt ……(4) vY=∫(GY−vX・)dt ……(5) |v|=(vX 2+vY 21/2 ……(6) が求められる。つまり、x軸方向速度vXとy軸方向速度
vYとのベクトル和の絶対値が実際の車体速度となる。
この第(4)〜(6)式の演算は、前述した推定車体
速度演算部35によって行われる。つまり、第(4)式の
演算は第1積分器26に含まれて、第(5)式の演算は第
2の積分器27によって、第(6)式の演算はベクトル和
演算器32によって行われる。
さらに詳述すると、第1の積分器26には、初期値とし
て最大車輪速度信号VWMAXが印加されており、リセット
信号RSTのオンの間だけ、最大車輪速度信号VWMAXを初期
値として、 vX=VWMAX=∫(GX+vY・)dt ……(7) の積分演算を行い、リセット信号RSTがオフのときは、V
WMAXを初期値としてリセットし、常にvX=VWMAXを出力
するようになっている。
一方、第2の積分器27は、リセット信号RSTがオンの
ときは前述した第(5)式の演算を行い、オフのときは
零にリセット(初期値=0)し、vY=0を出力するよう
になっている。
マイクロコンピュータ22は、入力インターフェイス回
路37,演算処理装置38,記憶装置39,出力インターフェイ
ス回路40を少なくとも含んで構成される。演算処理装置
38は、デジタル化された各検出信号を入力インターフェ
イス回路37を介して読み込み、予め格納されている所定
プログラムにしたがって所定の演算・処理(第5〜7図
参照)を行うとともに、必要に応じてアクチュエータ16
FL〜16RR駆動用の制御信号を出力インターフェイス回路
40を介して出力する。記憶装置39は、演算処理装置38の
処理の実行に必要なプログラム及び制御マップ等の固定
データを予め記憶しているとともに、その処理結果を一
時記憶可能になっている。
一方、マイクロコンピュータ22の出力側にはアクチュ
エータ16FL〜16RRの各々に対応して増幅器41A〜41Cの組
が個別に装備され、マイクロコンピュータ22からの制御
信号は、増幅器41A〜41Cを介して液圧制御信号EV,AV,MR
としてアクチュエータ16に出力可能に構成されている。
さらに、アクチュエータ16FL〜16RRの各々は、第4図
に示すように、マスターシリンダ8の液圧流入側とホイ
ールシリンダ10との間に接続された流入弁42と、この流
入弁42の出力側,即ちホイールシリンダ10に接続された
流出弁44と、この流出弁44の出力側に接続された蓄圧用
のアキュムレータ46及びオイル回収用のオイルポンプ48
と、オイルポンプ48とマスターシリンダ8との間に装備
されたチェック弁50とを備えている。
この内、流入弁40及び流出弁42は、コントローラ15か
らの液圧制御信号EV及びAVにより開閉制御される。つま
り、増圧モードでは制御信号EV,AVをオフとすることに
より、流入弁42が「開」,流出弁44が「閉」となり、マ
スターシリンダ8からの制動液圧を流入弁42を介してホ
イールシリンダ10FL(〜10RR)に供給でき、この結果、
シリンダ圧が上昇する。減圧モードでは制御信号EV,AV
をオンとすることにより、流入弁42が「閉」,流出弁44
が「開」となり、ホイールシリンダ10FL(〜10RR)内の
オイルをマスターシリンダ3側に回収でき、この結果、
シリンダ減圧が下降する。さらに、保持モードでは、制
御信号EVをオン,AVをオフとすることで両流入弁42,流出
弁44が閉じ、ホイールシリンダFL(〜10RR)のオイルを
閉じ込めることができ、その圧力を保持できる。制御信
号MRはアンチスキッド制御中オンとされ、これによりポ
ンプ48が駆動する。
次に、上記実施例の動作を第5図乃至第9図を参照し
ながら説明する。なお、簡単のため、各車輪速度VW1〜V
W4は全て等しいとする。
イグニッションスイッチがオン状態になると、電源が
投入され本装置が起動する。
つまり、車輪速センサ11FL〜11RRにより各別に検出さ
れた交流電圧信号v1〜v4は、車輪速度演算回路18FL〜18
RRにおいて各々車輪速度信号VW1〜VW4に変換される。こ
の後、車輪速度信号VW1〜VW4はA/D変換器20A〜20Dによ
り各別にデジタル化されてマイクロコンピュータ22に供
給されるとともに、車輪速フィルタ23FL〜23RRにも個別
に供給される。
車輪速フィルタ23FL〜23RRの各々は、入力した車輪速
度信号VWi(i=1〜4)の一定時間(例えば5msec)当
たりの変化量が、傾き−k1に相当する一定値(例えば−
1km/h)又は傾きk2に相当する一定値(例えば0.8km/h)
を越える場合には、その一定値に制限した値であり、反
対に一定値以内の場合には、そのままの値でもって補正
された車輪速度信号VWi′とし、これをセレクトハイス
イッチ24に各々出力する。つまり、外乱等により、高周
波のノイズが車輪速度信号VWiに混入した場合でも、そ
のノイズによる誤検出が排除される。
また、セレクトハイスイッチ24では、入力する各車輪
速度信号VWi′がハイセレクトされ、その最大車輪速度
信号VWMAXが第1の積分回路26に初期値として供給され
るとともに、マイクロコンピュータ22にも供給される。
一方、前後加速度センサ12,横加速度センサ13による
検出信号GX,GYは、各々、第1,第2の加算器29,31に入力
する。また、ヨー角速度センサ14による検出信号は、
第1,第2の乗算器28,30に入力する。この内、第1の乗
算器28では第2の積分回路の出力信号vYに対して、〔
・vY〕の積が演算され、第1の加算器29ではその積〔
・vY〕に応じた信号に対して、〔GX+・vY〕の加算が
行われる。このため、第1の積分回路26では、初期値を
VWMAXとし、リセット信号RSTがオンのときには前記第
(7)式による減速側への積分演算が実施され、リセッ
ト信号RSTがオフのときにはvX=VWMAXにリセットされ
る。
さらに、第2の乗算器30では第1の積分回路26の出力
信号vXに対して、〔・vX〕の積が演算され、第2の加
算器31ではその積〔・vX〕に応じた信号に対して、
〔GY+・vX〕の加算が行われる。このため、第2の積
分回路27では、初期値を零とし、リセット信号RSTがオ
ンのときには前記第(5)式の積分演算が実施され、リ
セット信号RSTがオフのときにはv0=0にリセットされ
る。
そこで、このようにして演算された前後方向,左右方
向の速度成分vX,vYは共にベクトル和演算器32に供給さ
れ、この演算器32において前述した第(6)式に基づく
車体速度(ベクトル量)の絶対値|V|に相当する信号が
略リアルタイムで演算される。そして、この車体速度信
号|V|は、車両の横すべり角β及びヨーイングを考慮し
た信号となり、これが推定車体速度信号Vrefとしてデジ
タル化されてマイクロコンピュータ22に出力される。こ
れとともに、x軸方向の速度成分vXもデジタル化されて
マイクロコンピュータ22に出力される。
さらに、マイクロコンピュータ22では、上記各入力信
号に基づいて一定時間(例えば20msec)毎且つ各車輪毎
に第5〜7図に示すタイマ割込処理が実行される。これ
らの処理は、図示しないブレーキスイッチ信号がオン
(ブレーキペダル6の踏み込みに対応)のときに実施さ
れる。
これらの処理を、第8図に示すアンチスキッド制御例
とともに説明する。第8図(1)の速度曲線は、各出力
の変化を判別し易くするため、少しずらして示してい
る。
いま、時刻t0でブレーキペダル6を踏み込み、急制動
を行ったとする。この状態における第5図の処理は以下
のようになる。まず、演算処理装置38は、第5図のステ
ップ〜では、順次、前後方向の車体速度信号vX,最
大車輪速度信号VWMAX,車輪速度信号VWi(i=1〜4)
を読み込み、その値を車体速度vX,最大車輪速度VWMAX,
車輪速度VWiとして一次記憶する。
次いでステップで、前回の制御周期に係る車輪速度
VWiとから車輪加減速度Wiを演算した後、ステップ
に移行する。
ステップでは、加速度,ヨー角速度にかかる車体速
度を推定しているか否かを表すフラグFを判断する。こ
の判断においてフラグF=0の場合、車輪速度に基づき
車体速度を推定しているとして、続いてステップに移
行して、車輪加減速度Wiが減速側に増大しロック方向
に向かっているか否かをみるため、Wi≦−α(α
は所定基準値)か否かの判断を行う。
この判断でWi<−αの場合、ロック傾向ではない
とし、続いてステップにおいて、車輪速度が実車体速
度方向に回復してきたかどうかをみるため、vX≦VWMAX
か否かの判断を行う。この判断でvX≦VWMAXの場合は、
車輪速度が回復しているとして、ステップで第1,第2
の積分器26,27に対するリセット信号RSTをオフとし(第
8図(2)参照)、ステップでフラグFのクリヤを維
持し、メインプログラムに復帰する。
このため、前述したように、第1の積分器26の出力が
vX=VWMAXとなり、第2の積分器27の出力がvY=0とな
り、結局、vX=VWMAX=|V|(=Vref)となる。つまり、
車体速度は前後方向の速度成分と等しく、この定速度走
行では、同図のステップ〜の処理がなされる。
また、この状態における第6図の処理は、以下のよう
である。同図のステップ〜では、前述と同様に、推
定車体速度Vref及び車輪速度VWiを読み込み、車輪加減
速度Wiを算出する。次いでステップに移行し、 の式に基づきスリップ率Siを算出し、これを一時記憶し
てメインプログラムにリターンする。
さらに、この状態における第7図の処理は以下のよう
になる。いま、前回のタイマ割込制御で後述する減圧タ
イマL及び制御フラグASが共にクリヤされているとす
る。まず、同図のステップに係るスリップ率Si≧S
0(S0は基準スリップであって、ここでは15%に設定さ
れている)の判断では「NO」となり、ステップの減圧
タイマL>0か否かの判断では「NO」となり、ステップ
の制御終了条件を満たすか否かの判断に移行する。こ
の判断は、具体的には、推定車体速度Vrefが停車状態に
相当する所定値Vref0に対してVref≦Vref0か否か、緩増
圧回数Nが所定値N0に対してN≧N0か否か等を判断する
ことにより行われるから、「NO」となる。さらに、ステ
ップの減圧タイマL>0か否かの判断で「NO」、ステ
ップの車輪加減速度Wi≧α(αは加速側の基準
値:正値)か否かの判断で「NO」、ステップのWi
−α(αは減速側の基準値:正値)か否かの判断で
「NO」となり、ステップに移行する。ステップでは
制御フラグAS=0か否かを判断するが、未だアンチスキ
ッド制御開始前で制御フラグASがクリヤされているか
ら、「YES」となって、ステップに移行し通常ブレー
キモードが指令される。
つまり、演算処理装置38は、各アクチュエータ16FL
(〜16RR)に出力する液圧制御信号EV,AVをオフとす
る。このため、流入弁42が開,流出弁44が閉となり、マ
スターシリンダ8からのオイルはホイールシリンダ10FL
(〜10RR)に流入する。したがって、シリンダ液圧が急
増し(第8図(3)の区間A参照)、この制動に応じて
車輪9FL(〜9RR)の回転数が下がり、減速度Wiが発生
する。
そして、この減速度Wiが基準値−αを下回った時
点t10で、第5図の処理がステップ,に迂回する。
つまり、同図のステップでWi≦−αの場合は、所
定のロック傾向状態にあるとして、車輪速度に基づく車
体速度の推定から加速度に基づく車体速度の推定に変更
すべく、ステップでリセット信号RSTをオンにし(第
8図(2)参照)、ステップでフラグFを立てる。こ
れにより、第1,第2の積分器26,27では前記第(7),
(5)式による演算が各々行われ、ベクトル和演算器32
では第(6)式による演算が行われる。このとき、車両
の横すべり角やヨーイングによるヨー角速度が発生する
ような制動状態のときには、それらを加味した車体速度
vの絶対値が推定車体速度信号Vrefとして求められる。
またさらに、時刻t10以降,後述するt14までの間は、
第5図のステップでフラグFが立っていると判断され
るから、減速度,ヨー角速度に基づく車体速度演算中で
あるとして、ステップ〜に移行する。また、その期
間t10〜t14は、未だ車輪速度が充分に回復していないか
ら、前記ステップでVref>VWMAXとなり、ステップ
,をスキップして処理される。
制動開始後の第6図の処理は、前述と同様である。
このようにして液圧の急増に伴い、車輪回転速度VWi
が徐々に低下し、車輪減速度Wiがマイナス方向に増大
するとともに、スリップ率Siが大きくなる。そして、時
刻t11を経過すると車輪減速度Wiが基準値−αを下
回るので、第7図におけるステップで「YES」と判断
され、ステップに移行して高圧側の保持モードが指令
される。
この保持モードでは、演算処理装置38は液圧制御信号
EVをオン,AVをオフとする。これにより、ホイールシリ
ンダ10FL(〜10RR)のオイルが封じ込められ、その圧力
が第8図(3)中の区間Bの如く保持される。
この圧力保持の間であっても高圧による制動が行われ
ているので、スリップ率Siが徐々に高くなり、その値が
時刻t12において基準値S0に等しくなる。これにより、
第7図のステップで「YES」と判断され、ステップ
Wi≧αか否かの判断で「NO」となり、ステップ
に移行して減圧タイマLに所定の初期値L0をセットする
とともに、制御フラグASを立ててアンチスキッド制御開
始を示す。その後、ステップ,を介してステップ
に移行し、減圧モードを指令する。
この減圧モードでは、演算処理装置38は、液圧制御信
号EV,AVを共にオンとする。これにより、前述したよう
にホイールシリンダ10FL(〜10RR)の液圧が第8図
(3)中の区間Cに示すように下降する。
この減圧により、車輪回転速度VWiが、応答遅れの適
宜な時点から徐々に回復して車体速度に近づくように変
化するから(第8図(1)参照)、その車輪加速度Wi
も徐々に増大し、時刻t13Wi=αとなる。そこ
で、第7図のステップにおいて「YES」と判断され、
ステップに移行して減圧タイマLをクリヤする。この
後、ステップ〜,を介してステップに移行し、
再び低圧での保持モードを指令する。
この保持モードでも、演算処理装置38は、前述したス
テップと同様に制御するから、液圧が第8図(3)中
の区間Dに示す如く保持される。
そして、この液圧保持を行うことによって、スリップ
率Siが回復し、時刻t15を過ぎるとWi<αになる。
そこで、第7図の処理ではステップ〜を順次介して
ステップに移行し、緩増圧モードを指令する。
この緩増圧モードでは、演算処理装置38は、液圧制御
信号AVをオフに制御する一方、制御信号EVのオフとオン
とを所定微小間隔で断続的に繰り返して行う。これによ
り、第8図(3)中の区間A′に示す如く液圧が略ステ
ップ状に上昇する。
この後、同様にして、保持モード,減圧モード,…,
が指令され、制御終了条件が満足されるまで、ホイール
シリンダ10FL(〜10RR)毎に上述したスキッドサイクル
が繰り返される。そして、制御終了条件が満足される
と、第7図のステップにおいて減圧タイマLタイマ及
び制御フラグASをクリヤし、ステップの通常のブレー
キモードに戻る。
このスキッドサイクルに係る液圧モードの制御方向を
示すと、第9図に示すように原点を出発点として実線矢
印のようになる。
ところで、高摩擦係数路と制動等において、減圧して
いる間に、車輪加速度Wiの回復よりも早くスリップ率
Siがその基準値S0以下に改善された場合、第7図のステ
ップ,を介してステップに移行する。このステッ
プでは減圧タイマ=L−1を行う。これにより所定時
間の間は減圧で待機し、先に緩増圧モードが指令された
後、保持モードが指令される(第9図の点線参照)。
このようにして、本発明では、急制動中に横すべり角
βが生じて車両左右方向にも減速度成分が発生した場合
でも、前後方向のほかに、左右方向の減速度成分を加味
して、車体速度が求められる。また、旋回制動のように
ヨーイングが生じている場合は、その並進運動に対する
補正がなされた車体速度が正確に推定される。このた
め、路面摩擦係数の急変,旋回制動等に関わらず、正確
な車体速度に基づき、的確なアンチスキッド制御が実施
される。一方、そのような横すべり角やヨーイングが発
生しない場合には、前記(5)〜(7)式における横加
速度GY,ヨー角速度が零となるため、前後方向の車体
速度成分vXがそのまま推定車体速度Vrefとなる。従っ
て、この場合も何ら支障なく、的確なアンチスキッド制
御が実施される。
ここで、本実施例では、車輪速センサ11FL〜11RR及び
車輪速演算回路18FL〜18RRにより車輪速度検出手段が構
成される。また、車輪速センサ11FL〜11RR,車輪速演算
回路18FL〜11RRが兼用され、これらと、推定車体速度演
算部35、A/D変換器20A〜20D,25,33,34、及び第5図の処
理,第6図のステップの処理により推定車体速度算出
手段が構成される。また、第6図のステップ〜の処
理、第7図のステップ〜,〜の処理、及び各増
幅器41A〜41C、A/D変換器20A〜20Dによってアクチュエ
ータ制御手段が構成される。
なお、前記実施例におけるコントローラ15は、この全
体をコンピュータによって構成することもでき、その一
方で、マイクロコンピュータ22をカウンタ,比較器,フ
リップフロップ等の電子回路によって構成することもで
きる。
また、前記実施例はドラム式ブレーキについて適用し
た場合を示したが、これはディスク式ブレーキについて
も同様に適用可能である。
さらに、前記実施例では4輪独立制御のアンチスキッ
ド制御装置について述べたが、この発明は必ずしもこれ
に限定されることなく、例えば後2輪制御のアンチロッ
クブレーキについて適用することもできる。
〔発明の効果〕
以上説明してきたように、この発明のよれば、車両の
前後方向の他に、左右方向の加減速度及びヨーイングに
よるヨー角速度を求め、これらに基づいて車両の並進運
動の減速度を考慮しながら車体速度を推定するようにし
ているため、急制動中に横すべり角やヨーイングが発生
した場合でも、これらの影響を考慮してない、より正確
な車体速度が推定されることから、従来のように前後方
向の加減速度のみに基づく場合とは異なり、実車体速度
に即した推定車体速度に基づき高精度なアンチスキッド
制御が行われ、したがって、路面状況,旋回具合に関わ
らず安定した制動能力を発揮することができるという効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の特許請求の範囲との対応図、第2図
はこの発明の一実施例の構成を示すブロック図、第3図
は車両に対する座標系を示すxy座標図、第4図は第2図
のアクチュエータの構成を示すブロック図、第5図乃至
第7図は各々マイクロコンピュータにおいて実行される
処理手順を示す概略フローチャート、第8図はアンチス
キッド制御例を示タイミングチャート、第9図は制御マ
ップを示すグラフである。 図中、4はアンキスキッド制御装置、9FL〜9RRは車輪、
10FL〜10RRはホイールシリンダ、11FL〜11RRは車輪速セ
ンサ、12は前後加速度センサ、13は横加速度センサ、14
はヨー角速度センサ、15はコントローラ、16FL〜16RRは
アクチュエータ、22はマイクロコンピュータである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤代 武史 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−248466(JP,A) 特開 昭61−94864(JP,A) 特開 昭62−253559(JP,A) 特開 昭57−11149(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】各車輪の制動用シリンダの圧力を所定の指
    令信号に応じて各々調整する複数のアクチュエータを備
    え、制動状態に応じて前記指令信号を制御するようにし
    たアンチスキッド制御装置において、車両の前後方向の
    加速度を検出する前後加速度検出手段と、車両の左右方
    向の加速度を検出する横加速度検出手段と、車両のヨー
    イングによるヨー角速度を検出するヨー角速度検出手段
    と、各車輪の車輪速度を個別に検出する車輪速度検出手
    段とを具備し、前記各車輪速度検出手段の内の最大値を
    選択する最大車輪速度選択手段と、前記前後加速度検出
    手段,前記横加速度検出手段,及び前記ヨーク角速度検
    出手段による角検出値に基づいて車両の並進速度を減速
    度を求め、前記最大車輪速度選択手段による選択値を初
    期値として、車両の所定ロック傾向状態における前記車
    両の並進運動の減速度を積分することにより車両の対地
    速度から推定車体速度を算出する推定車体速度算出手段
    と、この推定車体速度算出手段による推定車体速度及び
    前記各車輪速度に基づき、車輪が所定ロック形状状態に
    あるときの制動状態に応じた指令信号を前記各アクチュ
    エータに個別に供給するアクチュエータ制御手段とを具
    備したことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
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