JP2623607B2 - 消臭材料 - Google Patents

消臭材料

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矩具 松川
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、消臭材料に関する。更に詳しくは、容器な
どへの収容性にすぐれた消臭材料に関する。
〔従来の技術〕
消臭材料には、その形態が液体状のものあるいは固体
状のものがあり、固体状のものには、粉体状、粒体状、
繊維状、織布状、不織布状、フィルム状、シート状、そ
して粉末を成型したケーキ状のものなどがあり、それぞ
れ用途に適した形状のものが用いられている。
例えば、液体状のものは、ガラス容器などに入れ、揺
れ動いてもこぼれないようにする必要があり、従ってそ
れの包装形態に制約がある。液体状、粒体状のものは、
液体状のものよりは取扱い易いが、それを包装する場合
には消臭材料の最小粒径より小さい孔径の多孔質材で包
装する必要がある。
そのため、フィルターとして用いる場合、消臭材料が
空気中の臭気物質と接触する表面積が大きい程消臭速度
が大きくなることは当然のことであり、即ち消臭材料の
粒径が小さい程消臭効果は大きくなる。しかるに、粉末
を保持する容器の孔が小さくなる程流通抵抗は大きくな
り、結果として消臭効果が低くなるという問題がみられ
る。
また、シート状の消臭フィルターの場合には、活性炭
繊維を織布状または不織布状にしたものが使用されてい
るが、活性炭による消臭は主として硫化水素に限定さ
れ、その消臭能力に限界がみられる。
複合化物質による複合臭の消臭方法としては、消臭作
用の異なる消臭粉末・ビーズを混合した消臭材料も考え
られるが、これを多孔質フィルター間にサンドウィッチ
して用いる場合、柔軟な袋状フィルターでは粉末・ビー
ズが袋内で偏在しないように静置して使用するか、ある
いは変形し難い多孔質板で抑えて動かないようにして使
用する必要がある。
多孔質フィルターを蛇複式フィルターとし、水平にし
たフィルターの谷部に複合消臭ビーズを入れ、消臭フィ
ルターとする場合には、ビーズを十分入れて山の部分で
ふたをして強く押し付けないと、フィルターが傾くたび
にビーズが移動してしまうという不具合がみられる。
〔発明が解決しようとする問題点〕
複合臭に対応するには、複合消臭材料にしたマイクロ
ポーラスビーズが最も適していると考えられるが、これ
をフィルター状にして用いる場合、包装容器の通気性を
十分にすると共にビーズが動かないようにすることを考
え、そのためにビーズ同志を固定化することを検討し
た。
そこでまず、水溶性の樹脂やでん粉糊を水に溶かした
水溶液にマイクロポーラスビーズを混合してみたが、こ
れにより狙いとする流動性を防止することはできたが、
ビーズ同志が強く接着して粟おこし状となってしまい、
またビーズ中に含浸された消臭液が水溶液中に溶解して
流出してしまうという不具合がみられ、目的とするもの
は得られなかった。
一方、本発明者は、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体
がアンモニアを吸収する能力があることをたまたま発見
し、これの粉末を複合化消臭材料の一成分として活用す
るつもりで、既に複合化したビーズに混合したところ、
この架橋体粉末がマイクロポーラスビーズ中に含浸され
ている液状消臭剤の水分により、ビーズと接触した部分
で粘着し、ビーズ同志がくっつき、それの流動性を失わ
しめ、反面、応力に対しても変形性を示すことを見出
し、同様の効果が他の吸水性樹脂粉末や水溶性樹脂粉末
にもあることを確認し、本発明を完成するに至った。
〔問題点を解決するための手段〕
従って、本発明は消臭材料に係り、この消臭材料は、
液状消臭剤を含浸せしめたマイクロポーラスビーズおよ
び吸水性または水溶性の樹脂粉末の混合物よりなる。
液状消臭剤としては、硫化水素、アンモニアなどに対
して著しい吸収性能を示すカルボキシフタロシアニン系
金属錯体、例えば4,4′,4″,4−テトラカルボキシフ
タロシアニン金属錯体、4,5,4′,5′,4″,5″,4,5
−オクタカルボキシフタロシアニン金属錯体などを当量
の水酸化ナトリウムと共に溶解させた水溶液、アンモニ
アに対して著しい吸着能力を示す硫酸第1鉄系液状消臭
剤(ミヤキ製品ケスカ)、ベタイン型両性界面活性剤
(ジョリーブ製品ジョリーブA−1)、天然植物からの
抽出植物油(リリース科学工業製品パンシル)、樹木か
らの抽出植物油(コロノエ製品スーパークリーンWX−1
0)、次の各一般式で表わされる化合物を同時に含有す
る液状消臭剤(アイコー製品エポリオンS) RCOOM HOR′−R′(OH)−NH2 3RN+(・・・・X-)CH2COO-・・・・M+ R:アルキル基 R′:アルキレン基 M:Na,K X:ハロゲン などの市販品、あるいは本出願人によって先に提案され
ているアミノ酸型またはベタイン型両性界面活性剤、ソ
ルビタン系非イオン界面活性剤およびノナノール(ノニ
ルアルコール)を含有する液状消臭剤(特願昭61−2839
33号)など任意のものを使用し得る。
上記本出願人によって提案された液状消臭剤は、タバ
コのやに臭の消臭などに有効に用いられるが、この液状
消臭剤において、アミノ酸型両性界面活性剤としては、
アルキルポリアミノエチレングリシン塩酸塩、ラウリル
アミノプロピオン酸ナトリウム塩、ステアリルアミノジ
プロピオン酸ナトリウム塩などが用いられる。
ベタイン型両性界面活性剤としては、ラウリルジメチ
ルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジ
ヒドロキシエチルベタインなどが用いられる。
ソルビタン系非イオン界面活性剤としては、ソルビタ
ンラウリル酸モノエステル、ソルビタンパルミチン酸モ
ノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソ
ルビタンステアリン酸トリエステル、ソルビタンオレイ
ン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル
およびこれらにエチレンオキサイドを付加したものなど
が用いられる。
その他の界面活性剤として、第4級アンモニウム塩型
カチオン界面活性剤などを併用してもよい。
これらの液状消臭剤が含浸されるマイクロポーラスビ
ーズとしては、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体系
マイクロポーラスビーズ、SiO2系マイクロポーラスビー
ズなどが用いられる。
スチレン−ジビニルベンゼン共重合体系マイクロポー
ラスビーズは、ジビニルベンゼン部分がスチレン基体の
架橋点として作用する樹脂であって、16〜8000Åの孔径
および0.1ml/g以上の細孔容積を有しており、三菱化成
工業製品ダイヤイオンHPシリーズとして市販されてい
る。
また、SiO2マイクロポーラスビーズとしては、細孔の
平均孔径が約20〜210Å、細孔容積が0.2〜2.2ml/g、平
均粒径が約5μm〜5mmのものが一般に用いられ、市販
品である富士デヴィソン化学製品マイクロビーズシリカ
ゲル3A、4B、5Dまたは同社製品のサイロイド63−978な
どがそのままで用いられる。
これらのマイクロポーラスビーズへの液状消臭剤の含
浸は、一般に液状消臭剤中にマイクロポーラスビーズを
浸漬する方法によって行われ、その含浸量はマイクロポ
ーラスビーズの細孔容積に対し約5〜95%である。この
際、互いに反応し合わない液状消臭剤であれば、2種類
以上の液状消臭剤を同時に含浸させることもできるが、
一般的には個々の液状消臭剤をマイクロポーラスビーズ
に含浸させ、それぞれ異なった液状消臭剤を含浸したマ
イクロポーラスビーズを任意の割合で混合して複合消臭
材料として用いることも行われる。
これらの液状消臭剤含浸マイクロポーラスビーズに混
合される吸水性または水溶性の樹脂粉末としては、ポリ
アクリル酸ナトリウム架橋体、ポリ酢酸ビニル−アクリ
ル酸ナトリウム架橋体、でん粉−アクリル酸ナトリウム
架橋体、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)など
の吸水性樹脂またはポリビニルアルコール、ポリアクリ
ルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイ
ミンなどの水溶性樹脂が粉末状で、一般にマイクロポー
ラスビーズ100重量部当り約1〜100重量部の割合で混合
して用いられる。
〔作用〕および〔発明の効果〕 本発明に係る消臭材料は、吸水性または水溶性の樹脂
粉末によって液状消臭剤含浸マイクロポーラスビーズが
粘着し、力を加えると全体として変形するが、自重では
変形しないようになるので、多孔質容器などに収容した
ときの収容性にすぐれており、しかも消臭能力は吸水性
または水溶性樹脂の消臭能力が加味されて増大するよう
になる。
〔実施例〕
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1 SiO2系マイクロポーラスビーズ(富士ヴィソン化学試
作品、細孔容積1.6ml/g)10gおよび硫酸第1鉄系液状消
臭剤(ミヤキ製品ケスカ)16gを混合、撹拌し、液状消
臭剤の全量をSiO2系マイクロポーラスビーズに含浸させ
た。含浸後のマイクロポーラスビーズは、含浸前と同様
にさらさらした粉粒体を示した。
この液状消臭剤含浸SiO2系マイクロポーラスビーズ10
0重量部およびポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末
(日本触媒化学製品アクアリックCA)10重量部の混合物
を、空気清浄器フィルターとして用いられている蛇腹式
フィルターを水平方向に置いて左右に拡げたとき形成さ
れる谷部に、谷部容積の約50%充填し、山の部分に不織
布(日本不織布製K−1040F)を貼り合せ、蛇腹式フィ
ルターの左右両端部で固定した。
これを室温に放置しながら、充填直後、1週間後およ
び1ヶ月後に、この消臭材料を充填した蛇腹式フィルタ
ーを上下左右に振って消臭材料の状態をみたが、ビーズ
の移動は殆んど認められなかった。
また、北川式ガス検知管を用い、吸アンモニア性を調
べると、液状消臭剤含浸SiO2系マイクロポーラスビーズ
に対し、1/10量のポリアクリル酸ナトリウム架橋体粉末
を混合したものの消臭能力は約1.2倍増加していた。
実施例2 未乾燥のスチレン−ジビニルベンゼン共重合体マイク
ロポーラスビーズ50g、硫酸第1鉄系液状消臭剤(ケス
カ)10gおよび水40gの混合物を減圧乾燥機中に入れ、50
gの恒量になる迄減圧乾燥した。
この液状消臭剤含浸スチレン−ジビニルベンゼン共重
合体系マイクロポーラスビーズ100重量部に、ポリアク
リル酸ナトリウム架橋体粉末(アクアリックCA)4重量
部をふりかけ、素早くかきまぜる。形成された混合物
は、流動性を失って、賦形するとその形が崩れ難くなっ
ている。
この試料2.0gを、内径10mm,長さ20mmのガラス管内に
入れ、ガラス棒を用いてガラス管内で左右から圧縮する
と、形状が円柱状に固定された消臭材料が得られた。
そこに、濃度30ppmのアンモニアガスを含有する空気
を毎分200mlの流量で180分間流し、消臭材料を通過し、
排出された空気中のアンモニア濃度をその時点で測定す
ると、その値は1ppm以下であった。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液状消臭剤を含浸せしめたマイクロポーラ
    スビーズおよび吸水性または水溶性の樹脂粉末の混合物
    よりなる消臭材料。
  2. 【請求項2】液状消臭剤含浸マイクロポーラスビーズ10
    0重量部当り約1〜100重量部の樹脂粉末が混合された特
    許請求の範囲第1項記載の消臭材料。
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