JP2623269B2 - 溶融還元における予備還元用ガス性状の調整方法 - Google Patents

溶融還元における予備還元用ガス性状の調整方法

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JP2623269B2
JP2623269B2 JP62310143A JP31014387A JP2623269B2 JP 2623269 B2 JP2623269 B2 JP 2623269B2 JP 62310143 A JP62310143 A JP 62310143A JP 31014387 A JP31014387 A JP 31014387A JP 2623269 B2 JP2623269 B2 JP 2623269B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、鉄鉱石のような、金属酸化物を含有する
鉱石を、予備還元炉にて固体状態で予備還元したのち溶
融還元炉にて溶融させて最終還元を行う方式の溶融還元
において、予備還元用ガスの性状を調整する方法に関す
るもので、とくに、反応剤である石炭などの消費量を減
らし、プロセス全体のエネルギー利用率を高めることの
できる、溶融還元における予備還元用ガス性状の調整方
法に関するものである。
(従来の技術) 溶融還元法は、鉄鉱石(酸化鉄)などの金属酸化物を
含有する鉱石を、溶融状態で還元して鉄やフェロアロイ
を製造する方法であり、将来の原料およびエネルギー事
情に適応するとして最近注目されるようになり、実用化
のための研究開発が進められている技術である。この方
法に期待される特長はつぎの点にある。すなわち、製鉄
法としては、高炉法と比べて、安価な原料の使用、粉鉱
の塊成化などの事情処理工程の省略、設備の小型化など
を実現できること、またフェロアロイの製造法として
は、電力に依存しないプロセスの実用化が可能であるこ
となどである。
溶融還元法には種々のプロセスが提案されており、還
元炉の形式も多様であるが、代表的な形式として金属浴
炉式の溶融還元炉があげられる。これは、たとえば製鉄
用のものでは、鉄浴(溶鉄)内へ石炭および酸素ととも
に鉄鉱石を装入し、これを還元して溶鉄(銑鉄)を得る
還元炉であるが、反応が速く(固体状態で還元するもの
に比べて100倍以上の速度で還元することができる)、
設備形式がシンプルであるなどの理由で多くのプロセス
に採用されている。
反面、これを用いた溶融還元プロセスはエネルギー利
用率が非常に悪く、熱源である石炭のもつエネルギーの
大部分が排ガスとともに逃散するため、最近ではつぎに
示すa)またはb)の方法によってこれを改善してい
る。
a)2次燃焼技術の適用:2次燃焼とは、溶融還元炉内の
ガス空間部に酸素(またはこれを含むガス)を吹き込ん
で、金属浴面から出てくる可燃性ガスの一部を燃焼させ
る技術である。これによって発生する熱を金属浴中に回
収すれば、その分、石炭の消費量を減らすことができ、
エネルギー利用率を上昇させることになる。浴面から出
る可燃性ガスのうち燃焼させるガス分の割合を、2次燃
焼率という。
溶融還元炉において、たとえば酸化鉄を還元する場合
の基本反応式は、2次燃焼の有無によってつぎのように
かわる。まず、2次燃焼をしない(2次燃焼率が0%、
炉内ガス温度は1450℃)場合には、 一方、2次燃焼率を30%にして炉内ガス温度を1600℃
にする場合には、 式と式とを比較すれば、溶融還元炉で単位量の溶
鉄を得るために必要なC(石炭)およびO2の消費量は、
2次燃焼を適用することにより減少することがわかる。
なお、式(2次燃焼率30%)の場合、加えたエネルギ
ーはCの燃焼熱量であり、0.679kg×8100kcal/kg=5500
kcal、一方、有効に利用された熱量は、Fe2O3(1kg)の
還元熱量1759kcalとFeの溶解熱239kcalを合計した値199
8kcalであるため、エネルギー利用率は1998/5500、すな
わち36%である。
溶融還元炉に限って見れば、上記のように、2次燃焼
率が高いほどエネルギー利用率は高くなる。
b)予備還元工程の適用:鉱石を直接に溶融させて還元
せずに、固体状態で予備還元したのち、前記のような溶
融還元炉で最終還元する技術である。予備還元には、主
として、溶融還元炉での最終還元にともなって発生する
高温ガスを還元用ガスとして使用するので、エネルギー
の有効利用をはかることができる。予備還元炉として
は、鉱石が流動層を形成して上記のガスと接触・反応す
る流動層形式のものが多く、反応温度は800℃前後で、
予備還元炉における還元率(予備還元率)は70〜95%に
設定されている。なお還元率とは、原料鉱石がもつ金属
酸化物を基準とした酸素の減少率を示すもので、たとえ
ば、Fe2O3を基準(還元率0%)とした場合は、還元率1
1.1%でFe3O4に、同33.3%でFeOに、さらに同100%でFe
に還元されることになる。所望の予備還元率を得るため
には、予備還元炉に導入する還元ガスの組成および温度
が適切でなければならない。
このような予備還元炉と溶融還元炉からなるプロセス
について、予備還元率を75%とする場合、すなわち予備
還元炉にてFe2O3がFeOとFeとの混合状態にまで還元され
る場合には、その基本反応式はつぎのようになる。
(予備還元炉にて) 1.430kg・Fe2O3+1.290Nm3・CO →0.625kg・Fe(s)+0.482kg・FeO +0.838Nm3・CO+0.451Nm3・CO2 ‥‥ (溶融還元炉にて) ここで、加えたエネルギーはCのもつ燃焼熱量、0.63
1kg×8100kcal/kg=5111kcalであるので、エネルギー利
用率は39%である。
なお式で、化学量論的に要求される以上の量のCOを
加えた理由は、800℃でFe2O3をFeに還元するためには、
予備還元炉の出口ガス中(式の右辺)のCO/(CO+C
O2)比を65%以上に保たなければならない(第3図参
照)ことによる。溶融還元炉では、このCO量を確保する
ためにCを追加し、この発熱反応にともなう熱収支を平
衡させる冷却剤としてCO2を使用すると、式の関係に
なる。
以上、エネルギー利用率を高める二つの方法a)およ
びb)を示したが、最近の溶融還元においては両者を組
み合わせて採用することが多い。すなわち、溶融還元炉
には2次燃焼技術を適用するとともに、これより発生す
るガスを用いて鉱石を70〜95%の還元率に予備還元して
おく、というプロセスが一般的である。
ところが、こうした二つの方法を単純に組み合わせて
も、プロセス全体のエネルギー利用率は必ずしも向上す
るとは限らない。すなわち、2次燃焼率を高めていけ
ば、溶融還元炉より発生するガス中にはCOなどの還元成
分が減少するので、エネルギーとしてのCの量を増やさ
ない限り、予備還元率が低下するからである。たとえ
ば、2次燃焼率が35%を超えて、予備還元率70%を達成
するためには、理論上、無限大量のCが必要であり、エ
ネルギー利用率は0に等しい。
そこで、従来、プロセス全体のエネルギー利用率を高
めるために、つぎのような方法をとっていた。
イ)2次燃焼率を30%以下に制限することにより、前記
のように高い(70〜95%)予備還元率を確保する。なお
この場合、溶融還元炉から発生するガス中には、還元成
分が十分に含まれるので、このガスは流量と温度だけを
調整して予備還元に用いる。
ロ)溶融還元炉からの発生ガスを改質し、ガス中に還元
成分(COおよびH2)を増やして予備還元用ガスとするこ
とにより、高い(最大40%程度)2次燃焼率と高い予備
還元率を両立させる(特開昭59−222508号)。
ハ)予備還元炉からの排ガスの一部を、脱炭酸および再
加熱したうえ、溶融還元炉からの発生ガスに混合して予
備還元用ガスとすることにより、高い2次燃焼率と高い
予備還元率を両立させる(COINプロセスなど)。
(発明が解決しようとする問題点) 上記した従来の方法のいずれによっても、鉱石(金属
酸化物)を還元して金属を得るために必要な石炭(C)
の消費量が多い、すなわちエネルギー利用率が十分でな
いという問題点が依然として残る。たとえば、イ)の方
法によって鉄鉱石を還元する場合は、前記のエネルギー
利用率はせいぜい40%であり、高炉法による場合のそれ
が50%以上であることを考えると、前記した欠点が克服
されたとは言いがたい。
Cの消費量が多いことからO2の消費量も多くなり、し
たがって現実的には、スラグの発生量、石灰の消費量、
生成金属のスラグ中へのロスなどの面で悪影響がでるば
かりか、これらに関する設備上の負担を増加させること
にもなる。
また、前記のロ)およびハ)の方法では、イ)の方法
よりも2次燃焼率を高くできるので、多少はエネルギー
利用率が高くなるが、高い予備還元率を確保するため
に、ガス性状を大幅に調整(改質または脱炭酸)するこ
とが必要で、そのために膨大な設備費と運転費が必要と
なる。
(発明の目的) 本発明は上記の問題点を解消することを目的としてな
されたもので、予備還元用ガスの性状を調整することに
より、エネルギー利用率を大幅に向上させ、石炭、酸素
および石灰などの消費量をできるだけ少なくするため
の、溶融還元における予備還元用ガス性状の調整方法を
提供しようとするものである。
(問題点を解決するための手段) 上記した目的を達成するためのこの発明の要旨とする
ところは、金属酸化物を含有する鉱石を予備還元炉にて
固体状態で予備還元したのち溶融還元炉にて溶融させて
最終還元を行うとともに、溶融還元炉において発生する
還元能力のあるガスを予備還元炉へ導入する系によっ
て、前記鉱石の溶融還元を行うに際し、溶融還元炉にお
いてその発生ガス中の可燃分の20〜70%を2次燃焼させ
るとともに、前記系内で生じるガスの一部を改質して、
予備還元炉へ導入するガスに混合したうえ、この混合ガ
スを温度上昇させることにより、予備還元炉における鉱
石の予備還元率が理論上33%程度になるようにガス組成
と温度を調整するである。
なお、特許請求の範囲第2項に記載したように、混合
ガスを温度上昇させるにはそのガスの一部を燃焼させる
のがよい。
(作用) この発明の、予備還元用ガス性状の調整方法によれ
ば、金属酸化物を含有する鉱石は、予備還元炉にて予備
還元率が33%程度になるまで予備還元されたのち、還元
速度の高い溶融還元炉にて最終還元されるが、予備還元
率が33%程度と低いことから予備還元用ガスはわずかな
調整(調整とは、上記のように系内ガスの一部を改質し
混合することをさす)によって前記予備還元率を達成す
る性状になるので、従来(前記ロ)・ハ)等)のように
ガス調整のために膨大な設備費・運転費をかけなくとも
溶融還元炉において2次燃焼率を十分に高くすることが
でき、したがってプロセス全体のエネルギー利用率が最
大限に上昇する。
上記のとおり予備還元率が低いために、予備還元用ガ
スの調整度合いによっては、従来なかった60%を超える
程度の2次燃焼率を採用でき、それによってエネルギー
利用率を一層向上させることも可能である。また、やは
り予備還元率が低いことに基づき、予備還元用ガスの調
整を行いながら2次燃焼率を低く(たとえば60%以下
に)するときには、当該ガスの還元能力が必要水準(上
記予備還元率を達成するのに必要な還元能力)を大幅に
上回り得るので、小容量の予備還元炉の使用が可能にな
るという利点が生じる。
なお、特許請求の範囲第2項等に記載したようにガス
の一部を燃焼させることによって混合ガスの温度を上昇
させるのは、温度上昇手段として極めて簡易であり必要
なコストも低い。このような手段をとり得るのは、予備
還元率が低いことに基づいてガスの還元能力が低くてよ
いからである。
(実施例) 以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図はこの発明の第1実施例に関する製鉄用の溶融
還元系統図である。図において、20は溶融還元炉、30は
予備還元炉であり、予備還元炉30において鉄鉱石を固体
状態で予備還元したのち、溶融還元炉20にて溶融させて
最終還元を行う一方、溶融還元炉20において発生する還
元能力のある高温ガスを予備還元炉30に還元ガスとして
導入する方式を示している。
図示したように、溶融還元炉20の溶鉄20a(およびス
ラグ20b)中に装入されるものには、予備還元炉30で予
備還元された鉄鉱石(予備還元鉄。移送管34より)のほ
かに、石炭および石灰(吹き込み管22より)、酸素およ
び必要な場合の前記炭酸ガス(吹き込み管23より)など
がある。これらは溶融還元炉20において、たとえば式
のように反応し溶融状態で還元される。
溶融還元炉20では、このような還元反応にともなって
COなどを含む可燃性ガスが溶鉄20aの浴中から発生する
ので、前記のように炉内ガス空間部20cに吹き込み管21
より酸素を吹き込み、2次燃焼を行う。
本実施例では、2次燃焼させて溶融還元炉20より発生
したガスを、炉口フード20dに連結したガス管1に通
し、このガス管1より分岐したガス管1aに一部を分配し
て湿式集塵機3、送風機4および脱炭酸装置5を経由さ
せたうえ、分岐した他方のガス管1bのガスとガス管2に
て合流・混合し、さらにホット・サイクロン6および部
分燃焼器7を経由させ、予備還元用ガスとして予備還元
炉30へ導入するようにしている。なお、湿式集塵機3は
これに限らず、ガスを冷却および除塵できる装置であれ
ばよく、脱炭酸装置5もこれ以外のガス改質装置、たと
えば炭化水素や微粉炭によってCO2をCOやH2に改質する
ものでもよい。部分燃焼器7は、ガスの一部に酸素(ま
たはこれを含むガス)を吹き込んで可燃成分の一部を燃
焼させることにより、ガス温度を上昇させるものである
が、加熱装置など他の手段により温度上昇させるもので
もよい。
なお、図示の予備還元炉30は流動層式の還元炉で、鉱
石装入層31より装入される粉粒状の鉄鉱石は、上記のよ
うにしてガス管2より炉内に導入される予備還元用ガス
によって、分散板(整流板)30a上で流動層30bを形成
し、この状態で還元ガスと接触・反応して予備還元され
る。予備還元鉄は、排出管32または33より排出され、移
送管34内をたとえば気体移送によって移送されて、溶融
還元炉20に装入される。一方、予備還元に用いた前記の
ガスは排ガス管8より排出される。
この実施例では、プロセス全体のエネルギー利用率を
高めるために、予備還元炉30において鉄鉱石をほとんど
FeOになるまで還元するよう、予備還元用ガスの性状を
調整するとともに、溶融還元炉20における2次燃焼率を
60%以上としている。予備還元炉においてFe2O3がFeOに
まで還元される場合は、予備還元率は33.3%であるが、
原料として実際に使用する鉄鉱石には、Fe2O3のほか
に、酸素量がやや少ないFe3O4も若干は含まれているの
で、実際の予備還元率は33.3%を多少下回る値となる。
図のようなプロセスにおいて、予備還元用ガスの性状
を調整することにより、このように予備還元率と2次燃
焼率とを設定する理由について、以下に説明する。
前記したように、予備還元炉30における予備還元率
は、予備還元用ガスに含まれるCOの量(比率)によって
決まる。また、このCO量は、溶融還元炉20に装入するC
(石炭)の量および2次燃焼率によって決まり、さら
に、このCの量は、溶融還元炉20に装入する鉄鉱石の予
備還元率に応じて変わる。こういった傾向は、前記の基
本反応式〜や、2次燃焼率および予備還元率を変更
したいくつかの反応式、さらに第3図に示す鉄のCOガス
による公知の還元平衡図などを見くらべることにより、
容易に理解することができる。
以上の点を定量的に検討すれば、単位量の溶鉄Fe
(l)を得るためのCの消費量を最少にする、いいかえ
ればエネルギー利用率を最大にする、適当な予備還元率
と2次燃焼率とを求めることができると考えられる。そ
こで発明者らは、現実的な条件(鉄鉱石および石炭の性
状、各部の放熱損失など)を設定したうえで、これを計
算によって求め、さらに確認実験を行った。こうして得
た結果はつぎのとおりである。
i)石炭(C)の消費量は、2次燃焼率が20%以上の場
合は予備還元率が33%のときに最少となり、これらの値
は2次燃焼率が20%未満の場合の最少石炭消費量よりも
少ない。また予備還元率が33%の場合の石炭の消費量
は、2次燃焼率が20%より高いほど少なくなる。
ii)2次燃焼率が60%を超えると、溶融還元炉からの発
生ガス中のCO量が低下するので、このガスを改質しない
限り、33%の予備還元率を達成することができない。
要約すると、予備還元率は33%に保ち、2次燃焼率を
できるだけ高くすることが、石炭の消費量を減らすこと
になる。たとえば、2次燃焼率が50%で予備還元率が33
%の場合の石炭の消費量は、前記の例(2次燃焼率0
%、予備還元率75%)に比べて約40%少なくなることか
ら、これによる改善度の大きさがわかる。
ところが、石炭の消費量をさらに低減するために、2
次燃焼率を60%以上にすれば、上記ii)のために、溶融
還元炉20からの発生ガスをそのまま予備還元用ガスとし
て用いるわけにはいかない。本実施例では、予備還元用
ガスの性状を調整することにより、予備還元率を33%程
度、2次燃焼率を60%以上に設定したのは、以上の理由
によるものである。
本実施例において、溶融還元炉20での2次燃焼率を65
%とし、発生ガスはガス管1よりガス管1aおよび1bに50
%ずつ分配し、部分燃焼器7ではガス中の可燃成分の15
%を燃焼させるようにした場合の、ガス管の各部分(第
1図中の点A〜G)におけるガス性状に関する試算結果
を下記に示す。
なお上記の試算では、湿式集塵器3においてはガスの
冷却・除塵にともなって67Nm3のH2Oが除去され、脱炭酸
装置5においてはガス中の90%、293Nm3のCO2が取り除
かれるものとし、各装置およびガス管内でのガスの温度
降下、さらにはそれにともなうガスのシフト反応も考慮
している。
上記の数値のうち注目されるものは、点G(予備還元
炉30の出口)におけるガス組成である。ここでのガス中
には、還元成分としてCOおよびH2が含まれるが、これら
の比率が高く、予備還元率33%を達成する(鉄鉱石をFe
Oまで還元する)のに十分な値となっている。すなわ
ち、ガス中にCOとH2がある場合には、800℃でFeOを得る
条件はCO/CO2>0.35であるが、試算結果ではCO/CO2=0.
36であり、これを満足する。
以上のように予備還元用ガスの性状を調整することに
より、予備還元率を33%程度に保ったまま、2次燃焼率
を65%に上昇させれば、前記した2次燃焼率50%の場合
に比べて、石炭の消費量がさらに数%低減される。な
お、2次燃焼率が20%を超える場合の石炭消費量につい
ては、予備還元率が33%を超えると急激に増加するのに
対し、予備還元率が33%以下に低下しても石炭消費量は
少ししか増加しないので、実際の操業における予備還元
率は+数%〜33%の間のいずれの値でもよい。本実施例
の方法では、ガス管1aに分配するガス量を増やして多量
のガスを改質すれば、2次燃焼率をさらに高くすること
ができ、したがって石炭消費量をより低減させることも
可能である。一方、2次燃焼率が60%以下の場合でも、
この方法でガス性状を調整すれば、予備還元用ガスの還
元力を高めることができるので、小容量の予備還元炉を
使用して同じ予備還元率(33%程度)を達成できるな
ど、多くの利点が生じる。
つぎに、この発明に関する第2の実施例を、第2図に
基づいて説明する。この実施例は、第1実施例と同様の
製鉄用溶融還元プロセスを示すものであるが、溶融還元
炉20より発生し、ガス管1を経て予備還元炉30へ導入す
るガス中に、冷却・除塵した予備還元炉30からの排ガス
の一部を、改質したのち混合するようにした点に特徴が
ある。すなわち、予備還元炉30より出てガス管8を通る
排ガスは、湿式集塵機3で冷却・除塵したのち、ガス管
8aおよび8bに分岐させ、ガス管8b側のガスを排出処理す
るとともに、ガス管8a側のガスを、送風機4および脱炭
酸装置5を経由させて、ガス管1の前記ガス中に合流・
混合している。こうして混合したガスは、第1実施例と
同様に、部分燃焼器7で一部を燃焼して昇温させたの
ち、予備還元用ガスとして予備還元炉30へ導入する。
さらにこの実施例では、予備還元用ガス性状をより正
確に調整するために、溶融還元炉20からの発生ガスの一
部を、必要に応じてガス管1cより排出できるようにして
いる。ガス管1cに導くガスは、前記のガス管8bのガスと
合流させて排出するようにしてもよい。また、こうして
排出するガスには可燃成分が含まれているので、たとえ
ば製鉄所内の燃料として使用することもできる。なお図
中、第1実施例と共通する部分には同一の符号を付して
いる。
この実施例でも、予備還元炉30における鉄鉱石の予備
還元率が33%程度になるようガス組成と温度を調整する
ので、溶融還元炉20において高い2次燃焼率をとること
ができ、従来よりも少ない石炭消費量で溶鉄を得ること
ができる。ただ、この場合には、第1実施例と比べて、
COおよびH2の量がより少ない、予備還元炉30からの排ガ
スを改質するため、より多くのガス(たとえば、全排ガ
スの70〜80%)をガス管8aに導き脱炭酸する必要があ
る。一方、この実施例によれば、溶融還元炉20の操業状
態の変動に基づいてガスの発生量が変動する場合にも、
ガス管8aに分配するガス量またはガス管1cより排出する
ガス量を増減することにより、予備還元用ガス量を調節
できる利点がある。この点は、予備還元炉30が、還元用
ガスの流量を正確に調節する必要のある流動層式のもの
である場合には、特に有利である。
なお、以上にのべた本発明の、溶融還元における予備
還元用ガス性状の調整方法は、鉄鉱石を還元して鉄を得
る場合に限らず、クロム鉱石(Cr2O3またはFeCr2O4)を
還元してフェロクロムを得るなど、同様のプロセスによ
り他の金属を溶融還元する場合にも適用できる。
(発明の効果) 以上のように構成した本発明の、溶融還元における予
備還元用ガス性状の調整方法によれば、下記の効果がも
たらされる。
1)2次燃焼率を、従来なかった程度にまで高くするこ
とができるので、溶融金属を得るために必要な石炭の消
費量が大幅に低減される。
2)上記1)にともない、酸素および石灰などの消費量
も低減する。
3)上記1)、2)にともない、排ガスの発生量が減少
する。
4)上記1)、2)によって溶融金属中のスラグの発生
量が減るので、これによる金属のロスが減少して金属の
製造歩留まりが向上する。
5)上記1)〜4)にともない、石炭や石灰の搬送設
備、酸素供給設備および排ガス処理設備が小規模化でき
るので、設備費およびその運転費が削減できる。
6)予備還元率が低いうえに予備還元用ガスの調整をも
行うので、2次燃焼率を低くとる場合には、予備還元炉
の容量を小さくできる。
7)予備還元用ガスの還元能力(還元性成分の量)が低
くてもよいため、系内で生じるガスのうち一部だけを改
質すればよく、したがって改質装置の設備費および運転
費が少なくて済む。
8)やはり予備還元用ガスの還元能力が低くてよいた
め、特許請求の範囲第2項等に記載したように、ガスの
一部を燃焼させるという、簡単でコストのかからない手
段によって混合ガスの温度を上昇させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例を示す溶融還元系統図、第
2図は本発明の第2実施例を示す溶融還元系統図、第3
図はCOガスによる鉄の還元平衡図である。 1,1a,1b,1c,2,8,8a,8b……ガス管、3……湿式集塵器、
4……送風機、5……脱炭酸装置、7……部分燃焼器、
20……溶融還元炉、30……予備還元炉。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 充晴 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社神戸工場内 (72)発明者 矢島 健一 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番 1号 川崎重工業株式会社神戸工場内 (56)参考文献 特開 平1−149911(JP,A) 特開 昭61−179809(JP,A) 特開 昭63−83210(JP,A) 特公 平7−78249(JP,B2) 特公 平1−49776(JP,B2)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属酸化物を含有する鉱石を予備還元炉に
    て固体状態で予備還元したのち溶融還元炉にて溶融させ
    て最終還元を行うとともに、溶融還元炉において発生す
    る還元能力のあるガスを予備還元炉へ導入する系によっ
    て、前記鉱石の溶融還元を行うに際し、 溶融還元炉においてその発生ガス中の可燃分の20〜70%
    を2次燃焼させるとともに、前記系内で生じるガスの一
    部を改質して、予備還元炉へ導入するガスに混合したう
    え、この混合ガスを温度上昇させることにより、予備還
    元炉における鉱石の予備還元率が理論上33%程度になる
    ようにガス組成と温度を調整することを特徴とする溶融
    還元における予備還元用ガス性状の調整方法。
  2. 【請求項2】前記系内のうち前記予備還元炉からの排ガ
    スの一部を改質して、予備還元炉へ導入するガスに混合
    したうえ、この混合ガスを、その一部を燃焼させること
    により温度上昇させてガス組成と温度を調整する特許請
    求の範囲第1項に記載の溶融還元における予備還元用ガ
    ス性状の調整方法。
  3. 【請求項3】前記系内のうち前記予備還元炉からの排ガ
    スを冷却・除塵したのち、その一部を、送風機および脱
    炭酸装置を経由させて、予備還元炉へ導入するガスに混
    合したうえ、この混合ガスの一部を燃焼して温度上昇さ
    せてガス組成と温度を調整する特許請求の範囲第1項ま
    たは第2項に記載の溶融還元における予備還元用ガス性
    状の調整方法。
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