JP2621040B2

JP2621040B2 - バーチカル型汎用内燃機関

Info

Publication number: JP2621040B2
Application number: JP62222135A
Authority: JP
Inventors: 成夫海野; 毅古谷
Original assignee: Suzuki Motor Co Ltd
Current assignee: Suzuki Motor Co Ltd
Priority date: 1987-09-07
Filing date: 1987-09-07
Publication date: 1997-06-18
Anticipated expiration: 2012-06-18
Also published as: JPS6466422A

Description

【発明の詳細な説明】〔発明の目的〕（産業上の利用分野）この発明はクランク軸を垂直に配設したオーバヘッド
バルブ形式のバーチカル型汎用内燃機関に係り、特に空
冷式内燃機関の給排気構造の改良に関する。

（従来の技術）オーバヘッドバルブ形式を採用した空冷式バーチカル
型汎用内燃機関は、農作業や土木作業を行なう芝刈機や
草苅機等の作業機器の駆動源として利用される。この種
の汎用内燃機関として特開昭59−70838号公報や特開昭6
1−116054号公報に示されたものがある。

この汎用内燃機関は、作業機器の機体の安定を良くす
るために、内燃機関の全高を低くするレイアウトが採用
される。このため、従来の汎用内燃機関は、第10図およ
び第11図に示すように上下に配置される吸排気弁1,2を
オーバヘッドバルブ方式に形成して、吸気通路３をエン
ジンシリンダ４のシリンダヘッド4aの一側面に、その反
対側側面に排気通路５を開口させている。そして吸気通
路３にエンジン吸気系を構成するキャブレタ６およびエ
アクリーナ（図示せず）を、排気通路５にマフラ７を接
続した分散配置構造に構成される。

（発明が解決しようとする問題点）従来のバーチカル型汎用内燃機関は、エンジンシリン
ダ４のシリンダヘッド4aに、排気弁２が下方で、吸気弁
１が上方に配置されるために、排気通路５は吸気通路３
の下側に位置され、排気弁２および排気通路５は冷却フ
ァン８から遠方に配置される。このため、冷却効率が悪
く、シリンダヘッド4aが高温になり易く、ノッキング等
の異常燃焼が生じ易かったり、また、エンジン吸気系の
キャブレタ６等をできるだけ下方に設置するレイアウト
の関係から、吸気通路３は吸気弁１に向って上り勾配に
配設しなければならない。しかも、吸気弁１が排気弁２
の上方に位置するため、エンジン排気系の熱が吸気系に
伝達されて高温になり易く、吸気の加熱による異常燃焼
により出力低下が生じるおそれがある等の問題があっ
た。

この発明は上述した事情を考慮してなされたもので、
シリンダヘッドの冷却性能を向上させて燃焼を安定化さ
せ、出力向上が図れるようにしたバーチカル型汎用内燃
機関を提供することを目的とする。

この発明の他の目的は、吸気通路を改良して吸気にス
ワール効果を付与して出力向上が図れるとともに、キャ
ブレタ等のエンジン吸気系の配置位置を下げることがで
き、レイアウト上有利なバーチカル型汎用内燃機関を提
供するにある。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段）この発明に係るバーチカル型汎用内燃機関は上述した
目的を達成するために、垂直に配置されたクランク軸の
上端部に冷却ファンを設け、そのファンケースがエンジ
ンシリンダを上方から覆い、上記エンジンシリンダのシ
リンダヘッド内に吸気弁および排気弁をオーバーヘッド
バルブ方式で配設したバーチカル型汎用内燃機関におい
て、前記シリンダヘッド内で排気弁を吸気弁の上方に位
置させて各弁を上下に配設し、前記吸気弁から上流の吸
気通路を上方に向けて形成し、この吸気通路を、吸気弁
と排気弁をそれぞれ駆動する一対のプッシュロッドの間
を通すとともに、この吸気通路のこれらプッシュロッド
間を境にして更に上流の吸気通路に拡開部を形成し、こ
の拡開部には、その一部を閉鎖する吸気ガイドを挿入し
て下方に屈曲する上流側吸気通路を形成し、この上流側
吸気通路の上流端をシリンダヘッドの一側壁面に開口さ
せて気化器を接続する一方、前記排気弁からの排気通路
の少なくとも軸心を、前記吸気弁と排気弁の軸心を結ぶ
線に直交する二等分線より下側で、かつシリンダヘッド
の前記吸気通路開口端と反対側の他側壁面に開口させて
排気マフラを接続し、前記吸気弁と排気弁の軸線を結ぶ
線より排気通路側で、しかも排気通路より下方に点火プ
ラグ装着用の穴を穿設したことを特徴とする。

（作用）吸気通路は、その吸気弁に連通する下流端からプッシ
ュロッド近傍までの下流側通路を、上向きとする一方、
このプッシュロッド近傍から吸気開口端までの上流側通
路を下向きにするへの字状に屈曲されているので、この
屈曲吸気通路を流入する燃料の混合気に、旋回流を発生
させて、スワール効果を与えることができる。その結
果、吸気弁から燃焼室内に吸入される燃料は反時計方向
または時計方向に旋回しながら積極的に撹拌されて吸入
され、燃焼を良好にする。また、吸気通路の上流側が開
口端に向けて屈曲下向き構造であるため、吸気系のキャ
ブレタから吸入された密度の大きな燃料が吸気通路の上
壁に沿って霧化しながらスワールされ、完全燃焼をさら
に一層促進させることができる。

また、屈曲吸気通路の下流側通路が吸気弁に向けて下
向きであるので、吸気弁の周辺部に燃料が溜り易い。こ
のために、エンジンの始動時にはこの吸気通路の吸気弁
周辺に溜った燃料がシリンダー内に吸引されて始動燃料
を十分に供給することができるので、始動性を向上させ
ることができる。

さらに、吸，排気通路の両開口端を、シリンダヘッド
の左右両側面側に振り分けて、その各側面の低い位置に
形成したので、エンジンの重心を左右のバランスよく低
くして、この吸気開口端に接続される吸気系のエアクリ
ーナの大容量化を図ることができる。

また、プッシュロッド近傍から吸気開口端までの吸気
通路の上流側を、その直状上向きの拡開部内に吸気ガイ
ドを挿入することにより下向きに転向するので、吸気通
路を容易にへの字状に屈曲することができる。つまり、
シリンダヘッドの鋳造型も直状上向きの吸気通路を形成
した簡易なものを使用しても、その直状の吸気通路を容
易に下向きに屈曲させることができる。

また、吸気ガイドの形状を適宜変更することにより、
吸気通路の形状の変更も容易となる。

さらに、吸気通路および一対のプッシュロッドと、排
気通路および点火プラグ装着用穴とを、シリンダヘッド
の左右に振り分けて配置しているので、吸気通路やプッ
シュロッドに、排気通路や点火プラグの熱による熱害が
加えられるのを有効的に防止することができる。

（実施例）以下、この発明に係るバーチカル型汎用内燃機関の一
実施例について添付図面を参照して説明する。

第１図および第２図はオーバヘッドバルブ方式を採用
したこの発明に係るバーチカル型汎用内燃機関を代表的
に示す縦断面図および平断面図である。図中、符号10は
汎用内燃機関の横置式エンジンシリンダを示し、このシ
リンダ10内にピストン11が摺動自在に収容される。エン
ジンシリンダ10はクランクケース12に一体あるいは一体
的に連結される一方、このクランクケース12には軸受13
を介してクランクシャフト14が垂直方向に配置される。
上記クランクシャフト14はコンロッド15を介してピスト
ン11に連結され、このピストン11の駆動により回転駆動
せしめられる。

クランクシャフト14の上端はクランクケース12を貫い
て上方に突出し、その突出端に冷却ファン17が取付けら
れ、この冷却ファン17はファンカバー18により上方から
覆われ、ファンカバー18内に冷却風を案内する冷却路
（通風路）19が形成される。

一方、クランクシャフト14はクランクケース12より下
方に突出し、その先端から出力が取り出せるようになっ
ている。

また、エンジンシリンダ10のシリンダブロック20には
シリンダヘッド21が設けられ、このシリンダヘッド21は
ヘッドカバー22で覆われる。シリンダヘッド21にはオー
バヘッドバルブ方式の吸気弁23と排気弁24が設けられ
る。この場合、排気弁24は吸気弁23の上方に位置し、冷
却ファン17側に接近して配設される。上記吸気弁23およ
び排気弁24はクランクシャフト14に連動するカム25によ
りプッシュロッド26およびロッカアーム27をそれぞれ介
してタイミングをとって開閉駆動され、常時はリターン
スプリング28により弁を閉じる方向にばね付勢される。

シリンダヘッド21の一側面には吸気通路30が開口して
おり、この吸気通路30は第３図に示すように吸気弁23お
よび排気弁24のプッシュロッド26,26間をを通り吸気弁2
3に向って下り勾配に形成される。吸気通路30にはエン
ジン吸気系32を構成するキャブレタ33およびエアクリー
ナ34が順次接続される。

他方、吸気通路30を形成したシリンダヘッド21の反対
側側面に排気通路35が開口している。この排気通路35は
排気弁24に向って上り勾配に形成される一方、排気通路
35には排気マフラ36が接続される。排気通路35はシリン
ダヘッド21内で吸気通路30より上方に位置し、シリンダ
ヘッド21の上壁近くで冷却ファン17に接近した位置に形
成される。

この配置構造とすることにより、エンジン排気系の熱
は上方に熱伝達され易く、シリンダヘッド21の上壁側に
伝達されるが、この部分は冷却ファン17からの冷却風が
最初に当るので、シリンダヘッド21は効果的に冷却さ
れ、その加熱を友好的に防止できる。

その際、吸気通路30は下向きに形成され、高温排気ガ
スが通過する排気弁24および排気通路35により上壁側が
有効的に加熱されるので、キャブレタ33から流入した燃
料は、吸気通路30の上壁に衝突して気化の促進が図れ、
完全燃焼化させる。また、吸気通路30はプッシュロッド
26,26間を通すため、位置が特定されるが、排気通路35
はレイアウト上の自由度が高く、シリンダヘッド21の適
宜な方向に形成することができる。この場合にも、排気
弁24はシリンダヘッド21の上壁近傍で、冷却ファン17側
に設置されるので、シリンダヘッド21の冷却性が損われ
ることがない。

また、シリンダヘッド21に形成される吸気通路は第３
図に示すように下向きにストレートに形成する代りに、
第４図ないし第８図に符号40で示すように湾曲成形して
もよい。シリンダヘッド21の吸気通路40以外の構成は第
１図ないし第３図に示すものと異ならないので、同一符
号を付して説明を省略する。

第４図に示されたバーチカル型汎用内燃機関において
は、吸気弁23に通じる吸気通路40を、吸気弁23および排
気弁24をそれぞれ駆動させる対をなすプッシュロッド2
6,26間を通してシリンダヘッド21の一側面に開口させて
エンジン吸気系32に接続されている。吸気通路40は両プ
ッシュロッド26,26の軸心を結んだ線ａ−ａに略直交す
るように配置され、吸気通路40の径方向両側にプッシュ
ロッド26,26が配置される構成をとる。

また、排気弁24からの排気通路35はシリンダヘッド21
の他側面に向って下り傾斜し、シリンダヘッド21の他側
面側で排気マフラ36に接続される。排気弁24と吸気弁23
の軸心を結ぶ線ｂ−ｂより排気通路35側に点火プラグ装
着用穴45が穿設される。この装着用穴45は排気通路35よ
り下方であって、吸気弁23と排気弁24の軸心を結んだ線
ｂ−ｂに直交する２等分線Ｘ−Ｘより下方に設けられ
る。

しかして、吸気通路40および対のプッシュロッド26,2
6と、排気通路35および点火プラグ装着用穴45とを、シ
リンダヘッド21の左右に振り分けて配置しているので、
吸気通路40やプッシュロッド26,26に、排気通路35や点
火プラグの熱による熱害が加えられるのを有効的に防止
している。

シリンダヘッド21に形成される吸気通路40の中心線は
吸・排気弁23,24のプッシュロッド26,26を境にしてΛ字
状あるいはく字状に折曲され、かつシリンダヘッド21側
面の開口に向って次第に拡開するように形成される。こ
の拡開により、鋳造時、シリンダヘッド21の鋳抜きが良
好になる。吸気通路40はガスケット（インシュレータ）
41を介してエンジン吸気系32のキャブレタ33に接続され
るが、このガスケット41には吸気通路40の拡開部40aよ
り小径の吸気孔42が形成され、かつ吸気通路40の拡開部
40aに挿入される舌片状の吸気ガイド43を備える。吸気
ガイド43は吸気通路40の拡開部40aの一部を閉塞し、か
つキャブレタ33から吸入される吸気を吸気通路40内で大
きく湾曲させるように案内している。

その際、吸気通路40はプッシュロッド26,26を境にし
て大きく湾曲されるため、旋回流によるスワール効果が
生じ、吸気弁23から燃焼室に吸入される燃料は反時計方
向（時計方向でもよい。）に旋回しながら積極的に撹拌
されて吸入され、燃焼を良好にする。また、吸気通路40
が湾曲下向き構造であるため、キャブレタ33から吸入さ
れた密度の大きな燃料は吸気通路40の上壁に沿って霧化
しながらスワールされ、完全燃焼を促進させる。

さらに、吸気通路40をΛの字状に形成し、その拡開部
40aに第９図に示すようにガスケット41を介装した場合
には、キャブレタ33の取付位置を下方に下げることがで
き、その分だけ、エンジン吸気系32が下方に下がり、低
重心化が図れるのみならず、エアクリーナ34の大容量化
が図れる。さらに、吸気通路40の拡開部40aの大きな開
口に、それより小径の吸気孔42を有するガスケット41を
装着するから、ガスケット41の吸気孔42次第でキャブレ
タ33の取付自由度が増大し、また、キャブレタ33の上下
取付位置の調整が図れるので、最適燃焼条件が得やすく
なる。

〔発明の効果〕

以上に述べたようにこの発明に係るバーチカル型汎用
内燃機関は、吸気通路は、その吸気弁に連通する下流端
からプッシュロッド近傍までの下流側通路を、上向きと
する一方、このプッシュロッド近傍から吸気開口端まで
の上流側通路を下向きにするへの字状に屈曲されている
ので、この屈曲吸気通路を流入する燃料の混合気に、旋
回流を発生させて、スワール効果を与えることができ
る。その結果、吸気弁から燃焼室内に吸入される燃料は
反時計方向または時計方向に旋回しながら積極的に撹拌
されて吸入され、燃焼を良好にする。また、吸気通路の
上流側が開口端に向けて屈曲下向き構造であるため、吸
気系のキャブレタから吸入された密度の大きな燃料が吸
気通路の上壁に沿って霧化しながらスワールされ、完全
燃焼をさらに一層促進させることができる。

また、プッシュロッド近傍から吸気開口までの吸気通
路の上流側を、その直状上向きの拡開部内に吸気ガイド
を挿入することにより下向きに転向するので、吸気通路
を容易にへの字状に屈曲することができる。つまり、シ
リンダヘッドの鋳造型も直状上向きの吸気通路を形成し
た簡易なものを使用しても、その直状の吸気通路を容易
に下向きに屈曲させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係るバーチカル型汎用内燃機関の一
実施例を示す縦断面図、第２図は第１図のII−II線にほ
ぼ沿う平断面図、第３図は第１図のIII−III線に沿うシ
リンダヘッドの底面図、第４図はこの発明のバーチカル
型汎用内燃機関に用いられるシリンダヘッドの変形例を
示す図、第５図は変形例に示されたシリンダヘッドの第
３図と同様な底面図、第６図は第４図に示されたシリン
ダヘッドの外観側面図、第７図は第４図のVII−VII線に
沿う断面図、第８図は第４図のVIII−VIII線に沿う断面
図、第９図はシリンダヘッドの吸気通路の拡開部に介装
されるガスケットを示す断面図、第10図および第11図は
従来のバーチカル型汎用内燃機関を示す図である。 10…エンジンシリンダ、11…ピストン、12…クランクケ
ース、14…クランクシャフト、17…冷却ファン、18…フ
ァンカバー、19…冷却路、20…シリンダブロック、21…
シリンダヘッド、22…ヘッドカバー、23…吸気弁、24…
排気弁、26…プッシュロッド、30,40…吸気通路、32…
エンジン吸気系、33…キャブレタ、34…エアクリーナ、
35…排気通路、40a…拡開部、41…ガスケット、43…吸
気ガイド。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号庁内整理番号ＦＩ技術表示箇所Ｆ０２Ｐ 13/00 ３０１Ｆ０２Ｐ 13/00 ３０１Ａ

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】垂直に配置されたクランク軸の上端部に冷
却ファンを設け、そのファンケースがエンジンシリンダ
を上方から覆い、上記エンジンシリンダのシリンダヘッ
ド内に吸気弁および排気弁をオーバーヘッドバルブ方式
で配設したバーチカル型汎用内燃機関において、前記シ
リンダヘッド内で排気弁を吸気弁の上方に位置させて各
弁を上下に配設し、前記吸気弁から上流の吸気通路を上
方に向けて形成し、この吸気通路を、吸気弁と排気弁を
それぞれ駆動する一対のプッシュロッドの間を通すとと
もに、この吸気通路のこれらプッシュロッド間を境にし
て更に上流の吸気通路に拡開部を形成し、この拡開部に
は、その一部を閉鎖する吸気ガイドを挿入して下方に屈
曲する上流側吸気通路を形成し、この上流側吸気通路の
上流端をシリンダヘッドの一側壁面に開口させて気化器
を接続する一方、前記排気弁からの排気通路の少なくと
も軸心を、前記吸気弁と排気弁の軸心を結ぶ線に直交す
る二等分線より下側で、かつシリンダヘッドの前記吸気
通路開口端と反対側の他側壁面に開口させて排気マフラ
を接続し、前記吸気弁と排気弁の軸線を結ぶ線より排気
通路側で、しかも排気通路より下方に点火プラグ装着用
の穴を穿設したことを特徴とするバーチカル型汎用内燃
機関。