JP2619705B2

JP2619705B2 - エマルシヨン内包カプセル含有化粧料

Info

Publication number: JP2619705B2
Application number: JP27024088A
Authority: JP
Inventors: 昇内藤
Original assignee: Kose Corp
Current assignee: Kose Corp
Priority date: 1988-10-26
Filing date: 1988-10-26
Publication date: 1997-06-11
Anticipated expiration: 2012-06-11
Also published as: JPH02117610A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、O/W型エマルシヨンを内包したアルギン酸
カルシウム膜のカプセルを含有し、湿潤効果及びエモリ
エント効果を同時に付与することができる新規な形態の
エマルシヨン内包カプセル含有化粧料に関する。

〔従来の技術およびその課題〕

従来、油分と水分を含む化粧料としては、乳化型、可
溶化型、多層型が知られている。

これらのうち、乳化型化粧料（エマルシヨン類）は、
肌に油分を補うことはできるが、エマルシヨン界面に影
響を及ぼす成分、例えば多量の電解質成分を配合すると
乳化滴が不安定となり、その結果、これら成分による充
分な保湿・湿潤効果が期待できなかつた。

また、可溶化型化粧料（化粧水類）は、肌に対する湿
潤効果を付与することはできるが、配合できる油分が比
較的少なく、充分なエモリエント効果を付与できるもの
ではなかつた。

そして、水相と油相が分離した状態の多層型化粧料
は、湿潤効果及びエモリエント効果を同時に肌に付与す
ることが可能である。しかしながら、使用時に振とうす
ると容易に均一混和状態となり、しかも静置時にきれい
な分離状態を呈するものを得るためには、油相成分や水
相成分の選択、調整が困難であり、特に油相成分として
液体油を多く用いることから、官能面での使用感触の拡
がりが充分満足できるものではなく、さらに使用時にム
ラ付きしたり、肌へのなじみが悪いという欠点があつ
た。

一方、油分を小球状にして水相に分散配合したり、油
性成分又は水性成分を合成高分子やゼラチン膜を用いて
カプセル化し、水相又は油相に分散配合する試みがなさ
れている。

しかし、油分を小球状にして分散した場合、長期間安
定性を維持することができず、またカプセル化して配合
した場合は、使用時にカプセル膜が肌上に残つたり、製
造が容易でないという問題があつた。

このため、化粧水類の特性を活かし、湿潤効果とエモ
リエント効果を合わせもつた製品の開発、さらに多様化
する消費者のニーズに応えた製品化が望まれていた。

〔課題を解決するための手段〕

斯かる実情において、本発明者は鋭意研究を行つた結
果、O/W型エマルシヨンを内包したアルギン酸カルシウ
ム膜のカプセルを含有した化粧料は、経時安定性が良好
であり、しかも湿潤効果とエモリエント効果を同時に付
与できることを見出し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は、O/W型エマルシヨンを内包した
カプセルを含有する化粧料であつて、カプセル膜がカプ
セル全量に対し0.1〜1.0重量％のアルギン酸カルシウム
から成ることを特徴とするエマルシヨン内包カプセル含
有化粧料を提供するものである。

本発明において、カプセルに内包させるエマルシヨン
はO/W型のものであり、通常の化粧料に使用できる油性
成分、水性成分及び界面活性剤を含んで構成され、これ
は常法によつて調製される。

斯かる油性成分としては、天然、合成を問わず、また
液体、半固体及び固体のものが使用でき、例えばオリー
ブ油、ホホバ油、マカデミアンナツツ油、ヒマシ油など
の植物油類；ミツロウ、キヤンデリラロウ、モクロウな
どのロウ類；流動パラフイン、スクワラン、ワセリン、
パラフインワツクス、マイクロクリスタリンワツクスな
どの炭化水素類；トリイソオクタン酸グリセリル、モノ
ステアリン酸グリセリン、イソオクタン酸セチルなどの
エステル類；シリコーン油類；ラノリンなどを挙げるこ
とができる。これらは単独、または二種以上を組み合わ
せて用いることができる。

また、界面活性剤としては、非イオン性、陰イオン
性、陽イオン性、両性のものを使用することができる
が、皮膚刺激、アルギン酸カルシウムのカプセル膜形成
への影響などの点から、特に非イオン性界面活性剤が好
ましい。非イオン性界面活性剤としては、例えばデカグ
リセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビツト脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレング
リコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ポリオキシエチレンフイトステロール、ポリ
オキシエチレンフイトスタノール、ポリオキシエチレン
ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエ
チレンアルキルフエニルエーテル、ポリオキシエチレン
ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキ
シエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアル
コール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキ
シエチレン脂肪酸アミド、シヨ糖脂肪酸エステルなどが
挙げられる。

これら成分の他、本発明におけるO/W型エマルシヨン
には、通常の化粧料に用いられる成分、例えば紫外線吸
収剤、保湿剤、アルコール類、防腐剤、水溶性高分子、
色素、香料などを必要に応じ適宜配合することができ
る。

本発明において、カプセル膜は水溶性アルギン酸塩と
水溶性カルシウム塩を反応させて水不溶性のアルギン酸
カルシウムを生成させることにより形成される。水溶性
アルギン酸塩としては、例えばアルギン酸カリウム、ア
ルギン酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩；アルギン酸
トリエタノールアミン、アルギン酸アンモニウムなどの
アミン塩などが用いられ、これらアルギン酸の分子量は
約100000〜300000のものが好ましい。また、水溶性カル
シウム塩としては、例えば塩化カルシウム、硫酸カルシ
ウム、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウムなどが用
いられる。

アルギン酸カルシウムは、カプセル全量に対し0.1〜
1.0重量％（以下、単に％で示す）用いることが好まし
い。0.1％未満では安定性のある膜が得られず、1.0％を
越えると使用時に膜が肌上に残渣として残つてしまう。

O/W型エマルシヨン内包カプセルは、例えば次の如く
して調製することができる。

水溶性アルギン酸塩を含んだO/W型エマルシヨンを常
法により調製する。

のエマルシヨンを水溶性カルシウム塩の水溶液中に
滴下し、エマルシヨン含有カプセルを生成させる。

滴下後、10〜60分間撹拌して適当な大きさに分粒し、
次いで水で洗浄する。

なお、カプセルの大きさは、滴下スピード、滴下時の
ノズル径に比例するが、直径約0.1〜5mm程度のものが得
られる。また生成したカプセルは、乾燥すると崩れやす
くなるため水溶液中に保存するか、直ちに使用に供する
ことが必要である。

叙上の如くして得られたO/W型エマルシヨン内包カプ
セルを化粧料基剤に配合することにより、本発明の化粧
料を得ることができる。エマルシヨン内包カプセルの配
合量は特に限定されず、目的に応じて設定することがで
きる。また、化粧料基剤としては、特に限定されるもの
ではないが、水性基剤に配合して、化粧水、化粧液等と
した場合に特に優れた効果を奏する。なお、本発明の化
粧料には、通常の化粧料に用いられる成分を、必要に応
じ適宜配合することができる。

本発明の化粧料は、エマルシヨン内包カプセルが上層
部に浮遊した二層状態、あるいは比重や基剤の粘度を調
整することによりカプセルが均一に安定分散した状態な
どとすることができる。

〔実施例〕

以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は
これら実施例に限定されるものではない。

O/W型エマルシヨン含有アルギン酸カルシウムカプセ
ルの調製：＜カプセル１＞（成分）（％）（１）スクワラン 10.0 （２）トリイソオクタン酸グリセリル 10.0 （３）セタノール 1.0 （４）水添レシチン 1.0 （５）モノステアリン酸グリセリン 0.2 （６）モノオレイン酸（POE20）ソルビタン 2.0 （７）アルギン酸ナトリウム（分子量約120000） 0.5 （８）精製水残量（製法）成分（１）〜（６）を加熱混合し、これに予め加熱溶
解した成分（７）〜（８）を加えて乳化し、冷却する。
生成したエマルシヨンを注射器に充填し、該エマルシヨ
ンの５倍量の１％塩化カルシウム水溶液に滴下し、30分
間撹拌後、カプセルを得た。次いでこれを濾別し、水洗
後、水中に保存した。

＜カプセル２＞（成分）（％）（１）マカデミアンナツツ油 5.0 （２）ホホバ油 5.0 （３）コレステロール 0.5 （４）イソオクタン酸セチル 5.0 （５）流動パラフイン 10.0 （６）トリオレイン酸（POE20）ソルビタン 1.0 （７）POE（10）POP（４）セチルエーテル 0.5 （８）POE（20）硬化ヒマシ油 1.0 （９）アルギン酸ナトリウム（分子量約200000） 0.2 （10）精製水残量（製法）エマルシヨンを10倍量の２％硫酸カルシウム水溶液に
滴下した以内はカプセル１と同様にして、カプセルを得
た。

実施例１第１表に示す組成の化粧液を調製し、経時安定性、カ
プセル膜残存性及び使用感について評価した。結果を第
１表に示す。

（製法）成分（１）〜（10）を均一混合し、これに成分（11）
〜（15）の中からそれぞれのカプセルを添加して化粧液
を得た。

（評価方法）経時安定性:40℃、１ケ月間放置後観察 ○ 変化なく良好 × カプセルの破損カプセル膜残存性；使用後の肌へのカプセル膜残渣の残
り ○ なし（感じない） × あり（感じる）使用感；使用後の肌へのしつとり感 ○ あり × なし＊1:カプセル１において、成分（１）〜（６）を除き、
エマルシヨンを含まないもの＊2:カプセル１において、成分（７）のアルギン酸ナト
リウムを0.05％としたもの＊3:カプセル１において、成分（７）のアルギン酸ナト
リウムを1.5％としたもの本発明品は、放置すると透明液体の上部に白いカプセ
ルが浮遊した二層状態を呈し、使用時に振とうするとカ
プセルが容易に均一分散する新規な形態の化粧液であ
る。そして、使用時に振とうしてもカプセルが破損する
ことがなく、経時安定性が良好であり、また使用後に肌
へカプセル膜が残らず、しかも湿潤効果及びエモリエン
ト効果を併せて付与できるものであつた。

実施例２化粧液：（成分）（％）（１）クエン酸 0.1 （２）クエン酸ナトリウム 0.4 （３）乳酸ナトリウム 0.8 （４）ピロリドンカルボン酸ナトリウム 0.5 （５）コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.005 （６）1,3−ブチレングリコール 10.0 （７）ポリアクリル酸ナトリウム 0.05 （８）セタノール 5.0 （９）香料 0.01 （10）POE（60）硬化ヒマシ油 2.0 （11）ビタミンＥ 0.1 （12）カプセル２ 3.0 （13）精製水残量（製法）成分（１）〜（７）及び（12）〜（13）を混合し、こ
れに予め混合溶解した成分（８）〜（11）を添加して化
粧液を得た。

以上の如くして得た化粧液は、上層部にカプセルが浮
遊した二層状態を呈した新規形態のものであり、使用時
振とうして肌に塗布することでしつとり感の付与と油分
補給ができるものであつた。

実施例３化粧液：（成分）（％）（１）ケルトロール 0.2 （２）マルメロ抽出物 0.1 （３）アルゲコロイド 0.05 （４）グリセリン 10.0 （５）プロピレングリコール 3.0 （６）防腐剤 0.1 （７）カプセル１ 5.0 （８）精製水残量（製法）成分（１）〜（６）及び（８）を混合し、これに
（７）を添加して分散する。以上の如くして得た化粧液
は、カプセルが溶液中に均一分散した状態を呈した新規
形態のものであり、使用時肌にしつとり感の付与と油分
補給ができるものであつた。

〔発明の効果〕

本発明のエマルシヨン内包カプセル含有化粧料は、従
来の化粧水類では配合し難かつた油性成分を種類を問わ
ずにエマルシヨンとして配合することができるため、湿
潤効果とエモリエント効果を同時に付与できるととも
に、官能面での使用感の拡がりを図ることができる。ま
た、経時安定性が良好であり、しかも使用時にカプセル
膜が肌に残ることもなく違和感もない。

さらに、本発明の化粧料はエマルシヨン内包カプセル
が均一に安定分散した状態あるいは上層部に浮遊した二
層状態をとることができ、外観的にも新規な形態を有す
るものである。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】O/W型エマルシヨンを内包したカプセルを
含有する化粧料であつて、カプセル膜がカプセル全量に
対し0.1〜1.0重量％のアルギン酸カルシウムから成るこ
とを特徴とするエマルシヨン内包カプセル含有化粧料。