JP2618830B2 - 加水分解性シリル基含有重合体の水性分散体 - Google Patents

加水分解性シリル基含有重合体の水性分散体

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JP2618830B2 JP12971494A JP12971494A JP2618830B2 JP 2618830 B2 JP2618830 B2 JP 2618830B2 JP 12971494 A JP12971494 A JP 12971494A JP 12971494 A JP12971494 A JP 12971494A JP 2618830 B2 JP2618830 B2 JP 2618830B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安定性に優れた加水分
解性シリル基含有共重合体の水性分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】塗料等のコーテイング剤は低公害、省資
源、安全衛生の面から溶剤系から水性系へ移行しつつあ
るが、その中で耐水性等の物性の向上が期待される反応
型エマルションの研究が盛んである。その反応型エマル
ションの一つとして加水分解性シリル基を有する樹脂エ
マルションが知られている。たとえば、特開昭61−9
463号公報にはラウリル硫酸ナトリウム等の公知の乳
化剤中で、加水分解性シリル基含有重合性単量体とメタ
クリル酸エステルと共重合してなる加水分解性シリル基
含有重合体の水性分散体が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、公知の
非重合性乳化剤を用いた場合は、得られる水性分散体の
保存安定性が不十分である。また、ラジカル重合性乳化
剤を用いて作成した加水分解性シリル基含有樹脂エマル
ションは、加水分解性シリル基含有量が少ない場合は保
存安定性は良好であるが、加水分解性シリル基含有量が
多くなるにつれて保存安定性が低下し、しかも重合時に
ゲル化物が発生するという重合安定性の問題が発生す
る。さらに、機械的安定性も不十分である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、加水分解
性シリル基の含有量が多くても、重合安定性、機械的安
定性および保存安定性の著しく良好な加水分解性シリル
基を有する重合体の水性分散体を得るべく鋭意検討した
結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、加水分解
性シリル基を有するビニル系単量体(a1)および共重
合可能な他のビニル系単量体(a2)からなる共重合体
(A)と、アミンイミド基を有する水溶性高分子(B)
とからなる加水分解性シリル基含有共重合体の水性分散
体である。
【0005】本発明において、加水分解性シリル基を有
するビニル系単量体(a1)における加水分解性シリル
基としてはハロゲノシリル基、アシロキシシリル基、ア
ミドシリル基、アミノキシシリル基、アルケニルオキシ
シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、アルコ
キシシリル基、チオアルコキシシリル基等が挙げられ、
好ましいものはアルコキシシリル基である。
【0006】(a1)の具体例としてはビニルシラン類
[ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β
ーメトキシエトキシ)シラン等];並びに(メタ)アク
リロキシアルキルシラン類[γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキ
シシラン等]等特開平5−25354号公報に記載のも
のが挙げられる。
【0007】(a1)には、末端または側鎖に1個以上
のビニル基と1個以上の加水分解性シリル基を有するオ
リゴマーも包含される。たとえば、ビニル基と加水分解
性シリル基との間にポリウレタン鎖、ポリアミド鎖、エ
ポキシ樹脂鎖あるいはポリエステル鎖等の比較的分子量
の低い重合体鎖を有するものである。具体的には特開昭
60−26022号公報に記載のような、ビニル基及び
アルコキシシリル基を有するポリウレタン系オリゴマー
[ポリカプロラクトントリオール(MW;2,000)
のイソホロンジイソシアネートによる末端NCO化物
(1モル)とメタクリル酸2−ヒドロキシエチル(1モ
ル)及びγ−アミノプロピルトリメトキシシラン(2モ
ル)との反応物等];ポリエステル系オリゴマー[ポリ
カプロラクトンジオール(MW;5,000)の片末端
(水酸基)が(メタ)アクリル酸でエステル化されたも
のに別の片末端(水酸基)がイソシアネートプロピルト
リエトキシシランとの反応で加水分解性シリル基が付与
されたもの等];ポリアミド系オリゴマー[アミノ基を
有するポリアミド樹脂とメタクリル酸グリシジル及びエ
ポキシ系シランカップリング剤との反応によって得られ
たもの等];エポキシ系オリゴマー[ビスフェノールA
とエピクロルヒドリンとの付加縮合物に、2級アミノ基
を有するメタクリル酸エステル及びアミン基含有シラン
カップリング剤を反応させることによって得られたもの
等]等が挙げられる。これらは一種またはこれらの二種
以上の混合物として用いられる。これらのうち好ましい
ものは、加水分解性シリル基としてアルコキシシリル基
を有するものであり、(メタ)アクリロキシアルキルシ
ラン類およびビニル基及びアルコキシシリル基を有する
ポリウレタン系オリゴマーが特に好ましい。
【0008】共重合可能な他のビニル系単量体(a2)
としては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−
2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、
(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステ
アリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリ
ル酸シクロヘキシル等];水酸基含有単量体[(メタ)
アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル
酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3
−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート等];芳香族ビニル単量体(スチレ
ン、ビニルトルエン等);アルキルビニルエーテル類
(メチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテ
ル等);ビニルエステル類(酢酸ビニル等);ニトリル
基含有単量体[(メタ)アクリロニトリル等];アミド
基含有単量体[(メタ)アクリルアミド、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)
アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルア
ミド等];エポキシ基含有ビニル系単量体[(メタ)ア
クリル酸グリシジル等];(ポリ)シロキサン基を有す
るビニル系単量体{CH2=C(CH3)COO(C
23[Si(CH32O]nSi(CH33(式中、
n=1〜130)等};炭素数が3〜30のパーフルオ
ロアルキル基を有するビニル系単量体{パーフルオロア
ルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル[CF3
(CF29(CH22OCOCH=CH2等]、パーフ
ルオロアルキル基を持つマレイン酸モノまたはジエステ
ル[C817(CH211OCOCH=CHCOOCH3
等]、パーフルオロアルキル基を有するオレフィン(C
715CH2CH=CH2等)、パーフルオロアルキル基
を有するビニルエーテルまたはアリルエーテル(C7
15CH2OCH=CH2等)、パーフルオロアルキル基を
有するビニルスルホン(C817SO2NHCH2SO2
H=CH2等)等};カチオン性を付与するビニル系単
量体[N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル
アミド等及びそれらの塩(有機酸塩、無機酸塩等)
等];アニオン性を付与するビニル系単量体[(メタ)
アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニ
ルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等及びそれ
らの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモ
ニウム塩、アミン塩等)等];ポリビニル単量体{ジビ
ニル単量体[ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、
1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエタノールアミンジ(メタ)アクリレート、ビ
スフェノールAのジ(メタ)アクリレート等]、トリビ
ニル単量体[トリビニルベンゼン、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、トリエタノールアミン
トリ(メタ)アクリレート等]、テトラビニル単量体
[ペンタエスリートテトラ(メタ)アクリレート等]
等};ビニル基を有する重合性オリゴマー{ポリウレタ
ン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリエステル等のオリ
ゴマーに一個以上の重合性二重結合が導入されたもの
[ポリカプロラクトンジオールと(メタ)アクリル酸と
のエステル化物(例えば日本油脂(株)製「プラクセル
FM−1」)、ポリテトラメチレングリコールとイソホ
ロンジイソシアナートとの末端水酸基のプレポリマー
(1モル)とアクリル酸イソシアナートエチル(1モ
ル)との反応物、アミノ基を有するポリアミドと(メ
タ)アクリル酸エステルとの反応物、エポキシ樹脂とア
クリル酸との反応物、(ポリ)カプロラクトン(メタ)
アクリレート等]等}等が挙げられる。これらは一種ま
たは二種以上の混合物として用いられる。これらの中で
特に好ましいものは(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルおよび芳香族ビニル単量体である。
【0009】共重合体(A)を構成する(a1)の割合
は、(a1)と(a2)の合計重量に基づいて通常0.
5〜50重量%、好ましくは3〜40重量%である。
(a1)の量が0.5重量%未満では硬化性が不十分と
なるため、塗膜の耐水性、耐酸性が不良となり、50重
量%を超えると水性分散体の保存安定性が低下する。ま
た、(A)の重量平均分子量は、通常1万〜200万、
好ましくは10万〜100万である。
【0010】アミンイミド基を有する水溶性高分子
(B)としては、アミンイミド基を含有するビニル系単
量体(b1)の(共)重合体および該(b1)とアミン
イミド基を有しないビニル系単量体との共重合体が挙げ
られる。該(B)の重量分子量は通常1,000〜10
0、000であり、好ましくは3,000〜50,00
0である。(B)は公知のラジカル重合法で製造するこ
とができる。
【0011】アミンイミド基を有するビニル系単量体
(b1)としては、例えば1,1,1−トリメチルアミ
ンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルア
ミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−1−(2−
ヒドロキシプロピル)アミンメタクリルイミド、1,1
−ジメチル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシ
エチル)アミンメタクリルイミド、1,1−ジメチル−
1−(2’−ヒドロキシ−3’−フェノキシプロピル)
アミンメタクリルイミド、1,1,1−トリメチルアミ
ンアクリルイミド等の特開平5−25354号公報に記
載のものが挙げられる。これらのうち好ましいものは
1,1,1−トリメチルアミンメタクリルイミドおよび
1,1−ジメチル−1−(2−ヒドロキシプロピル)ア
ミンメタクリルイミドである。
【0012】アミンイミド基を有しないビニル系単量体
としては、前記(a1)あるいは(a2)として例示し
たものが使用できる。好ましいものは、(a2)の項で
例示したもののうちの水酸基含有重合性単量体、カチオ
ン性を付与する(アミノ基等)ビニル系単量体およびア
ニオン性を付与する(カルボン酸基、スルホン酸基等)
ビニル系単量体であり、該水酸基含有重合性単量体と該
アニオン性を付与するビニル系単量体との組合せが、重
合安定性の点から特に好ましい。アミンイミド基を有し
ないビニル系単量体の使用量はアミンイミド基を有する
ビニル系単量体1重量部に対し、通常0〜50重量部、
好ましくは0〜40重量部である。アミンイミド基を有
しないビニル系単量体としてカチオン性を付与するビニ
ル系単量体あるいはアニオン性を付与するビニル系単量
体を使用する場合、さらに好ましくは0.5〜20重量
部である。アミンイミド基を有しないビニル系単量体と
して水酸基含有重合性単量体を使用する場合、さらに好
ましくは0.5〜30重量部である。
【0013】アミンイミド基を有するビニル系単量体1
重量部に対してアミンイミド基を有しないビニル系単量
体の使用量が50重量部を越えると、水性分散体の安定
性、特に重合安定性と保存安定性が低下する。
【0014】(A)と(B)の合計に対する(B)の割
合は、通常0.5〜50重量%、好ましくは2〜30重
量%である。(B)の量が0.5重量%未満では重合安
定性と保存安定性が低下し、50重量%を超えると塗膜
の耐水性、耐候性が不良となる。
【0015】本発明の水性分散体は、(A)と(B)を
通常0.1〜70重量%含有する。
【0016】本発明の水性分散体中には、塗膜の硬化性
または耐水性や成膜性等をより高めるために加水分解性
シリル基を有する非ラジカル重合性化合物(C)及び/
または1分子中に2個以上エポキシ基を有する化合物
(D)を含んでいてもよい。(C)は、本発明の水性分
散体が塗膜を形成する過程で、共重合体(A)中の加水
分解性シリル基と反応し、硬化性または耐水性等を向上
させる。(D)は、本発明の水性分散体を塗装し加熱硬
化する際に、加水分解性シリル基の急激な反応による硬
化収縮を弱める役目をし、成膜性を向上させる。さら
に、(D)は、(A)及び/または(B)がエポキシ基
と反応できる官能基(例えばカルボキシル基)を有する
場合にその官能基と反応することによって塗膜の耐水性
等を向上させる。
【0017】(C)の具体例としては、シランモノマー
(メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン等);エポキシ基を有するもの[2−(3’,4’−
エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、
3−(トリメトキシシリル)プロピルグリシジルエーテ
ル、ビス(2’3’−エポキシプロピルオキシプロピ
ル)ジメトキシシラン、トリス(2’3’−エポキシプ
ロピルオキシプロピル)メトキシシラン等];チオール
基を有するもの[3−(トリメトキシシリル)プロパン
チオール、3−(メチルジメトキシシリル)プロパンチ
オール等];アミノ基を有するもの[3−トリエトキシ
シリルプロピルアミン、N−(3’−トリメトキシシリ
ルプロピル)エチレンジアミン、N−(3’−トリメト
キシシリルプロピル)ウレア等];ハロゲンを有するも
の(3−クロロプロピルトリメトキシシラン等)等が挙
げられる。これらのうち、エポキシ基を有するものが特
に好ましい。
【0018】(D)の具体例としては、脂肪族多価アル
コールのグリシジルエーテル(エチレングリコールジグ
リシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジル
エーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエー
テル、シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル、
グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプ
ロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトール
テトラグリシジルエーテル等);ポリアルキレングリコ
ールのグリシジルエーテル(ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールのジグ
リシジルエーテル等);ポリエステルのポリグリシジル
化物{多価アルコール[エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン)等]と
多価カルボン酸(蓚酸、アジピン酸、ブタントリカルボ
ン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、ベンゼントリカルボン酸等)とのポリエステルの
ポリグリシジル化物、ポリカプロラクトンのジグリシジ
ル化物、等};ポリアミドのポリグリシジル化物[多価
アミン(エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
1、4−シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミ
ン、トリレンジアミン等)と上記多価カルボン酸とのポ
リアミドのポリグリシジル化物]、;ビスフェノールA
系エポキシ樹脂(ビスフェノールAとエピクロルヒドリ
ンの縮合物、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの
縮合物のエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAと
エピクロルヒドリンの縮合物のプロピレンオキシド付加
物等);フェノールノボラック系エポキシ樹脂(フェノ
ールノボラック樹脂、フェノールノボラック樹脂のエチ
レンオキシド付加物、フェノールノボラック樹脂のプロ
ピレンオキシド付加物等)等の「新エポキシ樹脂」[垣
内弘著、(株)昭晃堂、昭和60年5月10日発行]1
5〜97頁、「基礎合成樹脂の化学(新版)」(三羽忠
広著、技報堂、昭和50年発行)371〜392頁、
「エポキシレジンズ」(マグローヒル・ブック・カンパ
ニー社、1957年発行)6〜29頁等に記載のものが
挙げられる。これらのうち、ビスフェノールA系エポキ
シ樹脂が特に好ましい。該(D)のエポキシ当量は通常
100〜3000、好ましくは200〜2000であ
る。
【0019】(A)100重量部に対する(C)または
(D)の使用量は、通常0.01〜20重量部、好まし
くは0.1〜10重量部である。また、(C)と(D)
とを併用する場合、(A)100重量部に対する(C)
と(D)の合計重量は、通常0.02〜20重量部、好
ましくは0.1〜10重量部である。
【0020】本発明の水性分散体の製法としては、水
溶性高分子(B)及び重合開始剤の存在下、(a1)と
(a2)を、必要により(C)及び/または(D)を
(a1)、(a2)または(B)のいずれかに含有させ
て、水性媒体(水、またはメタノール、イソプロパノー
ル等のアルコールやアセトン等のケトン溶剤の水混和性
溶媒と水との混合溶媒)中で30〜100℃で乳化重合
する方法;有機溶媒中で(a1)と(a2)を30〜
100℃で共重合した後、得られた共重合体(A)溶液
を水及び(B)と必要により(C)及び/または(D)
を含有させて混合し、その後有機溶媒を50〜80℃で
常圧または減圧条件下で除去する方法;等が例示でき
る。の方法は、高分子量の共重合体が得られる点で好
ましい。また、本発明の水性分散体を得た後に(C)及
び/または(D)の水性分散体と混合することも可能で
ある。
【0021】本発明において、本発明の目的を損なわな
い限りにおいて、(B)と共に公知の乳化剤を使用して
もよい。このような乳化剤としては、アニオン性乳化剤
(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫
酸エステルナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジ
スルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテル硫酸エステルナトリウム等);ノニオン性乳化剤
(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル、ポリプロピレングリ
コールエチレンオキシド付加物等);カチオン性乳化剤
(ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、
ジステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリド
等);重合性乳化剤(アルキルアリルスルホコハク酸ナ
トリウム、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン
硫酸エステルナトリウム等)等が挙げられる。これらは
2種以上を併用してもよい。
【0022】共重合体(A)あるいは水溶性高分子
(B)を製造する時に使用する重合開始剤としては、公
知のものが使用できる。該重合開始剤としては、例えば
過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過
硫酸カリウム等);パーオキシド化合物(ベンゾイルパ
ーオキシド、ラウリルパーオキシド、t−ブチルヒドロ
パーオキシド、過酸化水素等);アゾ系化合物《アゾビ
スイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、
アゾビスアミジノプロパン−2塩酸塩、アゾビスシアノ
吉草酸、アゾビス{2−メチル−N−[1、1−ビス
(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピ
オンアミド}、アゾビス{2−メチル−N−[ヒドロキ
シエチル]プロピオンアミド}等》;レドックス系開始
剤[過硫酸アンモニウムと重亜硫酸ナトリウム等の過酸
化物と還元性(重)亜硫酸塩との組合せ、過硫酸アンモ
ニウムとジメチルアミノエタノール等の過酸化物とアミ
ン系化合物との組合せ、過酸化水素と2価の鉄塩等の過
酸化物と還元性金属塩との組合せ等]等が挙げられる。
【0023】(A)あるいは(B)を製造する時に、分
子量を調整する目的で、必要により公知の連鎖移動剤
(nーラウリルメルカプタン、nードデシルメルカプタ
ン、tードデシルメルカプタン、ジフェニルエーテル、
メルカプトエタノール、γーメルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、γーメルカプトプロピルメチルジメトキ
シシラン等)を用いてもよい。また、本発明の水性分散
体の粘度を低下させる目的で、本発明の水性分散体を製
造する時あるいは製造後に、公知の電解質(炭酸水素ナ
トリウム、トリポリリン酸ナトリウム、塩化カリウム
等)、pH調整剤(アンモニア、水酸化ナトリウム水溶
液等)等を使用してもよい。
【0024】本発明の水性分散体の粒子径は特に限定さ
れないが、通常0.01〜10μ、好ましくは0.05
〜1μである。
【0025】本発明の水性分散体は、塗布後常温もしく
は加熱乾燥等により媒体が揮発する共に粒子が融着して
塗膜を形成し、さらに重合体中のシリル基が縮合して、
架橋された塗膜を生成する。この架橋された塗膜の生成
を促進するために、必要に応じて硬化触媒を使用しても
よい。このような触媒としては、有機チタネート化合物
[イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソ
プロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネー
ト、テトライソプロピルジ(ラウリルホスファイト)チ
タネート等]、有機アルミニウム系化合物(アセトアル
コキシアルミニウムジイソプロピネート等)、カルボン
酸型錫化合物(ジオクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレー
ト、ジブチル錫マレート等)、含硫黄系有機錫化合物
(ジブチル錫スルフィド等)、ジアルキル錫オキシド
(ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド等)、そ
の他カルボン酸塩(酢酸ナトリウム、カプロン酸亜鉛、
オクチル酸鉛、ナフテン酸コバルト等)、酸性リン酸エ
ステル(モノメチル酸性リン酸エステル、ジエチル酸性
リン酸エステル、モノブチル酸性リン酸エステル等)、
カルボン酸及びその酸無水物(アジピン酸、マレイン
酸、クエン酸、イタコン酸、コハク酸、フタル酸、フタ
ル酸、トリメリット酸、無水マレイン酸、無水フタル酸
等)、アミン及びその塩(トリエチルアミン、ジブチル
アミン−2−ヘキソエート、環式アミジン等及びこれら
の塩等)、第4級アンモニウム塩(テトラブチルアンモ
ニウムヒドロキシド等)等が挙げられる。該触媒の使用
量は(A)と(B)との合計量100重量部に対して通
常0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量
部である。
【0026】本発明の水性分散体には、必要により公知
の他の樹脂エマルション(アクリルエマルション、ウレ
タンエマルション、エポキシエマルション、SBRラテ
ックス、NBRラテックス、酢ビエマルション、コロイ
ダルシリカ等)や水溶性樹脂(水溶性アクリル樹脂、水
溶性アルキッド樹脂等)を混合することができる。ま
た、塗料として通常配合される顔料[体質顔料(炭酸カ
ルシウム、カオリン、タルク、ケイ酸アルミ、アエロジ
ル等)、無機顔料(酸化チタン、酸化鉄、黄鉛、酸化カ
ドミウム、カーボンブラック、アルミ燐片等)、有機顔
料(アゾ系、アゾキレート系、フタロシアニン系、キナ
クリドン系、イソインドリノン系のもの等)]、造膜助
剤(エチレングリコール、nーブチルセロソルブ等)、
その他の各種添加剤[紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱
性向上剤、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ポリ
ビニルアルコール等)、分散剤、消泡剤、レベリング
剤、たれ防止剤、艶消し剤、ドライヤー、防腐剤及び劣
化防止剤等]等を含有してもよい。顔料の使用量は
(A)と(B)との合計量100重量部に対して通常0
〜1000重量部、好ましくは0〜500重量部であ
る。造膜助剤は通常0〜500重量部、好ましくは0〜
200重量部である。その他の各種添加剤はそれぞれ通
常0〜30重量部、好ましくは0〜10重量部である。
【0027】本発明の水性分散体に上記の他の樹脂エマ
ルション、顔料、各種添加剤等を配合する方法として
は、通常の攪拌による混合や各種攪拌装置(ディスパ
ー、ペイントコンディショナー、ボールミル、ニーダ
ー、サンドグラインダー、ロールミル、フラットストン
ミル等)を用いて混合する方法が挙げられる。
【0028】本発明の水性分散体をコーティング材また
は塗料として使用する場合の塗装方法としては、刷毛塗
り、ロール塗り、スプレー塗り、流し塗りまたは浸漬法
等の方法が挙げられる。塗布された後、常温で放置また
は60〜120℃程度に加熱することによって硬化塗膜
とすることができる。
【0029】
【実施例】以下、製造例及び実施例により本発明をさら
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。以下において「部」は重量部、「%」は重量%を表
す。
【0030】製造例1 攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管、温度計、還流冷
却器を備えた反応容器に水881部、過硫酸ナトリウム
(以下NAPという)4.4部を仕込み、攪拌下、系内
を窒素ガスで置換し、100℃に昇温した。同温度に
て、1,1ージメチルー1ー(2ーヒドロキシプロピ
ル)アミンメタクリルイミド(以下AIという)17
部、アクリル酸(以下AAという)34部、アクリル酸
2ーヒドロキシエチル(以下HEAという)72部の混
合物を1時間かけて滴下し、1時間反応させた。水溶液
を30℃に冷却し、25%アンモニア水でpH8.5に
調整することによって、水溶性高分子の水溶液(固形分
11.5%)を得た。
【0031】製造例2 製造例1と同様の反応容器中に、水883部、アゾビス
アミジノプロパン−2塩酸塩5.1部を仕込み、攪拌
下、系内を窒素ガスで置換し、100℃に昇温した。同
温度にて、AI28部、メタクリル酸14部、HEA7
0部の混合物を1時間かけて滴下し、1時間反応させ
た。水溶液を30℃に冷却し、25%アンモニア水でp
H8.5に調整することによって、水溶性高分子の水溶
液(固形分11.0%)を得た。
【0032】実施例1 製造例1と同様の反応容器に製造例1の水溶性高分子水
溶液206部、水419部、NAP2.5部を仕込み、
攪拌下、系内を窒素ガスで置換し、85℃に昇温した。
同温度にて、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン(以下MPSという)48部、メタクリル酸メチ
ル(以下MMAという)160部、メタクリル酸n−ブ
チル(以下BMAという)95部、アクリル酸n−ブチ
ル(以下BAという)70部、アクリル酸(以下AAと
いう)2部の混合物を1時間かけて滴下し、同温度で2
時間反応させた。水性分散体を30℃に冷却し、25%
アンモニア水でpH8.5に調整することによって、シ
リル基含有共重合体の水性分散体(固形分40.1%)
を得た。この水性分散体について、重合安定性、機械的
安定性及び保存安定性を評価した。その結果を表2に示
す。
【0033】実施例2〜4、比較例1〜3 実施例1と同様の方法により、表1に示す使用原料か
ら、それぞれの共重合体の水性分散体を得た。なお、実
施例5及び6において、EPSiまたはエヒ゜828は、MPS、
MMA、BMA、BA及びAAとともに混合して用い
た。これらの評価結果を表2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】ST :スチレン JS-2 :スルホン酸塩型重合性乳化剤[三洋化成工業
(株)製「エレミノールJS-2」] EPSi :3-(トリメトキシシリル)フ゜ロヒ゜ルク゛リシシ゛ルエーテル[日本ユニカー
(株)製「NUCA-187」]エヒ゜ 828:エポキシ樹脂[油化シェルエホ゜キシ(株)製「エヒ゜コート
828」]
【0036】得られた水性分散体の重合安定性、機械的
安定性および保存安定性の評価結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2における各評価項目の測定方法は下記
のとおりである。 重合安定性 :重合完了時のゲル状物或いは凝固物の生
成量(水性分散体に対する重量%)を測定した。 機械的安定性:JIS K6392(マロン式)に準じ
て行なった。凝固率(%)で表示した。 保存安定性 :50℃×1ケ月静置後、水性分散体の状
態と水性分散体をガラス板にドライ膜厚約30μとなる
ように塗布し、130℃×3分加熱後、塗膜外観を目視
観察した。 状態 ○;良好。 ×;著しく増粘。 塗膜外観 ○;良好。 ×;透明度低下(水性分散体製造直後の塗膜と比較)ま
たはクラック発生がみられた。
【0039】
【発明の効果】本発明のシリル基含有共重合体の水性分
散体は下記の効果を奏する。 (1)重合安定性が良好である(ゲル化物が発生しな
い)。 (2)機械的安定性が良好である。 (3)保存中にゲル化が起こらず、水性分散体粒子内の
加水分解性シリル基の安定性が極めて良好である。 (4)常温硬化性である。 (5)硬化塗膜は耐候性、耐熱性、耐水性、硬度等に優
れる。 上記効果を奏することから、本発明のシリル基含有共重
合体の水性分散体は、コーテイング剤、塗料、接着剤、
プライマー、バインダー等各種用途に有用である。 具
体的には、建材(例えばガラス、スレート、窯業系等の
無機板、アルミ等の金属板、木板、プラスチック板等)
用の防水又は耐候性塗料、オートクレーブ養生塗装剤、
耐酸性雨用塗料、防汚性塗料、防食塗料等、無機建材用
撥水剤(吸水防止剤)、無機建材用プライマー又はシー
ラー、ガラス用接着剤、電着塗料、車両用塗料、車両用
補修塗料、車両部品用塗料、ハードコート剤、缶用(例
えばアルミ缶用)コーテイング剤、防錆塗料、金型離型
剤、プラスチック用コーテイング剤(例えば塩ビデスク
マット等の塩ビシート用コーテイング剤や塩ビ製壁紙用
塗料)、電気電子部品の防湿コーテイング剤、絶縁コー
テイング剤、インクリボンや磁気テープのバックコート
剤、インキ用バインダー、情報紙(例えば昇華型熱転写
受像紙)用離型剤、ガラス繊維用バインダー、不織布用
接着剤、紙用耐水性または艶出しコーテイング剤等の工
業用途に適する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 101/02 LSZ C08L 101/02 LSZ 101/10 101/10 C09D 133/06 PGF C09D 133/06 PGF 133/14 133/14 133/24 PFW 133/24 PFW 143/04 PGL 143/04 PGL 163/00 PKE 163/00 PKE 201/02 PDN 201/02 PDN 201/10 201/10

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加水分解性シリル基を有するビニル系単
    量体(a1)および共重合可能な他のビニル系単量体
    (a2)からなる共重合体(A)と、アミンイミド基を
    有する水溶性高分子(B)とからなる加水分解性シリル
    基含有共重合体の水性分散体。
  2. 【請求項2】 (A)を構成する(a1)の量が、(a
    1)と(a2)の合計重量に基づいて0.5〜50重量
    %である請求項1記載の水性分散体。
  3. 【請求項3】 (B)が、アミンイミド基を有する重合
    性単量体(b1)と、カルボン酸(塩)基含有重合性単
    量体、スルホン酸(塩)基含有重合性単量体及びアミノ
    基含有重合性単量体から選ばれる少なくとも1種のイオ
    ン基またはイオン形成性基含有単量体とを必須構成単位
    として含む共重合体である請求項1または2記載の水性
    分散体。
  4. 【請求項4】 (B)が、更にヒドロキシル基含有重合
    性単量体を必須構成単位として含む共重合体である請求
    項3記載の水性分散体。
  5. 【請求項5】 共重合体(A)が、(B)の存在下で、
    (a1)と(a2)とを水中で乳化共重合して得られる
    ものである請求項1〜4いずれか記載の水性分散体。
  6. 【請求項6】 加水分解性シリル基を有する非ラジカル
    重合性化合物(C)を更に含んでなる請求項1〜5いず
    れか記載の水性分散体。
  7. 【請求項7】 1分子中に2個以上のエポキシ基を有す
    る化合物(D)を更に含んでなる請求項1〜6いずれか
    記載の水性分散体。
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