JP2618298B2 - 血中コレステロール上昇抑制作用を有する豚肉加工品 - Google Patents

血中コレステロール上昇抑制作用を有する豚肉加工品

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JP2618298B2
JP2618298B2 JP3195310A JP19531091A JP2618298B2 JP 2618298 B2 JP2618298 B2 JP 2618298B2 JP 3195310 A JP3195310 A JP 3195310A JP 19531091 A JP19531091 A JP 19531091A JP 2618298 B2 JP2618298 B2 JP 2618298B2
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基義 児玉
文毅 森松
佳裕 宇都
修一 木村
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Nippon Meat Packers Inc
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Nippon Meat Packers Inc
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は食用豚肉およびハム、
ソーセージ等の原料肉として用いる豚肉加工品に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、食用豚肉またはハム、ソーセー
ジ等の原料となる豚肉は、脂肪やコレステロールを比較
的多く含有する。したがって、このような豚肉またはこ
れを加工した食品を過剰に食すれば、血中のコレステロ
ールが上昇し、ひいては高脂血症、動脈硬化症、高血圧
症などの疾病を誘発することともなる。
【0003】一方、豚肉または豚肉加工食品の過剰な摂
食に伴う上記弊害を防止するため、豚肉または豚肉加工
食品に大豆ペプチドまたは食物繊維等の植物性副材料を
添加して、コレステロールを体外へ排出し易くし、また
は、ハム、ソーセージ等の原料として配合する豚肉脂肪
量をできるだけ少量とする工夫もなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、豚肉に食物繊
維や大豆蛋白を配合すると、このものが純粋な豚肉また
はその加工品とはいえなくなって商品価値が低下する。
また、脂肪含有量を少量にすると、肉本来の柔軟な歯応
えや肉の味が劣化するという問題点がある。
【0005】この発明は、低コレステロール化に対応す
る低脂肪化または植物性副材料の添加処理を行なった豚
肉の食感や肉の味が劣化するという問題点を解決し、肉
本来の食感や味を充分に備えて摂食でき、かつ血中コレ
ステロール値の上昇を抑制し得る豚肉加工品とすること
を課題としている。
【0006】上記の課題を解決するためになされた、こ
の発明は、プロテアーゼで処理された豚肉加工品からな
る。本発明者等は、豚肉の嗜好性を損なわず且つ血中コ
レステロールの上昇をもたらさない作用を有する食用豚
肉及び豚肉加工食品について鋭意検討した結果、プロテ
アーゼで処理した豚肉は、それを摂取しても血中コレス
テロールの上昇が抑制され、また豚肉本来の嗜好性を損
なうこともないことを見出して本願発明を完成した。
【0007】上記のプロテアーゼとしては、パパイン、
トリプシン及びペプシンが好適に使用され、特にパパイ
ンが好ましい。プロテアーゼは、二種以上を併用しても
よい。上記プロテアーゼの豚肉に対する配合割合は、
0.1重量%以上であってよい。
【0008】
【作用】この発明の豚肉加工品はプロテアーゼで処理さ
れた豚肉であり、豚肉本来の味や食感は当該処理によっ
ても全く影響を受けることがない。また、後述の実験結
果から明らかなように、このような豚肉加工品を食した
場合には、コレステロールの血中濃度の上昇が抑制され
る。
【0009】
【実施例】この発明で用いるパパイン、トリプシンまた
はペプシンは、それぞれ天然にはパパイヤ果実の乳液、
脊椎動物の膵液、同胃液中に存在するプロテアーゼであ
って、その化学構造やPHその他の特異性については、
比較的よく明らかにされており、それぞれ市販の精製さ
れた試薬を用いることができる。
【0010】上記したパパイン、トリプシン、ペプシン
の配合量は、豚肉の単位重量当たり0.1重量%(以
下、単に%と記す)以上で有意な血中コレステロール上
昇抑制効果が確認されている。この効果は前記配合量の
増加に対応して顕著となるが、加工食品の利用形態すな
わち食習慣による摂食の多少に合わせて適宜に配合割合
を変化させ得る。
【0011】そして、この発明の豚肉加工品は、前述の
ように、食用豚肉やハム、ソーセージ等の豚肉加工食品
の原料肉として利用することができる。なお、この発明
の豚肉加工品を用いて豚肉加工食品を製造する場合、豚
肉加工食品の呈味を阻害しない限りにおいて、大豆等の
植物性蛋白質、食物繊維等を添加してもよく、副材料と
して用いるラード等の脂肪に代えて植物性油脂を配合す
ることもできる。
【0012】〔実験例1〜3〕豚背最長筋を原材料とし
てペプシン、トリプシンまたはパパインをそれぞれ0.
1%添加し、50℃で15分間反応させた後に90℃で
失活させてペプチドを含有する3種類の豚肉を得た。
【0013】得られた各豚肉を餌として、4週令の雄W
istar−Slc/STラット20匹のうち3群(1
群5匹)に与え、各ラット群の摂餌量(g/day)、3週
経過後の血中コレステロール値(総コレステロールおよ
び遊離コレステロール;mg/dl)を測定し、この結果を
表1に示した。
【0014】〔比較例1〕プロテアーゼを添加しなかっ
た豚背最長筋を餌料として、実験例1〜3で用いた残り
一群(5匹)のラットに与え、3週経過後の血中コレス
テロール値を測定し、結果を表1中に併記した。
【0015】
【表1】
【0016】表1のコレステロール値からも明らかなよ
うに、実験例1〜3の可食性ペプチドを含有する豚肉を
食餌とした各ラット群の総コレステロールおよび遊離コ
レステロールの値は、比較例1の未処理豚肉を食餌とす
るラット群のそれらに比べて低く、ペプチドを含有する
豚肉加工食品の血中コレステロール上昇抑制効果が優れ
ることが認められた。このうち、パパインを蛋白質分解
酵素とした実験例3の効果が特に顕著であった。
【0017】〔実験例4および5〕ペプシン、トリプシ
ンに代えてパパインを0.1%または2.0%添加する
以外は、実験例1〜3と全く同様にして可食性ペプチド
を含有する2種類の豚肉を得た。
【0018】得られた各豚肉を餌として、実験例1〜3
と全く同様にしてラットを用いた実験を行ない、この結
果を表2に示した。
【0019】〔比較例2および3〕プロテアーゼを添加
しなかった豚背最長筋またはプロテアーゼによる豚肉の
完全水解を想定したアミノ酸混合物を餌料とし、実験例
4および5と全く同様にして残り2群(各5匹)のラッ
トに3週間与え、この結果を表2中に併記した。
【0020】
【表2】
【0021】表2の測定値からも明らかなように、アミ
ノ酸混合物を餌料とした比較例3のコレステロール値に
比べて、パパインによる可食性ペプチドを含有した豚肉
を餌料とする実験例4または5のコレステロール値が特
に低く、またパパインの添加料が増すほど顕著にコレス
テロール値が低下した。
【0022】〔実験例6〕パパインを0.1%添加して
実験例1〜3と全く同様にしてペプチドを含有する豚肉
加工食品を調製し、これを40重量%と、大豆蛋白質6
0重量%とを配合して餌料とした。この餌料を実験例1
〜3と全く同様に、ラットに与えて血中コレステロール
値の測定試験を行ない、結果を表3に示した。
【0023】〔比較例4および5〕大豆蛋白質を餌料と
する比較例4、未処理豚肉40重量%と大豆蛋白質60
重量%とを配合したものを餌料とする比較例5につい
て、実験例1〜3と全く同様にしてラットによる実験を
行ない、この結果を表3に併記した。
【0024】
【表3】
【0025】表3の測定値からも明らかなように、実験
例6のコレステロール値は、コレステロールを上昇させ
ない食品として知られる大豆蛋白質(比較例4)と同程
度に抑制されており、豚肉由来のペプチドの血中のコレ
ステロール上昇抑制力が大豆蛋白質と同程度であること
が判明した。
【0026】
【効果】この発明は、以上説明したように、豚肉由来の
可食性のペプチドを豚肉に含有させたものであって、肉
本来の柔らかさや味を充分に保ちながら、これを食する
者の血中コレステロールの上昇を抑制することができ
る。
【0027】したがって、このような豚肉加工品を食肉
とするかまたはハム、ソーセージ等の原材料として用
い、コレステロールの害が少ない健康食品とすることが
でき、この発明の産業上の利用価値はきわめて高いもの
であるということができる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロテアーゼで処理した豚肉からなる
    血中コレステロール上昇抑制作用を有する豚肉加工品。
  2. 【請求項2】 プロテアーゼが、パパイン、トリプシ
    ン及びペプシンから選ばれた一種又は二種以上の酵素で
    ある請求項1記載の豚肉加工品。
  3. 【請求項3】 プロテアーゼの豚肉に対する配合割合
    が0.1重量%以上である請求項1記載の豚肉加工品。
JP3195310A 1991-08-05 1991-08-05 血中コレステロール上昇抑制作用を有する豚肉加工品 Expired - Lifetime JP2618298B2 (ja)

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