JP5925391B2 - ペプチド又はその酸付加塩、飲食品、及び糖尿病予防等の組成物 - Google Patents

ペプチド又はその酸付加塩、飲食品、及び糖尿病予防等の組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ペプチド又はその酸付加塩、飲食品、及び糖尿病予防等の組成物に関する。
日本では65歳以上の高齢者人口が3,190万人、総人口に占める割合は25.1%(平成25年10月現在)に達し、さらに高齢者の割合は増加の一途をたどると予想されている。加齢は様々な身体機能に影響を及ぼし、特に運動機能の維持に必須である骨格筋量はピーク時より30〜40%減少するといわれている。加齢によるサルコペニア(筋肉減少症)により日常生活に支障をきたし、寝たきりとなってしまう高齢者も多く存在する。また、骨格筋は糖・エネルギー代謝を行う主たる組織であり、サルコペニアは糖尿病、肥満の発症の引き金となりうる。そのため、これら症状の改善のために、筋機能や耐糖能の維持、改善につながる生理活性物質を提供することが期待されている。
年齢を問わず筋機能維持のためには適切な運動が効果的である。一方で、乳清タンパク質や大豆タンパク質をはじめとした食品タンパク質を摂取すると、骨格筋のタンパク質合成を促進し、分解を抑制することが知られている。そこで、食品タンパク質の摂取と骨格筋量との関係が注目されている。
ところで、骨格筋には瞬発力にすぐれた速筋繊維と、持久力に優れた遅筋繊維の2種類の筋繊維タイプが存在する。これまで、ラットにスケトウダラタンパク質(APP)を含んだ餌を8週間摂取させることで骨格筋が肥大化、速筋化することが明らかとなっており(非特許文献1)、高齢者の筋委縮の改善につながると考えられている。また、骨格筋、特に速筋は糖取り込みが盛んな臓器であり、骨格筋の肥大化、速筋化により耐糖能が上昇し、糖尿病の改善につながると考えられている。
また、タラタンパク質がインスリン感受性を高めるという報告がある(非特許文献2)。
Takafumi Mizushige, Fuminori Kawabata, Keisuke Uozumi, Tomoko Tsuji, Taro Kishida, Kiyoshi Ebihara. Fast−twitch muscle hypertrophy partly induces lipid accumulation inhibition with Alaska pollack protein intake in rats. Biomed Res. 2010 Dec; 31 (6): 347−52. Veronique Ouellet et al.; Dietary Cod Protein Improves Insulin Sensitivity in Insulin−Resistant Men and Women;Diabets Care; 2007 Nov; 30 (11): 2816−2821.
しかしながら、糖尿病予防等に用いられる組成物の研究は発展途上であり、より改善効果の高い組成物を提供することが求められている。
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、糖尿病予防、糖尿病治療、インスリン感受性増強又は糖代謝改善等に優れる組成物を提供することである。
本発明者らは、QWを含む9アミノ酸以下のペプチド、又はELRを含む10アミノ酸以下のペプチドからなる、単離されたペプチド又はその酸付加塩が、糖尿病予防、糖尿病治療、インスリン感受性増強、糖代謝改善等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
(1) 本発明は、QW(配列番号1,2)を含む9アミノ酸以下のペプチド、又はELR(配列番号3,4)を含む10アミノ酸以下のペプチドからなる、単離されたペプチド又はその酸付加塩である。
(2) また、本発明は、前記QWを含む9アミノ酸以下のペプチドがQWR(配列番号5,6)を含む9アミノ酸以下のペプチドである、(1)に記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩である。
(3) また、本発明は、前記QWRが、前記QWを含む9アミノ酸以下のペプチドのC末端に存在するものである、(2)に記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩である。
(4) また、本発明は、前記QWを含む9アミノ酸以下のペプチドがANGEVAQWR(配列番号7,8)、ANSEVAQWR(配列番号9,10)又はQWR(配列番号5,6)のいずれかである、(1)から(3)のいずれかに記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩である。
(5) また、本発明は、前記ELRが、前記ELRを含む10アミノ酸以下のペプチドのC末端に存在するものである、(1)から(4)のいずれかに記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩である。
(6) また、本発明は、前記ELRを含む10アミノ酸以下のペプチドがELR(配列番号3,4)である、(1)から(5)のいずれかに記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩である。
(7) また、本発明は、前記ELRを含む10アミノ酸以下のペプチドがYNELR(配列番号11,12)である、(1)から(6)のいずれかに記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩である。
(8) また、本発明は、(1)から(7)のいずれかに記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩を添加した飲食品である。
(9) また、本発明は、(1)から(7)のいずれかに記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩を有効成分とする糖尿病予防又は糖尿病治療に用いられる組成物である。
(10) また、本発明は、(1)から(7)のいずれかに記載の単離されたペプチド又はその酸付加塩を有効成分とするインスリン感受性増強又は糖代謝改善に用いられる組成物である。
(11) また、本発明は、ANGEVAQWR(配列番号7)、ANSEVAQWR(配列番号9)又はIWHHTFYNELR(配列番号13)の配列を有するペプチドを含む動物性タンパク質をトリプシンにより分解し、さらに分解物中の前記ペプチドを2倍以上に濃縮する、糖尿病予防又は糖尿病治療に用いられる組成物の製造方法である。
本発明によれば、QWを含む9アミノ酸以下のペプチド、又はELRを含む10アミノ酸以下のペプチドからなる、単離されたペプチド又はその酸付加塩を用いることで、糖尿病予防、糖尿病治療、インスリン感受性増強、糖代謝改善等の効果が得られる。
APPトリプシン消化物をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 APPキモトリプシン消化物又はパンクレアチン消化物をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 APPトリプシン消化物を4つのフラクションに分画したときのHPLCチャートである。 上記4つのフラクションに係る消化物をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 フラクションCをさらに10個のフラクションに再分画したときのHPLCチャートである。 上記10個のフラクションに係る消化物をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 上記10個のフラクションの中のフラクションC3及びC8をさらに再々分画したことを示す図である。 図7に示す各々のフラクションに係る消化物をマウスに投与したときの血糖値を示す図である。 フラクションC3−2及びC8−3のHPLCチャートを示す。 合成ペプチドANGEVAQWR(配列番号8),ANG(配列番号15),EVA(配列番号16)及びQWR(配列番号6)をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 合成ペプチドWR(配列番号17)をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 合成ペプチドIWH(配列番号18),HTF(配列番号19)及びYNELR(配列番号12)をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 合成ペプチドYNELR(配列番号12),YNE(配列番号20)及びELR(配列番号4)をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 合成ペプチドANSEVAQWR(配列番号10)をマウスに投与したときの血糖値の減少率を示す図である。 各種合成ペプチドの細胞内糖取込み活性を示す図である。 図15に続く図である。 合成ペプチドQWR(配列番号6)を病態マウスに投与し、グルコース負荷試験を行ったときの結果を示す図である。 合成ペプチドQWR(配列番号6)を病態マウスに投与し、インスリン負荷試験を行ったときの結果を示す図である。 合成ペプチドQWR(配列番号6)を正常マウスに投与し、インスリン負荷試験を行ったときの結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明するが、これに本発明が限定されるものではない。
<ペプチド又はその酸付加塩>
本発明は、QW(配列番号1,2)を含む9アミノ酸以下のペプチド、又はELR(配列番号3,4)を含む10アミノ酸以下のペプチドからなる、単離されたペプチド又はその酸付加塩である。本明細書において、ペプチドの酸付加塩とは、製薬上許容される酸(無機酸及び有機酸)との付加塩をいい、例えば塩酸塩、臭化水素、酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩等が挙げられる。
[QWを含む9アミノ酸以下のペプチド]
ペプチドの配列は、QWを含み、9アミノ酸以下の単離されたものであれば、特に限定されるものではないが、QWR(配列番号5,6)を含み、9アミノ酸以下の単離されたものであることが好ましい。また、QWRは、C末端に存在することが好ましい。
QWRを含み、9アミノ酸以下のペプチドは、その機能が完全に損なわれない限りにおいて、投与量あたりの機能性を向上する観点で、アミノ酸数が低いことが好ましく、具体的には、8アミノ酸以下、7アミノ酸以下、6アミノ酸以下、5アミノ酸以下、4アミノ酸以下、3アミノ酸以下が好ましい。中でも、ペプチドは、ANGEVAQWR(配列番号7,8)、ANSEVAQWR(配列番号9,10)又はQWRのいずれかであることが好ましい。
ペプチドは、ペプチド合成によって得られたものであっても、天然物由来のものであってもよい。ペプチド合成の手法は特に限定されるものでなく、固相法、液相法のいずれであってもよい。ペプチド合成によって得られた本発明のペプチドは逆相高速液体クロマトグラフィー、イオン交換樹脂やハイポーラスポリマー樹脂を用いたクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を用いた通常の精製法で精製できる。また、下記に説明するとおり、天然物由来のものは、ANGEVAQWR又はANSEVAQWRの配列を有するペプチドを含む動物性タンパク質をトリプシンで分解し、分離、精製することによって得られる。
[ELRを含む10アミノ酸以下のペプチド]
ペプチドの配列は、ELRを含み、10アミノ酸以下の単離されたものであれば、特に限定されるものではないが、ELRは、C末端に存在することが好ましい。
ELRを含む10アミノ酸以下のペプチドは、その機能が完全に損なわれない限りにおいて、投与量あたりの機能性を向上する観点で、アミノ酸数が低いことが好ましく、具体的には、9アミノ酸以下、8アミノ酸以下、7アミノ酸以下、6アミノ酸以下、5アミノ酸が好ましい。中でも、ペプチドは、ELR又はYNELR(配列番号11,12)であることが好ましい。
QWを含む9アミノ酸以下のペプチドと同様、ELRを含む10アミノ酸以下のペプチドについてもまた、ペプチド合成によって得られたものであっても、天然物由来のものであってもよい。下記に説明するとおり、天然物由来のものは、IWHHTFYNELR(配列番号13)の配列を有するペプチドを含む動物性タンパク質をトリプシンにより分解することによって得られる。
<飲食品>
上記ペプチド又はその酸付加塩は、飲食品に含まれるものであってもよい。飲食品の種類は特に限定されず、例えば、チューインガム、クッキー、せんべい、ゼリー、ようかん、ヨーグルト若しくはまんじゅう等の菓子類、清涼飲料、お茶類、栄養飲料、スープ、又はパン若しくはうどん等の麺類等が挙げられる。飲食品は、食品の製造工程において、あるいは最終製品に、本実施形態の組成物、ペプチド等を混合、塗布、噴霧等により(典型的には食品添加剤として)添加して製造できる。
食品中のペプチドの含有量は適宜選択可能であるが、一般に食品に対して0.00001〜100重量%の範囲内である。そして、食品の味や外観を考慮すると、ペプチドの含有量は、食品1kgあたり、100μg〜1000g程度が好ましい。ペプチドそのままを健康食品等のサプリメントとして用いる場合、粉末、タブレット等の成形するための賦形剤等を添加するのみでよい。
<組成物>
上記ペプチド又はその酸付加塩は、糖取り込み増加作用を有することから、慢性的高血糖状態において随時血糖値及び/又は空腹時血糖値を低下させる血糖降下作用を示し、これにより慢性の高血糖状態を改善することができるため、糖尿病予防又は糖尿病治療の組成物として用いられる。また、上記ペプチド又はその酸付加塩は、インスリン感受性増強作用を示し、これにより、インスリン抵抗性を改善することができるため、インスリン感受性増強又は糖代謝改善の組成物としても用いられる。
本明細書において、「糖尿病」とは、インスリンの量的不足又は作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群をいう。糖尿病は、インスリン依存型糖尿病(1型糖尿病)とインスリン非依存型糖尿病(2型糖尿病)に大別され、本発明の組成物は、インスリンとの併用にかかわらず有効成分の機能が奏されるため、いずれのタイプの糖尿病の予防又は治療にも好ましく用いることができる。
また、本明細書において、「インスリン感受性」とは、インスリンの作用の程度、即ち血糖低下作用及び糖新生抑制作用の程度をいう。従って、インスリン感受性増強に用いられる組成物は、インスリンとともに(同時であっても同時でなくてもよい。投与経路が同じであっても、異なっていてもよい。)投与される。上記ペプチド又はその酸付加塩の血糖降下作用及びインスリン感受性調節作用は、例えば、糖取り込み増加作用を測定することで評価できる。糖取り込み増加作用は、例えば、正常動物及び病態モデル動物を用いた高インスリン正常血糖クランプ法におけるGlucose infusion rate(GIR)を指標として評価できる。
また、本明細書において、「インスリン抵抗性」とは、組織におけるインスリンの感受性が低下し、インスリンの作用が抑制された状態をいう。インスリン抵抗性は、例えば、空腹時血糖とインスリン濃度、Brgmanのミニマムモデル、steady state plasma glucose(SSPG)法、HOMA−IR(Homeostasis model assessment of insulin resistance)、高インスリン正常血糖クランプ法を用いて評価できる。
また、本明細書において、「糖代謝改善」とは、糖質の代謝不良を改善し、より正常な糖の代謝状態とすることをいう。例えば、インスリンの作用不足により起こる高血糖状態等、糖質がエネルギーとなる過程において糖質の代謝経路が正常に働かず、糖質の利用が阻害されることがあるが、糖質の代謝不良を改善し、糖質の利用を促進することである。糖代謝改善がなされると、食後の血糖値の上昇を抑制し、またできる限り早く血糖値を正常値まで低下させることができる。一方、糖質の代謝不良は慢性的な高血糖状態を引き起こし、慢性的な高血糖状態は全身の血管障害を起こし、さらに神経障害、網膜症などの合併症もきたす。したがって、本発明の組成物は、これらの血管障害、その合併症の予防又は改善に有用である。
本発明に係る組成物は、上記有効成分のままの状態で又は医薬として許容される担体等の任意成分を更に配合して、経口又は非経口で投与される。
本発明の組成物を経口投与する場合の剤形としては、例えば、錠剤(糖衣錠及びフィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤及びマイクロカプセル剤を含む)、舌下錠、シロップ剤、乳剤又は懸濁剤が挙げられる。また、本発明の組成物を非経口投与する場合の剤形としては、例えば、注射剤、注入剤、点滴剤、バップ剤又は坐剤が挙げられる。
本発明のペプチド又はその酸付加塩は、適当な基剤(例えば、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物又はポリグリセロール脂肪酸エステル)と組み合わせて、徐放性製剤とすることも可能である。
上記組成物は、他の栄養成分(炭水化物等)、塩分(NaCl等)、pH調整剤(食用酸等)を更に含んでもよい。また、本発明に係る予防又は治療剤は、薬学的又は生理学的に許容される基剤、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤及び着色剤等の1種以上等を更に含んでよい。
担体及び賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム及び結晶セルロース等が挙げられる。結合剤としては、デンプン、ゼラチン、シロップ、トラガントゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びカルボキシメチルセルロースカルシウム等が挙げられる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、水素添加植物油、タルク及びマクロゴール等が挙げられる。着色剤は、医薬品に添加することが許容されている任意の着色剤であってよい。
本発明に係る組成物は、必要に応じて、白糖、ゼラチン、精製セラック、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート及びメタアクリル酸重合体等の一層以上の被膜を有してもよい。また、本発明に係る予防又は治療剤は、必要に応じて、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤及び可溶化剤等を含んでもよい。
本発明の組成物は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル又はヒト)、特にヒトに対して投与した場合に、血糖降下作用及びインスリン感受性増強作用を発揮できる。組成物の投与量は、症状の程度、患者の年齢、体重及び健康状態等の条件に応じて、限定されないが、成人であれば、上記ペプチド又はその酸付加塩が1μg〜10g/kg/日、好ましくは100μg〜1g/kg/日の量になるように、経口で1日1回又は2〜4回以上に分割し適宜の間隔をあけて、投与されてよい。
<組成物の製造方法>
上記組成物は、ANGEVAQWR、ANSEVAQWR又はIWHHTFYNELRの配列を有するペプチドを含む動物性タンパク質をトリプシンにより分解し、さらに分解物中の前記ペプチドを2倍以上に濃縮することによって得られる。
[動物性タンパク質]
動物性タンパク質は、ANGEVAQWR(配列番号7)、ANSEVAQWR(配列番号9)又はIWHHTFYNELR(配列番号13)の配列を有するペプチドを含み、かつ、この配列のペプチドがトリプシンにより産生されるものであれば、特に限定されず、乳タンパク質、牛、豚、羊、うさぎ、カンガルー等の畜肉及び獣肉、鶏、七面鳥、うずら等の鳥肉、魚、白身魚等の魚肉等の肉類タンパク質であってよい。魚肉タンパク質、特に白身魚の魚肉タンパク質、中でもタラ目に属する魚の魚肉タンパク質は、ペプチドがANGEVAQWRの配列とIWHHTFYNELRの配列との両方がトリプシン分解で産生される点で好ましい。
タラ目に属する魚としては、スケトウダラ、ミナミダラ、ノーザンブルーホワイティング、キングクリップ、メルルーサ、マダラ及びホキ等が挙げられ、中でもスケトウダラが好ましい。例えば、魚肉タンパク質として、以下の工程で処理したスケトウダラ魚肉及びホキ魚肉を使用することができる。
魚肉タンパク質は、例えば、次のような工程で製造してよい。魚肉を適当な大きさに切断し、切断した試料を凍結させた後、凍結乾燥機で凍結乾燥させる。凍結乾燥した試料を常法にて粉砕し、これにエタノール等を添加して脂溶性成分を溶出させる。次いで、エタノールを除去することにより魚肉タンパク質を得ることができる。
エタノール等の使用量は特に限定されないが、通常、抽出材料に対して、1〜50倍量(容量)であり、好ましくは2〜20倍量である。抽出温度は、室温〜抽出溶媒の沸点程度の間で任意に設定できるが、例えば室温〜抽出溶媒の沸点程度の温度で、振盪下または還流下に行うのが好ましい。あるいは、抽出材料と抽出溶媒からなる混合物を煮沸してもよい。抽出時間は、抽出を溶媒の沸点程度の温度で行う場合、5分〜数時間、好ましくは20分〜2時間程度が適当である。このような抽出操作は、1回だけ行ってもよく、複数回繰り返し行ってもよい。
[動物性タンパク質の酵素分解]
上記動物性タンパク質をタンパク質分解酵素で分解する。このタンパク質分解酵素はトリプシンであることを要する。上記動物性タンパク質をトリプシンで分解することによって、分解物からANGEVAQWR(配列番号7)、ANSEVAQWR(配列番号9)又はIWHHTFYNELR(配列番号13)の配列からなる、単離されたペプチドを得ることができる。
酵素分解の手法は特に限定されるものではないが、例えば、脂溶性成分を除去した動物性タンパク質に対して適量の水を加えて充分ホモジナイズし、トリプシンを全重量の1/100量を加えて37℃で5時間、pH7.5の条件下でゆっくり撹拌して酵素分解に付すことが挙げられる。次いで、酵素分解後に100℃で10分間煮沸し、酵素を失活させて反応を終了させ、吸引ろ過によりペプチドに富むろ液を得ることができる。このようにして得られたろ液に、必要に応じて、例えば水酸化ナトリウムを加えると、ペプチドの酸付加塩にすることができる。
[ペプチドの濃縮]
そして、分解物中のペプチドを2倍以上に濃縮する。濃縮方法は特に限定されるものでなく、ろ過(例えば限外ろ過)、沈殿させて少量の溶媒へ再溶解、凍結乾燥して少量の溶媒へ再溶解、又は乾燥ゲルで溶媒吸収等が挙げられる。
<試験1> 消化酵素のスクリーニング
[スケソウダラ魚肉タンパク質(以下「APP」ともいう。)の調製]
冷凍のアラスカ産スケトウダラフィレー(ユニシー社製)をバンドソー(秋山機械社製、600ST)で1cm×1cm×1cm程度の大きさに切断した。切断した試料を凍結乾燥用トレーに一層に並べて、凍結乾燥機(東京理化器械社製、TF20−85ATNNN)にて−30℃で4時間の予備凍結後に、4昼夜凍結乾燥した。凍結乾燥試料を手で軽く砕き、ピンミル(槇野産業社製、EM−1A)にて粉砕した。粉砕した凍結乾燥試料に99.5%エタノール(和光純薬工業社製、試薬特級)を添加して脂溶性成分を溶出させた。1週間風乾させた後、残留エタノールをロータリーエバポレーター(東京理化器械社製、N−21NS)にて除去し、スケトウダラ魚肉タンパク質を得た。冷凍のスケトウダラフィレー10kgから、約1.5kgのスケトウダラ魚肉タンパク質が得られた。このタンパク質の組成を表1に示す。
Figure 0005925391
[APP消化物の取得]
上記脂溶性成分を除去して得られたAPPに水を加え、濃度を20mg/mlとし、充分ホモジナイズし、トリプシン、キモトリプシンについては全重量の1/100量、パンクレアチンについては全重量の1/20量を加えて37℃で5時間、pH7.5の条件下でゆっくり撹拌して酵素分解に付した。その後、100℃で10分間煮沸し、消化酵素を失活させた。そして、吸引ろ過により、3種類のAPP消化物を得た。
[インスリン負荷試験]
Figure 0005925391
4週齢の雄性ddYマウス(日本エスエルシー社)を22±1℃、明暗サイクル12時間(明期7:00−19:00)の動物飼育室で7日間予備飼育した。予備飼育期間中、マウスには固形飼料MF(日本エスエルシー社製)と水とを自由に摂取させた。
その後、マウスを180分絶食させた後、表2に示すAPP消化物を表2に示す量だけ摂取させた。そして、さらに180分絶食させた後、インスリンを0.75U/kgB.W.となるように腹腔内投与した。投与直前と投与後15分、30分、60分後に尾静脈より採血し、ニプロフリースタイルキッセイメーター(ニプロ社製)を用いて血糖値を測定した。トリプシン消化物についての結果を図1に示し、キモトリプシン消化物及びパンクレアチン消化物についての結果を図2に示す。
図1より、トリプシン消化物は、100mg/kg程度の投与量で血糖値を60%程度にまで下げることができるといえる。一方、図2より、他の消化物では、300mg/kgの量だけ投与しても、血糖値を75%程度にまでしか低下できない。
したがって、トリプシン消化物は、他の消化物に比べインスリン感受性増強作用を有するといえる。
<試験2> ペプチド又はその酸付加塩のスクリーニング
[HPLCによるAPPトリプシン消化物の分画]
上記APPトリプシン消化物を50mg/mlとなるように溶解し、4℃、10,000rpmで5分間遠心し、上清を得た。上清1mlをODSカラム(Cosmosil 18−AR−II,20×250mm,ナカライテスク社製)を用いてHPLC(Waters 600,日本ウォーターズ社製)で分画した。移動相は0.1%TFAを含むHOと0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含むCHCNとし、後者の割合を0−50%(0−50min,linear gradient)、流速を10mL/minとした。これを4つのフラクション(フラクションA−D)に分画した。APPトリプシン消化物を4つのフラクションに分画したときのHPLCチャートを図3に示す。
[インスリン負荷試験(1回目)]
続いて、各フラクションを凍結乾燥し、得られたサンプルを用いてインスリン負荷試験を行った。マウスを180分絶食させた後、サンプルを元の消化物相当で100mg/kgとなるように投与したこと以外は、試験1と同様の手法にて血糖値を測定した。結果を図4に示す。
図4より、4つのフラクションの中でも、フラクションCがインスリン感受性増強作用を持つことが確認された。
[APPトリプシン消化物の再分画]
インスリン負荷試験により活性の見られたフラクションCをさらに分画した。トリプシン消化物を用いて上記と同様の条件でHPLCを行った。フラクションCに相当する流出時間をさらに10分割して10個のフラクション(フラクションC1−C10)に再分画した。APPトリプシン消化物のフラクションCをさらに10個のフラクションに分画したときのHPLCチャートを図5に示す。
[インスリン負荷試験(2回目)]
続いて、各フラクションを凍結乾燥し、得られたサンプルを用いてインスリン負荷試験を行った。試験は、1回目と同様の手法にて行った。結果を図6に示す。
図6より、10個のフラクションの中でも、フラクションC3がインスリン感受性増強作用を持つことが確認された。また、フラクションC8がインスリン感受性を増強する傾向が見られた。
[APPトリプシン消化物の再々分画]
インスリン負荷試験により活性の見られたフラクションC3及びC8について、ピークを1本ずつ分取し、これら分取したフラクションの各々について、トリプシン消化物を用いて上記と同様の条件でHPLCを行った。図7に示すとおり、フラクションC3については、3個のフラクション(フラクションC3−1〜C3−3)が得られ、フラクションC8については、4個のフラクション(フラクションC8−1〜C8−4)が得られた。
[インスリン負荷試験(3回目)]
続いて、各フラクションを凍結乾燥し、得られたサンプルを用いてインスリン負荷試験を行った。試験は、1回目と同様の手法にて行った。結果を図8に示す。
図8より、特にフラクションC3−2及びC8−3がインスリン感受性増強作用を持つことが確認された。
<試験3> フラクションC3−2及びC8−3のアミノ酸配列
CNカラムを用い、上記フラクションC3−2及びC8−3をHPLCにより分離した。カラムは5CN−R(4.6×250mm,ナカライテスク社製)を用い、移動相は0.1%TFAを含むHOおよび0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含むCHCNを用いた。後者の割合を0−50%(0−50min, linear gradient)、流速1mL/minとした。吸光波長215nmの各ピークを分取し、これらを質量分析(MS;Mariner; Applied Biosystems)およびプロテインシーケンサー(Procise 492 HT, Applied Biosystems)で分析した。MSで得られた質量とプロテインシーケンサーで得られた配列の情報をもとに、ピークに含まれているペプチドのアミノ酸配列を決定した。フラクションC3−2のHPLCチャートを図9の(a)に示し、フラクションC8−3のHPLCチャートを図9の(b)に示す。
その結果、フラクションC3−2に関しては、ピークに含まれているペプチドのアミノ酸配列がANGEVAQWR(配列番号7)からなる9残基ペプチドであり、フラクションC8−3に関しては、ピークに含まれているペプチドのアミノ酸配列がIWHHTFYNELR(配列番号13)からなる11残基ペプチドであることが確認された。
<試験4> 合成ペプチドのインスリン感受性増強作用
〔試験4−1〕 9種類の合成ペプチドANGEVAQWR、ANG、EVA、QWR、WR、IWHHTFYNELR、IWH、HTF及びYNELRのインスリン感受性増強作用
[ペプチド合成]
以下の手法にて、9種類の合成ペプチドANGEVAQWR(配列番号8)、ANG(配列番号15)、EVA(配列番号16)、QWR(配列番号6)、WR(配列番号17)、IWHHTFYNELR(配列番号14)、IWH(配列番号18)、HTF(配列番号19)及びYNELR(配列番号12)を得た。
ペプチド合成機(PS3; Aloka, peti Syzer Model PSS−510;ハイペップ研究所製)を用いて、固相合成法により合成を行った。Resinアミノ酸にFmocアミノ酸(渡辺化学)をN−methyl morpholine存在下で順次結合させ、trifluoroateic acid (TFA)で脱保護した。その後diethyl etherで沈殿させ粗ペプチドとした。これをODSカラム(20×250mm)を用いてHPLCで分離し、そのメインピーク(吸光波長:230nm)を採取し、凍結乾燥した。なお、合成ペプチドの質量は質量分析器で確認し、アミノ酸配列はプロテインシーケンサーで確認した。
[インスリン負荷試験]
続いて、各合成ペプチドを凍結乾燥し、得られたサンプルを用いてインスリン負荷試験を行った。合成ペプチドのマウスへの投与量は、合成ペプチドANGEVAQWR、WR及びIWHHTFYNELRについては1mg/kg B.W.,3mg/kg B.W.及び10mg/kg B.W.の3種類とし、他の合成ペプチドについては1mg/kg B.W.とした。試験は、試験例3と同様の手法にて行った。ANGEVAQWRについての結果を図10の(a)に示し、ANG、EVA及びQWRについての結果を図10の(b)に示し、WRについての結果を図11に示す。また、IWH、HTF及びYNELRについての結果を図12に示す。
図10の(a)より、合成ペプチドANGEVAQWRはインスリン感受性増強作用を有することが確認された。中でも、QWRがインスリン感受性増強作用を示したことから(図10の(b))、ANGEVAQWRのC末端側が活性に重要であることが示唆された。一方、ANG、EVA、WRは有意なインスリン感受性増強作用を示さなかった(図10の(b)、図11)。これにより、インスリン感受性増強作用には、ペプチドがQWを含み9アミノ酸以下である必要があることが示唆された。
図12より、合成ペプチドYNELRはインスリン感受性増強作用を有することが確認された。一方、IWHHTFYNELR(data not shown)、IWH及びHTFは有意なインスリン感受性増強作用を示さなかった(図12)。
〔試験4−2〕 3種類の合成ペプチドYNELR、YNE、ELRのインスリン感受性増強作用
[ペプチド合成]
試験4−1と同様の手法にて、3種類の合成ペプチドYNELR(配列番号12)、YNE(配列番号20)、ELR(配列番号4)を得た。
[インスリン負荷試験]
続いて、合成ペプチドを凍結乾燥し、得られたサンプルを用いてインスリン負荷試験を行った。合成ペプチドのマウスへの投与量は、それぞれ1mg/kg B.W.とした。試験は、試験例3と同様の手法にて行った。結果を図13に示す。
図13より、合成ペプチドYNELR及びELRはインスリン感受性増強作用を有することが確認された。中でも、ELRがインスリン感受性増強作用を示したことから、YNELRのC末端側が活性に重要であることが示唆された。一方、YNEは有意なインスリン感受性増強作用を示さなかった(図13)。これにより、インスリン感受性増強作用には、ELRの構造が重要であることが分かる。
〔試験4−3〕 合成ペプチドANSEVAQWRのインスリン感受性増強作用
[ペプチド合成]
試験4−1と同様の手法にて、合成ペプチドANSEVAQWR(配列番号10)を得た。
[インスリン負荷試験]
続いて、合成ペプチドを凍結乾燥し、得られたサンプルを用いてインスリン負荷試験を行った。合成ペプチドのマウスへの投与量は、1mg/kg B.W.,3mg/kg B.W.及び10mg/kg B.W.の3種類とした。試験は、試験例3と同様の手法にて行った。結果を図14に示す。
図14より、合成ペプチドANSEVAQWRはインスリン感受性増強作用を有することが確認された。その際、投与量との相関性は見られなかった。
<試験5> 細胞内糖取込み活性測定
[合成ペプチド]
試験例4−1で合成した9種類の合成ペプチドANGEVAQWR、ANG、EVA、QWR、WR、IWHHTFYNELR、IWH、HTF及びYNELRを用いた。
[細胞内糖取込み活性測定]
実験にはマウス由来骨格筋細胞C2C12を使用した。10%ウシ胎児血清(Biological Industries)、1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco)を含んだDMEM+GlutaMAX(Gibco社製)で構成される増殖培地で培養した(37℃、5%CO)。C2C12を12穴プレートに播種し、100%コンフルエンスになるまでインキュベートした。培地を2%ウマ血清(Gibco社製)、1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含んだDMEM+GlutaMAXで構成される分化培地に交換し、5日間インキュベートし、筋管細胞へ分化させた。分化後、培地を無血清培地に交換し、6時間インキュベートした。培地を2%ウシ血清アルブミン(Sigma社製)を含んだKrebs−Ringer−Phosphate−HEPES緩衝液に交換し、各種の合成ペプチドまたはインスリンを添加した。その20分後に1mMの2−Deoxyglucose(2−DG,Sigma)を添加した。さらに20分後に糖取り込み阻害剤であるPhloretin(Sigma)を含んだPBSで洗浄し、反応を停止させた。細胞を回収し、得られた抽出液中の2−DG量を2−DG代謝速度測定キット(コスモバイオ社製)を用いて定量した。結果を図15及び図16に示す。
In vivoでインスリン感受性増強作用を示したANGEVAQWR、QWR、YNELRは、骨格筋細胞において糖取り込み促進作用を示した。このことは、ANGEVAQWR、QWR、YNELRを用いると、インスリンの併用の有無にかかわらず血糖値が下がることを示唆している。一方、インスリン増強作用を示さなかったペプチドは、骨格筋細胞への糖取り込み能に有意な変化が見られなかった。従って、糖尿病予防、糖尿病治療、糖代謝改善のためにも、ペプチドが、QWを含み9アミノ酸以下であること、又はELRを含み10アミノ酸以下であることが必要であると示唆された。
<試験6> 病態モデルマウスでの検討
試験1〜試験5は、いずれも、正常モデルマウスを用いたときの結果を示す。試験6では、病態モデルマウスを用いたときの結果を示す。病態モデルマウスを用いたときであっても、正常モデルマウスを用いたときと同様の効果を奏する。
[合成ペプチド]
試験例4−1で合成した9種類の合成ペプチドのうち、QWRを用いた。
[グルコース負荷試験]
5週齢の雄性NSYマウス(株式会社星野試験動物飼育所)を23±1℃、明暗サイクル12時間(明期7:00−19:00)の動物飼育室で7日間予備飼育した。予備飼育期間中、マウスには固形飼料MF(日本エスエルシー社製)と水とを自由に摂取させた。
そして、マウスを18時間絶食させた後、グルコースを2g/kg B.Wとなるように経口投与を行った。合成ペプチドQWRのマウスへの投与量は、1mg/kg B.Wとした。そして、さらに180分絶食させた後、インスリンを0.75U/kgB.W.となるように腹腔内投与した。投与直前と投与後15分、30分、60分、120分後に尾静脈より採血し、ニプロフリースタイルキッセイメーター(ニプロ社製)を用いて血糖値を測定した。結果を図17に示す。
図17から、病態モデルマウスに対してグルコースを経口投与した場合であっても、血糖値の減少が見られることが確認された。
[インスリン負荷試験] 合成ペプチドQWRの腹腔内投与
5週齢の雄性NSYマウス(株式会社星野試験動物飼育所)を23±1℃、明暗サイクル12時間(明期7:00−19:00)の動物飼育室で7日間予備飼育した。予備飼育期間中、マウスには固形飼料MF(日本エスエルシー社製)と水とを自由に摂取させた。
その後、マウスを180分絶食させた後、合成ペプチドQWRを1mg/kg B.Wだけ摂取させた。そして、さらに180分絶食させた後、インスリンを0.75U/kgB.W.となるように腹腔内投与した。投与直前と投与後15分、30分、60分後に尾静脈より採血し、ニプロフリースタイルキッセイメーター(ニプロ社製)を用いて血糖値を測定した。結果を図18に示す。
図18から、病態モデルマウスに対して合成ペプチドQWRを腹腔内投与した場合であっても、血糖値の減少が見られることが確認された。
<試験7> 経口投与での検討
[インスリン負荷試験] 合成ペプチドQWRの経口投与
5週齢の雄性ddYマウス(株式会社星野試験動物飼育所)を22±1℃、明暗サイクル12時間(明期7:00−19:00)の動物飼育室で7日間予備飼育した。予備飼育期間中、マウスには固形飼料MF(日本エスエルシー社製)と水とを自由に摂取させた。
そして、マウスを180分絶食させた後、QWRの強制経口投与を行った。QWRのマウスへの投与量は、10mg/kg B.W.,30mg/kg B.W.及び100mg/kg B.W.の3種類とした。そして、さらに180分絶食させた後、インスリンを0.5U/kgB.W.となるように腹腔内投与した。投与直前と投与後15分、30分、60分後に尾静脈より採血し、ニプロフリースタイルキッセイメーター(ニプロ社製)を用いて血糖値を測定した。結果を図19に示す。
図19から、正常モデルマウスに対して合成ペプチドQWRを経口投与した場合であっても、血糖値の減少が見られることが確認された。

Claims (8)

  1. タラ目に属する魚の魚肉タンパク質がトリプシンによって分解された分解物であって、QWR(配列番号5,6)をC末端に含む9アミノ酸以下のペプチド、ELR(配列番号3,4)をC末端に含む10アミノ酸以下のペプチド又はそれらの酸付加塩を有効成分として含む、糖尿病予防又は糖尿病治療に用いるための組成物。
  2. タラ目に属する魚の魚肉タンパク質がトリプシンによって分解された分解物であって、QWR(配列番号5,6)をC末端に含む9アミノ酸以下のペプチド、ELR(配列番号3,4)をC末端に含む10アミノ酸以下のペプチド又はそれらの酸付加塩を有効成分として含む、インスリン感受性増強又は糖代謝改善に用いるための組成物。
  3. 前記有効成分として、前記QWRをC末端に含む9アミノ酸以下のペプチド又はその酸付加塩を含む場合、前記QWRを含む9アミノ酸以下のペプチドは、ANGEVAQWR(配列番号7,8)又はANSEVAQWR(配列番号9,10)の配列をC末端に含み、
    前記有効成分として、前記ELRをC末端に含む10アミノ酸以下のペプチド又はその酸付加塩を含む場合、前記ELRを含む10アミノ酸以下のペプチドは、ELR(配列番号3,4)、YNELR(配列番号11,12)又はIWHHTFYNELR(配列番号13)の配列をC末端に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. ANGEVAQWR(配列番号7,8)、ANSEVAQWR(配列番号9,10)、QWR(配列番号5,6)、ELR(配列番号3,4)、YNELR(配列番号11,12)又はIWHHTFYNELR(配列番号13)の配列からなる単離されたペプチド又はその酸付加塩の少なくとも1種以上を有効成分とする糖尿病予防剤又は糖尿病治療剤。
  5. インスリン感受性増強剤又は糖代謝改善剤である、請求項に記載の糖尿病予防剤又は糖尿病治療剤。
  6. ANGEVAQWR(配列番号7,8)、ANSEVAQWR(配列番号9,10)、ELR(配列番号3,4)、又はYNELR(配列番号11,12)から選択される、単離されたペプチド又はその酸付加塩。
  7. タラ目に属する魚の魚肉タンパク質をトリプシンにより分解し、QWR(配列番号5,6)C末端に含む9アミノ酸以下のペプチド又はELR(配列番号3,4)C末端に含む10アミノ酸以下のペプチドを含む分解物を取得する、糖尿病予防又は糖尿病治療に用いられる組成物の製造方法。
  8. 前記QWR又は前記ELRの配列をC末端に含むペプチドは、ANGEVAQWR(配列番号7,8)、ANSEVAQWR(配列番号9,10)、ELR(配列番号3,4)、YNELR(配列番号11,12)又はIWHHTFYNELR(配列番号13)の配列をC末端に含むペプチドを含む、請求項に記載の組成物の製造方法。
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