JP2617825B2 - 部分蒸着転写箔 - Google Patents

部分蒸着転写箔

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、透明着色層と金属蒸
着層とを所望模様に積層させた部分蒸着転写箔に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】透明着色層と金属蒸着層とを所望模様に
積層させた部分蒸着転写箔は従来、プラスチックフイル
ムの片面に、離型層、保護層を順次形成し、該保護層上
に、透明着色層を所望模様に形成し、次いで、透明着色
層が存在しない部分に水溶性樹脂層を形成し、その後全
面にわたり金属蒸着層を形成し、更に、金属蒸着層を形
成後に水洗して水溶性樹脂層を溶解することにより、水
溶性樹脂層とその水溶性樹脂層に対応した部分の金属蒸
着層とを除去し、その後全面にわたり接着層を形成して
いた。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】しかし、従来の透明着
色層と金属蒸着層とを所望模様に積層させた部分蒸着転
写箔は、製造工程上、透明着色層と水溶性樹脂層とのエ
ッジが完全に一致するように形成することは出来ないこ
とから、水洗後には透明着色層と金属蒸着層のエッジも
一致していない。
【0004】すなわち、透明着色層と水溶性樹脂層との
エッジが重なっているときは、得られた部分蒸着転写箔
の所望模様に積層された透明着色層と金属蒸着層とのエ
ッジは、金属蒸着層がなくて透明着色層のみとなってお
り、透明着色層と水溶性樹脂層とのエッジが離れている
ときは、得られた部分蒸着転写箔の所望模様に積層され
た透明着色層と金属蒸着層とのエッジは、透明着色層が
なくて金属蒸着層のみとなっている。この様に従来の透
明着色層と金属蒸着層とを所望模様に積層させた部分蒸
着転写箔は、透明着色層と金属蒸着層のエッジが一致し
ていなかった。
【0005】一方、透明着色層と水溶性樹脂層との形成
の順序を逆にして、所望模様の水溶性樹脂層の形成後
に、透明着色層を水溶性樹脂層が存在しない部分に水溶
性樹脂層のエッジに重なるように形成すると、透明着色
層と金属蒸着層とのエッジが一致した部分蒸着転写箔を
得ることはできる。しかし、この様にした場合は、従来
の透明着色層は一般に1〜3μmの厚さの樹脂からなる
比較的厚い層であるから、水洗時に水が透明着色層を浸
透しなく、また、水溶性樹脂層も単なる水溶性樹脂層で
あるから、水溶性樹脂層と透明着色層のエッジが重なっ
た部分では水溶性樹脂層が溶解せず、水洗後には透明着
色層と金属蒸着層のエッジが一致してはいるが、エッジ
には透明着色層の下に水溶性樹脂層が残存していること
から、エッジにおける透明着色層と保護層との密着力が
極めて弱いという欠点を有しているものである。
【0006】この発明は、上記の欠点を除去し、透明着
色層と金属蒸着層のエッジが一致していてしかもエッジ
における透明着色層と保護層との密着力が極めて強い、
透明着色層と金属蒸着層とを所望模様に積層させた部分
蒸着転写箔を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、プラスチッ
クフイルムの片面に離型層を形成し、該離型層上に保護
層を形成し、該保護層上に、ポーラスな状態の水溶性樹
脂層を所望模様に形成し、次いで、該水溶性樹脂層の上
から、少くとも水溶性樹脂層が存在しない部分に厚さ
0.05〜0.5μmの透明着色層を形成し、その後、
該透明着色層の上から全面にわたり金属蒸着層を形成
し、更に、該金属蒸着層を形成後に水洗して水溶性樹脂
層を溶解することにより、水溶性樹脂層と、その水溶性
樹脂層に対応した部分の透明着色層と金属蒸着層とを除
去し、その後、金属蒸着層の上から全面にわたり接着層
を形成したことを特徴とする、透明着色層と金属蒸着層
のエッジが一致している部分蒸着転写箔である。
【0008】プラスチックフイルムとしては、ポリエス
テルフイルム等の従来から転写箔に使用されているもの
が使用できる。プラスチックフイルムの片面に適宜の樹
脂により離型層と保護層とを順次形成する。保護層上
に、ポーラスな状態の水溶性樹脂層を所望模様に形成
し、次いで、該水溶性樹脂層の上から、少くとも水溶性
樹脂層が存在しない部分に厚さ0.05〜0.5μmの
透明着色層を形成する。
【0009】この発明は、透明着色層と水溶性樹脂層と
の形成の順序を従来とは逆にして、水溶性樹脂層の形成
後に透明着色層を形成したことと、水溶性樹脂層をポー
ラスな状態にしたことと、透明着色層の厚さを0.05
〜0.5μmと非常に薄くしたことと、これらの三つの
点を組み合わせたこととの、合計四つの点に大きな特徴
を有するものである。
【0010】水溶性樹脂層の形成後に形成する透明着色
層の厚さを0.05〜0.5μmと非常に薄くすると、
透明着色層の下に水溶性樹脂層が存在しない部分では透
明着色層は薄い膜となるのであるが、透明着色層の下に
水溶性樹脂層が存在する部分では透明着色層は、水溶性
樹脂層がポーラスな状態であるからそのポーラスな部分
に透明着色層の樹脂が吸収されて膜を形成しないか又は
膜を形成しても極薄でポーラスな状態となるから、水洗
時には水が透明着色層を浸透して、透明着色層の下の水
溶性樹脂層を溶解するものである。
【0011】そして、透明着色層の下の水溶性樹脂層の
溶解により、透明着色層の下にある水溶性樹脂層と、そ
の水溶性樹脂層に対応した部分の透明着色層と金属蒸着
層とを除去することができるものであり、その結果、水
洗後には透明着色層と金属蒸着層のエッジが一致してい
て、しかも、エッジには水溶性樹脂層が残存していない
ものである。
【0012】ポーラスな状態の水溶性樹脂層は、使用す
る樹脂によっては水溶性樹脂層を形成したときに自然に
ポーラスな状態になる場合もあるが、単に水溶性樹脂層
を形成しただけではポーラスな状態にならないときは、
酸化硅素等の体質顔料を添加することによってポーラス
な状態の水溶性樹脂層を形成することができる。
【0013】透明着色層の厚さは0.05〜0.5μm
とする。透明着色層の下に水溶性樹脂層が存在しない部
分では透明着色層は薄い膜となり、透明着色層の下に水
溶性樹脂層が存在する部分では透明着色層は膜を形成し
ないか又は膜を形成しても極薄でポーラスな状態となる
ようにするには、透明着色層の厚さは透明着色層に使用
する樹脂の種類や濃度等により必ずしも一定しない。し
かし、透明着色層の厚さを0.05〜0.5μmにすれ
ば大体、透明着色層の下に水溶性樹脂層が存在しない部
分では透明着色層は薄い膜となり、透明着色層の下に水
溶性樹脂層が存在する部分では透明着色層は膜を形成し
ないか又は膜を形成しても極薄でポーラスな状態となる
ものである。
【0014】特に、透明着色層の厚さを0.1〜0.3
μmにすれば、透明着色層に使用する樹脂の種類や濃度
等にかかわりなく、透明着色層は下に水溶性樹脂層が存
在しない部分では薄い膜となり、下に水溶性樹脂層が存
在する部分では透明着色層は膜を形成しないか又は膜を
形成しても極薄でポーラスな状態となるものである。
【0015】透明着色層の厚さが0.05μmより薄い
と、薄すぎて着色の色が鮮明に出ない。透明着色層の厚
さが0.5μmより厚いと、厚すぎて水洗時に水が透明
着色層を浸透しない。
【0016】透明着色層の色を鮮明に出ししかも水洗時
に水が透明着色層を十分に浸透するようにするには、透
明着色層は0.1〜0.3μmの厚さとするのが好まし
い。透明着色層が0.1〜0.3μmの厚さであると、
前記したように透明着色層に使用する樹脂の種類や濃度
等にかかわりなく、下に水溶性樹脂層が存在しない部分
では薄い膜となり、下に水溶性樹脂層が存在する部分で
は透明着色層は膜を形成しないか又は膜を形成しても極
薄でポーラスな状態となるばかりでなく、着色の色を鮮
明に出すことができかつ水洗時に水が透明着色層を十分
に浸透するものである。
【0017】この発明の透明着色層は水溶性樹脂層の上
から全面に形成してもよいが、部分的に形成する場合に
は、少くとも水溶性樹脂層が存在しない部分に形成す
る。実際上は、製造工程上、透明着色層と水溶性樹脂層
のエッジが完全に一致するように形成することは出来な
いことから、透明着色層は水溶性樹脂層の上から全面に
形成するか又は水溶性樹脂層の上からエッジが重なる状
態で部分的に形成することになる。
【0018】金属蒸着層は、透明着色層の上から全面に
わたり真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グ等により形成する。金属蒸着層の厚さは特に限定しな
く、例えば、300〜600Åの美麗な金属光沢を呈す
る程度でもよく、100〜300Åの半透明になる程度
でもよい。接着層は特に形成しなくてもよいが、水洗に
より透明着色層と金属蒸着層とを所望模様に積層させた
後に、全面にわたり形成しておいてもよい。接着層を形
成していない場合は、この発明の部分蒸着転写箔を転写
するときに被転写物に接着層を形成して転写することが
できる。接着層を形成した場合でも、必要により被転写
物にも接着層を形成してもよいのはもちろんである。
【0019】この発明は、水溶性樹脂層を形成する前
に、透明又は不透明の着色樹脂により保護層上に予め適
宜の印刷模様を形成しておいてもよく、この様にしたも
のももちろんこの発明に含まれる。この様にしておく
と、この印刷模様と後に形成するエッジが一致して積層
された透明着色層と金属蒸着層との模様とにより美麗な
意匠効果を得ることができる。
【0020】また、この発明は、透明又は不透明の着色
樹脂により保護層上に予め適宜の印刷模様を形成してお
くと否とにかかわらず、水溶性樹脂層を形成する前に、
予め全面に耐熱性付与等の目的に応じたアンカーコート
層を形成しておいてもよく、この様にしたものももちろ
んこの発明に含まれる。
【0021】
【実施例】厚さ25μmのプラスチックフイルムの片面
に、アクリル樹脂を使用してグラビアコート法により離
型層を形成し、該離型層上にアクリル−ウレタン系樹脂
を使用してグラビアコート法により保護層を形成し、該
保護層上に、水溶性樹脂として酸化硅素を添加したポリ
ビニルアルコール樹脂を使用して所望模様の水溶性樹脂
層を形成し、次いで、少くとも水溶性樹脂層が存在しな
い部分に厚さ0.2μmの透明着色層を形成し、その後
Alを使用して真空蒸着により全面にわたり厚さ450
Åの金属蒸着層を形成し、さらに、金属蒸着層を形成後
に水洗して水溶性樹脂層を溶解することにより、水溶性
樹脂層と、その水溶性樹脂層に対応した部分の透明着色
層と金属蒸着層とを除去し、その後全面にわたり塩ビ−
酢ビ系樹脂とアクリル樹脂をブレンドした樹脂を使用し
リバースロールコート法により接着層を形成して、この
発明の透明着色層と金属蒸着層のエッジが一致している
部分蒸着転写箔を得た。
【0022】
【発明の効果】この発明は上記のように構成したから、
所望模様に積層させた透明着色層と金属蒸着層とのエッ
ジが、透明着色層のみ又は金属蒸着層のみである従来の
部分蒸着転写箔とは異なり、完全に一致しているもので
ある。また、所望模様に積層させた透明着色層と金属蒸
着層のエッジでは透明着色層の下に水溶性樹脂層が存在
しないので、エッジにおける透明着色層と保護層との密
着力が極めて強い。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフイルムの片面に離型層を
    形成し、該離型層上に保護層を形成し、該保護層上に、
    ポーラスな状態の水溶性樹脂層を所望模様に形成し、次
    いで、該水溶性樹脂層の上から、少くとも水溶性樹脂層
    が存在しない部分に厚さ0.05〜0.5μmの透明着
    色層を形成し、その後、該透明着色層の上から全面にわ
    たり金属蒸着層を形成し、更に、該金属蒸着層を形成後
    に水洗して水溶性樹脂層を溶解することにより、水溶性
    樹脂層と、その水溶性樹脂層に対応した部分の透明着色
    層と金属蒸着層とを除去し、その後、金属蒸着層の上か
    ら全面にわたり接着層を形成したことを特徴とする、透
    明着色層と金属蒸着層とのエッジが一致している部分蒸
    着転写箔。
  2. 【請求項2】 プラスチックフイルムの片面に離型層を
    形成し、該離型層上に保護層を形成し、該保護層上に、
    ポーラスな状態の水溶性樹脂層を所望模様に形成し、次
    いで、該水溶性樹脂層の上から、少くとも水溶性樹脂層
    が存在しない部分に厚さ0.05〜0.5μmの透明着
    色層を形成し、その後、該透明着色層の上から全面にわ
    たり金属蒸着層を形成し、更に、該金属蒸着層を形成後
    に水洗して水溶性樹脂層を溶解することにより、水溶性
    樹脂層と、その水溶性樹脂層に対応した部分の透明着色
    層と金属蒸着層とを除去したことを特徴とする、透明着
    色層と金属蒸着層とのエッジが一致している部分蒸着転
    写箔。
  3. 【請求項3】 透明着色層の厚さが0.1〜0.3μm
    である請求項1又は2記截の部分蒸着転写箔。
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