JPH0229519B2 - Zoganchokeshoshiitonoseizohoho - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は象嵌調化粧シートの製造方法に関し、
特に金属象嵌模様の輪郭のはつきりした意匠性の
高い象嵌調化粧シートの製造方法に関する。

（従来の技術） 従来象嵌の手法は、高級家具等に用いられてい
るが、高価であるために外観を似せるための模造
技術が種々提案されている。例として、特公昭49
−24156号公報に示された方法の様に、表面に金
属箔を貼り合わせた熱硬化性樹脂化粧板を作製し
た後、不要な部分をエツチング法により除去して
金属箔を模様状に残留せしめる方法は、極めて高
級な製品が得られる反面、工程が複雑であり、高
価なものとならざるを得ない。また、他の方法と
して特開昭57−170790号公報に示された方法の様
に、基体フイルムの金属光沢の不要な部分に予め
水溶性のニスで印刷層を形成しておき、全面に金
属蒸着を施した後に水洗処理を行つて不要部分を
除去し、次いで全面に絵柄を形成する方法では、
金属柄の輪郭のはつきりしたものが得られる反
面、輪転グラビア印刷の様な生産性の高い印刷方
式に適用する場合は、象嵌の模様と印刷による絵
柄とを同調整合させる事が不可能であるという欠
点があつた。また、他の最も簡単な方法として、
絵柄の部分に象嵌模様に相当する抜きを設け、印
刷後に裏面全面に金属蒸着を施す方法があり、こ
の方法によれば、象嵌模様と印刷絵柄とを完全に
一致させる事が出来るが、この方法では絵柄が複
数の版から構成される場合、抜けの部分を完全に
一致させる事が難しいため、象嵌の輪かくがぼけ
易いという欠点があつた。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は、上記の欠点を解決し、印刷層と同調
整合し、かつ輪郭のはつきりした金属象嵌模様を
有する化粧シートを安価に製造する方法を与える
ものである。

（問題点を解決するための手段） 以下図面に従つて、本発明を詳細に説明する。
まず第２図に示した様に透明な基体シート１の裏
面に象嵌模様に相当する絵柄２を水溶性樹脂を主
体とする水溶性ニスを用いて印刷する。基体シー
トは後工程の蒸着工程に耐える材質である事が必
要であり、ポリエステルフイルム、低可塑剤量の
ポリ塩化ビニルフイルム、ポリプロピレンフイル
ム、アクリルフイルム等広範なフイルムが使用可
能である。水溶性ニスとしては、例えば、ポリビ
ニルアルコールに水洗性を改善する目的で体質顔
料、シリカ等を混入したものが使用出来る。印刷
方法はグラビア印刷法が一般的である。

次に印刷層３及び隠蔽層４を形成する。この場
合のインキは、次工程である水洗工程に耐える耐
水性を有するとともに、若干の透水性を有し、水
洗工程において水溶性ニスの絵柄２が短時間で溶
解する事が必要であるが、絵柄のインキ被膜厚さ
との関係もあるが、通常は特別なものである必要
はなく、バインダー樹脂としてニトロセルロー
ズ、酢酸セルローズ等のセルローズ系樹脂、アク
リル樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等の一般的なもの
で十分可能である。

以上の工程は多色輪転グラビア印刷機を用いる
ことによつて１工程で行なうことが可能であり、
従つて、それぞれの印刷層は容易に同調整合させ
る事が出来る。

次に水洗処理を行つて、第１図に示すように水
溶性ニスの絵柄、及びその上に接する印刷層と隠
蔽層とを除去し、その上から金属蒸着層５と蒸着
保護層６を設ける。

このようにして得られた化粧シートを基体シー
ト１の側から見ると、水溶性ニスの絵柄等が取り
除かれた部分が金属光沢を呈し、それ以外の部分
は隠蔽層の働きによつて金属光沢が庶蔽される。

また、金属光沢を有する象嵌模様と印刷層とは
完全に同調整合しており、その輪郭もはつきりし
たものとなる。

象嵌部分の金属の色調については、第４図に示
した様に水溶性ニスの絵柄２を印刷する前に必要
な色調に調色した透明な着色ニス７を印刷しても
良いし、印刷層の色調との兼ね合いによつては、
第５図に示す様に着色ニス７′を全面に設けても
良い。また、基体シートと金属蒸着層との密着性
を高めるために、水溶性ニスを施す前に蒸着アン
カー層を設けてもよい。

（作用） 本発明の方法においては、インキによつて形成
される絵柄層と、金属蒸着層によつて形成される
象嵌模様の部分とが印刷手法によつて同一工程内
で行なえるため、絵柄層と象嵌模様との同調が容
易であり、また金属蒸着層を部分的に剥離する必
要がないので、作業性が非常に良い。

（実施例） 可塑剤含有量が５重量％で厚さが80μの透明硬
質塩化ビニルフイルムの片面に、淡黄色に調色し
た蒸着アンカーニスをベタ印刷した後、水溶性ニ
スを唐草状の象嵌模様の版を用いて印刷し、更に
この象嵌模様に同調整合した３色から成るローズ
ウツド寄木柄下地絵柄を印刷し、次いで全面にロ
ーズウツドの下地色に相当する隠蔽層を有するベ
タ印刷を行つた。これらのインキは塩化ビニル酢
酸ビニル共重合樹脂をバインダーとするものであ
る。

次にこの印刷物に水洗処理を施して、水溶性ニ
スに接する部分の下地絵柄とベタ印刷層とを一体
として除去した。次にフイルムの裏面全面にアル
ミニウムを蒸着し、次いでその上にウレタン樹脂
を塗布して蒸着保護層を設けた。

こうして得られた化粧シートを表面から見る
と、下地のローズウツド寄木柄と金色の唐草状象
嵌模様とが完全に同調整合しており、極めて意匠
効果の高いものであつた。

（発明の効果） 象嵌模様に相当する印刷層（不要部分）が予
め印刷した水溶性ニスの働きにより、一体とし
て除去されるため、象嵌模様の輪郭が鮮明なも
のとなり、実物の象嵌細工に極めて類似した外
観を呈する。

象嵌模様と印刷層とを完全に同調させること
ができるので、極めて意匠性の高い表現効果が
得られる。

基体シートの裏面に絵柄が形成されているた
め、任意の基材に調合する事により表面の耐久
性にすぐれた化粧板が容易に得られる。

本発明による化粧シートは、全面の蒸着層を
有するため隠蔽性が高く、このため基材のむら
に左右されない。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明方法によつて得られた化粧シ
ートの一例を示す断面図、第２図はその製造工程
途中のシートの構成を示す断面図、第３図は代表
的な象嵌調の模様を示す平面図、第４図と第５図
は象嵌模様に着色する場合の方法について示した
断面図を各々示す。 １……基体シート、２……絵柄、３……印刷
層、４……隠蔽層、５……金属蒸着層、６……蒸
着保護層、７……着色ニス、７′……着色ニス。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 次の各工程より成る事を特徴とする象嵌調化
   粧シートの製造方法。 (イ) 透明な基体シートの裏面に、象嵌模様に相当
   する絵柄を水溶性樹脂を主体とする水溶性ニス
   を用いて形成する工程。 (ロ) 次いで、透水性を有するが水に不溶なインキ
   を用いて、任意の印刷層及び隠蔽層を形成する
   工程。 (ハ) 水洗処理を行つて、前記水溶性ニスの絵柄、
   及びその上に接する印刷層と、隠蔽層を除去す
   る工程。 (ニ) 裏面全面に金属蒸着層を設ける工程。 (ホ) 裏面全面に蒸着保護層を設ける工程。