JP2617251B2 - 蛍光x線分析方法 - Google Patents
蛍光x線分析方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はファンダメンタルパラメ
ータ法(FP法)による蛍光X線分析法の改良に関す
る。 【0002】 【従来の技術】試料の元素組成が判明しているときは、
各成分元素の蛍光X線強度を理論的に計算することがで
きる。実際測定される各成分の蛍光X線強度は分光結晶
の反射率とかX線検出器の感度、X線分光器全体として
X線検出効率等上記理論計算外の装置固有の要因の影響
があるから、理論蛍光X線強度がそのまゝ実測X線強度
にはならないが、両者間には一定の関係があり、理論強
度を実測強度に変換する変換式およびその式を構成する
係数は組成既知の標準試料について理論強度と実測強度
を求めることにより決定することができる。FP法と云
うのはこのようにして決定された成分元素の蛍光X線の
理論強度と実測強度との変換式を用いて、被測定試料の
成分元素の実測蛍光X線強度から理論蛍光X線強度を求
め、試料の組成を仮定して理論強度を計算して、その値
が上に求められた理論強度に一致するように、仮定を修
正しながら計算を繰り返して、最終的な各元素の組成比
を決定するものである。 【0003】所で上述した成分元素の蛍光X線の理論強
度はバックグラウンド強度を含まない正味の特性X線強
度であり、他方実測される各成分元素の特性X線強度は
バックグラウンドも含んだものである。しかし従来は実
測値に含まれるバックグラウンド強度に対する補正は特
に行わず、実測値をそのまゝ正味の実測蛍光X線強度の
ように扱って被測定試料の元素組成を求めていた。この
ため逐次近似計算が仲々一定値に収束しなかったり、正
しい分析値とは異なる値に収束すると云うような場合が
あった。或はこのようなことをなくすため、被測定試料
の各成分元素の特性X線のピーク毎に一々バックグラウ
ンドを測定していたが、このような方法は大へん非能率
であった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明はFP法におい
て、バックグラウンド強度をも計算に組込み、逐次近似
計算の収束を速め或は間違った値に収束することのない
ようにし、かつ分析能率も下げないようにしようとする
ものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、蛍光X線分析方法において次のような方
法をとった。 (イ)組成既知の任意の標準試料を用い、その標準試料
の元素について蛍光X線強度とバックグラウンド強度の
理論値を計算するとともに、その標準試料のバックグラ
ウンドも含む蛍光X線強度を実測してこれらの強度の関
係式を求めておき、 (ロ)分析対象試料の各成分元素の蛍光X線波長におけ
るバックグラウンドを含めた全強度TMを測定し、 (ハ)各成分の設定組成比の第1近似値を設定し、 (ニ)この設定組成比を用いて各成分元素の蛍光X線波
長における理論バックグラウンド強度BTを計算し、 (ホ)前記実測全強度TMと前記理論バックグラウンド
強度BTを用いて上記の関係式より換算強度NTを求
め、 (ヘ)前記設定組成比から各成分元素の理論蛍光X線強
度NT’を計算し、 (ト)前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度NT’
を比較して、組成比を修正して新しい設定組成比を設定
し、 (チ)前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度NT’
の差が一定値以下でなければ上記(ニ)〜(ト)の手順
を繰り返し、前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度
NT’の差が一定値以下になれば、その時点の設定組成
比を各成分元素の定量値とした。上記した理論バックグ
ラウンド強度BTの計算方法としては、試料の元素組成
が判明しているときは、蛍光X線測定における任意波長
でのバックグラウンド強度も理論的に計算できることを
利用する。この計算式は例えばInternation
al Tables for X−ray Cryst
allography,vol.3 (1968) に
示されている。一つの元素についての前述した蛍光X線
の理論強度をNT、上記したバックグラウンドの理論強
度をBTとし、試料のバックグラウンドも含む実測蛍光
X線強度をTMとして、さらに蛍光X線の理論強度を実
測強度に変換するための回帰曲線F(NT)を2次の曲
線で表すとすると、 と書くことができ、この式におけるe,f,gの値を標
準試料を用いて決定しておき、被測定試料について、組
成比を変えながらNT,BTを計算し、逐次近似計算に
より、上式から求まるTMが実測蛍光X線強度になるよ
うに組成比を決定する。上記(1)式でNTの2次の項
を含ませたのは本発明の原理上の理由によるのではな
く、測定系の問題で理論強度から実測強度への変換が直
線より若干ずれることによるものである。 【0006】 【作用】試料の組成が与えられると、各成分元素の蛍光
X線強度NTおよびバックグラウンド強度BTは理論的
に計算できる。バックグラウンドを含む実測X線強度と
上記理論値との関係が前記(1)式で与えられているの
で、計算値が実測値に収束するように試料の組成比を逐
次近似的に決定することができる。NTおよびBTの計
算方法自体は本発明の内容ではなく公知のものであるの
で、こゝにはその概要を略述するに止める。NTは照射
X線による直接励起成分と試料中の他成分が励起されて
発生する蛍光X線とか散乱X線による2次的励起成分と
よりなり、これが試料中で吸収を受けた結果が測定され
る蛍光X線と云うことになり、1次,2次励起成分およ
び試料による吸収効果に試料成分の組成が関係するので
ある。そして励起X線の試料への入射角と測定X線の取
出し角が幾何学的に関係する。従って試料組成および測
定装置の幾何学的配置からNTが計算できるのである。
バックグラウンドBTは照射X線のレイリー散乱成分と
コンプトン散乱成分とよりなっており、これらは試料成
分元素の原子の性質として決まっており、個々の元素i
に対してレイリー散乱Rは R=0.02391W(1+cos2θ)f2/A W:元素iの含有量 A:元素iの原子量 θ:照射X線と散乱X線とのなす角 f:下式で与えられる原子散乱因子 f=Σ aij exp{−bij(sin2θ/2)/p2}+cij pは散乱X線波長、aij,bij,cijは元素iに
個有の定数でデータ表が刊行されている(例J.A.I
bers,W.C.Hamilton:Interna
tional Tables for X−ray C
rystallography Vo14.P71)。
またコンプトン散乱Cは上と同じ記号を用いて C=0.02391W(1+cos2θ)Tc/A で与えられ、Tcは Tc=Zi(λ/P)2G(v) で、λは λ=p−0.02426(1−cosθ) vは V=0.704πsin(θ/2)/(λZi2/3) Ziは元素iの原子番号 G(v)は例えばVon L.Beurloguaによ
って計算されたものを用いる。 【0007】 【実施例】本発明は原理的には試料の組成比を仮定し、
前記(1)式により計算されるTMが実測された蛍光X
線強度になるように組成比を決めるのであるが、前記
(1)式において、右辺第3項を左辺に移すと、これは
バックグラウンドを除いた蛍光X線の理論強度の式とな
る。即ち TM−gBT=eNT2 +fNT (2) 上式の右辺はNTの関数なので予めNTを横軸にとり、
上式の左辺を縦軸にとって回帰曲線図2を作っておくこ
とができる。そこで組成を仮定してBTを計算し、実測
されたTMからgBTを引算して、この回帰曲線からN
Tを求め、このようにして求めたNTと計算によるNT
が一致するように組成比を変えて上と同様の計算で第2
近似の組成比を決める。この繰り返しを計算結果が収束
したと認められるまで行う。 【0008】図1に本発明方法の一実施例のフローチャ
ートを示す。まず組成の判明している任意の試料を用い
て蛍光X線強度およびバックグラウンド強度の理論値を
計算し、夫々の実測を行って前記(1)式の係数e,
f,gを決定する(イ)。この係数は試料の組成には関
係しない装置固有の定数であるから、こゝで用いる試料
は分析をしようとする試料と同種のものである必要はな
く、手近にある物質を利用すればよい。次に分析しよう
とする試料について、各成分元素の蛍光X線の総体(バ
ックグラウンドを含めた)の強度TMを測定する
(ロ)。次に各成分元素の実測TMから成分の組成比の
第1近似値を設定(ハ)する。この第1近似値は試料の
外観とか出所等からの推定でもよいが、各成分元素単体
試料等を用いて夫々の蛍光X線強度を理論的に計算して
おき、夫々の蛍光X線の強度比によって決めるとよい。
組成比の第1近似が決まったら、各成分元素の蛍光X線
波長におけるバックグラウンド強度BTを計算し
(ニ)、実測TMからgBTを引算した値をeNT2 +
fNTと置いてNTを求める(ホ)。即ち前記(2)に
基いて作成した回帰曲線の縦軸にTM−gBTをとっ
て、横軸上の読みからNTを求める。このNTは正味の
実測蛍光X線強度の第1近似値から換算した蛍光X線の
理論強度である。上記第1近似の組成から各成分元素の
理論蛍光X線強度NT’を計算し(ヘ)、実測からの換
算NTと比較して、組成比を修正して第2近似の組成比
を設定(ト)する。第2近似組成比により再度BTを計
算し(ニ)、回帰曲線によってNTを再計算(ホ)し、
第2近似による理論蛍光X線強度NT’を計算(ヘ)し
て、(ホ)のステップのNTと比較し、第2近似の組成
比を修正して第3近似の組成比を設定(ト)する。以下
同様の手続をNTとNT’の差が一定値以下になるまで
繰り返し(ヌ)て、分析作業を終る。 【0009】上例では横軸にNT、縦軸にeNT2 +f
NT(或は逆でもよい)をとった回帰曲線図2からNT
を求めているが、前記(2)式から計算でNTを求め、
これを組成から計算したNTと比較するようにしてもよ
い 【0010】 【発明の効果】本発明によれば、FP法による蛍光X線
分析で、一々各成分元素の蛍光X線ピークのバックグラ
ウンド強度を測定しなくてもよいから、蛍光X線ピーク
の両側に分光器を動かす必要がないので測定時間がかか
らず、分析作業が能率的である。またFP法の計算にお
いて、バックグラウンドの値を固定的に用いるのではな
く、FP法のくりかえし計算のなかでバックグラウンド
も次第に修正されていって正しい元素濃度に到達するの
で、計算結果が実際と異なる値に収束するという心配も
なく、信頼性の高い定量結果を得ることができる。
ータ法(FP法)による蛍光X線分析法の改良に関す
る。 【0002】 【従来の技術】試料の元素組成が判明しているときは、
各成分元素の蛍光X線強度を理論的に計算することがで
きる。実際測定される各成分の蛍光X線強度は分光結晶
の反射率とかX線検出器の感度、X線分光器全体として
X線検出効率等上記理論計算外の装置固有の要因の影響
があるから、理論蛍光X線強度がそのまゝ実測X線強度
にはならないが、両者間には一定の関係があり、理論強
度を実測強度に変換する変換式およびその式を構成する
係数は組成既知の標準試料について理論強度と実測強度
を求めることにより決定することができる。FP法と云
うのはこのようにして決定された成分元素の蛍光X線の
理論強度と実測強度との変換式を用いて、被測定試料の
成分元素の実測蛍光X線強度から理論蛍光X線強度を求
め、試料の組成を仮定して理論強度を計算して、その値
が上に求められた理論強度に一致するように、仮定を修
正しながら計算を繰り返して、最終的な各元素の組成比
を決定するものである。 【0003】所で上述した成分元素の蛍光X線の理論強
度はバックグラウンド強度を含まない正味の特性X線強
度であり、他方実測される各成分元素の特性X線強度は
バックグラウンドも含んだものである。しかし従来は実
測値に含まれるバックグラウンド強度に対する補正は特
に行わず、実測値をそのまゝ正味の実測蛍光X線強度の
ように扱って被測定試料の元素組成を求めていた。この
ため逐次近似計算が仲々一定値に収束しなかったり、正
しい分析値とは異なる値に収束すると云うような場合が
あった。或はこのようなことをなくすため、被測定試料
の各成分元素の特性X線のピーク毎に一々バックグラウ
ンドを測定していたが、このような方法は大へん非能率
であった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明はFP法におい
て、バックグラウンド強度をも計算に組込み、逐次近似
計算の収束を速め或は間違った値に収束することのない
ようにし、かつ分析能率も下げないようにしようとする
ものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、蛍光X線分析方法において次のような方
法をとった。 (イ)組成既知の任意の標準試料を用い、その標準試料
の元素について蛍光X線強度とバックグラウンド強度の
理論値を計算するとともに、その標準試料のバックグラ
ウンドも含む蛍光X線強度を実測してこれらの強度の関
係式を求めておき、 (ロ)分析対象試料の各成分元素の蛍光X線波長におけ
るバックグラウンドを含めた全強度TMを測定し、 (ハ)各成分の設定組成比の第1近似値を設定し、 (ニ)この設定組成比を用いて各成分元素の蛍光X線波
長における理論バックグラウンド強度BTを計算し、 (ホ)前記実測全強度TMと前記理論バックグラウンド
強度BTを用いて上記の関係式より換算強度NTを求
め、 (ヘ)前記設定組成比から各成分元素の理論蛍光X線強
度NT’を計算し、 (ト)前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度NT’
を比較して、組成比を修正して新しい設定組成比を設定
し、 (チ)前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度NT’
の差が一定値以下でなければ上記(ニ)〜(ト)の手順
を繰り返し、前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度
NT’の差が一定値以下になれば、その時点の設定組成
比を各成分元素の定量値とした。上記した理論バックグ
ラウンド強度BTの計算方法としては、試料の元素組成
が判明しているときは、蛍光X線測定における任意波長
でのバックグラウンド強度も理論的に計算できることを
利用する。この計算式は例えばInternation
al Tables for X−ray Cryst
allography,vol.3 (1968) に
示されている。一つの元素についての前述した蛍光X線
の理論強度をNT、上記したバックグラウンドの理論強
度をBTとし、試料のバックグラウンドも含む実測蛍光
X線強度をTMとして、さらに蛍光X線の理論強度を実
測強度に変換するための回帰曲線F(NT)を2次の曲
線で表すとすると、 と書くことができ、この式におけるe,f,gの値を標
準試料を用いて決定しておき、被測定試料について、組
成比を変えながらNT,BTを計算し、逐次近似計算に
より、上式から求まるTMが実測蛍光X線強度になるよ
うに組成比を決定する。上記(1)式でNTの2次の項
を含ませたのは本発明の原理上の理由によるのではな
く、測定系の問題で理論強度から実測強度への変換が直
線より若干ずれることによるものである。 【0006】 【作用】試料の組成が与えられると、各成分元素の蛍光
X線強度NTおよびバックグラウンド強度BTは理論的
に計算できる。バックグラウンドを含む実測X線強度と
上記理論値との関係が前記(1)式で与えられているの
で、計算値が実測値に収束するように試料の組成比を逐
次近似的に決定することができる。NTおよびBTの計
算方法自体は本発明の内容ではなく公知のものであるの
で、こゝにはその概要を略述するに止める。NTは照射
X線による直接励起成分と試料中の他成分が励起されて
発生する蛍光X線とか散乱X線による2次的励起成分と
よりなり、これが試料中で吸収を受けた結果が測定され
る蛍光X線と云うことになり、1次,2次励起成分およ
び試料による吸収効果に試料成分の組成が関係するので
ある。そして励起X線の試料への入射角と測定X線の取
出し角が幾何学的に関係する。従って試料組成および測
定装置の幾何学的配置からNTが計算できるのである。
バックグラウンドBTは照射X線のレイリー散乱成分と
コンプトン散乱成分とよりなっており、これらは試料成
分元素の原子の性質として決まっており、個々の元素i
に対してレイリー散乱Rは R=0.02391W(1+cos2θ)f2/A W:元素iの含有量 A:元素iの原子量 θ:照射X線と散乱X線とのなす角 f:下式で与えられる原子散乱因子 f=Σ aij exp{−bij(sin2θ/2)/p2}+cij pは散乱X線波長、aij,bij,cijは元素iに
個有の定数でデータ表が刊行されている(例J.A.I
bers,W.C.Hamilton:Interna
tional Tables for X−ray C
rystallography Vo14.P71)。
またコンプトン散乱Cは上と同じ記号を用いて C=0.02391W(1+cos2θ)Tc/A で与えられ、Tcは Tc=Zi(λ/P)2G(v) で、λは λ=p−0.02426(1−cosθ) vは V=0.704πsin(θ/2)/(λZi2/3) Ziは元素iの原子番号 G(v)は例えばVon L.Beurloguaによ
って計算されたものを用いる。 【0007】 【実施例】本発明は原理的には試料の組成比を仮定し、
前記(1)式により計算されるTMが実測された蛍光X
線強度になるように組成比を決めるのであるが、前記
(1)式において、右辺第3項を左辺に移すと、これは
バックグラウンドを除いた蛍光X線の理論強度の式とな
る。即ち TM−gBT=eNT2 +fNT (2) 上式の右辺はNTの関数なので予めNTを横軸にとり、
上式の左辺を縦軸にとって回帰曲線図2を作っておくこ
とができる。そこで組成を仮定してBTを計算し、実測
されたTMからgBTを引算して、この回帰曲線からN
Tを求め、このようにして求めたNTと計算によるNT
が一致するように組成比を変えて上と同様の計算で第2
近似の組成比を決める。この繰り返しを計算結果が収束
したと認められるまで行う。 【0008】図1に本発明方法の一実施例のフローチャ
ートを示す。まず組成の判明している任意の試料を用い
て蛍光X線強度およびバックグラウンド強度の理論値を
計算し、夫々の実測を行って前記(1)式の係数e,
f,gを決定する(イ)。この係数は試料の組成には関
係しない装置固有の定数であるから、こゝで用いる試料
は分析をしようとする試料と同種のものである必要はな
く、手近にある物質を利用すればよい。次に分析しよう
とする試料について、各成分元素の蛍光X線の総体(バ
ックグラウンドを含めた)の強度TMを測定する
(ロ)。次に各成分元素の実測TMから成分の組成比の
第1近似値を設定(ハ)する。この第1近似値は試料の
外観とか出所等からの推定でもよいが、各成分元素単体
試料等を用いて夫々の蛍光X線強度を理論的に計算して
おき、夫々の蛍光X線の強度比によって決めるとよい。
組成比の第1近似が決まったら、各成分元素の蛍光X線
波長におけるバックグラウンド強度BTを計算し
(ニ)、実測TMからgBTを引算した値をeNT2 +
fNTと置いてNTを求める(ホ)。即ち前記(2)に
基いて作成した回帰曲線の縦軸にTM−gBTをとっ
て、横軸上の読みからNTを求める。このNTは正味の
実測蛍光X線強度の第1近似値から換算した蛍光X線の
理論強度である。上記第1近似の組成から各成分元素の
理論蛍光X線強度NT’を計算し(ヘ)、実測からの換
算NTと比較して、組成比を修正して第2近似の組成比
を設定(ト)する。第2近似組成比により再度BTを計
算し(ニ)、回帰曲線によってNTを再計算(ホ)し、
第2近似による理論蛍光X線強度NT’を計算(ヘ)し
て、(ホ)のステップのNTと比較し、第2近似の組成
比を修正して第3近似の組成比を設定(ト)する。以下
同様の手続をNTとNT’の差が一定値以下になるまで
繰り返し(ヌ)て、分析作業を終る。 【0009】上例では横軸にNT、縦軸にeNT2 +f
NT(或は逆でもよい)をとった回帰曲線図2からNT
を求めているが、前記(2)式から計算でNTを求め、
これを組成から計算したNTと比較するようにしてもよ
い 【0010】 【発明の効果】本発明によれば、FP法による蛍光X線
分析で、一々各成分元素の蛍光X線ピークのバックグラ
ウンド強度を測定しなくてもよいから、蛍光X線ピーク
の両側に分光器を動かす必要がないので測定時間がかか
らず、分析作業が能率的である。またFP法の計算にお
いて、バックグラウンドの値を固定的に用いるのではな
く、FP法のくりかえし計算のなかでバックグラウンド
も次第に修正されていって正しい元素濃度に到達するの
で、計算結果が実際と異なる値に収束するという心配も
なく、信頼性の高い定量結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の分析作業のフローチャー
ト 【図2】 上例で用いる回帰曲線のグラフ
ト 【図2】 上例で用いる回帰曲線のグラフ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 「X線分析の進歩19(X線工業分析第
23集)」(株式会社アブネ技術センター
昭和63年3月31日発行)第307〜328頁
ADVANCES IN X−PAY
ANALYSIS Vol.27(Un
ivercity of Denver
Plenum Press 1984)
PP.441〜448
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 (イ)組成既知の任意の標準試料を用い、その標準試料
の元素について蛍光X線強度とバックグラウンド強度の
理論値を計算するとともに、その標準試料のバックグラ
ウンドも含む蛍光X線強度を実測してこれらの強度の関
係式を求めておき、 (ロ)分析対象試料の各成分元素の蛍光X線波長におけ
るバックグラウンドを含めた全強度TMを測定し、 (ハ)各成分の設定組成比の第1近似値を設定し、 (ニ)この設定組成比を用いて各成分元素の蛍光X線波
長における理論バックグラウンド強度BTを計算し、 (ホ)前記実測全強度TMと前記理論バックグラウンド
強度BTを用いて上記の関係式より換算強度NTを求
め、 (ヘ)前記設定組成比から各成分元素の理論蛍光X線強
度NT’を計算し、 (ト)前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度NT’
を比較して、組成比を修正して新しい設定組成比を設定
し、 (チ)前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度NT’
の差が一定値以下でなければ上記(ニ)〜(ト)の手順
を繰り返し、前記換算強度NTと前記理論蛍光X線強度
NT’の差が一定値以下になれば、その時点の設定組成
比を各成分元素の定量値とすることを特徴とする蛍光X
線分析方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3182923A JP2617251B2 (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 蛍光x線分析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3182923A JP2617251B2 (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 蛍光x線分析方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH055711A JPH055711A (ja) | 1993-01-14 |
JP2617251B2 true JP2617251B2 (ja) | 1997-06-04 |
Family
ID=16126742
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3182923A Expired - Fee Related JP2617251B2 (ja) | 1991-06-27 | 1991-06-27 | 蛍光x線分析方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2617251B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3374722B2 (ja) * | 1997-09-12 | 2003-02-10 | 株式会社島津製作所 | 蛍光x線分析方法 |
JP3527956B2 (ja) * | 2000-03-06 | 2004-05-17 | 理学電機工業株式会社 | 蛍光x線分析方法および装置 |
JP5572438B2 (ja) * | 2010-03-29 | 2014-08-13 | 株式会社日立ハイテクサイエンス | 蛍光x線分析装置 |
-
1991
- 1991-06-27 JP JP3182923A patent/JP2617251B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
「X線分析の進歩19(X線工業分析第23集)」(株式会社アブネ技術センター昭和63年3月31日発行)第307〜328頁 |
ADVANCES IN X−PAY ANALYSIS Vol.27(Univercity of Denver Plenum Press 1984) PP.441〜448 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH055711A (ja) | 1993-01-14 |
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