JP2617230B2 - 絹織物用精練助剤および絹織物の精練方法 - Google Patents

絹織物用精練助剤および絹織物の精練方法

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JP2617230B2 JP1236478A JP23647889A JP2617230B2 JP 2617230 B2 JP2617230 B2 JP 2617230B2 JP 1236478 A JP1236478 A JP 1236478A JP 23647889 A JP23647889 A JP 23647889A JP 2617230 B2 JP2617230 B2 JP 2617230B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は絹織物用精練助剤および絹織物の精練方法に
関するものである。詳しくは、ショ糖脂肪酸エステルを
含有する絹織物用精練助剤および該助剤を用いて絹織物
を精練することにより、光沢のある白度及び風合いに優
れた白生地が得られ、かつ該白生地を染色した際の精練
残滓や精練ムラ等による染めむらが改良される絹織物の
精製方法に関するものである。
(従来の技術) まゆから製糸の工程を経て作られる生糸は、75%前後
のフィブロインと、その上を包んでいる25%前後のセリ
シンおよび微量のロウ質、脂肪酸、色素、灰分とからな
る組成を有しており、セリシンおよび他の不純物を除去
することにより、はじめて絹という優れた光沢のある白
度と風合いをもつ繊維となる。
従って、絹織物は未精練の生糸から布を製織し、その
後、糊抜き、粗練り、本練り、漂白および仕上練り工程
からなる精練処理を経て白生地として製品化される。
上記粗練り、本練り工程では、生糸を石けんやアルカ
リ成分を含む精練液で処理することによってセリシンを
溶解除去し、仕上練り工程において該粗練り、本練り工
程で付着した石けん、アルカリ成分を、高級アルコール
洗剤又は非イオン活性剤を用いて除去することにより、
絹繊維特有の光沢のある白度と風合いを発現させてい
る。
ところで、絹織物はその使用にあたって光、風雨、汗
等の作用を受けると変退色する(染色物がこれらの作用
にあった時のその色の耐久力の程度を「染色堅ろう度」
という)。そのため、昔の消費者は洗い張りや染め直し
を行うなど、絹織物の取扱い方法を十分にこころえてい
た。
しかしながら、最近の消費者、特に若い消費者はこの
ような伝承的生活技術の知識をそなえておらず、染色堅
ろう度の高い絹織物が求められて来ていた。
このような背景から、従来、白生地を染色する際に用
いる酸性染料としては、溶解性と均染性は良いが染色堅
ろう度は低いレベリング染料が用いられていたが、近
年、溶解性と均染性は良くないが染色堅ろう度の高いミ
リング染料、超ミリング染料および2:1型金属錯塩染料
等が用いられるようになった。
(発明が解決しようとする課題) 上記のミリング染料等は染色堅ろう度が高い反面、溶
解性と均染性が低い。そのため、精練処理後の絹繊維上
に、精練処理で用いた石けん、高級アルコール洗剤、又
は、セリシンを含まれていたカルシウム等の金属が再付
着して残留すると、該染料の均染性が更に悪くなり、染
色の際の染むらの原因となることが多かった。
本発明は、従来の方法と同等の光沢のある白度、風合
いに優れた白生地を得ることができ、更には、該白生地
を溶解性及び均染性が低いミリング染料を用いて染色し
た際の染めむらを改良することができる絹織物用精練助
剤、ならびに該精練助剤を用いる絹織物の精練方法の提
供を目的とするものである。
(課題を解決するための手段) すなわち、本発明は、ショ糖脂肪酸エステルを主剤と
する絹織物用精練助剤であって、ショ糖とエステルを構
成する脂肪酸中の炭素数8〜14の飽和脂肪酸の割合が全
脂肪酸の70重量%以上であり、かつショ糖に対する平均
置換度が3以下であることを特徴とする絹織物用の仕上
練り工程用精練助剤、及び、該ショ糖脂肪酸エステルと
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとを主剤
とする絹織物用の仕上練り工程精練助剤、ならびに、水
媒体中で絹織物を精練する際に、仕上練り工程において
該水媒体中に該絹織物用の仕上練り工程用精練助剤を0.
01〜0.5重量%存在させることを特徴とする絹織物の精
練方法を要旨とするものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ
糖とエステルを構成する脂肪酸中の炭素数8〜14の飽和
脂肪酸の割合が70重量%以上であり、かつショ糖に対す
る平均置換度が3以下、好ましくは2以下、特に好まし
くは1.5以下のものが挙げられる。
ここで平均置換度とは、ショ糖脂肪酸エステルを構成
するショ糖一分子にエステル化された脂肪酸の平均結合
数をいう。
ショ糖脂肪酸エステルの平均置換度が3より大きい
と、親水性に乏しくなり本発明の効果が期待できない。
構成脂肪酸としては、炭素数8〜14の飽和脂肪酸が挙
げられるが、特にC12のラウリル酸が好ましく用いられ
る。これら脂肪酸は単品として用いてもよいが、むしろ
商業的にはC8・C10・C12の混合物、C8・C10・C12・C14
の混合物、C10・C12・C14の混合物等が入手しやすいの
でそのまま使用することができる。
また、全構成脂肪酸に対する炭素数8〜14の飽和脂肪
酸の割合が、70重量%未満では、本発明の効果が期待で
きない。
本発明では、精練処理のなかの仕上練り工程における
精練浴に本発明の絹織物用精練助剤を0.01〜0.5重量
%、好ましくは0.01〜0.1重量%存在させる。0.01重量
%より少量では本発明の染むら防止効果が期待できず、
一方、0.5重量%より多いと効果が頭打ちとなり、又、
風合いも悪くなる。
仕上練り工程に至るまでの糊抜き、粗練り、本練り及
び漂白工程は、通常行われている方法によれば良い。
仕上練り工程の条件も、通常行われている条件を採用
すれば良いが、その一例を挙げると、精練浴のpH9.5〜1
0.5、精練温度90〜95℃、浴比(被精練物の重量に対す
る使用精練水量)10〜50倍、精練時間約1時間、用水は
鉄分含有量0.1ppm以下、硬度3以下のものを用いる。
本発明の精練助剤は、染料の均染性に影響を与える精
練残滓(繊維表面に付着している粗練りや本練りで用い
た石けん等)を均一に溶解洗浄することができ、しかも
柔軟性と均染性を付与することができるため、精練助剤
として単独に用いることができる。しかしながら、光沢
や風合いを好みに応じて調整するために、高級アルキル
硫酸エステル塩(ROSO3Na、例えば、第一工業製薬
(株)製モノゲル等)等の高級アルコール洗剤、ポリオ
キシエチレンエーテル〔RO(CH2CH2O)nH、RO(CH2CH
2O)nR、例えば、第一工業製薬(株)製ノイゲンHC、日
本油脂(株)製ノニオン等〕等の非イオン活性剤などを
併用することもできる。その場合これらの添加量は、精
練浴に対して0.01〜0.1重量%である。
本発明では、下記一般式(I) (式中、Rはアルキル基を、nは30以上の整数を表わ
す。) で表わされるポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テルを、ショ糖脂肪酸エステルに対して1/4〜5/6重量倍
添加することにより、染料の溶解性、均染性をより改良
することができる。ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテルの添加量がショ糖脂肪酸エステルに対して5/
6重量倍より多くなると、精練残滓の溶解洗浄力は向上
するが、風合ががさつく。
仕上練り後の湯洗は、通常行われている方法によれば
良い。
このようにして得られた絹の白生地は、優れた光沢の
ある白度と風合いをもつものである。
本発明の精練助剤を用いて精練した白生地は、その
後、酸性染料を用いて、引染法、パディング法、浸染
法、捺染法、防染法、抜染法等の方法により染色するこ
とができる。用いる酸性染料としてミリング染料等の均
染性の低いものを用いても、本発明の精練助剤及び精練
方法を用いて得られた白生地は染めむらが起こり難い。
(実施例) 以下、本発明を実施例により、より詳細に説明する
が、実施例はその要旨を越えない限り、以下の実施例に
限定されるものではない。
なお、実施例中、「%」とあるのは「重量%」を示
す。
実施例1 糊抜き、粗練り、本練り及び漂白工程を施した後の絹
布(変り一越;長浜ちりめん)に対して、下記に示す組
成を有するショ糖脂肪酸エステル水溶液(三菱化成株式
会社製 リョート−シュガーエステル LWA−1570)0.1
5%(ショ糖脂肪酸エステルとしての添加量:0.06%)、
ハイドロ0.05%、ケイ酸Na(18Be)0.05%及びEDTA(キ
レストD)0.002%を溶解させた精練浴槽(浴比1:30)
を用いて、pH9.5〜10、90〜95℃の温度下1時間精練仕
上練りを行った。
・ショ糖脂肪酸エステル 40% ・エタノール 4% ・水 56% その後、湯洗(50〜60℃)と水洗とを経て乾燥を行っ
た。その結果、白度、光沢、風合いに優れ、かつ若干の
膨化効果をも認められら白生地が得られた。又、この白
生地の繊維表面に付着している精練残滓(粗練りや本練
りで用いた石けん、高級アルコール洗剤等)の状態をブ
ラックライトを照射して観察したところ、白生地の表面
は白っぽく透き通るように均一になっており、すなわ
ち、精練残滓が繊維表面に均一に残留しており、練りむ
らや一点の汚れらしき曇り(光の吸収むら)もなかっ
た。
この白生地上に、サンドランミーリングブルーN−FR
L、サンドランミーリングスカーレットN−GRL及びサン
ドランミーリングエローN−5GLの3種類の染料を各々
0.1%含む染料溶液に染色用均染剤を用いずにその染液
(常温)を、刷毛に浸して塗布し引染を行った。その
後、自然乾燥させてから95℃以上の飽和蒸気を用いて50
分間蒸熱を行い、次に水洗、乾燥を行った。得られた染
色物は、通常ならば精練むらや、染むらの見えやすい赤
味のグレー系統に染上ったが、色相むらは全くなく、均
一に染着していた。
実施例2 リョート−シュガーエステルLWA−1570を0.1%(ショ
糖脂肪酸エステルとしての添加量0.04%)、ハイドロ0.
05%、ケン酸Na(18Be)0.05%、EDTA(キレストD)0.
002%を溶解させた精練浴(浴比1:30)を用いたこと以
外は、実施例1と同様にして紋意匠(丹後産)の生地を
精練仕上練りを行った。その後、白度、光沢に優れる白
生地が得られた。又、ブラックライトを照射させて白生
地の表面を観察したところ、透き通るように均一になっ
ており、精練残滓むらは認められなかった。
この白生地を、カヤノールミーリングバイオレットFB
Wを0.7%、ラナクロンレッドS−Gを0.1%含む染浴(8
0〜85℃、浴比1:50)中で、均染剤を添加せずに中性染
色の条件下(pH7〜8)40分間染色を行った。染色後水
洗、乾燥を行った。やや赤味を帯びた濃度の紫色に染上
った染色物には、染むらはなかった。
比較例1 モノゲン0.05%、ノイゲンHC0.01%、ハイドロ0.05
%、ケイ酸Na(18Be)0.05及びEDTA(キレストD)0.01
%を溶解させた精練浴(浴比1:30)を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして変り一越(長浜産)の生地を
精練仕上練りを行った。その後、湯洗、水洗、乾燥を行
った。その結果、白度、光沢、風合に優れ、ぬめり感の
ある白生地が得られた。しかしながら、ブラックライト
を照射して白生地の繊維表面を観察したところ、経糸方
向には幾本かのレールを敷いた様な青くにごった線が、
緯糸方向には約50〜70cm間隔で束ねたような1本の青く
沈んだ太い線が見えた。これは撚糸工程で用いた油脂分
が完全に溶解除去されていないためと思われた。
この白生地を、実施例1と同じ染料溶液、条件で引染
を行った。その結果、得られた染色物は、若干の色相む
らがあり、いらいらした落ち着きのない染上りであっ
た。又、経縞(これを「サシ」という)が少し目立っ
た。
実施例3 リョート−シュガーエステルLWA−1570を0.08%(シ
ョ糖脂肪酸エステルとしての添加量:0.032%)、モノゲ
ン0.02%、ハイドロ0.05%、ケイ酸Na(18Be)0.05%及
びEDTA(キレストD)0.002%を溶解させた精練浴(浴
比1:30)を用いたこと以外は実施例1と同様にして本古
代ちりめん(長浜産)の生地を精練仕上練りを行った。
その後、湯洗、水洗、乾燥を行った。その結果、白度、
光沢、風合に優れた白生地が得られた。又、ブラックラ
イトを照射して白生地の表面を観察したところ、透き通
るように均一になっており、精練残滓むらは認められな
かった。
この白生地を、サンドランミーリングエローN−5GL
0.02%、サンドランミーリングスカーレットN−GRL 0.
001%、サンドランミーリングバイオレットN−FBL 0.0
01%及びリョート−シュガーエステルLWA−1570 0.05%
を溶解した染浴(浴比1:50、温度80〜85℃)中で、50分
間染色を行った。その後水洗、乾燥を行った。その結
果、染めむらのない、淡いベージュ色の染色物を得た。
実施例4 リョート−シュガーエステルLWA−1570を0.04%(シ
ョ糖脂肪酸エステルとしての添加量:0.016%)、モノゲ
ン0.05%、ハイドロ0.05%、ケイ酸Na(18Be)0.05%及
びEDTA(キレストD)0.002%を溶解させた精練浴(浴
比1:30)を用いたこと以外は実施例1と同様にして紋綸
子(丹後産)の生地を精練仕上練りを行った。その後、
湯洗、水洗、乾燥を行った。その結果、白度、光沢、風
合に優れた白生地が得られた。又、ブラックライトを照
射して白生地の表面を観察したところ、透き通るように
均一になっており、精練残滓むらは認められなかった。
この白生地上に、アシドールネービィブルーM−RBL
1.6%、ラナセットブルー5G 2%、サンドランミーリン
グバイオレットN−FBL 0.4%、カヤラックスウラウンG
R 0.1%、リョート−シュガーエステルLWA−1570 0.5%
及びふのり0.2%(2%水溶液として添加)を含む染料
溶液(常温)を、刷毛に浸して塗布し引染を行った。そ
の後、自然乾燥させてから95℃以上の飽和蒸気を用いて
50分間蒸熱を行い、水に水洗、乾燥を行った。深い濃紺
に染上った染色物には染むらはなかった。
実施例5 リョート−シュガーエステルLWA−1570を0.08%(シ
ョ糖脂肪酸エステルとしての添加量:0.032%)、ポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテル0.008%、ハイド
ロ0.05%、ケン酸Na(18Be)0.05%及びEDTA(キレスト
D)0.002%を溶解させた精練浴(浴比1:30)を用いた
こと以外は実施例1と同様にして変り三越(長浜産)の
生地を精練仕上練りを行った。その後、湯洗、水洗、乾
燥を行った。その結果、白度、光沢、風合に優れた白生
地が得られた。又、ブラックライトを照射して白生地の
表面を観察したところ、透き通るように均一になってお
り、精練残滓むらは認められなかった。
この白生地をアシドールスカーレットM−Lを1%溶
解した染浴(浴比1:50、温度80〜85℃)に均染剤を加え
ることなく、その染浴中で、50分間染色を行った。その
後水洗、乾燥を行った。その結果、染めむらのない、ど
しっとした濃度の赤に染上った染色物を得た。
実施例6 実施例1においてLWA−1570のかわりに10%ショ糖ラ
ウリン酸エステル(構成脂肪酸の95%がラウリン酸で、
平均置換度は1.24)水溶液0.6%を使用した以外は実施
例1と同様に実施した。(ショ糖ラウリン酸エステルは
10%の希薄水溶液の形で多量に使用したが正味使用量は
実施例1と同一) 実施例1と同様に均一な精練処理ができ、その後の染
色処理においても染めむら、色相むらなく均一な染色物
を得ることができた。
(発明の効果) 本発明の絹織物用の仕上練り工程用精練助剤を用いれ
ば、光沢のある白度及び風合いに優れた白生地が得ら
れ、かつ該生地を染色した際の染めむらが防止される。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−36208(JP,A) 特公 昭46−7585(JP,B1) 編集代表者林茂助「染色加工講座4」 精練・漂白および浸染1、第1頁、第68 〜71頁昭和39年1月15日共立出版株式会 社発行 堀口博「新界面活性剤」第597〜599頁 昭和56年6月1日三共出版株式会社発行

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ショ糖脂肪酸エステルを主剤とする絹織物
    用精練助剤であって、ショ糖とエステルを構成する脂肪
    酸中の炭素数8〜14の飽和脂肪酸の割合が全脂肪酸の70
    重量%以上であり、かつショ糖に対する平均置換度が3
    以下であることを特徴とする絹織物用の仕上練り工程用
    精練助剤。
  2. 【請求項2】ショ糖脂肪酸エステルとポリオキシエチレ
    ンアルキルフェニルエーテルとを主剤とする絹織物用精
    練助剤であって、該ショ糖脂肪酸エステルが、ショ糖と
    エステルを構成する脂肪酸中の炭素数8〜14の飽和脂肪
    酸の割合が全脂肪酸の70重量%以上であり、かつショ糖
    に対する平均置換度が3以下であることを特徴とする絹
    織物用の仕上練り工程用精練助剤。
  3. 【請求項3】水媒体中で絹織物を精練する際に仕上練り
    工程において該水媒体中にショ糖脂肪酸エステルを主剤
    とする絹織物用の仕上練り工程用精練助剤を0.01〜0.5
    重量%存在させることを特徴とする絹織物の精練方法。
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編集代表者林茂助「染色加工講座4」精練・漂白および浸染1、第1頁、第68〜71頁昭和39年1月15日共立出版株式会社発行

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