JP2616971B2 - 自動変速機の制御装置 - Google Patents

自動変速機の制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は自動変速機の制御装置に関するものである。
(従来技術およびその問題点) 自動変速機においては、一般に、トルクコンバータと
多段変速歯車機構とを備えて、エンジン回転がトルクコ
ンバータを介して多段変速歯車機構に入力される。そし
て、多段変速歯車機構は、あらかじめ設定された変速特
性に基づいてその変速が制御される。
上記トルクコンバータの多くは、その入力側と出力側
とを締結するためのロックアップクラッチを有するもの
が多くなっている。そして、このロックアップクラッチ
の締結状態というものを、完全に締結する場合に限ら
ず、半クラッチ状態となるスリップ状態とすることも提
案されている(特開昭57−33253号公報参照)。
このロックアップクラッチの締結と締結解除との切換
えの際にはショックを生じ易いものとなる。このため、
特開昭60−159466号公報に示すように、ロックアップク
ラッチの締結解除状態から締結状態へと切換えていく際
に、その締結を徐々に行なうようにすることが提案され
ている。
一方、自動変速機においては、その変速ショックをい
かに効果的に低減するかが重要な課題となる。このよう
な観点から、たとえロックアップクラッチを締結してお
くロックアップON領域であっても、変速の際にはロック
アップOFFすなわちロックアップクラッチを締結解除し
て、トルクコンバータの流体緩衝作用を利用した変速シ
ョック低減を行なうことも行なわれている。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、ロックアップクラッチの締結を徐々に解除
する際に、その解除速度をいかに設定するかが問題とな
る。すなわち、ロックアップクラッチの作動切換えその
ものに起因するショックの低減と、ロックアップクラッ
チ解除による変速ショック低減とを考えた場合、解除速
度を一律に設定したのではこの両方の要求を満足できな
いものとなる。特に変速ショックが問題となるシフトダ
ウン時における変速ショックをいかに効果的に低減する
かが問題となってくる。
したがって、本発明の目的は、ロックアップクラッチ
の締結を徐々に解除するものを前提として、このロック
アップクラッチの締結解除そのものに起因するショック
とシフトダウンに起因する変速ショックとの両方を共に
十分に低減し得るようにした自動変速機の制御装置を提
供することにある。
(問題点を解決するための手段、作用) 前述の目的を達成するため、本発明にあっては次のよ
うな構成としてある。すなわち、第6図にブロック図的
に示すように、 エンジン出力軸に対してロックアップクラッチ付きの
トルクコンバータを介して多段変速機構を連結してなる
自動変速機において、 あらかじめ設定された変速特性に基づいて、前記多段
変速機構の変速を制御する変速制御手段と、 前記ロックアップクラッチの締結力を調整する締結力
調整手段と、 あらかじめ設定されたロックアップ特性に基づいて、
前記締結力調整手段を制御して前記ロックアップクラッ
チの締結と締結解除とを制御するロックアップ制御手段
と、 前記ロックアップクラッチの締結解除を行なうとき、
前記締結力調整手段を制御して、ロックアップクラッチ
の締結解除を徐々に行なわせる解除速度制御手段と、 前記変速制御手段によりシフトダウンが行なわれると
きはシフトダウンが行なわれないときに比して、前記解
除速度が大きくなるように変更する解除速度変更手段
と、 を備えた構成としてある。
このような構成とすることにより、シフトダウンが行
なわれるときは、解除速度を大きく(速く)することに
より、エンジンの回転の立ち上がりを早めて、シフトダ
ウンに伴なうショックが効果的に防止される。
また、シフトダウンが行なわれないときは、ロックア
ップクラッチの締結解除速度を小さく(遅く)すること
により、ロックアップクラッチの作動切換そのものに起
因するショック、すなわちエンジン回転が急激に立上が
り過ぎることによるショックが効果的に防止される。
なお、シフトダウン時には、変速ショックの方がロッ
クアップクラッチの作動切換に起因するショックよりも
かなり大きいので、シフトダウン時に解除速度を大きく
することにより全体としてより効果的にショックが防止
される。また、2段シフトダウンのときは1段シフトダ
ウンのときよりも変速ショックが大きくなるので、ロッ
クアップクラッチの締結解除の大きさを、2段シフトダ
ウン時の方が1段シフトダウン時よりも大きくするのが
好ましい。
(実施例) 以下本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明す
る。
第1図において、1はエンジン、2は自動変速機であ
り、エンジン1の出力が自動変換機2を介して、図示を
略す駆動輪へ伝達される。
自動変速機2は、トルクコンバータ3と遊星歯車式多
段変速機構4とから構成されている。このトルクコンバ
ータ3は、後述するロックアップクラッチを備え、ロッ
クアップ用のソレノイド5を制御することにより、ロッ
クアップクラッチがON(完全締結)、OFF(締結解除)
と共に、所定の滑り対象とされた半クラッチ状態(締
結)とされる。また、変速機構4は、実施例では前進4
段とされ、既知のように複数個の変速用ソレノイド6に
対する励磁、消磁の組合せを変更することにより、所望
の変速段とされる。勿論、上記各ソレノイド5、6は、
ロックアップ用あるいは変速用の油圧式アクチュエータ
の作動態様を切変えるものである。
第1図中10はマイクロコンピュータを利用して構成さ
れた制御ユニットで、これには各センサあるいはスイッ
チ11〜13からの信号が入力される。上記センサ11は、ス
ロットル弁の開度すなわちスロットル開度を検出するも
のである。センサ12は車速を検出するものである。セン
サ13は自動変速機2の現在のギア位置すなわち変速段を
検出するものである。また、制御ユニット10からは、前
記各ソレノイド5、6に出力される。
なお、制御ユニット10は、基本的にCPU、ROM、RAM、C
LOCK(ソフトタイマ)を備える他、A/DあるいはD/A変換
器さらには入出力インターフェイスを有するが、これ等
はマイクロコンピュータを利用する場合の既知の構成な
ので、その説明は省略する。なお、以下の説明で用いる
変速特性(マップ)等は、制御ユニット10のROMに記憶
されているものである。
次に、第2図によりロックアップクラッチ付きのトル
クコンバータの構造とその制御用油圧回路について説明
する。トルクコンバータ3は、エンジン出力軸32に結合
されたケース33内の一側部に固設されて、エンジン出力
軸32と一体回転するポンプ34(入力部材)と、該ポンプ
34と対向するようにケース33内の他側部に回転自在に備
えられて、ポンプ34の回転により作動油を介して回転駆
動されるタービン35(出力部材)と、ポンプ34とタービ
ン35との間に介設されて、ポンプ回転数に対するタービ
ン回転数の速度比が所定値以下の時にトルク増大作用を
行うステータ36と、タービン35とケース33との間に介設
されたロックアップクラッチ37とを有する。そして、タ
ービン35の回転がタービンシャフトにより出力されて変
速歯車機構4に入力されるようになっており、また上記
ロックアップクラッチ37がこのタービンシャフト38に連
結されてケース33に対して締結された時に、該ケース33
を介して上記エンジン出力軸32とタービンシャフト38と
を直結するようになっている。
このトルクコンバータ3には、オイルポンプ50から吐
出された油が、ソレノイド21にて制御される調圧弁51を
介してメインライン39に導かれ、ロックアップバルブ40
及びコンバータインライン41を介して作動油として導入
されるようになっており、この作動油の圧力によって上
記ロックアップクラッチ37が常時締結方向に付勢されて
いると共に、該クラッチ37とケース33との間の空間42に
は、上記ロックアップバルブ40から導かれたロックアッ
プ解放ライン43が接続され、該ライン43から上記空間42
内に油圧(解放圧)が導入された時にロックアップクラ
ッチ37が解放されるようになっている。また、このトル
クコンバータ3には保圧弁44を介してオイルクーラ45に
作動油を送り出すコンバータアウトライン46が接続され
ている。
一方、上記ロックアップバルブ40は、スプール40aと
これを図面上、右方へ付勢するスプリング40bとを有す
ると共に、上記ロックアップ解放ライン43が接続された
ポート40cの両側に、メインライン39が接続された調圧
ポート40dとドレンポート40eとが設けられている。ま
た、該バルブ40の図面上、右側の端部には上記スプール
40aにパイロット圧を作用させる制御ライン47が接続さ
れていると共に、この制御ライン47から分岐されたドレ
ンライン48にはスリップ量調整手段としてのソレノイド
(デューティソレノイドバルブ)5が設置されている。
このソレノイド5は、入力信号(デューティ率)に応じ
て、ドレンライン48を全開から全閉までの間で連続可変
的に変化させる。そして、このパイロット圧が上記ロッ
クアップバルブ40のスプール40aにスプリング40bの付勢
力と対向する方向に印加されると共に、該スプール40a
にはスプリング40bの付勢力と同方向にロックアップ解
放ライン43内の解放圧が作用するようになっており、こ
れらの油圧ないし付勢力の力関係によってスプール40a
が移動して、上記ロックアップ解放ライン43がメインラ
イン39(調圧ポート40d)又はドレンポート40eに連通さ
れる。なお、デューティ率が最大値の時に制御ライン47
からのドレン量が最大となって、パイロット圧ないし解
放圧が最小となることによりロックアップクラッチ37が
完全に締結され、またデューティ率が最小値の時に上記
ドレン量が最小となって、パイロット圧ないし解放圧が
最大となることによりロックアップクラッチ37が完全に
解放されるようになっている。そして、最大値と最小値
の中間のデューティ率としたときにはロックアップクラ
ッチ37が半クラッチ状態とされる。
前記制御ユニット10には、第3図に示す変速特性およ
びロックアップ特性が予じめ記憶されている。この第3
図において、領域IIがクラッチ37が完全に締結されるロ
ックアップON領域であり、領域IIIがロックアップクラ
ッチ37が完全に切断されるロックアップOFF領域であ
る。そして、領域IIよりも低車速側かつ低スロットル開
度側に設定された領域IもロックアップON領域とされる
が、ロックアップスラッチ37をスリップさせてトルクコ
ンバータ3の入力側と出力側の回転数差を目標値とする
ようにロックアップクラッチ37の締結力をフィードバッ
ク制御するスリップ領域である。そして、変速時以外は
このような領域設定に従ってロックアップクラッチ7の
制御が行なわれるようになっており、変速時にはこの領
域設定に拘らずロックアップクラッチ37がOFFされる。
なお、変速特性は、第3図ではシフトダウン用のみを示
しているが、従来同様シフトアップ用も設定されている
ものである(図示略)。勿論、変速制御そのものは、従
来と同様にして行われる。
ロックアップクラッチ3の制御は、次のようにして行
われる。
先ず、変速が行われないときは、ロックアップクラッ
チ37は、前述した第3図のロックアップ特性にしたがっ
て、締結(完全締結あるいは半クラッチでの締結)、締
結解除される。また、変速時には、ロックアップ特性に
したがうことなくロックアップクラッチ37の締結が解除
される。
ロックアップクラッチの締結を解除する場合、この解
除速度が、実施例では次のように3段階に設定される。
先ず、シフトダウンが行われないとき、すなわちシフ
トアップが行われるとき、又は変速が行われないとき
は、解除速度が最も遅く行われる。
また、2段のシフトダウンが行われるとき、例えば4
速から2速へのシフトダウンが行われるときは、解除速
度が最も早くされる。そして、1段のシフトダウンが行
われるとき、例えば4速から3速へのシフトダウンのと
きは、解除速度が中間の速さとされる。
上述した解除速度が変更が様子を第3図、第4図の
A、B、Cの3つの態様で示してあり、Aがシフトダウ
ンの無いときを、Bが1段のシフトダウンのときを、C
が2段のシフトダウンのときを示してある。
なお、上述した解除速度の変更は、ソレノイド5に対
して出力されるデューティ比の減少度合を変えることに
より行うようにしてある。
前述のような制御内容の詳細を、第5図のフローチャ
ートを参照して説明する。尚、以下の説明ではPはステ
ップを示す。
先ず、P1においてシステムのイニシャライズが行われ
た後、P2において各センサ11〜13からの信号が入力され
る。
P3では、第3図のロックアップ特性に照してロックア
ップクラッチ37の作動状態をどのようにするかの判定が
行われる。引続きP4において、第3図の変速特性に照し
て、変速の判定が行われる。
P4の後、P5において、P3での判定結果が、ロックアッ
プクラッチ37のOFFするような判定であるか否かが判別
される。このP5の判定でNOのときは、P6において、P3で
の判定結果にしたがうようにソレノイド5に対するデュ
ーティ比Dが決定される。勿論、P3の判定が第3図の領
域IIであるときはDが100%とされ、また領域Iである
ときはDが既知のようにフィードバック制御によって決
定される(このフィードバック制御に用いるセンサ等は
図示略)。
この後、P7においては、P4での判定結果が変速が行う
ものであるか否かが判別される。このP7の判別でNOのと
きは、P15においてデューティ比Dが出力され(ロック
アップクラッチ37は締結)、引続きP16で、P4の判定結
果にしたがう変速制御がなされる(P7を経るときは変速
は行われない)。
前記P5の判別でYESのとき、あるいはP7の判別でYESの
ときは、ロックアップクラッチ3の締結を解除するとき
である。このときは、P8〜P12の処理によって、デュー
ティ比Dの減少量△dが設定される。すなわち、シフト
ダウンの無いときはP11において△dがα1として設定
され、1段のシフトダウンのときはP10において△dが
α2として設定され、2段のシフトダウンのときは△d
がα3として設定される。この減少量△dが大きいほど
解除速度が大きくなるものであり、したがって、α3>
α2>α1とされている。
上記P10、P11あるいはP12の後は、P13において、現在
のデューティ比Dが零よりも大きいか否かが判別され
る。このP13の判別でYESのときは、現在のDから上記△
dを差し引いた値が新たなDとして設定された後、P15
においてこの新たなDが出力される。このようにして、
P14を経る毎にデューティ比Dが徐々に小さくされて、
やがてデューティ比Dが零となる。このときは、ロック
アップクラッチ3が完全に締結解除されたときなので、
P13からP14を経ることなくP15に移行される。
(発明の効果) 本発明は以上述べたことから明らかなように、ロック
アップクラッチの締結解除の速度を最適設定して、ロッ
クアップクラッチの締結解除そのものに起因するショッ
ク低減は勿論のこと、シフトダウン時における変速ショ
ックをも十分に低減することができる。
また、特許請求の範囲第2項に記載したように、2段
シフトダウンのときは1段シフトダウンのときに比し
て、ロックアップクラッチの解除速度を大きくすること
により、変速時のショックをより一層効果的に低減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す全体系統図。 第2図はロックアップクラッチの詳細をこの締結力調整
用の油圧回路と共に示す図。 第3図は変速特性およびロックアップ特性の一例を示す
図。 第4図は本発明の作用を図式的に示す図。 第5図は本発明の制御例を示すフローチャート。 第6図は本発明の構成をブロック図的に示す図。 1:エンジン 2:自動変速機 3:トルクコンバータ 4:多段変速機構 10:制御ユニット 37:ロックアップクラッチ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン出力軸に対してロックアップクラ
    ッチ付きのトルクコンバータを介して多段変速機構を連
    結してなる自動変速機において、 あらかじめ設定された変速特性に基づいて、前記多段変
    速機構の変速を制御する変速制御手段と、 前記ロックアップクラッチの締結力を調整する締結力調
    整手段と、 あらかじめ設定されたロックアップ特性に基づいて、前
    記締結力調整手段を制御して前記ロックアップクラッチ
    の締結と締結解除とを制御するロックアップ制御手段
    と、 前記ロックアップクラッチの締結解除を行なうとき、前
    記締結力調整手段を制御して、ロックアップクラッチの
    締結解除を徐々に行なわせる解除速度制御手段と、 前記変速制御手段によりシフトダウンが行なわれるとき
    はシフトダウンが行なわれないときに比して、前記解除
    速度が大きくなるように変更する解除速度変更手段と、 を備えていることを特徴とする自動変速機の制御装置。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、 前記解除速度変更手段が、前記変速制御手段により2段
    シフトダウンが行われるときは1段シフトダウンが行わ
    れるときに比して、前記解除速度が大きくなるように変
    更するように設定されている、ことを特徴とする自動変
    速機の制御装置。
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JP2576715B2 (ja) * 1991-04-30 1997-01-29 トヨタ自動車株式会社 車両用直結クラッチ付流体式伝動装置のスリップ制御装置
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