JP2616240B2 - 脂肪乳剤の製法 - Google Patents

脂肪乳剤の製法

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【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、平均粒子径が10nm〜100nmの乳剤粒子に係
る脂肪乳剤を製造するにあたって、その製造工程の改良
技術に関する。
背景技術 10〜100nmの平均粒子径を有する乳剤粒子に係る脂肪
乳剤は、薬物の血液中又は適用部位から病変組織への移
行性の改善等の効果を有し、優れた特徴を有している。
このような平均粒子径を有する脂肪乳剤は細網内皮系
による取り込み(RES)回避性を有する。また、乳剤粒
子が100nm以上の直径を有する脂肪乳剤に比べ血中濃度
が高く維持でき、血管透過性の亢進した部位から血管外
に容易に漏出する性質を有している。血管には種々のポ
アシステム(pore systems,直径9nmまでの小さなポアシ
ステムと直径25〜70nmの大きなポアシステムとが存在す
るといわれ、腫瘍新生血管を含め種々の病変部位では更
に透過性が増すことが知られている。)と呼ばれる部位
や、その他の細胞間隙が存在し、炎症、腫瘍、アテロー
マをはじめとする種々の病変部位では、血管透過性が亢
進していることが知られ、このような部位では、上記の
大きなポアシステムを通して血管より多くの超微細乳剤
粒子が選択的に漏出し、病変組織内に移行する。これと
同時に、この粒子に包含されている薬物も病巣内に移行
する。このことにより、薬物が容易にそして選択的に病
変部に移行するから、病変部位での薬物濃度が高まりそ
の効果を増大させることができる。また正常細胞におい
ては、上記の小さなポアシステムの存在により、10nm以
下の粒子の透過性が悪くこのような小さな粒子の血管か
ら正常細胞への移行を防止する。上記のことから、10nm
〜70nm程度の平均粒子径を有する乳剤粒子に係る脂肪乳
剤、更にはポアシステムの孔径の許容度と脂肪乳剤粒子
の粒子径分布とを勘案して10〜100nm程度の平均粒子径
を有する乳剤粒子に係る脂肪乳剤が、薬物移行性改善の
ためには最良である(特開平2−203号公報参照)。
平均粒子径が10nm〜100nmの乳剤粒子に係る脂肪乳剤
の製造をするためには、その構成成分である単純脂質及
びリン脂質の量比を限定することが重要であることを、
既に本発明者らは見出していた。これは、全体の0.5〜3
0%(w/v)の単純脂質、単純脂質の0.15〜2倍(重量
比)のリン脂質、及び、適当量の水、を含有することに
よって達成される。
平均粒子径が10nm〜100nmの乳剤粒子に係る脂肪乳剤
の製造にあたってのいま一つの重要な要件は、その製造
工程にあった。
このような脂肪乳剤を製造するには、通常の機械、器
具、装置等を使用することができ、例えば、薬物を含め
た全構成成分をマントン−ガウリン型高圧ホモジナイザ
ー、マイクロフルイダイザー、超音波ホモジナイザー等
により微細化して形成せしめる方法等で製造することが
できたが、これらの使用にあたっては、充分の圧力と充
分の時間が必要であった。
例えば、超音波ホモジナイザー(ブランソン モデル
185)を用いた場合、粗乳化液10mlに対し60分以上を要
し、またマイクロフルイダイザーを用いた場合には、粗
分散液100mlに対しエア圧5kg/cm2で運転した場合でも60
分以上を要する。
本発明に係る脂肪乳剤の構成成分である脂質の多くの
ものは、不飽和脂肪酸を含んでいるから、酸化によって
変質し、場合によっては毒性を呈するものがある。熱を
加え又は混合等の物理的圧力を加えることにより、それ
が長時間である場合には、このような脂質の変質を助け
るおそれがあった。
上記の製造工程においては、これまで、熱を加え又は
混合等の物理的圧力を加える工程を、比較的長時間継続
する必要があり、上記脂質の変質のおそれが強かった。
また、大規模な設備を要し、異物の混入のおそれもそ
れだけ高くかつ経済的不利をも伴う状況があった。
発明の開示 本発明者らは上記技術的欠点を解決する目的で種々検
討を重ねた結果、本発明に到達したものである。
本発明の要旨は、平均粒子径が10nm〜100nmの乳剤粒
子に係る脂肪乳剤であって薬物を含有するものを製造す
る工程において、脂肪乳剤の全体の0.01%〜0.2%(w/
v)の塩化ナトリウムを乳化助剤として使用するところ
にある。
脂肪乳剤の製造の過程では等張化剤を使用することは
通常行われているが、水中で解離する物質は、乳剤粒子
の電荷の分布をタイトにして粒子の凝集の原因となるか
ら、平均粒子径を維持する目的のためには、等張化物質
としては塩化ナトリウム等の電解質物質を使用すること
は好ましくなく、例えばグリセリン、マンニット等の非
電解質を使用することが一般に行われていた。従って、
本発明の目的を達成させようとするような場合には、従
来は、乳化助剤としての塩化ナトリウムの使用が不適当
であると認識されていた。
しかしながら、偶然のことから本発明の脂肪乳剤を製
造する過程で塩化ナトリウムを存在させたところ、真に
意外なことにこれまでの常識とは全く逆の現象の生じる
ことを見出し、本発明を完成させたものである。
本発明の塩化ナトリウムを乳化工程前に加えることに
より、乳化するための工程の所要時間を1/2〜1/3にまで
短縮することができる。このことにより、乳化に必要な
総処理エネルギーを滅ずることができる。このことは、
同じ時間内で乳化工程を継続する場合には、これまでに
より処理エネルギーを滅ずることができることを意味す
る。更に、これらのことから、処理工程での脂肪乳剤
の変質を未然に防止する、乳化のための器具の麿耗防
止と維持費用の削減をもたらすことができる、等の本発
明特有の効果を取得することができる。
本発明においては、塩化ナトリウムのみを選択的に使
用することができる。本発明においては、他の塩、例え
ば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウ
ム等を適用することができない。
本発明において使用する塩化ナトリウムの量は、乳化
するべき脂質の全体量の0.01%〜0.2%(w/v)が適当で
ある。
0.01%以下の濃度では、その効果を得ることができ
ず、また0.2%以上添加すると逆効果となり、生成した
乳剤粒子も安定でない。従って、0.01%〜0.2%の範囲
でのみ、本発明の特異な効果を得ることができる。好ま
しくは、0.01〜0.1%である。
本発明においては、塩化ナトリウムは、乳剤製造のい
ずれの工程においても添加することができる。乳化前に
脂質と混合しておくことも可能であるし、乳化の際に加
える水に予め溶解しておいても良い。あるいは、乳化工
程中に添加しても良い。
本発明においては、塩化ナトリウムは、乳化工程終了
前に加える必要がある。乳化工程終了前であれば、単純
脂質に加えることも、リン脂質に加えることもできる。
上記においては、塩化ナトリウムそのものを添加する
ほか、塩化物とナトリウム塩とを含有する物質を添加す
ることにより、脂肪乳剤製造の過程で中和により塩化ナ
トリウムを生成して結果として塩化ナトリウムを添加し
たと同一のこととなる操作もまた本発明を構成するもの
である。
本発明に使用される脂質としては、天然動植鉱物由来
の単純脂質、誘導脂質及び複合脂質又はこれらの混合物
を挙げることができる。例えば、卵黄、大豆、綿花等由
来の単純脂質、誘導脂質、若しくは複合脂質、又は、純
合成的に製造された単純脂質、誘導脂質、若しくは複合
脂質のいずれでもよい。
単純脂質としては、例えば、精製大豆油、綿実油、菜
種油、胡麻油等の通常使用することができるものを挙げ
ることができる。
リン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファ
チジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホス
ファチジルイノシトール等を挙げることができる。これ
らの水素添加物も用いることができる。なかでも好まし
い代表例として、卵黄精製レシチンを挙げることができ
る。
本発明を適応することができる薬物としては、医薬上
許容されるものであればよく、特に限定されることはな
い。水に不溶又は難溶の薬物であっても使用することが
できる。本発明においては、薬物は容易に乳剤を形成す
ることとなる。
本発明乳剤を適応することができる薬物としては、例
えば、抗炎症剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、抗生物質、
化学療法剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗動脈硬化剤、抗
脂血症剤、抗潰瘍剤、免疫調節剤、ワクチン類、ラジカ
ル除去剤、気管支拡張剤、催眠剤、トランキライザー、
局所麻酔剤、脂溶性ビタミン類、診断薬等を挙げること
ができる。これらの例として、例えば、アンシタビン、
フルオロウラシル、マイトマイシンC、マイトマイシン
Cファルネシル酸アミド、マイトマイシンCファルネシ
ル酢酸アミド、ノニルオキシカルボニルマイトマイシン
C、コレステリルオキシグリシルマイトマイシンC等の
マイトマイシンC誘導体類、カルモフール、フトラフー
ルパルミチン酸エステル、5−フルオロウラシルミリス
チン酸エステル、アドリアマイシン、ダウノマイシン、
塩酸アクラルビシン、マクラルビシン、ビンブラスチ
ン、ビンクリスチン、シタラビン脂肪酸エステル等のシ
タラビン誘導体類、ミトタン、エストラムスチンなどの
抗癌剤や、ジクロロフラバン等の抗ウイルス剤、ステロ
イド剤、例えばデキサメタゾンパルミチン酸エステル、
ハイドロコーチゾンパルミチン酸エルテル、プレドニゾ
ロンパルミチン酸エステル、デキサメタゾンステアリン
酸エステル、メチルプレドニゾロン、パラメタゾン、フ
ルオシノロンアセトニド、ベクタメタゾンプロピオン酸
エステル、ハイドロコーチゾン脂肪酸エステル、アルド
ステロン、スピロノラクトンなど、及び非ステロイド
剤、例えばイブプロフェン、フルフェナム酸、ケトプロ
フェン、フェナセチン、アンチピリン、アミノピリン、
フェニルブタゾンインドール酢酸エステル、ビフェニリ
ルプロピオン酸誘導体、インドメタシン、インドメタシ
ンエトキシカルボニルメチルエステル、インドメタシン
ステアリルエステル、金チオリンゴ酸セチルエステル、
ジクロフェナク、アセチルサリチル酸及びその誘導体な
どを挙げることができる。トラニラスト、ケトチフェ
ン、アゼラスチン等の抗アレルギー剤も用いることがで
きる。抗生物質及び化学療法剤としては、例えば、テト
ラサイクリン塩基、エリスロマイシン、ミデカマイシ
ン、アムホテリシンB類、ミノサイクリン、ミコナゾー
ルなどを挙げることができる。プロスタグランディン剤
の例として、PGE1、PGA1、PGA1、アルキルエステル、PG
E1、アルキルエステル、PGE1誘導体、PGI2誘導体、PGD
誘導体などを用いることができる。ジフェンヒドラミ
ン、オルフェナヂリン、クロルフェノキサミン、クロル
フェニラミン、プロメタジン、メクリジン、シプロヘプ
タジン、ロキサチジンアセテートなどの抗ヒスタミン剤
も挙げることができる。また、リドカイン、ベンゾカイ
ン、ダントロレン、コカイン、テトラカイン、ピペロカ
イン、メピラカイン等及びこれらの誘導体等の局所麻酔
剤も挙げることができる。肝障害改善剤、例えば、マロ
チラート、グリチルレチン酸、アセチルグリチルレチン
酸エチルエステル、グリチルレチン酸メチルエステルな
どや抗潰瘍剤、例えば、ファルネソール、ゲラニオー
ル、ゲファルネート、テプレノン、プラウノトール、ソ
ファルコン等を挙げることができる。中枢神経作用薬、
例えば、フェノバルビタール、メタクァロン、ヘロイ
ン、ジアゼパム、メダゼパム、フラゼパム、クロチアゼ
パム、エチゾラム、メクリジン、ブクリジン、アジフェ
ニン、メタンフェタミン、イミプラミン、クロルイミプ
ラミン、アミトリプチリン、ミアンセリン、トリメタジ
オン、フェンスキシミド、テトラベンザミド、ベンズキ
ナミド、カンフル、ジモルホラミン、ストリキニーネ、
クロルプロマジン、プロメタジン、プロクロルペラジ
ン、メキタジン、トリフルプロマジン、レボプロマジ
ン、ジフェニドール等及びこれらの誘導体を挙げること
ができる。気管支拡張剤として、ベストフィリンやその
他のテオフィリン誘導体、メチルエフェドリン等を挙げ
ることができる。抗コリン剤、例えば、ベンズトロピ
ン、フィゾスチグミン、アトロピン、スコポラミン等、
副交感神経遮断剤、例えば、オキシフェンシクリミン、
ピレンゼピン、エトミドリン等、カルシウムブロッカ
ー、例えば、ジルチアゼム、ニフェジピン、ペラパミル
等、α−ブロッカー、例えば、ジベンザミノン、フェノ
キシベンザミン等、鎮咳剤、例えば、ノスカピン、デキ
ストロメトルファン、ペントキシベリン、ベンプロペリ
ンなど、前立腺肥大治療剤、例えば、ガストロン、オキ
センデロン等、緑内障治療薬、例えば、ピロカルピン
等、平滑筋作用薬、例えば、スパルテイン、パパベリン
等、抗脂血症治療薬、例えば、クロフィブレート、シム
フィブレート、プロブコール等なども挙げることができ
る。その他、例えば、アミノ酸、ビタミン類、塩酸ジラ
ゼップ、ユビテカレノン、フラボキセート、サイクロス
ポリンA、インフルエンザ等のワクチン、ジベンズチオ
ン、ジフェニルピラリン、フェノバリニューム、メタジ
オン、トフィソパム、リモネンなども挙げることができ
る。脂溶性ビタミン類として、ビタミンA及びその誘導
体、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンK類及びその
誘導体、ビタミンD類及びその誘導体等を挙げることが
できる。
また、グアイアズレンや精油性生薬、例えば、キョウ
ニン油、ウイキョウ油、タイム油、テレピン油、ユーカ
リ油、パーム油、ケシ油、ツバキ油など等も挙げること
ができる。
診断薬としては、例えば、放射性同位元素で標識され
た化合物、放射性医薬品やヨウ素系X線造影剤であるヨ
ード化ケシ油脂肪酸エステルなどを挙げることができ
る。
本発明を適応することができる薬物としては、上述の
ごとく、特に限定を受けないが、乳剤の粒子径に由来す
る乳剤の性質の特徴から判断するとき、炎症、腫瘍、血
管、又は免疫系に関与する薬物が一般に望ましい。
本発明脂肪乳剤中の薬物濃度は、薬物の生物学的活性
に従って、適宜増減することができる。また、本発明を
用いた製剤中の乳剤構成成分及び薬物の濃度は所望に応
じ適宜増減することができる。
ある。
本発明脂肪乳剤の形状や粒子径は、電子顕微鏡、光散
乱方式の粒子径分析装置、メンブレンフィルターによる
濾過等により容易に確認することができる。
本発明脂肪乳剤の任意の成分として、一般注射剤に用
いられる添加剤及び補助物質などを挙げることができ
る。例えば、酸化防止剤、防腐剤、安定化剤、等張化
剤、緩衝剤等を挙げることができる。これらの添加剤、
補助物質等の要求量及び最適量は、その目的に応じて変
化させることができる。
本発明脂肪乳剤は、必要に応じて滅菌(例えば濾過滅
菌や高圧蒸気滅菌)し、窒素ガスとともにアンプル中に
封入することができる。又、必要に応じて凍結乾燥する
ことができる。凍結乾燥させたものは、適当な溶液の添
加によって復元することができる。
本発明乳剤は、そのままでも提供できるが、必要に応
じて一般的な脱塩操作により乳化助剤として添加した塩
化ナトリウムを除去することも容易である。
本発明脂肪乳剤は、静脈内に投与するのが一般的であ
るが、必要に応じて従来品同様、動脈内、筋肉内、髄腔
内及び皮下等に注射剤として投与することもできる。ま
た、本発明乳剤は、点眼剤、点鼻剤、吸入剤、経口投与
剤、膀胱注入剤、外用剤又は坐剤等としても製剤化し使
用することができる。この場合においても、医薬上許容
される基剤、賦形剤等の添加剤を任意の成分として挙げ
ることができる。
発明を実施するための最良の形態 以下に本発明の試験例及び実施例を挙げて本発明を更
に詳しく説明する。
試験例1 デキサメタゾンパルミテート30mg、精製大豆油0.6g及
び精製卵黄レシチン0.5gをクロロホルム/メタノール
(1/1,v/v)混液 100ml中で混合溶解した後、ロータリ
ーエバポレーターで減圧下溶媒を完全に除去した。これ
に、グルコースを5%及び塩化ナトリウムを0.05%含有
する水溶液8mlを加え、ホモジナイザーで撹拌し粗乳化
液とする。そして、グルコースを5%及び塩化ナトリウ
ムを0.03%含有する水溶液を加えて10mlに定容したもの
を検体試料とした。また、同様に、塩化ナトリウムを全
く含まない5%グルコース水溶液を粗分散後定容したも
のを対照試料とした。これらをそれぞれ氷冷下、超音波
ホモジナイザー(ブランソン モデル185)を用いて同
じ条件で乳化し、経時的な粒子径を測定した。その結果
を表1に示す。
検体試料は40〜60分ですでに粒子径の縮少がプラトー
に達したが対照試料では60分でもこの現象は起こらなか
った。また検体試料では30分で既に43nmの粒子径となっ
たが、対照試料ではその2倍の60分の時間経過後に初め
て43nmの値を示した。
試験例2 アムホテリシンB3mg、精製大豆油0.5g及び精製卵黄レ
シチン0.4g、ジミリストイルホスファチジルグリセロー
ル0.1gをクロロホルム/メタノ−ル(1/1,v/v)混液100
ml中で混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで減
圧下溶媒を完全に除去する。これに、0.1%塩化ナトリ
ウム水溶液8mlを加え、ホモジナイザーで撹拌し粗乳化
液としたものを検体試料とした。また同様に0.9%塩化
ナトリウム水溶液(生理食塩液)を用いて粗分散液とし
たものを対照試料とした。これらをそれぞれ氷冷下、マ
イクロフルイダイザー(エア圧5kg/cm2)を用いて同じ
条件で乳化し、経時的な粒子径を測定した。その結果を
表2に示す。
検体試料は40〜60分ですでに粒子径の縮小がプラトー
に達したが対照試料では60分でもこの現象は起こらなか
った。また検体試料では20分で既に62nmの粒子径となっ
たが、対照試料ではその3倍の60分の時間経過後におい
ても69nmの値しか示さなかった。
実施例1 デキサメタゾンパルミテート3g、精製大豆油50g及び
精製卵黄レシチン20gを約60℃で加温混合し、これに、
マルトースを10%及び乳化助剤として塩化ナトリウムを
0.1%含有する水溶液500mlを加え、ホモミキサーで撹拌
し粗乳化液とする。粗乳化液をマントン−ガウリン型ホ
モジナイザーにより高圧乳化し、乳剤粒子の粒子径が10
〜100nmの乳剤を得た。このものを常法に従い凍結乾燥
した。
実施例2 ニフェジピン30mg、精製大豆油0.6g及び精製卵黄レシ
チン0.5gをクロロホルム/メタノ−ル(1/1,v/v)混液1
00mg中で混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで
減圧下溶媒を完全に除去する。これに、グルコースを5
%及び塩化ナトリウムを0.05%含有する水溶液8mlを加
え、ホモジナイザーで撹拌し粗乳化液とする。そして、
グルコースを5%及び塩化ナトリウムを0.05%含有する
水溶液を加えて10mlに定容した後、氷冷下、超音波ホモ
ジナイザー(ブランソン モデル185)で30分間乳化
し、乳剤粒子の粒子径が10〜100nmの乳剤を得た。この
ものを常法に従い凍結乾燥した。
実施例3 アムホテリシンB30mg、精製大豆油5g及び精製卵黄レ
シチン5gを乳鉢で練合均質化し、これにマルトースを10
g加え更に練合する。これに注射用水80mlを加えてポリ
トロンホモジナイザーで撹拌し、粗乳化液とする。この
ものに塩化ナトリウム10mgを乳化助剤として加え、溶解
したのち注射用水を加えて100mlに定容し、氷冷下、マ
イクロフルイダイザーで乳化し、乳剤粒子の粒子径が10
〜100nmの乳剤を得た。このものを常法に従い凍結乾燥
した。乾燥ケーキの状態はきわめて良好で一切の欠け、
割れ、収縮等の不良は認められなかった。そして、注射
用水を添加して再溶解したところ、溶解はきわめて速や
かに終了し、溶解後の乳剤粒子の粒子径に全く変化は認
められず完全に復元した。
実施例4 ミコナゾール2g、精製大豆油20g及び精製卵黄レシチ
ン30gを約60℃で加温混合し、これにスークロースを20
%及び塩化ナトリウムを0.07%含有する水溶液を加えて
100mlに定容した後、ホモミキサーで撹拌し粗乳化液と
する。そして、粗乳化液をマイクロフルイダイザーによ
り高圧乳化し、乳剤粒子の粒子径が10〜100nmの乳剤を
得た。このものを常法に従い凍結乾燥した。
実施例5 シクロスポリンA1mg、コレステリルオレート0.5g及び
精製卵黄レシチン0.5gをクロロホルム/メタノール(1/
1,v/v)混液100ml中で混合溶解した後、ロータリーエバ
ポレーターで減圧下溶媒を完全に除去する。これに、ト
レハロースを5%及び塩化ナトリウムを0.03%含有する
水溶液8mlを加え、ホモジナイザーで撹拌し粗乳化液と
する。そして、トレハロースを5%及び塩化ナトリウム
を0.03%含有する水溶液を加えて10mlに定容した後、超
音波ホモジナイザー(ブランソン モデル185)で60分
間乳化し、乳剤粒子の粒子径が10〜100nmの乳剤を得
た。このものを常法に従い凍結乾燥した。
実施例6 アムホテリシンB3mg、精製大豆油0.5g及び精製卵黄レ
シチン0.4g、ジミリストイルホスファチジルグリセロー
ル0.1gをクロロホルム/メタノール(1/1,v/v)混液100
ml中で混合溶解した後、ロータリーエバポレーターで減
圧下溶媒を完全に除去する。これに、0.1%塩化ナトリ
ウム水溶液8mlを加え、ホモジナイザーで撹拌し粗乳化
液とする。超音波ホモジナイザー(ブランソン モデル
185)で60分間乳化し、乳剤粒子の粒子径が10〜100nmの
乳剤を得た。このものにマルトース1gを加え溶解した
後、水を加えて10mlに定容した。このものを常法に従い
凍結乾燥した。乾燥ケーキの状態はきわめて良好であり
一切の欠け、割れ、収縮等は認められなかった。そし
て、注射用水を添加して再溶解したところ、溶解はきわ
めて速やかに終了し、溶解後の乳剤粒子の粒子径に全く
変化は認められず完全に復元した。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全体の0.5〜30%(w/v)の単純脂質、単純
    脂質の0.15〜2倍量(重量比)のリン脂質、及び、適当
    量の水、の3成分を必須の構成成分として含有すること
    を特徴とする平均粒子径が10nmから100nmの乳剤粒子に
    係る脂肪乳剤を製造するにあたって、全体の0.01%から
    0.2%(w/v)の塩化ナトリウムを乳化助剤として使用す
    ることを特徴とする脂肪乳剤の製造法。
  2. 【請求項2】薬物を含有する請求項1記載の脂肪乳剤を
    製造するにあたって、全体の0.01%〜0.2%(w/v)の塩
    化ナトリウムを乳化助剤として使用することを特徴とす
    る脂肪乳剤の製造法。
  3. 【請求項3】リン脂質が単純脂質の0.8〜1.2倍量(重量
    比)である請求項1又は2記載の脂肪乳剤の製造法。
  4. 【請求項4】単純脂質が精製大豆油、綿実油、菜種油又
    は胡麻油であり、リン脂質がホスファチジルコリン、ホ
    スファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリ
    ン、ホスファチジルイノシトール若しくは卵黄精製レシ
    チン又はこれらの水素添加物である請求項1乃至3記載
    の脂肪乳剤の製造法。
  5. 【請求項5】薬物が抗炎症剤、鎮痛剤、抗アレルギー
    剤、抗生物質、化学療法剤、抗癌剤、抗ウイルス剤、抗
    動脈硬化剤、抗脂血症治療剤、抗潰瘍剤、免疫調節剤、
    ワクチン類、ラジカル除去剤、気管支拡張剤、睡眠剤、
    トランキライザー、局所麻酔剤、プロスタグランディン
    剤、抗ヒスタミン剤、肝障害改善剤、中枢神経作用薬、
    抗コリン剤、副交換神経遮断剤、カルシウムブロッカ
    ー、α−ブロッカー、鎮咳剤、前立腺肥大治療剤、緑内
    症治療薬、平滑筋作用薬、アミノ酸、ビタミン類、グア
    イアズレン、精油性生薬又は診断薬である請求項2乃至
    4記載の脂肪乳剤の製造法。
  6. 【請求項6】薬物がアムホテリシンBである請求項2乃
    至4記載の脂肪乳剤の製造法。
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