JP2615185B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、車両用交流発電機の冷却性の改良に関す
るものである。

〔従来の技術〕

第６図は、従来の車両用交流発電機を示す断面図であ
り、図において、（１）（２）は椀状を成した一対の第
1,第２のブラケツト、（３）はステータであり、ステー
タコア（3a）および前記ステータコア（3a）に巻回され
たステータコイル（3b）からなり，ステータ（３）の外
縁両端部に、一対の第１および第２のブラケツト
（１），（２）の開口端を各々嵌合し、ボルト（19）に
より締め付け固定することによつて前記ステータ（３）
を前記第１および第２のブラケツト（１），（２）間に
挾持し，かつ、一対の前記第１および第２のブラケツト
（１），（２）の中央に形成された円筒状のベアリング
ボツクス（1a）（2a）に嵌合固定した各々のベアリング
（４），（５）の芯出しを行なつている。（６）は前記
両ベアリング（４），（５）に回転自在に支持されたシ
ヤフト、（７）（８）は前記シヤフト（６）に固定され
前記ステータ（３）の内側に位置するポールコア，
（９）は前記ポールコア（７），（８）の内周に挾持さ
れた励磁コイル，（10a）（10b）は前記ポールコア
（７）（８）の両端面に固定され前記シヤフト（６）の
回転に伴なつて、一体で回転する一対のフアン、（12）
は前記シヤフト（６）に固定されて前記励磁コイル
（９）に通電するスリツプリング，（11）はロータであ
り、前記シヤフト（６），ポールコア（７）（８），励
磁コイル（９），フアン（10a）（10b），スリツプリン
グ（12）から構成されている。（13）は給電用の集電装
置で、前記スリツプリング（12）に摺接するブラシ（13
a）を内部に保持し前記ブラケツト（２）の内側端面に
装着されている。（14）はステータコイル（3b）に誘起
された交流電流を整流して直流電流に変換する整流器，
（15）は直流電圧を検出し励磁電流を制御して端子電圧
を所定の値に調整する電圧調整器である。（101）（20
1）は前記第１および第２のブラケツト（１），（２）
の軸方向端部に各々形成された吸入孔，（102）（202）
は前記第１および第２のブラケツト（１），（２）の外
周筒状部で開口端近くに各々形成された吐出孔，（16）
（17）は前記吸入孔（101），（201）に各々隣接し前記
シヤフト（６）に固定されている第１のプーリ及び第２
のプーリである。

次に従来装置の動作について説明する。

まず、図示していない機関から、プーリ（16）に加えら
れる駆動力によりシヤフト（６）が回転すると、ロータ
（11）の両端面に各々固定したフアン（10a），（10b）
の作用によつて吸入孔（101）および（201）から冷却風
が矢印a,矢印ｂのように吸入される。

吸入された矢印ａの冷却風は、ベアリング（４），ポ
ールコア（７），励磁コイル（９）およびステータコイ
ル（3b）を冷却して、吐出孔（102）から吐出される。
一方，吸入された矢印ｂの冷却風は、電圧調整器（15）
および整流器（14）を冷却しさらにポールコア（８），
励磁コイル（９），ステータコイル（3b）を冷却して吐
出孔（202）から吐出されるが、プーリ（17）が大径で
ある場合このプーリ（17）が吸気孔（201）の大部分を
覆つてしまうので、矢印ｂ′のようにブラケツト（２）
の表面に沿つた空気の移動が発生し、ブラケツト（２）
表面からの受熱によつてこの矢印ｂ′の空気は温度が上
昇してしまい、結果的に、この温度が高くなつた空気が
冷却風として矢印ｂのように吸入口（201）から吸入さ
れることになる。プーリ（17）は、シヤフト（６）を介
して他の補機類に動力を伝達する為のものである。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来の車両用交流発電機は以上のように構成されてい
るので、矢印ｂの冷却風は温度が高く、冷却すべき整流
器（14）及び電圧調整器（15）を充分に冷却することが
困難になるという問題点があつた。

この発明は、上記のような問題点を解消するためにな
されたもので、構造を大幅に変えることなく、構造が簡
単で、しかも吸入孔から吸入される冷却風の温度を大幅
に低減することができ、整流器及び電圧調整器を充分に
冷却することができる車両用交流発電機を提供すること
を目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

この発明は、プーリの内側部に通風孔を設け、さらに
この通風孔を通して冷却風をプーリ端面の片方側から他
方側へ強制的に移動させるようにするため、上記通風孔
の近傍にプーリと一体的に軸流フアンを固定すると共に
この軸流ファンの回転による冷却風をブラケットの少な
くとも何れか一方の吸入孔に導く軸方向へ突出した筒状
のフードをプーリに一体的に設けたもので、更には上記
軸流フアンの反対側の装着部に軸方向に突出した筒状の
フードを設けたものである。

〔作用〕

この発明のものでは、軸流フアンによる冷却風をプー
リの内側部に設けた通風孔を介してブラケツト等の吸入
孔へ強制的に移動させ、プーリが存在しても冷却風を良
好に発電機の吸入孔へ導くことができる。更に、筒状の
フードにより、強制的に移動してきた冷却風が径方向に
飛散することなく、軸方向の吸入孔へ効率的に導かれ
る。

〔発明の実施例〕

以下、この発明の一実施例を第１図，第２図および第
３図において説明する。第１図はこの発明による車両用
交流発電機の一実施例を示す縦断面図で、第２図は、第
１図の第２のプーリ（17）側から見た正面図、第３図
（ａ）（ｂ）は軸流フアンの作用を説明するに供する模
式図であり、第１図において、（17）はリヤ側の補機駆
動用のプーリで、内側部に通風孔（17a）と、この孔よ
り大径となる如く軸方向に突出した円筒状のフード（17
b）を設けている。（18）は軸流フアンで、前記プーリ
（17）の前記フード（17b）とは反対側端面に前記通風
孔（17a）と近隣して前記プーリ（17）と一体的に固定
されている。

第３図に示すように、前記軸流フアン（18）のブレード
（18a）は前記プーリ（17）の内側端面とθ°の角度を
形成しており、この角度θ°が、10°≦θ°≦90°の範
囲の時に軸流フアンとしての効果があるがθ°＝45°±
15°の範囲内の時に軸流フアンとして最も効果がある。

第２図及び第３図において、前記軸流フアン（18）が
前記プーリ（17）と一体で矢印Ａの方向に回転すると、
第１図の矢印Ｃのように冷却風が通風孔（17a）に押し
込まれ、吸入孔（201）の近傍にこの矢印Ｃの冷却風が
導かれる為、前記従来装置のように前記ブラケツト
（２）の表面から受熱によつて温められた冷却風が吸入
孔（201）に導かれることが無くなる。したがつて電圧
調整器（15）及び整流器（14）を充分に冷却することが
できる。ここで、フード（17b）の役割は、前記軸流フ
アン（18）によつて前記通風孔（17a）に押し込まれた
矢印Ｃの冷却風が遠心力によつて径方向に飛散すること
を防止し、かつ、軸方向に導いて前記吸入孔（201）の
近傍まで効率良く導くことであり、さらに、前記ブラケ
ツト（２）からの受熱によつて温められた矢印ｂ′の冷
却風が吸入孔（201）へ導かれるのを遮断する効果があ
る。このフード（17b）の内径は、大きすぎても小さす
ぎても効果は小さく、前記吸入孔（201）が位置する範
囲に重なつている場合が最も効果が高い。

以上のように、本発明の構造を採用したことによつ
て、比較的温度が低い矢印Ｃの冷却風が、前記吸入孔
（201）に導かれる為、前記矢印ｂの冷却風の吸入時温
度を約20〔℃〕低減することができ、整流器（14）及び
電圧調整器（15）を充分に冷却することができ、大幅な
温度低減を達成することができた。

なお、上記実施例では、プーリ（17）及び軸流フアン
（18）を第２のブラケツト（２）の側に装着したものを
示したが、第４図のようにプーリ（20），通風孔（20
a）、フード（20b）、及び軸流フアン（21）を第１のブ
ラケツト（１）の側に装着した場合でも、ベアリング
（４），励磁コイル（９）及びステータコイル（3b）の
温度低減に大きな効果がある。また，第５図のように、
第1,第２のブラケツト（１），（２）の側それぞれに、
通風孔（17a）（20a）とフード（17b）（20b）とを有す
るプーリ（17），（20）及び軸流フアン（18），（21）
を装着しても良い。

また、上述ではプーリとして、一溝タイプのものを例
示したが、ポリＶプーリにも応用でき、その場合、ポリ
Ｖプーリではその軸方向長さを比較的長く形成できるの
で、フードを特別に形成する必要がなくなる。更に上述
ではプーリの反ブラケツト面側に軸流フアンを設けるも
のを例示したが、軸流フアンはプーリのブラケツト側面
に装着することも可能である。

〔発明の効果〕

以上のように、この発明によれば、プーリの内側部に
通風孔を設け、かつこの通風孔の近傍に上記プーリと一
体的に軸流フアンを固定することにより、温度の低い冷
却風をブラケツト等の吸入孔に良好に導くことができ、
温度低減が達成できたので、大幅な構造変更をせず、性
能，品質等を向上したものが得られるという効果があ
る。

また、上記の構成に加えて、プーリに、軸流フアンの回
転による冷却風を各ブラケットの少なくとも何れか一方
の吸入孔に導く如く軸方向へ突出した筒状のフードを設
けることにより、温度の低い冷却風を吸入孔に一層効率
良く導くことができ、更に大幅な温度低減ができる効果
を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例による車両用交流発電機の
縦断面図，第２図は第１図の第２のプーリ（17）側から
見た正面図，第３図（ａ）（ｂ）は軸流フアンの作用を
説明するに供する模式図，第４図及び第５図は各々本発
明の他の実施例を示す縦断面図，第６図は従来の交流発
電機の縦断面図である。図中，（１）（２）は第1,第２
のブラケツト，（３）はステータ，（3a）はステータコ
ア，（3b）ステータコイル，（６）はシヤフト，（11）
はロータ，（14）は整流器，（15）は電圧調整器，（1
6）（17）（20）はプーリ，（17a）（20a）は通風孔，
（17b）（20b）はフード，（18）（21）は軸流フアン，
（101）（201）は吸入孔，（102）（202）は吐出孔であ
る。 尚、図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小紫 啓一 兵庫県姫路市千代田町840番地 三菱電 機株式会社姫路製作所内 (72)発明者 矢野 剛 兵庫県姫路市定元町６番地 三菱電機エ ンジニアリング株式会社姫路事業所内 (56)参考文献 実開 昭51−4906（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】各々椀状を呈し互いに軸方向に対向して設
   けられた第１のブラケットと第２のブラケット、これら
   のブラケットのいずれか一方に装着された整流器と電圧
   調整器、上記各ブラケットの少なくともいずれか一方に
   装着されたステータコアとこのステータコアに巻回され
   たステータコイルとを有するステータ、このステータの
   内周部に配置され、かつ、上記各ブラケットに回転可能
   に支承されたロータ、上記各ブラケットの少なくともい
   ずれか一方の側で上記ロータのシャフト部分と一体に固
   定され内側部に通風孔を有するプーリ、上記通風孔の近
   傍に上記プーリと一体的に固定された軸流ファン、及び
   上記プーリに一体的に設けられ上記軸流ファンの回転に
   よる冷却風を上記各ブラケットの少なくとも何れか一方
   の吸入孔に導く軸方向へ突出した筒状のフードを備えた
   車両用交流発電機。
2. 【請求項２】上記プーリの上記軸流ファンの固定された
   端面とは反対側の端面に軸方向に突出した筒状のフード
   を設けるようにした特許請求の範囲第１項記載の車両用
   交流発電機。