JP2613538B2 - さく岩機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、岩盤等に穿孔したり、
製鉄所の出銑開口機に使用されるさく岩機に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】前後に移動するピストンを摺動自在に保
持するシリンダと、該シリンダの前部に設けられたシャ
ンクロッド保持用のスリーブとを備え、シリンダに供給
される油圧によってピストンを前進させてシャンクロッ
ドを打撃する用に構成した油圧式さく岩機が広く使用さ
れている。シャンクロッドの先端部にはさく孔ロッドを
接合し、該さく孔ロッドの先端部にはロックビットを取
り付けて穿孔が行われる。穿孔中は、さく岩機を支持す
る支持装置に設けられたフィード装置によって該さく岩
機に推力が付与される。

【０００３】所望深さの穿孔が終了した場合には、さく
岩機を後退させて、穿孔された孔内からさく孔ロッドと
ロックビットを引き抜くが、このとき穿孔された穴内に
あるロックビットの後ろに破砕された岩石の破片が詰ま
ってビットが容易に抜けなくなる事故、いわゆるジャミ
ングが起こることが多い。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ビットの後ろに岩石の
破片が詰まってビットが抜けなくなると、穿孔作業の能
率が大幅に低下するとともに資材の無駄も生じるので、
作業者が逆向きのフィ−ド力やピストンによる打撃等を
利用して何とか引き抜くよう努力しているが、従来のさ
く岩機は、ビットに逆向きの打撃を与えることができな
いので、うまく引き抜くことができないことが多かっ
た。

【０００５】これを解決するため、シャンクロッドを前
向きに打撃したエネルギーを油圧としてアキュムレータ
に一旦蓄え、ピストンの後退時にこの油圧を利用してシ
ャンクロッドを後ろ向きに打撃することにより、引き抜
きを容易化したさく岩機も開発されているが、十分な逆
向き打撃力が得られず、機構的にも複雑となっていた。
そこで、本発明は、比較的簡単な機構で、十分な逆向き
の打撃力を得られるようにすることにより、上記穿孔後
のビットの引き抜きを容易にすることを課題としてい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成を採用した。すなわち、本
発明にかかるさく岩機は、前後に移動する打撃用のピス
トンと、該ピストンを摺動自在に保持するシリンダと、
該シリンダに供給される油圧を切り替えるバルブと、前
記シリンダの前部に設けられたシャンクロッド保持用の
スリ−ブとを備え、シリンダに供給される油圧によって
ピストンを前進させてシャンクロッド後端部を前向きに
打撃し、該打撃力により穿孔を行うさく岩機において、
前記穿孔用の油圧が供給される第２のシリンダと、該第
２のシリンダに供給される油圧を切り替えるバルブと、
前記第２のシリンダの内部に設けられ前記シャンクロッ
ドのカラ−前面を後ろ向きに打撃する中空の逆打ピスト
ンとを有する逆向き打撃装置を設けたことを特徴として
いる。

【０００７】

【作用】シャンクロッドを前向きに打撃する正打用のピ
ストンのほかに、シャンクロッドを後ろ向きに打撃する
ための逆向き打撃装置が設けられているので、ビットが
抜けなくなったときはこの逆向き打撃装置を作動させる
ことにより、ビットに十分な大きさの後ろ向きの打撃を
与えることが可能となる。このため、抜けなくなったビ
ットの引き抜きが容易となる。

【実施例】

【０００８】以下、本発明の実施例について具体的に説
明する。図１は本発明の１実施例を表すもので、このさ
く岩機１は、図４に示すように、クロ−ラ式の走行車両
２のブ−ム３に取り付けたガイドセル５に前後（図では
上下）移動自在に支持されている。ガイドセル５にはさ
く岩機送り用のフィ−ド用油圧モ−タ７と該モ−タによ
って正逆方向に送られるフィ−ドチェ−ン９が設けら
れ、さく岩機１はこのチェ−ンに取り付けたキャリッジ
プレ−ト８に取り付けられている。

【０００９】図１のさく岩機の縦断面図において、この
さく岩機１の本体１１は複数の筒体を継ぎ合わせて構成
されている。第１の筒体１１ａは正打装置１０のシリン
ダを構成するもので、そのシリンダ空所内にシリンダラ
イナ−１４が嵌装され、その内部に正打用ピストン１５
が前後に摺動自在に保持されている。この部分の構造は
公知のものである。

【００１０】正打用ピストン１５の前後方向中間部には
径の大きい大径部１５ａが設けられ、その後ろ側に筒状
のバルブ１７が前後に摺動自在に嵌合している。また、
本体１１の後端部には高圧油の入口１９と低圧油の出口
２０が設けられ、これらが油圧源にホ−スで接続されて
いる。本体の後部には正打用のアキュムレ−タ２２が設
けられている。また、本体には、ピストンを作動させる
作動油の流通路が設けられている。

【００１１】以下、この正打部の動作について図面を参
照しつつ説明する。まず、図５において、ピストン１５
は上死点に達しており、高圧ポ−ト２５からピストン後
室２６に高圧油が作用する。ピストン後室２６の受圧面
積Ａ１とピストン前室２７の受圧面積Ａ２とはＡ１＞Ａ
２の関係にあるので、ピストン後室２６に高圧ラインが
通じるとピストン後部に働く力がピストン前部に働く力
より大きくなってピストンは打撃行程に入る。

【００１２】図６において、ピストン１５は前進運動を
継続し、この間アキュムレ−タ２２は作動油の不足分を
補給する。ピストン大径部１５ａがバルブ切り替えポ−
ト２９を開き、ピストン後室の高圧はバルブ後室３０に
通じて、バルブ１７が切替を開始する。

【００１３】図７において、ピストンは打撃点に達して
打撃行程中に得た運動エネルギ−をシャンクロッド３２
に伝達し、該ロッドが破壊作業に必要な打撃エネルギ−
をロックビットに伝播する。この時点でバルブ１７は切
り替わっており、高圧ポ−ト２５を閉じて低圧ポ−ト３
５を開き、ピストン後室は低圧ラインに通じる。このた
め、ピストン後室２６の圧力は低下してピストン前部に
働く力がピストン後部に働く力より大きくなり、ピスト
ンは後退する。なお、空打ちでピストンが打撃点よりさ
らに前進すると、ピストンはポ−ト３６を閉じ、クッシ
ョン室３７を形成して停止後、後退に移る。

【００１４】図８において、ピストン１５は後退を続
け、バルブ１７はピストン大径部１５ａの後面に押され
て共に後退する。この時、ピストン後室２６の作動油は
低圧ポ−ト３９から、またバルブ後室３０の作動油はピ
ストン大径部の溝４０を経て低圧ライン２０に排出され
る。ピストン後退行程中にアキュムレ−タ２２へ高圧油
が、またアキュムレ−タ４１へ低圧油がそれぞれ蓄えら
れる。

【００１５】図９において、ピストン１５が後退を続け
ると、バルブ１７は低圧ポ−ト３５を閉じると同時に、
高圧ポ−ト２５を開いて、ピストン後室は高圧ライン１
９に通じる。低圧ポ−ト３５を閉じたピストン後室は、
ピストン１５が後退行程中に得た慣性エネルギ−で高圧
ラインにクッション室を形成し、蓄圧された油圧はアキ
ュムレ−タ２２に蓄えられる。ピストン１５がクッショ
ンによって停止する上死点に達すると、バルブ１７の切
り替えも完了して図５の状態に戻る。

【００１６】次に、本体１１の前後中間部には、シャン
クロッド３２を介してさく孔ロッドとロックビットに回
転を与える回転装置４３が設けられている。回転装置４
３は、駆動源として油圧モ−タ４４を備え、該モ−タの
出力軸に取り付けた歯車４５が中間歯車４６を介してチ
ャックドライバ４７の歯車４８に噛み合っている。

【００１７】チャックドライバ４７の内側にはシャンク
アライナ４９及びチャックブッシング５１が嵌合してお
り、該シャンクアライナの内側に前記シャンクロッド３
２のシャンク部３２ａが嵌合している。チャックドライ
バ４７はシャンクロッド３２のスプライン部３２ｂに前
後に摺動自在に嵌合するチャック５０と係合しており、
該チャックに回転を伝達する。

【００１８】なお、さく岩機本体の後端部にはウオータ
チューブを挿入する挿入孔５３が設けられており、この
部分がプラグ５４で閉塞されている。このプラグを取り
外してピストン及びシャンクロッドの貫通孔に公知のウ
オーターチューブを挿入することにより、さく孔時に水
またはエアをロックビットに供給し、吐出させることが
できる。但し、本図示例の装置は、後述のウオータース
イベル方式で水または、エアを供給している。

【００１９】さく岩機１の前部には、シャンクロッド３
２に後ろ向きの打撃を与える逆向き打撃装置６０が設け
られている。すなわち、リバースシリンダ６１の前部に
シリンダキャップ６２が設けられ、該シリンダキャップ
の内部にキャップライナー６３が設けられ、その前側に
水またはエア供給用のウオータスイベルボデイ６４が設
けられている。シリンダ６１の内部には、中空の逆打用
ピストン６５が設けられている。シャンクロッド３２
は、この逆打用ピストン６５の内部に嵌合している。６
６、６７は前後のピストンガイド、６８はガイドワッシ
ャである。

【００２０】リバ−スシリンダ６１の外周部にはコント
ロ−ルバルブ７０を内蔵するバルブケ−ス７２と左右一
対のアキュムレ−タ７４，７４が設けられ、シリンダ６
１内部と油路で結ばれている。

【００２１】以下、逆打撃装置６０の構成と動作につい
て説明する。本装置の説明では、ピストン６５の前後方
向が前記正打用ピストンのそれと反対になっている。図
１０において、ピストン６５は上死点に達しており、ポ
−ト７５からピストン後室７６に高圧油（ＨＰ）が作用
する。ピストン後室７６の受圧面積Ｓ１とピストン前室
７７の受圧面積Ｓ２とはＳ１＞Ｓ２の関係にあるので、
ピストン後室に高圧ラインが通じるとピストン後部に働
く力がピストン前部に働く力より大きくなって、ピスト
ン６５は打撃行程に転じる。

【００２２】図１１において、ピストン６５は前進運動
を継続する。この間アキュムレ−タ７４は、不足分の作
動油を補給する。ピストンが更に前進し、その大径部６
５ａがバルブ切替ポ−ト７８を開き、低圧ライン（Ｌ
Ｐ）のポ−ト７９と通じると、バルブ切替室８０が低圧
となり、バルブ７０が切替を開始する。

【００２３】図１２において、ピストン６５は打撃点に
達し、打撃行程中に得た運動エネルギ−をシャンクロッ
ド３２に伝達する。この時点でバルブ７０は完全に切り
替わっており、各ポ−ト７５、７９、７８はすべて低圧
ライン（ＬＰ）と通じ、ピストン前部に働く力がピスト
ン後部に働く力より大きくなりピストンは後退行程に転
じる。なお、空打ちでピストンが打撃点よりさらに前進
すると、ピストン６５はポ−ト８２を閉じ、クッション
室８３を形成して停止した後、後退に移る。

【００２４】図１３において、ピストン６５は後退運動
を継続する。ピストンがさらに後退し、大径部がバルブ
切替ポ−ト８４を開き、高圧ライン（ＨＰ）のポ−ト８
２と通じると、バルブ切替室８０が高圧となり、バルブ
が切替を開始する。

【００２５】図１４において、ピストンが後退を続けバ
ルブが切替を継続すると、ポ−ト７５は高圧ラインと通
じて、ピストン後室に高圧油が入る。ピストン後室はピ
ストンが後退行程中に得た慣性エネルギ−で高圧ライン
にクッション室を形成し、アキュムレ−タ７４にオイル
を蓄圧する。バルブの切替も完了してピストンがクッシ
ョンによって停止する上死点に達すると、図１０の状態
に戻る。

【００２６】このさく孔装置の使用に際しては、走行車
両２によって所望の位置に移動し、シャンクロッドにさ
く孔ロッドを継ぎ合わせ、該ロッドの先端にロックビッ
トを取り付けて回転装置で回転させつつ正打用ピストン
１５で打撃を与えるとともに、フィードモータ７で前向
きの推力を与えて岩盤にさく孔する。さく孔中は、前記
ウオータースイベルボデイ６４の供給口６４ａから供給
される水またはエアがシャンクロッドの開口３２ｄから
貫通孔３２ｅに供給され、さく孔ロッドの水孔を通じて
ロックビットに送られて、孔底に吐出される。

【００２７】所望の深さのさく孔が行われたら、逆フィ
−ドをかけてさく孔ロッドとビットを孔から引き抜く
が、これらが孔内で引っ掛かって抜けなくなったとき
は、上記逆打撃装置６０を作動させる。すると、孔内の
ビットに後ろ向きの打撃が与えられるため、ビット後部
に詰まっている異物を破壊し、容易に引き抜くことがで
きるのである。

【００２８】このさく孔装置は、さく岩機に正打用の打
撃装置と独立に逆打撃装置が設けられているため、フィ
−ドに関係なく逆向きの打撃を与えることができる。こ
のため、ジャミング等の事故が生じた時、能率よくビッ
トとさく孔ロッドを引き抜くことが可能となった。

【００２９】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明にかかる
さく孔装置は、さく岩機に逆打撃装置が正打装置と独立
に設けられているので、さく孔ロッド引き抜き時にビッ
トに逆向きの打撃を適宜与えることが可能となり、さく
孔ロッドが抜けなくなる事故を効果的に防止することが
可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を表すさく岩機の縦断面図で
ある。

【図２】その平面図である。

【図３】逆打装置のバルブユニットの断面図である。

【図４】さく岩機を組み付けたさく孔装置の側面図であ
る。

【図５】正打用打撃装置の動作の説明図である。

【図６】正打用打撃装置の動作の説明図である。

【図７】正打用打撃装置の動作の説明図である。

【図８】正打用打撃装置の動作の説明図である。

【図９】正打用打撃装置の動作の説明図である。

【図１０】逆打用打撃装置の動作の説明図である。

【図１１】逆打用打撃装置の動作の説明図である。

【図１２】逆打用打撃装置の動作の説明図である。

【図１３】逆打用打撃装置の動作の説明図である。

【図１４】逆打用打撃装置の動作の説明図である。

【符号の説明】

１ さく岩機 ２ 走行車両 １５ 正打用ピストン （以下略）

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後に移動する打撃用のピストンと、該
   ピストンを摺動自在に保持するシリンダと、該シリンダ
   に供給される油圧を切り替えるバルブと、前記シリンダ
   の前部に設けられたシャンクロッド保持用のスリ−ブと
   を備え、シリンダに供給される油圧によってピストンを
   前進させてシャンクロッド後端部を前向きに打撃し、該
   打撃力により穿孔を行うさく岩機において、前記穿孔用
   の油圧が供給される第２のシリンダと、該第２のシリン
   ダに供給される油圧を切り替えるバルブと、前記第２の
   シリンダの内部に設けられ前記シャンクロッドのカラ−
   前面を後ろ向きに打撃する中空の逆打ピストンとを有す
   る逆向き打撃装置を設けたことを特徴とするさく岩機。