JP2613487B2 - レーザ走査光学系の結露防止構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、レーザ源からのレーザ光を偏向走査手段に
より走査動させるレーザ走査光学系と走査レーザ光を反
射屈折させて所定方向に導くミラーとを一つの筐体内に
配置したレーザ走査光学系の結露防止構造に関する。

［従来の技術］ 近時、図形，文字等の画像情報に基づいて変調したレ
ーザビームで帯電させた感光体（感光ドラム）上を走査
露光して静電潜像を形成し、現像（顕像化），転写，定
着などの複写工程（いわゆる電子写真法による複写工
程）を経て画像情報のハードコピーを得るレーザビーム
プリンタ装置が知られている。

レーザビームプリンタ装置は、その一例を第３図に示
す如く、その表面を静電感光体により形成した感光ドラ
ム１の周囲に、その回転方向に沿って、帯電部Ａ・露光
部Ｂ・現像部Ｃ・転写部Ｄ・クリーニング部Ｅ及除電部
Ｆを配置して構成される。

そして、帯電部Ａにより一様に帯電された感光ドラム
１表面の感光体を、露光部Ｂに於て画像情報を有するレ
ーザ光で露光することにより該感光体上に潜像を形成
し、この潜像に現像部Ｃでトナーを付着させて現像（ト
ナー像化）し、該トナー像を感光ドラム１の回転と同期
して搬送される記録紙Ｐ（被転写材）に転写部Ｄで転写
する。転写部Ｄでトナー像を転写された記録紙Ｐは、定
着器Ｇで加熱又は加圧されることによりその表面上にト
ナー像を固定（所謂定着）されて排紙されるものであ
る。

図示レーザビームプリンタ装置では、感光ドラム１の
下側に転写部Ｄを配置して該転写部Ｄの左右略水平方向
に記録紙搬送経路を形成すると共に、感光ドラム１の上
側に露光部Ｂとしての走査光学系10を配置して構成され
ている。

走査光学系10は、図示しない半導体レーザからのレー
ザビームLBを偏向走査手段であるポリゴンミラー12で反
復偏向させ、この反復偏向されるレーザビームをｆθレ
ンズ13によって走査面（感光ドラム１表面）上に於る走
査速度が偏向角に比例した等速となるよう補正すると共
に、光路屈曲ミラー16によって光路を屈曲させて感光ド
ラム１に向かわせるように構成されている。この走査光
学系10からのレーザビームLBは、感光ドラム１上をその
回転軸方向に主走査し、感光ドラム１はレーザビームに
よる主走査と同期して回転（副走査）するようになって
いるものである。

このような走査光学系10は、個々の光学部品を高い精
度で設置しなけらばならず、又、塵埃等侵入・付着を嫌
う為、密閉された筐体内に配置構成されるのが一般的で
ある。

尚、ポリゴンミラー12から感光ドラム１に至るレーザ
ビーム光路長は、装置全体をコンパクトに構成する為に
はできるだけ短くすることが望ましい一方、レンズ系の
収差とコストの点からはできるだけ長くすることが望ま
しいものである。

［従来技術の課題］ ところで、上記従来の如く感光ドラム１の上側に走査
光学系10を配置すると共に、定着器Ｇとして最も一般的
な方式である加熱されたローラ（ヒートローラ）に未定
着の記録紙を当接押圧してトナーを加熱融着させる所謂
ヒートロール定着器を採用した場合、当該ヒートロール
定着器から発散される熱によって上方に配置された走査
光学系10の一部が加熱されることとなり、これに起因し
て特に低温高湿時には走査光学系10内部の光学部品に結
露を生じるという問題があった。

即ち、図示構成では、ポリゴンミラー12周辺が加熱さ
れて該ポリゴンミラー12周囲の空気の温度が上昇し、筐
体内の両端（ポリゴンミラー12側と光路屈曲ミラー13
側）で空気温度に差を生じ、ポリゴンミラー12の回転に
よる筐体内空気の流動によって図中矢印で示す如くポリ
ゴンミラー12周囲の暖かい空気が他端側の光路屈曲ミラ
ー16に達すると低温の光路屈曲ミラー16に触れて結露を
生じるものである。この場合、装置は作動しても走査レ
ーザビームが感光ドラム１に良好に到達しないことから
形成画像が薄くなったり結露の程度によっては画像形成
が行なわれない現象が生ずる。

又、走査光学系10は、図示しないが、画像形成に寄与
しない走査範囲の端部の走査レーザビームをミラー（レ
ーザ位置検出用ミラー）で反射させて受光素子に導き、
この受光素子によるレーザビーム検知信号を水平同期信
号としてレーザビームを変調させるように構成される
が、このレーザ位置検出用ミラーに結露が生じると、走
査レーザビームの位置検出ができない為に画像形成が全
く不能となる。

更に、記録紙装着やメンテナンスの際に図中想像線で
示す如く走査光学系部分がポリゴンミラー12側を下側と
して（高温側を下側として）揺動開成するように構成し
たような場合には、該走査光学系部分を揺動開成した際
に暖かい空気が光路屈曲ミラー16側に一気に移動（上
昇）することとなって光路屈曲ミラー16の結露が著しい
ものである。

尚、一般的な結露防止構造としては、結露が生じては
困る部品にヒータを設けて加熱する方法があるが、構造
の複雑化（電源が必要，配線が必要，温度制御が必要）
によりコストアップを招くという問題がある。

［発明の目的］ 本発明は、上記の如き事情に鑑み、感光ドラムの上側
に走査光学系を配置すると共にヒートロール定着を採用
した場合でも、簡単な構造且つ低コストで走査光学系の
結露を防止することのできるレーザ走査光学系の結露防
止構造の提供、を目的とする。

［課題を解決する為の手段］ 上記目的達成の為、本発明に係るレーザ走査光学系の
結露防止構造では、偏向走査手段を該偏向走査手段の駆
動による気流の発生を防止する気流発生防止手段で覆う
と共に、偏向走査手段とミラーとの間にレーザ光通過部
を形成した断熱部材を配置して筐体内での空気の移動を
阻止するよう構成したものである。

［発明の実施例］ 次に図面に基いて本発明の実施例を説明する。

第１図は本発明に係るレーザ走査光学系の結露防止構
造の一実施例が適用されたレーザ走査ユニットの平面
図、第２図はその縦断面相当図である。

図示レーザ走査ユニット10は、半導体レーザ11,ポリ
ゴンミラー12,fθレンズ13,ビーム位置検出用ミラー14
及びビーム位置検出用の受光阻止15をユニットベース21
上に所定の位置関係で配置して走査光学系ユニット20を
構成し、該走査光学系ユニット20を平面形状長方形で所
定深さの箱状のケース30内の一端側所定位置に配置する
と共に、ケース30の他端側に走査光学系ユニット20から
の走査レーザビームを反射して光路を屈曲させてケース
30の底部所定位置に形成された窓31を介して外部に出射
させる光路屈曲ミラー16が配置されている。尚、第１図
には示していないが、ケース30の上面はカバー31によっ
て塞がれるようになっているものである。

走査光学系ユニット20は、一端部に配置されたポリゴ
ンミラー12を要（かなめ）位置とする略レーザビームの
走査範囲の扇状を呈しており、該扇状の一方側方に、半
導体レーザ11とビーム位置検出用ミラー14が配置され、
他方の側部にはビーム位置検出用の受光素子15が配置さ
れている。

半導体レーザ11から出射されたレーザビームは、回転
駆動されるポリゴンミラー12によって走査動され、ｆθ
レンズ13を介して光路屈曲ミラー16に至り、該光路屈曲
ミラー16によって反射屈折されて窓30Aから外部（図示
しない感光ドラム）に向かって出射されるようになって
いる。又、画像形成に寄与しない走査範囲端部の走査レ
ーザビームがビーム位置検出用ミラー14によって反射さ
れてビーム位置検出用の受光素子15に入射してレーザビ
ーム走査位置が検出されるようになっている。

走査光学系ユニット20と光路屈曲ミラー16の間には、
ユニットベース21の前端に近接させて断熱材で形成され
た断熱部材としての所定厚さの断熱壁17が光路屈曲ミラ
ー16と平行に設けられ、該断熱壁17がケース30内を走査
光学系ユニット域と光路屈曲ミラー域とに二分するよう
になっている。

断熱壁17は、ネオクロロプレンスポンジ等の断熱性の
高い素材により形成されており、その高さ（幅）はケー
ス30の深さに略等く、長さはケース30の幅に略等しい。
又、所定位置に走査レーザビームが通過可能なスリット
17Aが開口形成されている。尚、本実施例では、ユニッ
トベース21の光路屈曲ミラー16側の端が斜めに形成され
ている為、断熱壁17と離れたユニットベース21の端部と
断熱壁17との間を連結するように断熱壁17と同様の断熱
壁19が設けられている。

更に、走査光学系ユニット20には、気流発生防止手段
としての気流防止カバー18が被せられている。

気流防止カバー18は、ポリイミドシート等の合成樹脂
素材により、略走査光学系ユニット20の外形に沿う形状
の上板18Aの前端側（レーザビーム出射側）を除く周囲
を所定高さで垂下させて周壁18Bを形成したものであ
る。

そして、周壁18Bの下面でケース30の底部上面に載置
されると共に、周壁18Bが形成されない前端が断熱壁17
に突き当てられて装着されており、上板18Aの下面は極
力走査光学系ユニット20の上面（ポリゴンミラー12の上
部）と近接するように設定されているものである。

而して、上記の如き構成によれば、ポリゴンミラー12
周囲が気流防止カバー18によって覆われている為、ポリ
ゴンミラー12の回転に起因する気流の発生が防がれる。
つまり、ポリゴンミラー12の回転により影響される空間
体積が少なく、気流防止カバー18とケース30の間にある
空間部32,33はポリゴンミラー12と隔絶されて該ポリゴ
ンミラー12の回転の影響を受けることがなく、該空間部
32,33内の空気が流動することはない。又、断熱壁17に
よって走査光学系ユニット域と光路屈曲ミラー域とが隔
絶されている為、該両域間の空気の流動も阻止される。

その結果、例えば、ポリゴンミラー12の下側にヒート
ロール定着装置が配置されて空間部32,33内の空気温度
が上昇したとしても、加熱空気が流動して光学系部品に
結露を生じさせることはなく、又、走査光学系ユニット
域内の空気が光路屈曲ミラー域に達して光路屈曲ミラー
16に結露を生じさせることも防止できるものである。

つまり、走査ユニット10内が気流防止カバー18と断熱
壁17によって仕切ることにより、各空間域間の空気流動
を規制して加熱空気が低温の光学部品に到達するとを防
いで結露を防止することができるものである。

［発明の効果］ 以上述べたように、本発明に係るレーザ走査光学系の
結露防止構造によれば、気流発生防止手段によって気流
の発生を防ぐと共に、断熱部材によってレーザ走査光学
系内の空気の流動を規制することにより、簡単な構造且
つ低コストでレーザ走査光学系を構成する光学部品への
結露を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るレーザ走査光学系の結露防止構造
の一実施例を適用したレーザ走査光学系の平面図、第２
図はその縦断面相当図、第３図は従来例としてのレーザ
ビームプリンタの概略構成図である。 16……光路屈曲ミラー（ミラー） 17……断熱壁（断熱部材） 17A……スリット（レーザ光通過部） 18……気流発生防止カバー（気流発生防止手段） 20……走査光学系ユニット（レーザ走査光学系） 30……ケース（筐体）

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】レーザ源からのレーザ光を走査動させる偏
   向走査手段と、該偏向された走査レーザ光を反射屈折さ
   せて所定方向に導く光路屈曲ミラーとを一つの密閉され
   た箱体内に配置すると共に、前記箱体の外部であって前
   記偏向走査手段の近傍に発熱源が設けられたレーザ走査
   光学系において、 前記偏向走査手段を当該偏向走査手段の駆動による気流
   の発生を防止する気流発生防止手段で覆うと共に、前記
   偏向されたレーザ光が通過するスリット部が形成された
   断熱部材を、前記偏向走査手段と前記光路屈曲ミラーと
   の間に配置することにより、前記箱体内部を２つの室に
   しきると共に、前記一方の室から他方の室へ空気が移動
   することおよび空気熱が移動することを阻止するように
   構成したことを特徴とするレーザ走査光学系の結露防止
   構造。
2. 【請求項２】前記気流発生防止手段は、前記偏向走査手
   段としてのポリゴンミラーを覆う気流防止カバーであ
   り、該気流防止カバーの前記光路屈曲ミラー側の開放端
   が前記断熱部材により閉塞されていることを特徴とする
   請求項１に記載のレーザ走査光学系の結露防止構造。