JP2612417B2 - 消化器症状改善剤 - Google Patents

消化器症状改善剤

Info

Publication number
JP2612417B2
JP2612417B2 JP6091737A JP9173794A JP2612417B2 JP 2612417 B2 JP2612417 B2 JP 2612417B2 JP 6091737 A JP6091737 A JP 6091737A JP 9173794 A JP9173794 A JP 9173794A JP 2612417 B2 JP2612417 B2 JP 2612417B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
gastrointestinal
gastric emptying
administration
agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP6091737A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0710748A (ja
Inventor
昌英 浅野
和彦 中島
和久 古濱
聡 畑中
桂子 瓦林
Original Assignee
第一製薬株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 第一製薬株式会社 filed Critical 第一製薬株式会社
Priority to JP6091737A priority Critical patent/JP2612417B2/ja
Publication of JPH0710748A publication Critical patent/JPH0710748A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2612417B2 publication Critical patent/JP2612417B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は消化器症状改善剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、慢性胃炎と診断されていた病態の
うち、消化器に器質的疾患がないにもかかわらず、上腹
部に慢性的な症状を訴える病態について、最近、ノンア
ルサーディスペプシア(Non-ulcer dyspepsia :NU
D)という概念が取り入れられ、この症状の発現は消化
管運動の異常によるものであることが解明されつつあ
る。
【0003】消化器に器質的疾患がないにもかかわら
ず、胃のもたれ、悪心、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、
胸やけ、上腹部痛、げっぷ等の消化器症状の訴えを消化
器不定愁訴というが、このような消化器不定愁訴の治療
において、従来、胃炎治療剤が用いられてきたが、治療
効果が十分でない。近年、シサプリド(消化管運動賦活
調整剤)やマレイン酸トリメブチン(消化管運動調律
剤)等の消化管運動調節剤が治療に用いられるようにな
ってきたが、これらは有効性の面で必ずしも満足すべき
ものではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上述した
既存の消化管運動調節剤よりも、優れた消化管運動調節
剤を提供するため鋭意研究を行ったところ、優れた抗潰
瘍作用を有し、抗消化性潰瘍剤として有用な化合物とし
て知られているアミノベンズアミド化合物またはその塩
(特開昭55−31027号、特開昭56−18947
号、特開昭61−267542号)が消化管運動調節作
用を有し、消化器症状改善剤あるいは消化管運動調節剤
として有用なことを見出し本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(1)
【0006】
【化2】 [式中、RおよびRは各々独立して、低級アルコキ
シル基を意味し、Rは水素原子、低級アシル基、低級
アルキル基、低級アルコキシカルボニル基または−X−
SOM(式中、Xは低級アルキレン基を、Mはアルカ
リ金属またはアルカリ土類金属を意味する。)を意味
し、Rは水素原子、ハロゲン原子または低級アルコキ
シル基を、Rはアミノ基、モルホリノ基または低級ア
ルキルアミノ基(該低級アルキルアミノ基はアルキル部
位に水酸基が置換してもよい。)を意味し、nは1〜6
の整数を意味する。]で表わされるアミノベンズアミド
化合物またはその塩を有効成分とする消化器症状改善剤
に関するものである。
【0007】更に、本発明は以下の消化器症状改善剤、
即ち、式(1)で表わされるアミノベンズアミド化合物
またはその塩を有効成分とする胃炎における消化器症状
改善剤に関するものであり、また、
【0008】式(1)で表わされるアミノベンズアミド
化合物またはその塩を有効成分とする慢性胃炎における
消化器症状改善剤に関するものである。
【0009】また、式(1)で表わされるアミノベンズ
アミド化合物またはその塩を有効成分とする消化器不定
愁訴治療に関するものであり、
【0010】更には、本発明は式(1)で表わされるア
ミノベンズアミド化合物またはその塩を有効成分とする
消化管運動調節剤に関するものであり、また、
【0011】式(1)で表わされるアミノベンズアミド
化合物またはその塩を有効成分とする胃運動調節剤に関
するものであり、また、
【0012】式(1)で表わされるアミノベンズアミド
化合物またはその塩を有効成分とする胃運動促進剤に関
するものであり、また、
【0013】式(1)で表わされるアミノベンズアミド
化合物またはその塩を有効成分とする胃排出調節剤に関
するものであり、更には、式(1)で表わされるアミノ
ベンズアミド化合物またはその塩を有効成分とする胃排
出促進剤に関するものである。
【0014】本発明は有効成分が、3−[[[2−
(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]カルバモイ
ル]メチル]アミノ−N−メチルベンズアミドである、
消化器症状改善剤、胃炎における消化器症状改善
剤、慢性胃炎における消化器症状改善剤または消化
器不定愁訴治療に関するものである。
【0015】更に、本発明は有効成分が、3−[[[2
−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]カルバモイ
ル]メチル]アミノ−N−メチルベンズアミドである、
消化管運動調節剤、胃運動調節剤、胃運動促進
剤、胃排出調節剤または胃排出促進剤に関するもの
である。
【0016】本発明にかかる消化器症状改善剤とは、消
化器不定愁訴というヒトにおける臨床症状の改善剤をい
う。
【0017】ここで、消化器不定愁訴とは、消化器に器
質的疾患がないにもかかわらず、胃のもたれ、悪心、嘔
吐、食欲不振、腹部膨満感、胸やけ、上腹部痛、げっぷ
等の消化器症状を訴える症状をいう。
【0018】胃炎における消化器症状改善剤とは、胃炎
における上記の消化器症状改善剤をいい、慢性胃炎にお
ける消化器症状改善剤とは、慢性胃炎における上記の消
化器症状改善剤をいう。
【0019】ここで、胃炎とは、胃壁の炎症疾患を総称
して胃炎と呼ぶが、主に粘膜の炎症で非特異性のものを
意味し、その経緯により急性胃炎と慢性胃炎に分けられ
る。慢性胃炎は、一般的に用いられているシンドラー
(R.Schindler)の分類によれば、表層性胃炎、萎縮性
胃炎、肥厚性胃炎に分類されている。
【0020】更に、本発明にかかる消化器不定愁訴治療
とは、上述の消化器不定愁訴の治療に有効な薬剤をい
う。
【0021】次に、本発明における消化管運動調節剤、
胃運動調節剤、胃運動促進剤、胃排出調節剤および胃排
出促進剤について説明する。
【0022】消化管運動調節とは、食道、胃、小腸及び
大腸等の消化管における運動機能の亢進およびその機能
制御をいい、ここでいう運動機能とは、例えば、胃で
は、胃内容物の排泄機能や撹拌機能等をいい、これらの
機能を調節する薬剤を消化管運動調節剤という。なお、
これらの機能は、マウス等の実験動物により、胃内容物
の指標として投与したフェノールレッドの定量により確
認されている。
【0023】胃運動調節とは、消化管の中で特に胃に限
定した運動機能の亢進および機能制御をいい、その機能
を調節する薬剤を胃運動調節剤という。特に胃運動を促
進する薬剤を胃運動促進剤という。
【0024】更に、胃排出調節とは胃の中にある食物お
よびその一部消化物等の胃内容物を幽門部から排出する
機能をいい、その機能を調節する薬剤を胃排出調節剤と
いい、特に胃排出を促進する薬剤を胃排出促進剤とい
う。
【0025】本発明にかかる消化器症状改善剤の有効成
分であるアミノベンズアミド化合物またはその塩は、既
に抗潰瘍作用が知られているが、抗潰瘍作用と本発明で
開示した消化器不定愁訴改善作用は全く別の作用であ
る。
【0026】なぜなら、本発明にかかる消化器症状改善
剤の有効成分であるアミノベンズアミド化合物またはそ
の塩の消化器不定愁訴改善作用は、消化器不定愁訴の原
因である胃排出の機能低下を改善することによりもたら
されるものである。一方、本発明にかかる消化器症状改
善剤の有効成分であるアミノベンズアミド化合物または
その塩の抗潰瘍作用は、胃粘膜の血流改善作用に基づく
ものであり(Arzneim.-Forsch./Drug Res.40(I), 3, 27
6-281, 1990)、本発明において開示された胃排出促進
作用とは直接関係はない。
【0027】更に、胃排出と潰瘍、上腹部不定愁訴等の
各種消化器疾患との関連性については、胃潰瘍における
胃排出の低下はわずかしか認められないが、上腹部不定
愁訴における胃排出能の低下は著しいことが報告されて
いる(Pharma Medica Vol. 857-63, 1990)。
【0028】従って、潰瘍と消化管運動の異常とは因果
関係が薄いが、消化器不定愁訴は消化管運動の異常に起
因すると考えられる。
【0029】また、潰瘍は器質的疾患を有するのに対し
て、消化器不定愁訴は器質的疾患を有さないことも両疾
患の大きな違いであろう。
【0030】以下に、式(1)で表されるアミノベンズ
アミド化合物における置換基について説明する。
【0031】式(1)における低級アルコキシル基とし
て、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ
基、ペンチルオキシ基およびヘキシルオキシ基等が挙げ
られる。
【0032】式(1)における低級アシル基として、ア
セチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル
基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基および
ヘキサノイル基等が挙げられる。
【0033】式(1)における低級アルキル基として、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、第三級ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基
等が挙げられる。
【0034】式(1)における低級アルキレン基とし
て、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基、アミレン基およびヘキシレン基等が挙げられる。
【0035】式(1)における低級アルキルアミノ基
は、モノ低級アルキルアミノ基またはジ低級アルキルア
ミノ基を意味し、該ジ低級アルキルアミノ基の低級アル
キル基は同一または異なっていてもよい。
【0036】式(1)で表されるアミノベンズアミド化
合物の塩としては、塩酸、硫酸等の無機酸およびピクリ
ン酸等の有機酸との酸付加塩を挙げることができる。
【0037】本発明にかかるアミノベンズアミド化合物
およびその塩は、特開昭55−31027号、特開昭5
6−18947号、特開昭61−267542号記載の
方法により製造することができる。
【0038】以下に、本発明にかかるアミノベンズアミ
ド化合物の具体的な例として、{A}から{I}の9化
合物を挙げる。
【0039】{A}3−[[[2−(3,4−ジメトキ
シフェニル)エチル]カルバモイル]メチル]アミノ−
N−メチルベンズアミド
【0040】
【化3】
【0041】{B}3−[[[2−(3,4−ジメトキ
シフェニル)エチル]カルバモイル]メチル]アミノ−
N−エチルベンズアミド
【0042】
【化4】
【0043】{C}3−[[[2−(3,4−ジメトキ
シフェニル)エチル]カルバモイル]メチル]アミノ−
N,N−ジメチルベンズアミド
【0044】
【化5】
【0045】{D}3−[[[2−(3,4−ジメトキ
シフェニル)エチル]カルバモイル]メチル]アミノ−
N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド
【0046】
【化6】
【0047】{E}1−[3−[[[2−(3,4−ジ
メトキシフェニル)エチル]カルバモイル]メチル]ア
ミノ]ベンゾイルモルホリン
【0048】
【化7】
【0049】{F}2−[[[2−(3,4−ジメトキ
シフェニル)エチル]カルバモイル]メチル]アミノ−
4−メトキシ−N−メチルベンズアミド
【0050】
【化8】
【0051】{G}2−[[[2−(3,4−ジメトキ
シフェニル)エチル]カルバモイル]メチル]アミノ−
5−メトキシ−N−メチルベンズアミド
【0052】
【化9】
【0053】{H}2−[[[2−(3,4−ジメトキ
シフェニル)エチル]カルバモイル]メチル]アミノ−
N−メチルベンズアミド
【0054】
【化10】
【0055】{I}3−[N−スルホメチル−N−
[[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]カ
ルバモイル]メチル]アミノ]ベンズアミドのナトリウ
ム塩
【0056】
【化11】
【0057】なお、本発明において、アミノベンズアミ
ド化合物の具体例の化合物名は、特開昭55−3102
7号、特開昭56−18947号、特開昭61−267
542号記載の化合物名と異なっているが、同一の化合
物である。
【0058】上記具体例中、最も代表的なものは化合物
{A}であり、一般名をエカバピド(ecabapide)とい
う。
【0059】本発明の消化器症状改善剤または消化管運
動調節剤は、胃炎、特に慢性胃炎における消化器症状の
改善剤または食道、胃、小腸及び大腸等の消化管の運動
調節剤、特に胃運動の調節剤、胃運動の促進剤、具体的
には、胃排出の調節剤、更には胃排出の促進剤として用
いられる。
【0060】本発明の消化器症状改善剤または消化管運
動調節剤は、経口または非経口的に投与することができ
るが、通常は経口投与される。
【0061】本発明の消化器症状改善剤または消化管運
動調節剤は、公知の製剤技術により種々の剤型に製剤化
することができ、製剤中には通常用いられる賦形剤、結
合剤、崩壊剤および滑沢剤等の適当な添加剤を加えるこ
とができる。
【0062】以下に、添加剤として使用できる賦形剤、
結合剤、崩壊剤および滑沢剤の例を挙げる。
【0063】使用できる賦形剤としては、乳糖、デンプ
ン、結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸等を挙げるこ
とができる。
【0064】使用できる結合剤としては、結晶セルロー
ス、マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピル
セルロースおよびポリビニルピロリドン等を挙げること
ができる。
【0065】使用できる崩壊剤としては、デンプン、カ
ルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセル
ロースカルシウム等を挙げることができる。
【0066】使用できる滑沢剤としては、タルク、ステ
アリン酸マグネシウム等を挙げることができる。
【0067】製剤中に加えることができる添加剤は、製
剤の投与量において生体に無害でなければならず、また
製剤の有効成分による治療効果を障害しないものであ
る。
【0068】本発明の消化器症状改善剤または消化管運
動調節剤の代表的な製剤としては、経口剤が挙げられ、
具体的には、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、散剤
および錠剤等が挙げられ、特に好ましくは、細粒剤およ
び錠剤を挙げることができる。
【0069】本発明の消化器症状改善剤または消化管運
動調節剤の投与量は、通常、成人1人当たり1日有効成
分が30〜600mgが適しており、好ましくは、75
〜600mg、特に好ましくは、成人1人当たり1日3
00mgである。なお、年齢、体重、症状等により適宜
投与量を増減することができる。
【0070】本発明にかかる消化器症状改善剤または消
化管運動調節剤が経口剤として提供される場合の投与時
期は、食前、食間および食後等が可能であり、1日に1
〜3回程度に分服してもよい。
【0071】本発明にかかるアミノベンズアミド化合物
およびその塩は、マウスによる急性毒性試験で示される
経口投与でのLD50値は、2g/kg以上であり、極
めて低い毒性の化合物であるため(特開昭55−310
27号、特開昭56−18947号、特開昭61−26
7542号)、人体の投与に際しては安全性の高い化
合物である。
【0072】以下に、実施例および試験例により、本発
明を具体的に更に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるべきものではない。
【0073】
【実施例】以下、実施例および試験例では化合物A:3
−[[[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]
カルバモイル]メチル]アミノ−N−メチルベンズアミ
ドを用いた。
【0074】実施例1 下記の処方により、日本薬局方製剤総則の錠剤の項に従
って、製剤し裸錠を得た。
【0075】 成分 分量 化合物A 100mg 賦形剤 73mg 崩壊剤 6mg 結合剤 7mg 滑沢剤 4mg 色素 微量 1錠合計 190mg
【0076】上記の処方により得られた裸錠に、水溶性
フィルム基剤を主体とするフィルム膜10mgをコーテ
ィングして試験用製剤とした。
【0077】実施例2 下記の処方により、日本薬局方製剤総則の錠剤の項に従
って、製剤し裸錠を得た。
【0078】 成分 分量 化合物A 100mg 賦形剤 38mg 崩壊剤 5mg 結合剤 5mg 滑沢剤 2mg 色素 微量 1錠合計 150mg
【0079】上記の処方により得られた裸錠に、水溶性
フィルム基剤を主体とするフィルム膜8mgをコーティ
ングして試験用製剤とした。
【0080】実施例3 下記の処方により、日本薬局方製剤総則の錠剤の項に従
って、製剤し裸錠を得た。
【0081】 成分 分量 化合物A 100mg 賦形剤 9mg 崩壊剤 6mg 結合剤 4mg 滑沢剤 1mg 色素 微量 1錠合計 120mg
【0082】上記の処方により得られた裸錠に、水溶性
フィルム基剤を主体とするフィルム膜7mgをコーティ
ングして試験用製剤とした。
【0083】
【試験例】試験例1 コレシストキニン誘発胃排出遅延
モデルにおける胃排出に対する作用(フェノールレッド
法): 一晩絶食させた6〜7週齢の雄性Slc:ddYマウス
(体重20〜30g、静岡実験動物)を薬剤無処置コレ
シストキニン投与群(表1に示される、No.1)、化
合物A投与後にコレシストキニンを投与する群(No.
2〜4)、陽性対照薬(シサプリド)投与後にコレシス
トキニンを投与する群(No.5)、薬剤無処置コレシ
ストキニン無処置群(No.6)に分け実験に用いた。
マウス一群は5〜15匹として用いた。
【0084】まず、フェノールレッド投与90分前に、
化合物A投与群(No.2〜4)のマウスには、0.5
%カルボキシメチルセルロースに懸濁した化合物Aの懸
濁液を、化合物A1mg/kg、3mg/kgまたは1
0mg/kg経口投与し、陽性対照薬投与群(No.
5)のマウスには、0.5%カルボキシメチルセルロー
スに懸濁したシサプリドの懸濁液を、シサプリド3mg
/kg経口投与し、薬剤無処置コレシストキニン投与群
(No.1)及び薬剤無処置コレシストキニン無処置群
(No.6)の各マウスには、0.5%カルボキシメチ
ルセルロースを経口投与した。次いで、フェノールレッ
ド投与5分前に、蒸留水に溶解後生理食塩水で希釈した
コレシストキニン(CCK8s;シグマ社製)溶液を、
各投与群のマウスにコレシストキニン5μg/kg腹腔
内投与した。1%メチルセルロースに溶解したフェノー
ルレッド溶液を、各投与群のマウスにフェノールレッド
0.2mg/0.3ml経口投与した。フェノールレッ
ド投与30分後に、マウスを頸椎脱臼により屠殺し、摘
出した胃に残存するフェノールレッドを定量して、胃排
出率(%)を次式により算出した。
【0085】胃排出率(%)=[1−(薬剤投与マウス
のフェノールレッド回収量/X)]×100 (Xは、マウスをフェノールレッド投与直後に屠殺し摘
出した胃に残存するフェノールレッド回収量の平均値を
示す。)
【0086】
【表1】
【0087】表1から明らかなように、5μg/kgの
コレシストキニンを腹腔内投与したマウスの胃排出率
は、3分の1以下に低下した。このような胃排出率が低
下したマウスに対し、1mg/kg、3mg/kgまた
は10mg/kgの化合物Aを投与することによりマウ
スの胃排出率は、用量依存的に改善した。
【0088】試験例2 ドパミン誘発胃排出遅延モデル
における胃排出に対する作用(フェノールレッド法): 一晩絶食させた6〜7週齢の雄性Slc:ddYマウス
(体重28〜32g、静岡実験動物)を薬剤無処置ドパ
ミン投与群(表2に示される、No.1)、化合物A投
与後にドパミンを投与する群(No.2〜5)、陽性対
照薬(シサプリド)投与後にドパミンを投与する群(N
o.6)、薬剤無処置ドパミン無処置群(No.7)に
分け実験に用いた。マウス一群は7匹として用いた。
【0089】まず、フェノールレッド投与90分前に、
化合物A投与群(No.2〜5)のマウスには、0.5
%カルボキシメチルセルロースに懸濁した化合物Aの懸
濁液を、化合物A0.01mg/kg、0.03mg/
kg、0.1mg/kgまたは0.3mg/kg経口投
与し、陽性対照薬投与群(No.6)のマウスには、
0.5%カルボキシメチルセルロースに懸濁したシサプ
リド懸濁液を、シサプリド3mg/kg経口投与し、薬
剤無処置ドパミン投与群(No.1)及び薬剤無処置ド
パミン無処置群(No.7)の各マウスには、0.5%
カルボキシメチルセルロースを経口投与した。次いで、
フェノールレッド投与5分前に、蒸留水に溶解後生理食
塩水で希釈したドパミン溶液を、各投与群のマウスにド
パミン30mg/kg腹腔内投与した。1%メチルセル
ロースに溶解したフェノールレッド溶液を、各投与群の
マウスに0.2mg/0.3ml経口投与した。フェノ
ールレッド投与30分後に、マウスを頸椎脱臼により屠
殺し、摘出した胃に残存するフェノールレッドを定量し
て、胃排出率(%)を次式により算出した。
【0090】胃排出率(%)=[1−(薬剤投与マウス
のフェノールレッド回収量/X)]×100 (Xは、マウスをフェノールレッド投与直後に屠殺し摘
出した胃に残存するフェノールレッド回収量の平均値を
示す。)
【0091】
【表2】
【0092】表2から明らかなように、30mg/kg
のドパミンを腹腔内投与したマウスの胃排出率は、20
分の1以下に低下した。このような胃排出率の低下した
マウスに対し、0.01mg/kg、0.03mg/k
g、0.1mg/kgまたは0.3mg/kgの化合物
Aを投与することによりマウスの胃排出率は改善した
【0093】。 試験例3 患者の自覚症状及び胃排出に及ぼす影響 胃に器質的疾患がないにもかかわらず、慢性胃炎などと
診断された患者で、慢性的に中等度以上の上腹部膨満感
を有し、かつ他の消化器症状(胃のもたれ、悪心、嘔
吐、食欲不振、胸やけ等)を有し、更に胃排出遅延を有
する患者8名を被験者とした。
【0094】被験者は、実施例1の試験用製剤を1回2
錠、1日3回(1日量 化合物Aを600mg)、朝、
昼、夕食の15〜30分前に服用し、その服用を2週間
続けた。自覚症状を服薬前及び服薬2週間後を検査し
(表3)、胃排出検査を服薬前及び服薬2週間後に行な
った(表4)。
【0095】自覚症状の検査は、服薬前及び服薬2週間
後の症状の有無により行った(表3)。
【0096】胃排出検査は、ヘディング(Heading)[B
r. J. Pharmacol. 47: 415-421,1973]らによるアセト
アミノフェン法により行った。すなわち、前夜より絶食
にし、すべての投薬を禁じた被験者に、午前9時に試験
食(流動自然食OKUNOS−A 200ml)にアセ
トアミノフェンを1.5g加え、十分攪拌して服薬さ
せ、その後は検査終了まで飲食を禁じ、座位をとらせ
た。服薬前採血、服薬45分後の採血をヘパリン加血で
行った。次に、血清を分離し、血清アセトアミノフェン
濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により
測定した(表4)。
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】表3、4から明らかなように、No.1〜
8の患者に化合物Aを投与した場合、自覚症状は2週間
の服用で完全に消失し、胃排出は8例中7例に改善が認
められた。
【0100】
【発明の効果】本発明にかかるアミノベンズアミド化合
物またはその塩は、優れた消化器症状改善作用または消
化管運動調節作用を示し、消化器症状改善剤または消化
管運動調節剤として非常に有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 309/14 7419−4H C07C 309/14 C07D 295/18 C07D 295/18 Z (72)発明者 畑中 聡 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号 第一製薬株式会社 東京研究開発センタ −内 (72)発明者 瓦林 桂子 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号 第一製薬株式会社 東京研究開発センタ −内 審査官 瀬下 浩一 (56)参考文献 特開 昭55−31027(JP,A) 特開 昭56−18947(JP,A) 特開 昭61−267542(JP,A) 特開 平1−228948(JP,A) CHEM.PHARM.BULL., VOL.40 NO.10(1992)P.2712 −2719 ARZNEIM.−FORSCH., VOL.40 NO.3(1990)P.276 −281 JPN.J.PHARMACOL., VOL.48 NO.2(1988)P.299 −302 南山堂「医学大辞典」第17版第1878頁 (1990年2月1日発行)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 [式中、RおよびRは各々独立して、低級アルコキ
    シル基を意味し、Rは水素原子、低級アシル基、低級
    アルキル基、低級アルコキシカルボニル基または−X−
    SOM(式中、Xは低級アルキレン基を、Mはアルカ
    リ金属またはアルカリ土類金属を意味する。)を意味
    し、Rは水素原子、ハロゲン原子または低級アルコキ
    シル基を意味し、Rはアミノ基、モルホリノ基または
    低級アルキルアミノ基(該低級アルキルアミノ基はアル
    キル部位に水酸基が置換してもよい。)を意味し、nは
    1〜6の整数を意味する。]で表わされるアミノベンズ
    アミド化合物またはその塩を有効成分とする胃排出促進
    剤。
  2. 【請求項2】 3−[[[2−(3,4−ジメトキシフ
    ェニル)エチル]カルバモイル]メチル]アミノ−N−
    メチルベンズアミドを有効成分とする胃排出促進剤。
JP6091737A 1993-04-28 1994-04-28 消化器症状改善剤 Expired - Lifetime JP2612417B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6091737A JP2612417B2 (ja) 1993-04-28 1994-04-28 消化器症状改善剤

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-102210 1993-04-28
JP10221093 1993-04-28
JP6091737A JP2612417B2 (ja) 1993-04-28 1994-04-28 消化器症状改善剤

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8296068A Division JP2898930B2 (ja) 1993-04-28 1996-11-08 消化器症状改善剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0710748A JPH0710748A (ja) 1995-01-13
JP2612417B2 true JP2612417B2 (ja) 1997-05-21

Family

ID=26433180

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6091737A Expired - Lifetime JP2612417B2 (ja) 1993-04-28 1994-04-28 消化器症状改善剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2612417B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5618947A (en) * 1979-07-25 1981-02-23 Dai Ichi Seiyaku Co Ltd 2- 3-carbamoylphenyamino -n- 3,4-dimethoxyphenethyl acetamide trihydrate
JPS5531027A (en) * 1978-08-25 1980-03-05 Dai Ichi Seiyaku Co Ltd N-phenetyl acetamide derivative
ZA859186B (en) * 1984-12-18 1986-08-27 Daiichi Seiyaku Co Aminobenzamide derivatives
JP2532121B2 (ja) * 1988-03-09 1996-09-11 第一製薬株式会社 ヒドロキシフェネチルアミン誘導体

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
ARZNEIM.−FORSCH.,VOL.40 NO.3(1990)P.276−281
CHEM.PHARM.BULL.,VOL.40 NO.10(1992)P.2712−2719
JPN.J.PHARMACOL.,VOL.48 NO.2(1988)P.299−302
南山堂「医学大辞典」第17版第1878頁(1990年2月1日発行)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0710748A (ja) 1995-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003531171A (ja) 高脂血症関連疾患に対する組成物および治療
JPH0372463A (ja) 腎機能改善剤
JPH0430924B2 (ja)
EP0273375B1 (en) Propiophenone derivatives for treatment of pollakiuria (frequency urination)
HU198388B (en) Process for producing pharmaceutical compositions containing amides of carboxylic acids for treating rheumatic and inflammatoric illnesses
WO1998027982A1 (fr) Composition contenant de l'acide ascorbique
JP2612417B2 (ja) 消化器症状改善剤
WO1995001780A1 (en) H2 antagonist-alginate combinations
JP2898930B2 (ja) 消化器症状改善剤
CA2177966A1 (en) Inflammatory cytokine production inhibitor containing polyprenyl derivative as active ingredient
US3995055A (en) Method for treating peptic ulcers
US5686494A (en) Pharmaceutical preparations for ameliorating epigastric functional disorders
JP2002069003A (ja) ビタミンd誘導体を含有する骨吸収抑制剤
US4517309A (en) Method for the treatment of calcifying pancreatitis
EP0863752A1 (en) Use of allylamine derivatives such as terbinafine, in the manufacture of a medicament for the treatment of helicobacter pylori infection of associated diseases
JP3083568B2 (ja) 抗リウマチ剤
JP2899740B2 (ja) 炎症性腸疾患治療剤
KR960014874B1 (ko) 요산 배출용 조성물
JPH054917A (ja) 真正糖尿病およびそれに関連した症状を治療するための医薬調剤、およびその製造法
CA2108065A1 (en) Antiarteriosclerosis agent and antihyperlipoproteinemics
EP0075845A1 (en) Uric acid-lowering composition, method and use
JP2816500B2 (ja) 抗骨粗鬆剤
JPS6358809B2 (ja)
KR920003580B1 (ko) 동맥경화증 예방 및 치료제
JP2621382B2 (ja) 尿酸排泄剤