JP2611714B2 - 超音波応用測定装置 - Google Patents

超音波応用測定装置

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JP2611714B2
JP2611714B2 JP4056756A JP5675692A JP2611714B2 JP 2611714 B2 JP2611714 B2 JP 2611714B2 JP 4056756 A JP4056756 A JP 4056756A JP 5675692 A JP5675692 A JP 5675692A JP 2611714 B2 JP2611714 B2 JP 2611714B2
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理一 村山
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁的に発生させた超
音波を応用して低炭素冷延鋼板等の金属薄板の深絞り性
評価, 厚さ測定等を行う測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電製品等の製品の外装に用い
られる冷延鋼板は一般に、プレス成形によって深絞り加
工が施されるためその加工性、特に深絞り性が重要視さ
れているが、深絞り性は鋼板が伸ばされたときに生じる
板幅方向の歪みと板厚方向の歪みとの比、所謂塑性歪み
比(ランクフォード値又はr値ともいう)によって評価
されている。
【0003】深絞り性を評価するための塑性歪み比を求
める方法としては、引張り試験を行って塑性歪み比を直
接的に求める直接法が広く用いられている。直接法で
は、鋼板から引張り試験片を採取し、引張り試験片に対
して15〜20%の伸びを与える単軸引張り試験を行い、そ
れによって生じた板幅方向の歪みと板厚方向の歪みとを
実測することによって塑性歪み比(r=ln(W/W0 )/ln
( t/t0 ),ただし、W,W0 ,t, t0 : 引き伸し前後の
試験片の板巾, 板厚) を直接的に求める。なお実際に用
いられる塑性歪み比としては、次式によって与えられる
r値の面内平均値が採用される。
【0004】
【数1】
【0005】但し、r0 :圧延方向に沿って採取した
引張り試験片による塑性歪み比 r45 :圧延方向に対して45゜方向に採取した引張り試
験片による塑性歪み比 r90 :圧延方向に対して直交する方向に採取した引張
り試験片による塑性歪み比
【0006】かかる塑性歪み比rの面内平均値(バー
r)は、それが大きいと深絞り性が高くなって深絞り性
を評価する上での指標となるが、次式によって与えられ
る塑性歪み比rの面内方位差Δrは、耳割れの発生し易
さの指標となる。 Δr=(r0 −2r45+r90)/2 …(2)
【0007】しかしこのような直接法による深絞り性評
価装置にあっては、引張り試験片の採取及び歪みの実測
に多大な時間及び労力がかかり、作業効率の低下は避け
られない。しかも原理的に破壊測定が必要となるため、
オンライン的な評価装置としては適切であるとはいい難
かった。
【0008】そこで、本発明者等はオンライン評価が可
能な非破壊測定による深絞り性の評価方法として、試料
としての鋼板の板厚方向へ伝播する超音波板波の縦波及
び2種類の横波の各伝播時間を測定し、その測定結果か
ら縦波と横波との速度比を求め、更に縦波・横波の速度
比と塑性歪み比との相関関係から塑性歪み比を求める方
法を既に提案した(特願昭62−238183号) 。
【0009】また、本発明者等は、圧延された金属薄板
中にS0 モードの超音波板波を圧延方向と圧延方向に対
して45°だけ傾斜する方向と圧延方向に対して直交する
方向との3方向に一定距離だけ伝播させ、その各伝播時
間を測定し、その測定値を用いて金属薄板の主要結晶方
位を評価する量を導出することにより塑性歪み比の面内
平均値及び面内方位差を演算し、またこの演算に際して
は金属薄板の板厚情報による補正を行い、更にメッキ金
属薄板に対してはメッキ厚さに基づく伝播時間の補正を
行って、塑性歪み比の面内平均値,面内方位差を演算す
る評価方法を提案している(特開平1−26429 号)。
【0010】上述のような評価方法をオンラインで行う
場合、接触媒体が不要な電磁超音波探触子を採用した電
磁超音波計測装置を用いるが、このような計測装置では
測定中、振動等によって試料と探触子との距離が変動す
るリフトオフ変動が生じると探触子におけるコイルのイ
ンピーダンスが変化し、測定回路系全体の回路定数も変
動することとなるほか、試料の温度変化のため超音波の
伝播速度が変化して超音波伝播時間に誤差が生じ、また
探触子自体の経時変化、所謂ドリフトのため10ns程度の
時間測定誤差が生じる。例えば時間測定値が20ns変化す
ると塑性歪み比rの面内平均値(バーr)は0.1 変化す
る。
【0011】図10は、試料と探触子のセンサ部との間の
ギャップが時間測定値,インピーダンスに与える影響を
示すグラフであり、横軸にギャップを、また縦軸には夫
々時間計測値比(ギャップが有るときの時間測定値/ギ
ャップが零のときの時間測定値),インピーダンス比 (ギ
ャップが有るときのインピーダンス/ギャップが零のと
きのインピーダンス)をとって示してある。グラフ中●
印でプロットしたのは時間計測値比を, また○印でプロ
ットしてあるのはインピーダンス比を示している。この
グラフから明らかな如く、ギャップが変化すると時間計
測値比, インピーダンス比が著しく変化することが解
る。
【0012】図11は、試料の温度と板波伝播速度との関
係を示すグラフであり、横軸に試料温度を、縦軸に試料
温度20℃の伝播速度を100 とした場合の板波伝播速度を
示している。このグラフから明らかな如く試料温度の変
化に伴って板波伝播速度が変化することが解る。ちなみ
に試料の温度が30℃変化すると塑性歪み比rの面内平均
値(バーr)は0.1 変化することが確認された。
【0013】以上のような点を改善すべく、本発明者等
は、探触子のセンサ部と試料とのギャップ変動に伴うイ
ンピーダンス変化の測定手段及び試料の温度を測定する
赤外線放射温度計を設けてセンサ部が測定した板波伝播
時間を補正する深絞り性評価装置を提案している(特開
平1−58673 号)。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところで、電磁超音波
計測装置は、朝夕,季節等によって雰囲気温度が変動す
る。さらに、電磁超音波探触子の板波発生用の磁化コイ
ルの発熱が雰囲気温度の変動要因となっている。図12
(a) は雰囲気温度が鋼板の温度に与える影響を示すグラ
フであって、横軸に雰囲気温度を、縦軸に板温をとって
その関係を示し、また図12(b) は雰囲気温度と磁化コイ
ル温度との関係を示すグラフであって、横軸に雰囲気温
度を、縦軸に磁化コイル温度をとってその関係を示して
いる。
【0015】従って、従来の電磁超音波計測装置では鋼
板温度を赤外線放射温度計で測定して音速を補償してい
るが、赤外線放射温度計は1000℃以上の温度測定に適し
た温度計であって熱間圧延材の温度測定には有効であっ
ても1000℃以下では測定精度が低いので、冷間圧延材又
は連続焼鈍炉出側に配された電磁超音波計測装置に達す
るまでにすでに 100℃以内に冷えた鋼板の温度等の常温
域の温度測定には不適当である。
【0016】図13(a) は板温と超音波板波の音速変化と
の関係を示すグラフであって、横軸に板温を、縦軸に音
速変化をとって示している。また、図13(b) は磁化コイ
ル温度と測定値の変化との関係を示すグラフであって、
横軸に磁化コイル温度を、縦軸に測定値変化をとって示
している。
【0017】グラフから明らかなように、試料の温度変
動に伴って超音波板波の音速が変動するので、r 値の変
動を超音波板波の音速に基づいて計測する場合、温度変
動に基づいて音速を補正しなければr値に誤差が生じ
る。また、磁化コイルの発熱によって電磁超音波探触子
の受信プローブコイルの特性が変化して測定値が変動す
る。
【0018】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであって、被測定材の温度を間接的に求
めて常温域にある被測定材においても雰囲気温度の影響
による測定値の誤差を補正可能となし、また、雰囲気温
度による電磁超音波探触子の受信子の特性変化に伴う測
定値の誤差を補正することにより、広範囲の被測定材に
対して超音波を応用した非破壊的なオンライン測定をよ
り正確に行うことができる測定装置の提供を目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超音波応用
測定装置は、磁化コイルによって発生された超音波の被
測定材中における伝播時間を受信プローブで測定し、該
伝播時間に基づいて被測定材の特性を測定する超音波応
用の測定装置において、前記磁化コイルの温度を測定す
る手段と、予め求められている磁化コイルの温度と被測
定材の温度との相関関係に基づき被測定材の温度を求め
る手段と、該手段により求まる被測定材の温度に基づ
き、測定した前記伝播時間を補正する手段とを備えたこ
とを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明に係る超音波応用測定装置は、その発熱
によって探触子近傍の雰囲気温度に影響を与える超音波
発生用の磁化コイルの温度を測定し、この磁化コイルの
温度を用いて、あらかじめ求めてある磁化コイルの温度
と被測定材の温度との相関関係から被測定材の温度を求
め、被測定材の温度変動に伴う被測定材中の超音波の伝
播時間を補正し、補正した超音波の伝播時間に基づいて
塑性歪み比等を求める。
【0021】
【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図面に基づ
いて具体的に説明する。図1は本発明に係る深絞り性評
価装置 (以下発明装置という) を製板ラインに適用した
場合の模式的側面図であり、図中1は本発明装置、Aは
被測定材たる試料としての冷延鋼板である。本発明装置
1はルーパを経た試料Aが次の工程に搬送される途中に
配設され、試料Aの両側には試料Aに適正な張力を付与
するピンチロールR1 , R2 が設置されている。
【0022】本発明装置1は電磁超音波探触子を用いた
EMATセンサ2と評価装置本体3とからなり、EMATセンサ
2は試料Aに磁界を印加する磁化コイル, 試料A表面に
渦電流を発生させる送信プローブコイル及び超音波板波
を受信する受信プローブコイルからなり、EMATセンサ2
の磁化コイルにはその温度を測定する熱電対4が付設さ
れている。
【0023】図2は前記EMATセンサ2の模式的平面図で
あり、EMATセンサ2は図2に示す如く、試料Aの圧延方
向へ一定距離Lだけ伝播する超音波板波をその磁化コイ
ル及び送受プローブコイルによって送受する探触子11
と、試料Aの圧延方向に対して45゜だけ傾斜する方向へ
一定距離Lだけ伝播する超音波板波を送受する探触子12
と、試料Aの圧延方向に対して直交する方向へ一定距離
Lだけ伝播する超音波板波を送受する探触子13とからな
る。
【0024】各探触子11,12, 13の構造は実質的に同じ
であり、圧延方向の伝播板波の探触子11を代表としてそ
の断面構造をみると図3に示す如くである。探触子11は
超音波板波を送信する送信プローブ11a と、それを受信
する受信プローブ11b とをその相互離隔距離が一定距離
Lとなるように固定軸にて連結された構造となってお
り、送信プローブ11a 及び受信プローブ11b が試料Aに
対向して配置される。
【0025】送受信プローブ11a,11b は磁石11am,11bm
にそれぞれプローブコイル11ap,11bpが重なった構造と
なっており、プローブコイル11apにパルサ21よりパルス
電流が印加されると薄板表面に渦電流が誘起され、この
誘起渦電流と磁石11amより発生する磁場との相互作用に
より磁歪力が発生する。プローブコイル11apはその流れ
る電流が発生させる板波の波長の1/2 毎に向きが変わる
ようになっており、前記磁歪力は結局、半波長毎に力の
向きを180 ゜変えて発生するため、この力により所定の
波長の板波が発生する。発生した板波は薄板中を伝播し
た後、受信側プローブコイル11bpによって同様の原理に
よって電気信号に変換された後、レシーバ31を経て時間
測定部43でその伝播時間が測定される。
【0026】そしてこれらの探触子11,12及び13は、図
2に示す如く、試料A上にその圧延方向に対する角度が
夫々所定角度(探触子11は0゜、探触子12は45゜、探触
子13は90゜) となるように配置される。なお、各探触子
11,12,13の固定軸が相互干渉するのを回避するためには
その高さを相互に異ならせるとよい。また別の手段を用
いて距離固定を実施してもよい。
【0027】図4は本発明装置のブロック図であり、各
探触子11,12,13における各送信プローブ11a,12a,13a は
夫々パルサ21,22,23に、また各受信プローブ11b,12b,13
b は夫々レシーバ31,32,33に接続されている。各パルサ
21,22,23は切替器5を介在させてトリガ回路6に接続さ
れており、トリガ回路6から発せられるトリガ信号は切
替器5を介して順次的にパルサ21,22,23に入力され送信
プローブ11a,12a,13aから試料Aの表面に超音波を発振
せしめるべく信号が出力されるようになっている。
【0028】レシーバ31,32,33は切替器9を介在させて
アンプ41に接続されている。切替器9は基準時間信号発
生器8に接続されており、基準時間信号発生器8からの
基準時間信号に基づいて切替器9が作動され、各レシー
バ31,32,33の信号は選択的にアンプ41に出力されるよう
になっている。アンプ41で増幅された信号はフィルタ42
を経て時間測定部43へ出力される。
【0029】時間測定部43はフィルタ42を経た各レシー
バ31,32,33からの信号を順次取り込み、前記3種類の超
音波板波が一定距離Lだけ伝播するのに要する伝播時間
0,T45,T90を個々に算出し、これを信号処理部44
へ出力する。
【0030】信号処理部44は時間測定部43から入力され
た超音波板波の伝播時間、距離計15から入力される試料
と探触子との距離、熱電対4から入力される磁化コイル
の温度、基準時間信号発生器8から入力される基準時間
信号及び上位CPU 14から入力される板厚情報, 探傷周波
数情報に基づいて、時間測定部43による伝播時間の測定
値を補正した後、試料Aの結晶方位分布関数の展開係数
400 ,W440 を求め、さらにそのデータを用いて塑性
歪み比rの面内平均値(バーr)及び面内方位差Δrを
求める。信号処理部44にて求められた結果は表示器45に
表示されるようになっている。
【0031】図5は信号処理部44において行なわれる主
要な信号処理過程を示すフローチャートであり、時間測
定部43から超音波板波の伝播時間測定値が入力されると
(S1)、測定開始後所定の時間を経過したか否かを判断
し(S2)、経過しているときは時間の校正を行う (S3
)。
【0032】即ち基準時間信号発生器8からの基準時間
信号を所定時間毎、例えば予め経験的に得ている特に測
定機器についてドリフト変動が生じる虞れのある時間毎
に信号処理部44に取り込み、これに基づいて切換器5か
ら信号処理部44に入力される迄の時間についての校正を
行う。また所定時間経過していないときはリフトオフ補
正を行う (S4) 。即ち信号処理部44においては距離計15
からのギャップデータに基づき、センサ部のリフトオフ
変動量を算出し、このリフトオフ変動量に応じて伝播時
間を補正する。
【0033】次いでこのようなリフトオフ補正した各伝
播時間について試料温度補正を行う(S5) 。即ち熱電対
4で得た磁化コイルの温度情報から、あらかじめ求めら
れている磁化コイルの温度と試料温度との相関関係に従
って試料温度を推定し、試料温度の変動に起因する超音
波板波の音速の変化がもたらす板波伝播時間の変化によ
る誤差を補正する。
【0034】そして信号処理部44は上述した如き各補正
後の板波の伝播時間T0 ,T45,T90のデータ (ステッ
プS6) を用いて先ず(1/T0 +2/T45+1/T90) 及び
(1/T0 −2/T45+1/T90) を演算し、更にその演算結
果を用いて試料Aの結晶方位分布関数の展開係数
400 ,W440 を求める (ステップS7) 。そして上述の
如く求められた展開係数W400 ,W440 に関するデータ
を用いて塑性歪み比rの面内平均値(バーr)及び面内
方位差Δrを求め (S8) 、その結果を表示器45に表示し
(S9) 、試料Aの終端に達したか否かを判断し(S10)、
終端に達していないときはステップS1に戻って前述した
過程を反復する。
【0035】また、あらかじめ求められている磁化コイ
ルの温度と、磁化コイルの温度の影響を受けてその特性
が変化する受信プローブのプローブコイルによる測定値
の誤差との相関関係に基づいて、熱電対4により測定し
た磁化コイルの温度から受信プローブコイルによる測定
値の誤差量を求め、前述のステップS5において試料温度
補正した伝播時間の測定値をさらに補正してその誤差を
補償することも可能である。
【0036】次に、前記信号処理部44にて行われる演算
内容について具体的に説明する。まず、試料Aの結晶方
位分布を考えるに、その結晶方位分布関数F(ξ,ψ,
φ)は次式にて表される。
【0037】
【数2】
【0038】但し、ξ,ψ,φ:結晶軸と試料に固定し
た軸との間の関係を示すオイラー角 Zlmn :展開関数 Wlmn :展開係数
【0039】そして試料Aが立方晶の結晶からなる直交
異方性を持つ斜方晶系とすると、試料Aの板厚に対して
十分に低い(板厚に対して音速の分散性がない)周波数
のS0 モードの超音波板波の速度は、試料の板厚,探傷
周波数を考慮しない場合、次式にて計算される。
【0040】
【数3】
【0041】但し、VS ( θ) :S0 モードの超音波板
波の速度 ρ :試料Aの密度 μ,λ:ラメの定数 C :弾性定数 θ :超音波板波の伝播方向と圧延方向とがなす角度 そして
【0042】
【数4】
【0043】とした場合、前記(4) 式は次式の如く変形
される。
【0044】
【数5】
【0045】(4) 式, (5) 式中に表れる展開係数
400 , W440 は、(1/T0 +2/T45+1/T90
及び(1/T0 −2/T45+1/T90)の値との間で、
例えば下記(6) 式, (7) 式に示す如く1次対応の関係が
あり、その関係を用いると前記展開係数W400 , W440
は容易に演算される。
【0046】
【数6】
【0047】但し、
【0048】
【数7】
【0049】そして、前記展開係数W400 と塑性歪み比
rの面内平均値(バーr)とは一定の相関関係を示し、
かかる相関関係に基づき、展開係数W400 から塑性歪み
比rの面内平均値(バーr)が換算される。物理的には
このW400 は、集合組織の主要方位成分の体積分率に対
応するもので、{111 }集合組織が支配的な冷延鋼板で
は{111 }面の体積分率に対応し、即ち組成歪み比の面
内平均値(バーr)に対応することとなる。また前記展
開係数W440 と塑性歪み比rの面内方位差Δrとは一定
の相関関係を示し、かかる相関関係に基づき、展開係数
440 から塑性歪み比rの面内方位差Δrが換算され
る。
【0050】また、測定値T0,T45,T90より伝播距離
Lを用いてVS (0) 2 ,VS (45)2, VS (90)2 を演算
し、それらの値と(4) 式を用いて次式の如くW400 ,W
440を求めてもよい。
【0051】
【数8】
【0052】かくして試料A、即ち金属薄板の塑性歪み
比rの面内平均値(バーr)及び面内方位差Δrを求
め、その金属薄板の深絞り性を評価する場合は、金属薄
板から試験片、サンプル等を採取することなく、金属薄
板に直接超音波を伝播させることによって塑性歪み比を
求めることとしているため、オンライン的な評価方法と
して適切な非破壊測定による評価が可能となる。また使
用する装置が簡易な超音波装置で済む上、短い間隔(例
えば1秒/回)にて塑性歪み比を求めてもその測定精度
を一定の水準に保つことができ、簡易且つ迅速に塑性歪
み比を求めることができる。更に金属薄板の結晶方位分
布関係を導入して塑性歪み比を求めているため、任意な
深絞り性の評価が可能となる上、金属薄板の板厚に対し
て十分に低い周波数で発生させた速度分散性の少ないS
0 モードの超音波板波を用いるため、板厚変化による超
音波の音速変化が問題となることは少ない。
【0053】なお、上記実施例では、前記送受信子の試
料に対する位置決め及び相互間の位置決めを行うのに、
一対の送受信子を距離固定軸にて連結した前記探触子1
1,12,13を用いたが、これに替え、ホルダに設けた一対
の倣いローラ間の適宜位置に全ての送受信子11a,11b,12
a,12b,13a,13b を配置してなる探触子を用い、試料をロ
ーラに倣わせつつ送受信子11a,11b,12a,12b,13a,13b 上
を摺動させることとすれば、その位置決め操作が容易と
なる。
【0054】次に上位CPU 14から試料Aの板厚情報D、
探傷周波数情報fを考慮した場合の信号処理部44におけ
る演算内容について説明する。
【0055】これらの情報を考慮した場合、前記(4) 式
は下記(10)式の如くになる。即ち、試料Aが立方晶の結
晶からなる直交異方性を持つ斜方晶系として、S0 モー
ドの超音波板波が角度θ(圧延方向に対する角度)方向
へ伝播する速度V(θ)は、速度分散を考慮した次式を
用いて計算できる。
【0056】
【数9】
【0057】但し、λ, μ:ラメの定数 ρ :試料Aの密度 f :探傷周波数 d :試料Aの板厚の半分 C :弾性定数 W400 ,W420 ,W440 :試料Aの結晶方位分布関数を
球展開したときの展開係数
【0058】ところで、試料A、即ち冷延鋼板において
発生し深絞り性に影響を与える代表的な結晶方位として
は、{110 }<110>,{111 }<112>,{110 }<001>,
{100 }<011> , {100 }<001> 等が考えられるが、
これらの結晶方位の存在確率が1である場合、展開係数
lmn は計算することが可能である。また逆に、展開係
数Wlmn が分かれば、塑性歪み比rの面内平均値(バー
r)及び面内方位差Δrの値が予測できることになる。
【0059】具体的には、(10)式より導かれる下記(11)
式,(12)式を用いて展開係数W400,W440 を求めるこ
とができる。
【0060】
【数10】
【0061】但し、
【0062】
【数11】
【0063】かかる(11)式,(12)式による展開係数W
400 ,W440 の演算には上述の如く試料Aの板厚情報D
が用いられるため、その板厚変動による影響が抑えられ
る。
【0064】そして、前記展開係数W400 と塑性歪み比
rの面内平均値(バーr)とは前述の如く一定の相関関
係を示し、この相関関係に基づき展開係数W400 から塑
性歪み比rの面内平均値(バーr)が換算できる。また
前記展開係数W440 と塑性歪み比rの面内方位差Δrと
は前述の如く一定の相関関係を示し、この相関関係に基
づき、展開係数W440 から塑性歪み比の面内方位差が換
算できる。この場合、塑性歪み比の演算に際して金属薄
板の板厚情報による補正が行われるため、この演算に基
づく深絞り性の評価の信頼性が向上する。
【0065】次に、母材である延伸鋼板の表面にメッキ
を施したメッキ鋼板を深絞り性評価の対象とした場合に
ついて説明する。本発明者等の実験,研究に依ればメッ
キ鋼板におけるメッキ厚さと、これを伝播するS0 モー
ドの音速とはメッキ厚さに応じて音速が変化する対応関
係にあるが、板面内の音速分布は変わらないという関係
にある。従ってメッキ厚さに対する音速の変化分を補正
すればその下地母材である鋼板それ自体における板波の
伝播速度を求めることが可能となり、この音速値を用い
て前述の実施例と同様に深絞り性を評価することが可能
となる。
【0066】図6 (イ), (ロ), (ハ) はメッキ厚さ(200
μm,50μm,10μm)と音速との関係を示すグラフであり、
横軸に板波伝播方向を、また縦軸に音速(m/秒) をとっ
て示してある。グラフ中●印でプロットしたのはメッキ
無し冷延鋼板中の音速を、また○印でプロットしたのは
メッキ鋼板中の音速を示している。このグラフから明ら
かなようにメッキ厚さによって音速は変化するが、音速
分布、即ち板波伝播方向における音速変化量は変わらな
いことが解る。
【0067】母材厚さ2d, メッキ厚さΔdとして本発明
者等は(13)式の如き音速Vの補正式を算出した。
【0068】
【数12】
【0069】但し、
【0070】
【数13】
【0071】μFe,λFe:鋼材の弾性定数 μm , λm :メッキ材の弾性定数 ρFe :鉄の密度 ρm :メッキ材の密度
【0072】図7は横軸にメッキ厚さΔd(μm)を、ま
た縦軸にメッキ無し冷延鋼板中の音速に対するメッキ鋼
板中の音速の比をとって示してあり、グラフ中○印でプ
ロットしたのは(13)式を用いて求めた計算値、●印でプ
ロットしたのは測定値である。このグラフから明らかな
如く計算値は測定値と略一致することが確認された。こ
の実施例では信号処理部44に対し、時間測定部43の出力
である伝播時間の外に、上位CPU 14から板厚情報D、探
傷周波数情報f、及びメッキ厚情報Δdが入力されるよ
うになっている。
【0073】信号処理部44における演算内容は次の如く
である。時間測定部43から入力される伝播時間T0 ,T
45,T90と上位CPU 14から入力される板厚2d (d=1/2
板厚)、メッキ厚Δd(片面の厚さ)及び送受間距離L
に基づいて、メッキが施されていない状態の鋼板におけ
るS0 モード超音波(電磁超音波)の音速V(0) ,V(4
5),V(90)を(13)式に対応させた下記(14),(15),(16)
式に従って算出する。
【0074】
【数14】
【0075】次に換算器50にてV(0) ,V(45),V(90)
を用いて試料Aの結晶方位分布関数を球展開したときの
展開係数W400 ,W440 を下記(17), (18)式に従って求
める。
【0076】
【数15】
【0077】W400 とr値、W440 とΔrとの間には既
述した如くそれぞれに一次対応関係が存在しており、W
400 ,W440 の値と対応するr,Δrの値を表示器45に
出力し表示させる。
【0078】なお(17),(18)式の代わりに前記(8) ,
(9) 式を用いてもよい。
【0079】W400 とr値との間には一次対応の関係が
あり、またW440 とΔrとの間にも一次対応の関係があ
るので、前述の実施例の場合と同様にメッキ鋼板に直接
超音波を伝播させることによって塑性歪み比を求め得、
深絞り性についてオンライン的な評価を行い得ることと
なる。
【0080】図12及び図13は本発明装置により求めた塑
性歪み比を従来装置により求めた値及び実測値と比較し
たグラフであって、図12は1日24時間での測定結果を、
また図13は12か月にわたる測定結果を示すものであっ
て、横軸に経過時間又は経過月を、縦軸にそれぞれ塑性
歪み比をとって示している。なお図中、●は本発明装置
による測定値、○は従来装置による測定値、△は試験片
を採取して測定した実測値を示す。これらのグラフか
ら、本発明装置による測定値はほぼ実測値に等しく、従
来装置に比して塑性歪み比の測定精度が向上しているこ
とが明らかである。
【0081】なお、磁化コイルの温度を測定する熱電対
の個数は特に限定されるものではなく、任意の数を設け
ればよい。
【0082】また、本実施例では金属薄板の深絞り性評
価装置について説明したが、本発明装置は、例えば電磁
超音波を利用した厚さ測定にも適用可能であって、本実
施例と同様の効果が得られる。
【0083】また、本実施例では磁歪型のEMATセンサを
探触子に用いた場合について説明したが、ローレンツ型
のEMATセンサを用いた探触子であってもよい。
【0084】
【発明の効果】以上のように、本発明装置では、磁化コ
イルの温度を測定することにより被測定材の温度を推定
するので、冷間圧延材,測定装置に達するまでに冷えた
常温域の被測定材への雰囲気温度の影響による超音波の
音速変動に伴う伝播時間の誤差を補正して塑性歪み比,
板厚等を測定するので、広範囲の被測定材に適用可能で
あって測定精度が高いという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置を設置した製板ラインの構成を示す
模式図である。
【図2】探触子の各送受信プローブと試料との関係を示
す模式的平面図である。
【図3】電磁超音波を発生する送受信プローブの構造及
び原理の説明図である。
【図4】本発明装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明装置における信号処理部の処理手順を示
すフローチャートである。
【図6】メッキ厚さと板波の伝播速度との関係を示すグ
ラフである。
【図7】メッキ厚さと、冷延鋼板,メッキ鋼板の音速比
との関係を示すグラフである。
【図8】本発明装置による塑性歪み比の測定値を、従来
装置による測定値及び試験片採取による実測値と比較し
たグラフである。
【図9】本発明装置による塑性歪み比の測定値を、従来
装置による測定値及び試験片採取による実測値と比較し
たグラフである。
【図10】リフトオフ変化と探触子のインピーダンス,
超音波板波の伝播時間との関係を示すグラフである。
【図11】試料温度と板波伝播速度との関係を示すグラ
フである。
【図12】雰囲気温度と板温及び磁化コイル温度との関
係を示すグラフである。
【図13】板温と音速変化及び磁化コイル温度と測定値
変化の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 本発明装置 2 EMATセンサ 3 評価装置本体 4 熱電対 11,12, 13 探触子 11a ,12a ,13a 送信プローブ 11b ,12b ,13b 受信プローブ 11am,12am,13am,11bm,12bm,13bm 磁石 11ap,12ap,13ap,11bp,12bp,13bp プローブコイル 14 上位CPU 15 距離計 21,22,23 パルサ 31,32,33 レシーバ 43 時間測定部 44 信号処理部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁化コイルによって発生された超音波の
    被測定材中における伝播時間を受信プローブで測定し、
    該伝播時間に基づいて被測定材の特性を測定する超音波
    応用の測定装置において、前記磁化コイルの温度を測定
    する手段と、予め求められている磁化コイルの温度と被
    測定材の温度との相関関係に基づき被測定材の温度を求
    める手段と、該手段により求まる被測定材の温度に基づ
    き、測定した前記伝播時間を補正する手段とを備えたこ
    とを特徴とする超音波応用測定装置。
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