JP2773535B2 - 超音波応用測定装置 - Google Patents

超音波応用測定装置

Info

Publication number
JP2773535B2
JP2773535B2 JP4100497A JP10049792A JP2773535B2 JP 2773535 B2 JP2773535 B2 JP 2773535B2 JP 4100497 A JP4100497 A JP 4100497A JP 10049792 A JP10049792 A JP 10049792A JP 2773535 B2 JP2773535 B2 JP 2773535B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propagation
probe
ultrasonic
time
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP4100497A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05273181A (ja
Inventor
理一 村山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP4100497A priority Critical patent/JP2773535B2/ja
Publication of JPH05273181A publication Critical patent/JPH05273181A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2773535B2 publication Critical patent/JP2773535B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁気的に発生させた
超音波が低炭素冷延鋼板等の金属薄板中を伝播する時間
を、例えばゼロクロス法を用いて測定し、この板波の伝
播時間に基づいて金属薄板の深絞り性, 材料の機械強度
等を評価する超音波応用測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電製品等の製品の外装に用い
られる冷延鋼板は一般に、プレス成形によって深絞り加
工が施されるためその加工性、特に深絞り性が重要視さ
れているが、深絞り性は鋼板が伸ばされたときに生じる
板幅方向の歪みと板厚方向の歪みとの比、所謂塑性歪み
比(ランクフォード値又はr値ともいう)によって評価
されている。
【0003】深絞り性を評価するための塑性歪み比を求
める方法としては、引張り試験を行って塑性歪み比を直
接的に求める直接法が広く用いられている。直接法で
は、鋼板から引張り試験片を採取し、引張り試験片に対
して15〜20%の伸びを与える単軸引張り試験を行い、そ
れによって生じた板幅方向の歪みと板厚方向の歪みとを
実測することによって塑性歪み比(r=ln(W/W0 )/ln
( t/t0 ),ただし、W,W0 ,t, t0 : 引き伸し前後の
試験片の板幅, 板厚) を直接的に求める。なお実際に用
いられる塑性歪み比としては、次式によって与えられる
r値の面内平均値が採用される。
【0004】
【数1】
【0005】但し、r0 :圧延方向に沿って採取した
引張り試験片による塑性歪み比 r45 :圧延方向に対して45゜方向に採取した引張り試
験片による塑性歪み比 r90 :圧延方向に対して直交する方向に採取した引張
り試験片による塑性歪み比
【0006】かかる塑性歪み比rの面内平均値(バー
r)は、それが大きいと深絞り性が高くなって深絞り性
を評価する上での指標となるが、次式によって与えられ
る塑性歪み比rの面内方位差Δrは、耳割れの発生し易
さの指標となる。 Δr=(r0 −2r45+r90)/2 …(2)
【0007】しかしこのような直接法による深絞り性評
価装置にあっては、引張り試験片の採取及び歪みの実測
に多大な時間及び労力がかかり、作業効率の低下は避け
られない。しかも原理的に破壊測定が必要となるため、
オンライン的な評価装置としては適切であるとはいい難
かった。
【0008】そこで、本発明者等は、圧延された金属薄
板中にS0 モードの超音波板波を圧延方向と圧延方向に
対して45°だけ傾斜する方向と圧延方向に対して直交す
る方向との3方向に一定距離だけ伝播させ、その各伝播
時間を測定し、その測定値を用いて金属薄板の主要結晶
方位を評価する量を導出することにより塑性歪み比の面
内平均値及び面内方位差を演算し、またこの演算に際し
ては金属薄板の板厚情報による補正を行い、更にメッキ
金属薄板に対してはメッキ厚さに基づく伝播時間の補正
を行って、塑性歪み比の面内平均値,面内方位差を演算
する評価方法を提案している(特開平2-1547号)。
【0009】図5は、上述のような超音波板波の伝播時
間の測定に用いられるゼロクロス法による伝播時間の測
定法を説明する図である。ゼロクロス法では、超音波板
波の受信エコーのうち、波形が不安定な初期パルスが伝
播時間の算出回路へ出力されないように、波形が安定す
るまでの一定時間、この算出回路への受信エコーの出力
をゲートでマスクし、マスク時間経過後、受信エコーが
最初にゼロレベル(グランドレベル)を切るまでの時間
を測定する。ゼロクロス法には、立ち下がり時にゼロレ
ベルを切るまでの時間を測定する立ち下がりゼロクロス
法と、立ち上がり時を測定する立ち上がりゼロクロス法
とがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、板波の伝播
時間の測定にゼロクロス法を用いる場合、例えば図6に
示す3波長の受信エコーの場合、受信エコーAのように
マスク時間経過後、すぐに立ち下がる場合と、受信エコ
ーBのように一旦立ち上がって立ち下がる場合とでは、
受信エコーAは第2波目の立ち下がりまでの時間を測定
し、受信エコーBは第3波目の立ち下がりまでの時間を
測定し、測定点が略1半波長分ずれるので、測定時間に
誤差が生じる。
【0011】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであって、1つの伝播方向における超音
波の送信プローブと受信プローブとを、他の伝播方向に
おける送受信プローブの離隔距離より離して配し、他の
伝播方向のいずれかにおける伝播時間の変化幅を、離隔
距離、即ち伝播距離の倍率で拡大した変化幅と、この1
つの伝播方向における伝播時間の変化幅とを比較するこ
とによりこの1つの伝播方向における測定誤差を検出し
てこの誤差を補正する超音波応用測定装置の提供を目的
とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る超音波応用
測定装置は、被測定材表面に沿って複数の方向にそれぞ
れ配された複数組の超音波送受信プローブにより、複数
の伝播方向に伝播する被測定材中の超音波の伝播時間に
基づいて前記被測定材の特性を測定する超音波応用の測
定装置において、一伝播方向を除く伝播方向の各受信プ
ローブが、対応する各送信プローブから同一距離に配さ
れるとともに前記一伝播方向の受信プローブが対応する
送信プローブから前記同一距離のn倍(但し、n>1)
の距離に配されており、予め求められた、前記伝播方向
それぞれにおける伝播時間の基準値を記憶する手段と、
該基準値と前記伝播方向のいずれかにおける受信プロー
ブの測定値との比較結果に応じて前記一伝播方向におけ
る測定値を補正する手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
【作用】本発明に係る超音波応用測定装置は、送信プロ
ーブが発生した超音波を、超音波の複数の伝播方向に配
された受信プローブでそれぞれ受信し、被測定材中にお
ける超音波の伝播時間を測定するが、受信波形の立ち上
がり,立ち下がりを基に伝播時間を測定するゼロクロス
法等により伝播時間を測定する場合、1つの伝播方向に
おいて、他の伝播方向における送受信プローブ間の距離
のn倍(n>1)の離隔距離に送受信プローブを配し、
他の伝播方向のいずれかにおける伝播時間の変化幅を、
離隔距離、即ち伝播距離の倍率で拡大した変化幅と、こ
の1つの伝播方向における伝播時間の変化幅とを比較す
ることによりこの1つの伝播方向における測定誤差を検
出し、その一伝播方向での測定値を補正して誤差を吸収
する。
【0014】
【実施例】以下、本発明をその実施例を示す図面に基づ
いて具体的に説明する。図2は本発明に係る深絞り性評
価装置 (以下発明装置という) を製板ラインに適用した
場合の模式的側面図であり、図中1は本発明装置、Aは
被測定材たる試料としての冷延鋼板である。本発明装置
1はルーパを経た試料Aが次の工程に搬送される途中に
配設され、試料Aの両側には試料Aに適正な張力を付与
するピンチロールR1 , R2 が設置されている。
【0015】本発明装置1は電磁超音波探触子を用いた
EMATセンサ2と評価装置本体3とからなり、EMATセンサ
2は試料Aに磁界を印加する磁化コイル, 試料A表面に
渦電流を発生させる送信プローブコイル及び超音波板波
を受信する受信プローブコイルからなり、EMATセンサ2
の磁化コイルにはその温度を測定する熱電対4が付設さ
れている。
【0016】送信プローブコイルにパルス電流が印加さ
れると試料Aの表面に渦電流が誘起され、この誘起渦電
流と印加磁場との相互作用により磁歪力が発生する。プ
ローブコイルはその流れる電流が発生させる板波の波長
の1/2 毎に向きが変わるようになっており、この磁歪力
は結局、半波長毎に力の向きを180 ゜変えて発生するた
め、この力により所定の波長の板波が発生する。発生し
た板波は試料A中を伝播した後、受信プローブコイルに
よって同様の原理によって電気信号に変換された後、そ
の伝播時間が測定される。
【0017】図1は前記EMATセンサ2の模式的平面図で
あり、EMATセンサ2は図に示す如く、試料Aの圧延方向
へ一定距離Lだけ伝播する超音波板波をその磁化コイル
及び送受プローブコイルによって送受する探触子11と、
試料Aの圧延方向に対して直交する方向へ一定距離Lだ
け伝播する超音波板波を送受する探触子13と、試料Aの
圧延方向に対して45゜だけ傾斜する方向へ、前述の圧延
方向及びその直交方向の2倍の距離2Lだけ伝播する超
音波板波を送受する探触子12とからなる。
【0018】圧延方向及びその直交方向の探触子11,13
は超音波板波を送信する送信プローブ11a,13a と、それ
を受信する受信プローブ11b,13b とをその相互離隔距離
がLとなるように、また、45°方向の探触子12は超音波
板波を送信する送信プローブ12a と、それを受信する受
信プローブ12b とをその相互離隔距離が探触子11,13の
2倍の2Lとなるように固定軸にてそれぞれ連結された
構造となっており、送信プローブ11a,12a,13a 及び受信
プローブ11b,12b,13b が試料Aに対向して配置される。
【0019】そしてこれらの探触子11,12 及び13は、図
1に示す如く、試料A上にその圧延方向に対する角度が
ぞれぞれ所定角度(探触子11は0゜、探触子12は45゜、
探触子13は90゜) となるように配置される。なお、各探
触子11,12,13の固定軸が相互干渉するのを回避するため
にはその高さを相互に異ならせるとよい。また別の手段
を用いて距離固定を実施してもよい。
【0020】図3は本発明装置のブロック図であり、各
探触子11,12,13における各送信プローブ11a,12a,13a は
それぞれパルサ21,22,23に、また各受信プローブ11b,12
b,13b はそれぞれレシーバ31,32,33に接続されている。
各パルサ21,22,23は切替器5を介在させてトリガ回路6
に接続されており、トリガ回路6から、例えば5msec毎
に発せられるトリガ信号は切替器5を介して順次的にパ
ルサ21,22,23に入力され送信プローブ11a,12a,13a から
試料Aの表面に超音波を発振せしめるべく順次的に信号
が出力されるようになっている。
【0021】レシーバ31,32,33は切替器9を介在させて
アンプ41に接続されている。切替器9は基準時間信号発
生器8に接続されており、基準時間信号発生器8は、レ
シーバ31,32,33の受信エコーの波形が安定するまでの所
定時間、受信エコー信号の出力がゲートによりマスクさ
れるような信号を出力する。このマスク時間の経過後、
切替器9が作動され、各レシーバ31,32,33の信号は選択
的にアンプ41に出力されるようになっている。アンプ41
で増幅された信号はフィルタ42を経て時間測定部43へ出
力される。
【0022】時間測定部43はフィルタ42を経た各レシー
バ31,32,33からの信号を順次取り込み、立ち下がりゼロ
クロス法により各伝播方向での伝播時間を測定し、さら
に後述するロジックに基づき45°方向の測定値に基づい
て測定誤差を検出して45°方向の測定値を補正し、補正
後の伝播時間を信号処理部44へ出力する。
【0023】本発明装置において45°方向の送受信プロ
ーブ12a,12b の距離を他の方向の2倍に設定した理由に
ついて説明する。試料Aの(バーr)値が変動すると板
波の音速がおおむね比例的に変わり、音速の変化によっ
て(伝播距離/音速)で求まる板波の伝播時間が変動す
る。各伝播方向で音速変化率が異なるとしても1%以下
の僅少な差異であるので、伝播距離を2倍にすれば、伝
播時間の変動が他の伝播方向に比して大きくなり、測定
誤差の発生が容易に検出される。
【0024】なお、45°方向の送受信プローブ12a,12b
間の距離は他の方向の離隔距離の2倍に限るものではな
く1倍以上であれば本実施例と同様の効果が得られる。
【0025】次に、測定誤差の検出ロジックを示す。
【0026】
【表1】
【0027】但し、T00,T450 ,T900 は圧延方向,
45°方向,圧延方向に直交する方向それぞれの基準伝播
時間、T01,T451 ,T901 は各伝播方向の測定伝播時
間、a,b,c,d,e,fは定数であって、a,c,
eは圧延方向,45°方向,圧延方向に直交する方向それ
ぞれで生じ得る変化幅の上限値、b,d,fはその下限
値である。a,c,e及びb,d,fは各々その絶対値
は1波長分の時間よりも小さい値で決定される。gは1
波長分の時間(1/駆動周波数:例えば駆動周波数が28
0kHzの場合、g=3.51μs)を表す。なお、基準伝播時
間T00,T450 ,T900 としては校正板での伝播時間の
測定値を用いるが、校正板は(バーr)値が1.5 前後の
ものが望ましい。
【0028】即ち、表1において、圧延方向及びその直
交方向の基準時間と測定時間との差が定数a,b及び定
数e,fより共に大きいにもかかわらず45°方向の差が
定数c〜dの範囲内であるパターン2の場合、測定誤差
が生じているので45°方向の測定値T451 に1波長分の
時間gを加え、逆に、圧延方向及びその直交方向の基準
時間と測定時間との差が定数a,b及び定数e,fより
共に小さいにもかかわらず45°方向の差が定数c〜dの
範囲内であるパターン3の場合も測定誤差が生じている
ので45°方向の測定値T451 から1波長分の時間gを減
ずる。これにより、45°方向の伝播時間の測定誤差を補
正する。
【0029】信号処理部44は時間測定部43から入力され
た超音波板波の伝播時間T0 ,T45,T90、距離計15か
ら入力される試料と探触子との距離、熱電対4から入力
される磁化コイルの温度、基準時間信号発生器8から入
力される基準時間信号及び上位CPU 14から入力される板
厚情報, 探傷周波数情報に基づいて、時間測定部43によ
る伝播時間の測定値を補正した後、試料Aの結晶方位分
布関数の展開係数W400 ,W440 を求め、さらにそのデ
ータを用いて塑性歪み比rの面内平均値(バーr)及び
面内方位差Δrを求める。信号処理部44にて求められた
結果は表示器45に表示されるようになっている。
【0030】図4は塑性歪み比rの平均値(バーr)の
計測値と引っ張り試験による実測値との関係を示す分散
図である。図4(a) は本発明装置、(b) は従来装置にお
ける分散度を示すものであって、横軸に引っ張り試験片
採取による実測値、縦軸に計測値をとって示している。
図から明らかなように、本発明装置においては計測値と
実測値とはほぼ等しく、塑性歪み比の測定精度が向上し
ている。
【0031】次に、前記信号処理部44にて行われる演算
内容について具体的に説明する。まず、試料Aの結晶方
位分布を考えるに、その結晶方位分布関数F(ξ,ψ,
φ)は次式にて表される。
【0032】
【数2】
【0033】但し、ξ,ψ,φ:結晶軸と試料に固定し
た軸との間の関係を示すオイラー角 Zlmn :展開関数 Wlmn :展開係数
【0034】そして試料Aが立方晶の結晶からなる直交
異方性を持つ斜方晶系とすると、試料Aの板厚に対して
十分に低い(板厚に対して音速の分散性がない)周波数
のS0 モードの超音波板波の速度は、試料の板厚,探傷
周波数を考慮しない場合、次式にて計算される。
【0035】
【数3】
【0036】但し、Vs(θ):S0 モードの超音波板
波の速度 ρ :試料Aの密度 μ,λ:ラメの定数 C :弾性定数 θ :超音波板波の伝播方向と圧延方向とがなす角度 そして
【0037】
【数4】
【0038】とした場合、前記(4) 式は次式の如く変形
される。
【0039】
【数5】
【0040】(4) 式, (5) 式中に表れる展開係数
400 , W440 は、(1/T0 +2/T45+1/T90
及び(1/T0 −2/T45+1/T90)の値との間で、
例えば下記(6) 式, (7) 式に示す如く1次対応の関係が
あり、その関係を用いると前記展開係数W400 , W440
は容易に演算される。
【0041】
【数6】
【0042】但し、
【0043】
【数7】
【0044】そして、前記展開係数W400 と塑性歪み比
rの面内平均値(バーr)とは一定の相関関係を示し、
かかる相関関係に基づき、展開係数W400 から塑性歪み
比rの面内平均値(バーr)が換算される。物理的には
このW400 は、集合組織の主要方位成分の体積分率に対
応するもので、{111 }集合組織が支配的な冷延鋼板で
は{111 }面の体積分率に対応し、即ち組成歪み比の面
内平均値(バーr)に対応することとなる。また前記展
開係数W440 と塑性歪み比rの面内方位差Δrとは一定
の相関関係を示し、かかる相関関係に基づき、展開係数
440 から塑性歪み比rの面内方位差Δrが換算され
る。
【0045】また、測定値T0,T45,T90より伝播距離
Lを用いてVS (0) 2 ,VS (45)2, VS (90)2 を演算
し、それらの値と(4) 式を用いて次式の如くW400 ,W
440を求めてもよい。
【0046】
【数8】
【0047】かくして試料A、即ち金属薄板の塑性歪み
比rの面内平均値(バーr)及び面内方位差Δrを求
め、その金属薄板の深絞り性を評価する場合は、金属薄
板から試験片、サンプル等を採取することなく、金属薄
板に直接超音波を伝播させることによって塑性歪み比を
求めることとしているため、オンライン的な評価方法と
して適切な非破壊測定による評価が可能となる。また使
用する装置が簡易な超音波装置で済む上、短い間隔(例
えば1秒/回)にて塑性歪み比を求めてもその測定精度
を一定の水準に保つことができ、簡易且つ迅速に塑性歪
み比を求めることができる。更に金属薄板の結晶方位分
布関係を導入して塑性歪み比を求めているため、任意な
深絞り性の評価が可能となる上、金属薄板の板厚に対し
て十分に低い周波数で発生させた速度分散性の少ないS
0 モードの超音波板波を用いるため、板厚変化による超
音波の音速変化が問題となることは少ない。
【0048】なお、上記実施例では、前記送受信子の試
料に対する位置決め及び相互間の位置決めを行うのに、
一対の送受信子を距離固定軸にて連結した前記探触子1
1,12,13を用いたが、これに替え、ホルダに設けた一対
の倣いローラ間の適宜位置に全ての送受信子11a,11b,12
a,12b,13a,13b を配置してなる探触子を用い、試料をロ
ーラに倣わせつつ送受信子11a,11b,12a,12b,13a,13b 上
を摺動させることとすれば、その位置決め操作が容易と
なる。
【0049】次に上位CPU 14から試料Aの板厚情報D、
探傷周波数情報fを考慮した場合の信号処理部44におけ
る演算内容について説明する。
【0050】これらの情報を考慮した場合、前記(4) 式
は下記(10)式の如くになる。即ち、試料Aが立方晶の結
晶からなる直交異方性を持つ斜方晶系として、S0 モー
ドの超音波板波が角度θ(圧延方向に対する角度)方向
へ伝播する速度V(θ)は、速度分散を考慮した次式を
用いて計算できる。
【0051】
【数9】
【0052】但し、λ, μ:ラメの定数 ρ :試料Aの密度 f :探傷周波数 d :試料Aの板厚の半分 C :弾性定数 W400 ,W420 ,W440 :試料Aの結晶方位分布関数を
球展開したときの展開係数
【0053】ところで、試料A、即ち冷延鋼板において
発生し深絞り性に影響を与える代表的な結晶方位として
は、{110 }<110>,{111 }<112>,{110 }<001>,
{100 }<011> , {100 }<001> 等が考えられるが、
これらの結晶方位の存在確率が1である場合、展開係数
lmn は計算することが可能である。また逆に、展開係
数W lmn が分かれば、塑性歪み比rの面内平均値(バー
r)及び面内方位差Δrの値が予測できることになる。
【0054】具体的には、(10)式より導かれる下記(11)
式,(12)式を用いて展開係数W400,W440 を求めるこ
とができる。
【0055】
【数10】
【0056】但し、
【0057】
【数11】
【0058】かかる(11)式,(12)式による展開係数W
400 ,W440 の演算には上述の如く試料Aの板厚情報D
が用いられるため、その板厚変動による影響が抑えられ
る。
【0059】そして、前記展開係数W400 と塑性歪み比
rの面内平均値(バーr)とは前述の如く一定の相関関
係を示し、この相関関係に基づき展開係数W400 から塑
性歪み比rの面内平均値(バーr)が換算できる。また
前記展開係数W440 と塑性歪み比rの面内方位差Δrと
は前述の如く一定の相関関係を示し、この相関関係に基
づき、展開係数W440 から塑性歪み比の面内方位差が換
算できる。この場合、塑性歪み比の演算に際して金属薄
板の板厚情報による補正が行われるため、この演算に基
づく深絞り性の評価の信頼性が向上する。
【0060】なお、本実施例では金属薄板の深絞り性評
価装置について説明したが、本発明装置は、例えば電磁
超音波を利用した材料の機械強度評価等にも適用可能で
あって、本実施例と同様の効果が得られる。
【0061】以上のような本発明装置は、通常製造され
得る(バーr)値0.8 〜2.5 の金属薄板に適用可能であ
る。
【0062】また、本実施例では磁歪型のEMATセンサを
探触子に用いた場合について説明したが、ローレンツ型
のEMATセンサを用いた探触子であってもよい。
【0063】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る超音波応用
測定装置は被測定材中を伝播する超音波の伝播時間をゼ
ロクロス法等により測定する場合、1つの伝播方向にお
ける超音波の送信プローブと受信プローブとを、他の伝
播方向における送受信プローブの離隔距離より離して配
し、他の伝播方向のいずれかにおける伝播時間の変化幅
を、離隔距離、即ち伝播距離の倍率で拡大した変化幅
と、この1つの伝播方向における伝播時間の変化幅とを
比較することによりこの1つの伝播方向における測定誤
差の発生を検出してこれを補正するので測定精度が高い
という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】探触子の各送受信プローブと試料との関係を示
す模式的平面図である。
【図2】本発明装置を設置した製板ラインの構成を示す
模式図である。
【図3】本発明装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明装置による塑性歪み比の計測値及び試験
片採取による実測値の関係を、従来装置による計測値及
び実測値の関係と比較した分散図である。
【図5】ゼロクロス法による伝播時間の測定原理を説明
する図である。
【図6】ゼロクロス法に生じる計測誤差を説明する図で
ある。
【符号の説明】
11,12, 13 探触子 11a ,12a ,13a 送信プローブ 11b ,12b ,13b 受信プローブ 21,22,23 パルサ 31,32,33 レシーバ 43 時間測定部 44 信号処理部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定材表面に沿って複数の方向にそれ
    ぞれ配された複数組の超音波送受信プローブにより、複
    数の伝播方向に伝播する被測定材中の超音波の伝播時間
    に基づいて前記被測定材の特性を測定する超音波応用の
    測定装置において、一伝播方向を除く伝播方向の各受信
    プローブが、対応する各送信プローブから同一距離に配
    されるとともに前記一伝播方向の受信プローブが対応す
    送信プローブから前記同一距離のn倍(但し、n>
    1)の距離に配されており、予め求められた、前記伝播
    方向それぞれにおける伝播時間の基準値を記憶する手段
    と、該基準値と前記伝播方向のいずれかにおける受信プ
    ローブの測定値との比較結果に応じて前記一伝播方向に
    おける測定値を補正する手段とを備えたことを特徴とす
    る超音波応用測定装置。
JP4100497A 1992-03-25 1992-03-25 超音波応用測定装置 Expired - Lifetime JP2773535B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4100497A JP2773535B2 (ja) 1992-03-25 1992-03-25 超音波応用測定装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4100497A JP2773535B2 (ja) 1992-03-25 1992-03-25 超音波応用測定装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05273181A JPH05273181A (ja) 1993-10-22
JP2773535B2 true JP2773535B2 (ja) 1998-07-09

Family

ID=14275572

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4100497A Expired - Lifetime JP2773535B2 (ja) 1992-03-25 1992-03-25 超音波応用測定装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2773535B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05273181A (ja) 1993-10-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kawashima Nondestructive characterization of texture and plastic strain ratio of metal sheets with electromagnetic acoustic transducers
US4497209A (en) Nondestructive testing of stress in a ferromagnetic structural material utilizing magnetically induced velocity change measurements
US5467655A (en) Method for measuring properties of cold rolled thin steel sheet and apparatus therefor
JP2773535B2 (ja) 超音波応用測定装置
CN111256630B (zh) 利用电磁超声导波频散特性快速测量金属板材厚度方法
JP2611714B2 (ja) 超音波応用測定装置
Clark Jr et al. Ultrasonic measurement of sheet steel texture and formability: Comparison with neutron diffraction and mechanical measurements
JPH0679018B2 (ja) 金属薄板の深絞り性評価方法
JP2746037B2 (ja) 金属板の深絞り性評価装置
JPH01214757A (ja) 金属薄板の深絞り性評価装置
JPH1164309A (ja) 圧延材の材料特性測定方法及び装置
JPH0557542B2 (ja)
Clark et al. The use of ultrasonics for texture monitoring in aluminum alloys
RU2780147C1 (ru) Способ определения подверженности металлопроката изгибу и устройство для его осуществления
Ivanova Application of Ultrasonic Methods for Evaluation the Anisotropy of Materials
JPH02236450A (ja) 金属薄板の深絞り性評価装置
Murayama Non-destructive evaluation of formability in cold rolled steel sheets using the SH0-mode plate wave by electromagnetic acoustic transducer
JP2988326B2 (ja) 方向性電磁鋼板の鉄損値評価方法およびその装置
JPH0749944B2 (ja) 材料の厚さ及び音速の同時測定法
RU2025727C1 (ru) Способ определения коэффициента нормальной анизотропии прокатных листовых материалов
JPH01301162A (ja) 金属薄板の耳割れ性評価方法
JPH1038862A (ja) 鉄損値評価方法及びその装置
Ginzel CIVA as an Aid to Understanding Ultrasonic Anisotropy in Steel
JP3079912B2 (ja) 金属材の材質検査装置
JPH06118064A (ja) 金属薄板の材質測定法及びその装置

Legal Events

Date Code Title Description
S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350