JPH1038862A - 鉄損値評価方法及びその装置 - Google Patents

鉄損値評価方法及びその装置

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JPH1038862A
JPH1038862A JP8187859A JP18785996A JPH1038862A JP H1038862 A JPH1038862 A JP H1038862A JP 8187859 A JP8187859 A JP 8187859A JP 18785996 A JP18785996 A JP 18785996A JP H1038862 A JPH1038862 A JP H1038862A
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JP
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plate
ultrasonic wave
wave
iron loss
loss value
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JP8187859A
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English (en)
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Masahiro Nakamura
昌弘 中村
Kazuki Hashimoto
和樹 橋本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 方向性電磁鋼板のように鉄損値の変動が大き
い鋼板の鉄損を評価するために伝播させる板波超音波の
音速を高精度に測定する。 【解決手段】 鋼板の表面に配設された超音波の送信子
Tと、送信子Tより板波超音波を送信させるためのパル
スを発生する超音波パルサ11と、板波超音波の伝播方
向に沿って所定の距離だけ離隔させて配設され、鋼板を
伝播してきた板波超音波を電気信号として検出する2つ
以上の受信子R1、R2と、受信子R1、R2がそれぞ
れ受信した信号間の相互相関演算値を算出する相互相関
演算回路14と、相互相関演算値と受信子R1、R2の
離隔距離とから板波超音波の音速を測定し、予め求めら
れている板波超音波の音速と鋼板の鉄損値との関係又は
板波超音波の伝播時間と鋼板の鉄損値との関係に基づ
き、音速又は音速より求まる伝播時間から鋼板の鉄損値
を演算するシステムコントローラ10とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非破壊的に、また
オンラインで方向性電磁鋼板の鉄損値を測定する鉄損値
評価方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板はその優れた磁気特性
(低鉄損、高飽和磁束密度)により交流トランス等の鉄
芯材料として広く用いられている。この方向性電磁鋼板
の製造にあたって製造工程中での磁気特性評価は生産歩
留りの向上、プロセスコントロールの上で非常に重要で
ある。
【0003】その中でも鉄損値は、(JIS C2550 )に、
鋼板を交流磁化した際、鋼板内で消費される電力(=電
圧×電流)損失と定義されており、通常50Hzで鉄板内最
大磁束密度を1.7T(方向性電磁鋼板の場合)とした時
の、入力する電流と電圧との積に対する、検出コイルに
流れる電流と電圧との積の差で規定される。
【0004】鉄損値の測定には、一般的にエプスタイン
試験が用いられる。この試験には、その辺の部分の中心
軸に試験片を入れられるようにしてあり、1次コイル
(励磁コイル)と同じ位置に2次コイル(検出コイル)
を巻いた正方形の枠(エプスタイン枠)が用いられる。
エプスタイン枠の各辺のコイルに試験片(短冊状の切り
板サンプル)を一枚ずつ入れて、上述の定義に従って鉄
損値を測定するものであり、破壊試験である。
【0005】一方、非破壊的でしかもオンラインで鉄損
値を評価する装置としては、図8のように、鋼板の全幅
を囲むように励磁コイル及び検出コイルを配設し、励磁
コイルを励磁電源で励磁し、励磁コイルの励磁電力と検
出コイルの検出電力とを電力計で測定し、その値から上
述の定義に従って鉄損値を測定するオンライン鉄損計が
ある。
【0006】しかし、これらのうちエプスタイン試験は
破壊試験であってオンライン試験には適用できないのに
加えて、材料を所定の試験片形状に加工する必要がある
ため迅速な鉄損値測定ができないという問題がある。ま
た、オンライン鉄損計はその装置構成上、励磁・検出コ
イル内の平均的な鉄損値しか測定できないため、測定領
域内に、例えば製造条件の不良などにより部分的な不良
(高鉄損)部が発生しており、鉄損値にばらつきがある
場合に、この高鉄損部を検出できないという問題があ
る。
【0007】通常、方向性電磁鋼板はゴス結晶方位と呼
ばれる、鉄結晶の(110)面が板面に並行に、かつ<100>
軸方向(ゴス方位)が圧延方向に整列するよう工程管理
されて製造される。これは鉄結晶の磁化容易軸を圧延方
向に揃えること、すなわち集合組織の状態のコントロー
ルを意味し、これにより圧延方向に磁束が通る時の鉄損
値を低く抑えることが可能である。
【0008】一般に、鋼板中の超音波音速は集合組織の
状態により変化するため、逆に超音波音速の測定により
集合組織の状態を知ることが可能であって、この原理を
用いた超音波音速測定による方向性電磁鋼板の評価方法
が開示されている(特公平7-1255号公報)。
【0009】この方法は、材料板厚方向に順次周波数の
異なる単一周波数波の超音波を伝播させ、鋼板厚みと超
音波音速に応じて下式で決まる共振周波数を測定するこ
とにより、既知の板厚の電磁鋼板の音速を測定し、これ
より材質を評価するものである。 f={v/(2d)}・n ここで、fは伝播させる超音波の周波数、vは超音波の
音速、dは鋼板板厚、nは任意の自然数である。
【0010】この方法によれば超音波ビーム内の材質
(鉄損値)を評価することが可能であり、非破壊的に電
磁鋼板の材質を評価することが可能である。しかしなが
ら、この方法では音速を知るために送信する超音波の周
波数を順次変えながらその受信信号の強度を監視する必
要があり、共振周波数の測定に時間がかかるため鋼板搬
送速度が速いラインでの測定には適用できない。
【0011】また、音速測定にパルス超音波を用いて底
面反射波の時間間隔を測定することも考えられるが、通
常電磁鋼板の厚みは 0.1mm〜 0.5mm程度と非常に薄いた
め時間分解能のよい高周波の超音波パルスを用いたとし
ても鉄損評価に十分な音速測定精度を得ることは難し
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本出願人
は、板波超音波を鋼板に伝播させ、送信時刻から超音波
受信信号の所定のゼロクロス点までの時間を測定し、こ
れを板波超音波の伝播時間として材料特性(r値)を評
価する方法を提案している(特公平5-57542 号公報)。
ここで板波超音波は伝播速度が周波数により異なるた
め、パルス波を鋼板内に伝播させると超音波エネルギー
が周波数毎に分散され、受信子で検出する際に十分なS
/Nが得られない等の問題が発生する。従って、超音波
エネルギーの分散をできるだけ避けるため単一周波数波
を伝播させている。
【0013】このような方法を方向性電磁鋼板の鉄損値
評価に用いた場合、方向性電磁鋼板の集合組織の状態に
よる音速の変動は非常に大きく、1W/kgの鉄損変化で超
音波音速は約10%程度も変化するため、伝播時間測定に
ゼロクロス法を用いることが困難な場合がある。
【0014】その理由は、受信信号中にある複数のゼロ
クロス点から常に所定のゼロクロス点を検出して送信時
刻からの経過時間を測定する必要があるためであり、さ
らに、所定のゼロクロス点を検出するには、音速に応じ
た適当な時間長さのマスクゲートを設定し、マスクゲー
ト以降の最初のゼロクロス点を検出しなければならない
ためである(図3参照)。
【0015】方向性電磁鋼板の鉄損値測定にこの方法を
適用した場合、仮に500kHz程度の比較的低周波のSoモ
ード板波超音波(音速約 5000m/s)を用い、伝播距離を
100mm程度としたとしても、鉄損変化による、所定のゼ
ロクロス点までの時間、即ち板波超音波の伝播時間の変
動が、この板波超音波の周期以下(±2μsec )である
必要があるため、最大でも1W/kgの鉄損評価レンジしか
得られない。加えて、ゼロクロス法による音速測定は所
定のゼロクロス点の情報しか用いないためノイズの影響
を受けて誤ったゼロクロス点を検出してしまう危険性が
大きく、S/Nが低い信号では十分な測定精度(繰り返
し再現性)が得られない。
【0016】本発明はこのような問題点を解決するため
になされたものであって、電磁鋼板の材料特性と密接に
関係する集合組織の集合状態に応じて超音波音速が変動
することに着目し、板波超音波の送信子からの距離が異
なる2つ以上の受信子で板波超音波を受信し、受信信号
間の相互相関演算から、これら受信子の超音波受信の遅
延時間を測定して、この遅延時間と受信子の離隔距離と
から板波超音波の音速を高精度に求めることにより、測
定ダイナミックレンジが広く、ノイズを含む波形変化の
影響を受けにくい、非破壊、かつオンラインでの連続測
定が可能な鉄損値評価方法及び鉄損値評価装置の提供を
目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】第1発明の鉄損値評価方
法は、鋼板の表面に配設された送信子から板波超音波を
送信して鋼板に伝播させ、該鋼板を伝播してきた板波超
音波を、該板波超音波の伝播方向に沿って所定の距離だ
け離隔させて配設された2つ以上の受信子によりそれぞ
れ受信し、それぞれが受信した信号間の相互相関演算値
と前記受信子の離隔距離とから前記板波超音波の音速を
測定し、予め求められている板波超音波の音速と鋼板の
鉄損値との関係又は板波超音波の伝播時間と鋼板の鉄損
値との関係に基づき、前記音速又は前記音速より求まる
伝播時間から鋼板の鉄損値を演算することを特徴とす
る。
【0018】第2発明の鉄損値評価方法は、鋼板の表面
に配設された送信子から板波超音波を送信して鋼板に伝
播させ、該鋼板を伝播してきた板波超音波を、該板波超
音波の伝播方向に沿って所定の距離だけ離隔させて配設
された2つ以上の受信子によりそれぞれ受信し、それぞ
れが受信した信号間の相互相関演算値と前記受信子の離
隔距離とから前記板波超音波の音速を測定し、前記受信
子の受信信号に対して、前記受信子までの板波超音波の
伝播時間に相当するゼロクロス点を検出するためのゲー
トを前記音速を基に設定し、予め求められている板波超
音波の伝播時間と鋼板の鉄損値との関係に基づき、設定
したゲートにより検出したゼロクロス点から求まる、受
信子までの板波超音波の伝播時間から鋼板の鉄損値を演
算することを特徴とする。
【0019】第3発明の鉄損値評価装置は、鋼板の表面
に配設された超音波の送信子と、該送信子より板波超音
波を送信させるためのパルスを発生する手段と、該板波
超音波の伝播方向に沿って所定の距離だけ離隔させて配
設され、鋼板を伝播してきた板波超音波を電気信号とし
て検出する2つ以上の受信子と、該2つ以上の受信子が
それぞれ受信した信号間の相互相関演算値を算出する手
段と、該手段により算出された相互相関演算値と前記受
信子の離隔距離とから前記板波超音波の音速を測定し、
予め求められている板波超音波の音速と鋼板の鉄損値と
の関係又は板波超音波の伝播時間と鋼板の鉄損値との関
係に基づき、前記音速又は前記音速より求まる伝播時間
から鋼板の鉄損値を演算する手段とを備えたことを特徴
とする。
【0020】第4発明の鉄損値評価装置は、鋼板の表面
に配設された超音波の送信子と、該送信子より板波超音
波を送信させるためのパルスを発生する手段と、該板波
超音波の伝播方向に沿って所定の距離だけ離隔させて配
設され、鋼板を伝播してきた板波超音波を電気信号とし
て検出する2つ以上の受信子と、該2つ以上の受信子が
それぞれが受信した信号間の相互相関演算値を算出する
手段と、該手段により算出された相互相関演算値と前記
受信子の離隔距離とから前記板波超音波の音速を測定
し、前記受信子の受信信号に対して、前記受信子までの
板波超音波の伝播時間に相当するゼロクロス点を検出す
るためのゲートを前記音速を基に設定し、予め求められ
ている板波超音波の伝播時間と鋼板の鉄損値との関係に
基づき、設定したゲートにより検出したゼロクロス点か
ら求まる、受信子までの板波超音波の伝播時間から鋼板
の鉄損値を演算する手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】第1発明の鉄損値評価方法及び第3発明の
鉄損値評価装置では、板波モードの超音波音速を精度よ
く計測することができる。従来のゼロクロス法を用いた
鉄損値評価では、複数のゼロクロス点があるために材質
変化にともなう伝播時間変化が非常に大きい方向性電磁
鋼板中での音速(伝播時間)変化を広い範囲でかつ高精
度に測定することは困難である。
【0022】しかし、第1発明の鉄損値評価方法及び第
3発明の鉄損値評価装置では、送信子と受信子との間
隔、及び複数の受信子間の距離を適当な距離に設定する
とともに、その超音波伝播方向に沿って適当な距離だけ
離隔して配設した複数の受信子による受信信号を用い、
この受信信号間の相互相関演算値のピーク位置を受信子
間の超音波伝播時間とすることで精度よく超音波音速
(伝播時間)を得ることが可能である。
【0023】このとき、音速測定のダイナミックレンジ
は相互相関演算に用いる信号のサンプリング範囲により
決定され、十分広い範囲で波形サンプリングを行えば、
測定ダイナミックレンジの問題は発生しない。また、音
速測定精度は複数の受信子により受信された信号の相互
相関演算に用いる信号サンプリング周期と信号のS/N
とにより決定されるが、相互相関演算は、伝播してくる
バースト超音波信号全体を用いるため、ゼロクロス法に
比べて、ランダムに発生するノイズの影響を受けにく
い。さらに、超音波の入射効率の影響が小さいので、特
性の似た受信子を選ぶことで、比較的容易に、かつ高精
度に受信子間の超音波伝播速度(時間)を知ることが可
能となる。
【0024】以上のように、第1発明の鉄損値評価方法
及び第3発明の鉄損値評価装置によれば、超音波信号全
体の情報を用いる相互相関演算により、電磁鋼板の鉄損
値を、必要な測定範囲(即ち、鉄損変動範囲)にわた
り、必要な精度で測定を行うことができる。
【0025】また、第2発明の鉄損値評価方法及び第4
発明の鉄損値評価装置では、板波超音波音速測定をゼロ
クロス法により行う際のゲートを自動設定する。即ち、
測定ダイナミックレンジが広く常に同一の条件で音速
(伝播時間)を測定可能な相互相関演算を用いて、音速
に応じた適当な時間長さのゲートを設定することによ
り、検出すべきゼロクロス点が常に確実に検出され、方
向性電磁鋼板の鉄損絶対値の正しい評価を可能にする。
【0026】この場合、相互相関演算は鋼板先端部で1
回行えば十分であるので、高速・高価なDSP(デジタ
ルシグナルプロセッサ)等の相互相関演算専用デバイス
を用いずに、ソフトウェアの演算でゲート設定するだけ
で、電磁鋼板の鉄損絶対値を連続測定することが可能に
なる。ゼロクロス法を用いた場合、音速測定時間は1ms
ec程度のため局所的な鉄損異常部も見落とすことなく検
出可能である。そこで、第2発明の鉄損値評価方法及び
第4発明の鉄損値評価装置では、音速測定のダイナミッ
クレンジが広い相互相関演算により概略の音速を測定
し、ゼロクロス法測定ゲートを最適に自動設定すること
によりゼロクロス法による超音波音速測定を鉄損評価に
用いる時の測定ダイナミックレンジの不足を補う。
【0027】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る鉄損値評価
装置の一実施形態のブロック構成図である。方向性電磁
鋼板上には板波超音波を発信する送信子Tと、板波超音
波の伝播方向に沿って、送信子Tからの板波超音波を受
信すべく送信子TからそれぞれD1、D2の距離だけ離
隔した位置に2つの受信子R1、R2が配設されてい
る。なお、送信子T及び受信子R1、R2としては、圧
電素子を用いたセンサ、電磁超音波センサ等を用いるこ
とができる。電磁超音波センサを用いた場合、鋼板に対
して非接触で音速測定が可能であるため好都合である。
【0028】システムコントローラ10は超音波パルサ
11及びA/D変換器13に対して送信トリガ信号を与
える。超音波パルサ11は送信トリガ信号に応じて発信
子Tにパルスを与え、送信子Tは超音波パルサ11によ
り与えられるパルスに応じて板波超音波を発信する。2
つの受信子R1、R2が受信した板波超音波のアナログ
信号はプリアンプ12でそれぞれ増幅され、A/D変換
器13は、増幅された超音波受信アナログ信号を、シス
テムコントローラ10が超音波パルサ11に与えた送信
トリガ信号に同期してデジタルサンプリングし、波形デ
ジタルデータに変換する。波形デジタルデータは、相互
相関演算回路14に入力され、相互相関演算回路14は
2つの受信子R1、R2の受信信号の波形デジタルデー
タ間で相互相関演算を行い、演算結果である相互相関演
算値をシステムコントローラ10に出力する。
【0029】2つの受信子R1、R2の離隔距離ΔD
(=D2−D1)に応じて観測される受信信号の伝播遅
延時間ΔTを、以下の手順で測定される。 A/D変換器13は受信子R1の受信信号を送信トリ
ガ信号を基準にデジタルサンプリングする。 またA/D変換器13は受信子R2の受信信号を送信
トリガ信号を基準にデジタルサンプリングする。 相互相関演算回路14は、これらのデジタル信号を用
いて相互相関演算を行う。
【0030】相互相関演算は、「科学計測のための波形
データ処理」(南 茂夫編著:116頁〜121頁、C
Q出版株式会社、1991年)にも示されているよう
に、次式で算出が可能である。即ち、検索しようとする
波形をy(i)、バックグラウンド,雑音を含んだ観測
波形をx(i)とした場合、両波形の相互相関関数Rxy
(i)は、データ数の少ないほうの波形y(i)をx
(i)に対して移動させながら積和をとる形で計算す
る。ただしx(i)の両端ではy(i)全体での積和が
とれないため一部のみを用いることになり、次式に示す
ように全体を3つに分けて計算する。
【0031】
【数1】
【0032】システムコントローラ10は相互相関演
算値の最大値を伝播遅延時間ΔTとし、板波超音波の音
速VLam を次式により算出する。 VLam =ΔD/ΔT システムコントローラ10は、実験的又は解析的に予め
得られている、板波超音波の音速と電磁鋼板の鉄損値と
の関係(図4参照)又は板波超音波の伝播時間と電磁鋼
板の鉄損値との関係(図5参照)に基づき、音速VLam
から電磁鋼板の鉄損値を演算する。従って、相互相関演
算による伝播遅延時間から鉄損値を評価できる。
【0033】以上のように、受信子R1、R2を板波超
音波の伝播方向に沿って適当な離隔距離をおいて設置す
る理由は、相互相関演算における計算精度を高くするた
めである。即ち、板波伝播方向においては受信子R1と
受信子R2とが受ける超音波振動は非常に近似すること
が予想され、この受信信号をもとに相互相関演算を行う
ことにより鋭い相関ピークを得ることができるため受信
子R1と受信子R2との間の伝播時間を正確に求めるこ
とができる。
【0034】また、特性・形状の似た受信子R1、R2
を採用した場合、離隔距離に基づく幾何学的関係より絶
対的な音速を測定できる等に加え、温度変化による受信
子の特性変化、同相ノイズ等、高精度の音速(伝播時
間)測定において誤差の原因となる種々の影響を排除す
ることが可能である。また、何らかの理由により入射超
音波の波形が変化したとしても、相互相関計算は2つの
受信子の受信信号をもとに行われるためその影響は小さ
い。さらに、相互相関演算は受信信号全体の情報を用い
るためランダムに発生するノイズの影響も小さい。
【0035】図2は本発明に係る鉄損値評価装置の他の
実施形態の構成ブロック図である。この実施形態はゼロ
クロス法を用いて板波超音波の音速を測定するものであ
って、電磁鋼板の先端部で相互相関法により最適ゲート
長さを決定し、以後ゼロクロス点をトラッキングする。
なお、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を
省略する。電磁鋼板の先端部において、システムコント
ローラ20は、前述と同様の手順で、受信子R1、R2
の受信信号間の相互相関演算値から板波超音波の音速を
算出し、ゼロクロス法におけるゼロクロス点を検出する
のに適したゲート長さを設定するためのゲート設定情報
をゲート発生器15に出力する。
【0036】ゲート発生器15は、システムコントロー
ラ20から与えられたゲート設定情報に応じたゲートG
1を、送信子Tと受信子R1との距離D1から、下式に
より設定してゼロクロス検出器16に出力する。 G1=D1/VLam プリアンプ12により増幅されたアナログ信号を入力と
するゼロクロス検出器16は、ゲート発生器15から与
えられたゲート信号が立ち下がると、その直後のゼロク
ロス点を検出し、検出信号をカウンタ17に出力する。
カウンタ17はゼロクロス検出器16によるゼロクロス
点の検出信号をカウントし、所定番目のゼロクロス点を
検出した時点で、そのゼロクロス点の時刻をゼロクロス
時間としてシステムコントローラ20に出力する。本例
では、ゲート信号が立ち下がった直後の受信子R1の受
信信号のゼロクロス点をゼロクロス時間とする。
【0037】システムコントローラ20は、カウンタ1
7からのゼロクロス時間と、超音波パルサ11に対する
送信トリガ信号の出力時刻とに基づき、板波超音波の伝
播時間T1を算出する。システムコントローラ20は、
第1回目検出のゼロクロス点より求めた伝播時間T1か
ら適当なδtを次式のように減算したゲートG1′を設
定して2回目以降のゼロクロス時間T1を測定する。 G1′=T1−δt
【0038】システムコントローラ20は、実験的又は
解析的に予め得られている、板波超音波の伝播時間と電
磁鋼板の鉄損値との関係(図5参照)に基づき、伝播時
間であるゼロクロス時間T1から電磁鋼板の鉄損値を演
算する。従って、ゼロクロス時間測定により鉄損値を評
価することができる。なお、伝播時間は送信子Tと受信
子R2の間の伝播時間を基に求めても同様の効果が得ら
れることは明らかである。
【0039】また、超音波の送受信の繰り返し周波数
(PRF)を適当に(十分高く)選べば、相互相関法に
よるゲートの設定は必ずしも毎回行う必要はない。この
理由は材料中での鉄損変化は緩やかであり、特定の材料
に対して測定開始時の1回目のみ適切にゲート長さを選
べば、後は検出ゼロクロス時間を基にゲートを追従させ
ることにより、鉄損値の絶対値を検出することが可能で
あるからである。
【0040】図7及び図8は、低鉄損の電磁鋼板と高鉄
損の電磁鋼板に対して、ゼロクロス法を使用した従来の
鉄損値評価装置を使用した場合にゼロクロス点が誤検出
される例を示す図である。図6に示すように、低鉄損の
電磁鋼板では、伝播時間が相対的に長いため、本来検出
すべきゼロクロス点より手前のゼロクロス点を誤検出し
てしまい、逆に、図7に示すように、高鉄損の電磁鋼板
では、本来検出すべきゼロクロス点より後方のゼロクロ
ス点を誤検出してしまい、鉄損評価誤差が発生する。従
って、材料中の相対的な鉄損変動は測定できるが、測定
のダイナミックレンジが狭いため鉄損値の絶対値を測定
することは困難である。
【0041】これに比較して、本例の鉄損評価装置は、
測定ダイナミックレンジが広く、適切なゲートを設定す
るので、鉄損値の正しい評価が可能である。
【0042】
【発明の効果】以上のように、本発明の鉄損値評価方法
及びその装置は、電磁鋼板の材料特性と密接に関係する
集合組織の集合状態に応じて超音波音速が変動すること
に着目し、板波超音波の送信子からの距離が異なる2つ
以上の受信子で板波超音波を受信し、受信信号間の相互
相関演算から、これら受信子の超音波受信の遅延時間を
測定して、この遅延時間と受信子の離隔距離とから板波
超音波の音速を高精度に求めるので、測定ダイナミック
レンジが広く、ノイズを含む波形変化の影響を受けにく
く、非破壊、かつオンラインでの連続測定が可能であ
り、さらに生産管理ならびに品質保証を容易、かつ迅速
に行えるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る鉄損値評価装置の一実施形態のブ
ロック構成図である。
【図2】本発明に係る鉄損値評価装置の他の実施形態の
ブロック構成図である。
【図3】板波超音波音速と方向性電磁鋼板鉄損値との関
係を示す図である。
【図4】板波超音波伝播時間と方向性電磁鋼板鉄損値と
の関係を示す図である。
【図5】ゼロクロス法による超音波伝播時間の測定方法
を説明する図である。
【図6】ゼロクロス法を用いた従来方法又は装置により
低鉄損の方向性電磁鋼板における超音波の伝播時間を測
定した場合のゼロクロス点の誤検出例を示す図である。
【図7】ゼロクロス法を用いた従来方法又は装置により
高鉄損の方向性電磁鋼板における超音波の伝播時間を測
定した場合のゼロクロス点の誤検出例を示す図である。
【図8】従来のオンライン鉄損計による測定原理を説明
する図である。
【符号の説明】
10、20 システムコントローラ 11 超音波パルサ 13 A/D変換器 14 相互相関演算回路 15 ゲート発生器 16 ゼロクロス検出器 17 カウンタ T 送信子 R1、R2 受信子

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の表面に配設された送信子から板波
    超音波を送信して鋼板に伝播させ、該鋼板を伝播してき
    た板波超音波を、該板波超音波の伝播方向に沿って所定
    の距離だけ離隔させて配設された2つ以上の受信子によ
    りそれぞれ受信し、それぞれが受信した信号間の相互相
    関演算値と前記受信子の離隔距離とから前記板波超音波
    の音速を測定し、予め求められている板波超音波の音速
    と鋼板の鉄損値との関係又は板波超音波の伝播時間と鋼
    板の鉄損値との関係に基づき、前記音速又は前記音速よ
    り求まる伝播時間から鋼板の鉄損値を演算することを特
    徴とする鉄損値評価方法。
  2. 【請求項2】 鋼板の表面に配設された送信子から板波
    超音波を送信して鋼板に伝播させ、該鋼板を伝播してき
    た板波超音波を、該板波超音波の伝播方向に沿って所定
    の距離だけ離隔させて配設された2つ以上の受信子によ
    りそれぞれ受信し、それぞれが受信した信号間の相互相
    関演算値と前記受信子の離隔距離とから前記板波超音波
    の音速を測定し、前記受信子の受信信号に対して、前記
    受信子までの板波超音波の伝播時間に相当するゼロクロ
    ス点を検出するためのゲートを前記音速を基に設定し、
    予め求められている板波超音波の伝播時間と鋼板の鉄損
    値との関係に基づき、設定したゲートにより検出したゼ
    ロクロス点から求まる、受信子までの板波超音波の伝播
    時間から鋼板の鉄損値を演算することを特徴とする鉄損
    値評価方法。
  3. 【請求項3】 鋼板の表面に配設された超音波の送信子
    と、 該送信子より板波超音波を送信させるためのパルスを発
    生する手段と、 該板波超音波の伝播方向に沿って所定の距離だけ離隔さ
    せて配設され、鋼板を伝播してきた板波超音波を電気信
    号として検出する2つ以上の受信子と、 該2つ以上の受信子がそれぞれ受信した信号間の相互相
    関演算値を算出する手段と、 該手段により算出された相互相関演算値と前記受信子の
    離隔距離とから前記板波超音波の音速を測定し、予め求
    められている板波超音波の音速と鋼板の鉄損値との関係
    又は板波超音波の伝播時間と鋼板の鉄損値との関係に基
    づき、前記音速又は前記音速より求まる伝播時間から鋼
    板の鉄損値を演算する手段とを備えたことを特徴とする
    鉄損値評価装置。
  4. 【請求項4】 鋼板の表面に配設された超音波の送信子
    と、 該送信子より板波超音波を送信させるためのパルスを発
    生する手段と、 該板波超音波の伝播方向に沿って所定の距離だけ離隔さ
    せて配設され、鋼板を伝播してきた板波超音波を電気信
    号として検出する2つ以上の受信子と、 該2つ以上の受信子がそれぞれが受信した信号間の相互
    相関演算値を算出する手段と、 該手段により算出された相互相関演算値と前記受信子の
    離隔距離とから前記板波超音波の音速を測定し、前記受
    信子の受信信号に対して、前記受信子までの板波超音波
    の伝播時間に相当するゼロクロス点を検出するためのゲ
    ートを前記音速を基に設定し、予め求められている板波
    超音波の伝播時間と鋼板の鉄損値との関係に基づき、設
    定したゲートにより検出したゼロクロス点から求まる、
    受信子までの板波超音波の伝播時間から鋼板の鉄損値を
    演算する手段とを備えたことを特徴とする鉄損値評価装
    置。
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