JPH0777465A - 表層部平均温度および厚さ方向温度分布測定方法 - Google Patents

表層部平均温度および厚さ方向温度分布測定方法

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JPH0777465A
JPH0777465A JP22305393A JP22305393A JPH0777465A JP H0777465 A JPH0777465 A JP H0777465A JP 22305393 A JP22305393 A JP 22305393A JP 22305393 A JP22305393 A JP 22305393A JP H0777465 A JPH0777465 A JP H0777465A
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JP
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temperature
surface layer
propagation
measuring object
surface wave
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JP22305393A
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Masahiro Nakamura
昌弘 中村
Kazuo Fujisawa
和夫 藤沢
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面波を測温物体の表層部に伝搬し、伝搬速
度を求めてその伝搬速度から表層部平均温度および厚さ
方向温度分布を測定することができるような測定方法を
提供する。 【構成】 測温物体1の表面にたとえばEMATのよう
な超音波探触子21,22が設けられ、送信用の超音波
探触子21にはエネルギー供給を行なう超音波パルサ3
が接続され、受信用の超音波探触子22には受信した信
号を増幅し表面波の周波数を選定するアンプおよびバン
ドパスフィルタ5が接続される。超音波パルサ3、アン
プおよびバンドパスフィルタ5は、ともに制御および演
算のためのコンピュータ4に接続される。また、コンピ
ュータ4には、測温物体1の表面温度を測定するための
接触式温度計7および放射温度計9が接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、表層部平均温度およ
び厚さ方向温度分布測定方法に関し、特に、表面波を物
体の表層部に伝播させ、物体の表層部平均温度および物
体の厚さ方向温度分布を測定することができるような測
定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種製造プロセス管理、設備の保全にお
いて、温度の測定および管理は非常に重要である。特
に、高温物体や大規模な構造物においては、表面温度と
内部温度が大きく異なることも稀ではなく、表面温度の
みでなく内部温度や温度分布の管理も必要とされる。
【0003】従来、内部温度や温度分布を測定する方法
としては、熱電対等を物体内部に挿入して測定する方法
が用いられている。しかし、熱電対を物体内部に挿入す
るためには、ドリル等で穴を空ける必要があるため、内
部温度分布が乱れ、正確な内部温度や温度分布の測定を
行なうことは困難であった。さらに、測定される物体に
ドリルホールという欠陥を入れる必要があり、ドリルホ
ールを入れることができない物体に対して、熱電対等に
よる内部温度や温度分布測定は適用されない。そこで、
物体に対してドリルホールなどの欠陥を入れず非破壊的
に内部平均温度を測定することのできる測定方法が特開
昭53−124486号、特開昭57−24834号公
報で提案されている。
【0004】その方法では、まず縦波あるいは横波超音
波を測温物体の厚さ方向に伝播させ、伝播時間と伝播距
離である測温物体の厚さとを測定する。その測定結果か
ら超音波の伝播速度を求め、予め測定しておいた伝播速
度と温度との関係を用いて、超音波が伝播した測温物体
の内部平均温度が測定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、特開昭53
−124486、特開昭57−24834号公報で提案
されているような超音波を測温物体の厚さ方向に伝播さ
せて測温物体の内部平均温度を測定する方法では、特に
超音波の伝播距離である測温物体の厚さは、かなり精度
よく測定される必要がある。すなわち、測温物体の内部
温度変化が与える超音波の伝播速度変化は、比較的小さ
いため、伝播速度を演算するための伝播時間と伝播距離
である測温物体の厚さの測定が精度よく行なわれる必要
がある。この精度に関して、たとえば鋼中に縦波超音波
を伝播させた場合に、温度による伝播速度変化は0.1
5%/10℃程度であり、すなわち10℃に関しての温
度精度を得るために、測温物体厚さは0.15×10-2
以上の精度で測定される必要がある。
【0006】ところが、巨大な構造物では、その巨大さ
ゆえに厚さの測定が行われにくく、また表面状態の悪い
物体の厚さの測定も行なわれにくいので、精度のよい厚
さの測定結果は得られない。したがって、精度のよい厚
さの測定結果が得られなければ、超音波を物体の厚さ方
向に伝播しても精度のよい伝播速度も得られないため、
巨大な構造物あるいは表面状態の悪い物体の内部平均温
度測定は正確に行われない。また、超音波を測温物体の
厚さ方向に伝播して内部温度を測定する方法は、ドリル
ホールなどの欠陥を測温物体に入れる必要のない利点を
有するが、熱電対などを用いた測定で得られる測温物体
の温度分布を測定することはできない。
【0007】ゆえに、この発明は、上記のような問題を
解決し、測温物体にドリルホールなどの欠陥を入れるこ
となく、また測定困難な場合が多い材料の厚さを測定す
ることなく、測温物体表層部の内部温度および厚さ方向
温度分布を迅速かつ高精度で測定できる表層部平均温度
および厚さ方向温度分布測定方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る表
層部平均温度測定方法は、表面波を測温物体の表層部に
伝播させ、表面波の伝播距離と伝播時間を測定して伝播
速度を演算し、測温物体と同じ材質の物体により予め測
定した物体表層部平均温度と表面波伝播速度との関係を
用いて、演算された伝播速度から測温物体の表層部平均
温度を測定する。
【0009】請求項2の発明に係る表層部平均温度測定
方法は、測温物体が導電性の材料であるとき、超音波探
触子に電磁超音波探触子を用い、これを複数の周波数の
超音波送信電流で駆動することにより複数の周波数の表
面波を伝播させ、表面波の伝播距離と伝播時間を測定し
て伝播速度を演算し、測温物体と同じ材質の物体により
予め測定された物体表層部平均温度と表面波伝搬速度と
の関係を用いて、演算された伝搬速度から異なった深さ
までの測温物体表層部平均温度を測定する。
【0010】請求項3の発明に係る表層部厚さ方向温度
分布測定方法は、周波数の異なる複数の表面波を測温物
体の表層部に伝播し、各表面波の伝播距離と伝播時間を
測定して伝播速度を演算し、測温物体と同じ材質の物体
を予め測定して決定した伝播速度に作用する表層部の温
度分布に関するパラメータを用いて、演算された伝播速
度から測温物体の表層部厚さ方向温度分布を測定する。
【0011】
【作用】請求項1および2の発明に係る表層部平均温度
測定は、表面波を測温物体の表層部に伝播し、測定され
た表面波の伝播距離と伝播時間によって演算される伝播
速度に対して、予め測定された伝播速度と測温物体の温
度との関係を適用するので、表面波が伝播した深さの表
層部平均温度を測定することができる。
【0012】請求項3の発明に係る表層部厚さ方向温度
測定方法は、表面波を測温物体の表層部に伝播し、測定
された伝播距離と伝播時間によって演算される伝播速度
に対して、伝播速度と温度分布を結び付ける予め決定さ
れたパラメータを適用するので、表面波の伝播速度に影
響を与える表層部厚さ方向温度分布を測定することがで
きる。
【0013】
【実施例】この発明では、測温物体を伝播する表面波の
伝播速度が測温物体の温度に伴って変化すること、およ
び測温物体が厚み方向に不均一な温度分布を有する場合
に伝播させる表面波の周波数が異なれば表面波の伝播速
度も異なることを利用して、表面波の伝播部分である測
温物体の表層部の内部平均温度や厚さ方向温度分布の測
定が行なわれる。
【0014】図1は、この発明の一実施例による表層部
平均温度および厚さ方向温度分布測定方法を説明するた
めの装置の概略ブロック図である。
【0015】図1を参照して、測温物体1は、表面波減
衰が非常に大きく伝播速度の測定ができないようなたと
えば木材、ゴム等のような物体ではなく、たとえば熱間
圧延用スラブあるいはビレット等の物体である。測温物
体1の表面に表面波の送信を行なうため超音波探触子2
1を設け、その超音波探触子21に所定の間隔で表面波
の受信を行なうための超音波探触子22を設ける。この
超音波探触子21,22が、たとえば後で詳しく説明す
る梯子状のコイルからなる電磁超音波探触子(以下EM
ATと略す)であれば、超音波探触子21,22と測温
物体1とが非接触であっても表面波の送受信を行なうこ
とができる。したがって、表面波の送受信に水などの接
触媒質を用いる必要はないため、測温物体1が高温であ
っても表面波伝播速度を測定できる。また、EMATで
用いたコイルに流す電流の周波数を変化させて周波数
(基本波周波数の整数倍、あるいは2n+1倍)の異な
る複数の表面波を超音波探触子21,22は送受信でき
る。
【0016】送信用の超音波探触子21には、超音波探
触子21を駆動させるためにエネルギ供給を行なう超音
波パルサ3が接続され、受信用の超音波探触子22に
は、超音波探触子22が受信した信号を増幅および受信
した表面波の周波数の選定を行なうためのアンプおよび
バンドパスフィルタ5が接続される。超音波パルサ3と
アンプおよびバンドパスフィルタ5は、ともにコンピュ
ータ4に接続される。コンピュータ4は、超音波パルサ
3に超音波探触子21が発生する表面波の周波数や発生
のタイミングなどを表す信号を出力し、アンプおよびバ
ンドパスフィルタ5によって入力された信号から表面波
伝搬速度を演算し、予め保存しておいたデータと比較演
算して表層部平均温度および厚さ方向の温度分布表示を
行なう。コンピュータ4には、超音波パルサ3、アンプ
およびバンドパスフィルタ5の他に測温物体1の表面温
度を測定する接触式温度計7あるいは放射温度計9が接
続される。
【0017】以下、図1に示した実施例における表層部
平均温度測定方法および表層部厚さ方向温度分布測定方
法の測定原理について詳細に説明する。
【0018】図2〜図4は、この発明の一実施例による
表層部平均温度測定方法の原理を説明するための図であ
る。特に、図2は、表面波音速と測温物体における表面
波が伝播した部分の平均温度の関係を示したグラフであ
り、図3は、表面波の波長すなわち伝播速度を周波数で
割った値と測温物体において表面波が伝播する深さとの
関係を示した図であり、図4は、測温物体における深さ
とその深さでの温度との関係を示した図である。
【0019】図2〜図4を参照して、予め測温物体と同
じ材質で平均温度Tave (z)と表面波音速Vr(λ)
との関係を図2に示すように測定しておく。次に、表面
波の周波数を変化させると表面波の測温物体における伝
播深さが異なること、具体的には表面波の測温物体にお
ける伝播深さが図3に示すように表面波の波長程度(z
≒λ)であることを用いる。たとえば5MHz程度の銅
中の表面波では深さ0.5mm程度までの伝播部分があ
り、100kHz程度の低周波の銅中の表面波では深さ
30mm程度までの伝播部分があることになる。
【0020】したがって、周波数を変化させて、すなわ
ち波長を変化させて超音波探触子21から表面波を送信
し、その表面波を超音波探触子22で受信して表面波音
速Vr(λ)を測定する。この測定結果に対して、図2
に示した表面波音速Vr(λ)と平均温度Tave (z)
との関係を用いれば、測温物体1の深さz≒λまでの平
均温度Tave (λ)が求められる。この平均温度Tave
(z)は、測温物体1の温度Tがたとえば表面温度T0
と内部温度との関係などから図4に示すように深さzに
対して変化していた場合の深さλに対するT0 からT′
までの平均温度を意味する。
【0021】次に、上述した測定原理に基づいた表層部
平均温度の測定例として、表面温度425℃、内部温度
450℃、厚さ50mmの測温物体の温度分布を変化さ
せ、本装置による表層部平均温度測定結果と従来の方法
である熱電対による表層部平均温度測定結果の関係を図
7に示す。図7からわかるように、プロットした点で示
された本装置による測定値と従来法による測定結果とが
非常によく対応することを確認した。
【0022】次に温度分布測定法について説明する。測
温対象物体の温度分布測定では、表面波音速は伝播され
る表面波の周波数(波長)と温度分布の関数である事を
用いる。すなわち、ある特定の超音波の周波数(波長)
において各深さの温度が表面波音速にあたえる影響の度
合が異なることを用いて、表面波音速から温度分布の推
定を行う。すなわち、図5に示すように測温物体1にn
層の温度分布(T1〜Tn)が存在すると仮定する。そ
のとき、波長がλである表面波音速Vr(λ)は、第
(1)式のような温度分布の線形結合で表現される。な
お、Vr0 は、測温物体が基準温度均一であるときの表
面波音速であり、c1(λ)〜cn(λ)は、各深さの
温度分布が表面波音速に与える影響係数(パラメータ)
を示し、波長λの関数である。
【0023】これらのパラメータは、予め測温物体と同
じ材質の物体の温度分布を変化させて、表面波伝播速度
を測定しておけば測定できる。たとえば、測温物体と同
じ材質のテストピースに熱電対を埋込み、測温物体と同
じ材質の物体の温度分布を変えて伝播速度測定を行なえ
ばよい。これによって、熱電対によって各深さの温度分
布T1〜Tn は測定され、温度分布を最低n種類変化さ
せて表面波伝播速度の測定を行なえば、パラメータc1
(λ)〜cn(λ)の未知数n個に対して式がn個作る
ことができるため、未知数であるパラメータc1(λ)
〜cn(λ)が決定される。
【0024】
【数1】
【0025】したがって、このように決定されたパラメ
ータc1(λ)〜cn(λ)を用いて、未知な温度分布
T1〜Tnを以下に示すように測定することができる。
【0026】まず、n層の温度分布を有する測温物体1
における各層の温度は、T1〜Tnであり、それぞれ一
定であるとする。波長λをλ1 〜λn というようにn種
類変化させて、表面波伝播速度を測定する。これによ
り、第(2)式に示すようなn本の式による連立方程式
が成立し、n個の未知数であるT1〜Tnは連立方程式
が解かれることで求められる。
【0027】次に、測温物体内部の温度変化が深さに対
して線形で変化する場合、またはある関数形として表現
できることがわかっている場合に、その関数の未知パラ
メータの数、たとえば二次関数であれば3種類の周波数
の表面波音速(あるいは伝播速度)を測定すれば温度分
布は測定される。すなわち、まず表面波音速は第(3)
式のように表現される。なお、Vr0 は、測温物体が基
準温度均一であるときの表面波音速、c(z)は深さz
の温度が表面波音速に与える影響係数(パラメータ)、
T(z)は深さzにおける測温物体の温度、dは表面波
の伝播深さである。具体的には、図6に示すようにT
(z)が二次関数である場合には、T(z)は第(4)
式のように表される。T0 は測温物体の表面温度であ
り、図1に示した実施例の接触式温度計7あるいは放射
温度計9などを用いれば測定される。未知パラメータは
α,βであり、また、表面波の伝播挙動は測温物体表層
からの深さzに対して対数的に変化するので、各深さ温
度の音速への影響係数は第(5)式のように仮定され
る。なお、第(5)式において、A,Bは伝播する表面
波波長λa により決定される定数であり、C,Dはλb
により決定される定数である。第(3)式は、波長λa
およびλb のそれぞれに対して第(4)式および第
(5)式によって第(6)式のように書き表される。
【0028】したがって、α,βという2つのパラメー
タは、2種類の周波数の表面波音速を測定すれば、第
(6)式によって決定される。決定されたα,βを第
(4)式に代入すれば、測温物体の温度分布がわかる。
なお、温度分布が表面波音速へ与える影響を示す影響係
数l(λa )、m(λa )、l(λb )、m(λb
は、従来法によって既知の最低2種類の温度分布に対し
て表面波音速を測定し、第(7)式および第(8)式に
示すような式を立てて求めればよい。第(7)式および
第(8)式において、Vr1 およびVr2 は、測温物体
の温度分布を変えて測定した測定結果であり、α1 ,β
1 ,α2 ,β2 は従来法を用いて決定した温度分布のパ
ラメータである。また、測定精度を向上させるために影
響係数l(λa)などは、正確であった方がよい。その
ため、影響係数の算出のための測定結果である表面波音
速に対して、最小二乗法を用いて誤差をできるだけ小さ
くした方がよい。
【0029】次に、上述した測定原理に基づいた表層部
厚さ方向温度分布の測定例として、表面温度500℃、
内部温度600℃、厚さ50mmの鋼板の温度分布を推
定した結果を図8に示す。ただし、図8には表面から2
0mmまでの結果を示しており、厚さが25mmのとこ
ろで極大値600℃を示す。また、推定に用いた表面波
は周波数100kHz、200kHzであり、オフライ
ン的に求めた音速への影響係数を表1に示す。図8に示
すように、プロットした点で示す推定された温度分布
は、実線で示した測温物体の温度分布上にきれいに乗っ
ている。すなわち、上述した測定原理による厚さ方向温
度測定は、精度よく行なわれたことが図8によりわか
る。
【0030】
【数2】
【0031】
【表1】
【0032】図9は、超音波探触子として用いたEMA
Tを説明するための図であり、特に、図9(a)はEM
ATの下面図であり、図9(b)はEMATと測温物体
である導体との関係を示した図である。図10は、表面
波がEMATにより発生した状態を示す図であり、特に
図10(a)は100kHzの表面波についての図であ
り、図10(b)は300kHzの表面波についての図
である。
【0033】図9および図10を参照して、永久磁石1
1の下面にセンサコイル12を取付ける。センサコイル
12が取付けられた永久磁石11を導電導体である測温
物体1に非接触で設ける。図9(a)に示すようなEM
ATパルサにより矢印で示した方向に送信電流を流した
とすると、図9(b)に示す方向にコイル電流13が流
れる。このコイル電流13によって誘起した渦電流15
が測温物体1に表れる。このように誘起した渦電流15
と永久磁石11との間の相互作用であるローレンツカや
測温物体1の持つ磁歪効果によって、電気信号は音響信
号に可逆的に変換される。
【0034】通常用いられる電気式超音波探触子は圧電
効果により発生した表面波をアクリル等で作られた楔を
介して送受信する。したがって、測温物体と密接触しな
ければならず、高温物体や表面性の悪い物体では送受信
はうまく行なわれなかった。ところが、上記のようなE
MATは、測温物体と非接触で表面波を送受信すること
ができるため、高温物体や表面性の悪い物体に対して利
用価値の高い超音波探触子である。
【0035】さらに、通常の電気式超音波探触子は、楔
背面に貼付けてある振動子に依存した表面波しか発生で
きない。つまり、振動子の膜厚で決定される1つの周波
数の表面波しか発生できない。したがって、異なる周波
数の表面波を送受信するためには、その周波数ごとに1
組の探触子が必要である。しかし、EMATは、センサ
コイル12に与える電流の周波数を変えれば、たとえば
図10(a)に示すような100kHzの表面波を発生
させたり、図10(b)に示すような300kHzの表
面波を発生させたりできる。ただし、図10(a)にお
けるコイルピッチは波長の半分のλ/2=13mmとし
て、100kHzの表面波を効率よく発生させている。
このコイルピッチのままで、センサコイルに300kH
zの電流を流して300kHzの表面波が図10(b)
のように発生されている。
【0036】なお、測温物体1が導電導体の場合にEM
ATは、効果的に表面波を送受信するが、測温物体1の
電気抵抗が小さく、透磁率が高く、磁歪効果が大きけれ
ば、電気−音響変換効率が高くなるため、より効果的に
表面波を送受信することができる。
【0037】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、表面波
を測温物体の表層部に伝播して、伝播速度から表層部平
均温度および厚さ方向温度分布を高精度で測定すること
ができるので、製造プロセスにおける制御および構造物
の管理を正確にきめ細かく行なうことができる。さら
に、低周波の表面波を用いれば、測温物体の深層部まで
表面波が伝播するので、より測温物体の表面から深層部
までの表層部平均温度および厚さ方向温度分布を測定す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による表層部平均温度およ
び厚さ方向温度分布測定方法を説明するための装置の概
略ブロック図である。
【図2】この発明の一実施例による表層部平均温度測定
方法の原理を説明するための第1の図である。
【図3】この発明の一実施例による表層部平均温度測定
方法の原理を説明するための第2の図である。
【図4】この発明の一実施例による表層部平均温度測定
方法の原理を説明するための第3の図である。
【図5】この発明の一実施例による表層部厚さ方向温度
分布測定方法の原理を説明するための第1の図である。
【図6】この発明の一実施例による表層部厚さ方向温度
分布測定方法の原理を説明するための第2の図である。
【図7】この発明の一実施例による表層部平均温度測定
方法に基づいて測定した測定結果と従来法に基づいて測
定した測定結果との関係を示した図である。
【図8】この発明の一実施例による表層部厚さ方向温度
分布測定方法に基づいて測定した測定結果と実際に測温
物体に与えた温度分布との関係を示した図である。
【図9】超音波探触子として用いたEMATを説明する
ための第1の図である。
【図10】超音波探触子として用いたEMATを説明す
るための第2の図である。
【符号の説明】
1 測温物体 3 超音波パルサ 4 コンピュータ 5 アンプおよびバンドパスフィルタ 7 接触式温度計 9 放射温度計

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面波を測温物体の表層部に伝播させ、
    前記表面波の伝播距離ならびに伝播時間を測定して伝播
    速度を演算し、予め前記測温物体と同じ材質の物体によ
    り得た前記表面波の伝播速度と前記物体の温度との関係
    を用いて、前記演算された伝播速度から前記測温物体の
    表層部平均温度を測定することを特徴とする、表層部平
    均温度測定方法。
  2. 【請求項2】 前記表面波の送信、受信のために1対の
    電磁超音波探触子(EMAT)を導電性の測温物体に非
    接触で設け、前記電磁超音波探触子を駆動する電流の周
    波数を変化させて周波数の異なる複数の表面波を送受信
    し、前記複数の表面波の伝播速度により表層部平均温度
    を測定することを特徴とする、請求項1記載の表層部平
    均温度測定方法。
  3. 【請求項3】 前記測温物体と同じ材質の物体の温度分
    布を種々に変化させた前記物体に、周波数の異なる複数
    の表面波を伝播させ、前記各表面波の伝播距離と伝播時
    間を測定して伝播速度を演算し、各々の温度分布と表面
    波音速との関係から決定した前記伝播速度に作用する温
    度分布に関するパラメータを求め、前記測温物体に複数
    の周波数の表面波を伝播させ、前記伝播速度を演算し、
    前記パラメータを用いて前記測温物体の表層部厚さ方向
    温度分布を測定することを特徴とする、表層部厚さ方向
    温度分布測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010181174A (ja) * 2009-02-03 2010-08-19 Kobe Steel Ltd 電磁超音波法による測定装置及び測定方法
JP2011117982A (ja) * 2004-09-17 2011-06-16 Siemens Ag 温度を決定するための測定装置およびこの測定装置の作動方法
KR20190113883A (ko) * 2017-04-25 2019-10-08 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 스케일 조성 판정 시스템, 스케일 조성 판정 방법, 및 프로그램
CN111256630A (zh) * 2020-02-27 2020-06-09 西北大学 利用电磁超声导波频散特性快速测量金属板材厚度方法

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