JP2697508B2 - 炉壁の超音波厚さ計測方法 - Google Patents

炉壁の超音波厚さ計測方法

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JP2697508B2
JP2697508B2 JP23603992A JP23603992A JP2697508B2 JP 2697508 B2 JP2697508 B2 JP 2697508B2 JP 23603992 A JP23603992 A JP 23603992A JP 23603992 A JP23603992 A JP 23603992A JP 2697508 B2 JP2697508 B2 JP 2697508B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高炉などの炉壁の厚さ
を、操業中に超音波を用いて非破壊測定する厚さ計測方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉などの炉壁は、一般的に外側から鉄
皮、スタンプ材、耐火物である耐火レンガの順に構成さ
れた多層構造をしている。一番内側にある耐火物は損耗
していくため、耐火物の厚さや炉壁の厚さを非破壊的に
計測することが炉の保守管理上、極めて重要である。
【0003】炉壁の厚さを非破壊的に計測する方法とし
て、特開昭62−297710号公報の衝撃弾性波法が
知られている。この方法は、ハンマーで鉄皮を叩いて弾
性波(超音波)を発生させ、炉壁内部を透過して裏面で
反射してきた弾性波を超音波探触子で受信して、弾性波
が炉壁を往復した時間と、予め求めておいた炉壁の音速
とから、炉壁の厚さを求める方法である。各々の構成材
の音速と厚さを求めておけば、損耗した耐火レンガの厚
さが分かり、炉壁の残存厚さを求めることができる。
【0004】しかしながら、衝撃弾性波法においては次
のような問題がある。すなわち、発生する弾性波が縦
波、横波、表面波と様々なモードを含んでおり、しかも
様々な周波数を非均質に含んでいるので、炉壁裏面での
反射波を受信波形中から抽出することが困難である。特
に、高炉上部に積み上げられる耐火レンガは不均質で、
しかも複雑な構造をしているため、伝搬中のモード変換
や散乱の影響が大きい。このため、図6に示すように、
炉壁裏面からの反射波を特定できず、各エコーポイント
t1 ,t2 ,t3 (但し、t1 :鉄皮からのエコーポイ
ント、t2 :スタンプ材の内周面からのエコーポイン
ト、t3 :耐火物の内周面からのエコーポイント)は推
定位置となる。
【0005】この問題を解決するためには、縦波超音波
の利用が考えられる。この場合、モードが主に縦波だけ
なので反射波の特定が容易になる。従来法としては特開
昭64−74444号公報がある。これによると、炉壁
に対して数100KHz 程度までの周波数が望ましく、5
0KHz の電気信号を励振波として送信用探触子に送り、
送信用探触子から縦波超音波を炉壁に送り込み、炉壁の
裏面で反射して戻ってきた縦波超音波を受信用探触子で
受信して超音波の往復時間を測定することにより、炉壁
の厚さが求められると記されている。
【0006】しかしながら、この方法には次のような問
題がある。炉壁中に送信された超音波の一部は、表面を
伝搬して受信用探触子に入り、不感帯を作り出してしま
う。すなわち、縦波超音波を用いても、送信用探触子か
ら出た超音波の一部は、炉壁の鉄皮を斜めに反射しなが
らまたは表面波となって横方向にも伝播する。この結
果、送信用探触子と受信用探触子との距離は近いため、
送信直後の時間帯に超音波がしばらく受信用探触子に入
ることとなる。この超音波は炉壁内部からの反射波に比
べると非常に強いため、この時間帯は反射波が埋もれて
しまうことになり、不感帯を作り出すことになる。
常、炉壁の音速は3000〜6000m/s程度なので
数10KHz の超音波の波長は60〜120mm程度であ
り、超音波探触子から発せられる超音波パルスの波数が
5〜15波程度であるから、不感帯は300〜1800
mm程度となってしまう。このため、炉壁の構造や用いる
探触子によっては、図7に示すように炉壁裏面からの反
射波を特定できない。図7において、Cが不感帯域であ
り、その幅が非常に広く、反射波Dの立ち上がり時点の
識別が困難である。
【0007】さらに、この問題を解決するためには、日
本非破壊検査協会第2分科会資料21278「コンクリ
ート用マルチ超音波測定器の開発」に述べられているよ
うな、励振波を任意に選択できる装置を用いる方法が考
えられる。これは、周波数と波数が可変できるバースト
波を励振波に用いて、材質に応じて最適な周波数と波数
を選択できるようにした方法である。
【0008】この方法は、周波数を20KHz から1MHz
まで可変できるバースト波を、被計測対象の材質に適合
するように超音波を選定できるようにしている。また超
音波の選定方法は、エコーまたは透過パルスが最大とな
る周波数を連続的に可変して求めるものである。しか
し、そのための制御手段がないため、試行錯誤で探さな
ければならない。また、この方法では、探触子の交換や
経年変化等が発生する度に、材質に適合した超音波を選
定しなければならない。
【0009】例えば、図8はバースト波の周波数及び波
数ごとに、エコーまたは透過パルスが最大となる周波数
を試行錯誤的に求めた結果を示すものであるが、この実
験結果によると、エコーが最大となる周波数及び波数は
40KHz ,6波であった。また、このように試行錯誤で
求める方法は、操作が煩わしく、また時間もかかるとい
った問題がある。
【0010】また、エコーまたは透過パルスが最大とな
る周波数というのは、一般に探触子の周波数特性のピー
ク周波数である。ところが、周波数100KHz 以下の探
触子の周波数特性は広くないので、探触子のダンピング
特性により、受信される超音波の波数は送信波と比べて
大幅に増え、5〜10数波になってしまう。このため不
感帯が大きく、分解能も悪いので正確な厚さ測定には適
していない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、縦波超
音波だけを用いると反射波の特定が容易となるが、被計
測対象の材質に適合する超音波を試行錯誤で選定しなけ
ればならないので、操作が煩わしく、また時間もかかる
といった問題があった。
【0012】また、エコーまたは透過パルスが最大とな
る周波数というのは、一般に探触子の周波数特性のピー
ク周波数であるが、周波数100KHz 以下の探触子の周
波数特性は広くないので、探触子のダンピング特性によ
り、受信される超音波の波数が送信波と比べて大幅に増
え、5〜10数波になってしまう。このため不感帯が大
きく、分解能も悪いので正確な厚さ測定には適していな
いといった問題があった。
【0013】本発明は、前記のような課題を解決するた
めになされたもので、高炉上に積み上げられた耐火レン
ガのような不均質で、しかも複雑な構造をしている耐火
物の残存厚みを正確に測定することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、中心周波数と
波数を任意に設定できるバースト波の励振波を用いると
ともに、受信波の波数が少なくなるように励振波の発生
条件を、自動的に、もしくは手動的に定めることで前記
課題を解決したものである。
【0015】すなわち、本発明に係る炉壁の超音波厚さ
計測方法は、下記の3つの工程よりなるものである。 まず、適当な被検体に対して広帯域の超音波を送信
し、その反射波を受信し、該受信波のスペクトルを周波
数解析することにより超音波の波数が前記広帯域な励振
波を用いたときの受信波の波数よりも少なくなるような
中心周波数と波数の励振波発生条件を求める第1工程。
ここで、「適当な被検体」とは、実際の被計測対象のほ
か、炉壁とほぼ同様の多層構造物、あるいは少なくとも
耐火レンガ層を有するものを含む概念である。 次に、前記工程で求められた発生条件により励振波を
発生し、該励振波で被計測対象に超音波を送信し、その
送信から反射波を受信するまでの往復時間を計測する第
2工程。 最後に、前記計測した時間と予め求めておいた被計測
対象の音速とにより、該被計測対象の厚さを求める第3
工程。
【0016】また、本発明は、前記被計測対象の厚さ
を、受信波と励振波または被計測対象を透過若しくは反
射した超音波である基準波との相互相関により求められ
るピーク位置から超音波の往復時間を求めることによ
り、算出することとした炉壁の超音波厚さ計測方法であ
る。
【0017】
【作用】前記第1工程では、炉壁の厚さ測定に最適なバ
ースト波の励振波の発生条件を求める。励振波の発生条
件としては励振波の中心周波数と波数を決定することで
あり、この場合、受信波の波数ができるだけ少なくなる
ように励振波の中心周波数と波数を決定する。そのため
に、適当な被検体を利用し、広帯域の超音波を送受信
し、その受信波のスペクトルの周波数解析によって励振
波の発生条件を求める。ここで、励振波から受信波に至
る信号の伝達特性において、受信波の周波数特性は一般
に以下の式で表される。 Sr (jω) =St (jω) ・F(jω) ・H(jω) ・F(jω) 但し、Sr (jω) :受信波の周波数特性 St (jω) :励振波の周波数特性 F(jω) :送受信用探触子の周波数特性 H(jω) :超音波の伝達経路の周波数特性 この式から、励振波の周波数特性を変えることにより、
受信波の周波数特性が変化する。波形とその周波数特性
はフーリエ変換の関係があるので、励振波の波形(中心
周波数および波数)を変えることによって励振波の周波
数特性が変化する。同様に、受信波の周波数特性が変化
することにより、受信波の波形が変化する。 この関係を
利用することにより、受信波の波数を変化させる。すな
わち、まず励振波の波数については、励振波の波数を多
くするほど周波数特性は狭くなるので、受信波の周波数
特性も狭くなり、結果として受信波の波数も多くなる。
反対に励振波の波数を少なくするほど周波数特性は広く
なるので、受信波の周波数特性も広くなり、結果として
受信波の波数も少なくなる。 次に、励振波の中心周波数
については、探触子の周波数特性に重なるような周波数
を選択すると、受信波の周波数特性はより狭くなるの
で、受信波の波数は多くなる。一方、探触子の周波数特
性に重ならないような周波数を選択すると、受信波の周
波数特性波より広くなるので、受信波の波数は少なくな
る。
【0018】本実施例装置によると、超音波探触子の周
波数特性に基づいて、励振波設定手段がバースト波の中
心周波数と波数を自動設定し、励振波発生手段によりバ
ースト波を励振波として発生する。このとき、励振波設
定手段は、バースト波の中心周波数を超音波探触子の共
振周波数から外れた周波数に設定する。また、波数を受
波される超音波の周波数特性が平坦になるように設定す
る。このようにすると、超音波探触子から発せられる超
音波は、超音波探触子の共振特性で決まる狭帯域な周波
数分布にはならず、広帯域な周波数分布になる。そのた
め、波数が少なくなり、不感帯が狭くなる。この理由
は、広帯域な周波数特性をもつ超音波を炉壁に送信する
と、炉壁の表面を伝播する表面波も広帯域な周波数特性
をもち、表面波の波数が少なくなるので、不感帯が狭く
なるからである。また、バースト波の中心周波数を20
0KHz 以下にすると、超音波の指向性が拡がるため、鉄
皮内での多重反射波が弱くなる。周波数解析手段により
受信波の周波数解析を行い、超音波探触子の周波数特性
を求める。この結果に基づいて、励振波設定手段がバー
スト波の中心周波数と波数を設定する。 (第2工程) この工程においては、被計測対象である実際の炉壁10
に対して、上で求めた中心周波数58KHz 及び波数3波
のバースト波を励振波発生手段1により発生し、送信用
探触子3により超音波を送信し、炉壁10の裏面から反
射してきた反射波を受信用探触子4で受信することによ
り、超音波の送信から受信までの往復時間を測定する。
【0019】前記第2工程では、第1工程にて設定され
た中心周波数と少ない波数を持つバースト波を実際の炉
壁に送信し、その裏面から反射した反射波を受信するこ
とにより、その送信から受信までの往復時間を測定す
る。
【0020】前記第3工程では、第2工程にて測定した
往復時間と予め求めておいた炉壁の音速とから、炉壁の
厚さを演算する。この場合において、本実施例装置の厚
さ演算手段によると、まず、受信波と参照波(基準波)
との相互相関を演算することになっている。ここでは、
基準波に励振波、または被検体を透過もしくは反射した
超音波の受信波を用いる。このようにすると、反射波の
到達時間を相互相関のピーク位置から求めることができ
るので、精度良く超音波の往復時間を測定することがで
きる。
【0021】
【実施例】図1は本発明の超音波厚さ計測方法で使用す
る計測装置の一実施例を示すブロック図である。図にお
いて、1はバースト波を励振波として発生する励振波発
生手段、2はパワーアンプ、3は超音波の送信用探触
子、4は被計測対象である炉壁10の裏面より反射して
きた反射波の受信用探触子、5はアンプ及びフィルター
である。
【0022】また、本計測装置は、励振波発生条件を自
動設定する励振波制御手段30と、炉壁の厚さを演算す
る厚さ演算手段40とを備えている。そして、前記励振
波制御手段30は、周波数解析手段31,ピーク周波数
算出手段32,周波数帯域算出手段33,周波数帯域選
択手段34,及び励振条件算出手段35から構成され、
また、前記厚さ演算手段40は、A/D変換器41,参
照波記憶手段42,相関手段43,及び表示手段44か
ら構成されている。
【0023】前記のように構成された本計測装置は以下
のように動作する。励振波発生手段1にて発生された電
気信号はパワーアンプ2で増幅される。このパワーアン
プ2の出力は送信用探触子3に入り、超音波に変換され
て炉壁10へ送信される。炉壁10を透過反射した超音
波はアンプ及びフィルター5にて増幅・瀘波された後、
励振波制御手段30または厚さ演算手段40に導かれ
る。
【0024】そこで、前記第1〜第3工程を次のように
実行する。 (第1工程) まず、励振波発生手段1から広帯域な周波数成分を発生
する。ここで、広帯域な周波数成分を持つバースト波
は、中心周波数を高くして(実施例では1MHz とし
た),波数を0.5波とすることで得ることができる。
このようにすると、励振波の周波数特性が広帯域になる
ので、受信波のスペクトルは送受用超音波探触子3,4
の周波数特性で決まることになる。そこで、適当な被検
体(実際の被計測対象に限らず、少なくとも耐火レンガ
層を有するものであれば良い)を利用して、透過または
反射した超音波の受信波を測定する。
【0025】次に、この受信波のスペクトルを周波数解
析手段31により求める。本実施例の場合、周波数解析
手段31はA/D変換器とFFT(高速フーリエ変換
器)により構成されており、受信波をフーリエ変換して
スペクトルを求めるようにしている。この結果に基づ
き、ピーク周波数算出手段32はスペクトルがピークと
なる周波数fp を求める。スペクトルは前記FFTによ
り離散的に数値として求められているので、値が一番大
きくなる点の周波数を求めれば良い。
【0026】一方、周波数帯域算出手段33は、スペク
トルが有効な周波数帯域を求め、スペクトルが立ち上が
る周波数f1 と立ち下がる周波数f2 の値を各々出力す
る。本実施例の場合、ピーク値から30dB下がった点を
閾値とし、閾値を越える範囲を有効な周波数帯域として
f1 及びf2 を求めるようにしている。f1 及びf2は
周波数帯域選択手段34にてどちらか一方が選択され、
f0 として出力される。
【0027】励振条件算出手段35は、以上の結果に基
づき、励振波であるバースト波の中心周波数fc 及び波
数Nを計算する。本実施例の場合、各々以下の式で計算
している。 fc =f0 N=|f0 /(fp −f0 )| 但し、0.5単位に小数点以下一桁を揃える。励振波発
生手段1は、その結果に基づいて、中心周波数fc 及び
波数Nのバースト波を発生する。以上の手順にて厚さ測
定に最適な設定を行うことができる。
【0028】以下、測定結果を図に基づいて説明する。
図2は、広帯域な励振波で超音波を送信し、厚さ約1m
の耐火レンガの裏面で反射してきた超音波を受信したと
きの受信波である。ここで、同図の(a)は受信波形、
(b)は受信波のスペクトルであり、超音波探触子の周
波数帯域は狭いので、受信波形の波数は多くなってお
り、しかもスペクトルが狭いことが示されている。ピー
ク周波数算出手段32によりスペクトルのピーク周波数
を求めた結果、fp =76KHz であった。また周波数帯
域算出手段33の結果は、f1 =58KHz ,f2 =85
KHz であった。ここでは、低い周波数の方が耐火物中で
超音波の減衰が少ないのでf1 を選択する。なお、高い
周波数でも超音波減衰が少ない場合、分解能が上がるの
でf2 を選択する。以上の結果から、励振条件算出手段
35により励振波の中心周波数としてfc=f0 =58K
Hz ,波数としてN=|f0 /(fp −f0 )|=3
(近時値)が算出される。これに基づき、励振波発生手
段1は中心周波数58KHz ,波数3波のバースト波を発
生する。
【0029】このバースト波により超音波を送受したと
きの受信波が図3である。同図の(a)は受信波形であ
り、波数が少ない分解能の高い波形を得ることができ
た。(b)は受信波のスペクトルであり、図2の(b)
と比べて広帯域なスペクトルが得られている。以上のよ
うな励振波制御手段30により、耐火物の厚さの測定に
対して、励振用バースト波の最適な発生及び設定が容易
確実にできるものである。
【0030】(第2工程) この工程においては、被計測対象である実際の炉壁10
に対して、上で求めた中心周波数58KHz 及び波数3波
のバースト波を励振波発生手段1により発生し、送信用
探触子3により超音波を送信し、炉壁10の裏面から反
射してきた反射波を受信用探触子4で受信することによ
り、超音波の送信から受信までの往復時間を測定する。
【0031】(第3工程) この工程では、上で測定した超音波の往復時間と予め求
めておいた炉壁10の音速とから、炉壁10の厚さを計
算する。
【0032】本実施例の場合、厚さ演算手段40は以下
のように動作する。まず、A/D変換器41が受信波を
デジタル値に変換する。参照波記憶手段42はメモリで
構成されており、適当な被検体を利用して、透過または
反射した超音波の受信波を参照波として記憶しておく。
相関手段43は、この参照波と実測定時の受信波との相
互相関を計算する。表示手段44は、相互相関の計算結
果を波形として表示し、また耐火物の厚さを計算表示す
る。
【0033】具体的な測定結果について図に基づいて説
明すると、図4は相関を演算する前の受信波形である。
図中、一番左側のパルス波は励振波であり、これは、反
射波が戻ってくるまでの時間を計測するために励振波発
生手段1から直接A/D変換器41に入力していること
による。中央のパルス波が耐火物を透過し裏面で反射し
て戻ってきた超音波であり、右側は不明なエコーであ
る。ここで、裏面で反射してくる超音波の同定は、予め
耐火物の厚さが概略分かっていれば、音速から容易に知
ることができる。
【0034】炉壁10の厚さを求めるには、図4のA点
とB点の時間間隔を求める必要があるが、反射波は徐々
に立ち上がる形であり、立ち上がりの瞬間はノイズに埋
もれていて精度良く見つけることができない。このた
め、通常、超音波厚さ計においては、受信波を包絡線検
波し、ある閾値を越えた点を立ち上がり点とする方法が
使われているが、この場合、立ち上がり点を数波長以下
の精度で求めることができず、厚さ測定の精度を一波長
である数10mm以下にすることができない。
【0035】一方、図5は参照波との相関を演算した結
果の波形である。ここで、参照波には図3(a)の波形
を用いている。このように相互相関を計算すると、励振
波の励振時点及び反射波の到来時点は図のようにピーク
となる点になる。このため、図5のA−B間の時間を一
波長以下の精度で測定することができるようになる。図
5ではA−B間の時間は0.345msecであったので、
音速4030m/secより、厚さは69.5cmと算出で
きた。以上のような厚さ演算手段40により、炉壁の厚
さを一波長以下の高精度で測定することができる。
【0036】なお、前記実施例では、超音波探触子を送
信用と受信用と別個のものを用いたが、一つの超音波探
触子で兼用させることも可能である。また、励振波の設
定は、周波数解析手段の結果を基に自動で行っても良い
し、周波数特性を見ながら手動で行うことも可能であ
る。その他、本発明は要旨の範囲内で種々変更して実施
可能である。
【0037】
【発明の効果】以上のように構成され、作用をする本発
明は、以下のような効果を奏する。まず、バースト波を
励振波として発生し、バースト波の周波数と波数を設定
し、受信波の周波数を周波数解析することにより、その
解析結果に基づいて、最も受信波の波数が少なくなるよ
うに励振波であるバースト波の中心周波数と波数を決定
して励振波を発生するので、超音波探触子の狭帯域特性
を補償して受信波の波数を少なくすることができる。こ
のため、不感帯が狭くなり、かつ、分解能を高めること
ができる。
【0038】また、中心周波数が200KHz 以下のバー
スト波を用いることにより、炉壁の鉄皮内の多重反射を
弱めることができるので、炉壁裏面の反射波を容易に検
出することができる。
【0039】さらに、受信波と基準波との相互相関のピ
ーク位置から超音波の往復時間を求めて厚さを算出する
ことにしているので、反射波の立ち上がり時間を一波長
以下の分解能で求めることが可能となり、厚さ測定の精
度を従来の数波長程度から一波長以下に高めることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の炉壁の超音波厚さ計測方法において使
用する厚さ計測装置の一実施例を示すブロック図であ
る。
【図2】広帯域な励振波で超音波を送信し、耐火レンガ
の裏面から反射してきた超音波を受信したときの測定結
果の一例を示す図である。(a)は受信波形図、(b)
は受信波のスペクトル特性図である。
【図3】前記厚さ計測装置の励振条件算出手段で算出さ
れた、周波数と波数で送信し、耐火レンガの裏面から反
射してきた超音波を受信したときの測定結果の一例を示
す図である。(a)は受信波形図、(b)は受信波のス
ペクトル特性図である。
【図4】相関を演算する前の受信波形の一例を示す波形
図である。
【図5】受信波と参照波との相互相関を演算した結果の
一例を示す波形図である。
【図6】従来の衝撃弾性波法を用いたときの炉壁裏面か
らの反射波を受信したときの測定結果の一例を示す波形
図である。
【図7】従来の縦波超音波法により広帯域な超音波を送
信し、炉壁裏面から反射してきた反射波を受信したとき
の測定結果の一例を示す波形図である。
【図8】バースト波を用いてエコーが最大となる周波数
及び波数を試行錯誤で求める従来法を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 励振波発生手段 2 パワーアンプ 3 送信用探触子 4 受信用探触子 5 アンプ及びフィルター 10 炉壁 30 励振波制御手段 31 周波数解析手段 32 ピーク周波数算出手段 33 周波数帯域算出手段 34 周波数帯域選択手段 35 励振条件算出手段 40 厚さ演算手段 41 A/D変換器 42 参照波記憶手段 43 相関手段 44 表示手段

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 広帯域な励振波で超音波探触子を励振し
    て超音波を適当な被検体に対して送信し、その反射波を
    受信し、該受信波のスペクトルを周波数解析することに
    より、超音波の波数が前記広帯域な励振波を用いたとき
    の受信波の波数よりも少なくなるように励振波の発生条
    件である中心周波数と波数とを求め、前記求められた発
    生条件により励振波を発生し、該励振波で超音波探触子
    を励振して超音波を被計測対象に送信し、その反射波を
    受信することにより超音波の往復時間を計測し、 前記計測した時間と予め求めておいた被計測対象の音速
    とにより、被計測対象の厚さを求めることからなる炉壁
    の超音波厚さ計測方法。
  2. 【請求項2】 前記被計測対象の厚さは、励振波または
    被計測対象を透過若しくは反射した超音波の受信波であ
    る基準波と、受信波との相互相関のピーク位置から前記
    超音波の往復時間を算出することを特徴とする請求項1
    記載の炉壁の超音波厚さ計測方法。
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