JPH09196900A - 表面層特性の測定方法および装置 - Google Patents

表面層特性の測定方法および装置

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JPH09196900A
JPH09196900A JP8007501A JP750196A JPH09196900A JP H09196900 A JPH09196900 A JP H09196900A JP 8007501 A JP8007501 A JP 8007501A JP 750196 A JP750196 A JP 750196A JP H09196900 A JPH09196900 A JP H09196900A
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JP8007501A
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Yoshiaki Nagashima
良昭 永島
Masahiro Koike
正浩 小池
Hiroto Kawamata
啓人 川又
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 音響信号の伝播経路長が未知の場合において
も、被検体の表面層の特性を測定できる方法および装置
を提供する。 【解決手段】 鋼材10の表面に硬化層11が形成され
た面を伝播する表面波のうち、受信器1側に屈折する超
音波8を受信器1で受信する。受信器2は受信器1から
離れて配置し、受信器2側に屈折する超音波9を受信す
る。超音波8と超音波9は、電気信号に変換され、超音
波探傷器等で構成される音響受信部3で増幅され、デジ
タルオシロスコープ等で構成されるデジタイザ4でデジ
タル信号に変換される。このデジタル信号を使って群遅
延時間演算部5で超音波8と超音波9の複数周波数の群
遅延時間を計算し、表面層特性演算部6で表面層の特性
を計算する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響信号を使用し
て被検体表面層の特性を非破壊で測定する方法および装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】表面層の厚さ、もしくは表面層の性質
(硬さ等)の深さ方向分布を非破壊で計測する方法とし
て表面波の音速変化を利用する方法が知られている。こ
の方法は、表面層の音響的性質すなわち表面層の弾性係
数や密度が母材部と異なることを利用するものである。
すなわち、表面波は被検体の表面から深さ方向に一波長
の範囲内に90%以上のエネルギーが存在するため、表
面層の厚さによって表面波の表面層と母材部を伝播する
割合が変化する。この結果、表面層の厚さに応じて表面
波の音速が変化するということになる。
【0003】この原理を用いた測定法として特開昭62
−277554に開示された方法がある。この方法で
は、被検体表面に表面波を伝播させて一方でそれを受信
し、その間の伝播時間から音速を求め、母材の音速を基
準とした音速変化率から表面層の厚さを測定している。
しかし、表面波では周波数によって音速が異なる分散現
象により高周波のほうが低周波より速く伝播する現象が
生じ、伝播に伴って変化したり広がったりする。このた
め、上記の方法では、高精度な伝播時間測定は困難であ
る。
【0004】これを解決する手段として、周波数毎の伝
播時間から音速を求める方法があり、この例として、非
破壊検査(第39巻第2号pp.99−103)「レー
リー波による表面層の非破壊評価」で発表された方法が
知られている。この方法では、複数の周波数の位相速度
を計測し、その変化率から表面層の弾性係数の深さ方向
分布を計算するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技
術では複数周波数の位相速度を計測するようになってい
るが、これには、2受信点間の位相遅延時間の測定が必
要となる。位相遅延時間は前記2受信点で受信した両受
信波について、ある周波数成分の位相差から算出する。
この過程を図10を参照して説明する。同図において、
受信点1での角周波数ωの波形に対し、受信点2での角
周波数ωの波形は、θr (ω)の位相遅れがあるとす
る。しかし、実際には受信点1の谷Aが受信点2の谷B
であるか谷B’であるか、あるいは2πの整数倍離れた
他の谷であるは明らかでない。すなわち、位相差θ
(ω)には2nπ(nは整数)の任意性が存在し、位相
差θ(ω)は、 θ(ω)=θr (ω)+2nπ ・・・(1) と表現できる。一方、位相遅延時間τp (ω)は、 τp (ω)=θ(ω)/ω ・・・(2) で算出されるため、やはり、2nπの任意性の影響を受
ける。このために、この問題を別の手段で解決する必要
がある。
【0006】そこで、前記後者の公知例では、母材の状
態と表面層が形成された状態では受信波間の位相差に2
nπ以内の差しか生じないとの前提から、既知の母材の
音速と伝播経路長からおおよその位相差を求め、その位
相差からの−π〜πの間のずれのみを計測によって求め
る手段を採用している。しかしながら、送信や受信の位
置が不安定である場合や伝播経路が曲面である場合な
ど、伝播経路長が測定困難な場合には、前記手段により
おおよその位相差を知ることができず、ひいては表面層
の弾性係数(硬さ)の測定が困難になる。
【0007】本発明は、このような従来技術の実情に鑑
みてなされたもので、その目的は、伝播経路長が未知で
あっても、表面層の特性を測定できる方法および装置を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1の手段は、被検体から受信した複数の音響信号
から、該被検体の表面層の特性を測定する表面層特性測
定方法において、前記複数の音響信号の中の二つの音響
信号間の任意の周波数の群遅延時間を求め、あらかじめ
求めておいた群遅延時間と前記表面層特性との関係か
ら、前記二つの音響信号間の任意の周波数の群遅延時間
を表面層特性に変換し、被検体の表面層の特性を測定す
ることを特徴としている。
【0009】この場合、前記あらかじめ求めておいた群
遅延時間と表面層との特性の関係として、例えば群遅延
時間から表面層の特性に変換する変換関数を導入し、表
面層特性として硬化層厚さを測定する。
【0010】また、前記表面層特性として表面層の物性
の深さ方向分布を測定する場合、前記任意の周波数は複
数の周波数であって、前記変換関数として前記複数の周
波数の群遅延時間と前記物性の深さ方向分布とを深さ方
向エネルギー分布によって関連づける変換関数を導入
し、表面層特性として表面層の硬さ分布を測定する。
【0011】また、前記エネルギー分布に代えて音圧分
布あるいは変位分布を導入することもできる。
【0012】第2の手段は、被検体から受信した複数の
音響信号から、該被検体の表面層の特性を測定する表面
層特性測定装置において、前記被検体表面を伝播する音
響信号を受信する音響受信手段と、この音響受信手段で
受信した複数の音響信号のうち異なる位置で受信した任
意の二つの音響信号間の群遅延時間を算出する群遅延時
間演算手段と、この群遅延時間演算手段で演算した群遅
延時間を該被検体の表面層特性に変換する表面層特性変
換手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】この場合、前記音響受信手段が音響信号を
送信する手段を含み、両機能を兼ねるように構成するこ
ともできる。
【0014】また、前記表面層特性変換手段を、硬化層
厚さと群遅延時間との関係が格納された関係記憶部と、
この関係記憶部に記憶された前記関係に基づいて前記群
遅延時間から硬化層厚さを演算する演算回路とを含んで
構成したり、硬化層厚さと母材に対する音速変化率の関
係が格納された関係記憶部と、この関係記憶部に記憶さ
れた前記関係に基づいて前記群遅延時間から硬化層厚さ
を演算する演算回路とを含んで構成したり、被検体の硬
さと群速度変化率の関係が格納された関係記憶部と、こ
の関係記憶部に記憶された前記関係に基づいて前記群遅
延時間から被検体表面の硬さ分布を演算する演算回路と
を含んでそれぞれ構成できる。
【0015】このように構成すると、群遅延時間は位相
を角周波数で微分した値であるため、位相の2nπの任
意性に関係なく算出することができるようになる。これ
によって、伝播経路長を測定する等の解決手段を導入す
る必要がなくなる。
【0016】また、表面層特性を求める変化関数を、複
数の周波数の相対群遅延時間と相対群速度の深さ方向分
布を音響信号の深さ方向エネルギー分布によって関連づ
ける計算式と、群速度変化率と表面層の物性値を関連付
ける関数とすると、深さ方向エネルギー分布は既知であ
るので、この計算式の逆変換により相対群速度の深さ方
向分布を算出することができる。相対群速度は深さ方向
の最深部で母材の群速度に一致し、各層の母材群速度に
対する群速度変化率が算出できる。次に、この群速度変
化率を前記関係に基づいて表面層の物性値に変換する。
なお、ここで相対というは、伝播経路長が未知である
(計算に伝播経路長を使用していない)ので、速度その
ものを算出しているわけではないからである。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に
ついて説明する。
【0018】図1に、伝播モードが表面波の超音波を使
用し、鋼材表面に形成した硬化層の特性を測定する表面
層特性測定装置の概略構成を示す。
【0019】同図において、層厚さ測定装置は、受信器
1と、受信器2と、音響受信部3と、デジタイザ4と、
群遅延時間演算部5と、表面層特性演算部6と、出力部
7とを備えている。
【0020】図1において、鋼材10の表面に硬化層1
1が形成された面を伝播する表面波のうち、受信器1は
当該受信器1側に屈折した超音波8を受信し、受信器1
から離れて配置された受信器2は当該受信器2側に屈折
した超音波9を受信する。超音波8と超音波9は電気信
号に変換され、超音波探傷器等で構成される音響受信部
3で増幅され、デジタルオシロスコープ等で構成される
デジタイザ4で各々デジタル信号の波形x(t)とy
(t)に変換される。このデジタル信号はデジタイザ4
中で、超音波8についてはある時刻から一定幅の時間区
間(以下、「時間窓」と称する)のデジタル信号の波形
x(t)として保持され、超音波9についてはx(t)
と異なってもよい時刻から始まる時間窓のデジタル信号
の波形y(t)として保持される。なお、時間窓の切り
出しはオペレータが指定してもよいが、超音波8と超音
波9の現われるおおよその時間がわかっていれば、予め
遅延時間を固定した時間窓を用意してもよい。
【0021】群遅延時間演算部5では、前記波形x
(t)と波形y(t)の複数周波数の群遅延時間τ
U (ω)(ωは超音波の角周波数)を計算し、表面層特
性演算部6で表面層の特性を計算する。計算された結果
は、出力部7で出力される。また、時間窓の切り出し位
置や幅は入力部12から入力される。なお、受信器1と
受信部2は同一の受信器でもよい。しかし、その場合に
は、受信器の位置を変えて、異なる位置で表面波を受信
する必要がある。
【0022】群遅延時間演算部5の一構成例と各部の機
能について図2を参照して説明する。制御回路501は
切換器502を制御してデジタイザ4から図3に示すよ
うな波形x(t)と波形y(t)を読み出し、それぞれ
波形x(t)メモリ503、波形y(t)メモリ504
に記憶する。次に、制御回路501は、切換器505を
制御して波形x(t)メモリ503と波形y(t)メモ
リ504から、波形を読み出してフーリエ変換器506
に波形を送り、フーリエ変換器506で波形x(t)と
波形y(t)をフーリエ変換させる。フーリエ変換され
た波形x(t)、y(t)は、さらに、制御回路501
によって制御される切換器507によって選択されるX
(ω)メモリ508とY(ω)メモリ509に各々記憶
される。次に、X(ω)メモリ508とY(ω)メモリ
509に記憶された波形データに基づいてクロススペク
トル演算器510でX(ω)とY(ω)のクロススペク
トルを算出し、演算結果をZ(ω)メモリ511に記憶
する。なお、X(ω)メモリ508、Y(ω)メモリ5
09およびZ(ω)メモリ511はそれぞれ実数メモリ
と虚数メモリからなっている。Z(ω)メモリ511に
記憶されたクロススペクトルは位相特性演算器512入
力され、クロススペクトルの位相特性θ(ω)(図3参
照)が算出される。算出された移送特性θ(ω)は、位
相微分器513で微分され、遅延時間が求められる。伝
播時間加算器514は、位相微分器513で求められた
遅延時間と波形切出条件メモリ515から読み出された
時間窓間の遅延時間τwindowを加算する。加算された結
果、すなわち群遅延時間τU (ω)は、表面層特性演算
部6に送られる。
【0023】以上の機能の中で、クロススペクトルの位
相特性θ(ω)から群遅延時間τU(ω)を求める手続
きは、 τU (ω)=dθ(ω)/dω+τwindow ・・・(3) で表される。この式(3)から群遅延時間τU (ω)
は、前記2nπが要素として含まれないのでクロススペ
クトルの位相θ(ω)に2nπの任意性があったとして
も算出可能であることがわかる。
【0024】表面層特性演算部6は、図4に示すように
演算回路61とメモリ62を有する。この例は、硬化層
の特性として硬化層の厚さを測定する例である。前記メ
モリ62には、硬化層厚さと群遅延時間の関係があらか
じめ格納されている。この関係の一例として、発明者ら
が図1の装置構成の下に、受信器1と受信器2との距離
を約57mmとして行なった実験結果の例を図5に示
す。同図は、硬化層厚さと4.8MHzの表面波の群遅
延時間の関係を示しており、この図では硬化層厚さが厚
くなるほど群遅延時間が短くなっている。すなわち、群
速度は硬化層厚さが厚いほど速くなる傾向にあることが
わかる。このことから、厚さが既知の複数種類の試験片
を使用してこの関係を求め、校正曲線として用いること
で、逆に群遅延時間から硬化層厚さを求めることができ
る。なお、メモリ62に記憶する硬化層厚さと群遅延時
間の関係は、複数周波数について記憶しておき、必要な
周波数の関係をメモリ62から参照してもよい。このと
きの周波数は、硬化層の厚さと波長のオーダが一致する
程度の周波数とし、その周波数域の振幅が大きい探触子
を用いるのが望ましい。
【0025】なお、メモリ62に記憶するデータは、硬
化層厚さと母材に対する音速変化率の関係でもよい。ま
た、受信器を3個以上用意して、任意の2個の受信器で
受信した超音波の群遅延時間を求め、同様の処理を行な
ってもよい。
【0026】このように本実施形態では、式(3)から
算出する群遅延時間τU (ω)を表面層の特性に変換す
るので、クロススペクトルの位相θ(ω)に2nπの任
意性があっても算出可能であり、これによって前述の位
相遅延時間のように位相の2nπのnの値を求める必要
や、位相遅延時間の計測条件、例えば、伝播経路長を正
確に測定する機能や、母材の状態と表面層が形成された
状態では受信波間の位相差に2nπ以内の差しか生じな
いとの計測条件などが不要となり、測定過程や装置構成
を簡略化することができる。
【0027】ここで、表面層特性演算部6の演算回路6
1の硬化層の特性(厚さ)を測定するときの具体的処理
内容について説明する。図6は表面層特性演算部6の処
理とデータの流れの関係を示すフローチャートである。
【0028】この処理では、処理開始後、ステップ61
1で群遅延時間演算部5から群遅延時間τU (ω)を読
み込み、さらに、メモリ(関係記憶部)62から硬化層
の厚さと群遅延時間の関係を読み込んで、この関係から
群遅延時間を厚さに変換する。次いで、ステップ612
で群遅延時間τU (ω)から変換された硬化層の厚さを
出力部7に出力し、ステップ613で処理終了か否かの
問い合わせを行ない、終了でなければステップ611に
戻る。なお、ステップ611でメモリ(関係記憶部)6
2から読み込むデータは、硬化層の厚さと音速変化率の
関係でもよい。
【0029】次に、硬化層の硬さが、連続的に母材の硬
さに近づく場合(実際、硬化層はこのような性質を示す
ことが多い)に有効な方法について説明する。
【0030】図4に示す表面層特性演算部6は、硬化層
の特性として硬化層の深さ方向分布を測定する場合に
は、次のように構成することができる。すなわち、メモ
リ62には、図7に示すような硬さと群速度変化率の関
係を格納しておく。この関係は、硬さが既知な試験片等
を用いて予め測定しておく必要がある。また、演算回路
61は、群速度変化率を硬さに変換する演算機能を有す
る。
【0031】ここで、演算回路61での具体的処理例に
ついて説明する。図8は、演算回路61の処理とデータ
の流れを示すフローチャートである。処理開始後、ステ
ップ614で群遅延時間演算部5から、n個の複数周波
数の群遅延時間τU (ωk )(k=1〜n)を読み込
む。ここで、被検体の表面近傍を計算のための擬似的な
層(以下、「計算層」と称する)に分割し、各層の群速
度を浅い方から順にU1からUn とおく。ここで、計算
層は、硬化層の硬さが母材の硬さと同等となる深さまで
仮定する。表面波のエネルギー分布は、表面下一波長の
範囲内にエネルギーの90%以上が分布し、そのエネル
ギー分布は指数関数的に変化することが理論的に知られ
ている(佐藤泰夫著 弾性波動論 PAGA88)。こ
のため、ある波長の群速度V(ω)が、各計算層のエネ
ルギー分布Pk と群速度Uk から重み平均的に算出でき
ると仮定すれば、 V(ωk )=Σ(Pk k ) ・・・(4) (ただし、ΣPk =1)が成立する。なお、エネルギー
分布の代わりに、音圧分布、変位分布等を用いてもよ
い。式(4)を全計算層に関して表現すると、 V=PU ・・・(5) と表される。ここで、Vは角周波数ωk (k=1〜n)
の群速度を表わすn×1行列、Uは計算層k((k=1
〜n)の群速度を表わすn×1行列、Pは角周波数ωk
(k=1〜n)のエネルギー分布を表わすn×n行列で
ある。エネルギー分布Pは理論より既知であるので、角
周波数ωk (k=1〜n)の群速度Vを測定すれば、計
算層の群速度Uは、 U=P-1V ・・・(6) で求められる。
【0032】しかし、ここでは伝播距離Lが正確に測定
できていないために、各周波数の群速度Vは未知係数L
を含む。したがって、計算層の群速度Uも未知係数Lに
依存する。しかしながら、計算層のなかで最深の計算層
nは母材と同程度の群速度を示すと推定できるので、こ
こでの群速度Unを用いて未知係数Lによらない値とし
て群速度変化率を計算する。各計算層の群速度変化率
(%)は、 {(Uk −Un )/Un }*100 ・・・(7) (ただし、k=1〜n)で与えられる。
【0033】以上の手続きにより、ステップ614では
深さ方向の群速度変化率分布を算出する。次に、ステッ
プ615で、メモリ(関係記憶部)62から群速度変化
率と硬さの関係を読み込み、群速度変化率を硬さに変換
する。そして、ステップ616で出力部7に硬化層厚さ
を出力し、ステップ617で処理終了か否かの問い合わ
せを行ない、終了でなければステップ614に戻る。
【0034】ここでは、硬さ分布を求めたが、ある硬さ
をしきい値として、そのしきい値硬さまでを硬化層と定
義すれば、ステップ615において、硬さ分布から硬化
層厚さを容易に求めることができる。
【0035】このように本実施形態によれば、測定毎に
最深の計算層の群速度を基準(母材の群速度)として、
深さ方向の群速度変化率分布を求めるので、探触子を測
定毎に任意の距離に配置できる。したがって、被検体表
面の凹凸により、音響信号の被検体への入射点や出射点
の位置が不安定な場合や、伝播経路が曲面である場合に
おいても測定が可能になる。
【0036】なお、上記実施形態においては、表面層の
特性を表面層の厚さ、あるいは表面層の硬さ分布として
説明したが、原理的には群速度の変化率を指標として二
次的に特性を評価する方法なので、硬さの他にも密度、
弾性係数、残留応力など群速度変化率と相関がある特性
であれば、同様の方法および装置により、その特性を測
定可能である。
【0037】次に、他の実施形態について説明する。こ
の実施形態は、被検体表面に能動的に表面波を発生させ
る必要がある場合の例であり、その概略構成を図9に示
す。
【0038】同図において、層厚さ測定装置は、送受信
器1aと、受信器2と、音響送受信部3aと、デジタイ
ザ4と、群遅延時間演算部5と、表面層特性演算部6
と、出力部7とを備えている。この層厚さ測定装置で
は、超音波探傷器等で構成される音響送受信部3aから
の送信パルスを受けて、送受信器1aから超音波8aが
送信される。超音波8aは、鋼材10との境界面で表面
波にモード変換し、モード変換した表面波はくさび12
の端部で反射し、再びくさび内に屈折する超音波8b
と、端部を通過して別の受信器2で受信される超音波9
とに分かれ、これらをそれぞれ受信して前述の実施形態
と同様の各部によって同様に処理される。
【0039】このように構成すると、新たに音響送信器
を用意する必要がなくなるので、装置構成を簡単にする
ことができる。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、位相遅延時間のように
位相の2nπのnの値を求める方法、機能もしくは計測
条件が不要となるので、測定過程や装置構成を簡略化す
ることができる。
【0041】また本発明によれば、探触子を測定毎に任
意の距離に配置できる。したがって、被検体表面の凹凸
により、音響信号の被検体への入射点の出射点の位置が
不安定な場合や、伝播経路が曲面である場合においても
測定が可能になる。
【0042】更に本発明によれば、被検体表面に能動的
に表面波を発生させる必要がある場合でも、新たに音響
送信器を用意する必要がなく、装置構成が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る表面層特性の測定装置
の概略構成図である。
【図2】図1における群遅延時間演算部の構成を示すブ
ロック図である。
【図3】図1における群遅延時間演算部における群遅延
時間の計算過程を示す説明図である。
【図4】図1における表面層特性演算部の構成を示すブ
ロック図である。
【図5】硬化層厚さに対する群遅延時間の変化を示す説
明図である。
【図6】図4における表面層特性演算部の処理手順を示
すフローチャートである。
【図7】硬さに対する群速度変化率の変化を示す説明図
である。
【図8】図4における表面層特性演算部の他の処理手順
を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態に係る表面層特性の測定
装置の概略構成図である。
【図10】位相遅延時間の2nπの任意性を示す説明図
である。
【符号の説明】
1 受信器 2 受信器 3 音響受信部 4 デジタイザ 5 群遅延時間演算部 6 表面層特性演算部 7 出力部 8 超音波 9 超音波 10 鋼材 11 硬化層 12 入力部 61 演算回路 62 メモリ(関係記憶部)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体から受信した複数の音響信号か
    ら、該被検体の表面層の特性を測定する表面層特性測定
    方法において、 前記複数の音響信号の中の二つの音響信号間の任意の周
    波数の群遅延時間を求め、あらかじめ求めておいた群遅
    延時間と前記表面層特性との関係に基づいて、求められ
    た前記二つの音響信号間の任意の周波数の群遅延時間を
    表面層特性に変換し、被検体の表面層の特性を測定する
    ことを特徴とする表面層特性の測定方法。
  2. 【請求項2】 前記あらかじめ求めておいた群遅延時間
    と表面層特性との関係が、群遅延時間から表面層の特性
    に変換する変換関数であることを特徴とする請求項1記
    載の表面層特性の測定方法。
  3. 【請求項3】 前記表面層特性が硬化層厚さであること
    を特徴とする請求項1または2記載の表面層特性の測定
    方法。
  4. 【請求項4】 前記表面層特性が表面層の物性の深さ方
    向分布であり、前記任意の周波数は複数の周波数であっ
    て、前記変換関数が前記複数の周波数の群遅延時間と前
    記物性の深さ方向分布とを深さ方向エネルギー分布によ
    って関連づける変換関数であることを特徴とする請求項
    2記載の表面層特性測定方法。
  5. 【請求項5】 前記表面層特性が表面層の物性の深さ方
    向分布であり、前記任意の周波数は複数の周波数であっ
    て、前記変換関数が前記複数の周波数の群遅延時間と前
    記物性の深さ方向分布とを深さ方向音圧分布によって関
    連づける変換関数であることを特徴とする請求項2記載
    の表面層特性測定方法。
  6. 【請求項6】 前記表面層特性が表面層の物性の深さ方
    向分布であり、前記任意の周波数は複数の周波数であっ
    て、前記変換関数が前記複数の周波数の群遅延時間と前
    記物性の深さ方向分布とを深さ方向変位分布によって関
    連づける変換関数であることを特徴とする請求項2記載
    の表面層特性測定方法。
  7. 【請求項7】 前記表面層特性が表面層の硬さ分布であ
    ることを特徴とする請求項4ないし6のいずれか1項に
    記載の表面層特性測定方法。
  8. 【請求項8】 被検体から受信した複数の音響信号か
    ら、該被検体の表面層の特性を測定する表面層特性測定
    装置において、 前記被検体表面を伝播する音響信号を受信する音響受信
    手段と、 この音響受信手段で受信した複数の音響信号のうち異な
    る位置で受信した任意の二つの音響信号間の群遅延時間
    を算出する群遅延時間演算手段と、 この群遅延時間演算手段で演算した群遅延時間を該被検
    体の表面層特性に変換する表面層特性変換手段と、を備
    えていることを特徴とする表面層特性測定装置。
  9. 【請求項9】 前記音響受信手段が、音響信号を送信す
    る手段を含んでなることを特徴とする特徴とする請求項
    8記載の表面層特性測定装置。
  10. 【請求項10】 前記表面層特性変換手段が、硬化層厚
    さと群遅延時間との関係が格納されたメモリと、このメ
    モリに記憶された前記関係に基づいて前記群遅延時間か
    ら硬化層厚さを演算する演算回路とを含んでなることを
    特徴とする請求項8記載の表面層特性測定装置。
  11. 【請求項11】 前記表面層特性変換手段が、硬化層厚
    さと母材に対する音速変化率の関係が格納されたメモリ
    と、このメモリに記憶された前記関係に基づいて前記群
    遅延時間から硬化層厚さを演算する演算回路とを含んで
    なることを特徴とする請求項8記載の表面層特性測定装
    置。
  12. 【請求項12】 前記表面層特性変換手段が、被検体の
    硬さと群速度変化率の関係が格納されたメモリと、この
    メモリに記憶された前記関係に基づいて前記群速度変化
    率から被検体表面の硬さ分布を演算する演算回路とを含
    んでなることを特徴とする請求項8記載の表面層特性測
    定装置。
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