JP2607177B2 - インキ供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、印刷機のインキ供給装置に関し、詳細に
は、流動性を有する非ペースト状のインキを収容する容
器するローラーの周面へインキを供給する際、インキに
混入する水滴を処理し、インキの付着を良好にした、、
とりわけ、キーレスオフセット輪転印刷機に使用して有
効なインキ供給装置に関する。

〔従来の技術〕

近年、印刷作業の簡略化ノンスキル化を図る目的で、
インキ供給装置のキーレス化が進められ、インキと湿し
水とを使用するオフセット輪転印刷機においてインキ供
給系に進入する湿し水を課題としたインキ供給装置が提
案されている（例えば、実公昭63−16522、実開昭63−1
8244、特開昭63−57236、実開昭64−1940及び特開平１
−113244参照）。

その中で、特開昭63−57236号公報及び特開平１−113
244号公報は、最初からインキと水との混合液を供給す
るシステムに関して開示し、インキをローラーに供給す
るトレイ乃至インキ溜めの底面がローラーの外周面の曲
率に略一致した弓形の形状を有する構成について記載す
る。

特開昭59−5068号公報は、高粘度のペースト状インキ
をローラー周面の凹部へ塗り込むことを良好にするため
に、インキ溜内にインキ付ローラーとの間に所定の間隔
を保って対面して湾曲するシールドを設け、その対面間
隔を、シールドの上流端縁から下流端縁に向うにつれて
徐々にせばまるような間隔寸法で取り付ける一方、その
下流端縁を自由端とし、かつ、弾性の素材を使用して、
バネの付勢力を利用して、ローラーの周面の凹部へのイ
ンキの付着を確実に行い得るインキ付装置を提案する。

他方において、実開昭64−1940号公報は、インキ供給
機構を一括して台車に搭載し、水平方向への移動を可能
にして、インキ供給機構をインキ供給位置以外への場所
へ水平移動させて、インキ供給以外の作業、例えば、イ
ンキ交換、インキファウンテンの清掃、各部の保守点検
とローラーの交換などの作業をやり易くした考案を提供
する。

〔発明が解決しようとする課題〕

印刷の進行に伴なって、インキ中に水が混在するよう
になり、やがて、その水滴が比較的大きくなってその細
分化が充分に行われなくなると、比較的大きな水滴の影
響でローラーの周面へのインキの転移が不均一になり、
インキの付着むらや付着不良が生じて、印刷の品質が低
下するようになる。そこで、その比較的大きな水滴を分
裂させ、細分化してインキ内に略均等に分散させればロ
ーラー周面へのインキの付着が良好となるであろう。

この発明の第１の目的は、インキ中に含まれる水滴を
細分化して、インキローラーの周面へのインキの供給に
付着むらや付着不良が生じないインキ供給装置を提供す
ることである。

この発明の第２の目的は、水滴含有インキのローラー
周面への付着状況が最適であるように配置関係を初期調
整し、中間的に再調整し、または、機材の取り替えを可
能にして、水滴含有インキのローラー周面への付着状況
の最適配置関係を維持継続させ得べきインキ供給装置を
提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

この発明によるインキ供給装置は、 ローラーと、そのローラーの下方に設けた底部材及び
その底部材における前記ローラーの軸方向の両側端を固
定する両側端部材からなる容器とを備え、その容器内に
収容された流動性を有する非ペースト状のインキを前記
ローラーに供給するインキ供給装置において、 前記ローラーの周面に対して前記底部材を当該ローラ
ーの回転方向下流に向けて双方の間隔が漸減する姿勢で
固定的に配置されるように、前記底部材の両側端を前記
ローラーの回転方向上流端から下流端にわたって前記両
側端部材で固定し、更に、前記両側端部材を前記容器の
外方を囲む上側開放のインキ貯留槽で固定して支持し、 前記底部材とローラーの周面との間の漸減間隔によ
り、ローラーの回転に伴なって当該ローラーの回転方向
下流に流動させられるインキに漸増圧力を負荷し、その
漸減圧力を利用して、インキ内に含有する水滴を細分化
しつつインキをローラーに供給するものである。

本発明では、前記ローラーがファウンテンローラーで
ある場合もあり、または、インキメータリングローラー
である場合もあり、そして、前記間隔の最小値は、例え
ば5mm以下に設定される。

更に、この発明によるインキ供給装置は、インキ供給
循環機構すなわち、底部材が前記姿勢でインキ貯留槽に
支持されるインキ供給容器と、その貯留槽を支持する台
枠と、その貯留槽内に設けたインキ圧送手段と、前記容
器及びまたは前記ローラーの周面にインキを吐出するイ
ンキ吐出手段と、前記インキ圧送手段と前記インキ吐出
手段との間を連結する管路と、を備えたインキ供給循環
機構をユニットとして一体化する一方、前記ユニットの
前記台枠に水平移動手段及垂直移動手段を設けて、前記
ローラーの周面に対する前記容器の底部材の位置を双方
の間隔の最適な漸減姿勢に調整して配置されるようにす
るものである。

前記管路には、インキ加圧手段及びまたはインキ濾過
手段を付設することが望ましい。

前記ユニットの水平移動手段には例えばキャスター
が、垂直移動手段には例えばリフトが使用される。

〔作用〕

まず、インキ中に湿し水余剰分の水が浸入すると、そ
の浸入水は、インキ貯留槽内のインキ圧送手段によるイ
ンキの撹拌で適宜の大きさの水滴に分裂し、インキ中に
略均等に分散して、インキ供給容器内へ吐出させられ、
更にローラー周面と、前記容器の底部材との間の間隔漸
減空間を、ローラーの回転に従動して流動変位する間
に、徐々に加圧されるとともに、前記流動変位が、ロー
ラー周面近くで速く、インキ容器の底面近くで遅い層流
で行われることにより、インキ中の水滴がちぎれて、一
層細かく分裂し、インキ内への均等な分散が更に助長さ
れる。従って、水滴によるローラー周面へのインキの付
着むら乃至付着不良が解消され、インキの転移低下が抑
制される。

本発明によれば、その両端をフレームに支持されてい
るインキ供給ローラーの周面に対して偏心して配設され
るべき底部材の容器が、その両側端で両側端部材を介し
てインキ貯留槽に安定かつ強固に支持され、更に、その
インキ貯留槽が台枠に支持され、そして、かつ台枠に水
平移動手段と垂直移動手段とが併設されているので、そ
の水平移動手段と垂直移動手段とを手際よく関連操作す
ることによって、容器の底部材のローラー周面に対する
偏心姿勢の初期調整が可能であり、更に、稼働中不断に
働く反力の作用により容器底部材のローラー周面に対す
る姿勢に不整合が生じた場合における再調整も容易であ
り、更にまた修理保守の必要が生じた際におけるインキ
供給循環機構ユニット全体の取り外し、移送、または、
全部交換（取り替え）等も迅速かつ容易に実行すること
ができる。従って、それらの操作を必要に応じて随時行
えば、容器の底部材のローラー周面への理想的な偏心配
置姿勢を良好に維持することが可能となり、それらの綜
合的な作用の結果として、キーレスインキ供給の着実か
つ継続的な稼働が実現される。

〔実 施 例〕

この発明によるインキ供給装置の具体的一実施例につ
いて、図面を参照しながら以下に詳述する。

第１図で示すローラー１は、第８図及び第９図で示す
インキングローラー群中のいずれも最上流に設けたファ
ウンテンローラー1a（第８図の場合）またはインキメー
タリングローラー1b（第９図の場合）に相当し、前者は
ローラー１と同様に図において時計回りに回転し、後者
は図において反時計回りに回転する。そのローラー1,1a
または1bにインキを供給する容器２は、前記ローラーの
下部をその内部に収容し得る長さを有するとともに、そ
の底部材2aが前記ローラーの周面に対して回転方向下流
に向けて間隔を漸減する姿勢でその底部材2aがその両側
端を両側端部材2b、2bでローラーの回転方向上流端から
下流端にわたって固定され、更に、それら両側端部材2
b、2bが、インキ貯留槽３で固定して支持される。

前記インキ供給容器２内にインキを吐出するインキ吐
出手段例えばインキ吐出口４は、当該容器の一側上方の
長手方向に沿って配設される。

前記インキ貯留槽３は、その上側が開放され、前記容
器２を下方から囲む状態で設置され、容器２から溢れ出
たインキ、及び、後述する第１ドクターブレードと第２
ドクターブレードとによって掻き取られたインキを、そ
の中に収容する。

インキ貯留槽３の底部中央は、濾し網3bを介して下側
のインキ圧送室3aに連絡し、その圧送室3aには、第３図
で示すように、駆動源例えば、電動機5aで駆動されるイ
ンキ圧送手段５例えば駆動軸上に直結されたスクリュー
コンベヤ5bとポンプ5cを配置する。従って、圧送室3a内
のインキは、前記スクリューコンベヤ5bの回転によって
ポンプ5cの方へ押され、更に、そのポンプ5cの回転によ
ってインキ送給管路６内へ圧送搬出される。

管路６は、前記インキ圧送手段５とインキ吐出口４と
の間を連結し、その管路の中間部には、インキ加圧手段
例えば加圧弁6a及びまたは濾過手段例えばストレーナー
又はラインフィルター6bを設ける。

前記インキ貯留槽３の圧送室3aは、前記インキ加圧手
段6a、濾過手段6b、及び、駆動源5aをも含めて台枠７上
に固定されてユニットを形成し、更にその台枠７には、
水平移動手段例えばキャスター7aを付設する。また垂直
移動手段例えばリフト7bを印刷機のフレームに設ける。

第２図及び第３図において、台枠７の左右端にそれぞ
れ突設した固定材7cは、前記リフト7bに設けた係合部材
（図示省略）と係合し、ローラー1,1aまたは1bに対して
前後左右の位置決めをするとともに、リフト7bによる垂
直移動を台枠７に伝達する。ローラー１の周面に対する
容器２の底部材2aの間隔は、あらかじめこの間隔を最適
に調整してストッパー（図示省略）を設定しておき、こ
のストッパーによってユニットの上昇が制限された位置
で、適宜の手段によりリフト7bをロックしてその状態を
維持する。あるいは、前記台枠７にリフト7bを設け、適
宜の手段でローラー1,1aまたは1bに対して位置決めする
ようにしてもよい。

このようにして、キャスター7a及びリフト7bを使用し
て、ローラー1,1aまたは1bの周面に対する容器２の底部
材2aの偏心配置を初期調整して印刷機の稼働を開始させ
る。

なお、図示の実施例は、第３図で示すように、インキ
貯留槽３の圧送室3aの外壁を２重構造にして中空部８を
設け、その中空部内に、図示を省略したプラグ等により
連結および離脱が自在な熱交換手段（図示せず）によっ
て媒体流体を循環させて、内部のインキの温度調整を可
能ならしめる。

更に、図示の実施例は、第１図及び第３図で示すよう
に、インキ貯留槽３内の長手方向両端にインキが滞留す
るのを防止するために、槽内長手方向に沿って右ねじ左
ねじ対設型スクリューコンベヤ3cを設けて、これを駆動
し、両端に滞留し勝ちなインキを槽内中央部へ誘導す
る。

前述したインキ供給装置のインキが、印刷機の稼動に
より消費されると、消費されたインキ減量分に相当する
新しいインキを当該インキ供給装置に補給することを要
し、そのインキ補給手段は、例えば、第８図及び第９図
で示すように、インキ貯留槽３に取り付けたインキ液面
レベル検出器９と、その検出信号によって開かれるバル
ブ9aと、そのバルブの開放によって新しいインキを補給
するインキ補給源9bと、インキ補給管路9cとからなる。

第８図及び第９図は、いずれも、この発明によるイン
キ供給装置を装備したキーレスオフセット輪転印刷機の
２つの構成例を示し、そのうち、第８図は、前述したよ
うに、ファウンテンローラー1aをインキングローラー群
の最上流に据付け、そのローラー1aを介して容器２内の
インキをインキメータリングローラー1bに伝える構成で
あるのに対し、第９図は、インキメータリングローラー
1bを直接インキングローラー群の最上流に据付けた構成
である点において相違し、その他の構成については双方
共通であって、いずれも前記インキメータリングローラ
ー1bの周面にそれぞれ当接する第１ドクターブレード10
及び第２ドクターブレード10a,版胴11、その版胴と前記
インキメータリングローラー1bとの間に介在し、版胴11
に装着した刷版（図示せず）にインキを供給する一対の
フォームローラー12及び12a、前記刷版に湿し水を供給
する水供給装置13、前記版胴11に接するブランケット胴
14、料紙16を介してそのブランケット胴14に接する圧胴
又は第２のブランケット胴15とからなる。

さて、かかる構成に基いて印刷機を作動させると、イ
ンキ供給容器２内のインキは、第４図で示すように、ロ
ーラー１の周面が図において時計回りに回転する変位に
引き摺られて、ローラー１の周面に対して容器２の底部
材がそのローラーの回転方向下流に向けて間隔が漸減す
る空間内を層流状態で流動変位し、その流動変位が進む
につれてインキに作用する圧力が徐々に高まって、その
圧力分布が第４図中の符号17で示すように変化し、その
結果、ローラー周面へインキが強く押しつけられ、ロー
ラー周面へのインキの付着転移が良好となる。

この発明によるローラー周面へのインキ付着良好の原
理は、更にキーレスオフセット印刷の場合において、後
述する経路を経てインキ中に混入した湿し水の余剰水か
らなる水滴19（第５図、第６図及び第７図参照）が、前
記ローラー周面への加圧作用と、インキの層流状態によ
る流動変位で生ずるインキ層の厚さ方向の各々の変位量
の相違、すなわち、ローラー周面に近いインキほど大き
く流動変位することによって、第５図で示される球形の
状態が第６図で示すように引き伸ばされて、インキ側か
らの外圧とそれに対向する内圧との均衡が崩され、そし
て、遂には、第７図で示すように細かく分裂させられ
て、微小化し、インキ中に分散させられる。かくして、
インキ中にミキシングされた小水滴を含むインキが、ロ
ーラー１の周面に強く押しつけられると、インキに対し
て水滴があまりにも小さくかつ分散させられているため
に、ローラー周面にインキの付着むらが生ずることな
く、ローラー周面へのインキの転移の低下が防止され、
良好なインキ供給が保たれる。

このように、本発明によるインキ供給装置をキーレス
オフセット輪転機に装備した場合には、浸入水がインキ
とよくミキシングされて処理されるので、浸入水による
弊害が生じ難い。

なお、出願人によるテストでは、ローラー周面と容器
の底部材2aとの間の最小間隔が5mm以下の構成におい
て、前記湿し水の分裂に好結果を得た。

なお、印刷機の稼働時に、容器２の底部材2aには、不
断に、下流端にいくに従ってインキの圧力が増加して負
荷され、その反力で、前記最小間隔例えば5mmが維持さ
れず、それが拡大される傾向にあり、そうすると、水滴
含有インキのローラー周面への付着力が初期調整時と比
較して低下してくる。そのようなときには、キャスター
7aとリフト7bを関連的に操作して再調整し、所望の間隔
を再生して、ローラー周面への水滴含有インキの付着力
を回復させる。

このようにしてローラー1aまたは1bの周面に転移した
インキは、第８図及び第９図で示すように、一対のフォ
ームローラー12,12aを経由して版胴11の周面に装着した
刷版（図示せず）の画線部分に供給される一方、刷版の
非画線部分には、湿し水供給装置13から湿し水が供給さ
れ、その湿し水の余剰分が一対のフォームローラー12,1
2aを経由してインキメータリングローラー1bの周面に浸
入する。

インキメータリングローラー1bの周面には、余剰イン
キ掻取用の第１ドクターブレード10の外に、第２ドクタ
ーブレード10aが設けられているので、前記浸入した湿
し水は第２ドクターブレード10aによって残留した余剰
インキと共にそのほとんどが掻き取られ、インキ貯留槽
３内に落下し、インキとの混合状態で一旦貯留される。

インキ貯留槽３内のインキと水との混合液は、スクリ
ューコンベヤ5b及びポンプ5cの作動によって、充分に攪
拌されながら、管路８内へ送り込まれ、管路８を層流状
態で流動変位し、吐出口４からインキ供給容器２内へ吐
出される。従って、この間に、インキ中の水滴は引き伸
ばされ多少の分裂をする。また、管路８内を圧送される
層流状態で流動変位するインキに更に圧力を負荷させれ
ば、インキ中の水滴に外圧が作用するので、水滴に作用
する内外圧力の均衡が崩れて、水滴に分裂が生じ易くな
る。そこで、管路８内で水滴の分裂を促進させたい場合
には、加圧弁6aを設ける。また、細かい混入物を除去し
たい場合には、管路８内にストレーナーまたはラインフ
ィルター6bを設ける。

なお、インキ供給容器２内に吐出されたインキ又はイ
ンキと水との混合液は、その余剰分が容器２から溢れて
落下し、インキ貯留槽３内に収容される。

インキ貯留槽３内のインキ又は混合液は、駆動源5aに
よって作動するスクリューコンベヤ5bとポンプ5cの圧送
作用によって、攪拌されつつ管路６を経て吐出口４から
インキ供給容器２内へ落下し、この順序でインキが循環
する。インキ貯留槽３内の長手方向両端にあるインキ
は、この循環から取り残され滞留し易いので、インキ貯
留槽３の長手方向に沿って右ねじ左ねじ対設型のスクリ
ューコンベヤ3cを設置し、印刷機の作動にあわせて常時
または必要時に図示しない駆動手段により、このスクリ
ューコンベヤ3cを駆動させれば、そこに滞留したインキ
を循環の領域に引き出すことができる。

印刷稼動後におけるインキ供給装置の清掃、インキの
交換、保守点検整備、部品の交換等の作業を行うとき、
または、突然のトラブル発生時には、インキ供給装置を
インキ供給位置から適宜の作業位置まで移動させる。す
なわち、まず、リフト7bのロックを解いてリフト7bによ
りユニットをキャスター7aが着地するまで降下させた
後、リフト7bに設けた係合部材（図示省略）と固定部材
7cとの係合を解き、次いで、キャスター7aを使って水平
移動させる。別のインキ供給装置に交換する場合には、
その別のインキ供給装置に対して上記の操作を逆行させ
れば交換が可能である。

この発明は、上記の実施例に限定されるものでなく、
特許請求の範囲を逸脱しないあらゆる改変に及ぶもので
ある。

〔発明の効果〕

以上詳述したように、この発明によるインキ供給装置
は、ローラーの周面に対してそのローラーにインキを供
給する容器の底部材の両側端を、当該ローラーの回転方
向下流に向けて双方の間隔が漸減する姿勢で、ローラー
回転方向上流端から下流端にわたって両側端部材で固定
し、更に、その両側端部材をインキ貯留槽に固定的に支
持させたので、その間に送られたインキに対して加圧作
用が働いて、インキがローラーの周面に強く押しつけら
れるから、ローラー周面へのインキの付着転移が良好と
なる。

更に、この発明によるインキ供給装置をキーレスオフ
セット輪転印刷機に使用する場合には、インキに浸入す
る湿し水余剰水の水滴が前記加圧作用と加圧作用下にお
ける層流状態による流動変位とによって細分裂させられ
分散してインキとのミキシングが充分となるので、ロー
ラー周面へのインキの付着むらを生ずることがなく、イ
ンキの転移効果が阻害されないので、印刷の品質を常に
高く保つことができる。

更に、この発明によるインキ供給装置は、ローラーの
周面に対してそのローラーにインキを供給する容器の底
部材を、当該ローラーの回転方向下流に向けて双方の間
隔が漸減する姿勢で固定して配置されるように、底部材
の両側端を両側端部材で固定し、更にその両側端部材を
インキ貯留槽で支持し、更に、そのインキ貯留槽を台枠
で支持し、そして、その台枠に水平移動手段と垂直移動
手段とを併設したので、その水平移動手段と垂直移動手
段とを手際よく関連操作することによって、容器の底部
材のローラー周面に対する偏心姿勢の初期調整が容易で
あり、更に、印刷稼働中、不断に働く反力の作用により
容器の底部材のローラー周面に対する姿勢に不整合が生
じた場合でも再調整が容易であり、更にまた、修理保守
の必要が生じた場合でも、上記容器とインキ貯留槽を含
むインキ供給循環機構ユニット全体の取り外し、移送、
または、全部交換（取り替え）等も迅速かつ容易に行う
ことができるようになった。それ故、それらの操作を必
要に応じて随時行えば、容器の底部材のローラー周面へ
の理想的な偏心配置姿勢を常時良好に維持することが可
能であり、それらの綜合的な効果としてキーレスインキ
供給の着実かつ、継続的な稼働が達せられる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明によるインキ供給装置の具体的一実
施例を示す第２図及び第３図の１−１線に沿った縦断左
側面図、 第２図は、第１図の一部破断正面図、 第３図は、第１図３−３線に沿った縦断正面図、 第４図は、この発明によってローラー周面へのインキの
付着が良好となる原理を図解した説明図、 第５図、第６図及び第７図は、この発明によるインキ供
給装置をキーレスオフセット輪転印刷機に使用する場合
に、インキ内に浸入した湿し水が、インキへの加圧作用
と加圧作用下におけるインキの層流状態による流動変位
とによって、漸次、細分裂し略均等分散化する現象を順
次示す拡大説明図であって、そのうち、第５図はインキ
が流動していない状態、第６図及び第７図はインキが流
動することによってインキ内の水滴が引き伸ばされちぎ
れて分裂する状態をそれぞれ示す概略図、 第８図は、この発明によるインキ供給装置をファウンテ
ンローラーに装備したキーレスオフセット輪転印刷機の
概略構成図、 第９図は、この発明によるインキ供給装置をインキメー
タリングローラーに装備したキーレスオフセット輪転印
刷機の概略構成図である。 １……ローラー、 1a……ファウンテンローラー、 1b……インキメータリングローラー、 ２……インキ供給容器、 2a……その底部材、 2b……その両側端部材、 ３……インキ貯留槽、 3a……その下側に続く圧送室、 3b……濾し網、 3c……右ねじ左ねじ対設型スクリューコンベヤ、 ４……インキ吐出手段例えばインキ吐出口、 ５……インキ圧送手段、 5a……駆動源例えば電動機、 5b……スクリューコンベヤ、 5c……ポンプ、 ６……インキ供給管路、 6a……インキ加圧手段例えば加圧弁、 6b……濾過手段例えばストレーナーまたはラインフィル
ター、 ７……台枠、 7a……水平移動手段例えばキャスター、 7b……垂直移動手段例えばリフト、 7c……固定材、 ８……中空部、 ９……インキ液面レベル検出器、 9a……バルブ、 9b……インキ補給源、 9c……インキ補給管路、 10……第１ドクターブレード、 10a……第２ドクターブレード、 11……版胴、 12及び12a……一対のフォームローラー、 13……湿し水供給装置、 14……ブランケット胴、 15……圧胴又は第２のブランケット胴、 16……料紙、 17……インキの圧力分布、 18……インキの速度分布、 19……水滴。

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ローラーと、そのローラーの下方に設けた
   底部材及びその底部材における前記ローラーの軸方向の
   両側端を固定する両側端部材からなる容器とを備え、そ
   の容器内に収容された流動性を有する非ペースト状のイ
   ンキを前記ローラーに供給するインキ供給装置におい
   て、 前記ローラーの周面に対して前記底部材を当該ローラー
   の回転方向下流に向けて双方の間隔が漸減する姿勢で固
   定的に配置されるように、前記底部材の両側端を前記ロ
   ーラーの回転方向上流端から下流端にわたって前記両側
   端部材で固定し、更に、前記両側端部材を前記容器の外
   側外方を囲む上側開放のインキ貯留槽で固定して支持
   し、 前記底部材とローラーの周面との間の漸減間隔により、
   ローラーの回転に伴なって当該ローラーの回転方向下流
   に流動させられるインキに漸増圧力を負荷し、その漸増
   圧力を利用して、インキ内に含有する水滴を細分化しつ
   つインキをローラーに供給する、 ことを特徴とするインキ供給装置。
2. 【請求項２】前記間隔の最小値を5mm以下とした請求項
   １記に載のインキ供給装置。
3. 【請求項３】底部材が両側端部材を介してインキ貯留槽
   に支持されるインキ供給容器と、その貯留槽を支持する
   台枠と、その貯留槽内に設けたインキ圧送手段と、前記
   容器及びまたは前記ローラーの周面にインキを吐出する
   インキ吐出手段と、前記インキ圧送手段と前記インキ吐
   出手段との間を連結する管路と、を備えたインキ供給循
   環機構をユニットとして一体化する一方、 前記ユニットの前記台枠に水平移動手段及び垂直移動手
   段を設けて、 前記ローラーの周面に対する前記容器の底部材の位置を
   双方の間隔の最適な漸減姿勢に調整して配置されるよう
   にした、 ことを特徴とする請求項１に記載のインキ供給装置。
4. 【請求項４】前記管路にインキ加圧手段を付設した請求
   項３に記載のインキ供給装置。
5. 【請求項５】前記管路にインキ濾過手段を付設した請求
   項３に記載のインキ供給装置。
6. 【請求項６】前記ユニットの水平移動手段として、前記
   ユニットの台枠にキャスターを取り付けた請求項３に記
   載のインキ供給装置。
7. 【請求項７】前記ユニットの垂直移動手段として、前記
   ユニットの台枠にリフトを取り付けた請求項３に記載の
   インキ供給装置。