JP2606964Y2

JP2606964Y2 - 集中定数形サーキュレータ

Info

Publication number: JP2606964Y2
Application number: JP1993002386U
Authority: JP
Inventors: 孝夫岡田
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 1993-02-03
Filing date: 1993-02-03
Publication date: 2001-02-19
Anticipated expiration: 2008-02-03
Also published as: JPH0662606U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、増幅器や発振器、送受
信機など、マイクロ波通信機器に使用される集中定数形
サーキュレータに関する。

【０００２】

【従来の技術】増幅器や発振器などのマイクロ波通信機
器に使用されるサーキュレータは、その回路定数的な分
類から集中定数形と分布定数形に分けられる。

【０００３】集中定数形は小型化が可能であることか
ら、ＶＨＦ帯から２ＧＨｚ帯までの比較的低い周波数に
おいて多用されている。

【０００４】また、３端子サーキュレータは、その１つ
の端子を整合終端することによってアイソレータとして
も利用される。

【０００５】ここで、従来の３端子集中定数形サーキュ
レータについて、図４の分解図を参照して説明する。

【０００６】４１ａ、４１ｂ、４１ｃは、それぞれ複数
例えば２本の分岐を持つ網状中心導体（以下、単に中心
導体という）である。

【０００７】この３個の中心導体４１ａ、４１ｂ、４１
ｃは、互いに略１２０度の角度で、同一平面で交差して
いる。また、中心導体４１ａ、４１ｂ、４１ｃは、互い
の線路間が絶縁され、そして、中心導体４１ａ、４１
ｂ、４１ｃを挟んで２組のフェライト４２ａ、４２ｂお
よび接地導体４３ａ、４３ｂが配置される。

【０００８】また、フェライト４２ａ、４２ｂを磁化す
る磁石が、接地導体４３ａ、４３ｂの外側に配置される
が、図では省略している。

【０００９】また、中心導体４１ａ、４１ｂ、４１ｃに
接続されるコンデンサ４４ａ、４４ｂ、４４ｃは、その
使用周波数において、フェライトによる集中定数的なイ
ンダクタンスと同調を行うためのもので、中心導体４１
ａ、４１ｂ、４１ｃに並列または直列に接続される。図
４の例では並列に接続されている。

【００１０】また、中心導体４１ａ、４１ｂ、４１ｃの
他端は例えば接地される。

【００１１】上記した構成の集中定数形サーキュレータ
では、３組の中心導体を互いに絶縁する方法として、例
えば次の３つの方法がある。即ち、１）図５（ａ）のように１枚の薄い誘電体基板５０の両
面に銅張りを行い、その表面の銅張りを選択エッチング
して分岐を持つ中心導体５１ａ、５１ｂ、５１ｃを形成
する。そして、図５（ａ）の線Ａ−Ｂで断面した図５
（ｂ）のように、各中心導体５１ａ、５１ｂ、５１ｃが
交差する部分に、スルーホール５２を形成し、基板５０
の裏面を利用して他の中心導体の分岐に接触しないよう
に自己の分岐を連結する方法。

【００１２】２）図６の断面図のように中心導体６１
ａ、６１ｂ、６１ｃをヘアピン状に編み、互いの中心導
体間にテフロン（登録商標）シートなどの絶縁シート６
２ａ、６２ｂ、６２ｃを挟み込む方法。なお、図で６３
ａ、６３ｂはフェライト、６４ａ、６４ｂは接地導体で
ある。

【００１３】３）図７のように互いの中心導体７１ａ、
７１ｂ、７１ｃが交差部分で接触しないように、例えば
エッチング技術でフェライト７２ｂの表面にブリッジな
どの絶縁交差部７３ａ、７３ｂを形成する方法。なお、
図で７４ｂは接地導体である。

【００１４】また、上記の方法以外に、図８に示すよう
に、複数に分岐している３組の中心導体８１ａ、８１
ｂ、８１ｃを１２０度に交差させて上下方向に配置し、
互いの中心導体８１ａ、８１ｂ、８１ｃ間に絶縁シート
８２ａ、８２ｂを挟む方法もある。

【００１５】なお、８３ａ、８３ｂはフェライト、８４
ａ、８４ｂは接地導体である。

【００１６】図８の構造は特に高電力で動作させる集中
定数形サーキュレータによく用いられる。

【００１７】ところで、図５から図７に示した集中定数
形サーキュレータは、各端子から見た浮遊容量の値が対
称となるように、その構造も対称にしなければならな
い。したがって、その分構造が複雑になる。しかし、３
組の中心導体に接続される同調コンデンサ４４ａ、４４
ｂ、４４ｃに同じ容量値のものが使用できる利点があ
り、比較的低電力で動作するものに用いられる。

【００１８】図８に示す集中定数形サーキュレータは構
成や組立が簡単であるが、各端子から見た浮遊容量が対
称でなくなる。このため、各端子に接続する同調コンデ
ンサの容量値は端子ごとに異なってくる。

【００１９】なお、各同調コンデンサの容量は、組立の
再現性が完全であれば一定の値に保つことはできる。

【００２０】

【考案が解決しようとする課題】ところで、フェライト
は比誘電率が比較的大きい（比誘電率は約１１〜１
６）。

【００２１】したがって、集中定数形サーキュレータを
構成した場合、フェライトと中心導体との間に空間が存
在するか、または、しないかで、各端子に生じる浮遊容
量に大きな差が生じる。

【００２２】この場合、各端子に接続する同調コンデン
サの容量値は、個々のサーキュレータごとに調整する必
要がある。

【００２３】しかし、同調コンデンサの容量値の調整
は、多くの時間を費やし、安価なサーキュレータの供給
を困難にする。

【００２４】上記の問題は、フェライトと接地導体との
間に空間がある場合も同様である。また、高電力で動作
する場合、フェライトと中心導体との間、あるいは、フ
ェライトと接地導体との間に空間が存在すると、フェラ
イトに生じる損失熱をうまく逃がすことができない。

【００２５】このため、温度が上昇して特性が劣化した
り、また、中心導体や絶縁シート、フェライトを焼損す
ることもある。

【００２６】上記したように従来の集中定数形サーキュ
レータでは、フェライトと中心導体との間、あるいはフ
ェライトと接地導体との間に不均一な空間ができやす
く、各端子の浮遊容量にばらつきが生じる。

【００２７】したがって、各端子に接続する同調コンデ
ンサの値を、個々のサーキュレータごとに調整しなけれ
ばならない。

【００２８】また、高電力で動作する場合、フェライト
に発生する損失熱が接地導体、あるいは中心導体を通じ
てケースや放熱体に伝わりにくく、サーキュレータの動
作電力の大きさに限界を生じる。特に、サーキュレータ
をアイソレータとして使用する場合など、反射電力が急
激に増加するとフェライトや絶縁物の破壊を招くことも
なる。

【００２９】本考案は、フェライトと中心導体との間、
あるいはフェライトと接地導体との間に生ずる空間をな
くし、各端子に接続する同調コンデンサの値を調整する
作業を不要とし、また、フェライトに発生する損失熱の
放出を容易にした集中定数形サーキュレータを提供する
ことを目的とする。

【００３０】

【課題を解決するための手段】本考案は、それぞれが複
数の分岐を有し、かつ、互いに交差するように配置され
る３組の網状中心導体と、この３組の網状中心導体間に
挿入される２枚の絶縁物と、前記３組の網状中心導体お
よび２枚の絶縁物を両側から挟む２枚のフェライトと、
前記フェライトの外側に密着して配置される接地導体
と、前記２枚のフェライトに磁界を付与する磁石とから
なる集中定数形サーキュレータにおいて、前記網状中心
導体はフェライト面の領域外に延びる端子を持つ銅で構
成され、３組の網状中心導体のうちフェライトに密着す
る２組の網状中心導体が、銅とフェライトとの直接接合
によってフェライトに密着して形成されている。

【００３１】また、それぞれが複数の分岐を有し、か
つ、互いに交差するように配置される３組の網状中心導
体と、この３組の網状中心導体間に挿入される２枚の絶
縁物と、前記３組の網状中心導体および２枚の絶縁物を
両側から挟む２枚のフェライトと、前記フェライトの外
側に密着して配置される接地導体と、前記２枚のフェラ
イトに磁界を付与する磁石とからなる集中定数形サーキ
ュレータにおいて、前記接地導体はフェライト面の領域
外に延びた銅で構成され、銅とフェライトとの直接接合
によって接地導体がフェライトに密着して形成されてい
る。

【００３２】

【作用】上記の構成によれば、網状中心導体または接地
導体が銅で構成され、中心導体または接地導体は、銅と
フェライトとの直接接合によってフェライトに密着、形
成される。

【００３３】

【００３４】また、銅とセラミック基板を適度の温度
（約１１００度Ｃ）と雰囲気中の適度の酸素量（数ｐｐ
ｍ）の条件下で直接接合させるダイレクト・ボンディン
グ・カッパ技術（以後ＤＢＣ技術と言う。）も採用され
る。

【００３５】そして、集中定数形サーキュレータを構成
するフェライトは酸化系セラミックであり、銅との直接
接合が可能である。

【００３６】本考案では、接地導体や中心導体の材質を
銅とし、接地導体や中心導体をＤＢＣ技術でフェライト
と直接接合している。

【００３７】したがって、中心導体または接地導体とフ
ェライトとの間に空間をなくすことができる。

【００３８】このため、各端子から見た浮遊容量に大き
さのばらつきがなくなる。

【００３９】また、フェライトと接地導体間、すなわち
フェライトからケースや放熱部までの熱抵抗も小さくな
る。

【００４０】

【実施例】以下、本考案の実施例について図１を参照し
て説明する。なお、図１（ａ）は分解図、（ｂ）は概略
の断面図である。

【００４１】１１ａ、１１ｂはフェライトで、フェライ
ト１１ａ、１１ｂの一方の面に銅からなる接地導体１２
ａ、１２ｂが、また、フェライト１１ａ、１１ｂの他方
の面に銅からなる中心導体１３ａ、１３ｃが、それぞれ
ＤＢＣ技術で固着される。

【００４２】また、フェライト１１ａ、１１ｂの間に、
上から順に絶縁シート１４ａや中心導体１３ｂ、絶縁シ
ート１４ｂが挟まれる。

【００４３】接地導体１２ａ、１２ｂおよび中心導体１
３ａ、１３ｃの露出部分はメッキが可能で、導電率の良
い銀メッキを行うこともできる。

【００４４】ここで、接地導体１２ａ、１２ｂや中心導
体１３ａ、１３ｃを、ＤＢＣ技術でフェライト１１ａ、
１１ｂに接合する手順について説明する。

【００４５】先ず、フェライト１１ａの一方の面に接地
導体１２ａを密着して仮止めし、また、フェライト１１
ａのもう一方の面に中心導体１３ａを密着して仮止めす
る。そして、接地導体１２ａや中心導体１３ａを仮止め
した状態で、適度の温度と適度の酸素量を含む雰囲気に
設定された電気炉の中に放置する。電気炉内では、接地
導体１２ａおよび中心導体１３ａの表面の銅のみが溶融
し、フェライト１１ａに含まれる酸素と共有結合し、フ
ェライト１１ａと中心導体１３ａ、およびフェライト１
１ａと接地導体１２ａが、それぞれの間に空間を生じる
こともなく堅固に接合される。

【００４６】なお、もう一方のフェライト１１ｂについ
ても、中心導体１３ｃや接地導体１２ｂとの接合が同様
の手順で行われる。

【００４７】また、接地導体１２ａは、フェライト１１
ａの周辺部から外に延びる突起１５ａ、１５ｂ、１５ｃ
が折り曲げられ、もう１つの接地導体１２ｂに半田１６
などで接続され、接地導体１２ｂと同電位にされる。

【００４８】中心導体や接地導体をフェライトに密着し
て形成する方法としてＤＢＣ技術を採用すると、金属蒸
着や厚膜焼結による方法では得られない次のような構造
が可能になる。

【００４９】金属蒸着や厚膜焼結の場合、接地導体や中
心導体がフェライトに密着する部分は、フェライト面の
領域に限られる。

【００５０】したがって、外部整合回路を接続する端子
などを、同時に、そして一体に形成することができな
い。

【００５１】しかし、ＤＢＣ技術を用いると図１のよう
に、フェライト面の領域外に延びる端子や突起を持つ中
心導体、接地導体などをフェライト面に密着して形成で
きる。

【００５２】次に、ＤＢＣ技術を用いて中心導体や接地
導体をフェライトに密着させた構造から、集中定数形サ
ーキュレータを組み立てる手順について説明する。

【００５３】ＤＢＣ技術によって中心導体１３ｃや接地
導体１２ｂが密着、形成されたフェライト１１ｂの上に
絶縁シート１４ｂを乗せる。その上に、中心導体１３ｃ
と略１２０度の角度で交差するように中心導体１３ｂを
配置する。また、中心導体１３ｂの上に絶縁シート１４
ａを乗せる。

【００５４】そして、ＤＢＣ技術によって中心導体１３
ａや接地導体１２ａが密着、形成されたフェライト１１
ａを、その中心導体１３ａが中心導体１３ｂ、１３ｃと
略１２０度の角度で交差するように配置する。その後、
フェライト１１ａに密着、形成されている接地導体１２
ａの突起１５ａ、１５ｂ、１５ｃを、もう１つの接地導
体１２ｂに半田１２などで接続する。

【００５５】なお、絶縁シート１４ａ、１４ｂとして
は、高周波における損失が小さく、また高電力動作にも
耐えるように耐電圧も大きく、かつ薄く加工し易い例え
ばテフロンが適している。

【００５６】また、接地導体１２ａ、１２ｂの両者の外
側、または、いずれか一方の外側には、フェライト１１
ａ、１１ｂに磁界を与える磁石が配置される。

【００５７】上記の実施例では、絶縁シートは円形にな
っているが、図２のように中心導体２１の外形に沿った
形状に絶縁シート２２を構成することもできる。

【００５８】また、図３のように中心導体３１の周囲に
粘着性絶縁シート３２を巻き付ける構造でも良い。

【００５９】

【考案の効果】本考案は、３組の中心導体のうちフェラ
イトに接する２つの中心導体とフェライトを、または、
接地導体とフェライトを、それぞれＤＢＣ技術によって
直接接合している。そのため、中心導体とフェライトと
の間、または、接地導体とフェライトとの間に空間をな
くすことができる。

【００６０】したがって、各端子から見た浮遊容量の大
きさにばらつきがなくなり、各端子に接続する同調コン
デンサの値もばらつきがなく一定にでき、サーキュレー
タの調整時間を短くできる。

【００６１】また、フェライトと接地導体間、すなわち
ケースや放熱部までの熱抵抗を小さくでき、サーキュレ
ータの動作電力を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を説明する図で、（ａ）は分解
図、（ｂ）は断面図である。

【図２】本考案の他の実施例を説明する図である。

【図３】本考案の他の実施例を説明する図である。

【図４】従来例を説明する図である。

【図５】従来例を説明する図である。

【図６】従来例を説明する図である。

【図７】従来例を説明する図である。

【図８】従来例を説明する図である。

【符号の説明】

１１ａ、１１ｂ…フェライト１２ａ、１２ｂ…接地導体１３ａ、１３ｂ、１３ｃ…中心導体１４ａ、１４ｂ…絶縁シ−ト１５ａ、１５ｂ、１５ｃ…突起

フロントページの続き (56)参考文献特開平３−124103（ＪＰ，Ａ) 特開平２−203602（ＪＰ，Ａ) 特開平４−355503（ＪＰ，Ａ) 特開昭63−239964（ＪＰ，Ａ) 特開平３−25965（ＪＰ，Ａ) 実開昭63−72904（ＪＰ，Ｕ) 実開平２−24602（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01P 1/383 H01P 1/30

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】それぞれが複数の分岐を有し、かつ、互
いに交差するように配置される３組の網状中心導体と、
この３組の網状中心導体間に挿入される２枚の絶縁物
と、前記３組の網状中心導体および２枚の絶縁物を両側
から挟む２枚のフェライトと、前記フェライトの外側に
密着して配置される接地導体と、前記２枚のフェライト
に磁界を付与する磁石とからなる集中定数形サーキュレ
ータにおいて、前記網状中心導体はフェライト面の領域
外に延びる端子を持つ銅で構成され、３組の網状中心導
体のうちフェライトに密着する２組の網状中心導体が、
銅とフェライトとの直接接合によってフェライトに密着
して形成されていることを特徴とする集中定数形サーキ
ュレータ。
【請求項２】それぞれが複数の分岐を有し、かつ、互
いに交差するように配置される３組の網状中心導体と、
この３組の網状中心導体間に挿入される２枚の絶縁物
と、前記３組の網状中心導体および２枚の絶縁物を両側
から挟む２枚のフェライトと、前記フェライトの外側に
密着して配置される接地導体と、前記２枚のフェライト
に磁界を付与する磁石とからなる集中定数形サーキュレ
ータにおいて、前記接地導体はフェライト面の領域外に
延びた銅で構成され、銅とフェライトとの直接接合によ
って接地導体がフェライトに密着して形成されているこ
とを特徴とする集中定数形サーキュレータ。