JP2606003B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

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JP2606003B2
JP2606003B2 JP11761291A JP11761291A JP2606003B2 JP 2606003 B2 JP2606003 B2 JP 2606003B2 JP 11761291 A JP11761291 A JP 11761291A JP 11761291 A JP11761291 A JP 11761291A JP 2606003 B2 JP2606003 B2 JP 2606003B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、制動時の車両の操縦
安定性を向上させることができる制動力制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の制動力制御装置としては、例えば
特開昭63−184116号公報に記載されているよう
に、各車輪に設けた制動手段としてのホイールシリンダ
の制動圧を圧力に応じたアナログ電圧を発生する油圧セ
ンサで検出し、この制動圧検出値をマイクロコンピュー
タを備えたコントローラに入力することにより、このコ
ントローラで、油制動圧検出値と目標制動圧との差に応
じてホイールシリンダへの供給油圧を制御する制御弁を
増圧、保持、減圧の何れかに制御することにより、実際
の制動圧と目標制動圧とを一致させて良好な制動力制御
を行うようにしている。
【0003】ところで、コントローラはマイクロコンピ
ュータを備えてディジタル処理を行うので、油圧センサ
から出力されるアナログ電圧でなる制動圧検出値を所定
周期毎にA/D変換器でA/D変換するようにしてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の制動力制御装置にあっては、油圧センサから出力さ
れる制動圧検出値を単にA/D変換器でディジタル値に
変換したのでは、制御弁の制御モードが保持モードから
増圧モード又は減圧モードに切換えられた場合に、ホイ
ールシリンダ圧が高周波で振動するため、油圧センサの
検出出力及びA/D変換出力は図11(a) に示すよう
に、ノイズが多く含まれた信号となり、この制動圧検出
値を制御パラメータとして用いた制御を行う場合には、
良好な性能を得ることができないという未解決の課題が
ある。
【0005】この課題を解決するために、従来は、A/
D変換器の入力側にアナログローパスフィルタを設ける
か又はA/D変換器の出力側にディジタルローパスフィ
ルタを設けて、高周波ノイズを除去するようにしている
のが一般的である。ここで、ローパスフィルタのカット
オフ周波数を低く設定すると、図11(b)に示すよう
に、増圧又は減圧モードに切換えた際にフィルタ出力の
応答に遅れが生じ、逆にカットオフ周波数を高く設定す
ると、図11(c) に示すように、十分なノイズ除去がで
きなくなり、フィルタ出力の応答遅れを小さくしながら
十分なノイズ除去を行うという相反する要求を満足する
ことができないという未解決の課題がある。
【0006】そこで、本発明は、上記従来例の未解決の
課題に着目してなされたものであり、高周波ノイズを除
去しながら応答性の優れた制動圧検出値を得ることがで
きる制動圧制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る制動力制御装置は、図1の基本構成図
に示すように、前輪及び後輪の少なくとも一方に配設さ
れた入力される流体圧に応じて制動力を制御可能な制動
力制御手段と、前記制動力制御手段の流体圧を検出する
制動圧検出手段と、該制動圧検出手段の制動圧検出値の
A/D変換値を第1の所定周期毎に読込み、これに所定
の信号処理を行って補正値を出力する信号処理手段と、
各制動力制御手段の目標制動圧を算出する目標制動圧算
出手段と、該目標制動圧算出手段の目標制動圧と前記補
正値とが一致するように、前記第1の所定周期より長い
第2の所定周期毎に前記増圧、保持及び減圧モードの何
れかを決定し、前記制動力制御手段を制御する制動圧制
御手段と、該制動圧制御手段で、保持モードから他のモ
ードへの切換え時点で、そのときの補正値と予め設定し
た所定の圧力変化割合とにより制動圧の予測値を一意に
求める制動圧推定手段とを備え、前記信号処理手段は、
前記制動圧制御手段で増圧又は減圧モードが決定された
ときに前記制動圧推定手段の予測値を補正値として選択
することを特徴としている。
【0008】
【作用】本発明に係る制動力制御装置においては、ホイ
ールシリンダ等の制動力制御手段の制動圧を制動圧検出
手段で検出し、この制動圧検出値のA/D変換値を信号
処理手段で第1の所定周期毎に読込む。一方、制動圧制
御手段で、目標制動圧と信号処理手段から出力される補
正値とが一致するように、増圧、保持及び減圧モードの
何れかを決定し、決定された制御モードで制動力制御手
段を制御する。そして、制動圧推定手段で、制動圧制御
手段での保持モードから増圧モード又は減圧モードへの
切換時に、そのときの補正値と所定の圧力変化割合とに
基づいて制動圧の予測値を一意に求め、信号処理手段
で、増圧モード又は減圧モードの開始時に制動圧検出値
に基づく補正値に代えて制動圧推定手段の予測値を補正
値として選択する。このため、保持モードから増圧モー
ド又は減圧モードへの切換時に、制動圧検出値に現れる
高周波の振動成分の影響を受けることなく、応答性の優
れた制動圧検出値を得ることができる。
【0009】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図2はこの一実施例を示す油圧系統図である。
図中、1FL,1FRは前輪に取付けられた制動手段と
してのホイールシリンダ、1RL,1RRは後輪に取付
けられた制動手段としてのホイールシリンダであって、
これらホイールシリンダ1FL〜1RRに供給するブレ
ーキ油圧がアクチュエータ2によって制御される。
【0010】このアクチュエータ2は、前輪側のホイー
ルシリンダ1FL及び1RRのシリンダ圧を個別に制御
する3ポート3位置電磁方向切換弁3FL及び3FR
と、後輪側のホイールシリンダ1RL及び1RRを同時
に制御する3ポート3位置電磁方向切換弁3Rとを備え
ている。そして、電磁方向切換弁3FL及び3FRのP
ポートがブレーキペダル4に連結された2系統マスター
シリンダ5の一方の系統に接続され、また電磁方向切換
弁3FL及び3FRのAポートが個別にホイールシリン
ダ1FL及び1FRに接続され、さらにBポートが電動
モータ(図示せず)によって回転駆動される油圧ポンプ
7Fを介してマスターシリンダ5の一方の系統に接続さ
れている。
【0011】また、電磁方向切換弁3RのAポートがホ
イールシリンダ1RL及び1RRに接続され、Bポート
が電動モータ(図示せず)によって回転駆動される油圧
ポンプ7Rを介してマスターシリンダ5の他方の系統に
接続されている。さらに、電磁方向切換弁3FL及び3
FRのPポートと油圧ポンプ7Fとの間の管路にアキュ
ムレータ8Fが接続され、Bポートと油圧ポンプ7Fと
の間の管路にリザーバタンク9Fが接続され、同様に電
磁方向切換弁3RのPポートと油圧ポンプ7Rとの間の
管路にアキュムレータ8Rが接続され、Bポートと油圧
ポンプ7Rとの間の管路にリザーバタンク9Rが接続さ
れている。
【0012】ここで、各電磁方向切換弁3FL〜3Rの
夫々は、ノーマル位置の第1の切換位置でマスターシリ
ンダ5とホイールシリンダ1FL〜1RRとを直接接続
してホイールシリンダ1FL〜1RRのブレーキ液圧を
マスターシリンダ5に応じた値とする増圧状態とし、第
2の切換位置でホイールシリンダ1FL〜1RRとマス
ターシリンダ5及び油圧ポンプ7F及び7Rとの間を遮
断してホイールシリンダ1FL〜1RRのブレーキ液圧
を保持する保持状態とし、さらに第3の切換位置でホイ
ールシリンダ1FL〜1RRとマスターシリンダ5との
間を油圧ポンプを介して接続することにより、ホイール
シリンダ1FL〜1RR内の作動油をマスターシリンダ
5側に戻す減圧状態とし、これらの切換位置が後述する
制動圧制御装置16から供給される3段階の電流値によ
って切換制御される。
【0013】一方、車両には、ステアリングホイール1
0の操舵角を検出して、ステアリングホイール10が中
立位置にあるときに零の電圧、この中立位置から右切り
したときに操舵角に応じた負の電圧、及び中立位置から
左切りしたときに操舵角に応じた正の電圧となる操舵角
検出値θを出力する操舵状態検出手段としての操舵角セ
ンサ11が配設されていると共に、車速に応じた車速検
出値VX を出力する速度検出手段としての車速センサ1
2が取付けられ、またブレーキペダル4の踏込状態を検
出するブレーキスイッチ13が取付けられていると共
に、各ホイールシリンダ1FL,1FR,1RL,1R
R及びマスターシリンダ5のシリンダ圧に応じたアナロ
グ電圧でなる圧力検出値PFL,PFR,PR 及びPMCを出
力する圧力センサ14FL,14FR,14R及び14
MCが取付けられ、これら各センサの圧力検出値PFL
FR,PR 及びPMCが制動圧制御装置16に入力され
る。
【0014】制動圧制御装置16は、図3に示すよう
に、各センサ11,12及び14FL〜14MCの各検
出値がセンサ12の検出値については直接、センサ11
及び14FL〜14MCについてはA/D変換器17a
〜17eを介して入力されると共に、ブレーキスイッチ
13のスイッチ信号が直接入力されるマイクロコンピュ
ータ19と、このマイクロコンピュータ19から出力さ
れる制御信号CSFL,CSFR及びCSR がD/A変換器
18a〜18cを介して個別に入力されて前述した電磁
方向切換弁3FL,3FR及び3Rのソレノイドを駆動
するフローティング形の定電流回路20FL,20FR
及び20Rとを備えている。
【0015】マイクロコンピュータ19は、少なくとも
入力インタフェース回路19a、出力インタフェース回
路19b、演算処理装置19c及び記憶装置19dを備
え、演算処理装置19cで、各圧力センサ14FL〜1
4MCの圧力検出値PFL〜P MCをA/D変換器17b〜
17eでディジタル値に変換した値を一定周期T1 で読
込み、これらに基づいて図6の処理を実行して、各圧力
検出値PFL〜PR の補正値PFLA 〜PRAを算出し、且つ
操舵角センサ11からの操舵角検出値θ,車速センサ1
2からの車速検出値VX 及び圧力センサ14MCからの
マスターシリンダ圧検出値PMCに基づいて図5の処理を
実行して、前輪左右の目標制動力としての目標ホイール
シリンダ圧P* FR及びP* FLを算出すると共に、これら
目標ホイールシリンダ圧P* FR及びP* FLと、圧力セン
サ14FR,14FLにおけるシリンダ圧検出値PFR
びPFLの補正値PFRA 及びPFLA と、圧力センサ14M
Cのシリンダ圧検出値PMCとに基づいて図7の処理を実
行してアクチュエータ2の電磁方向切換弁3FL,3F
Rを制御する制御信号CSFL,CSFRを出力し、且つ電
磁方向切換弁3Rに対しては、常時零の制御信号CSR
を出力する。
【0016】次に、上記実施例の動作を説明する。先
ず、上記実施例の制御原理について説明すると、車両の
運動を、図4に示すように、ヨーイング及び横方向の2
自由度と考えた場合、運動方程式は下記(1)式及び(2)
式で表すことができる。 IZ ・Ψ″(t) =Cf ・Lf −Cr ・Lr +Tf ・( BFL(t) −BFR(t))/2 …………(1) M・V′y (t) =2(Cf +Cr ) −M・Vx (t) ・Ψ′ …………(2) ここで、IZ は車両ヨー慣性モーメント、Ψ′はヨー
レート、Lf は車両重心と前車軸との間の距離、Lr
車両重心と後車軸との間の距離、Tf は前輪トレッド、
FL(t) は左前輪制動力、BFR(t) は右前輪制動力、M
は車両重量、Vy は車両横方向速度、V′y (t) は車両
横方向加速度、Vx は車両前後方向速度である。また、
f 及びCr は、前輪及び後輪のコーナリングフォース
であって、下記(3) 式及び(4) 式で表すことができる。
【0017】 Cf =Kf {θ(t)/N−( Vy +Lf ・Ψ′(t) /Vx (t) ) }…………(3) Cr =−Kr ( Vy −Lr ・Ψ′(t) ) /Vx (t) …………(4) なお、θ(t) は操舵角、Nはステアリングギヤ比、Kf
は前輪コーナリングパワー、Kr は後輪コーナリングパ
ワーである。そして、前記(3) 式及び(4) 式を前記(1)
式及び(2) 式に代入し、ヨーレートΨ′(t) 、横方向速
度Vy (t) に関する微分方程式と考えると、下記(5) 式
及び(6)式で表現することができる。
【0018】 Ψ″(t) =a11・Ψ′(t) +a12・Vy (t) +b1 ・θ(t) +bpl・ΔBf (t) …………(5) V′y (t) =a21・Ψ′(t) +a22・Vy (t) +b2 ・θ(t) …………(6) 但し、ΔBf (t) =BFL(t) −BFR(t) ………(7.1) a11=-2(Kf ・ Lf ・ Lf + Kr ・ Lr ・ Lr )/( IZ ・VX ) …(7.2) a12=-2(Kf ・ Lf − Kr ・ Lr )/( IZ ・VX ) ………(7.3) a21=-2(Kf ・ Lf − Kr ・ Lr )/( M・VX ) −VX ………(7.4) a22=-2( Kf +Kr )/( M・VX ) ………(7.5) b1 =2・Kf ・Lf /(IZ ・N) ………(7.6) b2 =2・Kf /(M・N) ………(7.7) bp1=Tf /(2・IZ ) ………(7.8) である。
【0019】上記(5) 式及び(6) 式より、操舵角入力θ
(t) に対する発生ヨーレートΨ′1 (t) の関係は、微分
演算子sを用いると下記(8) 式のように表せる。 この(8) 式の伝達関数X(s) は(一次)/(二次)
の形であり、VX が大きくなる程操舵角入力θ(t) に対
する発生ヨーレートΨ′1(t)は振動的になり、車両操縦
性及び安定性が悪化することが分かる。すなわち、前記
(8) 式の分母の一次の項に係る係数{−(a11+a22)}
は、制御系の減衰係数ζに相当し、このため係数{−(a
11+a22)}に前記(7.2) 式及び(7.5) 式に示すa11及び
22を代入すると、これらa11,a22が常に負の値とな
ることから、減衰係数ζは正の減衰であり、且つ車両前
後方向速度VX が大きくなる程減衰係数ζは零に近づく
ことになる。つまり、車両前後方向速度VX が大きくな
る程、制御系の減衰係数ζが小さくなるため、ヨーレー
トΨ′1(t)は振動的(減衰し難い)になる。
【0020】そこで、例えば目標ヨーレートΨ′r(t)を
操舵角入力θ(t) に対してオーバシュート及びアンダシ
ュートの無い1次遅れ系とし、且つ定常値をノーマルの
車両と等しく設定すれば、目標ヨーレートΨ′r(t)は下
記(9) 式で表すことができる。 Ψ′r(t)=H0 ・θ(t) /(1+τS) …………(9) 但し、H0 は定常ヨーレートゲインで、スタビリティフ
ァクタAを用いることにより、下記(10)式によって定義
される。
【0021】 H0 =VX /{(1+A・VX 2)・L・N) …………(10) ここで、Lはホイールベースであり、またスタビリティ
ファクタAは、 A=−M(Lf ・Kf −Lr ・Kr )/2・L2 ・Kf ・Kr …………(11) で表される。
【0022】このように、上記(9) 式で定常値をノーマ
ルの車両と等しく設定するようにしているので、前述し
た従来例のように車両の制動時に積極的に回頭性を向上
させるものではなく、制動時、非制動時にかかわらず操
舵角検出値θと車速検出値V X とによって定められた所
定のヨー特性を満足させて、車両の操縦安定性を向上さ
せることができる。
【0023】次に、前輪左右の制動力差ΔBf (t) を用
いて、車両の発生ヨーレートΨ′(t) を目標ヨーレート
Ψ′r(t)に一致させる方法について説明する。前記(9)
式を変形すると、目標ヨーレートの微分値Ψ″r(t)は、
下記(12)式で求めることができる。 Ψ″r(t)=H0 ・θ(t) /τ−Ψ′r(t)/τ …………(12) また、操舵角入力θ(t) と前輪左右制動力差ΔBf (t)
による発生ヨーレートΨ′(t) が、目標ヨーレートΨ′
r(t)と一致すると仮定すれば、各々の微分値Ψ″(t) ,
Ψ″r(t)も一致する。したがって、Ψ″r(t)=Ψ″(t)
、Ψ′r(t)=Ψ′(t) と仮定し、また前記仮定が成立
する時の横方向速度Vy(t) をVyr(t) と定義して、こ
れらを前記(5) 式及び(6) 式に代入することにより、下
記(13)式及び(14)式を得ることができる。
【0024】 Ψ″r(t)=a11 ・Ψ′r(t)+a12 ・Vyr(t) +b1・θ(t) +b p1・ΔBf (t) …………(13) V′yr(t) =a21 ・Ψ′r(t)+a22 ・Vyr(t) +b2・θ(t) …………(14) そして、上記(13)式に前記(12)式を代入すれば、前輪
左右の制動力差ΔBf (t) は下記(15)式で求めることが
できる。 ΔBf (t) =(Ψ″r(t)−a11 ・Ψ′r(t)−a12 ・Vyr(t) −b1・θ(t))/bp1 …………(15) この(15)式で求めた前輪左右の制動力差ΔBf (t)を
発生させるためには、前輪左右のホイールシリンダ圧に
差圧を生じさせればよく、ホイールシリンダ圧Pと制動
力Bf との関係は、車輪の慣性モーメントを無視すれ
ば、下記(16)式で求めることができる。
【0025】 Bf =2・μp ・Ap ・rp ・P/R=kp ・P …………(16) kp =2・μp ・Ap ・rp /R …………(17) 但し、kp はホイールシリンダ圧と制動力との比例定数
であり、μp はブレーキパッド及びディスクロータ間摩
擦係数、Ap はホイールシリンダ面積、rp はディスク
ロータ有効半径、Rはタイヤ半径である。
【0026】したがって、前輪左右のホイールシリンダ
圧の目標差圧をΔP(t) とすれば、この目標差圧ΔP
(t) は、 ΔP(t) =ΔBf (t) /kp …………(18) で表すことができる。そして、上記(18)式で求められた
目標差圧ΔP(t) とマスターシリンダ圧PMC(t) とか
ら、前輪左右の目標ホイールシリンダ圧PFL(t) 及びP
FR(t) を下記(19)式及び(20)式に従って算出する。
【0027】 P* FL(t) =PMC(t) (ΔP(t) ≧0) =PMC(t) +ΔP(t) (ΔP(t) <0且つPMC(t) >−ΔP(t) ) =0 …………(19) (ΔP(t) <0且つPMC(t) ≦−ΔP(t) ) P* FR(t) =PMC(t) (ΔP(t) <0) =PMC(t) −ΔP(t) (ΔP(t) ≧0且つPMC(t) >ΔP(t) ) =0 …………(20) (ΔP(t) ≧0且つPMC(t) ≦ΔP(t) ) なお、前後輪のコーナリングパワーKf,r は制動力
及び駆動力が加わることにより変化するので、制動時の
コーナリングパワーを算出する必要がある。
【0028】すなわち、前輪及び後輪のコーナリングフ
ォースCf 及びCr と制動力及び駆動力とは、一般に図
8に示すような摩擦円の概念によって関係づけられてい
る。以下、前輪を例にとって制動力が加わるときのコー
ナリングパワーKf の算出方法を説明する。先ず、前輪
側のコーナリングフォースCf は車輪横すべり角βに比
例すると仮定し、タイヤの出し得る最大摩擦力(即ち摩
擦円半径)をF0 、コーナリングフォースCf が最大値
fmaxとなるときの横すべり角βをβmax 、制動力が加
わらないときのコーナリングパワーをKf0とすれば、 Cfmax=F0 =Kf0・βmax …………(21) の関係が得られる。
【0029】この(21)式が成り立つ時に制動力Bf が加
わると、最大コーナリングフォースCfmaxは、下記(22)
式のように変化する。 Cfmax=(F0 2 −Bf 2)1/2 =F0 {1−(Bf /F0 2 1/2 =[Kf0{1−(Bf /F0 2 1/2 ]βmax …………(22) したがって、制動力Bf が加わったときの前輪側コーナ
リングパワーKf は下記(23)式で求めることができる。
【0030】 Kf =Kf0{1−(Bf /F0 2 1/2 …………(23) そして、前輪側コーナリングパワーKf を前輪側の左右
輪の平均値とすれば、前輪左右に制動力BFL, FRが加
わった時の前輪側コーナリングパワーKf は下記(24)式
で求めることができる。 Kf =Kf0[{1-(BFR/F0)2 1/2 +{1-(BFL/F0)2 1/2 ]/2…………(24) 同様に、後輪の出し得る最大摩擦力をF0 ′、制動力が
加わらない時の後輪側コーナリングパワーをKr0とすれ
ば、後輪に制動力Brが加わった時の後輪側コーナリン
グパワーKr は下記(25)式で求めることができる。
【0031】 Kr =Kr0{1−(Br /F0 ′)2 1/2 …………(25) そして、上記(23)式及び(24)式に前述した(16)式を代入
することにより、下記(26)式及び(27)式に従って前輪側
コーナリングパワーKf 及び後輪側コーナリングパワー
r を求めることができる。 Kf =Kf0[{1-(kp P FR/F0)21/2 +{1-(kp P FL/F0)2 1/2 ]/2 …………(26) Kr =Kr0{1−(kp R /F0 ′)2 1/2 …………(27) したがって、マイクロコンピュータ19の演算処理装置
19cで、図5の目標ホイールシリンダ圧演算処理及び
図7の制動力制御処理を実行することにより、前輪側左
右輪に対する制動力を制御して車両のヨーレートを目標
ヨーレートに一致させることができる。
【0032】すなわち、図5の目標ホイールシリンダ圧
演算処理は、所定周期ΔT(例えば5msec)毎のタイマ
割込処理として実行され、先ずステップS1で、操舵角
センサ11の操舵角検出値θ、車速センサ12の車速検
出値VX 及び圧力センサ14FL〜14Rの圧力検出値
FL〜PR を読込み、次いでステップS2に移行して圧
力検出値PFL〜PR の補正値PFLA 〜PRAを算出する補
正処理を実行する。
【0033】この補正処理は、図6に示すように、先ず
ステップS21でブレーキスイッチ13がオフ状態であ
るか否かを判定し、オフ状態であるときには、車両が非
制動状態であると判断してステップS22に移行して、
現在の圧力検出値PFL〜PR を圧力補正値PFLA 〜PRA
とし、且つ後述するカウント値Nを“0”にクリアして
からサブルーチン処理を終了して図5の処理に戻り、ブ
レーキスイッチ13がオン状態であるときには、車両が
制動状態であると判断してステップS23に移行する。
【0034】このステップS23では、ホイールシリン
ダ圧Pi (i=FL,FR,R)がマスターシリンダ圧
MCと一致しているか否かを判定する。この判定は、制
動状態がアクチュエータ2の動作を伴わない通常制動状
態であるか否かを判定するものであり、Pi =PMCであ
るときには、通常制動状態であると判断して前記ステッ
プS22に移行し、Pi ≠PMCであるときには、アクチ
ュエータ2が動作状態となる制動状態であると判断して
ステップS24に移行する。
【0035】このステップS24では、現在のアクチュ
エータ2の制御状態が減圧、保持、増圧モードの何れで
あるかを判定する。このとき、増圧モードであるときに
は、ステップS25に移行して、ホイールシリンダ圧変
化量ΔP1 を算出する。ここで、ホイールシリンダ圧Δ
1 の算出は、前右輪のホイールシリンダ圧P FRを例に
とって説明すると、先ず所定時間の増圧(又は減圧)を
行った時のホイールシリンダ圧変化量特性データが予め
必要となる。このホイールシリンダ圧変化量特性データ
は、マスタシリンダ圧及び増圧開始前のホイールシリン
ダ圧が決まれば、圧力変化量が一意に決定される2入力
1出力関数の形で記述されていなければならない。
【0036】一例として、マスタシリンダ圧PMCを4
0,60及び80kg/cm2 の一定値に保った状態で、5
msec間の増圧を行った場合のホイールシリンダ圧変化量
ΔP1 の実測データを図9に示す。この場合ホイールシ
リンダ圧変化量ΔP1 は、増圧開始前のホイールシリン
ダ圧に依存しており、図9に示した実測データは概ねホ
イールシリンダ圧の2次関数として表せ、例えばマスタ
シリンダ圧PMCが60kg/cm2の時のホイールシリンダ圧
変化量ΔP1 は、下記(28)式により近似することができ
る。
【0037】 ΔP1 (PMC=60kg/cm2)=ΔPmax −K0(PFR−P0)2 …………(28) ただし、ΔPmax =4.5kg/cm2 、K0 =0.0041(kg/cm2)
-1、P0 =27kg/cm2である。同様に、マスタシリンダ
圧PMCが40kg/cm2及び80kg/cm2の場合は、夫々下記
(29)式及び(30)式で近似することができる。
【0038】 ΔP1 (PMC=40kg/cm2)=ΔPmax −K0(PFR−P0)2 …………(29) ただし、ΔPmax =3kg/cm2、K0 =0.0062(kg/c
m2)-1、P0 =18kg/cm2である。 ΔP1 (PMC=80kg/cm2)=ΔPmax −K0(PFR−P0)2 …………(30) ただし、ΔPmax =6kg/cm2、K0 =0.0031(kg/c
m2)-1、P0 =36kg/cm2である。
【0039】上記ΔPmax 、K0 及びP0 のマスタシリ
ンダ圧PMCに対する変化量に着目し、これらをマスタシ
リンダ圧PMCの関数と考えると、ホイールシリンダ圧変
化量ΔP1 はホイールシリンダ圧PFRとマスタシリンダ
圧PMCの2変数関数として下記(31)式で近似することが
できる。 ΔP1(PMC、PFR)=K1 MC−K2(PFR−K3 MC)2/PMC …………(31) ただし、K1 =0.075、K2 =0.248、K3
0.45である。
【0040】したがって、上記(31)式に従ってホイール
シリンダ圧変化量ΔP1 を算出する。次いで、ステップ
S26に移行して、算出されたホイールシリンダ圧変化
量ΔP1 を現在の補正値PiAに加算した値を新たな補正
値PiAとし、且つカウント値Nを“0”にクリアしてか
らサブルーチン処理を終了して図5の処理に戻る。
【0041】また、ステップS24の判定結果が減圧モ
ードであるときには、ステップS27に移行して、ホイ
ールシリンダ圧変化量ΔP2 を算出する。このホイール
シリンダ圧変化量ΔP2 は、前述したホイールシリンダ
圧変化量ΔP1 と同様に、マスタシリンダ圧PMCを4
0,60及び80kg/cm2 の一定値に保った状態で、5
msec間の減圧を行った場合のホイールシリンダ圧変化量
ΔP 2 の実測データを図10(a),(b) 及び(c) に示す。
この場合ホイールシリンダ圧変化量ΔP2 は、減圧開始
前のホイールシリンダ圧と比例関係にあり、且つマスタ
シリンダ圧に対する依存性は無い。したがって、ホイー
ルシリンダ圧変化量ΔP2 は、下記(32)式により近似す
ることができ、この(32)式に従ってホイールシリンダ圧
変化量ΔP2 を算出する。
【0042】 ΔP2(PFR)=K4 ・PFR …………(32) ただし、K4 =0.12である。次いで、ステップS2
8に移行して、算出されたホイールシリンダ圧変化量Δ
2 を現在の補正値PiAから減算した値を新たな補正値
iAとし、且つカウント値Nを“0”にクリアしてから
サブルーチン処理を終了して図5の処理に戻る。
【0043】さらに、ステップS24の判定結果が保持
モードであるときには、ステップS29に移行して、カ
ウント値Nが4未満であるか否かを判定し、N<4であ
るときにはステップS30に移行して現在の補正値PiA
をそのまま維持してからステップS32に移行し、N≧
4であるときには、ステップS31に移行して、現在の
圧力検出値Pi と、現在の補正値PiAに設定値PO を加
算した値PiA+P0 と、現在の補正値PiAから設定値P
0 を減算した値PiA−P0 との内の中間値を現在の補正
値PiAとしてからステップS32に移行する。
【0044】ステップS32では、現在のカウント値N
に“1”をインクリメントした値を新たなカウント値N
としてからサブルーチン処理を終了して図5の処理に戻
る。以上の補正処理によって補正値PFRA,FLA 及びP
RAが算出されると、ステップS3に移行して、各補正値
FRA,FLA 及びPRAに基づいて前述した(26)式及び(2
7)式の演算を行って前輪側コーナリングパワーKf 及び
後輪側コーナリングパワーKr を算出する。
【0045】次いで、ステップS4に移行して、車速検
出値VX と予め設定された車両の諸元とから前記(7.2)
〜(7.5) 式の演算を行って、係数a11〜a22を算出す
る。ここで、前記(7.2) 〜(7.5) 式における車両の諸元
によって決定される定数部a11 V 〜a22V は下記(33.1)
〜(33.4)式によって予め算出しておく。 a11V =−2(Kf f 2 +Kr r 2)/IZ …………(33.1) a12V =−2(Kf f −Kr r ) /IZ …………(33.2) a21V =−2(Kf f −Kr r ) /M …………(33.3) a22V =−2(Kf +Kr ) /M …………(33.4) 次いで、ステップS5に移行して、車速検出値VX と、
予め前記(11)式に基づいて算出されたスタビリティファ
クタA及び車両の諸元によって決定されるホイールベー
スL、ステアリングギヤ比Nとに基づいて前記(10)式の
演算を行って定常ヨーレートゲインH0 を算出すると共
に、算出された定常ヨーレートゲインH 0 に基づいて前
記(12)式の演算を行うことにより、目標ヨーレートの微
分値Ψ″r(n)を算出し、さらに算出された微分値Ψ″r
(n)と目標ヨーレートの前回値Ψ′r(n-1)とから下記(3
4)式に従って現在の目標ヨーレートΨ′r(n)を算出し、
これを記憶装置19dに形成した目標ヨーレート記憶領
域に更新記憶する。
【0046】 Ψ′r(n)=Ψ′r(n-1)+Ψ″r(n)ΔT …………(34) ここで、ΔTはタイマ割込周期である。次いで、ステッ
プS6に移行して、前記ステップS4で算出した係数a
21及びa22と、前記(7.7) 式に従って予め算出した係数
2 と、前記ステップS5で算出した目標ヨーレート
Ψ′r(n)と横方向速度の前回値Vyr(n-1) とから前記(1
4)式の演算を行って横方向加速度V′yr(n) を算出し、
この算出された横方向加速度V′yr(n) と横方向速度の
前回値Vyr(n-1) とから下記(35)式の演算を行って現在
の横方向速度Vyr(n) を算出し、これを記憶装置19d
の横方向速度記憶領域に更新記憶する。
【0047】 Vyr(n) =Vyr(n-1) +V′yr(n) ΔT …………(35) 次いで、ステップS7に移行して、前記(15)式に従って
前輪左右の制動力差ΔBf を算出し、算出された制動力
差ΔBf と予め(17)式に従って算出された比例定数kp
とに基づいて前記(18)式の演算を行うことにより、目標
差圧ΔPを算出する。
【0048】次いで、ステップS8に移行して、目標差
圧ΔPが正又は零であるか否かを判定し、ΔP≧0であ
るときには、ステップS9に移行して、前左輪の目標シ
リンダ圧P* FLをマスタシリンダ圧PMCに設定すると共
に、前右輪の目標シリンダ圧P* FRをマスタシリンダ圧
MCと目標差圧ΔPとの減算値(PMC−ΔP)又は
“0”の何れか大きい値に設定からタイマ割込処理を終
了して所定のメインプログラムに復帰し、ΔP<0であ
るときには、ステップS10に移行して、前左輪の目標
シリンダ圧P* FLをマスタシリンダ圧PMCと目標差圧Δ
Pとの加算値(PMC+ΔP)又は“0”の何れか大きい
値に設定すると共に、前右輪の目標シリンダ圧P* FR
マスタシリンダ圧PMCに設定してからタイマ割込処理を
終了する。
【0049】この図5の処理において、ステップS2の
処理が信号処理手段に対応し、ステップS3〜S10の
処理が目標制動圧算出手段に対応し、また図6の補正処
理において、ステップS25〜S28の処理が制動圧推
定手段に対応している。したがって、今、ブレーキペダ
ル4を解放した非制動状態を維持しながら直進走行を継
続しているものとすると、車速センサ12からの車速検
出値VX は車速に応じた値となるが、操舵角センサ11
からの操舵角検出値θは零であり、さらに目標ヨーレー
トの前回値Ψ′r(n-1)及び横方向速度の前回値Vyr(n-
1) も零となっている。一方、ステップS2の補正処理
では、ブレーキスイッチ13がオフ状態であるので、ス
テップS21からステップS22に移行し、ステップS
1で読込んだ略零のホイールシリンダ圧PFL, FR及び
R を夫々そのまま補正値P FLA,FRA 及びPRAとし、
且つカウント値Nを“0”にクリアしてからステップS
3に移行する。
【0050】このため、ステップS5で算出する定常ヨ
ーレートゲインH0は車速に応じた値となるが、目標ヨ
ーレートの微分値Ψ″r(n)は、前記(12)式の右辺第1項
の操舵角検出値θが零であり且つ右辺第2項の目標ヨー
レートの前回値Ψ′r(n-1)も零であるので零となり、し
たがって目標ヨーレートの現在値Ψ′r(n)も零となる。
これに応じてステップS6で算出する横方向加速度V′
yr(n) 及び横方向速度Vyr(n) も零となり、ステップS
7で算出される前輪左右制動力差ΔBf 及び目標差圧Δ
Pも零となるので、ステップS8からステップS9に移
行する。ここで、車両が非制動状態であるので、圧力セ
ンサ14MCで検出されるマスターシリンダ圧PMCは零
であり、目標ホイールシリンダ圧P* FL及びP* FRは零
に設定される。
【0051】ところが、直進走行状態を継続しながらブ
レーキペダル4を踏込んで制動状態に移行すると、マス
ターシリンダ5のマスターシリンダ圧PMCは上昇するこ
とになるが、目標差圧ΔPは零を継続するので、ステッ
プS9で算出される左右輪の目標ホイールシリンダ圧P
* FL及びP* FRは、マスターシリンダ圧PMCと等しく設
定される。
【0052】一方、車両が直進定速走行状態からステア
リングホイール10を例えば左切りすることにより、左
旋回状態となると、これに応じて操舵角センサ11から
ステアリングホイール10の操舵角に応じた正方向に増
加する操舵角検出値θが出力されることになるので、ス
テップS5で算出される目標ヨーレートの微分値の現在
値Ψ″r(n)が車速に応じた定常ヨーレートゲインH0
操舵角検出値θとに応じた値となり、目標ヨーレートの
現在値Ψ′r(n)も正方向に増加する値となる。それに伴
い、ステップS6で算出される横方向加速度の現在値
V′yr(n) は、車両諸元や車速により正方向又は負方向
に変化し、これに応じて横方向速度の現在値Vyr(n) も
正方向又は負方向に変化する。
【0053】上記の値に基づきステップS7で、前輪左
右の制動力差ΔBf及び目標差圧ΔPが算出される。そ
の時目標差圧ΔPが負の値の場合には、ステップS8か
らステップS10に移行して、前左ホイールシリンダ1
FLに対する目標シリンダ圧P* FLがマスターシリンダ
圧PMCより目標差圧ΔP分小さく設定され、前右ホイー
ルシリンダ1FRに対する目標シリンダ圧P* FRがマス
ターシリンダ圧PMCと等しく設定され、これらに応じて
各ホイールシリンダ1FL及び1FRのシリンダ圧を制
御することにより、車速と操舵角とに応じた適性なヨー
レートを発生することができる。
【0054】逆に目標差圧ΔPが正の値の場合には、ス
テップS8からステップS9に移行し、前左側ホイール
シリンダ1FLに対する目標シリンダ圧P* FLがマスタ
ーシリンダ圧PMCに設定されると共に、前右側ホイール
シリンダ1FRに対する目標シリンダ圧P* FRがマスタ
ーシリンダ圧PMCより目標差圧ΔP分だけ小さい値に設
定されることになり、これらに応じて各ホイールシリン
ダ1FL及び1FRのシリンダ圧を制御することによ
り、車速と操舵角とに応じた目標ヨーレートΨ′r(n)に
一致するヨーレートを発生することができる。
【0055】次に、直進走行状態からステアリングホイ
ール10を右切りして右旋回状態としたときには、操舵
角センサ11の操舵角検出値θが負の値となることによ
り、目標ヨーレートの微分値Ψ″r(n)、目標ヨーレート
Ψ′r(n)が負の値となるが基本的には前記左旋回と同様
に制御される。一方、図7の制動力制御処理は、図5の
目標シリンダ圧演算処理と同様に所定周期ΔT(例えば
5msec) のタイマ割込処理として左右輪側で個別に実行
される。なお、図7は左輪側のホイールシリンダ1FL
に対する制動力制御処理を表している。
【0056】すなわち、ステップS41でブレーキスイ
ッチ13がオン状態であるか否かを判定し、ブレーキス
イッチ13がオフ状態であるときには、非制動状態であ
ると判断してステップS42に移行して、出力する制御
信号の保持時間を表す変数T P を“1”に設定し、次い
でステップS43に移行して目標シリンダ圧P* FLと実
際のシリンダ圧PFLとの誤差を監視する周期を表す変数
mを“1”に設定してからステップS44に移行する。
【0057】このステップS44では、変数TP が正で
あるか、“0”であるか、さらには負であるかを判定
し、TP >0であるときには、ステップS45に移行し
て“0”の増圧信号としての制御信号CSFLを定電流回
路20FLに出力し、次いでステップS46に移行して
変数TP から“1”を減算して新たな係数TP を算出
し、これを記憶装置19dに形成した係数記憶領域に更
新記憶してからステップS47に移行して、変数mから
“1”を減算した値を新たな変数mとして記憶装置19
dに形成した変数記憶領域に更新記憶してからタイマ割
込処理を終了してメインプログラムに復帰し、ステップ
S44の判定結果がTP =0であるときには、ステップ
S48に移行して第1の所定電圧VS1の保持信号として
の制御信号CSFLを出力してから前記ステップS47に
移行し、さらにステップS44の判定結果がTP <0で
あるときには、ステップS49に移行して第1の所定電
圧VS1より高い第2の所定電圧VS2の減圧信号としての
制御信号CSFLを出力し、次いでステップS50に移行
して変数TP に“1”を加算した値を新たな変数TP
して変数記憶領域に更新記憶してから前記ステップS4
7に移行する。
【0058】また、前記ステップS41の判定結果がブ
レーキスイッチ13がオン状態であるときには、車両が
制動状態であるものと判断してステップS51に移行
し、前述した目標シリンダ圧演算処理で算出された目標
シリンダ圧P* FLがマスタシリンダ圧PMCと一致してい
るか否かを判定し、両者が一致しているときには、前記
ステップS42に移行し、両者が不一致であるときに
は、ステップS52に移行する。
【0059】このステップS52では、変数mが正であ
るか否かを判定し、m>0であるときには直接前記ステ
ップS44に移行し、m≦0であるときには、ステップ
S53に移行する。このステップS53では、目標シリ
ンダ圧P* FLと現在のシリンダ圧検出値P FLとの誤差P
err (=P* FL−PFL)を算出してからステップS54
に移行する。
【0060】このステップS54では、誤差Perr を基
準値P0 で除算した値を四捨五入する下記(36)式に従っ
て変数TPを算出する。 TP =INT(Perr /P0 ) …………(36) 次いで、ステップS55に移行して変数mを所定値m0
に設定してから前記ステップS44に移行する。
【0061】ここで、図7の処理が制動力制御手段に対
応している。したがって、車両が非制動状態で走行して
いる状態では、ブレーキスイッチ13がオフ状態である
ので、ステップS41からステップS42及びS43を
経てステップS44に移行してTP >0となるので、ス
テップS45に移行して“0”の制御信号CSFL及びC
FRが定電流回路20FL及び20FRに増圧信号とし
て出力される。このため、定電流回路20FL及び20
FRから励磁電流が出力されず、電磁方向切換弁3FL
及び3FRはノーマル位置を維持し、前輪側のホイール
シリンダ1FL及び1FRがマスターシリンダ5と連通
状態となっている。このとき、ブレーキペダル4を踏込
んでいないので、マスターシリンダ5から出力されるシ
リンダ圧力は零となっており、各ホイールシリンダ1F
L及び1FRのシリンダ圧力も零となっており、制動力
を発生することはなく、非制動状態を継続する。
【0062】この状態から、ブレーキペダル4を踏込ん
で制動状態とすると、図7のステップS41からステッ
プS51に移行し、図5の目標シリンダ圧演算処理で算
出された目標シリンダ圧P* FL及びP* FRが夫々マスタ
ーシリンダ5のマスターシリンダ圧PMCと一致するか否
かを判定する。この判定は、車両が直進走行状態である
か旋回状態であるかを判定することになり、直進走行状
態では、前述したように、図5の処理において、目標シ
リンダ圧P* FL及びP* FRがマスターシリンダ圧PMC
等しく設定されるので、ステップS51からステップS
42に移行し、前述した非制動状態と同様に制御信号C
FL及びCSFRを共に零として電磁方向切換弁3FL及
び3FRをノーマル位置とすることにより、マスターシ
リンダ5と各ホイールシリンダ1FL及び1FRとを連
通状態として、各ホイールシリンダ1FL及び1FRの
シリンダ圧PFL及びPFRをマスターシリンダ圧PMCと等
しい値まで上昇させ、両ホイールシリンダ1FL及び1
FRで等しい制動力を発生させる。
【0063】ところが、車両が旋回状態で制動状態とす
るか又は制動状態で旋回状態に移行すると、前述した図
5の処理において、目標シリンダ圧P* FL (又は
* FR) がマスターシリンダ圧PMCに対して目標差圧Δ
P分減算した値に設定されるので、このホイールシリン
ダ1FL(又は1FR)に対する処理においては、ステ
ップS51からステップS52に移行し、前回のステッ
プS47の処理で変数mが“0”に設定されていること
により、ステップS53に移行する。このため、各目標
シリンダ圧P* FL (又はP* FR)と圧力センサ14FL
(又は14FR)の圧力検出値PFL(又はPFR)との誤
差Perr を算出し(ステップS53)、これを許容範囲
を表す設定値P0 で除して変数TP を算出し(ステップ
S54)、次いで変数mを設定値m0 に設定してからス
テップS44に移行する。このとき、各圧力センサ14
FL(又は14FR)の圧力検出値PFL(又はPFR)が
目標シリンダ圧P* FL(又はP* FR)に達していないと
きには、変数TP が正の値となるので、ステップS45
に移行して制御信号CSFL及びCSFRを零として、増圧
モードを継続する。
【0064】その後、ステップS46で変数TP
“1”づつ減算され、これが零となると、ステップS4
4からステップS48に移行して第1の所定電圧VS1
制御信号CSFL(又はCSFR)を定電流回路20FL
(又は20FR)に保持信号として出力する。このた
め、定電流回路20FL(又は20FR)から所定電圧
S1に応じた励磁電流が電磁方向切換弁3FL(又は3
FR)に出力されることにより、これら電磁方向切換弁
3FL(又は3FR)が第2の切換位置に切換えられ、
ホイールシリンダ1FL(又は1FR)とマスターシリ
ンダ5との間が遮断されて、ホイールシリンダ1FL
(又は1FR)のシリンダ圧PFL(又はPFR)が一定値
に維持される保持モードとなり、この保持モードがステ
ップS47で変数mが“0”となるまで継続される。
【0065】その後、変数mが“0”となると、再度ス
テップS53に移行し、この時点で誤差圧力Perr が設
定圧力P0 の1/2未満となるとステップS54で算出
される変数TP が“0”となり、ステップS44からス
テップS48に移行して増圧モードを経ることなく前述
した保持モードとなり、ホイールシリンダ1FL(又は
1FR)のシリンダ圧PFL(又はPFR)が目標シリンダ
圧P* FL(又はP* FR)に維持される。
【0066】また、各ホイールシリンダ1FL(又は1
FR)のホイールシリンダ圧PFL(又はPFR)が目標シ
リンダ圧P* FL(又はP* FR)より高い場合には、ステ
ップS53で算出される誤差Perr が負の値となるの
で、変数TP も負の値となり、ステップS44からステ
ップS49に移行して所定電圧VS2の制御信号CS
FL(又はCSFR)を減圧信号として出力し、このため定
電流回路20FL(又は20FR)から所定電圧VS2
応じた励磁電流が電磁方向切換弁3FL(又は3FR)
に供給されるので、これが第3の切換位置に切換えられ
る。したがって、ホイールシリンダ1FL(又は1F
R)が油圧ポンプ7Fを介してマスターシリンダ5に連
通されることになり、ホイールシリンダ1FL(又は1
FR)のシリンダ圧PFL(又はPFR)が減圧される減圧
モードとなり、これが変数TP が“0”となるまで維持
される。
【0067】このようにして、増圧(又は減圧)モード
から保持モードを経て減圧(又は増圧)モードに至るモ
ード変更を行いながら各ホイールシリンダ1FL及び1
FRのシリンダ圧PFL及びPFRを目標シリンダ圧P* FL
及びP* FRに一致させることができ、結果として車速と
操舵角とに応じた目標ヨーレートの最適値に一致するヨ
ーレートを発生させることができる。したがって、制動
状態での操舵による不安定な挙動を防止して操縦安定性
を向上させることができると共に、過渡的なヨーレート
特性を改善することができる。
【0068】ところで、上述したように、制動状態にお
ける旋回によって制御モードが逐次変更される状態とな
ると、特に保持モードから増圧モード又は減圧モードに
変更する際に、各圧力センサ14FL〜14Rで検出さ
れるホイールシリンダ圧PFL〜PR が高周波で振動する
ことになる。このとき、保持モードから増圧モードに変
更されたときには、図6の補正処理において、ステップ
S24からステップS25に移行して、そのときのマス
タシリンダ圧PMCと現在の補正値PiAとから前記(31)式
に従ってホイールシリンダ圧変化量ΔP1 を算出し、次
いでステップS26に移行して、算出したホイールシリ
ンダ圧変化量ΔP1 を現在の補正値PiAに加算した値を
新たな補正値PiAとし、且つカウント値Nを“0”にク
リアする。
【0069】また、保持モードから減圧モードに変更さ
れたときには、図6の補正処理において、ステップS2
4からステップS27に移行して、そのときの補正値P
iAに基づいて前記(32)式の演算を行って、ホイールシリ
ンダ圧変化量ΔP2 を算出し、次いでステップS28に
移行して、現在の補正値PiAから算出したホイールシリ
ンダ圧変化量ΔP2を減算した値を新たな補正値PiA
し、且つカウント値Nを“0”にクリアする。
【0070】このように、保持モードから増圧(又は減
圧)モードに移行したときには、実際のホイールシリン
ダ圧Pi を参照することなく、現在の補正値PiAとマス
タシリンダ圧PMCとの2変数関数として表されるホイー
ルシリンダ圧変化量ΔP1 (又はΔP2 )を算出し、現
在の補正値PiAに算出したホイールシリンダ圧変化量Δ
1 (又はΔP2 )を加算(又は減算)した値を新たな
補正値PiAとして設定するので、ホイールシリンダ圧P
i の高周波振動の影響を確実に除去することができる。
【0071】また、増圧(又は減圧)モードから保持モ
ードに移行したときには、図6の補正処理において、ス
テップS24からステップS29に移行し、この時点で
は、カウント値Nが“0”にクリアされているので、ス
テップS30に移行し、現在の補正値PiAをそのまま継
続し、次いでステップS32に移行して、カウント値N
を“1”だけインクリメントする。このステップS29
−S30−S32の処理を繰り返してカウント値Nが
“4”に達すると、ステップS29からステップS31
に移行して、A/D変換されたホイールシリンダ圧Pi
と、現在の補正値PiAに基準値P0 を加算した値(PiA
+P0 )と、現在の補正値PiAから基準値P0 を減算し
た値(PiA−P0 )との中間値を現在の補正値PiAとし
て設定し、次いでステップS32でカウント値Nをカウ
ントアップする。したがって、カウント値Nが4以上と
なって、保持モードを継続する場合には、現在の補正値
iAに対して±P0 の不感帯幅内にA/D変換されたホ
イールシリンダ圧Pi が存在する場合には、このホイー
ルシリンダ圧Pi を補正値PiAとして設定し、ホイール
シリンダ圧Pi が不感帯幅の上限値PiA+P0 を上回っ
たときには、この上限値PiA+P0 を補正値PiAとして
設定し、ホイールシリンダ圧Pi が不感帯幅の下限値P
iA−P0 を下回ったときには、この下限値PiA−P0
補正値PiAとして設定する。
【0072】このように、増圧(又は減圧)モードから
保持モードに移行したときには、増圧(又は減圧)を行
ってからホイールシリンダ圧が定常値に収束するにはあ
る程度時間が必要となるので、増圧(又は減圧)モード
の終了後、カウント値Nが4に達するまでの所定時間τ
2 即ち20msecの間は、増圧モードの最終時点での補正
値PiAを保持してホイールシリンダ圧を定常値に確実に
収束させることができると共に、所定時間τ2 を経過し
て増圧(又は減圧)モードとなるまでの間は、A/D変
換されたホイールシリンダ圧PiAが前回の補正値PiA
基準値P0 を加減した不感帯幅内にあるときには、ホ
イールシリンダ圧Pi を補正値PiAとして設定し、ホイ
ールシリンダ圧Pi が不感帯を越えたときには、補正圧
iAの単位時間(5msec)当たりにおける圧力変化量の
絶対値を基準値P0 以内に制限して補正値PiAをA/D
変換値Pi に収束させることができる。
【0073】また、補正値PiAを算出する場合の圧力変
換割合が、マスタシリンダ圧検出値、前回の補正値及び
制御モードに基づいて決定されるので、実際の制動圧変
化により対応した予測値を得ることができる。さらに、
保持モードが設定されているときに、ホイールシリンダ
圧検出値を補正値として選択するようにしているので、
実際の制動圧に応じた制動力制御を行うことができる。
さらにまた、常時増圧モード即ち通常制動時には補正値
として制動圧検出値を選択するようにしたので、通常制
動時の不要なフィルタリングを防止することができる。
【0074】なお、上記実施例では、目標シリンダ圧P
* FL及びP* FRを算出する場合に制動時にコーナリング
パワーKf,r が変化するものとして演算する場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、制動
時のコーナリングパワーの変化を無視して目標シリンダ
圧P* FL及びP* FRを算出するようにしてもよい。ま
た、上記各実施例においては、車両が制動状態となった
ときにのみヨーレート特性制御を行う場合について説明
したが、これに限定されるものではなく、例えばトラク
ションコントロール用のアクチュエータを用いることに
より、非制動状態でもヨーレート特性制御を行うことが
できる。
【0075】さらに、上記各実施例においては、前輪側
の左右輪の制動力差を制御するようにした場合について
説明したが、これに限らず後輪又は前後輪の左右制動力
差を制御するようにしてもよい。さらにまた、上記各実
施例においては、車両の操舵状態検出手段として操舵角
センサ11を適用した場合について説明したが、これに
限定されるものではなく、操舵角センサに代えて実際の
車輪の転舵角(実舵角)を検出するようにしてもよく、
この場合には、前述した(3) 式,(7.6) 式及び(7.7) 式
におけるステアリングギヤ比Nを省略する。
【0076】また、上記各実施例においては、速度検出
手段として車速センサ12を適用した場合について説明
したが、これに限らず車輪速度、車両前後加速度等を検
出して車両前後方向速度を算出することもできる。さら
に、上記各実施例においては、制動圧制御装置16とし
てマイクロコンピュータを適用した場合について説明し
たが、これに限定されるものではなく、比較回路、演算
回路、論理回路等の電子回路を組み合わせて構成するこ
ともできる。
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る制
動力制御装置によれば、制動力制御手段の制動圧を制動
圧検出手段で検出し、その制動圧検出値のA/D変換値
を信号処理手段で信号処理して補正値を算出し、この補
正値と目標制動圧とが一致するように制動圧制御手段
で、制動力制御手段を増圧、保持及び減圧モードの何れ
かに制御すると共に、この制動圧制御手段で保持モード
から他のモードに変更されたときに、制動圧推定手段
で、そのときの補正値と予め設定した所定の圧力変化割
合とにより制動圧の予測値を求め、且つこの予測値を前
記信号処理手段で補正値として選択するように構成され
ているので、制動圧に高周波の振動を伴う保持モードか
ら増圧又は減圧モードに転換する時点で、実際のA/D
変換値に代えて制動圧推定手段の予測値を採用するフィ
ルタリング処理を行うので、高周波ノイズを確実に除去
することができ、しかも予測値を補正値と予め設定した
圧力変化割合とにより求めるので、実際の制動圧変化に
対応した予測値を得ることができ、高応答性を維持する
ことができ、高精度の制動力制御を行うことができる効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施例を示す系統図である。
【図3】制動圧制御装置の一例を示すブロック図であ
る。
【図4】車両の運動モデルの説明図である。
【図5】制動圧制御装置の目標シリンダ圧算出処理の一
例を示すフローチャートである。
【図6】制動圧制御装置の補正処理の一例を示すフロー
チャートである。
【図7】制動圧制御装置の制動圧制御処理を示すフロー
チャートである。
【図8】コーナリングパワーの説明に供する摩擦円の概
念を示す説明図である。
【図9】増圧時におけるマスタシリンダ圧が40,6
0,80kg/cm2であるときのホイールシリンダ圧と圧力
変化量ΔP1 との関係を示す特性線図である。
【図10】減圧時におけるマスタシリンダ圧が40,6
0,80kg/cm2であるときのホイールシリンダ圧と圧力
変化量ΔP2 との関係を示す特性線図である。
【図11】保持モードから増圧又は減圧モードへの切換
え時におけるホイールシリンダ圧のA/D変換値の変化
を示す特性線図である。
【符号の説明】 1FL〜1RR ホイールシリンダ 2 アクチュエータ(制動力制御手段) 3FL〜3R 電磁方向切換弁 4 ブレーキペダル 5 マスターシリンダ 11 操舵角センサ(操舵状態検出手段) 12 車速センサ(速度検出手段) 13 ブレーキスイッチ 14FL〜14MC 圧力センサ(制動圧検出手段) 16 制動圧制御装置 17a〜17e A/D変換器 19 マイクロコンピュータ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前輪及び後輪の少なくとも一方に配設さ
    れた入力される流体圧に応じて制動力を制御可能な制動
    力制御手段と、前記制動力制御手段の流体圧を検出する
    制動圧検出手段と、該制動圧検出手段の制動圧検出値の
    A/D変換値を第1の所定周期毎に読込み、これに所定
    の信号処理を行って補正値を出力する信号処理手段と、
    各制動力制御手段の目標制動圧を算出する目標制動圧算
    出手段と、該目標制動圧算出手段の目標制動圧と前記補
    正値とが一致するように、前記第1の所定周期より長い
    第2の所定周期毎に前記増圧、保持及び減圧モードの何
    れかを決定し、前記制動力制御手段を制御する制動圧制
    御手段と、該制動圧制御手段で、保持モードから他のモ
    ードへの切換え時点で、そのときの補正値と予め設定し
    た所定の圧力変化割合とにより制動圧の予測値を一意に
    求める制動圧推定手段とを備え、前記信号処理手段は、
    前記制動圧制御手段で増圧又は減圧モードが決定された
    ときに前記制動圧推定手段の予測値を補正値として選択
    することを特徴とする制動力制御装置。
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