JP2605716Y2 - コンバインの掻込み作用力調節構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンバインの掻込み作
用力調節構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンバインの形態として、穂先搬
送タインと縦搬チェンとの送り終端部の上下略中間高さ
位置に補助搬送チェンを配設し、同補助搬送チェンによ
り起立状態で搬送されてくる穀稈を横臥状態の適正姿勢
にしてフィードチェンに受渡すようにしたものがある。

【０００３】そして、かかる補助搬送チェンは、同チェ
ンの穀稈掻込み作用により穀稈の束を搬送するようにし
ている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に補助搬送チェンにより穀稈の束を掻込んで搬送する補
助搬送チェンでは、同補助搬送チェンに近い穀稈層と遠
い穀稈層とでは、同チェンの穀稈掻込み作用が異なり、
刈取り条数が増えた場合には、搬送される穀稈量も増え
るために、かかる穀稈掻込み作用に大きな差異が生じ、
補助搬送チェンに近い穀稈層と遠い穀稈層との間でずれ
（いわゆる、稈ずれ）が生じ、穀稈の束を適正姿勢のま
まフィードチェンに受渡すことができず、そのために、
フィードチェンにより搬送されながらの脱穀作業が確実
に行なえないという不具合があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで、本考案では、穂
先搬送タインと縦搬送チェンとの送り終端部の上下略中
間高さ位置に、穀稈をフィードチェンに適正姿勢で受渡
す補助搬送チェンを配設したコンバインにおいて、補助
搬送チェンの近傍に、同補助搬送チェンにより搬送され
る穀稈の束に作用して、同穀稈の束が補助搬送チェンか
ら受ける掻込み作用力を調節する掻込み作用力調節手段
を配設すると共に、 同作用力調節手段には、 穀稈ずれ防
止体を補助搬送チェンの穀稈搬送方向と略直交する方向
に進退位置調節自在に取付け、 穀稈ずれ防止体の進出方
向の位置調節により補助搬送チェンと穀稈との間隔を大
きくして、穀稈の束に対する補助搬送チェンによる穀稈
掻込み作用を小さくする一方、 穀稈ずれ防止体の後退方
向の位置調節により補助搬送チェンと穀稈との間隔を小
さくして、穀稈の束に対する補助搬送チェンによる穀稈
掻込み作用を大きくすることができるようにしたことを
特徴とするコンバインの掻込み作用力調節構造を提供せ
んとするものである。

【０００６】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳述
する。

【０００７】図１及び図２に示すＡは、本考案に係る掻
込み作用力調節手段としての穀稈ずれ防止体50を具備す
るコンバインであり、１は走行クローラ２を装設するト
ラックフレーム、３は前記トラックフレーム１上に架設
する機台、４はフィードチェン５を左側に張架し扱胴６
及び処理胴７を内蔵している脱穀部、８は刈刃及び穀稈
搬送機構などを備える刈取部、９は排藁チェン10,11 終
端を臨ませる排藁処理部、12は運転席13及び運転操作部
14を備える運転台、15は前記脱穀部４からの穀粒を揚穀
筒16を介して溜める穀粒タンク、17は前記穀粒タンク15
内の穀粒を機外に取出す上部排出オーガ、18はコンバイ
ンの各部を駆動するエンジンであり、連続的に刈取・脱
穀作業を行うように構成している。

【０００８】刈取部８は、図３及び図４に示すように、
分草板19により取入れられる未刈り穀稈を起立させる引
起しタイン20を有する３条用引起しケース21と、この引
起された穀稈の稈元側及び穂先側を掻込むスターホイル
22及び掻込ベルト23と、この掻込時稈元側を切断する刈
刃24と、切断後の右側１条分の穀稈の桿元側を左斜め後
方に搬送する右稈元搬送チェン25と、右側１条分の穀稈
の穂先側を左斜め後方のフィードチェン５の送り始端方
向に向け搬送する右穂先搬送タイン26と、左側２条分の
穀稈の稈元側及び穂先側を右斜め後方の右稈元搬送チェ
ン25の送り終端位置近傍に合流させる左稈元搬送チェン
27及び右穂先搬送タイン28と、前記右稈元搬送チェン25
の送り終端に合流する３条分の穀稈の稈元側を前記フィ
ードチェン５の送り始端に搬送受継ぎする縦搬送チェン
29と、前記右穂先搬送タイン26と縦搬送チェン29の送り
終端部の上下略中間高さ位置に設けて、フィードチェン
５に適正姿勢で穀稈を受継ぎさせる補助搬送チェン30と
を備え、刈取られた３条分の穀稈をこれらＹ字形搬送経
路31を介してフィードチェン５に受継ぎさせて脱穀処理
するように構成している。

【０００９】縦搬送チェン29は、刈取主フレーム32に伝
動ケース33を介して送り始端側を支持させ、送り終端側
を上下動調節自在に支持させて、穀稈の扱深さ調節を行
うようにしたものであり、図５及び図６にも示すよう
に、前記縦搬送チェン29は、穀稈を挾持搬送する挾扼ガ
イド34を備え、縦搬送チェン29のチェン支持フレーム35
にＵ字形アーム36及びガイドホルダー37を介して前記挾
扼ガイド34を連結支持させている。

【００１０】ガイドホルダー37は、断面門型に形成し
て、同ホルダー37の内側面中央を前記アーム36に連結さ
せると共に、同ホルダー37の両端側に前記ガイド34のガ
イドロッド38を圧縮バネ39を介して後退自在に支持させ
ている。

【００１１】また、前記チェン支持フレーム35は、送り
始端側に縦搬送チェン29の駆動スプロケット40を有する
前記伝動ケース33をボルト41を介して固設すると共に、
送り終端側にテンションローラ42を支持するローラ支持
フレーム43を摺動自在に嵌合支持させている。

【００１２】そして、前記チェン支持フレーム35の送り
終端側の外側にアーム取付ケース44を固設して、同ケー
ス44に前記アーム36の基端側を内挿固定すると共に、前
記ローラ支持フレーム43に調節ネジ軸45を固着するテン
ション支持フレームであるテンションローラ調節ロッド
46を前記ケース44に摺動自在に支持させ、同ロッド46の
バネ座金具47とケース44内側面間に圧縮バネ48を介設し
て、同バネ48のバネ力でもって縦搬送チェン29を緊張す
るように構成している。

【００１３】上記のように構成において、本考案の要旨
は、補助搬送チェン30の上側カバー30a に穀稈ずれ防止
体50を、補助搬送チェン30の穀稈搬送方向と略直交する
方向に進退位置調節自在に取付けたことにあり、以下図
７及び図８を参照しながら説明する。

【００１４】すなわち、穀稈ずれ防止体50は、略矩形板
状に形成して、同穀稈ずれ防止体50に進退駆動モーター
Ｍを進退位置調節機構51を介して連動連設している。

【００１５】そして、進退位置調節機構51は、補助搬送
チェン30の上側カバー30a に支持ブラケット58を取付
け、同支持ブラケット58に螺杆52を進退摺動自在に横架
し、同螺杆52の前端に穀稈ずれ防止体50を取付ける一
方、同螺杆52の中途部に、ピニオンギア53を螺着し、同
ピニオンギア53に進退駆動モーターＭの出力軸54の先端
に取付けた出力ギア55を噛合させており、ピニオンギア
53と進退駆動モーターＭと出力軸54と出力ギア55とをケ
ース56により囲繞して構成している。30b は下側カバ
ー、30c はスプロケット、30d はスプロケット支軸、57
はガイドピンである。

【００１６】また、前記ガイドロッド38には、図５及び
図６に示すように搬送穀稈量検出センサ56を設け、同セ
ンサ56により補助搬送チェン30に搬送される穀稈の量を
検出可能としている。

【００１７】しかも、搬送穀稈量検出センサ56は、図７
に示すように、運転台12に配設した制御部57の入力側に
接続し、同制御部57の出力側に前記進退駆動モーターＭ
を接続している。

【００１８】このようにして、搬送穀稈量検出センサ56
が搬送穀稈量を検出すると、同検出結果を制御部57に出
力し、同制御部57が同センサ56からの検出結果にもとづ
いて進退駆動モーターＭに信号を出力して、同モーター
Ｍを駆動させることにより、穀稈ずれ防止体50を進退位
置調節機構51を介して進退位置調節することができるよ
うにしている。

【００１９】そして、かかる穀稈ずれ防止体50の進退位
置調節は、搬送穀稈量検出センサ56により検出した搬送
穀稈量が多い場合には、穀稈ずれ防止体50を進退駆動モ
ーターＭにより進出方向に位置調節して、同穀稈ずれ防
止体50により補助搬送チェン30と穀稈との間隔を大きく
して、穀稈の束に対する補助搬送チェン30による穀稈掻
込み作用を小さくして、いわゆる稈ずれの発生を防止し
て、穀稈の束を適正姿勢にてフィードチェン５に受渡す
ことができるようにしている。

【００２０】また、搬送穀稈量検出センサ56により検出
した搬送穀稈量が少ない場合には、穀稈ずれ防止体50を
進退駆動モーターＭにより後退方向に位置調節して、同
穀稈ずれ防止体50により補助搬送チェン30と穀稈との間
隔を小さくして、補助搬送チェン30による穀稈掻込み作
用を大きくして、穀稈掻込み不良、いわゆる稈こぼれの
発生を防止して、穀稈の束を円滑にかつ適正姿勢にてフ
ィードチェン５に受渡すことができるようにしている。

【００２１】しかも、本考案に係る穀稈ずれ防止体50
は、穀稈が補助搬送チェン30に巻付くのを防止する機能
も果している。

【００２２】

【考案の効果】本考案によれば、次のような効果が得ら
れる。

【００２３】すなわち、本考案では、搬送穀稈量が多い
場合には、穀稈ずれ防止体を進出方向に位置調節して、
同穀稈ずれ防止体を穀稈に対して補助搬送チェンから離
隔させる方向に作用させ、同穀稈と補助搬送チェンとの
間隔を大きくすることにより、穀稈の束に対する補助搬
送チェンによる穀稈掻込み作用を小さくして、いわゆる
稈ずれの発生を防止することができる。 その結果、穀稈
の束を適正姿勢にてフィードチェンに受渡すことができ
る。

【００２４】また、搬送穀稈量が少ない場合には、穀稈
ずれ防止体を後退方向に位置調節して、同穀稈ずれ防止
体の穀稈に対する作用を小さくし、同穀稈と補助搬送チ
ェンとの間隔を小さくすることにより、穀稈の束に対す
る補助搬送チェンによる穀稈掻込み作用を大きくして、
穀稈掻込み不良、いわゆる桿こぼれの発生を防止するこ
とができる。 その結果、 穀稈の束を円滑に、かつ、適正
姿勢にてフィードチェンに受渡すことができる。

【００２５】従って、搬送穀稈量の多少にかかわらず、
後続作業である穀稈の脱穀作業能率も良好に確保するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る穀稈ずれ防止体構造を具備するコ
ンバインの側面図。

【図２】同コンバインの平面図。

【図３】刈取部の駆動説明図。

【図４】刈取部の拡大側面図。

【図５】縦搬送チェンの平面説明図。

【図６】同縦搬送チェンの断面背面図。

【図７】穀稈ずれ防止体構造の側面断面説明図。

【図８】同穀稈ずれ防止体構造の平面説明図。

【符号の説明】

Ａ コンバイン ５ フィードチェン 25 右稈元搬送チェン 26 右穂先搬送チェン 27 左稈元搬送チェン 28 右穂先搬送タイン 29 縦搬送チェン 30 補助搬送チェン 50 穀稈ずれ防止体

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 穂先搬送タインと縦搬送チェンとの送り
   終端部の上下略中間高さ位置に、穀稈をフィードチェン
   に適正姿勢で受渡す補助搬送チェンを配設したコンバイ
   ンにおいて、 補助搬送チェンの近傍に、同補助搬送チェンにより搬送
   される穀稈の束に作用して、同穀稈の束が補助搬送チェ
   ンから受ける掻込み作用力を調節する掻込み作用力調節
   手段を配設すると共に 、 同作用力調節手段には 、 穀稈ずれ防止体を補助搬送チェ
   ンの穀稈搬送方向と略直交する方向に進退位置調節自在
   に取付け 、 穀稈ずれ防止体の進出方向の位置調節により補助搬送チ
   ェンと穀稈との間隔を大きくして、穀稈の束に対する補
   助搬送チェンによる穀稈掻込み作用を小さくする一方 、 穀稈ずれ防止体の後退方向の位置調節により補助搬送チ
   ェンと穀稈との間隔を小さくして、穀稈の束に対する補
   助搬送チェンによる穀稈掻込み作用を大きくすることが
   できるように したことを特徴とするコンバインの掻込み
   作用力調節構造。