JP2605591Y2 - 赤外線人体検知装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、人体が発する赤外線エ
ネルギ−を検知する赤外線人体検知装置に関するもので
あり、その検知エリアを大幅に変更可能とした光学手段
の配置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】赤外線人体検知装置は、普通、ひとつの
赤外線検出素子と、ひとつ以上の光軸を持った光学手段
とで形成される検知エリアを備えている。この検知エリ
アは、最初から固定されているのが普通であったが、中
には簡単な操作で検知エリアの形を変更できるものも実
用化されていた。

【０００３】例えば、ドーム型をしたカバーにフレネル
レンズを形成したタイプの装置において、内蔵された赤
外線検出素子は固定状態とし、その視野角に含まれるカ
バー部分に、異なる光軸の組み合せからなる第１のフレ
ネルレンズを形成し、その視野角に含まれない他のドー
ム型のカバー部分に、別の光軸の組み合せからなる第２
のフレネルレンズを形成し、ドーム型のカバーを回転し
て、前記２つのフレネルレンズのうちどちらか一方が赤
外線検出素子の視野角内に来るようにして固定するとい
ったものが実用化されていた。

【０００４】また、このほかに扇形に広がる複数の光軸
を備えたマルチパラボラミラーの一部分の直前に、赤外
線検出素子の視野角外から別の副反射鏡の出入を自在と
した構成により、扇形の広がり角（検知エリアの角度）
を変更するものもあった。（実公平２−２８４６７号）

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】従来の検知エリア切替
方式では、赤外線検出素子と光学系の中心との距離（焦
点距離）は略一定であったため、中距離をカバーする扇
形に広がる立体形の検知エリアであっても、長距離をカ
バーする面形の検知エリアであってもひとつの光学系と
赤外線検出素子とで形成される光軸の広がりは同じであ
った。

【０００６】図２（ａ）は扇形に広がる検知エリアの平
面図であり、図２（ｂ）はその側面図、図３（ａ）は長
距離をカバーする面形の検知エリアの平面図であり、図
３（ｂ）はその側面図である。図２、図３はともに同じ
焦点距離を持った光学系により形成されたものである
が、それぞれの検知ゾーンの最長部における水平方向の
幅Ｄ１、Ｄ２は異なっている。このことは、移動する人
間を検出するこの種の検知装置において、赤外線検出素
子に達する赤外線エネルギ−の変化量が、同じ速度で移
動する人間であっても異なってくることを意味してい
る。

【０００７】普通は、このＤの値を人間の幅に近づける
よう光学系の焦点距離を決定するのが理想であるが、ひ
とつの焦点距離に限定された条件の中で、このような２
種類のタイプの異なる検知エリアを実現し、その両方の
感度を適正に維持するのは大変困難なことであった。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案においては、赤外
線検出素子の視野角内に焦点距離の異なる光学手段を２
つ配置し、必要に応じ焦点距離の短い光学手段を取り除
き、２種類の焦点距離を持つ光学手段の使い分けを可能
としたものである。

【０００９】

【作用】本考案によれば、赤外線検出素子の位置を動か
すことなく、ひとつの光学手段を移動するだけで異なる
焦点距離を持つ光学手段により２種類の検知エリアが実
現可能となる。

【００１０】

【実施例】図１は、本考案の赤外線人体検知装置の断面
を示した図であり、図１（ａ）はマルチパラボラミラー
３を使用した状態、図１（ｂ）はフレネルレンズ４を使
用した状態を示したものである。シャーシ１にはフレネ
ルレンズ４を備えたドーム形のカバー６が固定され赤外
線人体検知装置全体をおおう容器が形成されている。内
部の赤外線検出素子２と、扇形に広がる複数の光軸を備
えたマルチパラボラミラー３とが支持機構５を介してシ
ャーシ１に固定されている。

【００１１】図１（ａ）に示す状態では、図面左下方よ
り入射した赤外線エネルギ−が、カバー６を通過し、マ
ルチパラボラミラー３により赤外線検出素子２に集光し
ている。この時の検知エリアは、図２に示したように扇
形に広がる検知エリアとなっている。図１（ｂ）は、マ
ルチパラボラミラー３を赤外線検出素子２の視野角の外
に移動し固定した状態を示している。この状態では、図
面右方向から入射した赤外線エネルギ−が、カバー６に
形成されたフレネルレンズ４により赤外線検出素子２に
集光している。この時の検知エリアは上下に２本の検知
ゾーンで形成された長距離の検知エリアである。

【００１２】このフレネルレンズ４の焦点距離は、マル
チパラボラミラー３の焦点距離の約２倍となっているの
で、フレネルレンズ４の１本の検知ゾーンの広がり角は
マルチパラボラミラーのそれの約１／２となり、赤外線
人体検知装置から遠く離れたところを移動する人間を検
知するのにより適している。マルチパラボラミラー３を
移設する手段は、図１（ｂ）のように装置内に折りたた
むむ形で収納してもよいが、マルチパラボラミラー３を
支持機構５から取り外し装置内の他の場所に固定して
も、また、装置の外に取り出すようにしてもよい。

【００１３】

【考案の効果】以上の通り、本考案によれば焦点距離の
異なる２つの光学手段のうち一方を移動するだけで、そ
れぞれ焦点距離の特長を生かした光学系により、適切な
検知エリアを形成できるので、検知エリア切替機構を備
えたこの種の装置の光学系の効率が大幅に向上した。ま
た、ドーム型のカバーにフレネルレンズを形成し、内部
に移設可能なマルチパラボラミラーを内蔵した実施例に
おいては、赤外線エネルギ−を集める方向（検知エリア
の方向）が検知エリア切替により１８０゜異なることに
なるが、ドーム形の装置形状であることから１８０゜回
転して取り付けても、設置後の装置の外観は軸対称とな
り、意匠上の問題点は生じない。構成としては、従来の
この種の検知装置のカバーにフレネルレンズを形成する
だけで済むので、従来のマルチパラボラミラーを用いた
検知装置と同等の部材で検知エリア切替が実現でき、コ
スト上の効果も多大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の赤外線人体検知装置の断面を示す図
である。

【図２】 扇形に広がる検知エリアを示した図である。

【図３】 長距離を面状にカバーする検知エリアを示し
た図である。

【符号の説明】

１．シャーシ ２．赤外線検出素子 ３．マルチパラボラミラー ４．フレネルレンズ ５．支持機構 ６．カバー

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 人体が放射する赤外線を検出する赤外線
   検出素子と、複数の異なる方向からの赤外線を前記赤外
   線検出素子に集光する第１の光学手段と、前記赤外線検
   出素子の視野角内に配置され、前記第１の光学手段より
   も焦点距離の長い第２の光学手段と、前記第１の光学手
   段を赤外線検出素子の視野角の外に移動する光学系移設
   手段とを備えたことを特徴とする赤外線人体検出装置。
2. 【請求項２】 前記第１の光学手段は、複数の光軸を備
   えたマルチパラボラミラーであり、前記第２の光学手段
   はフレネルレンズである請求項１記載の赤外線人体検知
   装置。
3. 【請求項３】 前記第１の光学手段は、扇形に広がる複
   数の光軸を備えたマルチパラボラミラーであり、前記第
   ２の光学手段は、ドーム形をした赤外線透過性樹脂によ
   り形成されたカバーに設けられたフレネルレンズである
   請求項１記載の赤外線人体検知装置。