JPH0519830Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、物体が発する遠赤外線等の輻射エネ
ルギーを検出し、人間等の移動物体を検知するい
わゆる受動型移動物体検知器の検知範囲調整機構
に関する。

〔従来の技術〕

従来の受動型移動物体検知器は、複数のレンズ
または放物面反射鏡を使用し、それぞれのレンズ
または放物面反射鏡の光軸の交わる１点にひとつ
の焦電型赤外線検出素子等の遠赤外線エネルギー
検出素子を配置した構造となつている。複数の光
学系の光軸の組合せにより、その移動物体検知器
全体のエネルギーを集束可能とする空間の大きさ
（検出範囲）が決つてくる。この検知範囲を変更
するということはそれぞれの光軸のなす角度を変
更するということであり、そのために複数の光学
系の位置をそれぞれ変更したり検出素子の位置を
ずらしたりしているのが従来の方法であつた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の方法では、遠赤外線エネルギー集束方向
を変更するのに、その方向に対応した光学系（レ
ンズまたは放物面鏡）を動かすか、赤外線検出素
子を動かすとどちらかであるため、その移動を行
なわせる機構が複雑になるといつた問題点があつ
た。また光学系を動かす場合は、その移動に必要
な空間を最初から確保したケースに光学系全体を
収納する必要があり、検知範囲調整機構を設ける
ことにより検知器全体が大きくなるといつた問題
があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

レンズと平面鏡とを用い、平面鏡により形成し
た赤外線検出素子の虚像をレンズの焦点位置に持
つてくるようにする。この平面鏡を適当な軸を中
心に回転すると、赤外線検出素子を焦点距離を維
持しながら動かしたのと同じ効果が得られる。平
面鏡を２枚以上としそれぞれの平面鏡を適宜回転
することにより、複数の赤外線検出素子が個々に
焦点距離を保ちながら移動する効果が得られ、こ
の複数の虚像とひとつのレンズによつて得られる
赤外線エネルギー集束方向を調整することが可能
となる。

〔作用〕

平面鏡によつて形成される赤外線検出素子の虚
像が平面鏡の回転により、実際に赤外線検出素子
がレンズの焦点位置にあるような動きをするよう
になるため、そのレンズと虚像によつてできるエ
ネルギー集束方向（検知軸）が変更されることに
なる。この虚像は平面鏡を増やし、レンズに対す
る角度を適宜設定するだけでいくつでも作ること
ができ複数の検知軸がひとつの検出素子とひとつ
のレンズにより得られ、検知器の検知範囲が設定
される。この検知範囲の調整は、平面鏡の回転に
よる虚像の位置変更で可能になる。

〔実施例〕

第１図は本考案の実施例である。ａはｂの側面
を示しておりレンズＬ３だけを図示したものであ
る。レンズＬ１，Ｌ２，Ｌ３……LNは焦点部が
一致するように並列配置されており、レンズと焦
点を結ぶ光路内に位置するレンズＬ１，Ｌ２……
LNに対応できるような２枚の反射鏡によつて、
検出素子Ｓの２つの虚像はＳ１，Ｓ２の位置とな
る。

適当な回転軸を設定して、図の破線で示した位
置に平面鏡MBを移動すると検出素子Ｓの虚像Ｓ
２がＳ２′の位置に移動する。検出素子Ｓの虚像
がＳ２にある場合の赤外線エネルギー集束方向は
図のＸ２の方向からのエネルギーであり、Ｓ２′
の位置に虚像がある場合の方向はＸ２′の方向で
ある。平面鏡MBをこのように赤外線検出素子の
虚像がレンズLNの焦点距離を維持する平面上を
移動するような角度と回転中心を持つて移動させ
るとエネルギー集束方向をＸ２からＸ２′へ変更
できる。これにより検知範囲が調整されることに
なる。

〔考案の効果〕

本考案の検知範囲調整機構によれば、レンズと
平面鏡によりできる赤外線検出素子の虚像をレン
ズの焦点距離を維持しながら移動することにより
検知方向を変えることができ、この虚像の移動が
平面鏡の回転だけで可能となり機構が簡素化され
る。また平面鏡を増やすだけでひとつの光学系に
対する虚像を増やすことができ、検知範囲も自由
に変更できる。レンズを複数個使用する場合で
も、それぞれのレンズに対して同じ効果が得られ
る。また平面鏡によつてエネルギーの集束移動を
曲げているため検知器全体を小型化できるといつ
た効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 複数枚のレンズを焦点部が一致するように並列
   配置し、複数の光軸が同一平面に含まれる構成を
   もつた移動物体検知器において、レンズと焦点を
   結ぶ光路内に位置し、複数のレンズに対応できる
   ような２枚以上の反射鏡によつて、焦点を通り、
   焦点と光軸を含む平面に垂直な直線上に２つ以上
   の遠赤外線検出素子の虚像を形成し、少なくとも
   一方の平面鏡を回転させることにより、この虚像
   が遠赤外線エネルギーを集束するレンズの焦点距
   離を保ちながら移動するような機構を備えたこと
   を特徴とする移動物体検知器の検知範囲調整機
   構。