JP2605553Y2 - 注出キャップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は注出キャップに関し、詳
しくは反転ヒンジ機構により蓋板を開閉自在に蝶着させ
た注出キャップの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

【考案が解決しようとする課題】注出キャップとして、
キャップ本体後部上端と、蓋体後部下端とを所定間隔を
あけて設けた一対のヒンジで連結し、また、各ヒンジ間
に形成され、且つ、上端を蓋体頂壁後部中央にヒンジを
介して連結するとともに、下端をキャップ本体周壁後部
中央にヒンジを介して連結した逆Ｌ字板状をなす弾性板
を設けて、蓋体をキャップ本体に弾性反転可能に連結し
た所謂三点ヒンジと呼ばれる反転ヒンジ機構を有するも
のが知られている。また、これらキャップは、キャップ
本体頂壁に穿設した注出孔に蓋体頂壁裏面より垂設した
栓突起を離脱可能に嵌合させる如く構成するとともに、
キャップ本体前面に突設した指掛け突起を押し上げるこ
とにより開蓋する如く構成している。

【０００３】上記キャップは、所定位置まで開蓋或いは
閉蓋させると自動的に反転ヒンジ機構の作用で開蓋或い
は閉蓋し、閉蓋状態或いは開蓋状態を安定的に維持出来
て取り扱いが便利であるとともに、合成樹脂の一体成形
により形成できるため、安価に製造できる優れたもので
あるが、上記栓突起は良好な液密性を保持するために一
般に密に注出孔に嵌合する如く構成しており、開蓋当初
の反転境界位置までの弾性板の閉方向への付勢力に加え
て注出孔から栓突起が外れる際の力を必要とするため、
開蓋当初比較的大きな力を必要とする。

【０００４】一般にこの種キャップの指掛け突起は、キ
ャップの見栄えを良好にするという理由、或いは液充填
時に通常のキャッパーを使用出来既成の充填ラインに乗
せられるようにするという理由等により微小突出幅に構
成されているため、容易にあけ難い欠点があった。ま
た、この種キャップは、開蓋の際、比較的開蓋角度の広
い位置まで蓋体を開けなければ反転ヒンジ機構が開蓋方
向へ作用せず、従って、容器体を持った片手のみで蓋体
を開くことが比較的難しい。

【０００５】本考案は上記した点に鑑みなされたもの
で、この種キャップにおいて、容器を持った片手のみで
容易に蓋体を開けることが出来る優れた注出キャップを
提案するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案キャップは上記課
題を解決するため、頂壁７に注出筒部８を立設してなる
キャップ本体２と、上記キャップ本体２後端部に後端部
を反転ヒンジ機構４を介して一体且つ開閉自在に蝶着さ
せ、且つ、頂壁13裏面より垂設した栓突起14を上記注出
筒部８に離脱可能に密嵌させた蓋板３とからなる注出キ
ャップに於いて、開蓋用の作動部材５及び該作動部材を
被覆する被覆部材６を設けてなり、作動部材５は、上記
キャップ本体頂壁７上面を摺動するとともに、後端部を
反転ヒンジ機構４裏面近傍に位置させた摺動板18と、該
摺動板18前部上面に突設するとともに、後方へ下る傾斜
面19a を有する押圧突起19と、上記摺動板18両側後部よ
り各々延設するとともに、連結部を中心に内方への弾性
揺動が可能に連結した一対の弾性水平板20，20と、各水
平板20外縁部より垂設するとともに、キャップ本体２両
側に設けた凹部10，10内にそれぞれ押し込み可能に垂設
させた押圧板21，21とで構成し、上記各押圧板21を押し
込むことにより、各弾性水平板20が摺動板18を後方へ移
動させ、上記押圧突起19で蓋体３前部を押し上げるとと
もに、摺動板18後縁部で反転ヒンジ機構４裏面を押圧し
て開蓋させる如く構成し、被覆部材６は、透孔25より注
出筒部８を突出させて作動部材５を被覆するとともに、
前部中央に押圧突起19の前後動を可能ならしめる切欠き
28を、後部中央に摺動板18後端を突出させる切欠き29を
設けて固定した。

【０００７】

【作用】開蓋に際して図３（a) の状態から各押圧板21
を押し込むと、各押圧板21が凹部10側面の傾斜面10a に
沿って内方へ押し込まれ、それに伴って各水平板20の幅
狭連結部分が摺動板18との角度を狭めつつ弾性変形して
摺動板18を後方へ押し出す。その際、押圧突起19の傾斜
面19a が蓋体３の凹陥部24の傾斜面24a を摺動しつつ後
方へ移動して蓋体３前部を押し上げる。この押圧突起19
の楔的作用により、比較的力を要する開蓋当初の栓突起
14の注出筒部８からの離脱を容易に行える。次いで、摺
動板18後端部が反転ヒンジ機構４裏面を押圧して反転ヒ
ンジ機構４の開蓋作用位置（即ち、逆Ｌ字状弾性板17が
広がる方向へ弾性変形した後、元の状態に戻る方向に力
が働き出す開蓋角度）まで押し上げるため、容器を持っ
た片手のみでの容易な開蓋が可能である。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面を参照して説明
する。

【０００９】図１乃至図３は本考案の一実施例を示すも
ので、図中１は注出キャップを示す。該キャップ１は、
キャップ本体２と、蓋体３とが反転ヒンジ機構４を介し
て一体に形成され、また、開蓋用の作動部材５及び該部
材５を作動可能に固定する被覆部材６を備えている。

【００１０】キャップ本体２は、下端面を開放した矩形
筒状をなし、頂壁７の前方中央部に下端を開口した短筒
状の注出筒部８を起立させている。また、頂壁７裏面に
は上記注出筒部８開口と連通する円筒状の螺筒部（図示
せず）を垂設し、該螺筒部を装着する容器体の口頚部外
周に螺着させる如く構成している。また、両側壁９上部
中央を内方へ凹ませた凹部10，10を形成するとともに、
頂壁７上面中央部前端より後端部に至る帯状の浅凹溝11
を設け、該凹溝11後部両側から上記各凹部10上端部に連
通する連通溝12，12を設けている。上記各凹部10，10の
前部側面は各々傾斜面10a ，10a に構成し、また、上記
凹溝11の後端部は上方へ弯曲上昇する弯曲面11a に構成
している。

【００１１】蓋体３は、下端面を開放した矩形筒状をな
し、キャップ本体２上面を開閉可能に閉塞するととも
に、その頂壁13裏面所定位置より上記注出筒部８に離脱
可能に密嵌する栓突起14を垂設している。

【００１２】また、反転ヒンジ機構４は、キャップ本体
２後部上端と、蓋体３後部下端とを所定間隔をあけて設
けた一対のヒンジ15，15で連結し、また、各ヒンジ15，
15間に形成され、且つ、上端を蓋体頂壁13後部中央にヒ
ンジ16を介して連結するとともに、下端を、キャップ本
体後壁後部中央にヒンジ（図示せず）を介して連結した
逆Ｌ字板状をなす弾性板17を設けて構成した公知機構の
もので、一体に形成されている。

【００１３】作動部材５は、上記凹溝11内に前後動可能
に収納させた平面視縦長矩形状をなし、後端部が上記弯
曲面11a に沿って上方へ弯曲し、後端部を反転ヒンジ機
構４裏面近傍に位置させた摺動板18と、該板18前端部上
面に突設するとともに、後方へ下る傾斜面19a を有する
押圧突起19と、上記摺動板18両側後部に各々一体の細幅
部を連結して連通溝12に斜め前方へ広がりつつ他端を凹
部10内外側端に延設して、連結部を中心に内方への弾性
揺動が可能に連結した一対の水平板20，20と、各水平板
20外側縁より凹部10内に垂設して押し込み可能に設けた
一対の押圧板21，21とから構成している。

【００１４】上記摺動板18前部所定位置には注出筒部８
を突出させるための長孔22を穿設し、この長孔22の前後
幅の範囲内に摺動板18が前後動する如く構成している。
また、上記押圧突起19は蓋体周壁23の前部中央下端部に
穿設した凹陥部24内に嵌合させている。上記凹陥部24は
その上面が押圧突起19の傾斜面19a と当接する傾斜面24
a に形成しており、従って、摺動板18が後方へ移動した
際に、押圧突起19の傾斜面19a が凹陥部24の傾斜面24a
と摺動しつつ蓋体３前部を上方へ押し上げる如く構成し
ている。

【００１５】また、摺動板18後端縁が反転ヒンジ機構４
の裏面に位置しているため、摺動板18が後方へ移動した
際に、摺動板18後端縁が反転ヒンジ機構４裏面を押圧し
て開蓋する如く構成している。

【００１６】被覆部材６は、キャップ本体２上面の外周
縁部を所定幅残して被覆するとともに、前部所定位置に
穿設した透孔25より注出筒部８を突出させて装着させた
ものであり、その下面四隅に垂設した係合突起26をキャ
ップ本体２上面四隅に穿設した係合穴27に係合させて構
成している。また、前部中央には上記押圧突起19の前後
動を可能ならしめるための切欠き28を、後部中央には摺
動板18後端を突出させるための切欠き29を設けている。

【００１７】尚、上記各部材は全て合成樹脂により形成
する。

【００１８】

【考案の効果】以上説明した如く本考案キャップは、既
述構成としたことにより、作動部材の押圧板を押圧する
ことにより押圧突起で当初蓋体前部を押し上げ、比較的
力を要する栓突起の注出筒部からの離脱を簡単に行え、
次いで摺動板後端縁で反転ヒンジ機構の裏面を押圧して
開蓋させることが出来るので、容器を持った片手のみで
容易な開蓋が可能となる。

【００１９】また、各押圧板は各凹部内に収納されてい
るため、キャップを装着した容器を誤って倒しても、押
圧板が押し込まれることはなく、蓋が開いて内容液の漏
出を生じる虞はない。更に、被覆部材を設けているた
め、注出筒部からの液ダレがあった場合でも被覆部材上
に止まり、摺動板の前後動を阻害して作動不良を引き起
こす等の不都合を極力防止する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例を示す斜視図である。

【図２】 同実施例の分解斜視図である。

【図３】 同実施例の作動を説明する説明図である。

【符号の説明】

２…キャップ本体，３…蓋体，４…反転ヒンジ機構，５
…作動部材，７…本体頂壁，８…注出筒部，10…凹部，
13…蓋体頂壁，14…栓突起，18…摺動板，19…押圧突
起，19a …傾斜面，20…水平板，21…押圧板

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B65D 35/44 - 35/54 B65D 39/00 - 55/16

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 頂壁７に注出筒部８を立設してなるキャ
   ップ本体２と、上記キャップ本体２後端部に後端部を反
   転ヒンジ機構４を介して一体且つ開閉自在に蝶着させ、
   且つ、頂壁13裏面より垂設した栓突起14を上記注出筒部
   ８に離脱可能に密嵌させた蓋板３とからなる注出キャッ
   プに於いて、開蓋用の作動部材５及び該作動部材を被覆
   する被覆部材６を設けてなり、作動部材５は、上記キャ
   ップ本体頂壁７上面を摺動するとともに、後端部を反転
   ヒンジ機構４裏面近傍に位置させた摺動板18と、該摺動
   板18前部上面に突設するとともに、後方へ下る傾斜面19
   aを有する押圧突起19と、上記摺動板18両側後部より各
   々延設するとともに、連結部を中心に内方への弾性揺動
   が可能に連結した一対の弾性水平板20，20と、各水平板
   20外縁部より垂設するとともに、キャップ本体２両側に
   設けた凹部10，10内にそれぞれ押し込み可能に垂設させ
   た押圧板21，21とで構成し、上記各押圧板21を押し込む
   ことにより、各弾性水平板20が摺動板18を後方へ移動さ
   せ、上記押圧突起19で蓋体３前部を押し上げるととも
   に、摺動板18後縁部で反転ヒンジ機構４裏面を押圧して
   開蓋させる如く構成し、被覆部材６は、透孔25より注出
   筒部８を突出させて作動部材５を被覆するとともに、前
   部中央に押圧突起19の前後動を可能ならしめる切欠き28
   を、後部中央に摺動板18後端を突出させる切欠き29を設
   けて固定したことを特徴とする注出キャップ。