JP2603771B2 - コンバインの車速制御装置 - Google Patents

コンバインの車速制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コンバインの車速制御
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】コンバインにおいては、図4に示すよう
に、刈取予定地の一区画の圃場Tを往復刈り方式で刈り
取る場合において、前記区画の一辺A1を刈り取った
後、第1旋回地点R1や第2旋回地点R2で旋回しなが
ら、一辺A1に対向する辺A2に移動する必要がある
が、この際、刈取済の枕地Mで上記旋回を行う時の走行
負荷の増大によるエンスト等の不具合を回避するため
に、従来では、作業者が事前に手動操作にて車速を減速
して対処していた。尚、第1旋回地点R1で減速したの
にもかかわらず第2旋回地点R2で減速を要するのは、
第1旋回地点R1での旋回後、一般には車速を増速させ
るからである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記手動操作
では、操作自体が煩わしいとともに、操作忘れのために
不具合を確実に回避できない虞がある。又、同じ旋回で
あっても前記区画の一辺A1を刈り取った直後の第1旋
回地点R1での旋回時には未だ脱穀装置内に大量の処理
物があるが、次の辺A2に入る直前の第2旋回地点R2
での旋回時には脱穀装置内に処理物は殆どない状態であ
る。この処理物量の差により、エンジン負荷が大きく異
なるものとなるが、これに応じて適切な速度に減速操作
することは煩雑となるものであり、必要以上に車速を遅
くして確かにエンストは回避したが作業能率を低下させ
たり、逆に、減速操作が不十分なためにエンストを発生
させる等の不具合を生じる虞もあった。
【0004】本発明は、上記実情に鑑みてなされたもの
であって、その目的は、刈取予定地の圃場区画をコンバ
インが旋回しながら移動する場合において、そのエンジ
ン負荷の状態に合った適切な減速制御を実行して、極力
作業能率の向上を図りながらもエンスト等の不具合の発
生を確実に回避できるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によるコンバイン
の車速制御装置の第一の特徴構成は、車速を周期的に検
出する車速検出手段と、エンジン負荷を周期的に検出す
るエンジン負荷検出手段と、刈取作業状態にあるか否か
を検出する作業状態検出手段と、走行用の変速装置の操
作用のアクチュエータの作動を制御する制御手段とが設
けられ、前記制御手段が、前記作業状態検出手段の検出
情報に基づいて刈取作業状態から非刈取作業状態への変
化を検出するに伴って、前記車速検出手段によって検出
される車速が設定目標車速より高速の場合には設定目標
車速に減速すべく前記アクチュエータを作動させ、その
減速制御後において、前記エンジン負荷検出手段によっ
て設定値以上のエンジン負荷が検出された場合には、前
記アクチュエータを所定量減速側に作動させるように構
成されている点にある。
【0006】また第二の特徴構成は、前記制御手段は、
前記エンジン負荷検出手段によって設定値以上のエンジ
ン負荷が検出された場合における前記減速制御を、前記
車速検出手段によって設定車速以下の車速が検出された
場合においてのみ実行し、且つ、前記エンジン負荷検出
手段によって設定値以上のエンジン負荷が検出され、且
つ、前記車速検出手段によって設定車速以上の車速が検
出された場合には、前記車速検出手段の検出情報に基づ
いて設定車速に減速すべく前記アクチュエータを作動さ
せるように構成されている点にある。
【0007】
【作用】第一の特徴構成によれば、作業状態検出手段に
よってコンバインの作業状態が刈取作業状態から非刈取
作業状態への変化したことが検出されたら、車速検出手
段によって現在車速が設定目標車速以下かどうかを検出
する。そして、現在車速が設定目標車速より高速の場合
には設定目標車速になるように減速すべく、制御手段が
操作アクチュエータを作動させて走行用の変速装置を減
速操作することになる。この減速制御は、前記区画の一
辺A1を刈り取った直後の第1旋回地点R1における旋
回前に減速させる刈り終り減速制御に相当し、予め旋回
時の走行負荷の増大に対応させて減速しているのであ
る。上記刈り終り減速制御の後において、前記エンジン
負荷検出手段によってエンジン負荷の状態を検出し、設
定値以上のエンジン負荷が検出された場合には、前記ア
クチュエータを所定量減速側に作動させる。この操作
は、上記第1旋回地点R1や上記第2旋回地点R2での
旋回時において、脱穀負荷や圃場の超湿田等の条件のた
め急激なエンジン負荷の増大が起こっても、オープンル
ープ式制御により迅速に減速操作して、エンスト等の不
具合が発生するのを防止するのである。尚、迅速な減速
操作のためにオープンループ式の制御を採用するのは、
車速やエンジン負荷が周期的(例えば50msごと)に
検出されるため、フィードバック式の制御では、急激な
エンジン負荷の増大を確実に回避できないからである。
換言すれば、急激なエンジン負荷が生じてもそれを回避
させるために、オープンループ式の制御を実行させるの
である。
【0008】第二の特徴構成によれば、前記第一の特徴
構成による、エンジン負荷検出手段によって設定値以上
のエンジン負荷が検出された場合における前記減速制御
を、前記車速検出手段によって設定車速以下の車速が検
出された場合においてのみ実行するものである。この車
速検出により、刈り終り減速制御後であることを判別
し、前記オープンループ式制御による迅速な減速操作を
前記第1旋回地点R1での旋回時において適切に作動さ
せることが出来る。
【0009】一方、エンジン負荷検出手段によって設定
値以上のエンジン負荷が検出されても、前記車速検出手
段によって設定車速以上の車速が検出された場合には、
前記車速検出手段の検出情報に基づいて前記アクチュエ
ータを作動させる、いわゆるフィードバック式で設定車
速に減速していくのである。この減速は主として第2旋
回地点R2での旋回時に実行され、そして、第2旋回地
点R2での旋回時には脱穀負荷が小さいためエンジン負
荷の急激な増大がないと考えられるから、フィードバッ
ク式でもエンスト等の不具合を回避でき、しかも、フィ
ードバック式の減速により必要以上に車速を遅くせずに
済むことになる。
【0010】
【発明の効果】第一の特徴構成によれば、刈り終り減速
制御後にコンバインが枕地において旋回する前及び旋回
時において、種々の条件に応じた適切な減速操作が行わ
れてエンスト等の不具合の発生を確実に防止できるコン
バインの車速制御装置を得ることができる。
【0011】第二の特徴構成によれば、第一の特徴構成
による効果に加えて、エンスト等の不具合を回避しなが
らも必要以上の車速減速を抑制して作業効率を向上させ
ることができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を、図面に基づいて説
明する。図2に示すように、コンバインは、左右一対の
クローラ走行装置1を備えた機体9に脱穀装置2が搭載
され、その機体9の前部に搭乗操縦部4が設けられ、そ
の搭乗操縦部4の前方側に、刈取部3が昇降駆動自在に
設けられている。前記刈取部3は、圃場の穀稈を引き起
こす引き起こし装置5、引き起こした穀稈の株元を切断
する刈刃6、刈取穀稈を横倒れ姿勢に姿勢変更しながら
機体後方側の脱穀フィードチェーン8に向けて搬送する
搬送装置7の夫々を備えている。
【0013】そして、前記搬送装置7の搬送始端側箇所
に、搬送される穀稈の株元に接触して、搬送穀稈が存在
しているときにはON作動する株元センサS0 が設けら
れている。説明を加えれば、刈取作業を開始するに伴っ
て、前記刈刃6にて株元を切断された穀稈が前記株元セ
ンサS0 に接触して、前記株元センサS0 がON作動
し、且つ、刈取作業が終了するに伴って、穀稈供給が停
止されて前記株元センサS0 がOFF作動することにな
る。つまり、この株元センサS0 が作業状態検出手段に
対応することになる。
【0014】次に、図1に基づいてコンバインの制御構
成について説明する。前記クローラ走行装置1は、エン
ジンEによって駆動される油圧無段式の走行用の変速装
置10の出力によって駆動されるように構成され、前記
変速装置10は変速用の操作アクチュエータとしての電
動モータ13によって自動的に変速操作できるようにな
っている。但し、前記変速装置10は、人為的にも変速
できるように、前記搭乗操縦部4に設けられた変速レバ
ー12に連動連結され、且つ、人為的な変速操作を前記
電動モータ13による変速操作に優先させることができ
るようにするために、前記変速レバー12と前記変速装
置10との連係経路中に、前記電動モータ13が摩擦式
の伝動機構14を介して連係されている。尚、図中、1
1は前記クローラ走行装置1に対するミッションケース
である。
【0015】また、前記エンジンEと前記脱穀装置2及
び前記刈取部3とが夫々ベルトテンション式の脱穀クラ
ッチ33及び刈取クラッチ34を介して連結連動されて
いる。そして、前記脱穀クラッチ33及び刈取クラッチ
34を夫々人為的に入り切り操作する脱穀クラッチレバ
ー31及び刈取クラッチレバー32が前記搭乗操縦部4
に設けられ、それらの入り操作に伴ってON作動する脱
穀スイッチSW1及び刈取スイッチSW2が設けられて
いる。また、前記エンジンEの回転数を検出するエンジ
ン回転数検出センサS1 が設けられ、前記ミッション部
11の入力軸11Aに伝動される前記変速装置10の出
力回転数に基づいて車速Vを検出する車速センサS2
が、前記ミッション部11に付設されている。尚、図
中、S0 は、前記株元センサである。
【0016】また、前記株元センサS0 、前記エンジン
回転数検出センサS1 、前記車速センサS2 の各検出情
報、及び前記脱穀スイッチSW1及び刈取スイッチSW
2の検出信号に基づいて、前記電動モータ13の駆動信
号を出力するマイクロコンピュータ利用の制御装置16
が設けられている。つまり、前記制御装置16を利用し
て、前記電動モータ13の作動を制御する制御手段10
0が構成されることになる。また、前記エンジン回転数
検出センサS1 と前記制御装置16を利用してエンジン
負荷を周期的に検出するエンジン負荷検出手段200
が、前記車速センサS2 と前記制御装置16を利用して
車速を周期的に検出する車速検出手段300が、夫々構
成されている。
【0017】エンジン負荷検出手段200について説明
を加えると、前記制御装置16が、前記脱穀スイッチS
W1がONで、前記刈取スイッチSW2がOFFである
場合を、無負荷状態と判断し、前記脱穀スイッチSW1
と前記刈取スイッチSW2が共にONである場合を、負
荷作用状態と判断する。そして、前記無負荷状態におけ
るエンジンの検出回転数RX (rpm)を周期的に取り
込み、その値を基準回転数RS として更新記憶する。
又、前記基準回転数RS と前記負荷作用状態において周
期的に取り込んだエンジン検出回転数RX との差RS −
RX をエンジン負荷として検出するのである。
【0018】前記車速検出手段300について説明を加
えると、前記制御装置16が車速センサS2 の検出車速
Vを周期的に取り込むことによって行われる。
【0019】尚、前記制御装置16におけるエンジン負
荷検出処理、及び、車速検出処理は、次に述べる減速制
御とは別個に、時間割込み処理として実行される。
【0020】次に、図3に基づいて、減速制御について
説明する。先ず、前記株元センサS0 の検出信号がON
状態からOFF状態に切り替わることにより、コンバイ
ンが刈取作業状態から非刈取作業状態に変化したことを
検出する。そして、前記電動モータ13への減速操作出
力の出力回数を計数する減速出力回数カウンタNをリセ
ットしてから、前記車速検出手段300の検出する現在
車速Vが設定目標車速α(m/SEC)以下かどうかを判別
し、設定目標車速αよりも高速であれば、設定目標車速
α以下になるように減速操作することになる。尚、前記
設定目標車速αの値としては、通常0.7〜0.8m/S
EC程度が適当である。
【0021】上記減速操作においては、先ず、一定時間
幅γ(70ms)の減速操作ONを出力し、上記一定時
間経過して減速操作がOFFしたら、可変時間Tmsの
OFFタイマを作動させる。ここで、前記減速OFFタ
イマの時間幅TはT=N・a+bで表される。ここで、
Nは前記減速出力回数カウンタの値、a及びbは定数で
a:30ms、b:50msに決めてある。従って、1
回目(N=0)の減速OFFタイマの時間幅Tは50m
sである。そして、前記減速OFFタイマの時間が経過
後、前記減速出力回数カウンタNを+1加算してから、
再び、現在車速Vと設定目標車速αの大小比較ステップ
に戻る。
【0022】上記比較ステップにおいて、依然として、
現在車速Vが設定目標車速αよりも高速であれば、設定
目標車速α以下になる迄減速操作を続けることになる。
2回目以降の減速操作においては、前記一定時間幅γ
(70ms)の減速操作ONは同じであるが、前記減速
OFFタイマの時間幅Tは、関係式T=N・a+bで表
されるので、80ms,110ms,140ms,……
のように順次長くなっていく。そして、現在車速Vが設
定目標車速α以下になれば、次の処理に進む。
【0023】次に、前記株元センサS0 のON、OFF
状態を検出する。ここで、OFF状態であれば、エンジ
ン負荷RX の差RS −RXが、設定エンジン負荷量β
(例えば150rpm)より大きいか否かを判別し、大
きければ、現在車速Vが設定車速δ(0.5〜0.8m
/SEC)より大きいか否かによって、減速制御の方式を選
択することになる。一方、前記エンジン負荷RS −RX
が設定エンジン負荷量βより小さければ、最初の手順に
戻る。
【0024】前記現在車速Vが設定車速δよりも小さい
時は、一定時間幅巾(例えば70ms)の減速操作ON
を前記電動モータ13へ出力してオープンループ式に減
速制御し、逆に、前記現在車速Vが設定車速δよりも大
きい時は、小刻みな減速操作ON(例えば10ms程
度)を前記電動モータ13へ出力して設定車速δまでフ
ィードバック式に減速制御してから最初の手順に戻る。
【0025】〔別実施例〕 上記実施例では、作業状態検出手段として、刈取穀稈の
株元を検出する株元センサS0 を用いているが、これ以
外に、たとえば、脱穀装置2内に設けた穀稈検出センサ
を用いてもよい。
【0026】又、上記実施例では、上記設定目標車速α
等を手動で設定する機構は設けていないが、例えば、設
定目標車速αについて3段階の具体的な条件、湿田、通
常、乾田の表示をしておけば、作業者の熟練度を生かし
たより柔軟性のある操作も可能である。
【0027】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添
付図面の構成に限定されるものではない。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】制御構成のブロック図
【図2】コンバインの概略側面図
【図3】源速制御のフローチャート
【図4】コンバインの刈取作業の説明図
【符号の説明】
10 変速装置 13 操作アクチュエータ 100 制御手段 200 エンジン負荷検出手段 300 車速検出手段 S0 作業状態検出手段 α 設定目標車速 β 設定値 δ 設定車速 RS −RX エンジン負荷 V 車速

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車速(V)を周期的に検出する車速検出
    手段(300)と、エンジン負荷(RS −RX )を周期
    的に検出するエンジン負荷検出手段(200)と、 刈取作業状態にあるか否かを検出する作業状態検出手段
    (S0 )と、 走行用の変速装置(10)の操作用のアクチュエータ
    (13)の作動を制御する制御手段(100)とが設け
    られ、 前記制御手段(100)が、 前記作業状態検出手段(S0 )の検出情報に基づいて刈
    取作業状態から非刈取作業状態への変化を検出するに伴
    って、前記車速検出手段(300)によって検出される
    車速(V)が設定目標車速(α)より高速の場合には設
    定目標車速(α)に減速すべく前記アクチュエータ(1
    3)を作動させ、 その減速制御後において、 前記エンジン負荷検出手段(200)によって設定値
    (β)以上のエンジン負荷(RS −RX )が検出された
    場合には、前記アクチュエータ(13)を所定量減速側
    に作動させるように構成されているコンバインの車速制
    御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のコンバインの車速制御装
    置であって、 前記制御手段(100)は、前記エンジン負荷検出手段
    (200)によって設定値(β)以上のエンジン負荷
    (RS −RX )が検出された場合における前記減速制御
    を、前記車速検出手段(300)によって設定車速
    (δ)以下の車速(V)が検出された場合においてのみ
    実行し、且つ、前記エンジン負荷検出手段(200)に
    よって設定値(β)以上のエンジン負荷(RS −RX )
    が検出され、且つ、前記車速検出手段(300)によっ
    て設定車速(δ)以上の車速(V)が検出された場合に
    は、前記車速検出手段(300)の検出情報に基づいて
    設定車速(δ)に減速すべく前記アクチュエータ(1
    3)を作動させるように構成されているコンバインの車
    速制御装置。
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