JP2602035B2 - 帯域透過光学フィルター - Google Patents

帯域透過光学フィルター

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JP2602035B2 JP62267488A JP26748887A JP2602035B2 JP 2602035 B2 JP2602035 B2 JP 2602035B2 JP 62267488 A JP62267488 A JP 62267488A JP 26748887 A JP26748887 A JP 26748887A JP 2602035 B2 JP2602035 B2 JP 2602035B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、赤外線吸収による熱的効果を利用する熱型
検出素子を検出器とした分析計に用いられる光学用の帯
域透過(バンドパス)フィルター、詳しくは、基板と、
光学膜厚が所望の透過中心波長の1/4とされた高屈折率
材料層および低屈折率材料層とを重畳した多層膜と、少
なくともひとつの調整層とから成る帯域透過光学フィル
ターに関する。
〔従来の技術〕
この種の帯域透過光学フィルターとしては、従来か
ら、例えば特願昭59−54661号等において本発明者らが
既に提案しているように、基板の材料としてサファイヤ
(Al2O3)または石英(SiO2)を、多層膜の高屈折率材
料層としてゲルマニウム(Ge)を、そして、前記多層膜
の低屈折率材料層として一酸化珪素(SiO)を用いると
共に、それら基板と多層膜との間に、外側の二層が前記
低屈折率材料層と同様に一酸化珪素(SiO)で、そし
て、内側の一層が前記高屈折率材料層と同様にゲルマニ
ウム(Ge)で構成された対称な三層等価膜から成る調整
層を介装することによって、非常に優れた分光特性を有
する(ただし、透過中心波長が5μm以下の場合)と共
に、基板と調整層ならびに基板と多層膜との間の結合性
も良く、しかも、比較的簡素でかつ再現性良く安定に製
作できるものが開発されている。
ところが、かかる従来構成の帯域透過光学フィルター
は、上記のように透過中心波長が5μm以下の場合にお
いてのみ有効なもの(5μm以上はSiOに吸収がある)
であって、例えば非分散型赤外線分析計などに用いる場
合には非常に好適であるが、例えばそれ自体では波長選
択性を有しない熱型焦電素子(パイロ)を使用した煙道
分析計などの場合には、透過中心波長が5μm以上の範
囲において優れた分光特性を有することが要求されるた
め、その利用には供し得なかった。また、調整層を対称
な三層等価膜で構成するための設計製作が非常に困難で
あるという問題もあった。
そこで、本発明者らは、幾多の基礎的研究の結果、前
記基板の材料としてシリコン(Si)を、前記高屈折率材
料層としてゲルマニウム(Ge:これをHで表す)を、そ
して、前記低屈折率材料層として硫化亜鉛(ZnS:これを
Lで表す)を用いると共に、 タイプ−Iとして、 Si‖LHL(LHLHLHL)LH なる全体構造を有する帯域透過光学フィルターを、そし
て、タイプ−IIとして、 Si‖LHL(LHLHLHL)2LH なる全体構造を有する帯域透過光学フィルターを先ず案
出し、現在、上記夫々のタイプのものに対する理論的考
察ならびに試作実験を終了している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
さて、上記のように案出された先行技術に係るふたつ
のタイプの構成の帯域透過光学フィルターに対する理論
的考察ならびに試作試験によれば、次のような結果が得
られている。
即ち、前者のタイプ−Iのものは、かなり困難ではあ
るけれども何とか再現性を有する製作が可能ではあるも
のの、その分光特性については、第5図に示した理論的
に得られるグラフから明らかなように、透過中心波長が
5μm以上の範囲における分光特性が理論上十分に発揮
されてはいるが、多層膜の全膜数が比較的少ないことに
起因してスソa′…での急峻性(立ち下がり・立ち上が
り特性)に劣るという欠点がある。
一方、後者のタイプ−IIのものは、第6図に示した理
論的に得られるグラフから明らかなように、透過中心波
長が5μm以上の範囲における分光特性がやはり理論上
十分に発揮されていると共に、多層膜の全膜数が比較的
多いことからスソa′…での急峻性(立ち下がり・立ち
上がり特性)に優れた特性が理論上得られるものの、現
在の技術では量産した場合、製作に要する条件を厳密に
維持になければ、再現性のある製作が殆ど不可能で実用
性に乏しいという欠点がある。
つまり、透過中心波長が5μm以上の範囲において十
分な分光特性を発揮させるためには、多層膜の全膜数を
できるだけ多くすると共に、その多層膜における低屈折
率材料層として、従来の一酸化珪素(SiO)の代わりに
硫化亜鉛(ZnS)を用いるのが有効であることが確認さ
れたけれども、その硫化亜鉛(ZnS)は、真空蒸着等に
よる膜形成時における付着係数が非常に不安定であるた
め、蒸着環境温度の制御ならびに理論的な屈折率および
膜厚の実現が非常に困難であることが判明した。
この点について、本発明者らは、上記タイプ−Iおよ
びタイプ−IIの実例から種々の考察を試みたところ、 前者の何とか再現性を有する製作が可能なタイプ−I
のものでは不安定な硫化亜鉛層(ZnS:L)の個数が比較
的少ないのに対し、後者の再現性のある製作が殆ど不可
能なタイプ−IIのものでは不安定な硫化亜鉛層(ZnS:
L)の個数が非常に多いという事実、 ならびに、次に記す詳細構造式、 〔タイプ−I〕 Si‖LHLLHLHLHLLH 〔タイプ−II〕 Si‖LHLLHLHLHLLHLHLHLLH において夫々アンダーラインで示すように、何れのタイ
プのものにおいても、低屈折率材料層が連続する所謂LL
キャビティー(ただし、タイプ−Iのものでは2箇所,
タイプ−IIのものでは3箇所)を有しているという事
実、 に気付き、その結果、不安定な硫化亜鉛層(ZnS:L)の
個数の大小は勿論、とりわけ上記のようなLLキャビティ
ーの存在およびその個数の大小が、このような透過中心
波長が5μm以上の範囲において有効な帯域透過光学フ
ィルターにおける再現性ある製作の困難性、ならびに、
その分光特性におけるスソの急峻性(立ち下がり・立ち
上がり特性)の劣化に大きく影響する原因であろうと推
測した。
本発明は、上記実情および上記考察に基く予測に鑑み
てなされたものであって、その目的は、多層膜の全膜数
をできるだけ多くしながらも、低屈折率材料層である不
安定な硫化亜鉛層(ZnS:L)をなるべく少なくすると共
に、それが連続するLLキャビティーを有しない可及的に
シンプルな構造にすることによって、再現性の良い設計
製作を容易に行えると共に、透過中心波長が5μm以上
の範囲において十分に有効で、しかも、スソの急峻性
(立ち下がり・立ち上がり特性)にも極めて優れた分光
特性を発揮し得る帯域透過光学フィルターを提供せんと
することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
かかる目的を達成するために、本発明による帯域透過
光学フィルターは、その基本構成として、赤外線吸収に
よる熱的効果を利用する熱型検出素子を検出器とした分
析計に用いられ、基板と、所望の波長帯域は透過させ、
それ以外の波長帯域は反射させるよう光学膜厚が所望の
透過中心波長の1/4とされた高屈折率材料層および低屈
折率材料層とを重畳した多層膜と、積層構造を備えた少
なくともひとつの調整層とから成り、かつ、この調整層
を、前記多層膜の内側である前記基板と多層膜間および
/または前記多層膜の外側に設けてある帯域透過光学フ
ィルターであって、前記基板をシリコン(Si)で、前記
高屈折率材料層をゲルマニウム(Ge:これをHで表す)
で、そして、前記低屈折率材料層を硫化亜鉛(ZnS:これ
をLで表す)で構成し、かつ、前記調整層の積層構造を
前記高屈折率材料層と同様のゲルマニウム(Ge)および
前記低屈折率材料層と同様の硫化亜鉛(ZnS)との組み
合わせで構成すると共に、前記調整層の各膜の光学膜厚
を前記所望の透過中心波長の1/4とは異ならせて等価膜
でないように構成し、更に、前記高屈折率材料層および
低屈折率材料層を重畳した前記多層膜の全膜数を可及的
に多くしながら、そのフィルターの全体構造中に前記高
屈折率材料層が連続するHHキャビティーが存在し、か
つ、前記低屈折率材料層が連続するLLキャビティーが存
在しないように、しかも前記高屈折率材料層で始まり前
記高屈折率材料層で終わるよう構成してあり、透過中心
波長が5μm以上の範囲において優れた分光特性を有す
る、という特徴がある。
〔作用〕
上記特徴構成により発揮される作用は下記の通りであ
る。
即ち、上記本発明による帯域透過光学フィルターによ
れば、後述する具体的実施例の記載からも一層明らかと
なるところであるが、透過中心波長が5μm以上の範囲
における分光特性が理論上十分に発揮されることは勿
論、スソでの急峻性(立ち下がり・立ち上がり特性)に
極めて優れた特性が理論上十分に期待できるように、ゲ
ルマニウム(Ge:H)から成る高屈折率材料層と硫化亜鉛
(ZnS:L)から成る低屈折率材料層とを重畳した多層膜
の全膜数を、前述のタイプ−IIのものよりも更に多くし
ながらも、その全膜数の割には不安定な硫化亜鉛層(Zn
S:L)を非常に少なくすることができると共に、不安定
な硫化亜鉛層(ZnS:L)が連続するLLキャビティーが存
在せず、その代わりに極めて安定なゲルマニウム層(G
e:H)が連続する所謂HHキャビティーを有する構造にし
てあるため、非常に容易に且つ再現性良くその製作を行
うことが可能になった。
なお、上記した十分かつ極めて優れた分光特性{特
に、スソでの急峻性(立ち下がり・立ち上がり特性}、
および、容易で再現性の良い製作性という両利点は勿
論、調整層を従来のように対称な等価等ではなく全体と
して非等価屈折率を有するように構成することが、特に
スソでの急峻性(立ち下がり・立ち上がり特性)の向上
に極めて有効であると共に膜構造の設計製作を非常に容
易ならしめる利点を有することが、複数回に亘る試作実
験等によって確認されている。
〔実施例〕
以下、本発明に係る帯域透過光学フィルターの実施例
を図面(第1図ないし第3図)に基いて説明する。
第1図の模式的構造図に示すように、シリコン(Si)
から成る基板1上に、三層構造の非等価調整層(以下、
調整層という)3および多層膜2を、その調整層3を基
板1と多層膜2との間に介在させる状態で形成して、透
過中心波長が5μm以上の範囲において利用可能な分光
特性を有する帯域透過光学フィルターを構成してある。
前記多層膜2は、ゲルマニウム(Ge)から成り光学膜
厚が所望の透過中心波長λの1/4とされた高屈折率材
料層2A…と、硫化亜鉛(ZnS)から成りやはり光学膜厚
が所望の透過中心波長λの1/4とされた低屈折率材料
層2B…とを、真空蒸着法等により交互に重畳して構成さ
れている。
また、前記調整層3は三層構造とされ、その最内側の
第一層3Aは前記高屈折率材料層2Aと同様にゲルマニウム
(Ge)で構成され、また、その中間の第二層3Bは前記低
屈折率材料層2Bと同様に硫化亜鉛(ZnS)で構成され、
また、その最外側の第三層3Cは前記高屈折率材料層2Aと
同様にゲルマニウム(Ge)で構成されている。ただし、
各層3A,3B,3Cの各光学膜厚は所望の透過中心波長λ
1/4とは異なる値とされ、その調整膜3全体として等価
膜でないように構成されている。
即ち、高屈折率層としてのゲルマニウム(Ge)層の理
論1単位(光学膜厚が所望の透過中心波長λの1/4)
をH,低屈折率層としての硫化亜鉛(ZnS)層の理論1単
位(光学膜厚が所望の透過中心波長λの1/4)をLで
表せば、上記第1図に示した構造の帯域透過光学フィル
ターは、 Si‖aHbLcHHLH(HLHLHLH)HH(HLHLHLH)2H なる基本構造式で表される全体構造を有するように構成
されている。ここに、Siが前記基板1に相当し、また、
aHbLcHが前記調整層3に相当し、また、残りのHHLH(HL
HLHLH)HH(HLHLHLH)2Hが前記多層膜2に相当する。つ
まり、形成層自体に注目してより具体的に書けば、この
帯域透過光学フィルターは、 Si‖aH/bL/cHH/L/HH/L/H/L/H/L/HHHH/L/H/L/H/L/HH/L/H
/L/H/L/HH =aH()/bL()/(c+1)H()/L()/2H
()/L()/H()/L()/H()/L(/4H
()/L()/H()/L()/H()/L()/2H
()/L()/H()/L()/H()/L()/2H
() のように、層〜層の計23層のゲルマニウム(Ge)層
および硫化亜鉛(ZnS)層を交互に重畳した形態となっ
ている。
なお、後者の具体的構造式におけるアンダーラインの
部分は、第1図における2C…部分に相当し、夫々、高屈
折率層としてのゲルマニウム(Ge:H)層が連続するHHキ
ャビティーを表している。また、前者の基本構造式にお
けるアンダーラインの部分は、第1図における2D部分に
相当し、リップル発生を低減させるためのデカップリン
グ層を表している。
ところで、前記調整層aHbLcHにおけるa,b,cは、夫々
の層の理論光学膜厚(所望の透過中心波長λの1/4)
の何倍にするかを設定する係数であり、これら係数a,b,
cは、優れた分光特性を発揮し得るように、等価膜理論
による計算結果を参考にしながら、試作実験等により試
行錯誤的に決定されるものである。
上記のような構造を有する帯域透過光学フィルターの
一例として、 所望の透過中心波長λ=5.25μm a≒0.691 b≒0.300 c≒0.448 である帯域透過光学フィルターの調整層3および多層膜
2を設計すると、各層の光学膜厚(4ndで表す)および
屈折率(nで表す)は、次のようになる。
さて、上記のような構造を有する帯域透過光学フィル
ターを、複数回に亘って試作すると共にその分光特性を
調べる実験を行った結果、多層膜の全膜数を非常に多く
しているにも拘わらず、不安定な硫化亜鉛層(ZnS:L)
を比較的少なく抑えていると共に、前述のように不安定
なLLキャビティーの代わりに極めて安定なHHキャビティ
ーを有する構造としたことにより、その製作を非常に容
易に且つ再現性良く行うことが可能であり、また、第2
図に示した理論的に得られるグラフ、および、それを裏
付ける第3図に示す実験結果のグラフから明らかなよう
に、透過中心波長が5μm以上の範囲における分光特性
が十分に発揮されることは勿論、スソa′…での急峻性
(立ち下がり・立ち上がり特性)も極めて優れた分光特
性が再現性良く発揮されることが確認された。
従って、上記構造の帯域透過光学フィルターは、比較
的容易にかつ再現性良く設計製作できると共に、従来は
不可能とされていた透過中心波長が5μm以上の範囲に
おける十分かつ優れた分光特性{特にスソでの急峻性
(立ち下がり・立ち上がり特性)}を実現でき、もっ
て、かかる特性を要求される分野、例えば熱型焦電素子
(パイロ)を使用した煙道分析計などに好適に利用する
ことができる。
ところで、第4図は、上記本発明に係る構造を有する
帯域透過光学フィルターと、後述する比較例Y(調整層
3を有しないもの)と、前述の先行技術に係るタイプ−
IIのもの(調整層3を有しないと共にLLキャビティーを
有する)Zとについて、夫々の分光特性を、特にスソで
の急峻性(立ち下がり・立ち上がり特性)を比較対照す
るために描かれたグラフであって、この図を見れば、本
発明に係る構造を有する帯域透過光学フィルターのスソ
での急峻性(立ち下がり・立ち上がり特性)が如何に優
れているが、一目瞭然に理解できる。
なお、前記比較例Yに係る帯域透過光学フィルターと
は、 シリコン(Si)から成る基板上に、ゲルマニウム(G
e:H)から成り光学膜厚が所望の透過中心波長λの1/4
とされた高屈折率材料層2A…と、硫化亜鉛(ZnS:L)か
ら成りやはり光学膜厚が所望の透過中心波長λの1/4
とされた低屈折率材料2B…とを重畳した多層膜を形成し
て、 Si‖HLH(HLHLHLH)2H なる全体構造を有するように構成されたものであって、
上記本発明に係る帯域透過光学フィルターとは、調整層
を有しない点で大きく異なっているものである。
このことから、本発明に係る帯域透過光学フィルター
における非等価調整層の存在が、その分光特性における
スソでの急峻性(立ち下がり・立ち上がり特性}の向上
に大きく貢献していることが明らかであろう。
なお、上記の実施例においては、基板1と多層膜2と
の間にひとつの調整層3を介在させた構造のものを示し
たが、その調整層3の位置は特に限定されるものでは無
く、例えば多層膜2の外側に形成してもよいし、また、
その調整層3の個数もひとつに限定されるものでは無
く、例えば2個設けてもよい。更に、上記の実施例にお
いては、前記非等価調整層を三層構造で非対称形(a≠
c)のものに形成したものを示したが、対称形にしても
よい。
〔発明の効果〕
以上詳述したところから明らかなように、本発明に係
る帯域透過光学フィルターは、その基本構成として、赤
外線吸収による熱的効果を利用する熱型検出素子を検出
器とした分析計に用いられ、基板と、所望の波長帯域は
透過させ、それ以外の波長帯域は反射させるよう光学膜
厚が所望の透過中心波長の1/4とされた高屈折率材料層
および低屈折率材料層とを重畳した多層膜と、積層構造
を備えた少なくともひとつの調整層とから成り、かつ、
この調整層を、前記多層膜の内側である前記基板と多層
膜間および/または前記多層膜の外側に設けてある帯域
透過光学フィルターであって、前記基板をシリコン(S
i)で、前記高屈折率材料層をゲルマニウムで、そし
て、前記低屈折率材料層を硫化亜鉛で構成し、かつ、前
記調整層の積層構造を前記高屈折率材料層と同様のゲル
マニウム(Ge)および前記低屈折率材料層と同様の硫化
亜鉛(ZnS)との組み合わせで構成すると共に、前記調
整層の各膜の光学膜厚を前記所望の透過中心波長の1/4
とは異ならせて等価膜でないように構成し、更に、前記
高屈折率材料層および低屈折率材料層を重畳した前記多
層膜の全膜数を可及的に多くしながら、そのフィルター
の全体構造中に前記高屈折率材料層が連続するHHキャビ
ティーが存在し、かつ、前記低屈折率材料層が連続する
LLキャビティーが存在しないように、しかも前記高屈折
率材料層で始まり前記高屈折率材料層で終わるよう構成
してあり、透過中心波長が5μm以上の範囲において優
れた分光特性を有することにより、以下の効果を奏す
る。
ゲルマニウムから成り、光学膜厚が所望の透過中心
波長の1/4とされた高屈折率材料層と、硫化亜鉛からな
成り、やはり光学膜厚が所望の透過中心波長の1/4とさ
れた低屈折率材料層とを重畳した多層膜の全膜数を非常
に多くしても、その全膜数の割には不安定(真空蒸着等
による膜形成時における付着係数が非常に不安定である
ために、蒸着環境温度の制御ならびに理論的な屈折率お
よび膜厚の実現が非常に困難であった)な硫化亜鉛層
(L層)を非常に少なくすることができ、かつ、不安定
なL層が連続するLLキャビティーが存在せずその代わり
に極めて安定なゲルマニウム層(H層)が連続する所謂
HHキャビティーを有する構造にできるため、非常に容易
に且つ再現性良くその設計および製作を行える。
つまり、透過中心波長が5μm以上の範囲における分
光特性が十分に発揮されるためには、下記の(イ),
(ロ)の条件が必要である。
(イ)多層膜の全膜数を非常に多くすること。
(ロ)従来の一酸化珪素(SiO)の代わりに硫化亜鉛層
を低屈折率材料層として用いること。
ところが、硫化亜鉛層(L層)は不安定なので、本願
発明では、L層を少なくするためにLLキャビティーを無
くし、代わりにHHキャビティーを有する全体構造にして
いる。
よって、本発明では、設計および製作が容易で、か
つ、スソでの急峻性(立ち下がり・立ち上がり特性)も
極めて優れた透過中心波長が5μm以上の範囲における
分光特性が十分に発揮される帯域透過光学フィルターを
得ることができる。
特に、本発明では、調整層の各膜の光学膜厚を前記
所望の透過中心波長の1/4とは異ならせて等価膜でない
ように構成しているので、フィルターにおけるこの非等
価調整層の存在が、その分光特性におけるスソでの急峻
性の向上に大きく貢献できる。
従って、本発明のフィルターが、赤外線吸収による
熱的効果を利用する熱型検出素子を検出器とした分析計
に適用される上で高性能を発揮する上に、透過中心波長
が5μm以上の範囲において優れた分光特性を有するの
で、特にそれ自体では波長選択性を有しない熱型焦電素
子(パイロ)を用いて安価に製作できると共に高性能を
発揮し得る煙道分析計(NO,H2Oなどの計測)等のガス分
析計を構成する場合に極めて好適に利用することができ
る、という優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第4図は、本発明に係る帯域透過光学フィルタ
ーの具体的な一実施例を説明するためのものであって、
第1図は一部を省略した全体模式的構造図示し、第2図
はその理論的分光特性を示すグラフであり、第3図はそ
の分光特性の実験結果を示すグラフであり、そして、第
4図は本実施例に係る帯域透過光学フィルターの分光特
性と他の構造に係る帯域透過光学フィルターの分光特性
とを比較対照したグラフを示している。 また、第5図および第6図は、本発明の技術的背景を説
明するためのものであって、第5図は先行技術に係るタ
イプ−Iの帯域透過光学フィルターの理論的分光特性を
示すグラフ、そして、第6図は先行技術に係るタイプ−
IIの帯域透過光学フィルターの理論的分光特性を示すグ
ラフを夫々示している。 1……基板、 2……多層膜、 2A……ゲルマニウム(Ge)から成る高屈折率材料層、 2B……硫化亜鉛(ZnS)から成る低屈折率材料層、 2C……HHキャビティー、 3……非等価調整層(調整層)、 3A……Geの第一層、 3B……ZnSの第二層、 3C……Geの第三層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−262101(JP,A) 特開 昭62−111205(JP,A) 特開 昭59−107306(JP,A) 特開 昭60−198504(JP,A) 実開 昭53−118645(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】赤外線吸収による熱的効果を利用する熱型
    検出素子を検出器とした分析計に用いられ、基板と、所
    望の波長帯域は透過させ、それ以外の波長帯域は反射さ
    せるよう光学膜厚が所望の透過中心波長の1/4とされた
    高屈折率材料層および低屈折率材料層とを重畳した多層
    膜と、積層構造を備えた少なくともひとつの調整層とか
    ら成り、かつ、この調整層を、前記多層膜の内側である
    前記基板と多層膜間および/または前記多層膜の外側に
    設けてある帯域透過光学フィルターであって、前記基板
    をシリコン(Si)で、前記高屈折率材料層をゲルマニウ
    ム(Ge:これをHで表す)で、そして、前記低屈折率材
    料層を硫化亜鉛(ZnS:これをLで表す)で構成し、か
    つ、前記調整層の積層構造を前記高屈折率材料層と同様
    のゲルマニウム(Ge)および前記低屈折率材料層と同様
    の硫化亜鉛(ZnS)との組み合わせで構成すると共に、
    前記調整層の各膜の光学膜厚を前記所望の透過中心波長
    の1/4とは異ならせて等価膜でないように構成し、更
    に、前記高屈折率材料層および低屈折率材料層を重畳し
    た前記多層膜の全膜数を可及的に多くしながら、そのフ
    ィルターの全体構造中に前記高屈折率材料層が連続する
    HHキャビティーが存在し、かつ、前記低屈折率材料層が
    連続するLLキャビティーが存在しないように、しかも前
    記高屈折率材料層で始まり前記高屈折率材料層で終わる
    よう構成してあり、透過中心波長が5μm以上の範囲に
    おいて優れた分光特性を有することを特徴とする帯域透
    過光学フィルター。
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