JP2602025Y2 - 水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、水溶性の芳香洗浄剤
（薬剤ともいう）を充填した薬剤容器を貯水タンク（水
洗トイレ用の貯水タンク）内の水中に吊り下げして使用
する水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装置（薬剤供給装置、
薬剤容器ともいう）の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、水洗式便器への洗浄及び汚れ
の付着防止と芳香消臭を目的として、固形薬剤を充填し
た薬剤容器を貯水タンク内の水中に吊り下げし、貯水タ
ンクの水位変動により一定量の薬剤溶液を容器外に排出
して所定の薬剤濃度の水洗水を得るようにした薬剤供給
装置が使用されており、図６にその薬剤容器の外観を示
す。

【０００３】図６において、薬剤容器１は、円筒容器部
２と蓋部３とからなり、円筒容器部２には充填後容器内
で固化された固形薬剤が充填されている。蓋部３は中央
部が円錐形で頂部に開口部４が形成され、円筒容器２に
接続するフランジ部の上面に複数の小孔５が開口してい
る。

【０００４】前記開口部４には長さが調節可能な吊持具
６が取り付けられており、この薬剤容器１を貯水タンク
の水中で所定の高さに吊り下げし、水洗水使用時に貯水
タンクの水面が一時的に降下することを利用して一定量
の薬液を容器外に流出させ、貯水タンク内で所定の薬液
濃度の水洗水が得られるようにしている。

【０００５】薬剤容器１の設置高さは、貯水タンクが満
水状態にあるとき、開口部４が水面近くで水没するよう
に吊持具６の長さを設定して薬剤容器１を貯水タンクの
水中に吊り下げする。薬剤容器１が水没すると開口部４
から円筒容器２内に水が流入して固形薬剤の溶解が始ま
るが、この固形薬剤は円筒容器２内で固化されたもので
空隙がないため上面から底部に向かって溶解していく。
しばらくすると固形薬剤が水に溶解拡散して薬剤容器１
内は濃度の高い薬液で充満し、固形薬剤表面の薬液濃度
が飽和に達すると溶解が停止する。濃度の高い薬液は水
より比重が大きいため容器１内に充満したままで外部に
ほとんど流出しない。

【０００６】水洗水の使用により貯水タンク内の水面が
一時的に開口部４より低い位置まで降下すると、蓋部３
の円錐部に溜まっていた薬液が自重によって小孔５から
容器外に流出し、貯水タンク内の水洗水に薬剤が供給さ
れる。その後自動注水により頂部の開口部４が水没する
位置まで貯水タンクの水面が回復すると、再び開口部４
から新たな水が容器１内に流入し、固形薬剤の溶解が始
まる。このようにして貯水タンクから排水するたびに薬
剤容器１から水洗水に一定量の薬剤が供給され、水洗水
はほぼ一定した薬剤濃度に保たれている。

【０００７】固形薬剤がすべて溶解すると、薬剤容器１
から水洗水への薬剤の供給が停止して水洗水中の薬剤濃
度が急激に低下するので、その時点で薬剤容器１を新品
と交換する。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】ところが上記の薬液供
給装置には、固形薬剤を充填した円筒容器２の底部に排
水口が存在しないため、新品と交換のため古い薬剤容器
１を水面上に引き上げたとき小孔５より下部の円筒容器
２内には薬液が溜まったままの状態にある。したがって
古い容器を貯水タンクからそのまま取り出して不用意に
傾けたりすると容器２内に残っていた薬液がこぼれて貯
水タンクの周辺を汚すことがある。

【０００９】これを防止するため円筒容器２の底部に排
水口を設けた場合には、この排水口から容器２内に進入
する水によって固形薬剤を下方からも溶解し、薬剤溶液
は水より比重が大きいために排水口から連続して容器外
に漏れ出すことになり、固形薬剤の下部からの溶出は貯
水タンク内の水全体が飽和濃度に達するまでが続くた
め、固形薬剤の消耗を早め水洗水中の薬剤濃度が必要以
上に高くなり不経済となる。

【００１０】本考案は、このような事情に鑑み、薬剤容
器１を新品と交換する場合に貯水タンクから取り出した
古い容器内に薬液が残らないようにした水洗トイレ用芳
香洗浄剤供給装置を提供することを目的とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本考案
は、水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装置における薬剤容器
の底面に排水口を設けるとともに、この排水口に、内部
の固形薬剤がほとんど溶解し尽くした段階で初めて開口
状態となる閉鎖手段を設けたことを特徴とする。

【００１２】排水口の各種閉鎖手段を請求項２以下に示
す。

【００１３】請求項２は、容器底面に設けた排水口の上
部に、水より軽い詮体を離脱可能に装着して排水口を閉
鎖したものであり、請求項３は、この排水口を水溶性の
詮体で閉鎖したものであり、請求項４は、この水溶性の
詮体と固形薬剤との間に空気溜まりを形成して、水溶性
の詮体が溶解して脱落した後の排水口からの水の進入を
阻止したものである。 請求項５は、排水口を詮体で閉
鎖せず、空気溜まりを形成する環状の突起部で排水口を
囲い、排水口からの水の進入を阻止したものである。

【００１４】請求項６は、薬剤容器の側壁の下方寄りに
空気溜まりを有する逆Ｕ字形断面の通水開口部を形成し
たものである。

【００１５】

【作用】上記の構成により、固形薬剤が容器底部近くま
で溶解消耗するまでは、容器底部の排水口が閉鎖されて
いるため、高濃度の薬剤溶液が排水口から漏れ出して水
洗水への薬剤の過剰供給とならず、固形薬剤を溶解し尽
くした薬剤容器を貯水タンクから取り出すときには、内
部の薬液が排出される。

【００１６】

【実施例】つぎに本考案の各実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。

【００１７】図１乃至図５は、いずれも固形薬剤を充填
する容器２の縦断面図であり、各実施例における使用状
況を示す。各図とも、排水口７が容器２の底面中央部に
設けられている。

【００１８】図１の（ａ）乃至（ｃ）は、円筒容器部２
の底部に水より軽い詮体８を設置した実施例を示す。

【００１９】（ａ）円筒容器２の底部に排水口７を設
け、その上部に水より軽い詮体８を離脱可能に装着する
状態を示す。

【００２０】この詮体８は、ＨＥＣ（ヒドロエチルセル
ロース）等のような比重が１以下の材料あるいは発泡ポ
リエチレン等の発泡材など、全体として水より軽い材料
で製造され、離脱して浮上しても容器１外に流出しない
よう開口部４を通り抜けられない寸法となっている。

【００２１】（ｂ）前記詮体８を排水口７の上部に離脱
可能に装着した後、容器２内に薬剤９を注入して固化す
る。

【００２２】（ｃ）貯水タンク内での使用により固形薬
剤９が容器２の底面近くまで溶解消耗し、残った固形薬
剤９の水中重量が詮体８の浮力より小さくなると、詮体
８が外れて浮上し排水口７が開口する。

【００２３】このようにして、固形薬剤９を溶解し尽く
した容器２は排水口７が開口しているので、貯水タンク
から取り出しても内部に薬液が残らない。

【００２４】図２の（ａ）乃至（ｄ）は他の実施例を示
す。

【００２５】（ａ）上記の実施例と同様に円筒容器２の
底部に排水口７を設け、その開口部を水溶性の詮体１０
で下方から閉鎖する。

【００２６】詮体９は、ＰＶＡ（ポリビニルアルコー
ル）等の水溶性の高分子材料で製造される。

【００２７】（ｂ）容器２内に薬剤を注入して固化す
る。固化した薬剤９と水溶性詮体１０との間に空気が滞
留している。

【００２８】（ｃ）貯水タンク内での使用により固形薬
剤９と水溶性詮体１０とが同時に溶解し、詮体１０が先
に溶けてなくなるか、あるいは溶けて排水口７から外れ
た後も固形薬剤９の下方に滞留している空気が水の進入
を阻止し、固形薬剤９の下部が水と接触することはな
い。

【００２９】（ｄ）容器２内の固形薬剤９の溶解が底面
近くまで進み、滞留空気が上方に離脱して初めて排水口
７が開口状態となる。

【００３０】この実施例でも。固形薬剤９がほとんど溶
解し尽くした時点で排水口７が開口するので、薬剤容器
１の交換時に古い容器に薬液が残らない。

【００３１】図３に示す実施例は、排水口７に詮体を設
けず、容器２の底面に空気を溜めるための環状突起部１
１ａを設けて、固形薬剤９が容器の底部近くまで溶解し
空気が上方に離脱するまで排水口７からの水の進入を阻
止するものである。

【００３２】図４に示す実施例も図３の場合と同様であ
るが、図３と比較して排水口７を囲う環状突起部１１ｂ
の直径が小さく容器１を傾けても空気が逃げにくくなっ
ている。

【００３３】図５に示す実施例は、円筒容器２の側壁の
下方寄りに、断面形状が逆Ｕ字形の流路１２を有する通
水開口部１３を、ほぼ全周に亘って形成したもので、逆
Ｕ字形流路１２に溜まった空気が水の進入を阻止してい
る。

【００３４】固形薬剤９が前記開口部１３の容器内側の
下端部１４まで溶解消耗すると、貯水タンクの水位が低
下した時に小孔５より下位の円筒容器２内の薬液が自重
で開口部１３から流出するようになり、このとき流路１
２内に滞留していた空気も同伴して流出する。その後は
流路１２内に水の流通を阻止する空気が存在しないた
め、開口部１３を通じて水が薬剤容器１内に出入りする
ようになる。従って新品と交換のため薬剤容器１を貯水
タンクの水面上に引き上げたときには逆Ｕ字形流路１２
のサイフォン作用により開口部１３の容器内側下端部１
４までの薬液が容器外に排出される。

【００３５】

【考案の効果】以上のように、本考案の水洗トイレ用芳
香洗浄剤供給装置では、固形薬剤の溶解が容器の底部ま
で進行して初めて排水口が開口するので、排水口からの
薬剤の過剰排出が防止され、また使用済容器を水面上に
取り出すときに容器内に薬液が残らないので、薬液をこ
ぼして貯水タンクの周辺を汚すといった心配もなくな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）乃至（ｃ）は、薬剤容器の縦断面図であ
り、排水口の上部に水より軽い詮体を用いた本考案の実
施例を示す。

【図２】（ａ）乃至（ｄ）は、図１と同様の断面図であ
り、排水口部分に水溶性の詮体を用いた本考案の他の実
施例を示す。

【図３】図１、図２と同様の縦断面図であり、薬剤容器
の底部に空気溜まりを形成する環状突起を設けた実施例
を示す。

【図４】図３と同様の環状突起を設けた他の実施例を示
す。

【図５】図１乃至図４と同様の縦断面図であり、薬剤容
器の側壁部に逆Ｕ字形断面も通水開口部を設けた実施例
を示す。

【図６】貯水タンク内に吊り下げして使用する従来の薬
剤容器を示す斜視図である。

【符号の説明】

１・・・薬剤容器 ２・・・固形薬剤を充填した円筒容器部２ ３・・・蓋部 ４・・・開口部 ５・・・小孔 ６・・・吊持部材 ７・・・排水口 ８・・・水より軽い詮体 ９・・・固形薬剤 １０・・・水溶性の詮体 １１ａ、ｂ・・・環状突起部 １２・・・逆Ｕ字形流路 １３・・・通水開口 １４・・・容器内側下端部

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E03D 9/02

Claims (6)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器内の下部に固形薬剤を充填し、該薬
   剤より上部に通水開口部を有する薬剤容器を貯水タンク
   内の所定高さに吊り下げし、貯水タンクの水位変動を利
   用して一定量の薬剤溶液を容器外に排出するようにした
   薬剤供給装置において、固形薬剤を充填した容器の底面
   に排水口を設け、該排水口に容器内の固形薬剤が容器の
   底面近くまで溶解消耗して初めて開口する閉鎖手段を設
   けたことを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装
   置。
2. 【請求項２】 前記閉鎖手段が、前記排水口の上部に離
   脱可能に装着した水より軽い詮体である請求項１の水洗
   トイレ用芳香洗浄剤供給装置。
3. 【請求項３】 前記閉鎖手段が、前記排水口に装着した
   水溶性の詮体である請求項１の水洗トイレ用芳香洗浄剤
   供給装置。
4. 【請求項４】 前記水溶性の詮体と容器内の固形薬剤と
   の間に空気溜まりを形成した請求項３の水洗トイレ用芳
   香洗浄剤供給装置。
5. 【請求項５】 前記閉鎖手段が、容器底面の前記排水口
   の周囲に空気溜まりを形成する環状の突起である請求項
   １の水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装置。
6. 【請求項６】 容器内の下部に固形薬剤を充填し、該薬
   剤より上部に通水開口部を有する薬剤容器を貯水タンク
   内の所定高さに吊り下げし、貯水タンクの水位変動を利
   用して一定量の溶解薬剤を容器外に排出するようにした
   薬剤供給装置において、固形薬剤を充填した容器の側壁
   の下方寄りに空気溜まりを有する逆Ｕ字形断面の通水開
   口部を形成したことを特徴とする水洗トイレ用芳香洗浄
   剤供給装置。