JP2606206Y2 - 水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、内部に芳香洗浄剤（薬
剤ともいう）を入れ貯水タンク（水洗トイレ用の貯水タ
ンクをいう）内に取付けて使用する水洗トイレ用芳香洗
浄剤供給装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、水洗式便器への汚れの付着防
止と芳香消臭を目的として、貯水タンク内に、固形の芳
香洗浄剤が配置されている。

【０００３】この種の芳香洗浄剤の配置形態は、大別し
て、図７に図示するような芳香洗浄剤20そのものを所定
の形状に固化させて貯水タンク内に投入し該タンクの底
面に固着させて使用するタイプ（投入型という）のもの
と、図６に図示するような、芳香洗浄剤を注水口1aと排
出口1bを備えた溶出調節容器１内で固化させその溶出調
節容器１を吊持手段２を介して貯水タンクＡ（図８参
照）内に吊り下げるタイプ（容器型という）のものがあ
る。

【０００４】上記投入型のものは、上述した如く固化し
た芳香洗浄剤をそのまま貯水タンク内に投入して使用す
る。

【０００５】一方、上記容器型のものは、内部に芳香洗
浄剤を固化させた溶出調節容器１の上記注水口1aが、貯
水タンクの満水時（水洗水の充填時をいう）に浸漬し、
貯水タンクから水洗トイレへの排水時に上記溶出調節容
器１の排出口1bが空気中に露出するよう、上記吊持手段
の寸法を調整して、貯水タンク内に吊持して使用する。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】上記投入型のものは、
使用に際し、上述のように、単に芳香洗浄剤を貯水タン
ク内に適当に投入すれば、所定時間経過後に該芳香洗浄
剤が貯水タンク底面に沈着・固定される。また、所定期
間使用した後には、芳香洗浄剤は溶出してしまうことか
ら、該貯水タンク内に何も残らない。従って、使用に際
し消費者は簡単に使用できるとともに使用後に空の容器
を取出す手間等も要らないという利点がある。

【０００７】しかしながら、この投入型のものは、貯水
タンク底部の不特定な位置に沈着させて使用することよ
り、また投入後しばらく芳香洗浄剤が不安定な状態（定
着しない状態）となるため、芳香洗浄剤が貯水タンクの
排水口を塞いでしまう可能性がある。また、芳香洗浄剤
が貯水タンク内の水に直接溶け出すため、貯水タンク内
の水洗水の薬剤濃度（芳香洗浄剤濃度）は非排水状態が
継続する時間にともない上昇し、水洗のインターバルに
よって、即ち前回の水洗時からの経過時間によって水洗
水の薬剤濃度が異なるという欠点がある。つまり、頻繁
にトイレを使用する場合には十分な芳香洗浄効果が得ら
れず、一方、あまり使用しない場合には必要以上に薬剤
濃度の高い状態となり不経済な事態が生じる。

【０００８】一方、上記容器型のものは、容積が小さい
溶出調節容器内で芳香洗浄剤が短時間で飽和状態にな
り、且つ、溶出調節容器で貯水タンクの水と隔壁されて
いることより、長時間非排水状態が継続しても、貯水タ
ンク内においてそれ以上芳香洗浄剤が溶出することはな
い。そして、水洗時、溶出調節容器の排出口より芳香洗
浄剤が飽和状態に溶けた液（薬液という）が噴出して溶
出調節容器外の水と該薬液とがほぼ均等に混ざり合って
所望の濃さ状態になった液（水洗水という）が得られ
る。

【０００９】そして、上記薬液が溶出調節容器から排出
される際、上記吊持手段の寸法の調節により、該溶出調
節容器内に薬液を何割か残るように構成しておくことに
よって、水洗のインターバルが短くなっても、概ね芳香
洗浄剤が所望の濃さ状態に溶けた水洗水が得られるとい
う利点がある。

【００１０】しかしながら、この容器型のものは、貯水
タンク内に新たに配置する度に、図６に示す溶出調節容
器１の注水口1aと排出口1bが貯水タンクの水位に対して
所定の位置状態になるよう吊持手段２を調整して配設し
なければ上述のような作用効果を得られないという欠点
がある。また、使用後新しいものと交換する際、古い溶
出調節容器内に残った薬液によって手あるいは貯水タン
ク周辺を汚す可能性がある。つまり、使用後新しいもの
と交換する毎に、上記吊持手段の「位置調整」の煩雑さ
と、手等を汚す「容器の取り出し」という厄介な作業が
余儀無くされる。

【００１１】さらには、生活ごみに起因する環境汚染が
大きな社会問題になっている今日、一回限りで溶出調節
容器を廃棄しなければならないという問題もある。

【００１２】また、溶出調節容器が使い捨てとなるた
め、その分価格的にも高くなる。

【００１３】本考案は、上述のような課題に鑑みてなさ
れたものであって、上記「投入型」のものと「容器型」
の両方の利点をのみを具備した水洗トイレ用芳香洗浄剤
供給装置を提供することを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本考案にかかる水洗トイ
レ用芳香洗浄剤供給装置は、水洗トイレの貯水タンク内
に、満水時に少なくとも注水口が浸漬し排水過程におい
て空気中に露出するよう配置される溶出調節容器に、固
形の芳香洗浄剤を入れて使用する水洗トイレ用芳香洗浄
剤供給装置であって、上記溶出調節容器が、芳香洗浄剤
を上方から投入できるよう上面が開口したボックス形状
をし、且つ側壁に注水口と排出口を形成し、この注水口
を側壁の上部に、排出口を該注水口の下方に設けたこと
を特徴とする。

【００１５】また、上記考案にかかる水洗トイレ用芳香
洗浄剤供給装置において、前記溶出調節容器が、側壁に
凹部を有し、この凹部の上方を向いた部位に上記排出口
が形成されていることが、貯水タンク内における薬液の
拡散を促進する上で望ましい構成となる。つまり、水に
比べて比重がやや大きい薬液は、一般に貯水タンク内で
下方に沈下する傾向にあるが、溶出調節容器の排出口か
ら上方に噴出させることにより、貯水タンク内での薬液
の拡散が促進される。

【００１６】

【作用】しかして、本考案にかかる水洗トイレ用芳香洗
浄剤供給装置によれば、溶出調節容器の上面が開口して
いるため、貯水タンク内の所定位置に溶出調節容器が位
置するよう吊持手段によって一度セットしておけば、後
は芳香洗浄剤がなくなれば随時上記開口した上面へ固形
の芳香洗浄剤を適当に投入するだけで、最適な状態で継
続して使用することができる。つまり、貯水タンクが所
定の満水状態において芳香洗浄剤が空間的に狭い溶出調
節容器内で飽和状態まで短時間で溶けて薬液となり、水
洗時、溶出調節容器の排出口から噴出して貯水タンクの
薬剤収容部外の水と均等に混ざり合って、一定の濃さ状
態の水洗水が得られる。

【００１７】この際、排出口を溶出調節容器の底面より
高い位置に設けて、薬液排水時にも薬液が溶出調節容器
内に何割か残るようにしておけば、水洗のインターバル
にさほど左右されることなく、所望の濃さ状態の水洗水
が得られる。

【００１８】また、芳香洗浄剤がなくなりかければ、新
しいものを追加投入しておいても、溶出調節容器内で飽
和状態以上に溶出することがないため、芳香洗浄剤が無
くなった状態になることはなく且つ無駄なく芳香洗浄剤
を使用することができる。

【００１９】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいてより
詳細に説明する。図１は本考案の実施例にかかる水洗ト
イレ用芳香洗浄剤供給装置の構成を示す斜視図である。

【００２０】図１において、１は図７に図示するような
芳香洗浄剤20を収容する溶出調節容器で、この溶出調節
容器１の背面（図１において背面）には吊持手段である
棒状の吊持部材２が配設されている。この実施例では、
上記吊持部材２は、図４あるいは図５に図示する位置調
節機構により、上記吊持部材２に対して上記溶出調節容
器１を上下に移動（調節）させることができるよう構成
されている。この位置調節機構について、具体的に説明
すると、図４に図示するように、上記溶出調節容器１の
背面の側壁1Cに、上記吊持部材２が貫通可能な貫通穴10
a を具備した貫通部材10を設けるとともに、該吊持部材
２にラック状の刻み2cを形成し且つ上記貫通穴10a の対
応する面に上記刻み2cに対応する刻み (図示せず) を設
け、少なくとも上記貫通穴10a と吊持部材２のいずれか
を可撓性の材料（例えば、軟質プラスティック）にして
おくことにより、吊持部材２に対して薬液収容部１を上
下に調節可能にすることができる。あるいは、別の構成
としては、図５に図示するように、上記吊持部材２その
ものを上下に分割した二つの部材2A,2B から構成し、こ
のうちの一つの部材2Aに突起2aを、残りの部材2Bに上記
突起2aが嵌入可能な嵌合穴2bを設ける等により、上下に
移動可能に連結できる位置調節機構を構成してもよい。

【００２１】そして、上記吊持部材２の上端には、図８
に図示する貯水タンクＡの側壁の上縁に係止する逆Ｊ形
の係止片2C（図１参照）が形成されている。

【００２２】ところで、上記溶出調節容器１は、図１に
図示するように、上面1Bが全て開口したボックス形状を
し、また、図において正面の側壁1Aには、注水口1aと排
出口1bが形成されている。この注水口1aは、側壁1Aの上
部に横長の長方形をしている。一方、上記排出口1bは、
正面視において正方形をしており、上記注水口1aの下
方、本実施例では上下方向の略中央に両側に離間して二
箇所形成されている。開口面積的には、排出口1bは注水
口1aの２０〜３５％程度になっている。

【００２３】そして、上記排出口1bの高さは、溶出調節
容器１内に収容される図７に図示する如き固形の芳香洗
浄剤の上面より高い位置になるよう構成されている。

【００２４】しかして、このように構成された水洗トイ
レ用芳香洗浄剤供給装置は、以下のように使用される。
即ち、使用に際し、図８に図示する貯水タンクＡの蓋を
取り外し、該貯水タンクＡの周壁のいずれかの上縁９
に、図１に示す上記吊持部材２の上端の係止片2Cを引っ
掛けることにより、水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装置を
貯水タンクＡ内に配設する。この際、上記図４あるいは
図５に図示する位置調節機構を調節して、貯水タンクＡ
の満水時に、該貯水タンクＡの水位が、少なくとも上記
注水口1aの開口の下端を上回るようセットする。

【００２５】そして、上記溶出調節容器１の開口した上
面1Bから図７に図示する如き固形の芳香洗浄剤を投入す
る。この際、上面1Bの開口面積が芳香洗浄剤より十分大
きいため、且つ上面1Bが開口し貯水タンクＡの水位上方
あるいは水位近傍に位置するため、芳香洗浄剤を簡単に
投入することができる。

【００２６】芳香洗浄剤の投入が終了すると、貯水タン
クＡの蓋を閉める。

【００２７】そして、この状態において、水は注水口1a
から溶出調節容器１内に入るため、空間的に狭い該溶出
調節容器１内で芳香洗浄剤が溶出して短時間で飽和状態
になり、薬液が形成される。

【００２８】そして、水洗トイレが使用され貯水タンク
Ａ内の水が排水される際、溶出調節容器１の排出口1bか
ら薬液が噴出し貯水タンクＡ内で排出流により攪拌さ
れ、貯水タンクＡの排水口11（図８参照）から水洗水と
なって水洗便器へ排出される。

【００２９】この排出により、貯水タンクＡ内には、水
道管等から水が供給されるが、この際、溶出調節容器１
の排出口1bより下方には薬液が残っているため、該溶出
調節容器１内は短時間で芳香洗浄剤の飽和状態（薬液）
が形成される。従って、使用頻度の高い場合にも、芳香
洗浄剤が所望濃度に溶出した水洗水を得ることができ
る。

【００３０】そして、溶出調節容器１の芳香洗浄剤が溶
出して小さくなると、貯水タンクＡの蓋をとって、該溶
出調節容器１内に新しい芳香洗浄剤を投入すればよい。

【００３１】この際、溶出調節容器１の位置調整あるい
は溶出調節容器の貯水タンクＡからの取り出し等の必要
がないため、経済的であり且つ手あるいは貯水タンク周
辺を汚すこともない。また、従来の使い捨ての溶出調節
容器のように、無用なゴミが発生することもない。

【００３２】次に、本考案の別の２つの実施例につい
て、図２，図３を参照しながら説明する。

【００３３】図２に図示する溶出調節容器１は、上記図
１のものに比べて排出口1bの形成状態が異なっている。
即ち、この溶出調節容器１では、上下方向の中央部の角
部1Dに、楔状（三角状）の凹部1eが形成され、この凹部
1eの上方を向いた面 (正確には斜め上方を向いた面)
に、排出口1bが斜め上方を向くよう形成されている。

【００３４】また、別の実施例である図３に図示する溶
出調節容器１でも、上記図２のものと同じ排出口1bが斜
め上方を向くよう形成されている。この実施例では、溶
出調節容器１の中央から下部にかけて帯状に凹部1eが形
成され、この凹部1eの上方を向いた面 (正確には斜め上
方を向いた面) に、排出口1bが斜め上方を向くよう形成
されている。

【００３５】上記図２あるいは図３に図示する如く排出
口1bを斜め上方を向くよう形成すると、薬液が該排出口
1bから噴出する際、斜め上方に向いて貯水タンクＡ内の
広範囲にわたって薬液が噴出されるため、図１の実施例
のものに比べて、貯水タンク内において薬液の拡散が促
進されることになる。なお、貯水タンクに対する溶出調
節容器１の位置関係は、図１の実施例の場合と同様であ
る。

【００３６】

【考案の効果】本考案にかかる水洗トイレ用芳香洗浄剤
供給装置によれば、一度水洗用貯水タンク内の所定位置
に溶出調節容器をセットすれば、後は単に固形の芳香洗
浄剤を溶出調節容器に適当に投入するだけで、インター
バルに関係なくほぼ一定の濃度の水洗水が得られる。

【００３７】従って、従来の「投入型」のように、貯水
タンクの排水口を詰らせることはなく、使用のインター
バルによって薬剤濃度が極端に変化することもない。

【００３８】また、従来の「容器型」のように新しいも
のとの交換の度に溶出調節容器の位置調節をすることな
く、また交換の際に古い溶出調節容器によって手あるい
は周辺を汚すようなこともない。また、溶出調節容器を
交換の度に捨てるような無駄も生じず、生活ごみの削減
にも寄与することとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例にかかる水洗トイレ用芳香洗浄
剤供給装置の溶出調節容器の構成を示す斜視図である。

【図２】本考案の他の実施例にかかる水洗トイレ用芳香
洗浄剤供給装置の要部の構成を示す斜視図で、(a) は溶
出調節容器の構成を示す斜視図、(b) は(a) の排出口部
分の拡大斜視図である。

【図３】本考案のさらに他の実施例にかかる水洗トイレ
用芳香洗浄剤供給装置の要部の構成を示す斜視図であ
る。

【図４】図１に示す水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装置の
位置調節機構の要部の構成を示す斜視図である。

【図５】図４と構成の異なる位置調節機構の要部の構成
を示す斜視図である。

【図６】従来の芳香洗浄剤を収容した水洗トイレ用芳香
洗浄剤供給装置（容器型）の全体外観の構成を示す斜視
図である。

【図７】従来の投入型の芳香洗浄剤を示す斜視図であ
る。

【図８】水洗トイレの貯水タンクの構成を示す部分的に
断面した側面図である。

【符号の説明】

１…溶出調節容器 1a…注水口 1b…排出口 1e…凹部 ２…吊持部材（吊持手段） Ａ…貯水タンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平５−321314（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E03D 9/02

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水洗トイレの貯水タンク内に、満水時に
   少なくとも注水口が浸漬し排水過程において空気中に露
   出するよう配置される溶出調節容器に、固形の芳香洗浄
   剤を入れて使用する水洗トイレ用芳香洗浄剤供給装置で
   あって、 上記溶出調節容器が、芳香洗浄剤を上方から投入できる
   よう上面が開口したボックス形状をし、且つ側壁に注水
   口と排出口を形成し、この注水口を側壁の上部に、排出
   口を該注水口の下方に設けたことを特徴とする水洗トイ
   レ用芳香洗浄剤供給装置。
2. 【請求項２】 前記溶出調節容器が、側壁に凹部を有
   し、この凹部の上方を向いた部位に上記排出口が形成さ
   れていることを特徴とする請求項１記載の水洗トイレ用
   芳香洗浄剤供給装置。