JP2600879B2 - トップラレーダ速度検出方法 - Google Patents

トップラレーダ速度検出方法

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JP2600879B2
JP2600879B2 JP63331138A JP33113888A JP2600879B2 JP 2600879 B2 JP2600879 B2 JP 2600879B2 JP 63331138 A JP63331138 A JP 63331138A JP 33113888 A JP33113888 A JP 33113888A JP 2600879 B2 JP2600879 B2 JP 2600879B2
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    • G01S13/50Systems of measurement based on relative movement of target
    • G01S13/58Velocity or trajectory determination systems; Sense-of-movement determination systems
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ドップラ効果を利用した速度検出方法すな
わちドップラレーダ速度検出方法の特に信号処理に関す
るもので、例えば自動車等の移動体用アンチスキッド制
御装置等に用いるものである。
〔従来の技術〕
この種の方法を使った装置は、自動車に搭載されたア
ンテナからマイクロ波やミリ波等の電波、或いは音波を
路面に送波し、路面からの反射波より自動車の速度に応
じたドップラ周波数(fd)を検出する。ところが実際に
は、第2図(a)に示すようにアンテナからのビームは
角θの如く広がりこの結果、第2図(b)に示すように
ドップラ信号は多くの周波数成分を持ち、さらに各周波
数成分の振幅,位相は路面状態により変化する。
なお、第2図(a)は従来より知られるドップラレー
ダの原理を説明する為のものであり、この第2図(a)
において放射ビームの中心と路面1に垂直な方向との成
す角φ、車速をV〔m/s〕、放射されたマイクロ波の波
長をλ〔m〕とすると理論的なドップラ周波数(理論周
波数ともいう)は次式で与えられる。
故にfd∽Vsinφ また、第2図(b)は、放射したマイクロ波が路面で
反射して帰ってきたのを捕捉して、その捕捉したマイク
ロ波からドップラ信号をとり出し、周波数ごとの電力分
布を測定して表わしたものであり、理論周波数fdを中心
とした山形状の分布になるのが一般的である。
しかし、実際の装置では車両走行中に、0.1〔sec〕毎
に車速を電子回路により演算して出力するといったこと
が行われ、この演算前のサンプリング時間には限度があ
り、よって装置がとりこめる反射波からのデータには限
りがある。よって、この反射波から求められるドップラ
周波数のデータにも限度がある。そして、このドップラ
周波数を横軸にとり、縦軸に特定のドップラ周波数域毎
のデータの発生頻度を模式的に表わしたのが、第3図お
よび第4図である。
ドップラ周波数の発生頻度は、信号のサンプリング時
間が長く、サンプルデータ数が充分多い時は第3図に示
すように理論周波数fdで最大となり、この値を中心にほ
ぼ対称な分布となるが、サンプリング時間が短く、サン
プルデータ数が少ないと、第4図に示す如く最大となる
値が必ずしも理論周波数fdと一致せず、しかも歪んだ分
布となることが多い。車両等のアンチスキッド制御装置
など走行制御に用いる車速検知装置には応答性の良好な
ものが望まれ、従ってサンプルデータ数が限られるため
ドップラ信号をコンパレータによりパルス列に変換し、
サンプル時間内のパルス数を計数するか、或いはパルス
の周期データの平均値からドップラ周波数を算出する従
来の方式では誤差を生じると言う問題点がある。
さらに、降雨などによって水膜が路面を被った場合な
どのように反射面がなめらかな時には、前記ドップラ周
波数の発生頻度は第5図に示すように、低い周波数領域
(左側)まで広がってしまう。このため、前記従来の信
号処理方法では、さらに誤差が増大する。
なお、特開昭57−194371に開示されている方式では、
ドップラ周波数の発生頻度が理論周波数fdで最大になる
ことを前提とし、発生頻度の最大値を検出することによ
り誤差を低減する方式であり、ドップラ信号の周期デー
タが少ない場合は前記したように必ずしも発生頻度の最
大値が理論周波数fdに一致しないため、この方式では応
答性を要求される時、有効な手段となり得ない。
また、特開昭58−39971では、ドップラ効果による周
波数偏位を受けた反射波のN波長分の時間幅をデータと
して所定個数収集し、このうち移動体の速度範囲から明
らかに外れるものを除いているが、前述の第4図に関連
して説明したような移動体の速度範囲の中の周期データ
の変動による誤差が問題になる場合には、この特開昭58
−39971の方式では該誤差が低減できない。また、この
方式では有効な前記時間幅データをさらに所定回数収集
し、これらの値の平均値、及び標準偏差値を求め、前記
平均値から標準偏差を減じたものと平均値に標準偏差値
を加えたものとの間以外のデータを排除し、残りのデー
タの平均値を求めているため、データ数が少ないと誤差
低減効果が低く、特に第5図に示すようなデータの場
合、上記信号処理を行なっても誤差はほとんど低減でき
ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
従って、ドップラ信号の各周波数成分の振幅位相が移
動体が移動する路面の状態により変化しても正確に速度
を求め、かつ、この速度を検出するインターバルを短か
くし、応答性の向上を計ることが望まれる。
また、応答性向上の必要から、データのサンプリング
時間が短かくなり、データ数が比較的少ない状態におい
ても、正確な速度を求めることが望まれる。
更に、路面の状態によって反射波が変化しドップラ周
波数のバラツキが大きく変化しても正確に速度を求める
ことが要求される。
また、ドップラ周波数の発生頻度が理論周波数(fd)
で最大にならなくても誤差の少ない状態で速度を検出す
ることが望まれる。
本発明は、上記の如き種々の問題点に鑑み、ドップラ
信号が多くの周波数成分を持ち、かつ、ドップラ周波数
の発生頻度が理論周波数(fd)で最大にならなくても、
いいかえれば、高速応答性のためにサンプリング時間が
短かくても、より正確に真のドップラ周波数に近い値を
知ることができ、正確な速度を検出することを第1の目
的とするものである。また、本発明の第2の目的は移動
体が走行する路面等の反射波を得る連続物体の表面状態
により、ドップラ周波数のバラツキが大きく変化して
も、異常データの削除により、より正確に速度を求める
ことを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
このために、本発明のドップラレーダ速度検出方法
は、 所定サンプリング時間内にドップラ周波数の情報を持
つ複数のデータを処理し、このデータから所定のインタ
ーバルで順々に移動体の速度に対応したドップラ周波数
を示す値を算出するドップラレーダ速度検出方法であっ
て、 特定周波数の波動エネルギーを走行中の移動体側から
実質的に静止している連続物体に放射し、この物体から
の反射波から前記移動体の走行速度を示すドップラ周波
数の情報を含む分散した値をもつ計測データを求める第
1ステップ、 前記計測データを周波数の低い第1ゾーンと周波数の
高い第2ゾーンとこれら第1および第2ゾーンの中間に
位置し、前回の前記インターバルにおけるドップラ周波
数が含まれる第3ゾーンとに区分し、各ゾーンにおける
前記計測データの発生渉度である度数を計算する第2ス
テップ、 前記計測データと前記前回の前記インターバルにおけ
るドップラ周波数を示す値との間の変化量を求める第3
ステップ、 前記第1ゾーンの度数と前記第2ゾーンの度数との相
対的大小関係から前記移動体の加速状態を表わす補正値
を算出する第4ステップ、および、 前記前回のインターバルにおけるドップラ周波数を示
す値と前記変化量と前記補正値とから今回の前記インタ
ーバルにおけるドップラ周波数を表わす値を算出し、か
つ、この算出した値から今回の前記インターバルにおけ
る前記移動体の速度を算出する第5ステップを備えるも
のである。
〔作用〕
本発明は、基本的には真のドップラ周波数が前回求め
たドップラ周波数に変化分を加えれば求められることを
利用して、所定インターバル毎にドップラ周波数の真の
値を推定し、速度を求めるものである。
反射波から得られた情報は単一のドップラ周波数を表
わすものではなく、分散した値をもっている。そして、
単純にこの分散した値の中央値を真のドップラ周波数で
あると推定すると前述の如く誤差を生じる。よって、本
発明では原理を示す第1図において、ドップラ信号検出
手順200で得られた計測データDを前回のインターバル
で求めたドップラ周波数を基準にして第1〜第3ゾーン
の3ゾーンに手順201で区分し、この各ゾーン内の度数
の大小関係から前回から今回にかけて移動体がどのよう
に加速(マイナスの加速つまり減速も含む)したのかを
判断し、この判断から補正値を手順202で見い出し、手
順204において前回求めたドップラ周波数の計測値から
前述の変数分を表わす変化量を手段203で求め、かつ、
この変化量と前記補正値と前記前回の計測値とを使用し
て、今回のドップラ周波数の真値、つまり速度の真値を
手順205で推定しているのである。
〔発明の効果〕
本発明は基本的には前回求めた車速から今回の車速を
補正を考慮しながら求めていくものであり、かつ、移動
体が走りはじめた直後の速度は零で真値であるため、正
確な速度が検出できる。
特に、高速応答性が求められ短かいインターバルにお
いて順々に現速度を求めていく必要のある場合には、デ
ータのサンプリング時間が短かく、単純にデータを平均
化したりすると誤差を生じるが、本発明は前回の値から
変化分を考慮して推定していく方法であるため、データ
数が少なくても誤差がそれ程大とならず、応答性を高め
ても正確な速度が検出できる。よって、この求めた速度
を利用して制御を行う制御システムの正確性,応答性の
向上が計れるという優れた効果がある。
なお、他の請求項においては、分散度合が所定量より
大きい場合に、第1ゾーンに属するデータを削除してい
るから、反射波が路面等の連続物体の表面状態により乱
れても、より正確な速度を検出できる。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例について説明する。まず、こ
の実施例の概要を説明する。この一実施例では、所定サ
ンプリング時間内のドップラ信号の周期を測定し、該周
期のデータのバラツキの大きさから、降雨時によって水
膜が路面を被った時など、電波、或いは音波の主ビーム
方向からの反射強度が低下するような路面状況を判別
し、路面が該状況にある場合のみ、収集したデータの一
部を削除し、残ったデータを対象にして、前回のドップ
ラ周波数F(k−1)を基準とした上限値,下限値を設
定して、該限界値との大小関係を比較し、下限値と上限
値の間のデータの度数(個数)Nmと、前回のドップラ周
波数F(k−1)とデータとの差の積算値Sfを求め、さ
らに下限値未満の周期データの度数Nlと、前記上限値を
越える周期データの度数Nhとを計数し、前記積算値Sf
と、計数した度数Nm,Nh、及びNlを用いて前回ドップラ
計測値との差を求め、今回の計測値F(k)を算出す
る。路面が前記状況にない時にはデータの削除処理は行
わず、収集した全データを対象とし、同様に、積算値S
f,計数値Nm,Nh,Nlを求めこれらの値を用い今回の計測値
F(k)を求める。
このような処理によって限られたデータサンプル数で
も検出誤差が小さく、しかも、降雨などによって水膜が
路面を被った場合などでも高精度を保持することができ
るものである。
よって、この一実施例を構成する装置は、マイクロ
波、或いは音波を路面に放射し、反射波からドップラ信
号を増幅,波形整形し、パルス列信号を出力するドップ
ラ信号検出手段を有する。また、所定のサンプル時間内
のパルス列信号の周期を測定して測定データを作成する
周期測定手段と、得られた測定データの前記車速計算値
に対応したドップラ周波数(計測値)を基準としたバラ
ツキの大きさが所定値を越える時前記測定データの一部
を削除するデータ削除手段を有する。更に、削除後の測
定データを対象として、前回ドップラ計測値を基準とし
て上限値,下限値を設定し、該上限値及び下限値と、前
記測定データとの大小関係を比較し、上限値を越える測
定データの個数(Nh),下限値未満の測定データの個数
(Nl)、及び上限値以下でかつ下限値以上の測定データ
の個数(Nm)を各々計数する計数手段を有する。又、上
限値以下で、かつ下限値以上の測定データと前回計測値
との差を積算し積算値(Sf)を求める積算手段を有す
る。そして、前記度数(Nh,Nl、及びNm)と、前記積算
値Sf及び前回ドップラ計測値とから今回のドップラ計測
値を算出する演算手段を具備する。
以下、図面に沿って具体的に説明する。一実施例を示
す第6図において、2はマイクロ波を路面1に送信し、
路面1からの反射波を受信し、ドップラ信号を得るドッ
プラレーダ部であり、発振器21,送受信アンテナ22,サー
キュレータ23,ミクサ24、増幅器25およびコンパレータ2
6から成る。また、3は、信号処理部で、CPU3a,ROM3b,R
AM3c,I/O回路3d,3eなどを備えたマイクロコンピュータ
で構成される。
前記ドップラレーダ部2及び信号処理部3には、自動
車のイグニッションスイッチがオンされた時に、定電圧
が電源回路(図示せず)から供給される。また前記ドッ
プラレーダ部2は、自動車の下部に装着され、マイクロ
波ビームが路面1に所定の角度φとなるようにアンテナ
22を設置する。
以下作動について説明する。
上記構成において、イグニッションスイッチがオンさ
れると、電源回路から、ドップラレーダ部2及び信号処
理部3に定電圧が供給され、ドップラレーダ部2がマイ
クロ波の送受信を行う。発振器21からのマイクロ波はサ
ーキュレータ23を介して送受信アンテナ22から路面1へ
放射され路面1からの反射波がアンテナ22で受信され、
前記サーキュレータ23を介してミクサ24に入力される。
一方、前記発振器21からのマイクロ波の一部は、前記サ
ーキュレータ23を介してミクサ24に直接入力され、前記
受信反射波と混合検波される。該検波信号は、ミクサ24
内の図示せぬコンデンサを通り増幅器25で増幅され、コ
ンパレータ26で所定レベルと比較され第7図のようなパ
ルス列信号となるが、第7図に示すようにパルスの立上
りから次のパルスの立上りまでの時間、すなわち、パル
ス周期tはパルス毎に変動する。該パルス列信号は信号
処理部3に入力され、信号処理部3のCPU3aはROM3bに予
め設定されたプログラムに従って演算処理を行う。
この演算処理のプログラムの各ステップの作動説明を
行う前に、先ず第8図〜第9図を用いて、誤差低減の考
えたを概念的に説明する。なお、第8図,第9図はドッ
プラ周波数の分散状態の例を示す説明図である。
誤差の原因は、ドップラ信号が広い周波数成分を有す
るためである。今、仮に真のドップラ周波数fdが判明し
ていると仮定して、第8図に示すようにサンプルデータ
の中から真のドップラ周波数fdの近傍のデータのみを取
り出すことができれば誤差の低減ができるはずである。
しかし、真のドップラ周波数fdは既知ではない。ここ
で、真のドップラ周波数の代わりに前回ドップラ計測値
F(k−1)を基準とした場合を考えてみると、前回ド
ップラ計測値F(k−1)の精度が高ければ、同様に今
回のドップラ計測値F(k)も誤差が小さいものにでき
る。一方、車両の運転の初期状態、即ち停車状態ではド
ップラ周波数は0で真値である。
従って、前回ドップラ計測値F(k−1)を基準とし
て、所定の限界値を設けることにより誤差を低減できる
のである。
しかし、今、第9図のように前回ドップラ計測値F
(k−1)に大して加速操作を行い、ドップラ周波数が
上限値F(k−1)+Δfとなった場合を想定してみる
と、第9図のようにF(k−1)は特性曲線の傾斜に位
置するため、前回のドップラ計測値F(k−1)を基準
とした周波数幅2Δfの間の平均値はF(k−1)+Δ
fにはなり得ない。即ちこの場合は、加減速に対して正
確に応答し得ない。前記周波数幅Δ2fを大きくすれば加
減速に対して応答性は改善するもの、今度は誤差が増大
してしまう。ここで上限値F(k−1)+Δfを越える
データの個数Nhと下限値F(k−1)−Δf未満のデー
タの個数Nhと大小関係をみてみると、加速時にはNh>N
l、減速時にはNh<Nlとなる。そこで加減速の大きさに
対応する前記個数Nh,Nlにより前記周波数幅2Δfの間
の平均値を補正すれば加減速に対する応答性を改善でき
る。
また、第10図(a)に示すように、通常のアスファル
ト等の比較的その表面に凹凸が存在する路面1の場合、
反射波の強度を示す電力分布は第10図(b)のようにビ
ームの中心角θ0で最も強い。しかし降雨などによって
水膜が路面を被い、第11図(a)の如くその表面がなめ
らかになると、ビームの垂直線からの角度θが大きくな
る程、反射してくる電波、或いは音波からなる反射エネ
ルギーの割合が小さくなり、この結果第11図(b)のよ
うに反射強度のビームもビームの中心角θ0からずれ
る。このため、第5図に示すようにドップラ周波数の発
生頻度分布も低域に広がってしまうことが実験で判明し
た。これに対して、サンプルデータから路面がこの第11
図(b)及び第5図のような状況にあることを検出し、
低周波数域のデータを削除し、通常のアスファルト1走
行時と概略同様な頻度分布とした後に、前記処理を行う
ことにより路面状態にともなう誤差を大幅に低減でき
る。
次に演算処理のプログラムの各ステップの作動を説明
する。
第12図はこの演算処理の主たるものを表わすフローチ
ャートである。
この処理において、まず処理開始時のみ、ステップ10
1で後続の処理のための初期化、例えば後述する各変数
のクリアなどを実行する。
ステップ102では、前記パルス列信号(第7図)の各
周期データをt1,t2,t3…tnの如く測定し、この周期デ
ータの逆数から各周期データに対応した周波数データ
f1,f2,f3…f(n)を求める。ステップ103では、得ら
れた周波数データf(n)が第9図の説明にて述べた範
囲Nl,Nh等のどこに入るかを判定し、その範囲に応じて
処理をするサブルーチンで、第13図に示すフローチャー
トに従って作動する。
第13図においてサブルーチン103のステップ1031で
は、ステップん102で得られた周波数データf(n)
と、前回計測値F(k−1)を基準とした上限値F(k
−1)+Δfと、下限値F(k−1)−Δfとの大小関
係を比較する。
fn>F(k−1)+Δfのときには、ステップ1032で
変数Nhをインクリメントし、fn<F(k−1)−Δfの
時にはステップ1034で変数Nlをインクリメントする。さ
らにF(k−1)−Δf≦f(n)≦F(k−1)+Δ
fの場合ではステップ1033で変数Nmをインクリメントす
るとともに、今の変数Sfに前回計測値F(k−1)と周
波数データf(n)との差F(k−1)−f(n)=Δ
f(n)を加算して変数Sfを更新する。
次に第12図のステップ104で、データ測定開始後、時
間が所定のサンプリング時間Tsに達するか否かを判断
し、所定値Tsに達しない場合には、ステップ102,ステッ
プ103,ステップ104からなる一連の処理が所定サンプリ
ング時間Tsに達する迄くり返し実行される。前記時間Ts
に達すると、ステップ105は現在走行している路面が、
第11図(a)に示すような正常な状況にあるか否かを判
別するもので、得られた周波数データf1,f2…fnの前回
計測値F(k−1)を基準とした分散B(k)を(1)
式より求め、さらにこれを前記計測値F(k−1)で正
規化した分散値b(k)を(2)式により求める。
b(k)=B(k)/〔F(k−1〕2 −(2) すなわち、第3図,第4図および第5図のようにドッ
プラ周波数が種々の分散の仕方をするが、この分散の度
合を数値化するのである。上記(1)式においてF(k
−1)は前回計測値、f(k)はサンプリング中に逐時
得られる周波数データf1,f2…fnのその時々の値を示
す。
なお、分散の具合を数値化した値b(k)は上述の
(1),(2)式によらずとも実施でき、種々の分散
(バラツキを含む)を求める数学的統計的手法を採用で
きる。
さらに正規化した分散値b(k)が所定値b0を越える
か否かを第12ずのステップ105で判別する。
第14図は、通常のアスファルトの進入路から水の散布
により水膜を張った樹脂路(プラスチック製路面)を走
行した走行実験の結果であり、横軸に走行時間、縦軸に
前述の分散値b(k)をとってある。また、Z1はアスフ
ァルト領域、Z2は水を散布した樹脂路を示している。こ
の第14図にて判明する如く、水膜の張った樹脂路の部分
Z2で、前記正規化した分散値b(k)が増加しており、
明確に路面状況の判別ができる。従って正規化した分散
値b(k)が所定値b0を越える場合は、マイクロ波の主
ビーム方向からの反射強度が大きく低下する路面状況に
あると判断し、第12図のステップ106へ進む。
ステップ106では前記ステップ103で得られた下限値F
(k−1)−Δf未満の周波数データf(n)の個数を
表わす変数Nlの値を(3)式により書きかえ低周波数域
のデータを削除する。
Nl=Nl−(Nl+Nh+Nm)・α (3) ここではαのデータの削除率を表わし、正規化した分
散値b(k)の値に応じて設定される。また(Nl+Nh+
Nm)はステップ102,103,104でサンプリングしたデータ
総数である。すなわち、この総数の何割かを前回のNl値
から差し引いてステップ106後の新Nl値としている。こ
のようにしてステップ106では、前記路面状況における
異状な低周波数域データの削減を行い、次ステップ107
へ進む。
一方、前記正規化した分散値b(k)が所定値b0以下
の時は、前記ステップ106は通らず、従って前記低周波
数域データの削除を行うことなく、ステップ107へ進
む。
ステップ107では前記上限値F(k−1)+Δfを越
える周波数データの個数Nlと、下限値F(k−1)−Δ
f未満の周波数データf(n)の個数Nlとから度数平均
値D(k)を(5)式により求める。
D(k)=(Nh−Nl)/(Nh+Nl+Nm) (5) なお、前述したように加速時にはNh>Nl、減速時にはNh
<Nlであるから、このD(k)は車両の加減速の度合を
表わしている。
ステップ108では第13図のステップ1033で得られた変
数SfとNm及びステップ107で得られたD(k)を用い
(6)式により今回ドップラ計測値F(k)を算出し、
車速値V(k)に変換し、出力するとともに、第12図の
ステップ109に進む。
この(6)式のKfは加減速に対する計測値の応答遅れを
補正する係数で、実験的に決定する。また、F(k)か
ら車速値V(k)への変換は前述の第1図の説明で述べ
た如くfd∝Vsinφであるから、計算式またはコンピュー
タ内のマップを用いて求める。ステップ109では、次回
での計測のために得られた周波数F(k)以外の変数を
初期化する。その後、ステップ102以下前述した各ステ
ップをくり返し実行す。
第15図に、上記一実施例の装置の信号処理の効果を表
わす実験結果例を示す。第15図(a)はドップラ計測値
を評価するための車両に装着した第5輪(計測用車輪)
の車輪速から求めた車速値、第15図(b)はドップラレ
ーダ部からのパルス列信号を前述した従来方式で処理し
て求めたドップラ計測値、第15図(c)は上記一実施例
装置の信号処理によるドップラ計測値を示す。
レーダ部の条件は、周波数f=10・3〔GHZ〕,アン
テナビーム角φ=40°,アンテナ半値角18°,サンプリ
ング時間Tsは0.1〔sec〕,Δf=Kf=40〔HZ〕であり、
前述の(3)式で用いた削除率αは、第16図に示すよう
に正規化した分散値b(k)の値に応じて可変としてい
る。
なお、上記一実施例では、周期データを周波数データ
に変換して処理を行ったが、変換せずに周期データのま
ま処理しても良い。この場合に例えば前記上限値F(k
−1)+Δfを1/〔F(k−1)+Δf〕という具合に
変えて、前記変数Nm,Nl,Nh,Sfを用いて処理することに
なる。
また、前記データの削除を行うステップ106におい
て、上記一実施例では第16図の如く正規化分散b(k)
の大きさに応じて削除率αを設定し、上記(3)式の如
く変数Nlを補正したが、このような削除率αを用いない
で、乾いたアスファルト等のマイクロ波の主ビーム方向
からの反射波を強度を低下しない路面状況において、前
回計測値F(k−1)が出力される時に発生しうる周波
数成分のうち最も低いもの(例えば第4図のfm)を基準
として、収集したデータ(例えば第5図のデータ)の中
から、該基準(fm)より低い周波数のデータを削除する
ことにより、低周波数域データの削除を行なってもよ
い。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明一実施例の処理フローの概要の説明図、
第2図(a)は従来より知られるドップラレーダ装置の
原理を説明する放射ビームの説明図、第2図(b)は第
2図(a)の放射ビームの反射波からドップラ信号を取
り出し、周波数毎の電力分布を示した特性図、第3図な
いし第5図は上記従来より知られるドップラレーダ装置
で一般的に得られるデータを模式化して示すもので、第
3図はデータ数が多い場合で、第4図はデータ数が少な
い場合の特性図、また、第5図は放射ビームの反射波が
反射面の状態で乱れた場合を説明するための特性図、第
6図は本発明方法の一実施例を用いて構成したドップラ
レーダ車速検出装置の概略構成図、第7図は第6図のマ
イクロコンピュータに入力されるパルス列信号の波形
図、第8図は上記一実施例の作動原理を説明するために
用いたもので、得られたデタの周波数毎の分散度合を説
明するための特性図、第9図は第8図と同じく分散状態
を示すもので、上記一実施例において得られたデータの
3つのゾーンに区分する状況を概念的に説明するための
特性図、第10図(a),第10図(b),第11図(a)お
よび第11図(b)は、従来より知られたドップラレーダ
装置における一般的な放射ビームの反射特性を説明する
ための図面であり、第10図(a)と第11図(a)は路面
の凹凸が互いに異なる状態を示す説明図、第10図(b)
と第11図(b)は夫々第10図(a)と第11図(a)の場
合における反射特性図、第12図は上記一実施例装置の中
で実行される処理の全体を示すフローチャート、第13図
は第12図の中の詳細な処理を示すフローチャート、第14
図は従来から知られるドップラレーダ装置の反射波が路
面表面状況の影響を受けることを説明するための分散値
変化図、第15図(a),第15図(b)および第15図
(c)は従来装置と上記一実施例との相違を実験結果か
ら説明するためのもので、第15図(a)はドップラレー
ダ装置によらず計測用車輪を車両に取付けて車速を実測
した車速実測図、第15図(b)は従来のドップラレーダ
装置で求めた車速実測図、第15図(c)は上記一実施例
で求めた車速実測図、第16図は上記一実施例中のデータ
処理においてデータの削除率をデータの分散度合に応じ
て可変とする例を示す削除率の変化特性図である。 fd…理論的なドップラ周波数,2…ドップラレーダ部,22
…送受信アンテナ,23…サーキュレータ,24…ミクサ,3…
信号処理部,F(k−1)…前回求めたドップラ周波数の
計測値,Nl…低周波数域のデータの度数,Nh…高周波数域
のデータの度数,b(k)…分散値,b0…所定の分散値,S
f…変化量を示すパラメータとなる積算値。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定サンプリング時間内にドップラ周波数
    の情報を持つ複数のデータを処理し、このデータから所
    定のインターバルで順々に移動体の速度に対応したドッ
    プラ周波数を示す値を算出するドップラレーダ速度検出
    方法であって、 特定周波数の波動エネルギーを走行中の移動体側から実
    質的に静止している連続物体に放射し、この物体からの
    反射波から前記移動体の走行速度を示すドップラ周波数
    の情報を含む分散した値をもつ計測データを求める第1
    ステップ、 前記計測データを周波数の低い第1ゾーンと周波数の高
    い第2ゾーンとこれら第1および第2ゾーンの中間に位
    置し、前回の前記インターバルにおけるドップラ周波数
    が含まれる第3ゾーンとに区分し、各ゾーンにおける前
    記計測データの発生渉度である度数を計算する第2ステ
    ップ、 前記計測データと前記前回の前記インターバルにおける
    ドップラ周波数を示す値との間の変化量を求める第3ス
    テップ、 前記第1ゾーンの度数と前記第2ゾーンの度数との相対
    的大小関係から前記移動体の加速状態を表わす補正値を
    算出する第4ステップ、および、 前記前回のインターバルにおけるドップラ周波数を示す
    値と前記変化量と前記補正値とから今回の前記インター
    バルにおけるドップラ周波数を表わす値を算出し、か
    つ、この算出した値から今回の前記インターバルにおけ
    る前記移動体の速度を算出する第5ステップを備えるこ
    とを特徴とするドップラレーダ速度検出方法。
  2. 【請求項2】今回の前記サンプリング時間中にサンプリ
    ングした前記計測データの分散度合を求める第6ステッ
    プ、および 前記分散度合が所定量より大きい場合に前記計測データ
    から前記第1ゾーンに属するデータを削除して補正され
    た計測データを求める第7ステップを更に有し、前記第
    4ステップにおいては前記補正された計測データの第1
    ゾーンの度数と前記第2ゾーンの度数との相対的大小関
    係から前記移動体の加速状態を表わす前記補正値を算出
    することを特徴とする請求項1記載のドップラレーダ速
    度検出方法。
  3. 【請求項3】所定サンプリング時間内にドップラ周波数
    の情報を持つ複数のデータを処理し、このデータから所
    定のインターバルで順々に車速に対応したドップラ周波
    数の測定値を算出するドップラレーダ速度検出方法であ
    って、 特定周波数の電波および音波のうちいずれか一方の波を
    車両側から路面に放射し、前記路面からの反射波から前
    記車両の走行速度を示すドップラ周波数の情報を含む複
    数のパルス列信号をつくる第1ステップ、 前記パルス列信号のパルス周期および周波数のうち少な
    くともいずれか一方を含む、分散した値をもつ計測デー
    タを求める第2ステップ、 前記計測データと前回の前記インターバルにおけるドッ
    プラ周波数の測定値に第1所定量を加減算したものとの
    大小関係を判別し、前記計測データを周波数の低い第1
    ゾーンと、周波数の高い第2ゾーンと、これらの中間ゾ
    ーンとに区分し、各ゾーンにおける前記計測データの発
    生渉度である度数を計算する第3ステップ、 前記計測データの個々の値と前回の前記インターバルに
    おけるドップラ周波数の測定値を表わす値との差を積算
    した積算値を変化量として求める第4ステップ、 今回の前記サンプリング時間中にサンプリングした前記
    計測データの分散度合を求める第5ステップ、 前記計測データの分散度合が大きい場合に前記第3ステ
    ップにおける第1ゾーンの度数を補正して小さくする第
    6ステップ、 前記第6ステップにて補正された前記第1ゾーンの度数
    と前記第2ゾーンの度数との相対的大小関係から前記車
    両の加速状態を表わす補正値を算出する第7ステップ、 前記前回のインターバルにおけるドップラ周波数の測定
    値と、前記第4ステップで求めた積算値と、前記第7ス
    テップで求めた前記補正値とから今回の前記インターバ
    ルにおけるドップラ周波数を表わす値を算出する第8ス
    テップ、および、 前記第8ステップで算出した前記ドップラ周波数を表わ
    す値から車速を算出する第9ステップを備えたことを特
    徴とするドップラレーダ速度検出方法。
  4. 【請求項4】所定サンプリング時間内にドップラ周波数
    を示す複数のデータを処理し、このデータから所定のイ
    ンターバルで順々に車速に対応したドップラ周波数の測
    定値を算出するドップラレーダ速度検出方法であって、 特定周波数の波動エネルギーを発振器で発振し、この発
    振された波動エネルギーを車両側から路面へ放射し、該
    路面からの反射波を受信し、この受信信号をミクサに入
    力し、一方、前記発振器からの波動エネルギーの一部を
    前記ミクサに入力し、前記受信信号と前記発振器からの
    波動エネルギーとを混合し、検波することにより検波信
    号を形成し、この検波信号を増幅した後、所定レベルと
    比較して波形整形し複数の矩形パルスからなるパルス列
    信号をつくる第1ステップ、 前記パルス列信号の前記矩形パルス相互間の時間差であ
    るパスル周期を所定サンプリング時間にわたって順々に
    測定し、前記パルス列信号のパルス周期を示す周期デー
    タおよび前記パルス列信号の周波数を示す周波数データ
    のうち少なくともいずれか一方の分散された計測データ
    〔f(n)〕を求める第2ステップ、 前記計測データ〔f(n)〕と、前回の前記インターバ
    ルにおけるドップラ周波数の測定値〔F(k−1)〕に
    第1所定量(Δf)を加減算したものとの大小関係を判
    別し、前記計測データの値が前記ドップラ周波数の測定
    値に前記第1所定量を加えた値よりも大きい前記計測デ
    ータの個数を示す第1度数(Nh)と、前記ドップラ周波
    数の測定値から前記第1所定量を引いた値よりも小さい
    前記計測データの個数を示す第2度数(Nl)と、前記ド
    ップラ周波数の測定値に前記第1所定量を加えた値と前
    記ドップラ周波数の測定値から前記第1所定量を引いた
    値との間の値を持つ前記計測データの個数を示す第3度
    数(Nm)とを計算する第3ステップ、 今回の前記所定サンプリング時間においてサンプリング
    した前記計測データ〔f(n)〕の夫々の値を前回の前
    記インターバルにおいて求めた前記ドップラ周波数の測
    定値から差引いた値〔Δf(n)=F(k−1)−f
    (n)〕を夫々加算して合計値となる(Sf)を変動量と
    して求める第4ステップ、 今回の前記計測データ〔f(n)〕の夫々の値と前回の
    前記インターバルにおけるドップラ周波数の測定値〔F
    (k−1)〕とから前記計測データ〔f(n)〕の分散
    状態を示す分散値〔b(k)〕を求める第5ステップ、 前記分散値〔b(k)〕と第2所定値(b0)との大小関
    係を判定し、前記分散値が前記第2所定値を超える場合
    は、前記第2度数(Nl)から第3所定値を差引いて前記
    第2度数(Nl)を小さくする第6ステップ、 前記第1度数(Nh)と前記第6ステップ以後の前記第2
    度数(Nl)との相対的大小関係から前記車両が前回のイ
    ンターバルから今回のインターバルにかけて、どの程度
    加速および減速のうち少なくともいずれか一方の操作が
    なされたかを表わす補正値を算出する第7ステップ、 前記前回のインターバルにおけるドップラ周波数の測定
    値〔F(k−1)〕に前記第4ステップで求めた前記積
    算数(Sf)の平均と前記第7ステップで求めた前記補正
    値とを加えて今回の前記インターバルにおけるドップラ
    周波数の測定値〔F(k)〕を求める第8ステップ、お
    よび 前記今回のインターバルにおけるドップラ周波数の測定
    値〔F(k)〕から今回の前記インターバルにおける車
    速を算出する第9ステップを備えたことを特徴とするド
    ップラレーダ速度検出方法。
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