JP2600536Y2 - 調光装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、舞台用やスタジオ用に
用いられる調光装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】劇場の舞台やテレビスタジオなどでは、
複数の照明灯を使って、その明るさや色を変化させ演出
を行っている。通常、これらの照明灯の制御は、スライ
ド型のプリセットフェーダが複数本配列されている調整
操作卓を使用して行っている。そのプリセットフェーダ
は、照明灯の調光制御を行う調光器とたとえば１対１に
接続されており、各プリセットフェーダを操作すること
によって照明灯の明るさを制御することができる。ここ
で、各プリセットフェーダを操作して作り出した照明状
態をシーンと呼び、このシーンに番号を付けてリハーサ
ル時に予め記憶しておき、本番には番号１つで呼び出し
再生することができる。

【０００３】調整操作卓には、一定の数のプリセットフ
ェーダが一段分として水平に配列されたものが複数段備
えられており、この一段分のプリセットフェーダ１つの
をプリセットフェーダ段として機能を割り当てる。通
常、シーンの再生を行う場合、予め記憶されている所望
のシーンデータを呼び出し、そのシーンの照明状態の再
生を行う。ここで、その再生状態を補正したい場合など
は、任意のプリセットフェーダ段を再生用として選択
し、そのプリセットフェーダで照明の明るさを確認しな
がら調整して、補正を行う。また、予め記憶されている
シーンデータを演出の変更などによって修正したい場合
は、従来では特定のプリセットフェーダ段を修正用とし
て予め定め、そのプリセットフェーダ段を使用して修正
を行っている。そして、そのプリセットフェーダ段によ
って修正するシーンデータを設定して、シーンデータの
記憶内容を書き換えている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】従来の調光操作卓で
は、前述のように既に記憶しているシーンデータを修正
する場合、複数段あるプリセットフェーダ段のうち、予
め決められたプリセットフェーダ段でしか修正操作を行
うことができない。そのため、修正操作を行うプリセッ
トフェーダ段が再生用として使用されている場合には、
修正操作を行うことができない。また、修正用のプリセ
ットフェーダ段を予め意識して、それ以外のプリセット
フェーダ段を使用して再生操作を行う必要があり、操作
性が悪い。

【０００５】本考案の目的は、容易にプリセットフェー
ダ値の修正操作を行うことができる調光装置を提供する
ことである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、複数のプリセ
ットフェーダ段を備え、複数の照明負荷の明るさを予め
設定されている調光レベルに従ってシーン毎に再生し、
シーンの再生中はプリセットフェーダ段のうちの少なく
とも１つを再生用として、再生中の調光レベルに対する
補正のために使用する調光装置において、再生用として
使用中のプリセットフェーダ段を検出し、使用中でない
プリセットフェーダ段を選択して、選択されたプリセッ
トフェーダ段を予め設定されているシーンの修正用に使
用可能にする選択手段と、選択手段からの出力に応答
し、修正用に使用可能なプリセットフェーダ段を表示す
る表示手段とを含むことを特徴とする調光装置である。

【０００７】

【作用】本考案に従えば、選択手段と、表示手段とを含
む調光装置が用いられる。選択手段は、再生用として使
用中のプリセットフェーダ段を検出し、使用中でないプ
リセットフェーダ段を選択して、選択されたプリセット
フェーダ段を予め設定されているシーンの修正用に使用
可能にする。表示手段は、選択手段からの出力に応答
し、修正用に使用可能なプリセットフェーダ段を表示す
る。したがって、操作者は、常に修正用のプリセットフ
ェーダ段を表示によって認識することができ、そのプリ
セットフェーダ段を使用して、容易にプリセットフェー
ダ値の修正処理をすることができる。

【０００８】

【実施例】図１は、本考案の一実施例の調光装置の電気
的構成を示すブロック図である。調光装置１のプリセッ
トフェーダ部２は、一定数のプリセットフェーダで構成
されたプリセットフェーダ段３がＮ段備えられている。
各プリセットフェーダ段３には、修正用のプリセットフ
ェーダ段３を表示するための表示灯４が設けられてい
る。プリセットフェーダ段３をシーンの再生用に使用す
る場合、プリセットフェーダ部２のＮ段あるプリセット
フェーダ段３のうち、再生を行う場合に使用するプリセ
ットフェーダ段３を選択し、対応する段選択ボタン５を
押下する。再生段検出部６は、その段選択ボタン５のう
ち、どの段選択ボタン５が押下されているかを検出す
る。押下されている段選択ボタン５の接点は導通してい
るので、再生段検出部６はその状態を読み取り検出す
る。

【０００９】再生検出部６で検出された選択されている
段選択ボタン５のデータ内容は、プリセットフェーダ部
２に出力される。メモリー部８は、各シーンの照明状態
における各プリセットフェーダ値がシーン毎に記憶され
ている。修正処理部７は、シーンのプリセットフェーダ
値のデータ内容を修正する場合、メモリー部８より修正
するシーンのデータを読出し、そのデータとプリセット
フェーダ部２から読出した修正値のデータとを比較し
て、異なるプリセットフェーダ値の修正を行い、その修
正されたデータをメモリー部８に格納する。各シーンの
設定されたプリセットフェーダ値は、演算部９において
調光レベルを表す調光レベル信号に変換され、出力部１
０を介して調光器１１へ与えられる。調光器１１から
は、接続されている照明負荷１２へ調光レベル信号に対
応する調光電圧が与えられ、照明負荷１２を調光電圧に
対応した明るさとなるように駆動することができる。

【００１０】図２は、図１図示の調光装置における修正
処理開始までの手順を示したフローチャートである。ス
テップａ１で処理をスタートさせる。ステップａ２で、
修正操作を行う場合は、ステップａ３に移る。ステップ
ａ３では、Ｎ段目のプリセットフェーダ段が再生中で使
用しているか否かを判断する。Ｎ段目のプリセットフェ
ーダ段が再生中の場合、段選択ボタン５のＮ段目が押下
され、その段選択ボタン５が再生段検出部６で検出され
て、そのデータがプリセットフェーダ部２へ送られてく
るので、Ｎ段目が再生中であることを判断することがで
きる。ステップａ３でＮ段目のプリセットフェーダ段３
が再生中でない場合、ステップａ４に移る。ステップａ
４では、Ｎ段目のプリセットフェーダ段３が再生中でな
いので、このプリセットフェーダ段３を修正用として使
用することができ、第Ｎ段のプリセットフェーダ段３の
表示灯４を表示させる。操作者は、この表示灯４の表示
によって、第Ｎ段のプリセットフェーダ段３を修正用と
して使用できることを認識することができる。次にステ
ップａ５に移り、修正処理を行う。この場合、第Ｎ段の
プリセットフェーダ段３を使用して、修正データの設定
を行う。次に、修正するシーンの各プリセットフェーダ
値のデータは、メモリー部８から修正処理部７へ読み出
され、設定された修正データと比較され、異なっている
データの修正が行われて、メモリー部８へ格納される。

【００１１】ステップａ３で、Ｎ段目のプリセットフェ
ーダ段３が再生中でない場合、ステップａ６に移る。ス
テップａ６では、（Ｎ−１）段目のプリセットフェーダ
段３が再生中で使用しているか否かの判断を行ってい
る。ここで、（Ｎ−１）段目のプリセットフェーダ段３
が再生中でない場合の処理は、前述のステップａ３〜ａ
５の処理と同様である。また、（Ｎ−１）段目のプリセ
ットフェーダ段３が再生中の場合は、そのプリセットフ
ェーダ段より１つ少ない段数のプリセットフェーダ段に
おいて、再生中であるか否かの確認を行っている。この
ようにして、Ｎ段目から１段目までのプリセットフェー
ダ段３が、再生中で使用しているか否かを順次自動的に
認識し、最初に検出した再生中でないプリセットフェー
ダ段３を表示灯４で表示し、それを修正用のプリセット
フェーダ段３として使用することができる。Ｎ段目から
１段目までのすべてのプリセットフェーダ段３が使用中
の場合は、ステップａ８に移りエラー処理を行うので、
修正処理をするこはできない。

【００１２】図３は、本考案の他の実施例の調光装置の
概略的な電気的構成を示すブロック図である。この実施
例は、図１図示の実施例に類似し、対応する部分には同
一の参照符を付す。ここで注目すべき点は、メモリーで
構成されている退避部２０を設けて、第Ｎ段のプリセッ
トフェーダ値のデータを退避することができることであ
る。

【００１３】図４は、図３図示の調光装置において、修
正処理開始までの手順を示すフローチャートである。こ
のフローチャートは、図２図示の前述の実施例に類似
し、ステップｂ８およびｂ９の処理のみ異なり、他の処
理の内容は同一である。したがって、同一の処理内容に
ついては説明を省略する。前述の実施例では、Ｎ段目か
ら１段目までのプリセットフェーダ段３が、再生中で使
用しているか否かを順次自動的に確認し、すべてのプリ
セットフェーダ段３が使用中の場合、エラー処理を行う
ので修正処理をすることができない。しかしこの実施例
では、すべてのプリセットフェーダ段３が使用中の場
合、ステップｂ８に移る。ステップｂ８では、再生中の
Ｎ段目のプリセットフェーダ段３の設定値のデータを退
避部２０へ退避し、そのデータを保存する。次にステッ
プｂ９では、Ｎ段目のプリセットフェーダ段３を修正用
として用い、第Ｎ段のプリセットフェーダ段３用の表示
灯４を表示させる。操作者は、この表示灯４の表示によ
って、第Ｎ段のプリセットフェーダ段３を修正用として
使用できることを認識することができる。次にステップ
ｂ５に移り、前述の修正処理を行う。このようにして、
Ｎ段目から１段目までのすべてのプリセットフェーダ段
３が使用中の場合でも、Ｎ段目のプリセットフェーダ段
３を修正用として使用することができる。

【００１４】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、再生用と
して使用中のプリセットフェーダ段を検出し、使用中で
ないプリセットフェーダ段の中から修正用として選択
し、そのプリセットフェーダ段を表示させることができ
る。これによって、操作者は容易に修正用のプリセット
フェーダ段を認識して、修正処理を行うことができる。
また、再生操作する場合においても、表示されている修
正用プリセットフェーダ段以外を使用すればよいので、
容易に再生操作を行うことができる。したがって、修正
操作を行うプリセットフェーダ段が再生用に使用されて
いるといった不具合はなくなり、効率的に修正処理を行
うことができる。このようにして、修正のために、再生
用として使用されていない任意のプリセットフェーダ段
を選択することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例の調光装置の電気的構成を示
すブロック図である。

【図２】図１図示の調光装置において、修正処理開始ま
での手順を示したフローチャートである。

【図３】本考案の他の実施例の調光装置の概略的な電気
的構成を示すブロック図である。

【図４】図３図示の調光装置において、修正処理開始ま
での手順を示したフローチャートである。

【符号の説明】

１ 調光装置 ２ プリセットフェーダ部 ３ プリセットフェーダ段 ４ 表示灯 ５ 段選択ボタン ６ 再生段検出部 ７ 修正処理部 ８ メモリー部 ９ 演算部 １０ 出力部 １１ 調光器 １２ 照明負荷

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のプリセットフェーダ段を備え、複
   数の照明負荷の明るさを予め設定されている調光レベル
   に従ってシーン毎に再生し、シーンの再生中はプリセッ
   トフェーダ段のうちの少なくとも１つを再生用として、
   再生中の調光レベルに対する補正のために使用する調光
   装置において、 再生用として使用中のプリセットフェーダ段を検出し、
   使用中でないプリセットフェーダ段を選択して、選択さ
   れたプリセットフェーダ段を予め設定されているシーン
   の修正用に使用可能にする選択手段と、 選択手段からの出力に応答し、修正用に使用可能なプリ
   セットフェーダ段を表示する表示手段とを含むことを特
   徴とする調光装置。