JP2599733B2 - N―メチロール化合物―エチレン―酢酸ビニル三元共重合体の製造方法 - Google Patents

N―メチロール化合物―エチレン―酢酸ビニル三元共重合体の製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、不織布の製造に用いられる、自己架橋性バ
インダーの製造方法に関する。
〔従来の技術とその問題点〕 不織布等の繊維製品の製造に、エチレン−酢酸ビニル
−N−メチロール化合物を乳化共重合して得られる自己
架橋性共重合体をバインダーとして使用することは公知
である。
しかしながら、上記架橋剤は架橋反応の際に遊離ホル
ムアルデヒドを発生し、特に不織布を衣料材料として使
用する場合は安全上好ましくない。
これまでホルムアルデヒド対策としてアクリルアミド
を共重合する方法(特開昭59−187658号公報)が提案さ
れているが、その効果は十分でなかつた。また捕集剤を
併用する方法(特公昭59−30824号公報)も提案されて
いるが、ジシアンジアミド、尿素、グアニジン塩等を使
用するため、その用途に制限があつた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は、不織布用バインダーに係る問題点を解
決すべく鋭意検討を重ねた結果、アクリルアミド変性ポ
リビニルアルコール(酢酸ビニル−アクリルアミド共重
合体けん化物)を保護コロイドとして使用すると遊離ホ
ルムアルデヒド発生量が低くなることを見出し本発明を
完成した。
即ち本発明の第1の発明は、アクリルアミド含有量1
〜10重量%、けん化度85モル%以上の酢酸ビニル−アク
リルアミド共重合体けん化物を保護コロイドとして存在
させ、エチレン5〜30重量%、N−メチロールアクリル
アミドおよび/またはN−メチロールメタアクリルアミ
ドよりなるN−メチロール化合物0.5〜10重量%及び酢
酸ビニル60〜94.5重量%を乳化共重合させることを特徴
とするN−メチロール化合物−エチレン−酢酸ビニル三
元共重合体の製造方法である。
本発明により製造されるN−メチロール化合物−エチ
レン−酢酸ビニル三元共重合体は不織布用バインダーと
して好適であり、該不織布用バンダーは自己架橋性共重
合体であつてエチレン含量は5〜30重量%である。エチ
レン含量が5重量%未満では柔軟性が不足し、不織布製
品に適度な風合いが得られない。一方30重量%を越す
と、不織布製品の強度が低下する。
N−メチロールアクリルアミドおよび/またはN−メ
チロールメタクリルアミドよりなるN−メチロール化合
物の含量は0.5〜10重量%である。0.5重量%未満では、
不織布製品の十分な強度が得られず、一方10重量%を越
すと遊離ホルムアルデヒド発生量が多くなる。
保護コロイドとしての酢酸ビニル−アムリルアミド共
重合体けん化物(アクリルアミド変性ポリビニルアルコ
ール)の使用量は1〜5重量%(対共重合体固型分)が
好ましい。1重量%未満ではホルマリン発生抑制効果が
十分でなく、一方5重量%を越すと自己架橋性共重合体
の粘度上昇が著しい。
上記のアクリルアミド変性ポリビニルアルコール中の
アクリルアミド含有量は1〜10重量%である。1重量%
未満ではホルムアルデヒド発生抑制効果が十分でなく、
一方10重量%を越すと保護コロイド性が良くない。また
けん化度は85モル%以上である。85モル%未満では保護
コロイド性が悪い。本アクリルアミド変性ポリビニルア
ルコールは、乳化重合で一般的に用いられる保護コロイ
ド(例、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロー
ス等)、非イオン性界面活性剤(例ポリオキシエチレン
縮合体等)およびアニオン性界面活性剤(例、アルキル
ベンゼンスルホン酸塩等)の一種以上との併用も可能で
ある。
アクリルアミド変性ポリビニルアルコールは、市販品
を入手することもまた公知の方法により製造することも
可能である。たとえば、酢酸ビニル及びアクリルアミド
を、アゾビスイソブチロニトリル等を開始剤として共重
合せしめて酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体を得る
か、この際任意量のアクリルアミドをメタノールに溶解
し、重合中連続的に添加し均一に共重合せしめる。得ら
れたポリ酢酸ビニル−アクリルアミド共重合物のメタノ
ール溶液中の未反応モノマーを除去後、アクリルアミド
をけん化しない程度のアルカリを加え加アルコール分解
によりアクリルアミド変性ポリビニルアルコールを得る
ことができる。
乳化重合方法は公知の方法を使用することが出来る。
重合条件に特に制限はないが、一般的には重合温度20〜
80℃、重合圧力10〜90Kg/cm2が利用される。
以上の方法で得られた自己架橋性共重合体の不織布用
バインダーを使用して不織布を製造するには、湿式およ
び乾式等の方法によつて得られた未結合あるいは予備結
合されたウエツブを上記バインダー中に浸漬するか、ま
たは上記バインダーをスプレー等の方法によつて付着さ
せ、乾燥、熱処理する。
上記バインダーには、必要に応じて消泡剤・顔料・撥
水剤・起泡剤・分散剤を添加することができ、またSBR
等の他の公知のバインダーとしての併用も可能である。
熱処理は100〜200℃、好ましくは130〜160℃の温度で
1〜15分の処理が好ましく、必要に応じて架橋助剤を併
用してもよい。架橋助剤は鉱酸類、有機酸類、酸塩類が
使用され、具体的には塩化アンモニウム、塩化マグネシ
ウム、硝酸アンモニウム、無水マレイン酸、アルカノー
ルアミン等がよく使用される。
以下実施例で具体的に説明する。
〔実施例〕
実施例1 不織布用バインダーの製造例 内容積10のステンレス製電磁撹拌機付オートクレー
ブに次の原料を仕込んだ。
内温を70℃まで上げてエチレンを50kg/cm2になるまで
導入した。過硫酸アンモニウム0.6gを添加し重合を開始
した。内温はジヤケツトの温度を調整して一定に保つ
た。
N−メチロールアクリルアミド(150g)を350mlの水
に溶解し、重合開始時より6時間にわたつて連続的に分
添した。10時間の後、冷却し内容物を取り出した。内容
物は粗粒の少い安定なエマルジヨンで固型分51.6重量
%、粘度2120cpsで、そのポリマー組成は酢酸ビニルユ
ニツト76重量%、エチレンユニツト19重量%、N−メロ
ールアクリルアミドユニツト5重量%であつた。
比較例1 純水及び酢酸ビニルの仕込み量が各々2440g、2760g、
保護コロイドとしてアクリルアミド変性ポリビニルアル
コールを使用せず、N−メチロールアクリルアミド150g
およびアクリルアミド90gを560mlの水に溶解し、重合開
始時より6時間にわたつて連続的に分添した以外は、実
施例1と同様に重合した。
10時間の後、冷却し内容物を取り出したところ、粗粒
の少ない安定なエマルジヨンであり、固型分50.5重量
%、粘度2800cpsで、そのポリマー組成は酢酸ビニルユ
ニツト74重量%、エチレンユニツト18重量%、アクリル
アミドユニツト3重量%、N−メチロールアクリルアミ
ドユニツト5重量%であつた。
実施例2 実施例1の方法で作製したバインダーを、東洋ろ紙N
o.2(120g/m2)に含浸率25重量%になるよう含浸し、風
乾後140℃、5分の熱処理を行なつた。この含浸紙の性
能を表に示す。
実施例3、4および比較例2、3 N−メチロールアクリルアミド量を変えた他は実施例
1と同様の方法で作製した表の組成のバインダーを、評
価した。
実施例5、6、7 N−メチロールアクリルアミドの代わりに、N−メチ
ロールメタアクリルアミドを使用した他は各々実施例
2、3、4と同様に製造し、評価した。
実施例8、9、10 アクリルアミド含有量9重量%、けん代度95モル%の
アクリルアミド変性ポリビニルアルコールを用いた他は
各々実施例2、3、4と同様に製造し評価した。
実施例11、12 実施例2及び実施例5でそれぞれ使用したバインダー
と同一のバインダーをレーヨン100%のウエブ(目付100
g/m2)に含浸率35重量%になるように含浸し、風乾後14
0℃で5分熱処理した。
比較例4,5 エチレン圧を変えエチレン含量を変えた他は、実施例
1と同様の方法で作製した表の組成のバインダーを評価
した。
比較例6、7 アクリルアミド変性ポリビニルアルコール使用量を変
えたほか、実施例1と同様の方法で作製した表の組成の
バインダーを評価した。
比較例8 比較例1の方法で作製したバインダーを、実施例2と
同様の方法で評価した。
比較例9 N−メチロールアクリルアミド量を変えたほかは、比
較例1と同様の方法で作製したバインダーを評価した。
測定方 (1) 乾燥時引張強度 含浸紙を15×150mmの大きさに切り、島津製作所製引
張試験機is−500を用いて引張速度200mm/分、チヤツク
間距離100mmで測定。
(2) 湿潤時引張強度 含浸紙を20℃の水に2時間浸漬後、(1)と同様の方
法で強度を測定した。
(3) 風合い ハンドリングテストによつて測定した。試験片がほと
んど抵抗なく曲げられる場合を「良」とした。
(4) 遊離ホルムアルデヒド量 厚生省令第34号に基づきホルムアルデヒド量を定量し
た(検出限界0.1ppm)。
(5) バインダーの状態 バインダーをビーカーに100gとり、ガラス棒で撹拌し
て状態を観察した。抵抗がほとんどなく撹拌できる場合
を「良」、やや抵抗のある場合を「やや増粘」、抵抗の
大きい場合を「増粘大」とした。
〔発明の効果〕
本発明により、遊離ホルムアルデヒド量の低い不織布
用バインダーを得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C08F 218/08 220:58 210:02) (56)参考文献 特開 昭60−240701(JP,A) 特開 昭64−77667(JP,A) 特開 昭62−124137(JP,A) 特開 昭57−190010(JP,A) 特公 昭50−27104(JP,B1) 特公 昭60−10138(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリルアミド含有量1〜10重量%、けん
    化度85モル%以上の酢酸ビニル−アクリルアミド共重合
    体けん化物を保護コロイドとして存在させ、エチレン5
    〜30重量%、N−メチロールアクリルアミドおよび/ま
    たはN−メチロールメタアクリルアミドよりなるN−メ
    チロール化合物0.5〜10重量%および酢酸ビニル60〜94.
    5重量%を乳化共重合させることを特徴とするN−メチ
    ロール化合物−エチレン−酢酸ビニル三元共重合体の製
    造方法。
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